遊民の観てきた!クチコミ一覧

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ラッコサイズラッコ【公演特設ページ公開中】

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トリコロールケーキ

シアター711(東京都)

2013/03/13 (水) ~ 2013/03/17 (日)公演終了

満足度★★

統一したほうがいいですよ
遅ればせながら書きます。当日パンフの「代表あいさつ」を読むと“過去2回の公演を振り返ると、ストーリーの筋を通したい欲望のある私(鳥原弓里江)と、ストーリーの筋をぐちゃぐちゃに破綻させたい欲望のある今田さんとのせめぎあいが続く稽古場を経て云々”とある。観終わった後、どうもフワフワした印象を持った理由がわかった気がした。これではいけないだろう。どちらかに統一しなければ。(ただストーリーを破綻させるとそれだけで終わってしまう危険があると思うが。)最後、「ヴィレッジ・ヴァンガード」に行き着くというのも突飛である。ナンセンスといえばナンセンスなのかな。

SECURITY BOYZ!!!!! -俺たちスーパー警備員-

SECURITY BOYZ!!!!! -俺たちスーパー警備員-

気晴らしBOYZ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/12 (火) ~ 2013/03/20 (水)公演終了

満足度★★★

たまにはこんなコメディも・・・
遅ればれながら書きます。肩の力を抜いて気軽に楽しめたがそれ以上でもそれ以下でもない。わかり易いというのが何も考えずに楽しめるライトコメディの良さですね。しかし日本の最近の喜劇は何でこう、すぐに「ゲイ」キャラを出すのかね。芸がないね。

ヒーローアゴーゴー!

ヒーローアゴーゴー!

劇団東京都鈴木区

シアターKASSAI(東京都)

2013/03/13 (水) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★

役者の熱についていけなかった
遅ればせながら書きます。「デパート屋上編」を観たのだが、昨年好評を博した作品の再演とのこと。ワンシチュエーションでヒーローショーの舞台裏というガチガチの設定だからか、物語に無理が出てきてしまっていた。特に宇宙人が出てきてからはどうもついていけなかった。それと役者があまりに嬉々として演っていると初見の客としては少し引いてしまう。(会場も固定ファンがついているようで熱気があったのも手伝ってか)「楽しめた」とは言い難い。

~メタモルリバース~

~メタモルリバース~

おぼんろ

新宿眼科画廊(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★

末原氏の世界を把握し切れなかった。
遅ればせながら書きます。「サラサラ」という砂の音と映像が溶け合って素敵な空間を作り上げていたことは確かだろう。フライヤー裏面にも書かれている詩的な表現も切ない。ただそれ以上のものは感じなかった。芝居以外のことを言って申し訳ないが土曜日で多少混雑していたのか、会場が窮屈で仕方なかった。広いスペースを必要とする公演とは思わないがもう少しゆったり観られる環境が欲しかった。狭い所に2箇所も役者の動く通路があるのだがあれがどれだけ効果があったのか理解できなかった。

秘を以て成立とす

秘を以て成立とす

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

してやられたり
前半くらいまで「なんか淡々と進むなー」と思っていたのだ。全然気づかなかったのだ。ハリオと赤城が内なる晋太郎であることを。それだけハリオはいかにもぐうたらな下宿人然としていたし、赤城は颯爽と登場するから医者の一人と思っていた。だから晋太郎の妻、津弥子の苦しみもわからなかった。それがわかった時、ああ、そうだったのか、本当に大変だったんだなって・・・。藤本喜久子さんが巧いから余計こみ上げてきちゃって。私はいつのまにか桑原裕子のマジックにかかり、気がつけば頬を熱いものが伝っていた。KAKUTA健在なり、だな。

忘却のキス

忘却のキス

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

これは難しいぞ
「難解」としか言いようのない芝居だ。役者の台詞を理解しようと反芻していると次の台詞はあらぬほうに飛んでいて聞き逃してしまう。(台詞回しも早いし)
ただ言えるのはどのシーンでも登場人物の台詞がかみ合っていないというか、自分勝手にまくし立てているというか、まあそんな感じだ。(初めと終わりの映画を観た後の観客たち、医者と患者、そして主人公の男と女etc・・・)でも何故か男と女は最後には赤い傘に二人で入ってハッピーエっぽい感じなのだ。(私が見落とした箇所が沢山あったのだろう)芝居を理解しようとしてクロマチック・アコーディオンの素敵な演奏をだいぶ聞き逃してしまったようだ。これは素朴な疑問だが、役者さんはこの難解な台詞をどうやって覚えるのだろうとそればかり気になってしまった。この作品は私には点数を付けられません。“観たい”に「挑むつもりで観ます」なんて書いたけどこりゃ完敗だな。

夜光星ディスコルーム

夜光星ディスコルーム

エムキチビート

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★

それなりに楽しめたけど・・・
観てから少し経ったので思い出せる範囲で書きます。微熱を帯びた時代の象徴としてディスコルームを登場させたわけだが、ミラーボールも確か初っ端に回っていたくらいであまり意味がなかったようにも思う。藤堂平助の来歴や池田屋と長州藩邸の位置関係、新撰組の局中法度の文句など歴史的考証はなされていたようだ。(もっとあっただろうが)まあ今まで池田屋事件はテレビ、映画で数多く取り上げられてきたわけだが、前例に違わず「誠」に生きる新撰組隊士が美しく描かれる。これだから今でも新撰組は人気あるんだろうなあ、という感じ。まあ、これはこれで楽しめるんだけど。それに引き換え本来の主人公である池田屋の丁稚、花火師のアサヒの描かれ方が浅かったようだ。あと舞台装置だが板の間に傾斜をつけたのは、狭い舞台に奥行きを感じさせ、場面ごとの変化をつけるのには効果的だったと思う。

Doubt

Doubt

よろづや商店

d-倉庫(東京都)

2013/02/26 (火) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

「演じる」ということ
息詰まる台詞の掛け合いにただただ圧倒され「演じること」の崇高さに触れた思いです。

ネタバレBOX

2005年のピューリッツァー賞、トニー賞を受賞した作品だけに最後まで観客を惹きつけて放さない力がある。それはタイトルでもある「Doubt(疑い)」の一点に物語の全てが収斂されることにより発生する張り詰めた緊張感であり、4人の登場人物が彼女が彼女として、彼が彼としてそこ在る確かな存在感である。また俳優たちが見事にそれを演じ切っている、というか、その登場人物としてそこに存在していたという表現がふさわしい。話が逸れるが、先日ラジオ番組で久米明さんが亡くなった劇作家、演出家の福田恆存さんから「役者は何を話すかではなく、なぜその人物がその言葉を発するのかを考えながら台詞を言わなければならない。」と常々言われていた、と仰っていた。それに照らし合わせるとこの物語の登場人物には必然的に発せられる台詞しかないと思われる。俳優たちはその必然さを背負って台詞を発し、登場人物のゆるぎない存在感を浮き上がらせて見せてくれた。それがこの素晴らしい戯曲を更なる高みに押し上げている。素敵な舞台を見た後の感動は何物にも替え難い。最後に当日パンフの、プロデューサー西村長子さんの「固定観念との闘い」なる文章に痛く感動し、大いに共感した次第です。
DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★

大仰なキャッチだが・・・
どうやら私にはこういったコテコテのSF物は向いていなかったようだ。大仰なキャッチコピーに誘われて出かけた事を後悔した。私が感心したのは2点。1点目は長沢美樹演じるレイラがザレム(遠藤公太郎)と再会したシーンで見せる表情の変貌振り。それまで冷徹な戦士然とした表情、立ち振舞いだったのが一転して柔和な表情になり声のトーンも別人のように変わっていくその瞬間。2点目は沢山の宇宙人が登場した(ようだ)が、役者の肉体のみで表現しようというその気概と完成度が高めだったこと。(印象に残ったのは2種類くらいだが)でも衣装はきめてるのに銃くらいは小道具としてあったほうがよかったのではないか。後で考えると「飛び出す演劇」、「ビジュアルイマジネーション演出」というのはこういうことなのかと思うわけなのだが、とにかく音響に頼りすぎる。役者の出ハケの度にいかにもな機械音が爆音で聞こえるのは何なのだろう。スピーカーの近くにいたせいもあるがだんだん耳障りになって仕方なかった。照明ももっと効果的な使い方ができたと思うしアクションもイマイチで見応えがなかった。

愛して紅

愛して紅

劇団†勇壮淑女

ザ・ポケット(東京都)

2013/02/26 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

太田善也に乾杯!
これは劇画調エンタテインメント演劇の秀作だ。私の観た太田作品の中ではピカイチだった。

ネタバレBOX

とにかく観ていて飽きない。「チーム紅」と「武流怒愚」の対立、百恵率いる黒魔術団(?)の登場、麻衣子、逸美、かずえの行方、麻衣子の母、芽衣子(梶芽衣子を意識したか?)の隠れた素顔等、最後まで飽きさせない展開であった。場のつなげ方が巧く、その配分も絶妙で、所々に笑いを散りばめてもコメディに傾きすぎない点も評価できる。また、「いま、義理と人情は女がやっております」的な啖呵を切るシーンが多く思わず「カッコいい」と声を掛けたくなる。特に、以前から精力的に外部出演を続けている青年座の椿真由美さん演じる芽衣子、シビレました。チーム紅 明菜役の江間直子さんの眼力も素敵でした。「チーム紅」、「武流怒愚」それぞれの分裂と再生を描いた件は強引ではあるがこの作品自体が劇画チックなものであるからこれはご愛嬌というものだ。それよりも芽衣子と麻衣子の母娘の愛情を中心に据えてみると、この作品が太田氏が当日パンフの中でいう“芝居を作る上で一番大切なのは愛であり、この芝居にもたくさん愛を込めました。”という一節にも頷ける。観劇後の私はこの純和風劇画調エンタテインメント芝居に出会えた幸せで高揚感に包まれた。散歩道楽ファンとしては嬉しい限りである。次回、本公演に期待したい。おっと、忘れていた。これは劇団「勇壮淑女」の公演なのだ。主宰の相原さんは事情により出演されなかったが、彼女はじめ劇団のスタッフの皆さんはこれだけの女優陣を集め、この公演の幕開けまでに大変なご苦労をされたことと思う。感謝します。次回作も観てみたいです。
後ろの正面だあれ!

後ろの正面だあれ!

椿組

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

うぅっ、たまらん!
椿組は長らく観たいと思っていたのに未見の劇団であった。何度もこみ上げてきてやばかった。

ネタバレBOX

時代は多分私が子供時代を過ごした昭和40年代だろうと思う。(山口百恵だったり加藤茶の「チョットだけよ」、「LUX」は高級舶来石鹸などの件から)そのせいか懐かしくもあり、作品全体を流れる空気がとても優しくて何度も泣きそうになった。まず何といってもアメノウズメ役の岡村多加江さんがいい。彼女の表情に表れる純粋さ、限りない優しさ。気丈な長女が一人、弱音を吐くシーンで後ろから彼女をそっと抱きしめるウズメ、なくなった母の写真を精一杯の愛しさを込めて抱きしめるウズメ、ラストで桜の花びらの舞い散る中、手を広げ満面の笑みを浮かべるウズメ、今でも目に浮かびます。そして座長の外波山文明さん、この二役は見事ですね。単純に別人に見えますもん。さすがですね。木場さんのトボけた感じが好きでした。(私などが失礼かとは存じますが。)初見ですが、なんだかここの役者さんがとても好きになりました。女優さん、皆キレイだし、男優さんも愛すべき野郎たち(また失礼)って感じなんですよ。いままであまり考えたことなかったけど役者と観客の相性ってあるのかな、なんて思ってしまいました。話が脱線してしまいましたが、私の中では今年のベスト5に入る作品になるでしょう。(ベスト1じゃないのか)とにかくこの作品に出会えて本当に幸せでした。

浅草紅團 ASAKUSA RED GANG

浅草紅團 ASAKUSA RED GANG

劇団ドガドガプラス

シアターX(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★

華やかなれど・・・
ショー的色合いが強くその点では素晴らしかったのだが、芝居としてはどうかと・・・。

ネタバレBOX

昭和初期の浅草が舞台ということで、まさに「エログロナンセンス」の雰囲気がプンプンする舞台を期待していたのだが、思いの外お上品でスッキリした印象である。想像するにもっと猥雑な雰囲気だったのではないかと思う。でもレビューの踊り子たちの華やかさは見応えがあった。「魅せられた」という表現がピッタリだろう。ただ物語は「紅団」「カジノ・ド・ジョバンニ」の面々、男装の麗人や女スリ師等等、その時代を象徴するような人物の全部乗っけの様相を呈し、それぞれのエピソード色が薄まってしまい物語性が希薄になってしまった。これが、当日パンフで望月氏が語っている“摩訶不思議なラビリンス”であるならばちょっと違うような気がする。個人的には紅団にレビューを絡めながら千代子、弓子の姉妹と赤木の関係を軸に展開していくような物語が観たかったかな、というのが正直なところ。あと舞台装置もスッキリしていて踊り子さんの煌びやかな衣装がわんさと吊るされていて観劇前は「早着替えでもあるのかな。」と思っていたのだが変装屋のシーンとバレエダンサーが踊った後着替えていた時しか使われていなかったので不思議に思っていた。
メンバーの方の書き込みを読んで「そうか、レビュー小屋だったのか。」とわかったが、シーンが変わっても舞台上に出ているというのは納得いかないところである。それにしてもドガドガプラスは華のある女優が揃っているので今後の展開が楽しみな劇団になった。
獣のための倫理学

獣のための倫理学

十七戦地

LIFT(東京都)

2013/02/19 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

視点を変えることによって・・・
観劇直後と、しばらく経ってからの印象が変わった作品である。

ネタバレBOX

説明に、物語の大まかな展開が綴られているので完全な推理劇として観ることはできない。特に「ロール・プレイ・メソッド」の参加者たちによって提示される資料によって“桐原は犯人ではなかったのではないか”という方向への持っていき方は、皆さん仰るように出来過ぎ、無理矢理の感を抱かせる。それは大摘村通信(?)だったり桐原が村人たちと写った写真から導き出される方向性、結論に対して。また、ラストにつれて徐々に明らかになるが、35年も前に起こった事件(終わった事件)をワークショップにより検証しようとする、その参加者たちはよほどその種のテーマに関心がある者、又は何らかのかたちで事件に関係のある人物であろう事は容易に想像できる。私は観劇の冒頭、(説明書きをすっかり忘れていたので)半分推理劇の展開を期待し観客もそこに参加するようなワクワク感を感じたので、観終わった直後はしっくりこない印象のほうが強かった。ただその後、この作品の肝は何かと時折思い出してつらつら考え多少考えが変わってきた。脚本の柳井氏はこの作品について「出来過ぎ」との意見が出ることは十分に承知していたはずである。その上で彼が描きたかったのはロール・プレイの役割を演じることによって炙り出される登場人物たちの細かな心理描写だったのではないか、と考えた。そう思えば合点がいく。ブログを拝見していても役者一人一人の役作りへの真摯な姿勢が窺える。特に市川玲子役の関根信一さんは印象的だ。彼の醸し出す穏やかで内に秘めた力強さを感じさせる演技は芝居全体を柔らかく包んで緊張感のある舞台を引き締めている。いずれにしてもLIFTという極小空間、ロール・プレ・メソッドという設定に縛られながら、最後まで緩むことのない緊迫感を持続させ、観劇後も観客にこれだけ考えさせてくれる芝居を創り出してくれた柳井氏始め、役者さん達、スタッフの皆さんに感謝したいと思う。
壺を割った男

壺を割った男

舞台芸術集団 地下空港

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★

ちょっとゴッタ煮的
役者の演技は卒がなく観ていて不快感はないが、さりとて何の感興も起こらない。

ネタバレBOX

入れ替わり立ち代りの前説は「嘘をついちゃダメ!」というテーマの振り出しだがもう少しネタを吟味するべきだ。つかみが弱い。観劇前は主人公が壷を割ってしまったことが、バレるかバレないかのスリルを何度も見せて観客をハラハラさせるストリーなのかと勝手に思い込んでいたのだがさにあらず。全体的に話があっちこっちに飛んで取り留めなく進む。各シーンがテーマに沿っているかといえばそうでもないし、“コメディ”と銘打ちながらほとんど笑えなかった。ラスト近く、主人公の元カノが、あんなに忌み嫌っていたのに、悲惨な少年時代の体験を聞いて急に翻意し主人公に心を寄り添わせるというのはあまりにも不自然だ。(それとも前半の彼女の態度も嘘であったのか。そうであれば私にはわからなかった。)役者でいえばパンチライイン少女役の田代絵麻は卒ない役者の中でもこなれいている感じで台詞回しは見事だったがあまりにも早すぎて何を言っているのかわからないところもあった。(特に歴史上の人物の名言を言って呪文をかけるシーン)それとチェロとヴァイオリンの生演奏はもう少しうまい使い方はできなかったのかと残念。役者の台詞に掛かって台詞が聞き取りづらいシーンがあった。携帯電話の着信音もいただけない。もうひとつ、黒装束の「コロス」が出てきた意味がわからなかった。
第6回本公演 サロメ

第6回本公演 サロメ

劇団新和座

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2013/02/16 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★

作品の持つ空気を大切に
観る前は翻案物だろうと思っていたのだが、どうやら原作に忠実だったようだ。(未読なので確かではないが)翻訳劇というとどうしても新劇団がある程度規模のある劇場で豪華な舞台装置と衣装で上演する芝居、というイメージがあるため、いろんな面で貧弱さ、底の浅さが見えたと言わざるを得ない。セットのない狭い舞台であり、衣装もごくシンプルなものなので(履物もゴムサンダルだった)当然のごとく観客の視線は役者の演技に注がれる。台詞の面でいうと兵士役の佐原功は滑舌が悪く何を言っているかわからないことが多い。サロメ役のならりえは朗誦するような台詞が多いのだが早口になると後半モゴモゴ言ってしまい聞き取りにくい。(台詞が早口になるのは感情の高ぶりを表すためと思われるがこうなっては本末転倒である。)領主エロド役の古川康史は擦れ声で王の威厳が感じられなかった。また兵士役の二人はサロメ、エロディアス、エロドらの台詞の間、後ろに控えているのだが、一方は終始しかめっ面をしているし、一方は終始ポカンと驚いた表情でいるしで、表情の変化が乏しすぎた。台詞によってもう少し変化をつけるべきだ。唯一いいと思ったのがサロメがヨカナーンの首を抱いて愛を語るシーンで流れたパッヘルベルの「カノン」。この選曲はカノンの流麗さと対照的なシーンには打ってつけだった。古典劇を上演する若手劇団は少なかろうし、そういう意味では貴重な存在である。今後の活躍に期待したい。

トリオ

トリオ

LEMON LIVE

OFF OFFシアター(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★

三女優の競演
個性豊かな三人の女優が言葉をぶつけ合い、体をぶつけ合いパワー全開で演じたコメディだ。三女優に乾杯。

ネタバレBOX

トリオ漫才自体は今イチだが要は楽屋の三人である。前説担当のトリオさんをめぐり恋の鞘当て。姉御肌でキップのいい寿美姉さん(西牟田恵)、純粋でちょっとおバカな利津子(野口かおる)、小利口で小悪魔系の緒理恵(武藤晃子)。三人三様でありながら見事にマッチしてまさに「トリオ」であった。トリオさんからの電話ではないかと三人が受話器を奪い合うシーンはドタバタ喜劇の様相を呈し「滑稽」もここに極まれりという感じ。アフタートークで当日ゲストの山路和弘さんが「出待ちをしていてもアドリブが多くて困った。」という趣旨のことをおっしゃっていたが野口かおる嬢の「四谷怪談」と「番町皿屋敷」が云々、のシーンや寿美姉さんの平手打ちや緒理恵の喉輪のことを訴えていたシーンなどが思い浮かぶ。このあたりはかおる嬢の真骨頂といった感じでファンとしてはうれしかった。最後のドンデン返しはちょっと騙されたかな。(展開からして殺傷沙汰はおかしいだろ、とは思ったのだが)斉藤栄作さんの作品は初めてだが、今後の「LEMON LIVE」は注目していこうと思う。

笑う通訳

笑う通訳

電動夏子安置システム

上野ストアハウス(東京都)

2013/02/15 (金) ~ 2013/02/20 (水)公演終了

満足度★★★★

メンバー班を鑑賞
単純に好きな笑いだな、巧いなという印象。

ネタバレBOX

キオソ語の影響ではないのだろうが体調のせいか、不覚にも前半少し眠気が出てしまった。しばらく状況を把握するのに必死になる。(キオソの警察、外交省の役人、2つの通訳班という役柄がすぐに理解できなかった。)多少複雑な構造になっているのは確かだ。台詞回しは早いし。しかし、これだけ涙を流して笑った作品は久しぶりだ。しかも何回も。特に外交省の役人、鶴田(なしお成)が後輩に厳しいキャリアウーマン風のキャラだったのが、通訳のデタラメな知識、誤訳により相手の鼻に自分の鼻を擦りつけたり、つばを吐きかけたりするシーンは2班とも大笑いし涙が止まらなかった。ただ皆さんのご意見にもあったように、それそれの通訳班の側から交互に描いているので、少ししつこく感じる、テンポが落ちるなどの欠点も頷ける。ただそれがあるから面白みも増すという逆の面もあるし。難しいところだ。いずれにしても緻密な脚本には感嘆する。またメンバー班だけあって役者が完全に役を自分のものにし、作家の言葉を伝えてくれているのでより上質な舞台になっていた。
れいのへや  【劇団未成年 第7回公演】

れいのへや 【劇団未成年 第7回公演】

★ 劇団未成年 ★

アドリブ小劇場(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★

万人受けするのだろうが
私にはひとつも響いてこなかった。教育映画ならぬ、教育演劇とでもいったらいいだろうか。

ネタバレBOX

ラスト近く、教授の台詞で「命を大切に」、「苦労や悩みがあって初めて喜びや楽しみがある」などのメッセージを語らせるのはお粗末というほかない。(その前に、霊界では苦労がなく、贅沢三昧、でも彼らに喜びはない・・・というシーンがあったようだがインパクトが薄くてこれだけではメッセージが伝わってこない。)隈取をした寿司屋、ダンディを気取った探偵、謎の霊媒師など、特異なキャラクターを登場させて物語にアクセントをつけ、且つ笑いも取ろうとしていたようだが効果がなかったとしか思えない。あざとさが見えてしまうのだ。観客はそれに気づくと途端に引く。地元密着型の劇団なのだろうか、場内は高齢の方も多く見受けられた。老若男女にわかりやすいという意味ではこれでいいのだろうが、私には味気なさしか残らなかった。
おかえり、ギフト

おかえり、ギフト

春の日ボタン

「劇」小劇場(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

やっぱりほんわか系が好き
勘違い、すれ違いで生まれる笑いというのはベタではあるが、やっぱり笑っちゃいます。

ネタバレBOX

場面が実家、喫茶店、ウエディングサロンと3場、物語は2篇からなるオムニバス。「おかえり編」は生前葬での母の挨拶で終わった時は、少しあっさり終わった印象だったがこれでよかったのかな。あまり前半の物語を膨らませすぎて、時間的にも内容的にも後半が萎んだ印象になってしまうのも避けなければいけないし。作者はきっと前半と後半のバランスに頭を悩ませるんだろうな。「方南ぐみ」でよく拝見していた山素由湖さんの隣家のおばさん、とても素敵でした。「ギフト編」は結果はなんとなく予想できるもののそれでもハラハラしちゃうという展開。巧いです。もっと早く「春の日ボタン」を知っていればよかったと思います。次回作も期待します。
西暦2040年に死んだばあちゃんの娘

西暦2040年に死んだばあちゃんの娘

コーヒーカップオーケストラ

シアター711(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

コヒオケよ、そのまま突き進め
前作より笑いが洗練された感がある。ギャグの連発に苦心の跡が窺われてますます好きになった。

ネタバレBOX

初っ端の物語之介の登場はちょっとどうかな、と思ったのだがまあナビゲーター役ということで後で納得。何しろ物語があってなしのごとくだ。ギャグは相変わらず言葉遊びが中心だが、今回は洗練されていて嫌味がなかった。とにかくこれだけギャグを詰め込んでいくというのは大変なことだ。そのパワーには敬服する。今公演のポイントは、客演の女優だ。それそれ見事に役にはまっていた。特にお母さん役のタカハシカナコのコメディエンヌ振りには大笑いした。よし、彼らをこれから愛を込めて「コヒオケ」と呼ぶことにしよう。うーん、どうも語感がイマイチだがこれしか略しようがない。今回の「馬鹿馬鹿しさ」は中の上くらいだろうか。コヒオケよ、そのまま突き進んでくれ。そしてギャグキングを目指してくれ。応援するぞ。
あと、モリサキさん、チョコありがとう。おいしかったです。

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