実演鑑賞
満足度★★★★
同僚が「笑って笑って、最後泣いた」と、絶賛するので見に行った。70年代、ベトナム反戦運動の青春へのオマージュ。おばあちゃんが認知症になって、自分を20歳の女子学生と思い込み、ベトナム反戦運動に熱心に取り組む。よかった。大学のキャンパスで、学生誰彼かまわず、反戦運動への参加を話し込むのは戯画的。かつての学生運動への揶揄のようにも取れたが、おそらく、作者にそんなつもりはなく、あれは本人たちは一途でも、はたから見ると迷惑で滑稽というものなのだ。息子がアメリカ人に化けて、それでも「日本語で日本語で」、というあたりは爆笑ものであった。
見ながら、現在の若者たちはなぜ立ち上がらないか、「沈黙は罪」なのにという気がしてくる。そこからさらに、今からでも遅くない、「この闇の向こうには輝く明日がある」と励まされる。
引用されている「二十歳の原点」を見て、読みたくなってしまった。非常に文章が良い。詩情がある。私は「二十歳の原点序章」しか読んだことがなく、その印象は、なにか幼い感じで惹かれなかった。高野悦子も「序章」から「原点」へ、数ヶ月、1年の間に急速に成長した気がした。
おばあちゃんの20歳騒ぎだけでなく、息子の会社での急の取引先からの打ち切りのしうち、孫の父、母へのアンビバレンツな心情と、重層的なシナリオも、作劇上のヒントがあった。シンプルな作りなので、作劇上の構造がよくわかった