四番倉庫
青年団リンク 二騎の会
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/06/04 (土) ~ 2011/06/15 (水)公演終了
満足度★★★★
負のレンサ…
『面倒くさい』『居場所がない』『妥協』『最悪』『寂しい』『打算』『場当たり的』『諦め』『沈黙』『無気力』『焦燥感』『孤独』『息苦しい』『不安』『死』
ネガティブな感情が渦巻く劇空間。でも、生きてるとこういう感情でどうしようもなくなることの積み重ねだよなって思う。元気もらうタイプの芝居じゃないけど、でも、共感する事で救われる思いもあるなと思いました。
どこへも行けない、負の連鎖は男特有のものなのだろうか?『あなたが生きているそれだけで素晴らしい』みたいな人生賛歌は、聞こえる人にしか届かないんだなって思う。でも、この芝居見て登場人物に共感したり心動かされて、生きる活力の得られる自分は幸せだと思う。それは見下して嘲笑する優越感ではなく、明日は我が身だと思う束の間の喜びだと思う。
それゆけ安全マン!?~レントゲン・チェルノブイリ・フクシマ~
非戦を選ぶ演劇人の会
笹塚ファクトリー(東京都)
2011/06/03 (金) ~ 2011/06/03 (金)公演終了
満足度★★★★★
今、観るということ
日本の原子力政策の流れから、3.11を経て現在までの情勢を、しっかり調べてるな、という内容のギュッとつまった朗読劇でした。政府やテレビの言う事が信用出来なくても、今はネットでツイッターやユーストリームで自分の目で真偽を問える時代ですが。でも、不勉強ながら知らない事も劇中にたくさん出て来て勉強になりました。どうしてこんなに、原発で被爆した人や、被災地にいる人、識者の発言など、情報を調べ抜いて、当事者意識に立った作品に出来るのかなって感心してしまいます。
8月の公演も、テーマは原発じゃないかもですが、是非見たいです。
IN HER TWENTIES
TOKYO PLAYERS COLLECTION
王子小劇場(東京都)
2011/05/31 (火) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
ずっと見てたいくらい
一人の20代の女性の10年間の機微を、過剰に力んでみせることなく、淡く愛しく表現する、居心地の良い空間でした。そうか、上野さんの作品はこの絶妙な感じが評価されてるんだなって確認出来て良かったです。
そうだよなーと思える共感があちこちに詰まっていて、物語の中に自分が溶け込んでいると、良いなと思うセリフが自然に出てくる。個性豊かな女優さんが揃い、巧みな演出で、普遍的な物語をここまで素敵に出来るのかと驚きました。
ホッパー
劇団森キリン
アトリエ春風舎(東京都)
2011/05/26 (木) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★
うぅ…
実験的な舞台だなって思いました。その試みはとても面白いと思いました。物語を疑い、時間を疑い、役者を疑い、観客には浮かんでは消える断片を提示する。でも、物語が見たくて、起承転結が理解しやすいお芝居を見たい人には向かない作品だと思います。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
わからなきゃいけない(裁きの日)
息づかいを感じれるほど役者さんと近くて、緊迫と臨場感を与えてくれる狭さならではの魅力。物理的な狭さもあるし、演出の見せ方もあるし。この空間が魅力的、そんな中で繰り広げられる濃密な法廷劇でした。そこには人が人を裁く事への葛藤があり、社会情勢で起こっている現実の重みがあって、賛否とか善悪ではなく、社会と自分の在り方でもがく人間性がじわじわ出るなって思いました。説明台詞的に感じる部分もありましたが、事実をきちんと調べて書いてるんだろうなって好感が持てますし、今一度『裁判員裁判制度』を見つめ直して受け止める必要があるなと感じる意欲作でした。スッと胸に落ちるセリフもたくさんあって、たくさんの人に見てもらいたいなと思いました。
メガネ夫妻のイスタンブール旅行記
城山羊の会
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/05/21 (土) ~ 2011/05/31 (火)公演終了
満足度★★★★
メガネまつりっっ
一組の静かに話をする夫婦の会話を聞いていた筈が、気がつくと、不条理な笑いの中にいた。めまぐるしく動く展開、こう終わるかというラスト。でも後味は悪くなかったです。色々頭の中で想像を膨らませました。
平田オリザ・演劇展vol.1
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/04/28 (木) ~ 2011/05/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
7つで断念…
雰囲気の違う作品を一度に味わえる素敵な演劇展でした。舌切り雀のフランス語版以外は見る事が出来て大満足です。
4/29(金)『さようなら』
心は人間だけのものか?アンドロイド初体験。人間に仕えるロボットって手塚治虫のマンガのイメージだけど(…古い)見た目が本当に人みたい。アンドロイドを介して聞く詩(声)は純粋に濾過された、決して機械的でない不思議な感じ。
4/29(金)『ヤルタ会談』みんな人間だもの馬鹿馬鹿しくて、風刺的で、大笑い。でも、周りの観客が笑ってるのに僕は所々理解出来なくて残念。学生時代に歴史の授業、寝てなければな〜。
4/29(金)『走りながら眠れ』
その空間が夫婦の生きざまのように。大杉栄について全く知識はないけれど、ただただ平和な日常風景。その会話が明るく楽しい程、弾圧や虐殺の影が見えてくるように思えます。
5/8(日)『舌切り雀日本語版』
演劇は国境を越えるんだなぁ。同じ回に見に来ていた子供が一つ一つの呼び掛けに素直に反応するのが面白くて、小さい頃から楽しい演劇に触れる機会って大事だなぁと思いました。舌切り雀ってこんな話だったっけ、知ったかぶりでオチとか忘れてたけどこんなだったのか。
5/10(火)『ヤルタ会談英語版』
日本語よりも乾いた印象。会場の笑いも日本語版より少なかった気がする。日本語独特の曖昧な言い回しは、英語では出ないんだなぁ。
5/14(土)『銀河鉄道の夜』
一人で佇んでいても孤独じゃない感じ、物語が自分自身に共生していく感じ、本作品は原作の魅力をより高めていると思います。受付でもらった、上演にあたっての文章に『このリーディング公演を被災地でも上演できないか可能性を探ってる』とあって、実現すると良いなと思いました。きっと勇気づけられると思います。
5/14(土)『マッチ売りの少女たち』
忘れても知らなくてもそこにあるもの。物語を解釈しようとしてもしても、登場人物の夫婦と同様に困惑してしまう。僕は終盤でようやく肩の力が抜けて、不条理な笑いを楽しめた様に思います。「戦後の荒廃」について僕らは知らなかったとか、忘れたとか、見てみない事には出来ないんだなぁ。そこに確かに在ったのだから。
あしたはどっちだ
渡辺源四郎商店
ザ・スズナリ(東京都)
2011/05/04 (水) ~ 2011/05/08 (日)公演終了
満足度★★★★
生を実感っっ
テレビのニュース見てて。加害者も被害者も事件を振り返って口を揃えて後悔するのを見る度に『馬鹿だなぁ、もっと早い段階でやり直しきくだろう。僕ならあーするな。』って思うのは俯瞰で見れる観客だからで、日常で自分を省みたら馬鹿な事ばかりだし、自暴自棄な事ばかりだ。
今作品の主題の死刑は、殺人犯とはいえ、人を殺す刑である訳で。
ゼロか100かで考えてしまう危険性はとても大きい。人が人を裁く事で社会がなりたってるなら、息苦しいから逃げ出したい。人を殺したり、自殺するよりは、逃げ出してしまおうって考え人を許容してくれる世の中であったら、もっと楽になれるのになぁ。そんな事を考えさせられました。何が正しいとか、誰が正しいってわかんないです。
観劇後に、「被害者と加害者の両面の心理が観れて面白かったなぁ」と感じたと同時に、「あー、やっぱり生きていたいなぁ」と思ったし、だからこそ日常の息苦しさと上手く付き合わないとダメだよなと思わせる作品でした。生きるって難しいっっ。
ひとがた流し
ブルーノプロデュース
タイニイアリス(東京都)
2011/04/22 (金) ~ 2011/04/25 (月)公演終了
満足度★★★★
演劇と小説のカベ
敢えて原作の言葉を削らずにそのまま生かす表現を選択し、小説から演劇へと表現を昇華させた演出家と、長編小説の膨大な台詞を飲み込んで体現した役者達には敬意で頭が下がります。そして何より、小説をそのまま演劇にしても耐えうる原作の言葉の力強さにも驚かされました。演出・役者・原作の三位一体の魅力 で3時間を超える上演時間は決して長くありませんでした。
小説と演劇の違いは山ほどありますが、表現形態として文字のみで読者の心を動かすための推敲の結果が原作であります。完成された一つの表現である原作を解体して、解釈を加えて、再構築する。その際に、原作の文章をそのままさらえば、当然小説と演劇の壁が生じて冗長になりかねません。しかしどうでしょう、 この観劇後に感じた独特な魅力の数々は。四季の移り変わりや、風景の描写をも台詞で伝える事はまるで詩の朗読を楽しむ風情があります。非口語的な、要所で感情や心情の吐露までも台詞で伝える言葉の数々は洗練されておりまるでシェークスピア劇を見ている趣きがあります。そして演劇には光があり、音があり、言語化出来な い機微を表わす声や動きがあります。見事に小説と演劇の壁を乗り越えて新しい世界に降り立った作品だなと感じました。
日常の連続が人生であるという自明の事実を淡々と、しかし観客の共感をつかんで放さない、思い出で紡がれた物語でした。若手の役者が多く登場人物の年齢と見た目の乖離はありますが、思い出や記憶の風景を重ねて見せる作品だからこそ、むしろ自然に見えました。古くからの友人との間ではすんなり時間の流れが 昔に戻るように、そして死後も近しい人達の記憶に生きているように。
過去に他の劇団公演で見た事のある役者さんもチラホラいて、新しい魅力を発見出来たのも収穫です。
右手にテニスボール 4月15日(金)19:30開演*当日券若干枚数あり!
田上パル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/04/15 (金) ~ 2011/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
ぜつみょーなレキシ
まさにグータンヌーボ、独特な設定に、間と空気が合わさって、クスクス笑いっぱなし。この空気、たまらない。この空間中にいるのは居心地悪いよなぁっていうシチュエーション。脚本も演出も文句無し。
アンダー・ザ・ロウズ
虚構の劇団
座・高円寺1(東京都)
2011/04/08 (金) ~ 2011/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
物語の力っっ
初虚構の劇団・初座高円寺。笑って泣けて、素直に面白かったです。きちんと各役者さんに見せ場があって、起承転結もしっかりして、物語自体はわかりやすい。でも、登場人物の葛藤やメッセージが胸に響く。登場人物や出演されてる役者さんとおそらく同世代の自分には、まるで自分の事を描かれてるような共感がありましたが、僕より上や下の世代の方はどんな風に見たのだろうと気になります。
青臭いと思われるのか、空想的で現実離れしてると思われるのか。世代を超えて共感できるのかなって思いました。
ピラカタ・ノート
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2011/04/09 (土) ~ 2011/04/11 (月)公演終了
満足度★★★
夢中な空間
クルクルと変わり続けるシーンと、独特な舞台空間で頭が痺れて心地よい。おもちゃ箱をひっくり返したような感じ。てか、おもちゃ箱そのもの。繰り広げられる物語も夢見てるみたいに自由で、奇抜で、でも暗示的で。そうか、だから夢中っていうのか、なんてどうでもいいことを考えてみたり。
目の前の空間を楽しんだって感じで、あんまり物語にうまくダイブ出来なかった。僕は浅瀬で終わっちゃった感じです。潜っていくと、より楽しいと思います、、、悔しいなぁ。
東京の空に
オーストラ・マコンドー
王子小劇場(東京都)
2011/04/02 (土) ~ 2011/04/10 (日)公演終了
満足度★★
イマジンっっ
お客さんの想像力を最大限に発揮させようとしている様な空間になっているのかなと思いました。物語は、まるで行間の多い現代恋愛小説を読んでる感じでした。舞台上の空気や雰囲気を楽しんで欲しいというイメージ。その行間(空気)には、登場人物同士の葛藤や駆け引きがあるんだと思いますが、僕はうまく想像出来ませんでした。共感出来る部分もありましたが、あまり心に残りませんでした。
男亡者の泣きぬるところ【当日券予約受付中!!】
赤星マサノリ×坂口修一
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/31 (木) ~ 2011/04/03 (日)公演終了
満足度★★★★
ドトーの演劇パワー
バカバカしいほど転がり続ける物語の展開と、暴れ続ける役者二人のエネルギー、この全力で汗かく感じ(特に坂口さん)、久しぶりに腹から笑いました。設定がエレベーターの中って狭くないの??って思って見てたら、二人芝居でこんなに物語の世界が広がるのか〜と嬉しい驚きです。それも、こだわって一人芝居をやり続けてきた二人だから出来る公演なんだろうなと思いました。こういう情勢の時こそ、お芝居見て元気を出すって大事だと思います。頭空っぽで笑える舞台でした。
母アンナの子連れ従軍記
サラダボール
アトリエ春風舎(東京都)
2011/03/19 (土) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
でも、生きる
すげーポップ。学生時代から本当に歴史とかダメだったから、当時の時代背景とか全くわからないんだけど。不勉強だから、ブレヒトとか読んだ事も見た事もなかったけど。でも、楽しかったです。
バルカン動物園
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/18 (金) ~ 2011/03/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
今、見るということ
情勢が不測の大惨事で混乱する中ですが、出会えて良かったと思える心動かされる舞台でした。舞台のテーマの科学と、情勢の原発とを無理やり重ねて見てしまう自分もいましたが、生きる事の当たり前の喜びを感じさせてくれる内容だなぁと思いました。目の前で自分の人生とは別の日常がリアルに、でも淡々と描かれる、青年団の舞台では日常が何でこんなにドキドキするんだろう。そして幸運にも、劇場に足を運んで芝居を見れる自分の日常をとても喜ばしく思います。
ネズミ狩り
劇団チャリT企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/03/03 (木) ~ 2011/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
どっしり
チャリT体験は3回目なのですが。前2回は、割と物語があってないような内容だったので、起承転結がはっきりしててびっくりしました。でも、何か観劇後いろいろ考えてしまいます。他の方の感想読んで、なるほどな〜って、すごい共感したりしました。
シングルマザーズ
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2011/02/20 (日) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
飛び込んで大正解っっ
当日券で飛び込んだのに、幸運にも前列の方のとても良い席で見れてラッキーでした。タイトルからどストレートな内容なのに、すごくリアルな世界で時にゾクゾク緊張して、時にゲラゲラ笑える、すごく良質な演劇を体験できました。決して頭でっかちに難しく考えこまずに見れる舞台。でも観劇後には、僕らの生活は社会や政治の動きと密接につながってるんだなって思える、何だか色々考えさせられる舞台でした。本当に見れてラッキーでした。
とか書いていますが、正直に告白します。実は当初は「南へ」の当日券目当てで芸術劇場に行きました。でも、すごい当日券目当ての長蛇の列を見て諦めて。帰ろうとしたら、「シングルマザーズ」発見。あ、これ見たかったやつだって思って飛び込んだんです(公演日程が頭から抜けてました)。でも、結果的に大正解でした。
青ひげ先生の聴診器
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2011/03/04 (金) ~ 2011/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
まっすぐすぎだけど
今の医療情勢を如実に現している、心温まる人間ドラマ。もっと多くの人に見てもらいたいな、って思いが詰まってる。ただ、観劇前に懸念していた通り、観客を信頼していない舞台だなって思いました。製作者が伝えたい思いが全部台詞で説明されてしまうと、観客は何も考えないでお芝居を見に来てると思われてるのかなって不信に思ってしまいます。
演出には、個人的な好みとしてはうーーんと思ってしまいますが、テーマや内容の良さを踏まえて★をつけます。
ホテルロンドン
国分寺大人倶楽部
王子小劇場(東京都)
2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
満足度★★★
でも、やっぱ愛だよ
会場に入った瞬間、おーって思う。きっとお客さんみんなテンション上がる舞台美術だと思う。使われる台詞がリアルで耳に馴染むせいか、役者さんが皆魅力的に見える、それは脚本演出と役者両方の力ですよね。チラシ見て抱いた観劇前の作品の印象は過激で直接的に人間の本性を描くのかなというもの。でも観劇後は、そーいうんじゃなくて良い意味でも悪い意味でもマトモだなと思いました。説明は難しいから、見に行っちゃえば良いと思いますっっ!