交換部品
劇団ピアチェーレ
梅ヶ丘BOX(東京都)
2017/12/03 (日) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/03 (日) 17:00
17:00の回(晴)
16:35地下に降りてみると受付は始まっていました。
1F入口と受付場所が離れていて見えない場合、貼紙で受付時間を知らせるか、スタッフが受付開始を告げに来るのが親切。
先日、シアター・ミラクルに公演を観にいったら、貼紙「時間までエレベータ前で待つ」「時間になったらスタッフが案内する」。ちゃんと時間前にスタッフ(タイセイさんでした)が降りてきて、整理券を配付。
基準は、初めてのお客さんが一瞬でも迷わないように...だと思います。
10月、学園祭での公演、生田キャンパスまで行きましたが(雨)、今回、外部会場は1年ぶり。
既成の脚本ですが初めての作品。
ネットで調べてみると
・工場
・人間を選別し管理する現代社会を抽象化した空間で描く。
とコメントがありました。
舞台には椅子が3つ。手前に電話。
16:59前説(記録用に録画、50分)
17:04暗転し開演~17:53終演。
規則正しく、均質なパターンが繰り返される。労働。
箱(中身は?)を移動させるだけの労働。
成長が約束された労働。
その裏側にあるはずの澱のようなものにはだれも気がつかない。
ブログにもあるように1~2年生による舞台。
すこしぎこちない部分がありましたが課題はいつでもどこにでもあるもの。
はじめはなんとなく不思議な既視感があったのが、そのうちだんだん全体がよく見えてきたように思います。
そういえば、幾分の懐かしさとともに、こういう時代だったと。
それが単なる回想で終わってはならないのが
今でも同じような状況にある若い人たちのことではなかったかなと思いました。
2012/4から5年半。4世代目になるでしょうか。
また、次の公演で。
メリーデイドリーム
音と光の劇団 ねずこ
JOY JOY THEATRE(東京都)
2017/12/09 (土) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/10 (日) 16:30
価格1,100円
16:30の回(晴)
16:00受付、開場。
やや丸みを持たせた配置のパイプ椅子席、舞台上はやたらと散らかっていて、紙くず、靴、服、ぬいぐるみ、カバン、クレヨン、下手に加湿器。正面のみ白、両サイドは暗幕。
16:28前説(90分+15分休憩)。
ここ(JOYJOY)は「植木鉢と筋肉痛(2014/3)」以来。
13:00から隣駅の江古田、日芸キャンパスで卒業ダンス公演、終了後、そのまま歩いて会場へ。
サイトへ行くと「放送劇」「朗読劇」「抽象劇」ということばがありました。近くだし、聴くと観るとのバランスなのだろうか、そんな気持ちで来てみました。
16:32開演~17:11、休憩、17:30~18:08終演。
説明に「悪夢」とあり、展開もそのような雰囲気を漂わせています。
基本、マイクを使った朗読。
登場人物はふたり、ただ、マイク以外のところ(録音?)からセリフが重なるので4つの人格のやりとりのようにもみえます。
覚醒、正夢、悪夢、妄想...いろいろ考えることができそうです。ただ、そのぶん全体が曖昧(不可思議な...かな)なまま進行。
乱雑な床も見たままなのか、そういうものとして知覚しているのか、これもいろいろ。
音響がポイントのようです。ただ、リアルなサンプリングではなく霧がかかったようなトーンやメロディをもたず不安になるような(人工的、非日常的な)電子音のほうが好みかなと思いました。
白と黒の衣装は、幕と合わせたのか、であればテキストの表紙も白と黒にしてみるなど小さなところにもこだわってみると面白いかも。
グランパと赤い塔
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2017/11/18 (土) ~ 2017/11/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/22 (水) 19:30
座席H列
19:30の回(小雨)
19:10会場着、受付(全席指定)。
「パール食堂のマリア(2011/7@三鷹)」からでとびとびながら5作目。
会場に入れば吉田さんが客席の誘導、隅々まで気を配りお客さんを席までご案内し、前説ではよく通る声で諸注意を。
上下をつかった構成、後方列でもとても観やすかった。
小さいころ、まだ田んぼがあり、道路は舗装されておらず、TVには色がなく、自分の視界だけが、歩いて行けるところまでが世界であったころ。
灰色に近いイメージの時代、禁煙などなく、まだまだ父権が強かった時代、それでもアメリカはアポロ11号を宇宙空間へ、月世界へ送った。
何もない真空の世界のその向こうに何が見えるのか。今では重力波でさえ感じる世界になった。
きれぎれながら憶えていること、あとで知ったこと、戦争、被ばく、大地に沁みこんだものはけっして乾くことがない。
それは常にすぐ後ろに迫っている怖れ。
自分のあのころを重ねながら観ている自分に気がつく。大人になって...など考えもせず、今だけを感じていたころ。
大家族、大人数があたりまえ、子供は親の言うことをきくことがあたりまえ、長男は...。
時間は音もなくながれ、木々は色づき世界は拡がる、未来への希望と不安。太陽系を超えて飛び、深海まで行く。
そして家族はどこへ。
いろいろ感じながらの2時間強、とてもいい時間を過ごすことができました。
今泉さんはてがみ座の公演(2011/4~)で、また@ゆうどの青空文庫や「砂利塚アンリミテッド(2015/5@駅前)」「さよなら、三上くん(2015/4@APOC)」
「青(2016/9@OFFOFF)」への客演。どの作品でも芯の強い役を演じていらっしゃいましたが、本作ではまた違った面をみることができました。
ランドセルが似合う、というと失礼かもしれませんがとても懐かしいものを感じました。
石田迪子さん「短篇集:ノスタルジア(2014/7@APOC)」「わたしたちのからだは星でできている(2016/7@青少年センター)」。
小瀧万梨子さん「小瀧ソロ(2011/5@gallery Bauhaus)」が初めて、いろいろ観ていて最近では「夏の夜の夢(2017/3@サンモールS)」。
風紋 ~青のはて2017~
てがみ座
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/11/09 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/09 (木) 19:00
価格4,200円
18:00受付(指定席、当日券あり)、一旦外へ出て18:45会場へ戻り中へ。
ここはとても久しぶりな気がしたのでこりっちで調べてみると「くれない坂の猫(2012/1)」脚本長田さん/演出田中さん以来らしい。
外で待っていると地階から上がってきた福田さんに声をかけていただき(てがみ座の方とお話したのはこのときが初めて)うれしく思ったことを覚えています。
てがみ座の公演も「線のほとりに舞う花を(2011/4)」@王子小からで6年半、13公演目になりました。
宮沢賢治、今、各地で開催されている秋季高校演劇でも賢治の作品から派生した戯曲がいくつか。
また、長田さんの戯曲では「by the sea(2013/1@エコー)」「凪の樹海(2013/7@スズナリ)」、そして「終の楽園(2014/7@文学座)」、このとき、2年後に文学座研究所の公演を観にいくようになるとは思っていませんでした。
鳥の声、水の音?
18:57前説(アナウンス、130分)
19:01開演~21:08終演
舞台はその設定のように閉じられた感じがする造り。賢治の一生、時代、自然、争いがこの空間を細かい砂粒のように少しずつ埋め、それが咳き込む原因のひとつではないかとすら考えてしまいました。
床下の砂が描く風紋、どこからでも入ってくるひとつひとつはとても小さなものが積もってゆく。
1933年の出来事は2017に置きなおしてもなんら違和感はありません。
戸外に出れば険しい自然が、そこを越えれば主義主張が、そのまた先には国境間の争いが。
それを一瞬にして流してしまう災害。
峠の向こうには何が、本当のさいわいはどこにあるのでしょう。
かたりと和LIVE『奉教人の死』
語りと和楽の芸人衆 かたりと
東京都指定文化財 求同会館(東京都)
2017/11/05 (日) ~ 2017/11/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/11/05 (日) 15:00
価格3,000円
無題2157(17-161)
15:00の回(晴)。
今年4公演目。観始めてから3年、あっという間。
14:30受付開場。中に入って座り...しばらくの間...「来たことがあるような気も...?」。調べてみると、1回来ていました。
2010/12「吉田隆子生誕100年記念コンサート」、長尾春花さんのヴァイオリンを聴きにYouTubeでチャイコフスキーの協奏曲を演奏するのをときどき観ていたからですね。
ですが、求道会館のサイトでみると正面に「六角堂」があるのにそのときは気がつきませんでした。椅子と柱、配置には覚えがあったのですが、外観もすっかり忘れていました。
その頃は、上野の美術館(美術展など)によく来ていて、近くにある弥生美術館にも。
ということで、今回は芥川龍之介(青空文庫で読めました)ですが、ちゃんと読んだ作品はひとつもありません。
以前「ぱらいそ」というタイトルの公演を観ましたが、「ぱらいそ」というコトバがあることすら知りませんでした。
なにかあるとすると「羅生門(黒澤明監督)」を観たことがあるくらいです。
14:46場内アナウンス(60分)
15:00開演~15:54終演。山田さんの箏をはさみながら憑かれたかのように全身から搾り出された声が会館内に伝わってゆきます。
作品にもっともふさわしい会場(サイトでは「仏教の教会堂」とありました)かもしれません。
1918年の作ということはおよそ100年前。会場の荘厳さ、箏の音(豊かな曲調)、力強く伝わってくる声、客席の静寂さ。一見、なにも起こっていないようで、観客の胸に伝わってくるものが見えるようでした。
wikiってみると、御降誕の祭の夜(クリスマスのことらしい)、安土桃山時代(1573?1603?)の長崎、周囲の誤解と偏見、切支丹物。
なんとなく某アニメの最終回を思い出します。
今日の北原さんは「黒」。
消滅寸前(あるいは逃げ出すネズミ)
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2017/10/20 (金) ~ 2017/10/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/20 (金) 19:00
価格4,000円
無題2156(17-160)
19:00の回(雨)。
18:45会場着、受付(全席指定)。
ロッジのような、帆船のような舞台美術、船首船尾、テーブルと椅子、ロープ、舵など。説明にある「広庭地区」とは違うような気がしつつ開演を待つ。19:00前説(125分)、19:06開演~21:10終演。
神山一郎さんが出ていらっしゃるので観に来ました。
神山さんは、演出「ダニーと紺碧の海(2017/6@ラ・グロット)」「着メロはお気に召すまま!(2016/11@BASE)」「LOVE LETTERS ラブ・レターズ(2016/10@GRAPES KITASANDOU)」「Oleanna -オレアナ-(2016/8@キッド・アイラック)」。出演「「眠れぬ森の神女(2017/8@六行会)」と本作。
こちらは初めて。動的な、舞台美術、ムーヴメント、賛否の揺れが物語に勢いを与えていたように思います。実際にこのようなシチュエーションやシーンがあるかどうかではないどこかひとつの思考実験(自問自答)のような感じもしました。
起死回生も捲土重来も夢のまた夢、再生はありうるのか、船は進むのかとても面白く観劇できました。
人魚姫は嫌いです
上智大学劇団リトルスクエア
上智小劇場(一号館講堂)(東京都)
2017/10/27 (金) ~ 2017/10/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/27 (金) 19:00
価格0円
無題2155(17-159)
19:00の回(曇)。
18:30受付、開場。舞台には椅子が3つ、それだけ。
18:44前説(丸山さん、40分、5分押し)、19:05開演~19:33終演。
作演の丸山さん、3作目。女性3名の関係に、男性2名の関係が絡むという構図。
人魚姫→「叶わぬ恋の形容詞」とウィキペディアにはありました。
本作もそこを描いているようでしたが、展開が少々唐突かなと思いました。この「関係」はマイナリティーとしてのもうひとつの側面をもっているので、重層的な展開が期待できるでしょうし設定としては興味深いのですが、それをそれらしく作者の視点から表現するためにはもう少し丁寧に描く必要があると感じました。
理性通りにはならないのが恋愛。いろいろな関係があるとして、どこかに引っかかるところ(共感or嫌悪感)があれば、そこを足場として物語と向かい合うことができるようになるのではないかと。
30分で愛は壊れていく
財団、江本純子
北千住BUoY(東京都)
2017/10/27 (金) ~ 2017/10/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/29 (日) 13:00
価格3,000円
無題2154(17-158)
13:00の回(雨)。
12:20会場着、受付は始まっていました(12:15からと貼り紙あり)。整理券を受け取り2階で待機、電車遅延があったそうで開場を遅らせるという説明あり。12:57開場、入って右側に桟敷+椅子席、それ以外の床には新聞、空き缶、ペットボトルが文字通り足の踏み場もない状態で散乱。奥の方では妖しい明り。上手側の壁には音響/照明機器(江本さん)、中央に椅子が2つ。
13:15開演(江本さん登場)~14:38終演。
姉妹、先輩後輩、角の女(=角にはりつく習性をもつ女)を中心に理性などアルコールで殺菌蒸発させる女達の夢の後。
江本さんの作品は
「小さな恋のエロジー(2010/12@駅前)」「滑稽を好みて人を笑わすことを業とす(2011/7@リトルモア)」「本全国奇形鍋(2011/9@雑遊)」「ヤバレー、虫の息だぜ(2013/1@高円寺1」「ドブ、ギワギワの女たち(2013/3@AiiA)」、とても久しぶり。
多摩美の湯川拓哉さんが出ているので観に来ました。湯川さんは多摩美の学生さんで「赤鬼(2016/7@多摩美)」「大工(2017/1@多摩美」「家族百景(2017/8@ラゾーナ)と4公演目。
もしかして小川敦子さんはttu「ヴォイツェク(2013/11)」に出ていらした方だったでしょうか?
赤くそそる衣装の姉妹、無限にくだを巻き続ける先輩後輩の2つの大渦に、コバンザメのように角に貼りつく女、そこに迷い込む女、吸い寄せられる男、半ば成り行きで進むのか戻るのか、発散したあとのひんやりとした空気が雨降る日々の寒さを思い起こさせるようでした。
魄の淵-はくのふち-
桜美林大学パフォーミングアーツ・レッスンズ<OPAL>
PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)
2017/10/23 (月) ~ 2017/10/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/23 (月) 19:00
価格1,200円
無題2153(17-157)
19:00の回(晴)。
初日ですが、超大型台風が来るというので諦めて予約していませんでした。ので、当日券(開演60分前から受付)です。
18:15会場着(電車遅延なし)、18:33開場。
チケットには番号がありますが、この番号順ではありません(少なくともこの日までは)。
当パンの記載をみると、初めて此処にきた「ピュア魂2」が2013/7、次が「PUPAⅡ」2015/11。
前回が「NEWS」2017/1、で今回は1年経たずに公演。ただ、当時の4年生は卒業(天満星南さん、牧野つくしさんは卒業公演を観ました)、本公演では1年生5名出演。
18:58前説(音楽は音量を落とし、話者に照明をあてている、スモークマシンを使うのでマスクの用意あり、80分)、19:05開演の挨拶~20:28終演。
プロローグ、scene1~11、エピローグ、カーテンコール。
正方形の光跡、3辺に並んだ精鋭たちが淵を超える。いつもの低音、リズム、鋭いまなざし、襲いかかるかのような眼。いつ観ても、なんど観ても身震いするほどでなぜか背中に「ピュア魂」「ケダゴロ」の文字もあり...(はじめのほうだけ)。コミカルなシーンもあり、これも(表情を含めて)うまいな~と思いました。
客席には最近ダンス公演を観たダンサー(卒業生)の方も。
淵野辺は会社からも自宅からも遠いけどリピートできれば。
『バイカル湖プラス』『親不孝』
劇団ピアチェーレ
日本女子大学西生田キャンパスB棟37番教室(神奈川県)
2017/10/21 (土) ~ 2017/10/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/22 (日) 14:00
価格0円
無題2152(17-156)
14:00の回(かなり強い雨)
13:40開場、13:56前説、14:00開演~14:14終演。
久しぶりのピアチェーレ、初めて観た公演から6年半、就活などを考慮すると3回くらいの世代交代。
日女祭は2回目(2015)でしたがあいにくの大雨、にもかかわらず用意された座席は埋まったようです。
会場は教室、テーブルがひとつ、照明、簡単な造りですが、そこが教室公演の面白さを生む要素のひとつ。
14:00の回は全員1年生(ダブルキャストの柏山さんは2年生)。
作品は別役さんのものでまず観ない作家さん。短編というよりショートコント。
個人的には登場人物(両親、先輩)をもっと濃く(絵にかいたようなorステレオタイプ)描くとひっくり返った時の面白さがより出たのではないかな、と思いました。思いましたが女子大なので男性役を演じるのも難しそうですね。
学園祭お疲れ様でした。次回は12月@梅ヶ丘BOX、楽しみにしています。
リンドバークたちの飛行
ゲッコーパレード
島薗家住宅(東京都)
2017/10/12 (木) ~ 2017/10/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/16 (月) 19:00
価格3,500円
無題2151(17-155)
19:00の回(小雨)。
18:50会場着、玄関で受付そのまま開演待ち、荷物を預っていただく。
ゲッコーパレード10公演目(再演を含む)、本作は2016/12に旧加藤家住宅で観ました(このときは2回観劇)。
また、会場の「島薗邸」は「かたりと」の「紅梅振袖(2014/11))「聲香(こゑかほる) 北原久仁香 ひとり語り(2017/1)」で来たことがあります。すぐ近くに「旧安田楠雄邸庭園」「森鴎外記念館」もあり、途中の団子坂は乱歩の「D坂」。
帰宅してから過去公演を確認していると...林純平さんはreset-N「knob」に出ていらした方でしょうか?
やや押して開演、機械音(ここは偶然)を背景にリンドバークが影のように玄関へ。このときの暗く、疲れきったような佇まい(ハムレットの亡霊のようにみえました)。それはチラシ裏面のリンドバーク(河原さん)のイメージによるのか、この「家」が醸し出す不思議な空気によるものか。破りがたい堅牢さ、年月と伴により硬くなってゆくようにみえる「建物の素材」によるものか。
※蕨版との違い
旧加藤家=現在も居住しているような、活動的な印象、故に行き来が自由、開放的。島薗邸=登録有形文化財、公開日あるも扉を閉じ静かに眠り続けている。
活火山(活動)と死火山(静観)との違いに近いか。
開演前からそこに生まれる物語はおのずと違ったものになるのではないかと思っていました。
旧加藤家で感じたさまざまな苦難、荒々しさの乱打は、ここ島薗邸ではひとつの大きな力としてまとまって建物全体を覆い、それに呼応したのか、リンドバークも(男性的な)挑戦者から、(女性的な)疲弊しつくしたような存在として感じました。
本来の役割を終え、静かな生活を続ける島薗邸の魔力なのでしょうか。
夜空に光る星は遠い過去の姿でありながら少しずつ変化している。ここ島薗邸はすべての活動を止めた空間。
マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー/秘密の花園
チュム
こった創作空間(東京都)
2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/30 (土) 12:00
価格2,000円
無題2150(17-154)
12:00の回(晴)。
11:30受付、11:35開場。中央にベッド、桟敷と椅子席。
11:49前説(よく通る声、60分、音楽を止め、照明も変えている)。12:00鈴の音、ハンドベル、女の子~13:10終演。
この作品は、今年の「川越坂戸地区秋季高校演劇発表会」@尚美大で川越女子高が採りあげていた作品で、実のところどういう内容なのかよくわからずもやもやしていました。
「銀河鉄道の夜」は知っていて、この作品から生まれていった作品も何作か観たことがあります。何もなければそのままたぶん忘れていくところでしたが、どの公演だったか小さなチラシを観て、もう一回観てみようと予約しました。
そのチラシには「甲府南高校演劇部」とあったからです。
2015年埼玉総合高校がオノマリコさんの「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」をやることを知り、さいたま芸劇に行ったのが「埼玉県高等学校演劇中央発表会」でした。2016年は神奈川総合高校を観たくて神奈川の方へ、そのまま芸劇(池袋)の関東大会へ。
今年は埼玉と神奈川から少しずつ。
高校演劇部出身のユニットだということ、この作品で全国大会まで行ったこと。もうひとつ、廣瀬樹紅さんを激情コミュニティ「海に纏わるエピソード」でみていたこと。偶然が重なったのでしょうがそれもきっかけの一つ。
※ゲキ部「「いつも通り」の自分たちで」に当時のインタビュー記事(前後編)があります。
お話は、やはり入り組んでいてどこに焦点をあてたらよいのか、足場はどのあたりがよいのか苦労しました。
明確な場面転換がないためかと思います。
終演後、廣瀬さんに声をおかけし、地上に。そこはお芝居の世界ではなく新宿。
で、いろいろ考え「スローターハウス5」...に近いかなと。
次回、楽しみ。
川村美紀子『或る女』/ 佐々木敦『paper song』
OM-2
d-倉庫(東京都)
2017/10/10 (火) ~ 2017/10/11 (水)公演終了
鑑賞日2017/10/11 (水) 19:30
価格2,500円
無題2149(17-153)
19:30の回(曇)。
18:40会場着、受付、19:00開場。
佐々木さん→川村さんの順。
佐々木さんは2015/2016と近くのサニーホールでOM-2の公演で。
一見荒々しいのですが、自分とつながっている感じがしなくて、予定された展開のようにみえてしまいました。
川村さんは「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん'11」が初めてで「お題、「白鳥の湖」。」「Piano Pieces(2015/3@black A」など。六行会でも観たような気がします。特に「白鳥の湖」の水や鉄パイプとポリバケツが異色。本作では2つのキャラクター(文字と文体)入れ替わる展開。文字を揺らしたのはなんでだろう。
劇団山の手事情社『傾城反魂香』
劇団山の手事情社
大田区民プラザ(東京都)
2017/10/13 (金) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/13 (金) 19:30
価格3,000円
無題2148(17-151)
19:30の回(雨)。
早く着いたのでマックで少し待機、19:10会場へ、受付。
舞台には3つのすだれカーテン(?)。それ以外は空間。
19:30演出の安田さん前説&解説。セリフと動き(止め)のお話があり、そのおかげでしょう、劇中、実に
生き生きとした「動き」を実感することができました。
「傾城反魂香」は初めてで、近松の作品ということすら知りませんでした。
「山の手事情社(1984結成)」という名前は随分前から知っていましたが観に行こうと思ったことは一度もありませんでした。
ところが「燦燦と淡淡と」でも書いたように、松永明子さんがその2015年度研修プログラム修了公演に出るということを知り、そこには一度だけ観たことがある菅原有紗さんもいらっしゃったので、というのがきっかけです。
その後は若手公演「オイディプス@Tokyo(2017/2@すみだ)」、本作。
よく観に行くコンテンポラリーダンスのように振付(身体のうごき)が徹底して新鮮、一瞬たりとも目を離すことができない舞台。
なんというか野生の動物的な印象を受けました。
Re:quest!on
妖精大図鑑
シアターシャイン(東京都)
2017/10/12 (木) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/12 (木) 19:00
価格3,000円
無題2147(17-150)
19:00の回(曇~雨)
18:40会場着、受付..多摩美の湯川さん(今月末、江本純子さん※の作品に出演とのことです)※なつかしや、毛皮族は怪作「小さな恋のエロジー(2010/12@駅前)」を観ました(DVD買った)。
ここは舞台が高いのとさらに上手と下手にお立ち台が乗っていたので3列目に。
「初夢 -hatsuyume-(2017/1@花やしき座)」からもう9ケ月。やはり油断していたら初日完売、土日はほとんど終日高校演劇を観るので行けないかも、と思っていたら増席で復活。
妖精大図鑑との出会いは「シアター21フェス vol.96 "春編"」@セッションハウスの1演目「喉元何かが行き来。耳元爽快」(2014/5)。
演劇(?)としては下北沢での卒業制作展「めっけ」で「空飛ぶ帽子(2015/1)」からになりますが、それ以前に「ぬちょぉ…(2014/7@眼科画廊)」という奇奇怪怪作品がありました。
すでに飯塚さん、永野さん、嶋野さん、今泉さんが出演、妖怪しか出てこない作品でした。
ここに出ていた古澤さんから案内を頂き「めっけ」で妖精大図鑑、古澤さんは「議題:ギタイ(@711)」を...今でもこの作品のチラシの強引さが一番好き、そして「言風景」のなかのサラ・ケイン「4.48サイコシス」朗読に行きました。
「言風景」のスタッフとしてボディートレーナー齊藤コン、とあったのに気づいたのは相当後になってからでした。
10公演目くらいだと思います。
19:05開演~20:24終演。
小林菜々さん「キャベツむろん ぐるぐる中かもね(2017/5@セッションハウス」。
住玲衣奈さん「ピュア魂2(2013/7@PRUNUS」「ダンスがみたい! 新人シリーズ15(2017/1@d-倉庫))」「ダンス専科2017(2017/4@セッションハウス」。
安部萌さん「大工(2017/1@多摩美)」、平山犬さん「マウント(2017/4@王子)」。
変り種としては絶区シアター「水神の森 眞夏の夜の夢(2016/9@東白髭公園)」での野外公園、飯塚さんが照明をやるので観にいきました。
いつもですが、今作もなんと贅沢な出演者たちでしょう。子どものような大人たち、わがまま三昧の妖精たち。
手作り感いっぱいの衣装。舞台の仕掛けとおとぼけ小道具、被り物、歌に芝居にダンスの短編集的構成。
今後の活動も
安部さん、小林さん、永野さんは横浜「ダンコレ」、安部さんキャンパス公演で観た「大工」再演、住さん「ダンスがみたい!」d-倉庫他たくさん。みんな行けるか?
夢遊トリップ
フィグス
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2017/10/13 (金) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/14 (土) 19:00
価格1,700円
無題2146(17-149)
19:00の回(小雨)。
18:15開場、受付、1ドリンク、入って右(カウンターと向き合う位置)に座席(3列)。
この位置は初めて、ずっとそう思いながらみているとこの構図はどこかでみたことがあるなぁ~、という気持ちになってくるのでちょっと思い出してみる。と、蜂谷さんの佇まい、マネの「フォーリー・ベルジュールのバー(1882)」でした。
フィグスの公演は初めてですが、役者さんの中には観たことがある方も。
三浦仁さん「戦禍の華(2017/5@ゴールデン街)」。
井本みくにさん「降っただけで雨(2017/5@眼科画廊)」「混淆公演;アリスの条件/ラブへの答え(2017/7@シャイン)」。
大田彩寧さん「チル、幻滅。(2017/5@上野小)」「月面歩行(2017/1@上智11号館:制作)」。
岡戸祐子さんは「りんぷん手帖(2017/5@王子)」の岡戸さん?
スタッフ欄にある「背傳館」は「家族計略(2016/7@RAFT)」を観ました。
また学生さんらしき方、高校生でしょうか。こちらの公演の前、相模原市立青少年学習センター(実に遠い)で高校演劇「平成29年度 北相地区大会」5校を観ていたので。もちろんのこと内容は全く違っています。
ハプニングバー「ローズ」があったとされる渋谷円山町というとちょうど20年前の「東電OL殺人事件(1997)」を思い出します。佐野眞一さんの本も読みました。「歌舞伎町浄化作戦」は2004年。「歌舞伎町、閉館、映画館」で検索すると新宿プラザ、ミラノ座なども次々と閉館。そんなイメージを持ちながら開演を待ちます。
19:05開演(ここでは暗転せず)~20:18終演、物販あり。
性風俗と新宗教、それはカラダとセイシンが求める原初的な欲求なのではないかと思うのですが、登場人物たちの深く固定された記憶からの離脱したいという意志とその欲求とは相反し自我は崩壊に至るようにみえました。
数人と組織(自己再生力で勝る)、ほぼ100%敗退ではないかと思うのでした。
当パンによると井本さん「COMBO X COMBO 2nd」とありました。「1st」はいつなのかと思いますが、井草さんは「SQUAREは待っていた(2013/9@セッションハウス」「くろいの×しろいの(2013/12@カノン)」の頃からよく観に行っています。会場はd-倉庫、楽しみ。
サティde乱歩
語りと和楽の芸人衆 かたりと
旧安田楠雄邸庭園(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/09/30 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/30 (土) 19:00
価格2,500円
無題2145(17-148)
19:00の回(晴)。
18:40開場、1年ぶりの「旧安田楠雄邸庭園」。
会場となる部屋に入るとアップライトピアノ。桟敷にいす席。35席予定のところ40を超えたそうです。
暑さが戻ったのか団扇の用意が。虫の声。
19:04前説、開演~20:00終演、~20:15トーク終了。
「かたりと」といえば小池さんの津軽三味線、山田さんの箏ですが、今夜はピアノでサティ。
サティは、なんとなく耳にすることはありますが、聴こうと思って聴いたことはありませんでした。
今夜の北原さん「銀」でいいのでしょうか、初めて見る色、なんと表現したらよいのか、物語の精が現れたようでした。
お題は「人間椅子(1925年)」。
バンドの「人間椅子」を聴いていたこともありざっとした大枠の話程度は知っていましたが、もちろん読んだことはありません(青空文庫で読むことができます)。
とうに暮れた戸外と澱んだ思いにみちたお話とがどこかでつながろうとしてもがいている空間がここなのではないかと思えてきます。その間で銀色の佇まいをみせているのが北原さん。
1ケ月前、早々と完売。キャンセル待ちでなんとか…でした。
カーテン
日本のラジオ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
鑑賞日2017/10/04 (水) 20:00
価格2,200円
無題2145(17-148)
20:00の回(曇)
19:10会場着(受付) 整理番号付で「劇団」「劇場」の2種類のチケット、19:30開場(それぞれのチケットで5番ずつ)。
ちょっと横道を通って客席へ椅子席が3列。
「カーテン」が閉じられ「舞台」はみえない。
「ユメミルヘヤ(2012/5)」~「カナリア(2015/6)」で4作、ひさしぶりの5作目。
この会場はシンクロ少女の「ファニー・ガール(2013/10)」横手さん、吉岡さん出演以来。
舞台には特に目新しい造作物はないもののそこは誰がみても「劇場」。
19:51前説(屋代さん)、20:01開演~21:29終演。
事前に読みませんでしたが、小冊子があり事件、人物について詳細に記されていました。
よくあるテロ事件、といってしまうのは簡単ですが、出演者の皆さんほとんどが観たことがある方で、ニュースをみていたら突然映像が映り「えっ、この人が?」という錯覚(怖れ?)に陥るのでした。
世界のどこかでは身近であり、また別のどこかでは無縁な出来事かもしれません。
小冊子には顛末までありましたが、お芝居はというと...。
武装勢力、人質ともバラバラの人間関係のうえになんとか乗っているような印象。
当然のごとくバランスを喪い始める。
なんとなく人質のほうがまだ自分を保っていないだろうか?
室温~夜の音楽~
東京農業大学 農友会演劇研究部
農大劇研アトリエ(東京都)
2017/09/28 (木) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/01 (日) 14:00
無題2144(17-147)
13:35会場着、1Fで受付、5Fで待機。13:45開場。
「クロノス(2016/12)」から3作目。
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの戯曲は初めて。
TV放送もあったようで、検索してみるとネタバレありのものなど多数ありました。
舞台はリビングらしい。テーブルにソファ(客席に向ってハの字に位置しているのはよく見えるようにということなのでしょう)、あまり作家らしくない本棚。VTR、CD、トロフィー、固定電話(白)、14:10開演~歌、たま がかかる。
当パンが凝っている(ちょっと高くないか? 笑)。
謎、進行が巧く、次の展開が待ち遠しくなる。役者さんたちもたっぷり2時間、フル稼働。張りつめた空気が和むことなく、息苦しくなるほどの酸欠状態。
変な子ちゃん
kazakami
スタジオ空洞(東京都)
2017/09/27 (水) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/27 (水) 19:30
価格2,500円
無題2143(17-146)
19:30の回(曇)
19:00受付、開場。
奥と右、L字の客席、右へ。
床、壁にビニールシート、中央に画家、いろいろ道具類。上手、男性が椅子に座ってPCを操作、カーテン。
「開演15分前よりミニライブ」との案内をいただきました。実質、ここから物語りは始まっているのでこれから行かれる方はぜひ。
19:20ライブと前説、開演〜21:06終演。
「kazakami」は前作に続いての2作目。
河村杏里さん、前作にも出ていらっしゃいましたがホームページの紹介文をみると立教の映身卒なのですね。2016年新座のロフトで卒業制作。新座キャンパス(ロフト)ではダンス公演を観たことがあります。
映身卒の方というとttuが解散してしまったので、内山茜さん、榑松朝子さん、白井愛咲さん、伊藤麻希さん...みなさんダンサーですね。山田由梨さんは演劇...。
依田玲奈さんは「短編祭(2017/9@SOOO)」「凡庸(2017/8@王子)」「根も葉も漬けて(2017/3@あくとれ)」他で。
観ていて体中に力が入ってしまうような高い緊張感が必要な役。
津嘉山珠英さんは年明け、また「koenji HACO」で。
人と人、点と点が結びつき、少しずつ強くなってゆく絆。変わる、ということ。
終わってから、あぁこれは...と思い出すものが。
6~7年ほど前だったか、路上ライブ、たまたま新宿でみた河野 悠里さん。演奏後CDを買いました。しばらくして@渋谷の公演に行ったことがあります。
河村さんの演奏スタイルはちょっと個性的で、ギターのボディを右腰あたりにもってきて左手はネックをぐるっと握り、親指が指板の上にきています。親指の位置をほとんど変えず、細い指が綺麗にフレットを行き来します。ヘッド側から見るとこれがなかなかカッコよかったです。一方、右手のストロークはサウンドホールよりずっとネックより。座ったときの位置は未確認。