満足度★★★★
鑑賞日2020/12/15 (火) 19:00
座席F列11番
まあ表現(舞台装置から衣装、演出)がかなり誇張されているので、何かとんでもない話(不条理劇)のような気がするけれど、主人公の行動原理とその周辺の人物が陥る状況を整理してみれば、かなり辛辣な風刺劇、自己啓発あるいは自立成長礼賛への批判劇と言うか、かなりスパイシーな現代喜劇か。
イプセンの「人形の家」が嫌い、というかノラに何の共感もしない、ただのエゴイストじゃない、という評価の人が割といます。(そう感じます)女性の自律を、当時の封建的な家族関係の中で高らかに訴えかけた、というのが、日本の明治期以降、早稲田演劇を中心になされてきた解釈ですが、本当にそうなの、という素朴な疑問です。
まあ、日本に限らずアメリカでもフェミニズム運動の象徴として、ジェーン・フォンダなどは嬉々として「人形の家」の映画化に乗っていましたからねえ。(今となっては、彼女のフィルモグラフィーとして語られることはまずない)
でも、イプセン自身にそのような意図があったのかと言われれば、これは謎。
この「ガール・イン・クライシス」は、ダーク版「人形の家」あるいは、突き抜けるとこういうことなのよ版と言えまいか。