最新の観てきた!クチコミ一覧

26761-26780件 / 189764件中
風を切れ2020

風を切れ2020

演劇企画ユニット劇団山本屋

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

アントロポセンの空舟

アントロポセンの空舟

水族館劇場

臨済宗建長寺派 宗禅寺 第二駐車場 特設野外儛臺 虹の乾坤(東京都)

2021/05/14 (金) ~ 2021/05/31 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ザッツ水族館劇場。東京の果て、雨降る夕刻に集った客と俳優の数は共々少なめであったが「らしさ」は健在、堪能した。役者陣のデコボコ感、歴史を貫通して詩的文体に刻むテキスト、目を喜ばせる舞台装置、水。
後の席に座った親子連れの子供二人がしばしば遠慮なく「感想」を差し挟んで途中邪魔っけだったが、フィニッシュの大展開に「やった!」の一声は観客の心と一体化していた。(分ってるぢゃないかっ。)

『桜嵐記(おうらんき)』『Dream Chaser』

『桜嵐記(おうらんき)』『Dream Chaser』

宝塚歌劇団

宝塚大劇場(兵庫県)

2021/05/15 (土) ~ 2021/06/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語がしっかりしていて、見ごたえがありました。歌が少なめかなと思いましたが、歌はとても良かったです。
レビューのタンゴがすばらしかった。足があんなに速く動いて、相手にひっかかることもなく、感動しました。美しかったです。

モーツァルト!【4月28日~5月6日東京公演中止、5月25日~5月31日、6月5日~6月6日大阪公演中止】

モーツァルト!【4月28日~5月6日東京公演中止、5月25日~5月31日、6月5日~6月6日大阪公演中止】

東宝

梅田芸術劇場メインホール(大阪府)

2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

上演されるのを待っていました。感謝しつつ、大切に観劇しました。すばらしかったです。
何度も再演されて、観たのは4回目くらいだと思うのですが、今回の感動を超えることはないかもしれないと思いました。でもまた観に行ってしまうかな。

JACROW#30『鋼の糸』

JACROW#30『鋼の糸』

JACROW

駅前劇場(東京都)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同じ劇団、というか同じ作家の企業物はいくつも見たが、ワンパターンにならず、一作一作特徴があって異なることに感嘆する。

キャッツ

キャッツ

劇団四季

キャッツ・シアター大井町(東京都)

2018/08/11 (土) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

四季劇場[夏]では『ライオンキング』が6月12日に大井町公演ファイナルを迎え、閉館。
キャッツ・シアターでは『キャッツ』が6月20日に千秋楽を迎え、こちらも同じく閉館。
大井町から劇団四季が消えてしまう。

三回目、チケット表記5列目が最前列。
ジェリクルキャッツ〈誇り高き特殊な猫達〉のリーダー格マンカストラップ(金本泰潤氏)が新生鷹の団にいそうな格好良さ。
おばさん猫ジェニエニドッツ(笠原光希〈みき〉さん)がゴキブリを従えてタップダンスを踊るシーンは矢張り最高。
泥棒猫ランペルティーザ(片岡英子さん)の動きは目を見張る。
ジェリーロラム=グリドルボーン(奥平光紀さん)のコミカルな細かな仕草が印象に残る。
シャム猫軍団が可愛い。(子役だと思っていた。)

ネタバレBOX

グリザベラ (金原美喜さん)の名曲『メモリー』は『愛の讃歌』に構造が似ている。
JACROW#30『鋼の糸』

JACROW#30『鋼の糸』

JACROW

駅前劇場(東京都)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/06/01 (火) 14:00

座席1階

田中角栄など自民党政治家の栄枯盛衰を描いた作品など、社会派劇で名高いジャクローが、今度は企業合併や出世競争だけでなく、働き方改革まで取り込んで、見ごたえのある2時間にまとめた。

昭和から平成にかけて、右肩上がりの経済成長とバブル崩壊、その後の長期不況という歴史の中で、日本企業は様々な姿を見せてきた。「出世争いは企業の活力」というセリフも出てくるが、今も基本的には変わっていない男社会の感覚かもしれない。
その競争社会では、「24時間働けますか」という、ジャパニーズビジネスマンをたたえるような流行歌に乗せて、栄養ドリンクが売れまくった。それが時を経て令和の世となり、残業などもってのほか、ワークライフバランスという印籠でもってして働き方をお上が中心になって変えようとしている。働く女性たちも男性とともに世の中を支える時代なのだから、男社会の感覚はお上に言われなくても払拭しなければならない。私見だが、この舞台はそうした時代の変化への対応にあえて真正面から取り組まず、バブルのころに入った新入社員の出世や人生を中心に置いて描き、昭和・平成時代の企業社会を生き抜いた観客の共感を得ている。

ライバルに勝つ営業成績を上げろという経営陣と、働き方改革だから残業はさせられないという所属長の板挟みになって咆哮する役員手前の部長が悲しい。「クライエントの秘密情報を取ってこい、それが営業成績向上の決め手だ」との𠮟責は、それが会社のためであり、自分のためであるという彼らの共通認識である。そういう昭和・平成の企業戦士の常識が、部下である所属長の抵抗によって打ち砕かれる。もちろん、所属長たちはその常識を分かっているのだが、自分の立場上、部下を残業させてまでその仕事を命ずるわけにはいかない。それこそ、部下の離反を招くどころか責任を問われることになろう。部下をがっつり働かせてなんぼの世界は終わり、部下をうまく休ませるのが優秀な管理職なのだ。

この舞台でも「じゃあどうすればいいのか」という答えは出ていない。会社の経営陣は「働き方改革の中で、成績を上げるやり方に知恵を絞れ」と言う。だが、その経営メンバーは24時間働くような従来のやり方で成績を上げてのし上がってきた連中だ。答えなど持っているはずはない。知恵を絞れという号令は無責任そのものであり、できもしないことを部下に押し付けている最悪の上層部である。「やればできる」という精神論で前線の兵士を破滅に追い込んだ旧日本軍の精神構造と全く同じである。
非常に面白い舞台だった。が、欲を言えば、そこまでつっこんでほしかった。

ネタバレBOX

上にも書いたが、前作で出色だった田中角栄役の狩野和馬のイメージが強烈で、それが色濃く残っている自分にとっては、角さんがサラリーマンの出世競争をしている、という感じにどうしても見えてしまう。田中角栄が抜けないのだ。そのイメージを一生懸命わきに押しやりながら舞台に没頭するのは疲れてしまった(笑)
獣唄2021-改訂版

獣唄2021-改訂版

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2021/05/25 (火) ~ 2021/06/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/25 (火) 18:30

 東憲司氏、桟敷童子を率いてもはや他と比べるべくもない演出家となりました。桟敷童子ほど、内容・時期共に安定した公演を行っている小劇団は、他にそう類は見ません。また、これほどの新作数を舞台装置含めながら考案していることにも驚きます。ただし、これが東憲司というような代表作が認められないと思うのは、私だけではないのでないでしょうか。
 その理由の一つとしては、総じて作品の質が高いというという事が挙げられますが、桟敷童子作品が、かなり特殊な構造を抱えていて、他劇団での再現性が低いという事が挙げられると思います。もちろん、ラストの舞台総崩し的な見せ場は、他の小劇団では再現可能性が低いと思われますが、それ以上に驚くのは、頻繁に登場する過剰な悪意や欲望の放出です。
 過剰な悪意や欲望の放出は、桟敷童子芝居の大きなレンズであり、物語の進行を前半と後半を一転集約で繋ぎ、舞台にダイナミズムを生じさせる、大きなファクターです。しかし、これはともすると、観客の混乱と不安を招き、それまでの感情移入を引かせる要素とまおなりかねません。(一方で中毒性もあるのですが) この点が、東憲司以外の桟敷童子作品の演出を困難しているように思われます。

 さて「獣唄」この作品には、この過剰さがないのです。意図的に削ぎ落したように。観客は良くも悪くも、この作品でかの過剰さに向き合うことがありません。そのことは、脚本に演出側の自由度をかなり高めていると言えます。
 冒頭こそ、慣例の肉親憎悪をもって展開しますが、その後の展開はかなりニュートラルです。つまりどういう描き方がされても、どこに話がフォーカスされても、ラストへはいかようにもたどり着けられるように書かれていると思われるのです。
 今回の演出のように、あくまでも一地方での群像劇として描くのもありだし、梁瀬繁蔵を深く掘り下げる演出や三人姉妹の描き分けによる演出も可能なような気がします。つまり、桟敷童子版・東憲司版以外の「獣唄」が生まれる可能性があるということで、もしかしたらこれは新しい『古典』の誕生かもしれません。
 終焉後の村井國夫の屈託のない笑顔が、再演とは思わせない新たな(何らかの)誕生を象徴していたような気がします。

てげ最悪な男へ

てげ最悪な男へ

小松台東

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#てげ最悪な男へ
#小松台東
#小園茉菜 さんが「彼氏できたー」と叫びながら自転車で登場する爽やかさとは真逆の、生き辛さが充満した作品。二幕の冒頭も彼女の自転車で始まるのだけれど、カールした美しい髪が、まるで人生の歪みを表しているように見えたのは、我が心も歪んでいるからだろうか。人に纏わり付く影…負い目。それが自身の失敗ではなく家族の行為によって生じたものならば、その責任を背負わされる家族について考えると胸が締め付けられる。被害と加害。起こったこと、起こしてしまったことによる支配。それはいったいどこまで、誰にまで広がり、いつまで続くのか。そしてどうやったらその支配から逃れることができるのか。たとえ許されなくても、解放されるときは来るのか。謝罪は決して楽になりたいだけなんかじゃない。そうじゃないんだけれど…不本意ながらもそうなる部分はあって、それを突きつけられれば反論は難しい。死ぬまで過去は消せない。でも、死んだって過去は消せないし、それこそ自らが負うべき十字架を家族に背負わせて逃げ出すことであり…それは勝手に楽になろうとする行為なはず。だから…死ねないし逃げられない。人間が嫌悪する感情で発する敵意や悪意ほど恐いものはない。
言葉は難しい。この二週間で何度聞き、何度実感したことか。勇み足で溢れた一言が、積み上げてきた人生の全てを台無しにする恐怖。台無しにしてしまったかもしれない恐怖。そんな思いは二度とご免だ。そう思うと口がきけなくなる。しかし、声であろうと文字であろうと手話であろうと…自ら言葉を発しなくなったら、果たしてそれは人間としての徳を有していると言えるのだろうか。先天性のものや病や事故ではない。だからこそ、あの家に集まってきた人たちは言葉とどう向き合い、恐怖にどう立ち向かっていたのかということについて…何度も反芻している。
劇中、そのオーラを激変させたのは #瓜生和成 さん演じるフミオ。優しさと思いやりの包装紙は薄くて柔。どうやったって包んだ下心は透けて見える。望もうが望むまいが、始まった二人での生活は『支え』から『支配』に変わってしまった。時間も人の感情も残酷だ。覚えていて欲しいことは忘れ去られ、忘れて欲しいことはいつまでも記憶され続ける。
這いつくばって嗚咽して苦しむ彼の姿に身を斬られるような苦しさを感じた…が、彼の方がその傷は深く強い痛みを感じているに違いない。にもかかわらず、隣の席の観客はクスクスと笑っている。まるで世の中が彼を…そしてわたしを嘲笑っているかのような錯覚を覚えた。世間に笑われながら、地に這いつくばって、彼は…いや我々は、何を守り、何を失いながら生きていくのだろう。生きていけるのだろう。受け入れ難いことを受け入れ、忘却力を頼りに、時の経過が苦しみや悲しみを薄めてくれるのを息を潜めて待つ。
ここ数作品における主宰 #松本哲也 さんの脚本の引き算に痺れる。誰がいつどこで何をどうしたか…ということを客席は追いかけたくなる。でも、その人がいないこと、来ること、それだけが重要で、細かなことは想像に委ねられる。あの家の世界が果てしなく広がり、闇は深く深く沈んでゆく。
観客はいつだって作品と自らの共通項を見いだし、現在過去未来に結びつけ、時に教訓にもしながら、人生を生活を顧みる。それは演劇に限らず、映画も文学も、歌の歌詞からも、我々は自分を探す。安心したり、恐れたり、教訓にしたりしながら生きる。
フミオを見つめながら我が身に降りかかった災難を俯瞰していた。自分の愚かさを突きつけられながら、励まされた気がした。

風を切れ2020

風を切れ2020

演劇企画ユニット劇団山本屋

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

始まりから本編に行くまでが少し長く、舞台転換がバタバタで今どこなのかわかりにくかったのでもう少し短めでレース部分を多いともっと盛り上がると思う。見始めはあまり好みじゃないなぁ、失敗したかなと思っていたのですが中盤から引き込まれ楽しめました。大林さんが声も通り舞台映えする方だったので今後も舞台で見てみたいです!
残念なのは開演前に席を移動し、お互いのチェキを見せながら会話しているお客様を放置していたことが気になりました。

てげ最悪な男へ

てげ最悪な男へ

小松台東

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

凡そ9か月振りの三鷹。小松台東は昨年のグッドディスタンス、アゴラ公演でさほど久々感は無いものの本拠地で本領発揮の「細部にこだわる芝居」が観れた。「痛い」男の話であるが男は一度は経験するだろう「失恋」のロングバージョン。ただ、そこをオチにしたのはたまたま、とも見える。不幸な生まれの女子物語としても通るしそちらの目線で追えばハッピーエンド。裏表の関係。
小松台東での瓜生氏の役柄は割と枠に収まっている気がするが(そういえばiakuの舞台でも恋の成就しない哀れ男だった)、時には二枚目役も見たいぞよ。

ネタバレBOX

前作でも「殺し」が出てきたが、松本氏の役柄も身を持ち崩す系に寄っているような。。
破滅的な話にしては話の筋に無理を感じる箇所は、脇役である同町内の男の笑わせ所のためにせよ、小園演じる女性が長年同居した叔父に気を許し「過去から逃れられない」と悲観して思わず叔父の抱擁に身を任せる時間が長い。回覧板を届けに来た時その二人の姿を見て「誤解」し、回覧板を音を立てず足をそれ以上踏み込まずどう置いて去るか、を色々試した揚げ句諦めて持ち帰る、というくだりだから長くはなるが・・。
女は叔父の「妙な動き」に気づいて「そうだったの?」と呆れ、百八十度真逆の存在となる。冷たい世間の風を二人でしのいできた歳月も色あせ、父代りの叔父が彼女の新しい恋人に中々会おうとしなかった事とも符合した。だが、、「過去」は拭い去れず、従って「二人」で生きて行くしかない、その「絶望」(叔父にとっては希望)が叔父との紐帯を確認する事となり、抱擁に至ったのであれば、そこから男女の関係の可能性もゼロではない。むしろ、ある。ただし、女の絶望に乗じる男も「最悪」ではあるが・・しかし女も叔父にしなだれかかる程には、実は絶望しておらず、新しい彼氏との関係に不安ながらも希望を抱いていた訳である。つまり抱擁は彼女の素直な表現でなく、彼氏との面会を拒む叔父を「懐柔」するため、悲劇のヒロインを演じ「絶望するな、希望を持て」の台詞を引き出そうとした。計算があり、純粋一本でない、と見える。
ただ、叔父の父権主義な態度を女が「許していた」一面があったとすれば、その裏側には「叔父は自分のために存在してくれている」という仮説、信頼が存在しており、その暗黙の契約関係を叔父は(愚かなことに)破棄したという事態とも見える。
いずれにしても、この「最悪」は男の人格や存在が、というより、ここに至った事態が、であろう。年輩男が年下女性に恋心を抱くことを「汚い」といった形容で規定するのは殆ど「見た目」の問題に思える。もっとも見た目は重要だが、瓜生氏でないタイプの男(しゅっとしたダンディ男、またはもっとうんと不細工)が同じ思いを抱きそれを実現させようとしたと想像すると、「汚い」と眉を顰めるのでない別の物語が生まれる気がする。その違いは・・客観的には見た目だが、主観的には「汚い」と感じているかどうかなのだろう。この芝居の男は恋心を打ち明ける事なく、流れに任せて事に至ろうとした。言葉に出来ない後ろ暗さがあった、という事の証であり、自分の主観に閉じこもって相手を実は見ていない、そのエゴを貫徹するのでなく押し殺し「演じてきた」事が、最悪なのだろうと思う。実に、よくある話だ。。
風を切れ2020

風を切れ2020

演劇企画ユニット劇団山本屋

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

パワーあふれる熱い舞台で、とても面白かったです。ストーリーも面白く、登場人物それぞれのキャラクターも良かったし、役者さん達の熱演で、どんどん惹き込まれ、特に競争シーンは食い入るように見ていました。風と海を愛する男達と、それを応援する人達の、素敵な舞台でした。そして、セーリングという競技に興味を持つきっかけになりました。大満足の舞台でした!

「母 MATKA」【5/17公演中止】

「母 MATKA」【5/17公演中止】

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2021/05/13 (木) ~ 2021/05/20 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/13 (木) 13:00

チャペックの作品というとSF。それも良い意味で牧歌的であり、一方かなり諧謔的であり。舞台では「山椒魚戦争」「R.U.R」「クラチカット」と観てきたけれど、この「母」にも、何かそうしたSF作品に通底する独特の雰囲気がある。そう作家の体臭というか、作品の面持ちというか。ロボットの反乱だ、超破壊兵器の獲得競争だ、生物界の人間への侵攻だといっても、どこかのーんびりとしている、そうカレルの好きな庭仕事のように。
 常に内戦絶えない(民族紛争?)、おそらくは東欧と思われる小国。そこでの市民たちは戦争に巻き込まれては、民族と家族を守るための戦いを強いられる。男たちは戦場へと駆り立てられるか、民族の繁栄のために命を落とし。女たちは父親。恋人、夫、子供たちと、次々と愛する者たちを失っていく。誰もその運命に抗うことはできない、否、できないはずであった。死者である夫と長男、戦場に赴こうとする次男、三男、四男、彼らと向こうに回して、
母は五男のトニーだけは、けして戦場行かせないと徹底的に抗うことを決意する。

ネタバレBOX

母親を主役に置いた、家族愛に溢れる反戦ヒューマンドラマ、ではなく、喧々囂々、母は強しを貫いた、死者生者入り混じっての家族大会議ドラマ。実のところ、そこまで戦火が近づいて、などという緊迫感を漂わすだけ漂わせておいて、トニーだけは絶対渡さないと大見えを切る母親を描いたホームドラマ。事の次第が見えずに、アタフタと部屋を出入りするトニーがかわいい。さらに、両陣営の調停に(その西尾口調で)理路整然として割って入ろうとして、理不尽に跳ね返される西尾友樹は、例の一人芝居に見せるコメディタッチ満載でとても楽しませてくれる。
 そして、家族相手に大立ち回りをする母親は、とても楽しそうだ。子の死を受けれながらも、家族で対話を尽くす様に、悲しみよりも幸せを感じさせる。増子倭文江の存在感に席捲される。
アルビオン

アルビオン

劇団青年座

俳優座劇場(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/05/24 (月) 14:00

イングランド人というものは、いつも強がりだ。
世界の公用語としてNo.1の地位を占める英語は、かつて国内での公用語をフランス語に奪われた時期があったらしい。シェイクスピアの作品に見るイングランドは、たまーに勇猛果敢あるいはひどい跳ね返りが出てきては、フランスに戦争を売り、勝利を挙げその軋轢を取り払う。しかし、そんな海外での戦果の陰で、いつも内憂が起こり、いつの間にかまたフランスの軍門に下るか、その勢力にひれ伏すかを繰り返す、かなりなヘタレ野郎だ。
「大英帝国」などと、日本人が賞揚し憧憬するイングランドはエリザベス1世以降のものだ、だからか、この国の貴族、元はヨーロッパのはずれの偏狭な島国でしかなかったという強いコンプレックスを抱き、自分の弱みを見せまいとえらく強気に出る傾向がある。そうそう、まさにジョン・ブルのように。そこには諦念や無常の価値意識は存在の余地を持たない。それを見苦しい老体の足掻きと思うのか、武士は食わねど高楊枝的な粋とみるかは(少なくともジョン・ブルの容姿にその美学は毛頭ないが)、人それぞれだろう。

ネタバレBOX

 この作品が「桜の園」と決定的に異なるのはそこだろう。おそらくバートレットは。現在のイングランドを強烈に意識しながら、20世紀初頭のロシア地主と比較しながら書いたのだと思う。チェーホフがラネーフスカヤを滑稽だと意識したのと同様に、バートレットも
オードリーを陳腐だと意識したのだと思う。オードリーが購入したのは、土地こそ違え20世紀初頭の繁栄を垣間見せ、今は廃園と化しつつあった大庭園のある邸宅である。
 ただし、オードリーにはラネーフスカヤのように、森の木が倒されるあの伐採の音は聞こえなかったようだ。オードリーの最後の抗いは、何に結びついたのだろうか。

風を切れ2020

風を切れ2020

演劇企画ユニット劇団山本屋

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/05/26 (水) ~ 2021/06/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

知らない世界=今回はヨット競技=セーリング
色々と勉強になりました(^ー^)

ぴちぴちと元気の良い舞台であり
なかなかに熱かったしょうぶのシーンも堪能できた
2時間20分の作品

ネタバレBOX

競技の再現はどうするのかなーと興味深く思っていたら
十字になったボートの舳先をぐるぐると
舞台上で黒子さんによる人力回転で迫力出すとは
なかなかでありました=黒子さんご苦労さまです!
競技チームも派手な色分けで分かりやすかったが
全員セリフは聞き取りづらいとこもあったかなぁ~と

セーリングルールの説明は
口頭に合わせて動画の投影があって
とっても理解しやすく楽しめました♪
アカシアの雨が降る時

アカシアの雨が降る時

六本木トリコロールシアター/サードステージ

六本木トリコロールシアター(東京都)

2021/05/15 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同僚が「笑って笑って、最後泣いた」と、絶賛するので見に行った。70年代、ベトナム反戦運動の青春へのオマージュ。おばあちゃんが認知症になって、自分を20歳の女子学生と思い込み、ベトナム反戦運動に熱心に取り組む。よかった。大学のキャンパスで、学生誰彼かまわず、反戦運動への参加を話し込むのは戯画的。かつての学生運動への揶揄のようにも取れたが、おそらく、作者にそんなつもりはなく、あれは本人たちは一途でも、はたから見ると迷惑で滑稽というものなのだ。息子がアメリカ人に化けて、それでも「日本語で日本語で」、というあたりは爆笑ものであった。

見ながら、現在の若者たちはなぜ立ち上がらないか、「沈黙は罪」なのにという気がしてくる。そこからさらに、今からでも遅くない、「この闇の向こうには輝く明日がある」と励まされる。

引用されている「二十歳の原点」を見て、読みたくなってしまった。非常に文章が良い。詩情がある。私は「二十歳の原点序章」しか読んだことがなく、その印象は、なにか幼い感じで惹かれなかった。高野悦子も「序章」から「原点」へ、数ヶ月、1年の間に急速に成長した気がした。

おばあちゃんの20歳騒ぎだけでなく、息子の会社での急の取引先からの打ち切りのしうち、孫の父、母へのアンビバレンツな心情と、重層的なシナリオも、作劇上のヒントがあった。シンプルな作りなので、作劇上の構造がよくわかった

ネタバレBOX

題名にもあるが、歌の「アカシアの雨がやむとき」がモチーフ。それだけではなく、「ウィ・シャル・オーバーカム」など、70年代フォークが散りばめられているのも、嬉しい。とくに「友よ」のデュエットは聴きごたえ抜群だった。

市松模様の完全50%の配席。コロナでも、ここのところは普通に詰めて席を売る舞台が多い。鴻上さんは「ハルナシオン」もそうだったが、意地になったかのように、結構、しっかり席を一人おきにする。
ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット

ホリプロ/東宝/TBS/梅田芸術劇場

赤坂ACTシアター(東京都)

2021/05/21 (金) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ロック調のミュージカルに、現代を舞台に、エネルギッシュなダンスシーンが見どころの、若者向けのロミジュリ。キャピュレット家の家族関係を、原作以上に彫り込んでいるのも、奥行きが増した。キャピュレット夫人の意外な告白には驚いた。

ジュリエットの乳母役の原田薫が、ユーモラスとお茶目さがあって、彼女の歌うシーン「あの子はあなたを愛している」は、若さと悲劇のエネルギッシュな舞台の中の、無垢な献身を見せる一服の清涼剤であった。自由を謳った「世界の王」も、カーテンコールでも歌われたが、いい曲だった。

最後のロミオとジュリエットの死の場面は、背後に、十字架とキリストの磔刑像が大きく配されて、二人の死が、単なる愛の死ではなく、争い合う人類のための贖罪の死に高められていた。キリストの死と重ねられていたわけである。残された親たちの歌う歌にも、「神はなぜ二人を見捨てたのか」という言葉がある。これもキリストとダブル。カトリック国フランスらしい演出だと思った。一番のテーマ曲の「エメ」は、おそらく「アーメン」である。こんなところにも、演出の宗教的強調がある。
約3時間5分(休憩25分)。

東京ゴッドファーザーズ【5月2日~5月11日公演中止】

東京ゴッドファーザーズ【5月2日~5月11日公演中止】

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2021/05/02 (日) ~ 2021/05/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前の口コミを見ると、評価が割れているようだが、私はすごく楽しめた。ちなみに今敏のアニメは未見です。それでも、ホームレス三人が、互いに喧嘩しながらの、捨て子の赤ん坊の親を探してのロードムービーは十分面白かった。オカマのハナの松岡昌宏が出色。ホームレスのギンちゃんのマキタスポーツのうらぶれた感もよかった。競輪選手と嘘をついていた見栄と寂しさもよくわかったし、娘との再会シーンも素直にジンと来た。夏子の突っ張ってみせるけど、本当は素直で優しい思春期の女の子の感じもよく出ていた。赤ん坊の母親役の池田有希子の、ちょっと心を病みかけた、余裕のない必死さもリアルだった。

「歓喜の歌」が要所要所で流れてテーマソングのよう。最後の大団円は第九のオケと合唱のフルバージョンで高らかに歌い上げるのに、素直に感動した。みんな幸せになれてよかったと、素直に温かい気持ちになれる、「大晦日の奇跡」ともいうべき舞台だった。

舞台を立体的に使う演出がうまくいっていた。上下だけでなく、細長い島式舞台の左右中央で3つのシーンが同時並行したのも、面白い。平田オリザ式同時多発会話ではなく、隙間補い合い型の、互いに少しずつタイミングがずれていて、どのシーンの会話もクリアに聞こえるというタイプは初めて見た、気がする。

ネタバレBOX

ラストの赤ん坊がビルの屋上から飛ばされて、地上のハナがキャッチして救う場面。全然予備知識がない、感激仲間は何が起きたかわからなかったようだ。私はこの口コミを読んでいたので、これがあれか、とわかったが。ココだけは減点1点
終わりよければすべてよし【6月12日~6月13日公演中止】

終わりよければすべてよし【6月12日~6月13日公演中止】

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/29 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

スピーディーな展開に、吉田鋼太郎のフランス王の圧巻の貫禄と、横田栄司の哀れでコミカルな従者パローレス。十分楽しめました。イタリアの娼家の娘(だが、純潔な処女)ダイアナと、傲慢なバートラム(藤原竜也)のシーンを、戯曲ではまだベッド・イン前の駆け引きのところを、ベッドでのやり取りに演出したところが、男と女の欲望とバカしあいの内容にふさわしかった。女が活躍する舞台で、男は愚かでダメな奴ばかりというのが、(芝居ではよくあることだが)おかしかった。

曼珠沙華が咲き乱れる舞台を、吊り物の上げ下げで、場面転換させる美術も良かった。

マスターピース~傑作を君に~

マスターピース~傑作を君に~

TEAM NACS

EX THEATER ROPPONGI(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ご存知チームNACSの五人が、映画のシナリオライターグループと、彼らが缶詰になった熱海の旅館の仲居グループと、男女それぞれの一人二役で笑わせてくれた。とくに安田顕の仲居が、本当に声色が女性みたいで、男の女装とは思えない。近眼の友人は、安だとはわからなかったと言っていた。大泉洋のシナリオ作家との恋が盛り上がる、その結末がサイコー。枕投げのドタバタシーンも笑えた。笑いの渦まく舞台だった。

同じ旅館に、あの黒澤明のチームも止まっていると知って、やる気のない彼らが、突如奮い立つところも面白い。

このページのQRコードです。

拡大