「母 MATKA」【5/17公演中止】 公演情報 オフィスコットーネ「「母 MATKA」【5/17公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/05/13 (木) 13:00

    チャペックの作品というとSF。それも良い意味で牧歌的であり、一方かなり諧謔的であり。舞台では「山椒魚戦争」「R.U.R」「クラチカット」と観てきたけれど、この「母」にも、何かそうしたSF作品に通底する独特の雰囲気がある。そう作家の体臭というか、作品の面持ちというか。ロボットの反乱だ、超破壊兵器の獲得競争だ、生物界の人間への侵攻だといっても、どこかのーんびりとしている、そうカレルの好きな庭仕事のように。
     常に内戦絶えない(民族紛争?)、おそらくは東欧と思われる小国。そこでの市民たちは戦争に巻き込まれては、民族と家族を守るための戦いを強いられる。男たちは戦場へと駆り立てられるか、民族の繁栄のために命を落とし。女たちは父親。恋人、夫、子供たちと、次々と愛する者たちを失っていく。誰もその運命に抗うことはできない、否、できないはずであった。死者である夫と長男、戦場に赴こうとする次男、三男、四男、彼らと向こうに回して、
    母は五男のトニーだけは、けして戦場行かせないと徹底的に抗うことを決意する。

    ネタバレBOX

    母親を主役に置いた、家族愛に溢れる反戦ヒューマンドラマ、ではなく、喧々囂々、母は強しを貫いた、死者生者入り混じっての家族大会議ドラマ。実のところ、そこまで戦火が近づいて、などという緊迫感を漂わすだけ漂わせておいて、トニーだけは絶対渡さないと大見えを切る母親を描いたホームドラマ。事の次第が見えずに、アタフタと部屋を出入りするトニーがかわいい。さらに、両陣営の調停に(その西尾口調で)理路整然として割って入ろうとして、理不尽に跳ね返される西尾友樹は、例の一人芝居に見せるコメディタッチ満載でとても楽しませてくれる。
     そして、家族相手に大立ち回りをする母親は、とても楽しそうだ。子の死を受けれながらも、家族で対話を尽くす様に、悲しみよりも幸せを感じさせる。増子倭文江の存在感に席捲される。

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    2021/06/01 06:43

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