満足度★★★★★
恋の情念の凄まじきことよ
許されぬゆえに、激しく燃え上がる恋の情念にひきずられていく男女の物語。その激しい恋の中心にあり、その回りにいる人間を混乱に陥れるレオナルド以外の人物には固有名詞は与えられていない。あまりに定型的で寓話的な悲恋の物語、しかしその強烈に叙情的な恋の残酷さの背景には、アンダルシアの乾燥し痩せた土地の魔力を感じずにはおられない。赤茶を基調とする舞台美術は、照明によって様々に変容し、登場人物たちを飲み込んでいく。
劇内の事件と人々の心理は、舞踊と音楽で象徴的に強調される。
二時間の上演時間のあいだ、弛緩することのない恋と悲劇のしびれるような緊張感に陶酔する。素晴らしい舞台だった。