恐怖が始まる 公演情報 ワンツーワークス「恐怖が始まる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇的表現力の高さ
    まず冒頭のスローモーションとストップモーションの身体表現にハッとさせられた。「徐々に恐怖が迫ってくる」という表現にピッタリだったから。また同じ茶の間なのに、二つの家族が瞬時に入れ替わり場面が転換していく手法も面白い。演劇ならではの表現力の高さを感じた。また、役者陣の安定した演技力も相まって見応えのある舞台となった。
    この物語で語られるのは「見えないもの」(放射能汚染)を、時の経過とともに「ないもの」「なかったもの」にしてしまう「人の心」の恐ろしさ。これは我々に突きつけられた大きな問題である。
    それどころか、渦中にいる原発作業員でさえ、組織のため、義理や面子のため、「見えないもの」に蓋をして「ないもの」にしてしまうことの愚かさ。ラスト近く、仕事を続けようか、やめようかと迷う若い作業員に白血病で亡くなった年嵩の作業員の妻が「自分の真ん中にあるものをまっすぐに見つめて答えを出す」よう話すシーンがある。そう、「命より大切なものなんてないんだよ」というシンプルかつストレートなメッセージが痛いほど突き刺さってくる。ラストの、登場人物たちが1からカウントしていくシーン。一つ一つに祈るような思いが込められていたと感じたのは私だけだろうか。

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    2013/06/06 14:30

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