満足度★★★
晴れ舞台
終盤の纏まった感は良かった。
ネタバレBOX
都(湯口光穂)は、年上男性との結婚式の準備を、友人の牧田(亀山浩史)らを幹事に据え、着々と進める。式はお客さんの心に残るものにしたいがために、飛んだりドームでやったりウェディングドレスをビンゴプレゼントにしたり、ケーキ入刀の代わりにマグロの解体をするとして、新郎にカナダに漁に行かせなるなど、アイデアは沢山。しかし、東京ドームは予約できず、新郎が戻ってこないままパーティ当日になり…。
前向きな都とそれを私情含めてバックアップする面々、マジシャンやイタコ、神父も加わり終始トタバタする。結果、三次会までする大成功のパーティになり、後味の良い話であり、コメディもふんだんに入った作品なんだけど、どちらももう一歩に感じた。悪いわけじゃないのだけど。ツッコミが長ったらしいのがテンポ悪いなと思ったくらい。あと、終盤の都からの手紙シーンがもっとじんわりきて欲しかった。
牧田の都への想いの消化、、小島(白川哲司)の都の才能に惚れたってのも理解できる。ちょっと、物語上のインパクトに欠けるけど。
イタコの高宮(高宮尚貴)は一番笑えた。藤岡さん(小早島モル)はちょっと狙いすぎな気もするけど。嘉藤(斎藤晴久)の存在は、ちょうどいい加減だった。
演出の好みだろうか、主演の女優さんの魅力が素敵。ちょっと変わっててたまに弱気で、前向きな元気な女性って感じで。湯口はちょっといい女優と感じた。
満足度★★★
食べてくれますか
かなり集中を強いられた。
ネタバレBOX
思ったよりも小柄な女性で、思った以上にパワフルなダンスだった。
「命」がテーマという、単純なのか複雑なのかわからないところをもってきたのは素敵。ぬいぐるみを使用した演出も気に入った。半ケツはいいのか悪いのかわからんかった。
満足度★★★★
愛嬌
チケットプレゼントにて鑑賞。元気が湧いてくるような話に好感。
ネタバレBOX
久美(大川翔子)は、演劇への想いを捨てられずに上京、紗江(異儀田夏葉)の家に居候し、以前働いていたキャバクラめいた店で働き出す。紗江の家にいられなくなった久美は、従業員の萩原(塙育大)と同居しだすも、萩原はDVっけのある男だった…。
紗江は、両親想いの友達想い。久美を自宅に招くも、同棲しているエリート会社員・渡辺(佐藤達)は、潔癖症というか神経質で近眼な男で久美をよく思わない。そんな渡辺に合わせることに疲れつつ、結婚という夢と両親への気持ちから、自分を殺す毎日を送る紗江。そんな中、渡辺の海外赴任の話が決定する…。
優希(板倉美智子)は、TV局のAP。Dの林田(犬塚征男)に陰鬱でノリが悪いといびられる。Dの横山(とまべちゆうこ)に庇ってもらい頑張るも、横山がレズでその想いを優希が拒否すると、今度は横山が陰険なイジメをはじめ、優希は精神的にもまいってしまう…。
高校からの友人で宮崎出身の3人が、夢のために頑張り、人間や環境に押しつぶされそうになるも、勇気ある一歩を踏み出し始める話。三十くらいの女性を主人公に、ビターな感覚で悩みと抑圧された人間を描く。
中盤の、3人が圧迫されはじめるあたりから面白さがグッと増す。全員演技が上手いと思うけど、各ストーリーの敵対者がいい味を出すからだろうか。佐藤達とか気持ち悪い感じがうまいし、塙も気味の悪いイライラ感がうまい。とまべちも前半の好意的な感じから一転、ネチネチした攻撃が上手い。
主演の3人も、打ちひしがれ涙する演技がとても良かった。ついでにいえば、林田役の犬塚が、軽薄そうで筋のあるようなDを魅力たっぷりに演じていたと思う。笑えるし、横山とのやりとりとかグッとくる(この時の横山も好きだけど)。久美の働く店の店長役の根津も、萩原とのやりとりの旨さと久美への配慮とか、できた人間を力強く演じてて印象よい。
ラスト、「扇」の「耐えろ!!」ってのに、前向きな気持ちになれる舞台だった。
満足度★★★★
愛された天才
久しぶりのキャラメルボックス。変に気取ってなくて面白かった。照明効果も五線譜のようなセットも良かった。
男優5人のアフタートークも笑えた。左東の「花言葉」とか。砕けたネタも演劇のネタもあって残って良かったと思える。
ネタバレBOX
2歳時に受けるテストで職業を決められ、決められたルールを破ると「ウォッチャー」から罰を受けることになる世界、法は人の幸せにためにあり、絶対ということが骨子にある世界の話。
作曲家(メイカー)として2歳から森の館に軟禁され、既成の音楽や人間とのつながりを絶たれたクリスチャン(多田直人)30歳に、メイカーの音楽を聴き判断する「リスナー」の一人(小多田直樹)が、君の音楽には足りないものがあると言って、バッハ「無伴奏ソナタ」の音源を渡す。ルール違反と分かっていても、不安から音源を聴いてしまったクリスは、メイカーを首になりエリートな人生から落ちはじめる…。
『音合わせ』…OP
『第一楽章』…家政婦のオリビア(岡内美喜子)が、荒々しい気性とクリスへの思いやりをみせるいいバランス。ピアノのくだりは笑った。クリスの音楽がバッハの影響をうけたことを論理的に解説するウォッチャー(石橋徹郎)が、ラスト「元メイカー」とわかるが、なるほどしっかりつながってる。
『第二楽章』「ドライバー」になったクリスがバーに行くとそこにはピアノが。音楽を禁止されたクリスは、マスターのジョー(小多田)に促され弾くも、ウォッチャーにバレて指を切断される。ウェイトレスのリンダ(原田樹里)が見た目的にも話的にも面白い。多田の演奏が(映像を取り寄せただけあって)サマになってた。
『第三楽章』「工事作業員」となったクリス。班の中に米国の懐メロ音楽好きのギレルモ(左東広之)がいて、一緒に歌い、「シュガーのうた」まで作曲してしまうクリスはウォッチャーに喉を潰されてしまう。メイカーとは一生関係しないであろうブルーカラーの中から生まれた音楽が世間に広がっていくのは確かに奇跡だ。
『喝采』「ウォッチャー」が実は「メイカー」で禁を犯した者への罰ということが明かされ、クリスも「ウォッチャー」を長年務める。刑期満了後、自由になったが高齢で知り合いもいないクリスは、ある店で「シュガーのうた」を楽しげに歌う若者らと出会う。若者は、この作曲者は「よくわかってる」といい、自分の音楽へ万雷の喝采を受けるクリスは幸せを実感し、深々と頭を下げる。このラストシーンの演出がとっても上手い。
一人の天才の一生をSFに描いた作品。禁止された音楽を求めては傷つき苦悩するクリスとクリスを愛するその周囲の人間たちの人間賛歌だろうか。法でバシバシ縛られる世界(現代の誇張か)に生きる人々があたたかくて良い。
満足度★★★★
日本なエロス
とても面白い。できた作品。
ネタバレBOX
村長・松吉(荒井志郎)をはじめ、男しか生まれない島。太郎(藤川修二)の長男・一雄(林竜三)は、妻・美雪(高橋智子)との間にやっと子を授かるも、美雪の死去によりヤモメになり、村のためにキツネの椿(福寿奈央)と結婚する…。
太郎の次男・寅次(石松太一)が、島の禁断の祠で授かった子・菫(福寿奈央)が、落語のマクラみたいな導入で昔昔の未来の昔の話をはじめるスタイル(最後の〆も)が、「日本」な「物語」を印象づける。
キツネの娘と人間という異類婚姻譚の要素が、コメディな感じとシリアスでダークな雰囲気の両立に上手く作用してた。椿が一雄の母・光子や前妻の美雪に化けるってのは視覚的に面白い。村長の妻・紅子(大西玲子)が椿の変化能力に嫉妬心をぶつけるシーンも上手い。太郎の妹で娼婦というか男にだらしない系というか愛欲の権化的な桃子(東澤有香)が、子を抱えて島を出てまた戻ってくるというくだりも、怪談話というか女性の怨念なものが見えるようで好きな話。ドクロが緑色に光ってなんて、幻想的なような気もするし、椿が見るも無残な容貌で死ぬという展開も、昔話な残酷さが感じられた。そんなとこを「語り」だけで表現するところが気に入った。
立入禁止の祠のせいで、発達障害(知的障害?)の子として生まれてきたという寅次…ってとにこ、放射能汚染された未来の構図が連想できるけど、子が生まれた喜びは昔も今も未来も変わらんものなんだろうとおぼろげに思った。
ちなみに、本作の女性陣は、皆どこか艶かしい雰囲気がある。福寿奈央の、新妻演技とか林を床に誘う様とか。松吉の筆おろしを海岸の小舟の中でやっちゃったり、桃子の子・竹彦(田村元)にイイ男になりなと言ったりする桃子とか。エロイ。
桃子死亡時の照明と舞台奥に片目押さえて登場する演出は◎。
満足度★★★★
弱者たち
評判良さそうなので観劇。115分あっという間。面白かった。
舞台美術と照明の出来が良い。
接客の体勢が抜群に良い。マンパワー全開って感じ。
ちなみに、キャストが若手中心に組んだらしく、この点良い方に転んだのだろうと思う。個人的にはね。
ネタバレBOX
大戦後の能嶋病院という、性犯罪被害者の堕胎を行い心と体の治療療養をする病院が舞台。満州から引き上げてきた看護婦・桜(椎名りく)が訪れているところ、地元ヤクザの楢崎組のチンピラたちがやってきてメンドリさん(板垣桃子)を出せという。メンドリさんは息子を戦争で失ったショックで精神に異常をきたした女性で、港で米軍将校が婦女暴行を働こうとした際、将校を殴ったため、将校が米軍物資の横流しなどで取引きのある楢崎組にメンドリさんを連れてこいと依頼をしたのだ。メンドリさんを守ろうと、病院や女性らを悪く言うチンピラたちに牙を剥く女性たちは物干し竿を手に闘う…。
OPのメンドリさんの演技と演出で、いきなり心を掴まれる。息子の遺骨が届いたシーンの静寂とかゾッとするくらい。
確かに、メンドリさんや桜を中心とした女性の闘いが主軸と思うけど、むしろ、病院院長・図書助(稲葉能敬)にチンピラと罵られたチンピラたちの、どうにもならない弱者の叫びが気に入った。
組長の異母弟・兵悟(深津紀暁)をはじめ、兄貴分の籔(桑原勝行)、図書助の妹といい感じになる信介(井上昌徳)、飛行機(軍鶏307)の設計をした彦市(橋本克己)の4人は、立場の弱い人間が心を痛めながら、人さらいなんてやりたくないけどやらないといけない、ダメと分かっていてもやらなきゃならない愚かさをちゃんとに体現してたと思う。
さらに言えば、病院関係者もその患者の女性らもチンピラたちも、皆弱く、戦争に負けた国を体現した存在のようにみえた。(もちろんその中にはポジティブなパワーが詰まっているのだけど)
メンドリさんを奪い守る姿も、和解して「軍鶏307」を一緒に造り上げる姿も、命をかけたり法を犯したりして他人を思いやる姿も、どれも美しくて不格好で、そんなところが胸を打つ舞台だった。
満足度★★★
ノックするのは…
面白くて引き込まれるけど、ちょっと長い。4話くらいの90分でスマートにまとめてあるとなお良い。
セリフが聞き取りにくいと感じたのは会場の問題なのかな。声が大きかったり早口だと聞き取りにくい。
ネタバレBOX
黄色いハンマー持った女性が、ヒヤシンスの入った花瓶を頭に載せた男性とアパート風な部屋にいる。女はハンマーで花瓶を割り、男はヒヤシンスを女に渡す。女がソファーで横になると、ドアをノックする音が聞こえる…という7千万回再生された動画が、各エピソードに絡まるスタイル。
最初、動画の誰がドアを叩いたかを追う話かななんて思ったけど違った。それぞれにそれぞれの経過と終着があって、5つの味を楽しめるようになっている。
①「ウェディングプラン」
ルームメイトのウェディングプランナー・つぐみ(椎名亜音)が仕事の悩みを抱える脇でハイテンションのカフェ店員・愛子(稲野杏那)は、新郎と新婦の抱える問題をつぐみに辿らせる。動画から新婦の病気(ガン?)と新郎の気遣いを汲み取ったつぐみは、二人にあったプランを立てようとする。
②「惑星エリス」
大学OBの坂宮(小川大悟)は、就職浪人中の後輩・小柳(藤堂瞬)に就職の心得を伝えようとするも、小柳の態度に呆れてしまう。指摘された小柳は動画のクイズを出す。理系の二人による推理は、まだ確定していない「惑星エリス」の話に飛躍するも、冷静な坂宮は惑星の話と離れた答えを返す。
③「嘘つきのハンバーグステーキ」
キャバクラの客引き田所(妹尾伸一)は、客引きの邪魔になっているホームレス地蔵さん(ガラかつとし)の娘が火災で帰らぬ人になったことや、その罪の意識を地蔵さんが持っていることを突き止め、地蔵さんの心を救う。
④「指名の順番」
高校教師吉村(小沢和之)とサラリーマン恵組多良(大野泰広)は、学園ものの風俗店で指名の順番を争う。そこに、お目当ての嬢から動画クイズが出され、二人演技をして推理をする。
⑤「ラストゴング」
荒れた家庭に育った姉妹が、ボクシングの控え室で偶然再会する。一家の大事なカネを盗んで逃亡した姉・千里(山本香織)を恨む、妹でボクサーの伊草(宇田川美樹)。そんな伊草に動画を見せる千里。動画に自分らの現在をみた二人は、手をとってリングへ向かう。
話で好きなのは、①②⑤。笑えたのは④(特に大野は上手い)。
稲野杏那はこういうハイテンション系が上手い気がする。②の寒暖の流れが上手い。③はちょっと心を掴まれなかった。④の推理は絶対違うだろと。⑤意味ある偶然はあるのかないのか。カネを紛失した千里の話も含め、不遇な二人へ動画がもたらした「偶然」に、ちょっと暖かくなった。
満足度★★★
炊飯ジャー
面白いけど一本調子な印象。
ネタバレBOX
太平洋(前田昴一)とがん子(後藤慧)の、ピンチをチャンスに変える夫婦を中心に、110分位のドタバタガヤガヤ。
携帯を演じるという発想が面白い。演じた上山光代の表情やダンスも良い。
がん子の父・大竹秀雄も、いいキャラだった。演じた皮墓村が上手いのか。とても笑える。
巨乳な明太子(ヨウラマキ)とか、がん子の元彼(宮本初)、とらえどころないぷーこ(ともい江梨)あたりも、いい感じ。
アトラクションみたいな、2階からのロープアクションとか、視覚的に楽しめた。
全体的にだれるとこもあったので、もうちょい短めだと嬉しかった。話も悪くなく、おバカなエッセンスがいい感じに入ってた。むしろ思ってたよりちゃんと話があったというべきか。
満足度★★★★
「演技」
2回観るべきなのか。
ネタバレBOX
ローザが惨殺されてから3年。友人3人が墓参りをしているところに、やはり墓参りにやってきた社会民主党党首フリードリヒ(菅野貴夫)が鉢合わせ、言い争いになる。フリードリヒの提案で4人はローザとの思い出を再現する…。
再現と劇中の現在を交互に提示し、いまは亡き「ローザ」、それだけでなく、フリードリヒほかの4人の人間性や関係性をも浮かび上がらせる構成。歴史やイデオロギーの話はよくわからないけども、変革期を体験したローザ含めた5人の、大きな話のような人間くさい小さな話。
4名がかわるがわるローザを演じることで、ローザと自分を再確認する4名。特にルイーゼ(ヒザイミズキ)は、フリードリヒに近い人間であるのも最初だけ、スレたような性格でいい存在感を放ち出す。
ローザの墓参りの資格が~なんて話してた序盤に対して、こんなふうに、自分らの演技を鏡にして自分らを見つめる4人は何を思っただろうか。
傍からみれば、いい年した男女(一人は大統領)が墓の前で演劇しているという、シュールでコミカルな舞台なのに、時間と空間を離したりくっつけたりして、音響と照明を加えて一体的な緊張感で、客席含めた会場を満たした良い作品だった。
満足度★★★
普通の幸せ
まずまずな印象。宮崎京は表情も多彩で魅力的。舞台映えしてた。チラシの表情もかっこいい。
配役表は欲しいところ。
ネタバレBOX
宮崎京は28歳、鳴かず飛ばずのアイドル。歳と仕事の方向性で悩むも、ひと皮剥くためダンスを渡邊小百合に習う。元京のおっかけのマネージャーは、10年間温め続けた想いを実らせる。
元キャバ嬢の小百合はダンスを断念し、妻になったが、ダンスへの想いをくすぶり続ける。
塚本茉莉子は、気に入った男にしか興味を示さず、ダメ男に惹かれる一見サバサバした女性。プロデューサとの恋を諦めて、俳優と結婚する。
そんな悩みを抱えた女性3名(マネージャーも)が、おかまな友人の一言で前を向き始めるお話。おかまが鋭い指摘を行うというのがありきたりな気もしたけど、等身大の悩みを乗り越えようとする話は好み。特に、茉莉子のツンツンした性格と、恋に右往左往するところが親近感を抱かせる。
3名が何回も衣装を変えて、舞台面を彩る。特に、京の寝間着スタイルが気に入った。スタイルの良さが一番際立つというか。こんなとこ、今後も売りにしてほしい。
音響効果がしっくりこないと感じた。話はメリハリももっときかせてくれると嬉しい。(京なら終盤の告白キッス?茉莉子はPとの破局?の場面)
京とか茉莉子はキャラが立ってたと思う。他の人物らはもう一歩掘り下げても良かった。個人的に、茉莉子が恋するプロデューサのキャラが好きだが、さらっとしすぎな気もする。結婚相手の俳優も印象が薄い。オタクっぽい男も、終盤のカラミもなく、茉莉子との話も特になく、ちょっと寂しい。キャラのバランスの問題かしら。女性3名が中心なのはわかるけど。
3部を分けて描くためか、転換が多い。その転換にワンアイデアの工夫があると、良かったかな。
「自分を幸せにできるのは自分」ってセリフが気に入った。
満足度★★★
首なし乙女の笑顔
チケットプレゼントにて鑑賞。
本編とは関係ない笑いを入れつつ、涙も誘うスタイルで120分楽しめる。前説のサイショモンドダスト★がはやりハイテンション。
ネタバレBOX
ユダヤ人のエマ(小岩崎小恵)は、結婚を約束したカミル(野口オリジナル/堀晃大)と亡命しようとするも、ナチスに捕らえられ、強制収容所にて瀕死の重傷を負う。ナチスの科学者・オスカー(竹岡常吉)はエマを救い、エマは頭部だけで生き延びる。強制収容所にて包帯ぐるぐるで記憶喪失のカミルに再会し喜ぶエマ。苦しむカミルの記憶が戻り、カミルはオスカーに殺されたことが分かる。罪滅ぼしからエマに尽くしてきたオスカーに怒りをぶつけるエマ。ナチスへの侵攻が始まり、エマの家へ避難する一同。オスカーはエマを連れ、森へ入る。カミルと星を眺めた場所で独り涙するエマ。機械の電源が切れたエマは、オスカーに抱かれながら星となり、自殺したオスカーは、天国でカミルと寄り添うエマの姿をみる…。
序盤から中盤のコメディが、昔のお笑いTVを見ているようでなんだか嬉しい。で、急にハインツ(青山雅士)らの虐待シーンでガツンとくる。
エマとオスカーの親子みたいなあたたかな会話が一瞬で崩れ去り、二人の苦痛が客席を満たすよう。二人で森を歩くシーンの照明とSEが素晴らしく、怖いくらいの静けさが、二人の覚悟と悲劇の人生を際立たせる。
エマは独りでカミルに話しかけるも、たまらずオスカーを呼び、オスカーも応え、本音を伝える二人に、悲劇を乗り越える人間の姿が見える。そのあとの、自殺シーンでの音楽(トランペット系)が良い。狂ったようなオスカーの頭(心)の中を表すような感じのね。
金髪メイドのカーラ(杏実えいか)が美しい。顔小さいし。年老いたメイド(アイーダ正田)との別れのじんわりくる感じとボタン押しちゃうお約束シーンが好き。あと、エマを連れて森に行こうとするオスカーに一緒にメシを食べようというマルコ(加藤慎吾)も。
満足度★★★
ハル
チケットプレゼントにて鑑賞。若者向け。
ネタバレBOX
3年前の交通事故で恋人を亡くしたダンユー(鵜飼)は、失意のまま、「蒼の森」のホームレス集団に入る。地元の富豪・岩咲財閥の長女・サクラ(中村)は、土橋coの専務・土橋(菊妻)との婚約や令嬢であることへの反発で、同じく「蒼の森」にやってくる。ホームレス集団とのやりとりの中で自分の居場所を意識する二人とホームレスたち。その裏で、ダンユーの恋人の死亡に関係する土橋は、岩崎家を手中にしようと画策する…。
基本コメディで、若干青臭くもある。センセ(広田)らが土橋の部下(薬物の研究員)だったとか、土橋への裏切りとか、刑事の辻(丸山)が岩咲家の長男だったとか、スパイスが含まれてて飽きはしない。
「蒼の森」が人物等の居場所、という印象が弱いので、終盤の「蒼の森」を守るという盛り上がりが薄いかな。人物の背景をさらっと描いてるので、その点見えにくのか。テンポが良かったのは嬉しいけど、センセやドクター(富川)らの気持ちとか考えとか、唐突な印象。千春(サイトウ)とか土橋は、シンプルな造型だけど、わかりやすくて安心する。
タイトルの「チョイス」ってとこも、インパクトがもっと欲しい。
演技は、丸山雷電が一番良かった。土橋の電話着信ネタは良かった。ホームレスが炭みたいなのを顔や体に塗るのはあざとく見える。終盤のサクラが辻にお願いするセリフに「お兄ちゃん」が入ってると、なお良し。
満足度★★★
背中の昇り龍
まずまずな印象。
ネタバレBOX
ヤクザ組長が死んで、6人兄妹の三男・鉄男(清水伸)が跡を継ぐことに。ヤクとかイカサマ賭場などの手段を選ばない方法で一竜組のシマを荒らす麻生組には、謎のブレインが手を貸しているらしく、一竜組の若頭で女組長・銀の子である釧道(浜谷康幸)は、気にかける。そんな中、五男・〆之助(岩田和浩)が婚約者・忍(山野海)と帰ってきたが、その女は50位の中年で30位の娘・耐子(中村まゆみ)を連れていた…。
長男・達樹(花城紳一)は、先代からヤクザ的教育を受け、背中に刺青を強制的にいれられ、夜逃げし、銀行員になる。実は、麻生組のブレインとして動き、一竜組を潰そうと画策した張本人。やりたいこともできずに人生が終わったと思いつめた末の行動で舞台を揺さぶる。役者がウマいのか、加害者であり被害者である悲哀を見せる。もうちょいアピールしてもよかったけど。
次男・正男(かなやす慶之)も、達樹同様夜逃げし、芸能人になるといっては、フラフラした人生を送る。
三男・鉄男は、とてもヤクザ組長ってガラじゃなく、童貞で30歳。耐子に惚れ、結婚する。薫がやられた際に男気を見せる。人の良さがにじみ出る顔つきでコメディなところがうまかった。
四男・薫(塚原大助)は、鉄男についてヤクザ家業に手を貸す。先代からの仕打ちに泣き叫ぶ達樹の声が忘れられないらしい。原田組長?の件では、一人麻生組に殴り込む。
五男・〆之助は、母が麻生組の鉄砲玉に殺された場面をみてショックを受ける。そのせいか年増好きに。演技良かった。
長女・花子(那須野恵)は、ヤクザである親のことを誇りに想い、どこか筋の通っていない兄らを一喝する男勝りな女性。ヤクザ一家に生まれ、女扱いされることに反発する。悲しみの表情が魅力的だった。
麻生組に通じていたのが長男と判明してからラストまで、テンポいい。特に、忍が実は釧道の母である銀であり、先代が釧道の父であったと判明する二人の場面~仁義を交わす?場面は見ごたえある。銀が釧道を捨てた(距離を置いただけかも)後も、釧道のことを案じ、原田組に援助を願っていたとか。母の愛情、釧道の感情、忍の振る舞いとか、上手くミックスされてる。
登場人物が皆優しさでできてますってな感じで、ちょっと毒っけが足りないなとも思った。話自体はうまくまとまってた。背中の昇り龍は笑った。
満足度★★
期待してたけども…
なんだか眠くて。
ネタバレBOX
「うめる」
旦那とその妻、そして3人の愛人。旦那が誰かに殺され、旦那の隠れ家?に集められた4人の女は同居生活をはじめる…。
「ガリバー」
ラリーと予言能力を持った?オラクルの話。
2つともよく理解してない。「うめる」は旦那を埋めて、それを食べてる話?
「ガリバー」は上級すぎた。
とりあえず、ラリー役の古川直美の演技と、エルザ役時のロングヘヤーの中野架奈が良かった。
満足度★★★
maru
チケットプレゼントにて鑑賞。楽しめた。
子供の入場は制限しても良いと思うが。
ネタバレBOX
佐々木なふみ作「まくる」
佐野功と石井舞の別れる別れないの話。石井のいじらしさがかわいい。傍からみてれば。
ほさかよう作「まじる」
杉亜由子と末原拓馬が北村圭吾にさらわれ、薬品でドロドロに溶かされた末原が北村と「まじる」話。再現構成と話のグロSFエッセンスが面白い。末原のどこかかわいいしゃべりも○。
ハセガワアユム作「まげる」
マネキンみたいな出演者を金崎敬江が手足を折り曲げる。とある駅の男女の悲喜こもごも。北村と石井のやりとりが面白い。美人で普通の女の石井の困った感と、北村の一人芸がウケる。阿久澤菜々の小悪魔な雰囲気も良い。
上野友之作「ませる」
14歳の阿久澤とおじの北村の手話劇。阿久澤の母・石井もワンポイントになって話の奥行を感じられる良作品。
登米裕一作「まもる」
会社の上司・金崎と部下・佐野が、勤務時間中に出会い系サイトで知り合い、ホテルへ来るも、佐野は金崎から逃げようとする。設定も会話の中身も笑える。ストレスたまってんなって金崎がエロウマい。
吉田小夏作「まねる」
なんかわからんかった。
途中途中にダンスマフォーマンスが入るけども、それも良かった。衣装やメイク含めた容姿も良い演者らの演技も○。特に末原の眼力が気に入った。
満足度★★★
GIVE ME YOUR TIME
ゲネ招待。
なかなか見ごたえあった。シンプルで面白いテーマ。やや長い。
ネタバレBOX
孫受け遊具製造会社の話と30歳のはずの同級5人の話が謎めいた元役所職員のハイタニ(篠原友紀)の存在でクロスするような作品。
孫受け遊具製造会社に役所職員を名乗るハイタニが訪れ、とある遊具を依頼するが、全貌を見せたくないとして断片的に仕事を進めることになる会社側。ダンサーの夢を挫折しアメリカから帰国したイイボシ(加藤玲子)に、禁止された時間売買のエージェントの話を持ち込む役所職員のフジムラ(工藤優太)。時間を買った21歳のアユミ(山田由梨)のため、スエツグ(宮内勇輝)の元彼女で、不倫時に18歳分の時間を売ったマリエ(政木ゆか)を引き合わせ、売買させようと企むが…。
「お姉さんって歳じゃない」って言ってた、時間を買ったと思われるハイタニが依頼した遊具は日時計。「人は体内に時間を持ってる?わかる?」っていうハイタニが何をしたかったのか。売買に関わった後悔なのか。「時間」に縛られる人間への警鐘なのか。
同級のエピソード(スエツグとマリエ)は良い。目に見えない、大切なものである「時間」っていうテーマとリンクした気がする。ただ、ラストのリフレインは、見せ方が強引というか唐突な気がした。結局、イイボシの時間への儚い抵抗のため、二人へは連絡しなかったという話で、そこはまとまったけど。
ついでに言えば、130分くらいの公演時間で、いろいろ省いたような様子だけど、それでもキチキチな印象。会社のほうの話はもっと削ってよかったかも。仕事とか生きがい的な部分(デザイン担当サトミの部分)も「時間」とマッチしてるけど。
会社社長キトウ役の數間優一と職人ベップ役の清水洋介が良かった。
舞台美術はキチンと作られていて良かった。特に遊具。ハイタニが座ってたイスとか、かわいい。
てか、日時計が出回る社会ってどういうこと。
満足度★★★
厨
結構面白い。用松亮の演技が良かった。
ネタバレBOX
用松亮がオーナーのビルの屋上の一室に引きこもりというかコミュニケーション障害というか、中二病なシロウ(東谷英人)が住んでいる。シロウは物を燃やす力を持っている、前世がとある騎士という「設定」。用松もそれに合わせて前世が羊飼いローレライという「設定」で接する。そこにシュリという王女「設定」の女子高生(溝口明日美)と、シロウが呼んだデリヘル嬢まどか(長野海)が訪れ、一同、まどかの「先生」が開いている宗教詐欺的教室へ参加し、4人で詐欺行為をはじめることに…。
現実世界で生きられないシロウらが、中二的な「設定」の中で生きる姿が、イラっとするし、愛らしくもある。もうイヤだ、とまどかを拒否するシロウにガンガン言葉をぶつけるまどかが爽快。
悪魔だとか回復魔法だとか言ってたシュリが、生き生きとまどかの片腕的なポジションについているのも、詐欺行為で人を幸せにしたという皮肉か。ついてけないってまどかの財布も盗むし、急に現実の女になっちゃうし。
ラスト、風を起こすと走り回る用松と、屈託なく笑うシロウの二人も幸せに見える。
中二病な歪んだ男二人と現実の女二人が一室で繰り広げる、ニヤニヤしてしまう舞台だった。
満足度★★★★
闇
チケットプレゼントにて鑑賞。相性抜群。恐ろ面白い。
ネタバレBOX
三十川の都市伝説(故人に逢える)を軸にした、輪廻するオムニバス。
「ひき逃げ」
ダム開発会社の平社員・金森と高須係長は、立ち退き交渉の帰社時、ひき逃げしてしまう。どっちが運転していたかを被害者に聴こうとする刑事は、被害者を呼び出し、運転手でない係長を逮捕する…。
「ただ、そのひと時」
幼い頃母に捨てられてヤクザになった金子は、アニキの絡みで組から命を狙われることになり、三十川にて母に再会する…。
「おみやげ」
会社の部長・浩之宅へ、三十川に寄ってきた、社員の純一とその妻・和佳子が訪れる。一年前に流産した子のことと、浩之と和佳子の不倫のことで精神の狂った純一は、タイで仕入れた流産した子を「おみやげ」として部長にプレゼントする…。
「降霊」
死んだ犬に会いたいあさみにため、友人の明彦に犬のフリをするよう頼む、あさみの彼氏・直也。犬に会えたと喜ぶあさみは、ヨーグルトを股間に塗り、それを明彦に舐めさせる。キレた直也はあさみに暴力を振るうも、あさみを守るため、明彦は直也のノドを喰いちぎる…。
4編が時間を遡って展開され、さらっとそれぞれがつながっていると描写される。各話だけでもおつりがくるくらいなんだけど、3話の後、2話の小林(菊地奈緒)の編み物シーンとか、1話の刑事の母が夫に会えなくなる?とか(部長殺されたの?) 怖いよ。
1話と3話は、実は…ってところがカブってるけど、3話の猟奇な感覚の具合がいいし(純一の笑顔がこれまた怖い)、1話は一見ストレートなサスペンスだし(部下のいかにも感がウマいし)、満足できる。
4話のヨーグルト犬は率直に笑える。いい発想。てか、山口オンの乳もみも含めて、いい塩梅のエロと怖さが混じり合った舞台だった。
満足度★★★
貯水槽の愛
もう少し短いコメディが好み。
ネタバレBOX
記念講演を数十分後に控えた医師・デーヴィッド(大内厚雄)の前に、18年前に不倫した元看護師のジェーン(稲野杏那)が訪れ、息子のレズリー(太田鷹史)を連れてきたという。輝かしい未来のため、嘘を重ねるデーヴィッドは、同僚のボニー(唐沢龍之介)に身代わりになってもらうが…。
笑える箇所もあるけど、悪く言えばくどいと感じた。アメリカンなノリみたいなとこも口に合わないというか(いやイギリスなんだけど)。
ボニーが、レズリーを息子として認めるところとかいい感じ。レズリーの喜びが純粋によかったし。一番最後のオチ、ボニーもデーヴィッドの妻・ローズマリー(田所草子)と不倫してた、も○。あと、理事長を演じたワダタワーは、いろいろ面白かった。動きはしっかりドタバタしてて面白い。
満足度★★★
息子の国へ
ユーモアがこれでもかとつまってた。舞台美術が素敵。
ネタバレBOX
母(羽場睦子)の偏愛をうけたような息子・正(古館寛治)は、息子・陽を育てる女(兵藤公美)の隣りに、自分の王国を作る。そこに、ガイド(古屋隆太)が母と、近親愛の兄妹(奥田洋平・野津あおい)を連れてくる…。
終盤、母に囚われたように、布の中に取り込まれる正に、結婚を迫る妹。いやおうなく結婚を受けれる正に、女にとり絡められる男の悲哀をみた。自分の国を作っても満足できないもどかしさとかね。
ぬいぐるみへの執着をもつ正が、ぬいぐるみの祭壇みたいなとこでみせる愛情が好き。舞台美術的にもポップな印象。妃にしようとする妹とのやりとりとか、そこだけみれば暖かなんだけど、自然と笑えてくる不思議がある。
妹役の野津が、正からのクレーム電話に応対する際にみせる軟体スキルがいい表現。