満足度★★★★
濃密な二人芝居
組長の妻だった女と鉄砲玉だった男。初っ端から二人の軽妙洒脱なやり取りに引き込まれて観るうちに、この会話劇は何事もなく進行していく。
しかし、途中でふと思い出す。「あれ、タイトル、『姐さん女房の裏切り』だったよな。」すると、二人の会話の全てがこのタイトルに収束されていくことに気付くのだ。二人で暮らしたこの二十年がわずか70分の間にギュッと凝縮されていることに圧倒されるのだ。これは緻密に構成された脚本の力であり、何気ない会話の中に男女間の機微を感じさせる二人のベテラン演劇人の力だ。リ・クリエイション後の作品もぜひ拝見したいと思う。