
徒花に水やり
千葉雅子×土田英生 舞台製作事業
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約100分■
腑に落ちないところもあったが、相当ワケありな一家のホームドラマとして面白く鑑賞。土田英生作・演出だけあり、笑いを生むような設定が色々と凝らしてあって、楽しく時が過ぎた。

人間讃歌
エンパシィ
スタジオ空洞(東京都)
2021/12/14 (火) ~ 2021/12/16 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
まず、美術が良い。決して金がかかっているものではないが、台の下にもちょっとした工夫があり見ているだけで楽しい。照明も、制約の多そうなスタジオでありながら美しい。そしてこれでもかと言うほどの会話劇の俳優陣がまた実に良い。岸田國士は若い頃によく読んで、おぼろげながらの記憶はあるが、ここまで面白いものではなかったような気がする。演出も若い方のようで、令和の岸田國士の作品として存分に楽しませていただいた。

Mo’xtra Archive『912・3R/3C・ス』
monophonic orchestra
APOCシアター(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
『リバース,リバース,リバース!』が楽しかったので、俄然下巻『サイクルサークルクロニクル』も観たくなった。

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-
KUROGOKU
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
学生運動が激しかった時代を描いた観応えのある舞台でした。
学生たちの思いや、その当時の様子がよく描かれていて、今の時代には考えられないという感じ・・とても興味深かったです。
役者さん達は、それぞれのキャラクターを好演していて素晴らしかったです。
主人公を演じた富川陽花さん、すごく可愛らしかったです(可愛いだけではなく演技も良いです)
良い舞台を観る事が出来て満足でした!

疚しい理由2021
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
約1時間の作品、Qチームを拝見しだが、役者陣の演技が素晴らしい。ドンデン返しが幾重にも仕組まれその度にドラスティックに変化する脚本をブラジリー・アン・山田さん、的確で周到な演出を池田 智也さん。(ミステリー要素を含む為、最終稿追記2021.12.21)

三文オペラ JAPON1947
Pカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/12/16 (木) 13:30
座席1階
ブレヒトの有名作を翻案して、舞台を終戦直後の日本に設定。焼け跡に闇市がたち、人々が食うや食わず、生きるのに精いっぱいという世情での物語に仕上げた。「芝居だからハッピーエンド」という宣言があって、いつものPカンパニーとはかなり趣が違うが、街にクリスマスソングが流れる中での上演ということもあって何となく勇気づけられるような気持ちになって劇場を出ることができる。
ミュージカルなので当然、役者たちの歌唱力も問われる。でも、これはさすが。よく鍛えられている俳優陣だけあって、安心してみていられる。役者の年齢を問わず、ダンスの切れもいい。演出もシンプルで、分かりやすい。ブレヒト劇によくある難解なところは今回、まったくないので、役者たちが見せてくれる多彩な表情までしっかり楽しむことができた。
終戦の混乱期だが、そういう時代だからこそ才覚を発覚してうまく稼ぐ人たちはいるものだ。でも大多数の人は赤貧の海の中で苦しむ。「世の中金だ。金があれば何でもできる」という劇中のせりふは、豊かになったように見える現代でも、格差社会の構造は変わらない。同じ意味を持って通じる言葉だ。ブレヒトが「人生は厳しい」と言っているように、この終戦直後に本番の三文オペラでも人生の厳しさがガンガンと伝わってくる。
ただ、そうはいいながらもどこかいい加減で、どこかテキトーなところもしっかり盛り込まれて、ああやっぱり人間が生きていくにはこうでなくっちゃね、という思いにもさせられる。
ラストシーンは結構面白い。予想外の展開もあって楽しめます。

舞台サルまん
気晴らしBOYZ
小劇場B1(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
この世で一番面白いギャグ漫画は『サルまん』な人にとって、ファン感謝デーみたいな舞台。初日は作者の竹熊健太郎氏と相原コージ氏も観劇。この場にいられることの幸福。原作の素晴らしさを逐一確認していくような作品で、ファンフィルムを観ているような気分。これ当時、毎週『スピリッツ』を楽しみに読んでいた連中は観た方がいい。『とんち番長』が観れるだけで充分。
開演前SEは何故か、RCの『COVERS』が延々流される。主演・竹熊健太郎役のコウガシノブ氏がいい。ド迫力の顔芸、「俺を描け~!」のパンイチ・ポーズ、目が常に血走っていて、「ちんぴょろすぽーん」ポーズのキレもいい。相原弘治役の錦織純平氏もいい表情、もっと頭を抱えてゴロゴロ床を転げ回って欲しかったか。とんち番長役は栗原卓也氏、一休役はアモーレ橋本氏、彦一役はドロンズ石本氏、吉四六役は佐野寛大(かんだい)氏。紅一点のヒロイン役は杏さゆりさん。何役もこなす大忙しの青地洋氏。元力士の両國宏氏が辮髪(べんぱつ)姿で、担当編集者・佐藤治役を見事に再現。これを大真面目にやってくれるだけでリスペクト。編集長白井勝也役と意味なし番長役の石橋保氏。役者の無駄遣い感が心地良い。
原作ファンならずっとニヤニヤしていられる。会場で一番受けていたのは吉四六の決め台詞「もう警察に任せた方がいい」で、どっと沸く。自分の作品に笑う竹熊健太郎氏を横目で眺めながら、ファン冥利に尽きるひととき。未だに『サルまん』以上のギャグ漫画は登場していない。リアルタイムで読めたのは幸運だった。

徒花に水やり
千葉雅子×土田英生 舞台製作事業
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/15 (水) 19:00
手練の業、という言葉を思い出した。面白い。観るべし!。90分。
千葉雅子と土田英生のユニット第2弾。土田が書いて演出する作品だが、ベテランを集めて、とても面白く、いい芝居になっていた。元ヤクザ3次団体組長の子ども3人(千葉・土田・桑原)に腹違いの妹(田中)がいることが分かって、今日は東京から来ることになっている。その妹が恋人も連れて来るが…、な物語。しっかりと伏線を張り、しっかりと回収する展開や、登場人物の造型の妙、そして、それを確実に演じる役者陣、と、充実した舞台だった。5人中4人が作・演出をするというのも面白い。

掌サイズのファンタジー
backseatplayer
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
暗い物語かと思いましたが、めちゃめちゃ明るいのでビックリ!!!
役者さんたちは元気いっぱい!!!
おじいちゃん役、お父さん役、息子役の役者さんの三人は特に印象に残り、とても良い演技でした。
奇想天外だが、ちゃんとストーリー的には、つじつまはあっていた。
おもしろかった!!!

あの部屋が燃えろ
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了

疚しい理由2021
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
feblaboらしい作品、と言える程観ている訳ではないが、よくやられる議論物もワンシチュエーション、程よい謎解き、どんでん返し、つまりは演劇的娯楽性の高い演劇だ。
台詞が重ねられると共に状況が、人物の関係が見え始め、真相に接近していく、また時に裏切られるいわばミステリー。久々にブラジリー・アン作品を味わったが、良品と言えるだろう。
もっとも不明のままの部分もなくはなく、もっと言えば別の解釈もあり得るのではないか、という考えももたげる。3人芝居、2チーム。演出が違うとの事である。戯曲解釈まで変えて来るとしたらこれは中々のチャレンジだが・・。

ガドルフの百合
KARAS
シアターX(東京都)
2021/12/10 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アトリエを出てシアターXで行なう公演では、着想とその突き詰め度(完成度)を試す気概の感じられる舞台が味わえるので可能な限り行こうとしている。今回は紗幕を使い、照明も毎度ながら鮮やかで、側面に映る影を見せる場面も多い。
開幕するとテキストの朗読(以前の「シナモン」もアトリエのアナウンスも特徴ある声だと思っていたが佐東女史のであるらしい)が流れ、作者の化身と思しき男が歩いており、やがて風が吹き、遠くで雲から稲光が漏れるのが見え、やがて風雨に襲われ行く先に見える小屋に逃げ込む・・といった宮沢賢治の短編のテキストが勅使川原氏のムーブのようなダンスと合わさって立ち上がる。男は建屋の中に光る白いもの、やがて百合だと判るそれを見つける。彼はその百合に恋をする。
佐東は百合を形象し、純朴で妖しい動きを見せる。一方勅使川原は旅に疲れた男を踊りで「演じる」。
上演の中盤までは物語をなぞり、見事な世界観。陶酔へ誘うのは「物語性」である。が、物語は早々に凡そ言い尽くされてしまう。その先は、勅使川原と佐東の「舞踊」となる。テーマが物語に沿っていても、表現は舞踊であり、舞踊というものは如何ようにも題名を付ける事ができる抽象性がある。姿態の美を見せる時間となる。そして最後には物語に戻り、「恋」の美しげな形、絵のような構図を見せてカットアウトとなる。
舞踊とは言え、冒頭から「物語」を追って観ているので、「舞踊」という抽象世界に入った瞬間戸惑いを覚える自分がいた。そして最後は既に語った物語の一片をリフレインしたもの。
最初から「舞踊」鑑賞モードであればまた印象も違っただろうが、物語を味わうが故に、とても見やすく飲み込みやすかった。ところが宮沢作品の終了と見えた所から、芝居のコールで歌う歌のように舞踊がサービスで踊られ、さらに、既に語った物語の一場面あるいは物語を象徴する場面が巻き戻して再現される。終盤のくだりは「付け足し」(サービス)と感じられたが、好みから言えば、「物語」叙述を上位に据え、1時間前後のところで終了しても全然良かった。

疚しい理由2021
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/22 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
チーム“Q”を観劇。
2人の女性(先輩と後輩)と男性1人(保険の営業マン)計3人が織りなす心理サスペンス。
つい最近も3人芝居を観たばかり、それとは内容、雰囲気こそ全然異なるのですが、3人というのは関係性が分かりやすいうえに面白さの幅もできる絶妙な人数なのかも。
営業スマイル、でも目が笑っていないのでは中西。
先輩面をちらつかせつつ、中西に何気に加担する陽子。
営業の美味しい餌食となるのか、人の良さそうな若奥さん、綾乃。
(この第一印象はチームによって変わってくるのかも)
時間が進むにつれ、3人それぞれ頭書きの内容が次々と変わっていく面白味。
「化けの皮が剥がれる」という言葉がありますが、まさに薄皮1枚1枚、自ら剥がしたり、相手から剥がされたりしていく展開がとてもスリリングな50分でした。

ダウト 〜疑いについての寓話
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2021/11/29 (月) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
これほど高水準の舞台にはそうそうお目にかかれるものではない。
ところで最後のセリフ、あれだけでは観る人によってはその意味を誤解してしまうかも、という気がしてしまうが、それをもスッキリしない謎のままにしておく、という意図なのか・・・。

リーディング新派 in エンパク 『十三夜』
早稲田大学演劇博物館
大隈記念講堂小講堂(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/15 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2021年度秋季企画展「新派 SHIMPA――アヴァンギャルド演劇の水脈」関連公演として上演された樋口一葉の小説「十三夜」、奇しくも十三夜に近い十五日に拝聴。過去に何回か聴いたことがある朗読劇。
この作品は、昭和22(1947)年9月の三越劇場、久保田万太郎の脚色で新派によって劇化初演されたらしい。初代水谷八重子が自ら選んだ「八重子十種」にも数えられる名作という。今回はその大御所、水谷八重子の近くで学んだ波乃久里子さんが主人公のお関、歌舞伎の舞台にも立ったことがある新派の喜多村緑郎氏が幼なじみ・録之助を演じる。練達の俳優たちの情感あふれる朗読、そして生音調 目にすることが少ない道具での見事な情景描写に唸る。
幼なじみの恋路を照らす十三夜の月あかり――。声と音がつむぐ新派の世界に、言葉に耳をすます。
アフタートーク、波乃さんの開口一番は「緊張した!」だった。彼女ほどの大ベテランでも緊張するという、演じれば演じるほど奥が深い演劇の世界。いや~聴応えがあり、一夜限りの至福の時間。堪能。
(上演時間1時間30分 朗読+アフタートーク)

彼女を笑う人がいても
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2021/12/04 (土) ~ 2021/12/18 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
安倍晋三の祖父、岸信介が首相として、学生と対峙した70年安保の時代と、東日本大震災のその後をつなぎ「報道」という化け物の正体を暴いた骨太の作品でした。
瀬戸康史さんが、約2時間、舞台からはけることなく、そして、途切れることなく2役を入れ替わりながら、不条理の楔を打ち込んでくる。NHKの「グレーテルのかまど」とは別人。凄い!
演出 栗山民也さんの原点作品「ゴドーを待ちながら」を観た時のように、シンプルな舞台上に、目の前にはない脚本 瀬戸山美咲さんが描いたその時が、モノトーンで脳内に浮かび上がりました。あの時代の、あの芝居の空気感を満喫させていただきました。
実は、栗山さんなんで現代的な大掛かりな舞台を期待していたのですが笑
回を重ねる度に浸みて、深化していく芝居のような気がしています。来年も是非見てみたい。

人間讃歌
エンパシィ
スタジオ空洞(東京都)
2021/12/14 (火) ~ 2021/12/16 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
演劇好きな人間には大好物、涎を垂らすような御馳走。稽古場にパイプ椅子を二列並べたような会場。舞台セットはDIY感漂う裸の木材の建前、実に良く出来ている。すぐ目の前で繰り広げられる取っ組み合いや集団演舞。これだけ近くに囲まれていたら、役者もやりにくかっただろうに。プロのダンサーでもある引間文佳(ひきまあやか)さんの舞踏が爆発的で、この狭い空間をズタズタに切り裂いてみせた。余りの激しさに履いていたパンプスのソールが剝がれてしまう程。(後半は裸足で熱演)。
岸田國士(くにお)の短編戯曲三本を交互にシャッフルしザッピングするように送る。岸田國士は名前しか知らなかったがかなり面白い。何か既視感を感じ調べてみたら、成瀬巳喜男の『驟雨』が岸田戯曲を組み合わせたものだった。この感じ、確かに成瀬巳喜男だ。磯部莉菜子さんが借りてきた戯曲集をベンチで朗読していく内に作品世界にのめり込んでいく構成になっている。
A 命を弄ぶ男ふたり
夜、線路を見下ろす土手で自殺の為、汽車を待つ男。そこに現れる顔中に包帯を巻いた男。
B 恋愛恐怖病
夕暮れ時、海を見下ろす小高い砂丘の上で腰を下ろしている男女二人。ツンデレ会話のような互いの本音の探り合いが続く。突如『Let It Go(ありのままで)』が炸裂する異色の演出。
C 屋上庭園
デパートの屋上庭園で、久方振りに偶然再会した男二人。どちらも奥さんを連れている。一人は裕福そうで、一人は見窄らしそうにも見える。
全ての話に共通するのは上下関係である。マウントの取り合いとも言えるが、どちらも互いの投影するイメージに対しての優劣に異常に拘り抜く。死ぬことよりも自分を見透かされることに非常に怯えている。岸田國士は人間のそんな奇妙な習性が面白くて仕方がなかったのだろう。
もっと大きな会場で沢山の観客に味わわせるべき作品。このような試みを是非続けて頂きたい。演出の三上陽永氏はセンスがある。
勿論出演する全ての役者が素晴らしいのだが、個人的MVPは『屋上庭園』の裕福な友人役、久保貫太郎氏。この役を説得力のある、胸を震わす友人へと見事に昇華してみせた。『命を弄ぶ男ふたり』の包帯男役、中田春介氏は眼と口だけしか見えない容貌で、声という武器を駆使してこの奇妙な男の存在にリアリティーを乗せた。

鈍色(ニビイロ)のヘルメット -20歳の闘争-
KUROGOKU
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
本日、初日。新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、有観客での芝居やイベントがずっとできていなかったココ東京で、気合いをいれて観てまいりました。
実は仕事上お付き合いのある方々が学生運動最高潮のまっ最中に東大生だった方で、よく、あの頃はああだった、こうだった、というお話になるのだけれど、皆一様に東大安田講堂事件の当日の話はしたがらない。
今日、臨場感あふれる舞台を観て、皆が口を開きたがらない理由がわかった気がしました。
およそ100分の公演のなかで一本ど真ん中に通っている柱は主人公の初恋なのだけれど、学生運動だとか全共闘だとかいろんなことがあって、今や、それらはとても攻撃的な団体が起こした大事件と思われがちのことなのだけれど、あの頃も今も、20歳の青春や熱い思い、正義感、若い人たちにしかできないことというのは確かにあって、皆が自分の信念に忠実に行動していたということ。誰かや何かに、また、熱に浮かされていた、ということだけじゃ説明つかなくて、自分の頭と心と体でしっかりと考えて、自分の意思で行動したということは真実なんだと思った。
毎回舞台を見ると学びがあって、新しい自分になるプラスαがある。今回も学びがあった。
チャラっとした気楽に観られるストーリーではなくて、心にしっかり、ずっしりと来る内容でした。
初日に拝見出来て良かったです。ありがとうございました。

時代絵巻AsH 特別公演 其ノ四『草乱~そうらん~』
時代絵巻 AsH
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

夏への扉 2021
enji
現代座会館(東京都)
2021/12/10 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/10 (金) 18:30
過去に囚われて、なかなか現実を見つめようとせず、付き合っている男性ともやや溝が出来ている、親から継いだ喫茶店経営者の女性が、お香を売る怪しげな中年会社員からお香をつい買ってしまい、その匂いを嗅ぐと眠って、1960年代の同じ喫茶店で気が付き、そこに出入りする個性的な人たちとの交流、自分がかつて大好きだったおじさんの若い頃との交流などを通して、少しずつ打ち解け、最終的には自分の亡くなってしまった家族やおじさんとの記憶は、時々思い出そうとすると蘇ってくるものだから、現実には会えないとしても悲嘆にくれて、現実から目を背けなくても良いんだと悟り、現実に戻っていくまでの主人公の心の揺れ動きや、小さな成長を丁寧に描いていて、最後は自然と感動してしまっていた。
お香で主人公の女性が眠って過去に行くという、今まで誰もあんまり考えていそうでなかったタイムスリップのきっかけが、奇想天外で面白かった。
一人ひとりの人物が非常に個性的で、魅力的で感情移入できた。また、人物とそれを演じる役者が重なって見えて、演技があまりにもさり気なく、自然な雰囲気で、それでいて誇張すべきところは誇張していて、そこらへんのバランスが不自然に見えず、感心してしまった。
現実から香りを通して意識が過去に行った主人公の女性が、1960年代の喫茶店で出会う人たちとのカルチャーギャップにおける笑い、若い頃のおじさんや若い頃のお父さんなどの誤魔化し合戦によるあけすけで無理くりな言い訳による笑い、主人公の女性が、若い頃のおじさんや両親などに対する勘違い笑いなど、多岐に渡るコメディ要素がそこかしこに散りばめられており、退屈せず、大いに笑って、肩の力を抜いて楽しめた。
喫茶店のセットに4つの扉があり、物語と大きく関わり、1960年代喫茶店になった時に、4つの扉から入れ代わり立ち代わり登場人物がせわしなく出たり入ったりするのに使う、その使い方が見ていて飽きなかった。