舞台サルまん 公演情報 気晴らしBOYZ「舞台サルまん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この世で一番面白いギャグ漫画は『サルまん』な人にとって、ファン感謝デーみたいな舞台。初日は作者の竹熊健太郎氏と相原コージ氏も観劇。この場にいられることの幸福。原作の素晴らしさを逐一確認していくような作品で、ファンフィルムを観ているような気分。これ当時、毎週『スピリッツ』を楽しみに読んでいた連中は観た方がいい。『とんち番長』が観れるだけで充分。
    開演前SEは何故か、RCの『COVERS』が延々流される。主演・竹熊健太郎役のコウガシノブ氏がいい。ド迫力の顔芸、「俺を描け~!」のパンイチ・ポーズ、目が常に血走っていて、「ちんぴょろすぽーん」ポーズのキレもいい。相原弘治役の錦織純平氏もいい表情、もっと頭を抱えてゴロゴロ床を転げ回って欲しかったか。とんち番長役は栗原卓也氏、一休役はアモーレ橋本氏、彦一役はドロンズ石本氏、吉四六役は佐野寛大(かんだい)氏。紅一点のヒロイン役は杏さゆりさん。何役もこなす大忙しの青地洋氏。元力士の両國宏氏が辮髪(べんぱつ)姿で、担当編集者・佐藤治役を見事に再現。これを大真面目にやってくれるだけでリスペクト。編集長白井勝也役と意味なし番長役の石橋保氏。役者の無駄遣い感が心地良い。
    原作ファンならずっとニヤニヤしていられる。会場で一番受けていたのは吉四六の決め台詞「もう警察に任せた方がいい」で、どっと沸く。自分の作品に笑う竹熊健太郎氏を横目で眺めながら、ファン冥利に尽きるひととき。未だに『サルまん』以上のギャグ漫画は登場していない。リアルタイムで読めたのは幸運だった。

    ネタバレBOX

    当時、電車の中で堪え切れずに吹き出したオクラホマ美樹子のエピソードも入っている。編集者のちょっとした指摘に突然ブチ切れ「そこが一番描きたかったのに〜!!」と手首をカッターで切り裂き自殺を図るエピソード。あの伝説の毒電波ネタも再現、ファン感涙だ。
    青空のぼるを登場させなかったのは残念極まりない。時間的に切ったのだろうがかなり重要なキャラクター。
    杏里調に作られた『とんち番長』のあのアニメ主題歌を歌う杏さゆりさん、バックでメンバーがパラパラを踊るのも良い。アモーレ橋本氏は一休役として最高のキャスティング。
    敢えて文句を付けるなら、再現だけじゃなく客席の観客を爆笑させる演劇的アレンジが欲しかった。もう少し工夫すれば幾らでも面白くなりそう。意味なし番長の巨大化から、とんち番長を呑み込むシーンは何とか映像化して欲しかった。

    ラスト、全てを失ってホームレス生活の二人。やっと正気に返った竹熊に相原は言う。「漫画も表現の規制化が厳しくなって、もうダメな産業になってしまったんだ。」竹熊はそんな相原に檄を飛ばす。「馬鹿野郎!そんな時こそ”とんち“が物を言うんじゃないか!規制が厳しくなった状況でこそ、読者は真に面白い漫画に餓えている筈だ!」
    『サルまん』で希望を見せられるとは見事なラスト。

    『ムジナ』も無駄に金を掛けた2.5次元舞台化を切に望む。

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    2021/12/16 15:10

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