実演鑑賞
満足度★★★★
前の口コミを見ると、評価が割れているようだが、私はすごく楽しめた。ちなみに今敏のアニメは未見です。それでも、ホームレス三人が、互いに喧嘩しながらの、捨て子の赤ん坊の親を探してのロードムービーは十分面白かった。オカマのハナの松岡昌宏が出色。ホームレスのギンちゃんのマキタスポーツのうらぶれた感もよかった。競輪選手と嘘をついていた見栄と寂しさもよくわかったし、娘との再会シーンも素直にジンと来た。夏子の突っ張ってみせるけど、本当は素直で優しい思春期の女の子の感じもよく出ていた。赤ん坊の母親役の池田有希子の、ちょっと心を病みかけた、余裕のない必死さもリアルだった。
「歓喜の歌」が要所要所で流れてテーマソングのよう。最後の大団円は第九のオケと合唱のフルバージョンで高らかに歌い上げるのに、素直に感動した。みんな幸せになれてよかったと、素直に温かい気持ちになれる、「大晦日の奇跡」ともいうべき舞台だった。
舞台を立体的に使う演出がうまくいっていた。上下だけでなく、細長い島式舞台の左右中央で3つのシーンが同時並行したのも、面白い。平田オリザ式同時多発会話ではなく、隙間補い合い型の、互いに少しずつタイミングがずれていて、どのシーンの会話もクリアに聞こえるというタイプは初めて見た、気がする。