遊民の観てきた!クチコミ一覧

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ウィンカーを、美ヶ原へ

ウィンカーを、美ヶ原へ

kitt

駅前劇場(東京都)

2013/07/26 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★

基本は「恋」
設定が「パーキングエリアで足止めされた人々」ということで、観ていて各グループが徐々に関わっていく様子に違和感がなく心地よい流れになっている。(舞台に標識があるだけでも、パーキングエリアの輪郭が見えてくるようでいいですね。)
また基本テーマに「恋」を据えることによって、物語にブレがなく、各人のキャラが浮き彫りにされていく展開に土田氏の巧さを感じる。
ラストは少し違和感もあったが、ストーリーに捻りを加えるという意味でも、足止めの原因である殺人事件を登場人物に絡ませるという意味でも必然だったのかも知れない。
いやっー、土田作品は面白い。

遠くに行くことは許されない

遠くに行くことは許されない

セロリの会 

「劇」小劇場(東京都)

2013/07/25 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★

ちょっと展開が…
物語の説明からして幕開けからドーンと暗いシーンなのかと思いきや、家族団欒の食卓風景という感じでいささか拍子抜けした。


何がいけないって、22年前に行方不明になった妹が見つかったと連れてこられた女性がいきなりロープでぐるぐる巻きに縛られているではないか。長い間探し続けてやっと見つかった彼女がビックリして逃げないようにという気持ちはわからない訳ではないが、ちょっと行き過ぎではないか。


また妹として連れてこられた女性、上原優がいつの間にか花井家に入り妹ユウコとして生きていこうとする様や、花井家長男の篤と優がお互いに家族の中で異端の存在であり、似通った生き方をしてきたというだけで、いつの間にか惹かれあい二人して家を出ようと決心するという展開はあまりにも唐突で不自然さを感じざるを得ない。


別に物語だからあくまでもリアルを追及しろとは言わないが、物語には物語のリアルがあるはずではないか。私にはどうしてもそれを逸脱しているように思えてならない。


他にも公演チラシに“切ないコメディ”との記載があるがコミカルなキャラクターを登場させて笑いのシーンを作り、コメディと謳うなら、それはコメディとは言わないだろう。それなら全編通して笑えなければならない。もしくは兄妹や幼馴染が上原優を妹と思い込み、異様なまでに必死になる様を「人間の可笑しみ」として広い意味で「喜劇」と捉えるとしても各人の描かれ方が浅すぎてそのように感じられない。


観客というのは登場人物のセリフ一つ一つに無意識のうちにYes、Noの答えを出しているものだ。そういう意味で納得できない作品だった。


あっ、それから役者さんはそれぞれ素敵でした。

夜叉綺想

夜叉綺想

劇団唐ゼミ☆

浅草花やしき裏特設テント劇場(東京都)

2013/07/13 (土) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

初めての唐作品
50分ずつの3幕構成(途中10分休憩2回あり)で約3時間の大作。テント芝居も唐作品も初めてだ。桟敷席は板に茣蓙を敷いてあり座布団などはない。お尻は痛くなるしやっぱり疲れたな。でもこれがテント芝居なんだよね、きっと。ブルーシートに包まれた空間はやっぱり芝居小屋という雰囲気でどこか魔窟のような雰囲気は堪能できた。

物語の方は、自分の兄を手術によって廃人のようにされてしまった女、牛乃京子の復讐劇なのだが、長台詞を早口で喋るような場面が多く、展開が掴みにくかった。白塗りや派手な化粧の登場人物たちは、いかにも昭和チックで猥雑で、見世物的な印象が強い。役者のエネルギーがそこかしこに迸るようで観ていて圧倒された。

結論から言えば唐さんの作品は一度観ただけじゃわからないな、といこと。こんな感想で恐縮だが機会があれば唐組も含め、再度チャレンジしてみたい。ということで★は付けがたい。

さらば、クリーニング店 しろくま屋。

さらば、クリーニング店 しろくま屋。

劇団青い鳥

タイニイアリス(東京都)

2013/07/24 (水) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★

ピュアな魂に感謝
私は80年代初頭の小劇場ブーム時に、いわゆる青春時代を送ったため「青い鳥」という劇団は知っていた。ただ未見だったので今回拝見できて本当に良かったです。上演時間75分という小品ながら本当に胸が熱くなるハートフルな作品です。

ネタバレBOX

姉と弟の掛け合いがなんともほのぼのしていていい感じです。特に二人で並んでスイカを食べるシーンは印象的です。

数ケ月前に天国に旅立った母が舞台の隅で姉弟を心配そうに見守りながら、ずっーと編み物をしている。ラスト近く、母はそっと編み上がった腹巻をダンボールの上に置く。姉、夕のために編んだ、弟、野武男とお揃いの腹巻。そういうことだったのかと胸を打つ美しいシーンだ。

ラスト、障害を抱えた弟が発表会で踊る予定のダンスを披露する。曲(「ハナミズキ」)のイメージを体中で表現するその姿に、なんだかピュアな魂の発露を感じて心が洗われる思いがした。野武男を演じた上月陽平さん、表現力が素晴らしいです。
虚人の世界

虚人の世界

公益社団法人日本劇団協議会

劇場MOMO(東京都)

2013/07/19 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★

演劇的ではあるが…
観客としてここに描かれている世界に浸りこむには相当な想像力と観劇中、そのイメージを保持し続ける持続力が必要だと感じた。結構シンドイ作品だ。

ネタバレBOX

板や擦りガラスに、各シーンのキーワードになる言葉や物体の形状を描いて見せるという手法はなかなか良かった。視覚に訴えることによって、観客のイメージを喚起する役割を果たしていた。(徐々に垂れてきて消えていくというのも趣があっていい感じ。)

また、4人の男優が夫を、3人の女優が妻を、入れ代わり立ち代わり演じたのもテンポがあって面白いし、この作品にはピッタリだった。一人で演じ続けるとなるととてつもなく重たい作品になっていたと思う。(そうでなくても重いのに)

こんな実験的で面白い手法とは裏腹に、物語の方は進むにつれて重く暗い「異形の世界」にどんどん入り込んでいく。正直、私は役者の口から発せられる、異様でグロテスクな「異形たち」の姿形を明確にイメージできずに終わってしまった。そのため物語に入り込んで、その世界を(ある意味)楽しむことができずただ茫然と眺めていることしかできなかった。当日パンフに作者の川津氏が“孤独とホラーの関係”について触れているが、そういった視点でこの主人公の男を観ていたらまた違った感想を持ったのかもしれない。
ヴェローナの二紳士

ヴェローナの二紳士

ハイリンド

吉祥寺シアター(東京都)

2013/07/08 (月) ~ 2013/07/15 (月)公演終了

満足度★★★★★

ハイリンド版、楽しい!
シェークスピアというと敬遠してしまいがちだったので(彼の作品は重厚な悲劇の方が印象が強いせいか)観る前は多少不安だった。しかしハイリンド版はその不安を吹き飛ばす楽しいものでした。
何よりストーリーが分かりやすく、恋愛における男女の心理を最も単純化した形で描くことにより、こちら側に情感がストレートに伝わってきた。(もちろん原作がそうなのだろうが、きっと松岡和子さんの新訳に因るところが大きいのではないだろうか。)
特に印象に残るシーンがフローディアス(井原農)を想うジュリア(はざまみゆき)が 少年の姿で一人佇み独白するシーン。“嗚呼、なんという乙女心の切なさよ”と、オジサンもジーンときてしまいました。またその時の彼女の表情も素敵だったし、なによりその発声の美しさに聞き惚れました。
長く独特なセリフ回しは(ある程度予測していたこともあって)それほど苦にならなかっし、ラーンス(高木稟)の関西弁も不思議と物語に溶け込んでいました。
そして何より感嘆したのはラストのパイ投げです。ハッピーエンドで終わる物語の登場人物たちの喜びをMAXで表現したシーンであり、古典劇の枠組みをいいかたちで崩すという「してやられたり」の表現でした。
素直にシェークスピアって面白い、演劇は面白いと感じた作品でした。

ミニスカーツ (チケット残り僅か!ご予約はお早めに!)

ミニスカーツ (チケット残り僅か!ご予約はお早めに!)

INUTOKUSHI

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2013/07/05 (金) ~ 2013/07/09 (火)公演終了

満足度★★★★

割と好きかも
初見です。全体的にベタでちょっとシュールで割と好きなタイプの笑いかもしれない。
一番好きなのはミニスカート②「GIRLY♡GIRLY」。話があっちゃこっちゃ飛んでちょっとシュールな展開だけどなんとなくうまく収まっている感じが良い。鈴木アメリをはじめ、5人の女優の魅力も存分に出ていたんじゃないだろうか。
「新宿~SHINJUKU~」は一つのフレーズで通しちゃうっていうのがすごいね。パワーを感じた。
「OCEAN~失われし七つの秘宝~」は計算しつくされたグダグダ感をそのまま見せるという、いかにもありそうで実はなかなかないパターン。新鮮だった。
「キヲク」も発想が面白いね。
「老いのり」は皆さん仰るように設定は面白いのに、それで力が入りすぎたのか、展開はいろいろぶっ込もうとして逆にしぼんでしまったような感じかな。笑いって難しいね。
「犬と串」は初見でこの短編集が観れてよかった。笑いのベクトルに多様性がありそうなので今後に期待します。

アガリスクエンターテイメントコーヒーカップオーケストラ

アガリスクエンターテイメントコーヒーカップオーケストラ

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/06/29 (土) ~ 2013/07/06 (土)公演終了

満足度★★★

まっ、ウィークエンドシャッフルですから
二つのコメディ劇団のコラボ公演というよりコラボ祭り的雰囲気だったかな。シアターミラクルという劇場もライブ感を盛り上げるキャパシティだったし。

どちらかというと「シチュエーションコメディレクイエム」のほうが好みかな。人格が入れ替わるというのは「転校生」以来、お馴染みのパターンだけど、これだけスピーディーに(徐々にスピードを増した感じ)次々と入れ替わると観ている方は楽しい。しかも白いキャップに大きく名前が書かれているのでわかりやすい。

「ナイトステーション」はいまいちストーリーが掴みづらかった。時々小ネタでクスリと笑えるのだが、いつもの笑いの爆発力は感じられなかったようだ。時に悪ふざけに傾く傾向があり残念。だけどそんなところも「コヒオケ」なら許せてしまうのだ。逆のことを言うようだが後藤さんのはじけ具合は痛快でもあった。

「トリッパー」は結構楽しめました。

最後のグリーンマン(?)はちょっと中途半端でしたね。一緒に出てきた宮本さんが(時間を気にしていたのか)ちょっと素に戻っちゃってました。後藤さんのように最後までバカやってほしかったなあ。

シャッター

シャッター

バッカスカッパ

劇場HOPE(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

鮮やかに切り取られた日常風景
とにかくホッとするようなあったかい空気感が抜群だった。私の最も好む作風かもしれない。
田舎町の食堂兼居酒屋で展開する物語は登場人物がそれぞれ同級生同士だったり、先輩後輩の仲だったりしてアットホームな雰囲気に溢れていた。(役者がそれを感じさせるだけの演技をしていたということだろう。)
彼らはそれぞれ悩みや問題を抱えているのだが、それがうまく物語に組み込まれていて観ていて飽きさせない。またいいタイミングで随所にコミカルなシーンがあり、その笑いのセンスも好みだった。
ラストはなんとなくフェードアウト、というか「つづく・・・」のような感じで終わったがこれはこれで納得できた。(できればパート2を上演してほしい位だ。)
いやっー、楽しかった。

ことほぎ

ことほぎ

文月堂

「劇」小劇場(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

小劇場的エンタテインメントだなー
小さななアパートを舞台に巻き起こる出来事を描く群像劇というのはありがちな設定だが、小規模の小屋で行われる芝居には一番シックリくるじゃないだろうか。
群像劇でたまに見られるのは、登場人物の紹介的な内容が長く、各人のキャラクターが不明瞭なまま進行していくという展開。この作品はそんな危惧をはね飛ばし、各人のキャラクターの輪郭が明瞭かつ個性豊かで観る者を存分に楽しませてくれる。
物語の方もドラマとコメディの要素がうまく融合していエンタテインメントの要素も十分だ。
印象的なシーンはアパートの管理人、渡橋美奈子が折り合いが悪かった兄嫁の差し入れである砂糖のかかったトマトをむさぼるよう食べるシーン。彼女の本音が吐露され、そこに兄嫁の思いが重なり、こちらの胸に沁みこんでくるような美しいシーンだった。
もうひとつ、役者で注目したのが双数姉妹の辻沢綾香さん。彼女はいくつかの舞台の客演で拝見していたが、今回も個性的なキャラを演じ切って大いに笑わせてくれた。今後も期待の女優さんです。

Call me Call you

Call me Call you

劇団6番シード

吉祥寺シアター(東京都)

2013/06/27 (木) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★

雰囲気だけでは・・・
皆さん絶賛されているところ恐縮だが私は少々退屈だった。のっけから大型トレーラーに映し出されたタイトルに期待は高まったのだが始まってしばらくはただバタバタしているだけの印象。緊迫した雰囲気を出そうという必死さが伝わってくる。
老婦人の交渉人は登場の抜けた感じ、そしていざ交渉が始まると相手の心理をうまくつき真相を暴いていく・・・、というのは正直ありがちなパターンで新鮮味がない。宇田川美樹はうまく変装し年齢相応の雰囲気は出していたと思うが私はどうしてもあの口調、声音が好きになれなかった。
またトレーラー内の警察、特殊班捜査係などの面々は、交渉人と犯人とのやり取りのたびに各々が各々なりの一様な表情、動作をしているように思えてならなかった。(不安そうな表情で交渉人を見つめる。腕を組みイライラ感を募らせる等。)緊迫感を出そうと言う雰囲気は伝わるがそれがストレートにこちらに響いてこないのだ。
正直、この内容は舞台で表現するには非常に難しいと言わざるを得ない。どうしても映像表現と比較してしまうのだ。映像であれば交渉時には交渉人がアップになりスピード感、緊張感が損なわれることはないだろう。舞台でこれだけの人数が出ていて同等の表現をするのは至難の業だ。
脚本はよくできていて役者の表現力もあるのだが、(役者それぞれの個性が生かしきれていなかった感もあり)そんなところから私の中ではスリリングな展開とはいかなかった。
唯一いいと思ったのはラストまで声だけの出演だった犯人役の藤堂瞬。彼の絶望感や孤独感がひしひしと伝わったリアルな演技だった。

班女/弱法師

班女/弱法師

shelf

d-倉庫(東京都)

2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

刺激的、ではあった
我々はお互いに向き合って相手に言葉を投げかけるのが「対話」であると考えているわけだが、この登場人物たちは正面を向き言葉を発する。ただそれがこの三島作品の舞台においては逆により「対話」の成立度が高く各々の感情(情念とでも言おうか。)がダイレクトに伝わってくる。
どうやら舞台上の仕掛けがあったのか、役者の声がいつになく響いて聞こえたのも手伝っていたが、多分に演出家及び俳優たちがこの美しく、人工的で、装飾的な三島作品を深く理解し観客に伝えるだけの力を備えていたと言うべきだろう。
私は芸術的な作品は苦手な方であり、本来なら「チェッ、芸術気取りやがって。」と苦々しく思うところだが、この二作品については身体表現も含めて結構すんなりと受け止めることができた。いい刺激をもらった。

『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』

『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★

『うそつき』を観劇
最初から最後まで「うそ」にまつわる物語で、いくつかのうその配分もちょうどよかった。登場人物4人がそれぞれ、うそをつくし。(板垣のは本当だったのかな?)
今回、改めて会話劇というのは登場人物の距離感だったり位置関係というのが重要なんだな、と思った。(それは左右に離れて言い合うナイルと板垣だったり、ラストの奥の椅子でつぶやくスランプだったり、後ろ向きで寄り添う板垣とギーコだったり。)
その点、この「スタジオ空洞」という新たな空間は奥行きがありガランとしていてこの芝居にピッタリだったなと思う。
それにしても国が戦闘状態に入ろうかというのに(ナイルは新聞を読んでしきりに気にしてはいたが。)、結局日常的な会話のやり取りに終始するっていうのもなんだか面白い。人間って、いざとなってもこんなものかもね。

ファミリーナ

ファミリーナ

雀組ホエールズ

OFF OFFシアター(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

満足度★★★

物語とテーマ
タイトルからもわかるようにこの物語のテーマは「家族」、そして下宿人たちの抱える「夢」だったりする。(当日パンフに作者も書いているとおり)
その点から考えると、前半はキャストが多い芝居にありがちな役柄紹介的なシーンが目立った。それぞれの夢の話も出てくるのだが描き方が浅く、ただ並べただけの印象で終わっている。
また「家族」の方は家主の山田一徹、亡き妻の春奈、娘の美奈子である。
私が鈍感なのだろうが、初っ端から登場する春奈が、一徹と二人きりになるシーンまで幽霊(幻影?)だと気付かなかった。それ以後は夫婦間の愛情が感じられる展開だったが、前半にもう少し若かりし頃の二人のエピソードなどを入れてもらえると、壊れたゴリラの時計の話ももっと生きてきたように思う。
一徹と美奈子の関係も同様である。頑固親父の一徹が彼女の結婚を許すシーン。本来最も感動的なシーンだろうが私にはそれほど響かなかった。父娘の情愛シーンが前半にもう少し欲しかった気がする。
ということで、ファミリードラマとしてはそれなりに楽しめるが、物語が拡散しテーマが希薄になってしまった分、インパクトに欠けた印象である。

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

テレビが一番つまらなくなる日(2013年版)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2013/06/19 (水) ~ 2013/06/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

日本版エンタテインメントここに極まれり
とでも言いたくなるような出来だった。
「選挙特番」直前のテレビ局を舞台に、登場人物それぞれの思惑が絡み合って紡ぎ出された極上の人間ドラマを見せてもらった。
生放送直前に起こった事件を暗転なしのワンシチュエーションで見せるスピード感溢れる展開でどんどん物語に引き込まれていった。生本番が刻々と迫るなかでどう事件を解決に導くのか、一瞬足りとも見逃せない展開はサスペンス要素満載で最後までハラハラさせる。
さらに個性豊かなキャラクターたちが見事に配され、役所陣の力量と相俟って、この物語を一級品のコメディに仕上げていた。無名の新人候補渡辺を演じた菊池均也さん、いい味出してたなー。

不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

「奇妙な狂ったボウシ」観劇
思いがけない展開に少々戸惑い、昔はこういう難解な芝居が今より多かったよなー、などと思いながら観ていました。

ネタバレBOX

盲点の話、ジャコメッティの話あたりまではフムフムと納得しながら観ていたのだが段々何がなんだかわからなくなり。やはりシュールレアリスム自体を深く理解しないと難解な作品であろう。(フロイトの考察やブルトンの「通底器」についての理解が必要である。)
そこで途中から物語よりも役者に注目して観ていた。皆さんのコメントにあるように川添美和の存在が光る。彼女は超現実の世界を現実世界との地続きのようにいともすんなりと演じていたように見えた。彼女の存在なしにはこの作品は成立し得なかったろうと思う。今後いろんな役柄を演じてもらいたい女優である。
ということで作品については星が付けられません。
志ん輔のマイ・ド・セレクション

志ん輔のマイ・ド・セレクション

華のん企画

国立演芸場(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/13 (木)公演終了

満足度★★★★★

たっぷり堪能しました
休憩を挟んで2時間50分の高座。たっぷり楽しませていただきました。
一朝師匠の「芝居の喧嘩」。江戸っ子らしい威勢のいい演目で、最後サラッと終わるところがいいですね。
志ん輔師匠の「佃祭」。聴かせますね。ただ不勉強でサゲがわからなくて、後で調べてそういうことか、と。
ギター漫談のペペ桜井さん。ベテランの貫禄ですね。
ホール落語に行くことが多いので(最近はとんと寄席にも行ってない。)、国立演芸場の雰囲気を味わえて満足の一夜でした。

飛ぶ金魚

飛ぶ金魚

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/19 (水)公演終了

満足度★★★

ベルボトムVer.
コメディ部分はベタな笑いだけど、こういうのが一番安心して観られて素直に笑える。(お笑いコントに近いかな。)
でもドラマ部分は、深刻な問題であるDVを(それもダブルで)ドラマをドラマたらしめようととして安易に取り上げているようにしかみえない。この手法は頂けない。
また、登場しない一家の父親の言葉を、彼の再婚相手になる内堂聡子が説明口調で三女、杏子に伝えるシーンがあるが、これではこちらの気持ちが盛り上がらない。シリアスドラマは正面切って見せるのでなく「何気なく」、「さりげなく」見せる部分があった方が効果的と思うのだが如何だろうか。

うさぎストライプも演劇展『おやすみなさい』

うさぎストライプも演劇展『おやすみなさい』

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

これもひとつの表現
青年団演出部所属の若手演出家の作品は、一般的な「演劇」の枠組みからちょっと外れた作品が観られるのでなるべく観たいと思っている。「うさぎストライプ」は初見。
ポップなサウンドも含め表現としては面白く感じた。ただ(夢の話なので仕方ないのだが)、女の子の分身たちが脈絡のないストーリーを語り続けるのは少し退屈。うさぎのダンスは可愛かったですよ。彼女が夢の中では自由に動いている感じがして。

姐さん女房の裏切り

姐さん女房の裏切り

千葉雅子×土田英生 舞台製作事業

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/12 (水)公演終了

満足度★★★★

濃密な二人芝居
組長の妻だった女と鉄砲玉だった男。初っ端から二人の軽妙洒脱なやり取りに引き込まれて観るうちに、この会話劇は何事もなく進行していく。
しかし、途中でふと思い出す。「あれ、タイトル、『姐さん女房の裏切り』だったよな。」すると、二人の会話の全てがこのタイトルに収束されていくことに気付くのだ。二人で暮らしたこの二十年がわずか70分の間にギュッと凝縮されていることに圧倒されるのだ。これは緻密に構成された脚本の力であり、何気ない会話の中に男女間の機微を感じさせる二人のベテラン演劇人の力だ。リ・クリエイション後の作品もぜひ拝見したいと思う。

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