caminの観てきた!クチコミ一覧

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「おねがい放課後 (志賀ちゃんセブンティーン)」(タイトルと設定年齢が変わりました)

「おねがい放課後 (志賀ちゃんセブンティーン)」(タイトルと設定年齢が変わりました)

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/05/24 (木) ~ 2007/06/03 (日)公演終了

満足度★★★

個性的な役者
脚本が志賀廣太郎の個性をうまく生かし切ったものになってないような気がしました。部分部分では面白いところはありましたが、全体としては物足りない。

『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか

『放埒の人』はなぜ『花嫁の指輪』に改題されたか あるいはなぜ私は引っ越しのさい沢野ひとしの本を見失ったか

燐光群

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2007/05/20 (日) ~ 2007/06/17 (日)公演終了

満足度★★★★

放蕩の誘惑
イラストレーター、文筆家、、沢野ひとしのボヘミアン的人生を、その少年期から老年期まで年代順に並べられた15のエピソードで演劇的に再構成した作品。
めまぐるしく交替していくエピソードは、死の間際に「走馬燈のように」よぎる圧縮された回想のような感じで展開していく。この展開のリズムに変化が乏しいため、中盤以降若干見ていて疲れを感じる。
無責任に人生を楽しむ享楽主義者、沢野の人生観に共感できるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかのポイントだと思う。

「毛抜」「新門辰五郎」

「毛抜」「新門辰五郎」

劇団前進座

国立劇場 大劇場(東京都)

2007/05/11 (金) ~ 2007/05/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

堂々たる圭史、梅雀の存在感
圭史が『毛抜』で粂寺弾正を演じる。
大らかなユーモアにあふれ、荒唐無稽な内容の『毛抜』はとても好きな作品なのだが、圭史の弾正はこの作品独特の明朗さをしっかり引き出すものだった。幕引き後の花道退場のときもたっぷりと時間をとって観客を楽しませる。
『新門辰五郎』も派手な立ち回りなども含む娯楽性豊かな作品。梅雀の台詞の美しさにしびれる。
歌舞伎好きな人はもちろん、これまで歌舞伎を見たことのない人にも是非進めたい舞台である。

血の婚礼

血の婚礼

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2007/05/03 (木) ~ 2007/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

恋の情念の凄まじきことよ
許されぬゆえに、激しく燃え上がる恋の情念にひきずられていく男女の物語。その激しい恋の中心にあり、その回りにいる人間を混乱に陥れるレオナルド以外の人物には固有名詞は与えられていない。あまりに定型的で寓話的な悲恋の物語、しかしその強烈に叙情的な恋の残酷さの背景には、アンダルシアの乾燥し痩せた土地の魔力を感じずにはおられない。赤茶を基調とする舞台美術は、照明によって様々に変容し、登場人物たちを飲み込んでいく。
劇内の事件と人々の心理は、舞踊と音楽で象徴的に強調される。
二時間の上演時間のあいだ、弛緩することのない恋と悲劇のしびれるような緊張感に陶酔する。素晴らしい舞台だった。

東京ノート

東京ノート

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/04/19 (木) ~ 2007/05/14 (月)公演終了

満足度★★★★

息を詰めて見守った
娯楽性が強調されている平田の近作と比べるとかなりストイックなつくりの芝居。最後のシーンのイメージの豊かさは圧巻で、まさに息詰まる思いで役者を注視してしまった。

天国と地獄

天国と地獄

演劇ぶっく社

シアターアプル(東京都)

2007/04/12 (木) ~ 2007/04/16 (月)公演終了

満足度★★★★

場末的ゴージャスさの快楽
やけくそのひらきなおりのような派手な阿呆エロの世界、最初はあまりのくだらなさと締まりのなさに幕間に帰ろうと思ったのだが、次第にその世界に引き込まれていった。
「狂騒的」ということばをそのまま具現化したようなエネルギーに満ちたナンセンス。

アニェス・ベラドンヌ

アニェス・ベラドンヌ

フランス演劇クレアシオン

シアターX(東京都)

2007/04/11 (水) ~ 2007/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

バックステージものの佳篇
フランスの現代作家によるウェルメイド・プレイ。
野暮ったいデザインのホームページとちらし、そこに掲載されたヘンに力の入った修辞的自賛の文章ゆえに、全く期待しないで見に行ったのだが、非常によくできた脚本だった。いわゆるバックステージ物。
ベテランの有名女優の一見傲慢不遜な言動から、舞台俳優の哲学、その使命、本質がじわじわと浮かび上がってくる。
パリの小さな私立の劇場などでロングラン上演されていそうな端正さと穏やかな優しさに満ちた作品だった。

ネタバレBOX

ベテラン大女優の楽屋の終演後の様子が5回演じられる。最初は開演初日、次いで30回目、100回目、200回目、そして300回目。
各場は常に同じように始まり、同じように終わる。
登場人物はすべて類型的なのだが、それを新劇的型によって再現してしまったことで、劇全体の印象が少々野暮ったくなってしまった。そこがちょっとものたりない。
別れの唄

別れの唄

青年団国際演劇交流プロジェクト

シアタートラム(東京都)

2007/04/05 (木) ~ 2007/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

悲しみは共有できるという希望
「葬儀」という異文化衝突がいかにも露わになりそうな状況で,おずおずと互いの距離を探りつつ,相互理解をおずおず目指す日仏の家族をコミカルに描く佳篇.

最後の台詞が醸し出す余韻の美しさは平田戯曲ならでは.

Angels in America

Angels in America

TPT

ベニサン・ピット(東京都)

2007/03/20 (火) ~ 2007/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

充実した観劇体験
一部,二部を通しで鑑賞.
互いに関連し合う複数の人間関係のエピソードがそれぞれ濃密で,長時間の公演にもかかわらずだれた感じがしない.登場人物それぞれに感情移入できる部分がある.
ベニサンの空間の奥行きと高さを十全に利用した場面転換の早さ,鮮やかが見事だった.
時間とお金に見合う充実感ある観劇体験を味わうことができた.

薬での幻覚に逃避する妻を演じた宮光真理子さんのひょろっとしたプロポーションと独特の美しさを持つ顔立ちに魅了される.出演場面が終わった後に,走って退場するその走り方がとても可愛らしい.

三月大歌舞伎

三月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2007/03/02 (金) ~ 2007/03/26 (月)公演終了

満足度★★★★

通しで見る充実感
三階席で昼夜通しで千秋楽,観劇しました.
一番印象に残るのは「いがみの権太」を演じた仁左衛門です.
滅多に上演されないという「奥庭」は,いかにも歌舞伎的な蛇足であり,主要人物が横一列に並び見得を切るその華やかさは通し上演の幕切れにふさわしいものであったように思いました

これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは

これがぜんぶエイプリルフールだったなら、とナンシーは

NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2007/03/23 (金) ~ 2007/03/27 (火)公演終了

満足度

カンパのつもりでお金を払おう
sakae氏のコメントに共感.見に行ったことを激しく後悔する.
お金と時間をマジで返して欲しいと思った.
作品の出来自体が「エイプリルフールジョーク」のような素晴らしさ.


作者の政治的信条の是非を判断するだけの材料は僕にはない.しかし作品の表現という点では極めて不誠実な舞台であることは断言できる.少なくとも4000円の金をとって見せるような代物ではない.
作品のメッセージ内容の正当性まで疑いたくなるような屑のようなスペクタクルだった.

70年代以降のレバノンの厳しい政治的現実を反映した内容はそれなりに意義あるものなのかもしれない.しかし4000円の入場料をとる舞台表現としてのあまりの藝のなさに怒り心頭に発し,親イスラエル,疑似シオニストにかえってなってしまいそうになった.アラブ同調者でも,金を払って観に来ていたら,やはり素直に賞讃はできないと思うのだが.

西の国のプレイボーイ

西の国のプレイボーイ

ドルイド・シアター・カンパニー

パークタワーホール(東京都)

2007/03/22 (木) ~ 2007/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★

独特の空気
アイルランド西部の都市,ゴールウェイを拠点とする劇団による上演ですが,アイルランド西部地方の田舎の素朴で泥臭い雰囲気が濃厚につたわってくる舞台だったように思います.
笑いは定型的だし,びっくりするような演劇的仕掛けに乏しい古典的な舞台ですが,役者の作り出す空気に引き込まれてしまう感じでした.

マーティン・マクドナーの作品も一度このカンパニーで観てみたいと思いました.

ラプチュア

ラプチュア

演劇集団円

ステージ円(東京都)

2007/03/16 (金) ~ 2007/03/28 (水)公演終了

満足度★★★★

「正しさ」に人は惑う
上演時間二時間一五分(休憩一〇分含む).連鎖してぽんぽんやりとりされる台詞のリズムも心地よい芝居でした.

ネタバレBOX


いかにも翻訳劇といった感じの過剰に技巧的な台詞のやりとりで明らかにされるのは,欺瞞ややましさを抱える人間関係の脆さです.
もちろん円滑な社会生活を維持するためには,ある程度の欺瞞ややましさは必要不可欠なものであるし,社会的・経済的成功はこうした問題を覆い隠してしまいます.
無慈悲で容赦ない真実を突きつけられたとき,我々はどうその真実と向き合うことができるのだろうかということを考えさせられる芝居でした.
囚われの身体たち

囚われの身体たち

ファミリア・プロダクション

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2007/03/15 (木) ~ 2007/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

9.11後のチュニジア
9.11NYテロ以降、台頭するイスラム原理主義的な動きに過剰な反応をみせるチュニジア社会の精神的状況がリアルに表現されている。
チュニジアは、イスラム紛争の中心であるイラク、パレスチナ、レバノンからは遠く離れたところにあり、イスラム国とは言っても観光資源の豊富な平穏な国であるように見える。
しかしこのチュニジアにおいても、9.11の影は大きな不安と恐怖を社会にもたらしているという現実をこの芝居は見事に具現化している。
暗く、重い主題に加え、主題の提示の仕方には幾分過剰に技巧的でかならずしもわかりやすいものではない。特に前半の展開は鈍重で、観客にも大きな忍耐が強いられる作品である。
しかしポスト9.11のアラブ世界の苦悩の一端を、卓越したリアリティとともに提示した優れた舞台であることは間違いない。

いやむしろわすれて草

いやむしろわすれて草

五反田団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/03/15 (木) ~ 2007/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

悲観と諦念とわずかな希望
ある四人姉妹の物語が、二つの時間の流れのなかで、語られる。
劇的なドラマのない、日常的な物語である。
無邪気な幸福感のなかに不幸の影がさし、不幸の中でかすかな希望の光が見える、そういったお話。
四人姉妹の各人物には定型的性格を与えつつも、その人物造型のディテイルへのこだわりに感心する。脚本と演出の繊細さがそのままつたわってくるような役者陣の演技力と想像力を賞讃したい。

はだかの王様

はだかの王様

劇団四季

自由劇場(東京都)

2007/03/03 (土) ~ 2007/03/22 (木)公演終了

満足度★★★

華やかだが冗長
幕外での口上と観客を歌に歌わせる演出(歌は名曲)から華やかな群舞と合唱で始まるオープニングと,やはり群舞と合唱のエンディングの高揚感には引き込まれる.
しかし二時間強の芝居は全般的に冗長かつ単調で若干退屈を感じてしまう.各役柄の類型の作り方に大いに不満を覚える.
道化役のアロハなどはもっと観客の人気を集めることのできる役どころのはずなのに,はじけかたが今ひとつ盛り上がらない.
王女の恋の脇筋のからみかたもうまく機能していないように思った.

コペンハーゲン

コペンハーゲン

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2007/03/01 (木) ~ 2007/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

思索的な「超」ウェルメイド・プレイ
凄い戯曲である.
綿密な取材によって掘り起こされ,緻密に計算されたすばらしい戯曲であることは,誰もが理解できるだろう.
抽象的で難解な物理学・数学理論,祖国と民族の問題,家族の問題,研究者としての功名心,師弟関係の思い出,宇宙論,研究者の倫理等々,様々な次元の話題がそれぞれ他の次元の話題の暗喩として従前に機能している.
台詞の量は膨大で,驚異的な情報量がそれぞれ関連しあって,それが最後には深い虚無へと集約されていく.
重厚長大で,役者のみ成らず観客にも集中力を強いる芝居である.しかしそのテキストの豊かさに圧倒されるのには心地よい充実感もあるはずだ.この凄さは味わう価値は十分ある.

激情

激情

ポツドール

本多劇場(東京都)

2007/03/04 (日) ~ 2007/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

差別意識の連鎖
閉鎖的なサークルの中でよどんだ人間関係の暗部を,性と金と差別感情を軸に,戯画的に描く黒いウェルメイド・プレイ.
最後の場面のあまりに露骨な悪趣味ぶりには思わず爆笑していしまう.
子供には見せたくない芝居である.

unlock#1

unlock#1

東京デスロック

アトリエ春風舎(東京都)

2007/03/02 (金) ~ 2007/03/11 (日)公演終了

満足度★★

ひとりよがりの前衛風コント
前作『再生』の演劇的趣向の独創性にはずいぶん感心し,今回もどんな趣向を用意しているのか楽しみにしていたのだが,期待はずれだった.
物語がもたらす深みを拒否し,土台となる設定を定めたあとは,徹底した趣向の斬新さの追求で観客を圧倒するというスタイルは,一つの選択である.しかし今回は思いつきのアイディアの断片が雑然と並んでいるだけといった印象が強く,各場面の表現の掘り下げも中途半端であったように思った.

笑顔の砦

笑顔の砦

庭劇団ペニノ

駅前劇場(東京都)

2007/02/22 (木) ~ 2007/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハイパーリアリズムによる悪夢的日常
昨年観た「ダークマスター」の再演公演が僕の庭劇団ペニノ初体験で、その独創的な演劇世界には大きな衝撃を受けた。
「笑顔の砦」は「ダークマスター」匹敵するような強烈なインパクとなる作品だった。大怪作にして大傑作である。今これを観ずしていったい何を観ろというのか!
徹底したリアリズムで再現された美術(これだけで圧巻だ)の中で演じられるのはやはり精緻に構築された台詞によるリアルな日常風景である。しかしペニノのリアリティへのこだわりは極めて悪趣味でかつ独創的でもある。「笑顔の砦」ではごく普通の日常の向こう側に確実に存在するグロテスクな要素を見せつけられる。
小人俳優マメ山田の属性の利用法の巧みさは悪魔的である。

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