unicornの観てきた!クチコミ一覧

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素晴らしき哉、人生!

素晴らしき哉、人生!

オーストラ・マコンドー

吉祥寺シアター(東京都)

2013/03/14 (木) ~ 2013/03/20 (水)公演終了

満足度★★★★

Wonderful
映画は未見。面白い。

ネタバレBOX

羽のない天使に、42歳で自殺するジョージを救えという試練が与えられる。池に落ちた弟を助けたジョージは左耳が聞こえなくなる。金持ちが高額家賃を貪るジョージの住む街で、ジョージの父は低金利ローンの仕事をしている。世界を回って建築の勉強をして大きな仕事をしたいジョージだったが、父の死や弟の結婚などあり、家業を継ぐ。メアリーと結婚し二子を儲け順調な人生であったが、親類のミスで8,000$を用立てなくてはならい状況に陥る。人の幸せのために生きてきたジョージはこの困難に心折れ自殺を決意するが、天使の機転で事なきを得る。それでも自分は生まれなければよかったと言い切るジョージに、天使はジョージの存在しない世界を見せる。それは、金持ちが牛耳り、心の荒んだ人間ばかりの街であった…。

元の世界に戻ったジョージに、町の人や親類が恩を返すようにお金を持ってきて、人の幸せのために生きたジョージの人生が肯定される。羽を得た天使からのメッセージもあって、素直にあたたかな心持ちになれる。話自体(脚色がどの程度か知らないけど)とても面白い。
自分のしたいことを封印し人のために動いてきたジョージというキャラが、カネに押し殺されそうになり、家族に当たり酒を煽り自暴自棄になるシーンとか、金持ちに勧誘されちょっと心動くシーンとか、一般人な性質を持っていることで、話にグっと引き込まれる。そして天使が奇跡を起こす…。

ここまで明らかに(世界の結果が)違うと目も覚めるだろうけど、自分だったらどうかなと。大差なかったら立ち直れないだろうな。ジョージはやはり凄いなと思った。そしてそのジョージの心を育てた父(と母)が凄いなと思った。無敵の家族だなと思った。

大人数な狂乱シーンが上手かった。照明もいい。

金持ちのあの嫌な感じが上手かった。じいさんを演じた島岡亮丞も上手かった。ジョージを演じた仁科貴の表情が良かった。ジョージの妻メアリーを演じた佐藤寛子はやはり美人だった。昔より美人だった。ジョージとメアリーの二人シーンが静かで好き。
一遍~天演出編~

一遍~天演出編~

風雲かぼちゃの馬車

王子小劇場(東京都)

2013/03/14 (木) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★

踊る
スピーディでストレート。

ネタバレBOX

武家の生まれた一遍(菅本生)は、野心家の異母兄・道真(高橋範行)から守られるため、父・通広(須佐光昭)の計らいで仏門の下る。太宰府で修行を積み、踊念仏にて人を救うが、延暦寺の僧・兵部(堀浩隆)の策略で罪に問われてしまうが、目黒重行(尾崎健太郎)から無罪判決を受ける。その後の蒙古襲来で高麗人・ハンヨン(宮内咲希子)を救い、入滅する…。

100分。非常にスピーディな舞台。どんどん展開していくストーリー。一遍を始めとした人物の心情の変化が、どこでどう変わったのかすっ飛んでる気もする。悪く言えば経過を展開しただけというか。兵部の自害とか、なんとなく分からんでもないけど、もうちょい描いてもよくないと思った。

ただ、ゆっくりやったらやったでダレそうだし、実際飽きなかったし。わかりやすい作品だった。
踊念仏のシーンはなかなか。演出は、もうちょい凝っても良かった。スピーディでストレートな話だけにここっていうシーンがもっと欲しかった。

色々な装飾とかパンフとか凝ってるなと思った。
花束を渡すのは誰だ?

花束を渡すのは誰だ?

コマイぬ

Gallery&Café FIND(東京都)

2013/03/12 (火) ~ 2013/03/16 (土)公演終了

満足度★★★

チェスな生き方
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。

ネタバレBOX

個別のシェルターで過ごすジョージ(芝原弘)がハンドメイド・メイ(大塚友里衣)を創り育てる。成長したメイに、この世が壊滅状態にあることを告げると、メイは種を残せない自分らも死ぬべきだと主張し、ジョージの首を絞める。ここでジョージは自分もハンドメイドだと告白する…。

ジョージは政府?の目的のため隔離施設での生活を余儀なくされていて、自分のコピーであるメイを創ることで種を残すことを実践する。その目論見通り、ジョージより秀でたメイは、施設から脱出し、ジョージなきその部屋へ花束を置きに帰ってくる。
途中途中に入るジョージの語りが、独白でなく脱出後のメイへ宛てたものとわかる終盤。「種を残す」ってことをそうそう考えたりしないだけに、人間でないジョージ(とメイ)のどうしようもない苦しさとメイを残せた喜びがくっきり分かる。
死ぬという答えを出したメイに対して、感情的に「生」を叫んだジョージを思い出してグッとくる構成が上手い。

中盤がちょっと魅力に欠けたかなと思う。つまんなくないけど。
仮の部屋

仮の部屋

ユニークポイント

atelier SENTIO(東京都)

2013/03/09 (土) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★

池袋本町
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。

ネタバレBOX

明日取り壊しアパートの一室。ジャージの男(古澤光徳)が家主の男(古市裕貴)に代わってデリヘルを呼ぶ。そのうち、以前ここに住んでいたという元ボクサーで金貸の男(ナギケイスケ)とその女(久保明美)がやってくる。さらに、娘(北見直子)がここで生まれたという父(小林英樹)と娘がやってくる…。

家主の男には見えない「穴」から覗かれている部屋。そしてこの部屋は自分のものでないという家主は、壁を抜けて舞台を外から見る。

部屋ってのがなんなのか、自分のモノでもあり他人のものでもあり、そして完全に閉じたものにもなりえないという、不完全で移ろう存在、一過性のもの。
リアルから入ってフィクションへの垣根をスパッと飛び越えたところに魅力がある。
「捨てる。」 終演!またお会いしましょう!

「捨てる。」 終演!またお会いしましょう!

エビス駅前バープロデュース

エビス駅前バー(東京都)

2013/03/08 (金) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★★

マッカラン
面白い。

ネタバレBOX

広樹(伊丹孝利)の店に待ち合わせしているという女・尚美(片桐あづさ)がやってくる…。

結婚式の帰りに立ち寄った、史子(田中千佳子)と学生時代からの友人・未散(外山弥生)と史子のいとこ・達郎(竹内尚文)。未散に勝手な史子像を描かれ嫌になる史子とか、史子と関係を持ってた達郎の話…。
ちょっと掴めなかった。なんか傍観してしまったというか。

広島出身で上京後漫画家になった妹・秋恵(佐々木富貴子)と、広島で親の会社に就職した元高校球児の兄・元春(山崎雅志)の話…。
兄と比較され地元が嫌になり、自分が好きな漫画で生活している秋恵と、華々しい野球人生から転落し、母が宗教にハマり、奥さん(マチコ)と別れた兄。どちらも、実家から遠くに行きたいと願いバーで想いをぶつける。人生の浮き沈みとか切り捨てにくい家族のこととかの重いところと、ニヤっとさせられるリアクションとセリフの応酬に満足。コンプレックスを抱えつつも懸命に生きる秋恵を佐々木が熱演してた。なんかかわいい。尚美に漫画読まれるとことか。また、愛するマチコと東京でリスタートしたい元春を山崎が好演してた。マチコに会うのが怖いと弱気な元春と一緒に出て行く秋恵という、上向きな〆もいい。気に入った。

バーの経営者・溝田(岡見文克)の娘だという尚美。荒れた生活をしてた溝田に捨てられ、実母(スミレ)にも捨てられ、おばあちゃんと生活してきたという尚美は、その不幸な境遇から史子らや秋恵らの話をくだらないと一蹴、溝田に恨みを地味にぶつける。今更父親と言えない溝田は、それでも親子だという。もう会わないと出て行く尚美だったが、溝田の連絡先のメモを無くしたことに気づきバーに戻ってくる…。
親に捨てられた娘が父に会う、そんなニガい作品。実際だったらここまで冷静な話になるのか知らないが、二人とも大人だと思う。
てか、ちょっとキレイすぎる感もある。他の2編もそうだけど、優しい作品で人間を否定していない。そこが魅力なんだなと思う。好みではある。
今、出来る、精一杯。

今、出来る、精一杯。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/12 (火)公演終了

満足度★★★

精一杯
演技が見づらいのが残念。

ネタバレBOX

はな(早織)…安藤の彼女(三ヶ月)。友人の死で弱ってるのに、安藤が支えてくれないから出てったけど戻ってきた。そして西岡の死を隠蔽する。
安藤(加藤岳史)…優しさを信じられない、ダメ男。西岡を殺す。ダメっぷりが上手い。
坂本(墨井鯨子)…前職水商売で、そこでいじめられてた女の子が自殺した負い目を感じる。そのため女子の派閥には無関係でいる。
利根川(梨木智香)…スーパーバイトの嫌われ者。小笠原のテクでないとイケないとして小笠原を呪縛する。肉食。
遠山(大竹沙絵子)…矢神と付き合う。金子に誤解を生んだせいでボコられる?
西岡(前園あかり)…バイトリーダー。八方美人と揶揄される。落ち込んだ安藤に優しく接するも、そのせいで刺殺される。安藤に接する際の雰囲気が上手い。
久須見(下城麻菜)…20歳。バイトらの関係とかをキモイものと断罪する一見常識人だけど…。
篠崎(あやか)…20歳。利根川にいじめられる。小笠原と付き合っているが、庇ってくれないことが不満。利根川にク○ニする。
小笠原(遠藤隆太)…スーパーの店長。利根川への負い目を感じている。
矢神(浅見紘至)…遠山と付き合う。利根川と浮気するも、そのおかげで遠山への愛を確認する。
金子(野田裕貴)…学校のリレー時の事故で長谷川に怪我させた罪悪感に悩み、吃音になる。遠山への愛も受け止めてもらえず、キレる。
長谷川(根本宗子)…車椅子の女。人生に嫌になり自殺も考えるが、金子にそばにいてとお願いする。

若者の真剣な愛憎を描く。傍からみると滑稽に見えても、人間関係の芯が通っていると感じた。その人間の「めんどくささ」を背負えるか否か、そして、自分の立ち位置を認識すること。終盤ちょっとダレだけど、テーマとか描き方はいい作品だった。
CASE

CASE

劇団伍季風 ~monsoon~

小劇場 楽園(東京都)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★

扉の向こう
チケットプレゼントにて鑑賞。

ネタバレBOX

扉が2つある部屋に閉じ込められた7名。置いてあるケースの中の鍵は、鍵穴に入るも扉は開かない。自分らが、数年前にとあるペンションに同時期に泊まった客であること、そのペンションオーナーの奥さんが事故死したこと、ここに来る直前で記憶が途絶えていること、尿意や食欲がなくなっていることから、オーナーの奥さんが客の誰かに殺されたと思い、オーナーが客らを殺したと小説家(加藤大騎)が推論を立てる…。
結果、令嬢(Aica)が犯人で、お家の呪縛へのストレスとオーナー夫婦への嫉妬(と自分への絶望)から奥さんを突き落としたと自白。令嬢を残して6名は鍵で開けた扉から出て行く。そして令嬢の前に男(栗原智紀)が現れ、二人はもう一つの扉から出て行く。

90分の中でコンパクトにまとまった作品で、演技のうまい下手は置いといて、観ていてストレスはない。
こういうサスペンスな作品だと、観劇後もう一度最初から見てみたいと思わせるような作りだとなお良かった。令嬢は最初からあまりしゃべらないので、終盤突っ込まれて自白してってちょっと展開が淡白すぎる気がする。

バイ(大室洋平)とかアホそうな男(SHOUTA)と細かそうな女(小島亜梨沙)のカップルとかの「愛」と令嬢の「愛」って部分にもう少し光を当てると単なるサスペンスに終わらずに面白さがグっと増すかなと。令嬢のフィアンセ(菊池真之)は、令嬢の罪を分かっててずっと黙ってたワケで、その「愛」もやっぱり愛なワケで、ラスト令嬢とフィアンセのやり取りがあっても良かったと思う。

全員死んだって設定は面白かったし、最期の6名は天国かどこかへ行って、2名は地獄へ行くってことなのか、ハッキリしないのも良かった。その最期の男はオーナーなのだろうけど、てっきりもっとおじいさんを想像してたので驚いた。
focus#3 円

focus#3 円

箱庭円舞曲

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/11 (月)公演終了

満足度★★★★


「珍しい凡人」しか観てないけど面白い。選曲がいい。出演陣が豪華。

ネタバレBOX

intro「12人の凡庸な日本人」
ダンスしてたけのこニョッキなゲームして、その場の空気で有罪にする。

01「みんな私のことが好きだった」
リストラに走る企業の人事部の会話劇…キャラのたった良作品。ジェネラルの「ぼくらはみんな~生きている~」が、いいスパイス。

02「Arabian Apring Nights」
国会議事堂前で別れ話をする二人…なんやかやと別れたくない男と冷めた女の態度に引き込まれる。確かに壊すだけじゃなくて「創る」ことに魅力がある。

03「マドンナー先生」
予備校での会話劇…原田優理子の自称マドンナ先生キャラが面白い。女性陣がみな素敵だった。

04「That's Entertainment!」
群馬から武道館を目指そうとする会話劇…個性的な人間の正直な会話に癒された。玉置玲央のしゃべりがどことなくかわいい。一番面白かった。


Interlude「ほんとうの話」
遠い親族との恋話…05、10の布石。

05「珍しい恋人」
ゲイの芸術家の片思い…ローリングクレイドル。

06「今日も誰かのせいにする」
ビンタをかます原作者に、思わずビンタを返す映画監督…07への布石。

07「ほね☆すて(実写版)」
漫画原作映画のリハーサル…03の浪人生が無事役者になれたのは良かったのか悪かったのか。抱きつき時の防御がうまい。原作者(片桐はづき)のファッションが好き。

08「ほね☆すて(漫画版)」
07の原作…結ばれたのち、夫の死まで寄り添い、後悔する妻。なんか人生だなと。これが普通なのかなと。乾いた感じがいい。

09「世界の男と女の魔法」
01の室長が新入社員と浮気したことを02の女が責める…ストレートなシーンに間所刈のキャラが際立つ。アケミ(北川未来)の冷めたキャラが、似合ってる。

10「○○○」
出産で妻を亡くした男の悲喜劇…シャープな感じ。らぶほ。

Extra「人の終わり」
火葬場…人が死んでもドラマは残るのか。
寝惚けた日記帳

寝惚けた日記帳

劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢

王子小劇場(東京都)

2013/03/09 (土) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

石油は甘い
面白い。

ネタバレBOX

夢を管理する実験に参加する女の子・初代(原尾真理子)と千代(井桁諒子)。初代の人格が入った端末を持ち出そうとした研究員の木崎(加藤歩美)だったが、そのせいで初代のデータがデリートされてしまう。千代の友人・高子(加藤風香)の人格もどきをベースに初代の記憶でつくりあげられた初代もどきに、初代を返してと迫る千代。初代もどきは自分の中の初代を端末に移し千代に渡す…。

暗いSF。設定が見えにくい序盤はややだるかったが、中盤からは面白さが増す。テンポが良くて120分も長くない。
初代と実母・木崎の関係や木崎の元夫?で研究の責任者な諸戸(針野裕貴)の関係、初代と千代の関係とか、後半の人間模様は見ごたえある。もうちょい心情の裏打ちがほしいと感じることもあるけど、説明的でない分くどくなくて良かったのかも。家族とか友情とか、そんなものがしっかり詰まってたのが良かった。

設定がもう少しシンプルであるとさらに世界に引き込まれたろうなと思う。
また、ラストの高子が「この劇は終わりです」というメタな〆は、なぜだろうと思った。役者らが舞台上に横たわる、夢を見ているような、夢の世界のような空気が良かっただけになぜかなと。

セットはしっかりしてた。衣装も突飛でもなく、役にあってた。全体的に落ち着いたトーンで骨太なところが気に入った。仰々しくないとこがね。
HAPPY GHOST

HAPPY GHOST

劇団野心

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/03/07 (木) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★

100円ビール
チケットプレゼントにて鑑賞。

ネタバレBOX

やる気のない社員が幽霊に出会い、幽霊の成仏のため奔走する…。

幽霊・山田の生前(解雇された同僚を想う)を見せることで、終盤話が面白くなった。ただ、全体としては面白くない。
山田のように背景が見えないと人物への興味が湧きにくい。山田の悲喜劇と、無気力から行動的になる社員・松本の二人にスポットをもっと当てたほうが後半がもっと盛り上がったかなと思う。
松本が変化するサマはなかなか自然で良かった。

話のテンポもあまりよくない。110分は長いと感じた。
演技については特段悪いとも思わないけども、衣装もほぼ変わらず、小道具もなくセットもない舞台上で惹きつけ続けるものがあると良かった。
ビシッとスーツを着ているキャラの靴下がダルっとなっていたり、キャリアウーマンの襟が折れてたりと、もうちょい気を配ってほしかった。
クールビューティな彼女がそのように見えなかったのが残念。

開演押してから前説がグダっとされると萎えるので、そこは事務的にやってもいいのではと思う。
真剣さは伝わった。
シンデレラ

シンデレラ

Kバレエカンパニー

Bunkamuraオーチャードホール(東京都)

2013/03/06 (水) ~ 2013/03/11 (月)公演終了

満足度★★★

美しかった
初Kバレエ。

ネタバレBOX

衣装もセットも綺麗。星空やお城の表現もいい。ラスト、シンデレラ(日向智子)と王子(宮尾俊太郎)が、馬車から降りて、背を向けてお城へ向かう、その絵がサマになってた。

演出的には、シンデレラが12時に召使ファッションに戻るシーンが良かった。照明と人の動きでちょっとしたパニックのような感じ。走り去るシンデレラの慌てた感がいい。
ちなみに、継母が極刑になりそうな際に飛び込んでくるシンデレラのシーンも、印象的な演出がほしかった。まあ、あざとくないとも言えるけど。
技巧的には、そこまで目をひくものでもなかった印象。ドラマな作品だからなのかもしれないけども。

もうちょいコミカルなものが欲しかったとも思う。継母(ルーク・ヘイドン)や義姉(岩渕もも、湊まり恵)もしっかりやってたけど、もっと派手でもいいというか。

シンデレラはお姫様ファッションより召使ファッションのほうがかわいくて魅力的。
『むかいだ』

『むかいだ』

皿小鉢

RAFT(東京都)

2013/03/05 (火) ~ 2013/03/07 (木)公演終了

満足度★★★

嘔吐
「ああ、ついに自分も吐く時が来たか!!」っていいセリフだと思う。

ネタバレBOX

関西弁の女が歯医者へ行って女医から矯正(100万円)を勧められる。浮気してた父と部屋で会うが、父は携帯を残して失踪する。その携帯に浮気相手と思われる女(歯医者の女医)から電話が入り、わけわからんことを言われる…。

50分位の一人芝居。女と女医と父を演ずる。なぜか父は一輪車に乗ってた。ナレーションなシーンだからいいんだけど。

女医の携帯シーンと、その後の女の携帯シーンは面白かった。あと、女が女医に噛み付くのとか、いい展開と思った。そのあとのスカイプオチはよくわからんかった。オチというか、プロローグだったのか(噛み付きがオチか)。

話も演技も、良くも悪くも落ち着いていたなという印象。いい方に「崩れた」ものが見たくなった。
モーリス・ベジャール・バレエ団 Aプロ

モーリス・ベジャール・バレエ団 Aプロ

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★

ライト
「シンコペ」良かった。

ネタバレBOX

「ディオニソス組曲」
男性のダンスシーンは確かに力強くて目を引く。熱くなるパワフルなダンスだった。掛け声もいい。中盤の静かなところで眠くなった。なにげに最初のギリシャ人(マルコ・メレンダ)のソロがいい。

「シンコペ」
電灯の傘を被ったエリザベット・ロスと、引きこもりチックなガブリエル・アレナス・ルイーズの妙なステージから始まって、次々に奇妙なシーンが展開する。40分程度の作品だったけども、ワクワクし続けて観ていられた。
カテリーナ・シャルキナのかわいいダンスが魅力的。
舞台通して、コミカルでユーモラスでいてかっこいいフリと衣装に目を奪われた。照明もキレイ。音楽もいい。
エリザベット・ロスが(頭の)照明を点けたり消したりする際の、紐を引くマイムが好き。とても気に入った。

「ボレロ」
メロディ(エリザベット・ロス)よりもリズムに目が行く。MBLはパワフルなオーラがあった。赤い円卓と整列した赤い椅子が美しい。
ギブ・ミー・ライン(脚本:米内山陽子 × 演出:ハセガワアユム × プロデュース:森久憲生)

ギブ・ミー・ライン(脚本:米内山陽子 × 演出:ハセガワアユム × プロデュース:森久憲生)

TANGRAM

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

恨みの手紙
面白い。

ネタバレBOX

松平(森久憲生)…編集長。空気読めない。
柳沢(玉崎詩麻)…営業。数字に拘る。田沼を足蹴にする。水野と付き合う。
水野(斉藤マッチュ)…編集と営業を兼任。朝陽を担当。彼の漫画で人生が変わった。
井伊(森口美香)…腐女子的な営業。眼鏡がでかい。むぎを担当。
保科(加藤なぎさ)…業界素人で漫画を碌に読んだ事もない新人。基本無礼。
田沼(斎藤隆宏)…太陽印刷の営業。柳沢に蹴られて喜ぶM。
朝陽ロット(平田耕太郎)…漫画家。ブレーク後落ち目に。プライドは高い。
稲葉むぎ…新人漫画家。引き伸ばしが嫌になり、バックレをかます。
此田卯兎(菊池美里)…同人漫画家。模写が抜群にうまい。

新稿社のコミック部署。出版雑誌のリニューアル期。むぎが逃亡し、印刷に回せない自体に陥いる一同だったが、朝陽と卯兎の協力でむぎの漫画の最終回を創り上げることに成功する…そんな漫画家と編集や営業の想いがぶつかる作品。

むぎ事件の前の朝陽事件もそうだけど、素人新人の保科が舞台をどんどん揺すってくれる。朝陽は現状を認識し、借金問題も整理し、新人の頃の心を取り戻す。雑誌にむぎの作品を載せるかどうかも、ここのままじゃ終わりだと皆知ってて何もしないって心を動かす。頭で分かってても動けない人間を前に、ガンガン突っ込む保科が眩しい。なんか胸がキューとなった。

むぎから手紙が届いた(&編集長に連絡できない)時の、井伊の現実逃避っぷりが面白い。ピンチに動けなくなる考えられなくなる小市民さが気に入った。あと、井伊の、保科にキモイと言われた笑顔がいい。森口は表情が上手かった。
朝陽ロットも、ベタなナルキャラっぽいとことか卯兎のイラストをみた際のリアクションとか、しっかり笑わせてくれた。

「仕事」をこなしてるときにたまにみるといいなって作品だった。いろいろあっても前向きじゃないとなと。
秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

秘密
面白い。

ネタバレBOX

晋太郎(吉見一豊)…CLの医師。小さい頃のマラソン時の事件で姉を亡くし、その罪悪感から他人格をつくる。
津弥子(藤本喜久子)…晋太郎の妻。子を堕ろしたことを晋太郎に黙ってた。頑張り屋で苦労人。
ハリオ(清水宏)…晋太郎の他人格。粗野で乱暴。足が悪い。銀子と付き合う。
赤城(成清正紀)…晋太郎の他人格。冷静で凛々しい医師。
伏見(瓜生和成)…下宿人に扮したカウンセラー。
孝枝(原扶貴子)…CLの看護師。
庸一(佐賀野雅和)…晋太郎の弟。ブラブラしてるけど気も使ってる。学生時代、銀子と付き合ってた。
徳井(若狭勝也)…庸一の友人。地元ペーパーの記者。晋太郎の秘密をネタに小説を書こうとしている。
実美涼(高山奈央子)…有名ブロガー。妊娠の件で悩むも赤城の発言で彼に打ち明けることを決意する。
佐栄子(野澤爽子)…おとなりさん。
銀子(桑原裕子)…頭の弱いキテレツな女。
いつか(ヨウラマキ)…晋太郎の他人格。死んだ姉の虚像。

最初のシーンで、晋太郎、赤城、ハリオの三人の会話を持ってきてから舞台が始まる。今の状況や過去をちょっとずつ見せながら、晋太郎の多人格性を匂わせていくのがうまい。そして、多人格を明らかにしてからが更に面白い。110分、惹きつけられっぱなしだった。

多人格であることをずっと黙ってた晋太郎。同じくそのことを晋太郎に黙ってた津弥子や庸一。
マラソン大会当日、秘密を告げ、離婚しようという晋太郎に対して、聞こえないフリをしますと突っぱねる津弥子。ハリオや赤城の存在も利いてて、みんなの心に安心と暖かさが湧いてくるように見えた。

パンフのあいさつにもあるけど、秘密と知らんぷりのバランスがいい。根底にあるのは思いやりか。単純なことをシンプルに舞台にのっけてくれたいい作品。

チラシデザインもいい。CLへのシュプレヒコールを利用した、開演前の案内も良かった。下手な前説よりもしっかり頭使ってる。
あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ

王子小劇場(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★

デ・ロッシ
まずまず。

ネタバレBOX

明(笹木皓太)…ちいの彼氏。ちいにふれられ、ちいの義理の父を殺す
ちい(大森茉利子)…明の気にいるように振舞う「都合のいい女」。結局、世良と付き合う。
まなみ(椎谷万里江)…ちいの妹。性的暴行?のせいか、ゲロしてからでないとSEXできない。チャッキーズのファン。
みやこ(酒井桃子)…ちいの妹。夫のいいなり。明と寝る。
ひろし(堀口武弘)…みやこのDV夫。呼び出しくらってボコられた。
世良(本折最強さとし)…芸人めざす。まなみとSEXする。
大槻(一橋純平)…芸人めざして成功したっぽい。
社長(熊野利哉)…マゾマゾ㈱の社長。ドSでちいたちを監禁した。
つんつん(小針点々)…マゾマゾの社員でM。死んだと思ったら生きてた。

弱った人間らの歪んだ関係を描く。が、ひっかかりが弱い気がする。内容自体は、暴行や監禁、性交などもあり、突飛な人間らの狂騒って感じだけども、どうも平坦に見える。
中盤のトトロのBGMがかかるシーンは印象的だった。つまらないわけではない。

社長役の熊野は一番良かった。つんつんが暴行する際の、イタリアサッカー選手名を吐くのが地味に面白い。
発情ジュリアス・シーザー

発情ジュリアス・シーザー

柿喰う客

青山円形劇場(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

3/15
男気がもうちょい欲しい。

ネタバレBOX

ローマの英雄ジュリアス・シーザー(川上ジュリア)を暗殺するブルータス(深谷由梨香)たち。シーザーの側近・アントニー(七味まゆ味)の策で、ブルータスらは追い詰められ、シーザーを殺した刃で自害する…。

原作を知らないせいか、90分という時間のせいか、男気なるものをあまり感じられなかった。かなり削ってスッキリした舞台になったのだろうけども。

シーザーがどんな男なのかってのがよくわからなかった。舞台的にはシーザー暗殺後に焦点があたってたと思うので(暗殺後の方が面白かった)、それでも良いのかもしれないけども。シーザー暗殺くらいから舞台が始まっても良かったなんて思った。別に川上の演技が酷かったわけでもないけど。

占い師や召使を演じた岡田あがさがイチイチ笑わせてくれた。
七味は信用ならないアントニーの嫌な感じを上手く演じたいい存在だった。
我妻三輪子の頭の弱そうな小姓演技は良かった。ラストのブルータス自害シーンでもきっちりやってた。
深谷は男演技と小姓(我妻三輪子)への態度の落差がいい。

全体的に、「男気」とは何なのかってところで魅了してほしかった。
デキルカギリ

デキルカギリ

G2プロデュース

本多劇場(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

水の女神
面白い。

ネタバレBOX

笑えてさっぱりな作品。情報の出し方がうまくて、ツボの押し方がうまい。

長男…18年前と2年前の原発関連事件に関与。原発をなんとかしようとしたが、捕まり獄中死する。
次男(片桐仁)…科学者。長男への想いをぶつける。
長女(大和田美帆)…警官を通して長男を家に呼ぶが。
父(久保酎吉)…表向き原発肯定派だが、裏で原発反対弁護士らとつながっていた。ボケつつある。
議員(久ヶ沢徹)…警官らの作戦にのる。次男らのいとこ。原発推進派。
弁護士(岩井秀人)…父と裏で繋がってる原発反対派。プルトニウムとリモコンを池からすくい上げ、話を収束に向かわせた。笑い方が変。
警官(菅原永二)…長女に好意を寄せる。
刑事(中川智明)…長男を追い、プルトニウムの在処を探る。
長男に似てる男(山内圭哉)…長男になりすますが、父と酒を交わし白状する。
お隣さん(吉本奈穂子)…葬儀屋。実は原発事故の遺族で、プルトニウムによる復讐を狙う。どっかの国のスパイらしい。

良くできた話で、キャラもたってて、起伏があって、笑えるところをビシビシ突っ込んでくる良舞台。「核廃棄物」問題とか「原発」問題を小難しくすることなく、自然に提示する手腕がいい。
自分の故郷が水に沈み、そこに核廃棄物を沈ませなくてはならない。原発の必要性を肯定してはいても、ボケる前の父がそこまで考えていたろうと思うと、ラストのつぶやきにやりきれなさがこみ上げる。
国語の時間

国語の時間

風琴工房

座・高円寺1(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/28 (木)公演終了

満足度★★★★

悲しき国語
面白い。

ネタバレBOX

日本統治時代の京城(ソウル)。創氏改名や朝鮮語の禁止という時代。とある学校に朝鮮人教師実習生がくる…。

甲斐壮一郎(加藤虎ノ介)…日本人。総督府の役人。実は朝鮮人で日野の子(日本で言うエタ)。朝鮮語の読み書きができない。
柳京子(中村ゆり)…教師。母が病気でカネを稼ぐ必要性からか校長の妾になる。日本への同化政策に熱心。日本の敗戦でも笑顔はなかった。
根岸(栗原茂)…副校長。たまに訛る。落書き事件をもみ消そうとした。
張本(佐藤拓之)…共産党員。官憲に捕まり投獄されるも、党員をやめる。
千代田(斉藤悠)…同化政策に賛同し、日本人として認められたとして、戦地へ行けることを喜ぶ。
木之下(酒巻誉洋)…副校長へパナソニック製ラジオを贈る。共産主義者。
哲(大政凛)…日本語が達者な生徒。日本語に不自由な父を煙たがる。落書きの犯人。
伊藤(清水穂奈美)…甲斐の婚約者の女中。甲斐が朝鮮人であることを知ってた。
金村(仗桐安)…生徒の親で警察官。張本を追いかける。
日野(峯岸のり子)…生き別れた息子へ手紙を送るため日本語を学ぶ。昔は男に会うため夜な夜な息子を置いて遊びに出ていた。
丸尾仁(松田洋治)…哲の父。汲み取り業務につくエタ。哲の卒業に対して黒板に日本語でおめでとうを贈る。

同化政策に困惑したり反発したりする朝鮮人の群像劇。
甲斐は家庭のゴタゴタというバックグラウンドをもち、「朝鮮語」に対してコンプレックスを燃やす。手紙を読んだ日野に当時の想いをぶつける甲斐だったが、甲斐のしゃべりが早くて聞き取れなかったという日野に失望する。言葉が通じず、心も通じないその不幸が舞台に充満する。
柳は病気で精神的にも病んでいる母の負担を抱えて、同化政策に同調し校長(日本人?)の妾になる道を選ぶ。というか選ばざるを得なかった。そして、日本が戦争に敗ける。「解放」を喜ぶ朝鮮人らを尻目に呆然とする柳。身もココロも削ってきた人生が一気に無意味になった不幸が悲痛でならない。

甲斐は朝鮮の名を消そうとし、柳は朝鮮の血を消そうとする。その二人の不幸がビシビシ伝わってくる秀作だった。
二人に共通するのは貧困か。カネがあったら二人の人生はどうなっていたろうか。同化政策(朝鮮支配)という表面の事象の裏にある、普遍的な不幸を静かに提示してくれた。

舞台の質感や照明の具合や小道具など、出来の良さが出演者の演技を引き立てる。特に、ラスト、柳が独り教室にいて石を投げ込まれるシーンの窓ガラスが割れる映像はとても上手かった。ここのシーンの中村ゆりはとても美しかった。

声が若干聞き取りにくい。また、サイド席は人物が被ったりして観にくいと感じることが度々あった。演者が近くていいけど、いい場面でそれだとストレスになる。
エダニク

エダニク

iaku

atelier SENTIO(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★

豚骨
面白い。

ネタバレBOX

沢村(丸山英彦)…33歳。妻子持ち。屠殺歴13年。伊舞の正体に気づいて謙るサラリーマン気質。場が行き詰まって刃物を伊舞に向けるがお咎めなし。
玄田(緒方晋)…気性の荒いベテラン。大阪の頃にヤナギさんに怪我させた負い目からヤナギさんを必要以上に気遣い、延髄を確保するが、ヤナギさんにチクられて謹慎を喰らう。
伊舞(夏)…屠殺場のお得先「伊舞ファーム」の御曹司。長くニートをやってた。労働者を感じさせない物腰。沢村に刃物突きつけられ、玄田にヘッドロックかまされる。

三者の立場の違いや価値観の違い、関係性の絡ませ方がうまい。玄田と伊舞の解体への気持ちの違いようを言い合うシーンが熱い。家畜の「命」に人間の「心」を混ぜこんで、そこに生まれる激情が熱い。そこでも家庭を守らんといけない沢村はあくまで丸く収めようと必死になる面白さ。

三人芝居(ヤナギさんもいるけど)の最小限に絞った人間の心のぶつかり合いを、短時間の中で笑わせつつ、ズンと響く舞台作品に仕上げた快作。
一年半前の東京公演も見たせいか、インパクトは小さかった。会話の質は高く濃いままだった。

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