満足度★★★★
面白い題材
良かったのですが、全てが八掛けのような気がしました。
ネタバレBOX
印刷業の木村さん、田舎から預かった親戚筋の娘さん純子を、もし女中として預かってくれなかったら女郎にするしかないなどと脅して強引に色彩堂に押し付けた割には、伊豆に疎開するときに純子を伴おうとするなど、アレっと思うくらい結構いい人でした。資産を処分すればとは言え、伊豆で悠々と暮らせるだけの人が女郎にするしかないなどと言って押し付けるものかと少々疑問でした。
足の悪い永井さん、唐突にいなくなりました。出番も無くなりました。手紙に検閲があることが常識であったなら、本編中にあったようになぜ天皇陛下の馬鹿と書いたのか疑問です。戦闘で生き残ったことへの悔恨の情から出た言葉だったとしたら、特高に捕まったままというのも不思議です。思想的に本当にそう思っていたのか、どういう流れの中での言葉だったのか、真意を知りたいと思いました。そして、実際に特高が色彩堂に乗り込んで来るくらいの緊張感もほしかったです。
終戦後、永井が戻って来て純子とのロマンスが実ってもバチは当たりません。それくらいやってあげましょうよ。
義父が版権を狙っていたために東京大地図が刊行されなかったのかと思っていましたがそうではありませんでした。義父もいい人でした。社長がこれから米国によって壊される東京を偲び難く思って美しい東京の地図の刊行を差し控えたとのことでした。そうなんでしょうが、地図を刊行することで、国民や権力者に東京を破壊から守ろうとする意識、空襲を回避させる方策、即ち戦争終結ということを考えさせる一助になったかもしれないと思うとやはり疑問でした。
演劇をするために満州に行った二人も心配です。甘粕さんの名前を聞いて満映の様子を描いた『さらば八月の大地』を思い出しました。どちらも昭和20年8月までしか描いていないので、無事日本に帰れたのか肝心なところは不明です。
役者さんたちはどこか素人っぽさが残っていました。
舞台装置は綺麗でしたが、しょっちゅうしているはずの将棋盤や駒は新品のようでした。夏暑いと言っていましたが、カーテン閉めて窓を閉め切っていればそりゃそうでしょうと言いたくなりました。
軍事的に重要な施設を公園と表記するなど戦時下の状況については勉強になりました。
満足度★★★★
ぱこか
美形が多いのが何よりでした。
ネタバレBOX
交通事故だけが記憶障害の原因ではないということが分かって少し快方に向かい、妻を認識することができるようになって本当に良かったです。
一晩寝るとその日の記憶を失くしてしまうという病気に、『MIDSUMMER CAROL~ガマ王子vsザリガニ魔人~』、『Paco~パコと魔法の絵本~』かと思いました。
それにしても、1992年から22年は長いですね。友人については老けたと感じていたのに、朝起きて鏡で自分の顔を見て何も感じなかったのでしょうか。
満足度★★★★
【Aチーム】観劇
日常と非日常のいつものパターンでした。
ネタバレBOX
サナトリウムで暮らす患者たちと見舞いに来た人たちに医者と職員が加わっての群像劇。
普段馴染みのない場所における人々の日常生活に、ちょっと不思議な非日常のエピソードを一つ加えたストーリー。
退屈な生活の中での見舞客の存在はありがたいものですが、徐々に弱って死が近づいている男性患者と別れない恋人もいれば、相手が元気なのに別れようとする恋人がいたり、自ら婚約者と別れようとする患者もいたりと恋愛関係に多様性を持たせていました。
非日常の方は、酔っ払って電車に乗って目が覚めたら持っていた傘が変わっていたという、超常現象か単なる酔っ払って傘を間違えただけなのか、しょぼい話でした。
俳優としては、絵描き役の無隣館前原瑞樹さんの目が良かったです。
満足度★★★★
前提と想像力
ある前提を元に想像力を巧みにするとこうなるというところが素敵です。役者さんたちも巧みでした。
ネタバレBOX
光の戦士は宇宙から派遣されて来るのではなく、特殊生物対策委員会から選出されたこの星の人間が一年交代で素性を隠して任に当たるそうです。
光の戦士によって倒された異星人型特殊性物の後片付けをする処理課の日常や光の戦士の素性を明らかにしようとする専門誌の記者との攻防を描いた話。
ウルトラマン系のテーマソングを流しながら場面転換する様はアメリカンコミックアニメのようでしたが、暗転時の音楽のスピードの割にはお茶の間の風景のようで全体に盛り上がりに欠け、スピード感も感じられませんでした。
満足度★★★★★
臨場感あり!
これまで観たワンツーワークスの作品の中で一番ではないかと思いました。
ネタバレBOX
豪雨が続き、水かさが増しつつある中で、過去の経験や人間には自分に都合のいいように考えてしまう習性があり、また空振りのときの市民からの批判を怖れるあまり、避難勧告、さらには避難指示を出すタイミングが遅れがちになる難しさが良く理解できました。常々、強い意志を持って職務に臨まないといけないことが分かります。
マスコミの在り方についても考えさせられました。パレスチナのレポートをまとめる方が重要と考える記者の言動には違和感を覚えましたが、それは川が氾濫することを初めから予想していたためのことで、その場に居合わせたらどう対処したであろうと考えると簡単に笑い飛ばすのは失礼なことです。
それにしても、観光バスの屋根の上に乗って助かった37人の話をしていたにも拘わらず、まさか記者クラブや防災対策課の部屋にまで水が来て、机を積んで難を免れる事態になろうとは想像もしておらず、観客の私も自分に都合のいいように考えていたのだなと猛省しました。
ただ、この劇団特有のスローモーションダンスはもう飽きました。特にスタート時のダンスだけは全くもって要らないのではないかと思いました。
当日は3.11、終演後、全員で黙祷しました。
満足度★★★★★
命を繋ぐ女性は強し
平日は14:00開演が多い中での15:00開演、その意味が分かりました。3月11日14:46、全員で黙祷を捧げました。
ネタバレBOX
震災後、多くの劇団が東北を訪れ、ほっこり系のお芝居を上演したそうですが、ブラックなものもあっていいのではないかということで、地元劇団ココロノキンセンアワー演劇部によって本作品が選ばれ上演されたそうです。
女性だけが住む島における男性にとっての幸せか不幸か、ブラックな出来事を描いた話。和歌山県にかつてあった遊郭の島、女護ヶ島を想像しながら観ていましたが、本作品の作者佃典彦さんが名古屋出身ということを聞き、さもありなんと思いました。
島に生息する足の長い蚊に刺されると男性は病気に罹って死に、女性は死にませんが男の子の胎児は母子感染によって死産になってしまうようで、島には女性しかいません。男性は常によそから調達するため近親交配を避けることができ、良くできた道理だと思いました。
それに伴い、用済み男性は簡単に殺され、カレーの具にされてしまうのかなと最初思いましたが、蚊に刺されて病死するまでは島全体の女性から大事にされ生殖活動に勤しむことができると考えるとまんざらでもないのかもしれません。
娘たちよりもお母さん役の女優さんが一番肉感的だったのが印象的でした。
命を繋いでいくのは女性、精子さえ得られればそこそこの男であれば誰でもいい、新国立劇場『まほろば』も思い浮かびました。
満足度★★★★★
我田引水、みたいな
玉石混交ですが、想像力のある劇作家の力量には敬服いたします。
ネタバレBOX
上演時間が2時間20分ということと、客席に入っての作りを見て場面転換は無いと確信しました。後半全ての舞台装置を変えて、前半登場した人物たちの十数年後の姿を描くというパターンは最初は新鮮でしたが、ハマるものとハマらないものがあり、最近は飽きてきていたのでこれで良いと思いました。
何万人をも動員する演劇ならともかく、100人程度の小屋で打つお芝居ではどんなに感動を与えても、どんなに啓蒙しても、社会に与える影響は小さいとして補助金が打ち切られ、社会貢献ポイントによる評価が低い、即ち年収の低い劇作家ですが、劇作家の強い信念は人を動かし、世界を動かし、世界平和に貢献するという凄い話でした。
それもそのはず、このお芝居を書いているのは劇作家ですから。ただし、劇作家と言っても玉石混交で、作品作りに行き詰まり、共依存の末にストーカー殺人を犯してしまいそうな人もいました。
お芝居の中で銃の引き鉄を引くか引かないかを決めるのも劇作家、ストーカーの相手にナイフを突き刺すか刺さないかを決めるのも劇作家、テロによる爆発音らしき音を、大音量で隣人が流し続ける現代音楽と決めつけることができるのも劇作家です。
究極は、繁栄地域と紛争地域の和平会議の場に立ち会うことになり、世界平和のために貢献することになりました。恐らくノーベル平和賞を受賞して、彼の社会貢献ポイントは一気に高くなるでしょう。
今回は我田引水的ハッピーエンドでしたが、頭の中のもう一人の劇作家は、義理の兄や本人が射殺され、紛争は泥沼化し、妹はストーカーに殺されることにしようと考えていたに違いありません。
満足度★★★★★
素晴らしい!!
胸が熱くなりました。
ネタバレBOX
最初、女座長五月洋子が客演で呼ばれた年配の女形中丸のおじさんに話し掛けたりするので、あっこれは一人芝居じゃない、一人による芝居だと思ってがっかりしたのですが、どうしてこのお芝居には人が出て来ないのよと言う台詞を何度も口にするのが引っ掛かり、「伊三郎別れ旅」と同じように生き別れた息子と思しき若手イケメン俳優田上晴彦が訪ねて来て、舞台で一緒に挨拶してくれるという段になって、これから芸能界で生きていく若者がスキャンダルを気にしないはずがない、これはおかしいと思いました。
舞台周辺のボロボロの旗、それが徐々に倒れていく様、そして、解体業者の話し声の内容から楽屋には彼女一人しかいないことが決定的になり、ああやっぱり一人芝居だと理解したのでした。
生き別れた息子との都合のいい再会話や、青や赤のドーランを無造作に塗ってしまう実際の化粧の様子から気が触れていたことが窺え、悲しい女座長の残酷な末路に胸が熱くなりました。
平淑恵さん、素晴らしかったです。三味線も良かったです。
ねーんねーん、猫のけつの穴に蟹が入り込んで…、同じ蟹でも猫臭かった…みたいな面白い子守唄、初めて聞きました。
舞台から聞こえてくるのが平さんの声だけであれば、即ち解体業者の声がバックに無くても状況が理解できるようになっていれば、一人芝居として完璧で最高だと思いました。
余談ですが、ゴミ屋敷に一人で暮らしているおばあさんにもドラマがあるのでしょうね。
満足度★★★
【チームウルトラ】観劇
作者からの挑戦状が初めに伝わっていれば、もっと気合を入れて観たのになと思いました。
ネタバレBOX
説明文にボスと名乗る者によって犯罪者集団CRIMERSが結成されたとありますが、スタート時に呼び出された全員が登場せず、誘拐犯二人だけが舞台に登場して、いきなり人質と協力して成功した過去の誘拐事件の説明があり、次に爆弾犯が出て来て爆弾事件の説明をし始めたりするもので、そして、お間抜けなところなどは良く出来た脚本なので、この物語の本質である誰がボスなのか探し出しなさいよという肝心のポイントが伝わらず、最後に意外なボスが明らかになって驚いたのですが、何だ、登場人物の言動からボスは誰かを考えながら観なければいけなかったんだなと気付いた次第でした。
この日の土曜ワイド劇場スペシャル版で、CRIMEのアルファベットと数字を使ったビンゴゲームが関係する犯罪が起き、そして、最初に拳銃を抜いた刑事が犯人かと思ったら、その刑事が向けた先のSPが犯人だったというシーンがあり、共通点に驚きました。
ネットで作者の脚本は全作品、全文読めますが、最近は書いていないようで、また書いてほしいと思いました。
役者さんたちはまだまだ発展途上でした。噛み噛みで、噛んだ後にハケるときの「お前は気を付けろよ」的な台詞も、噛むことを前提に用意されていたアドリブ風自虐ネタのように思えました。
満足度★★★
長過ぎ
竜頭蛇尾
ネタバレBOX
裁判関係者全員が狡猾な男に騙された話。
私は多重人格者に遭遇したことがなく、そもそもその存在には懐疑的なので、多重人格を偽装して犯罪を免れるという話は好きです。以前にも一度多重人格を装った趣旨のお芝居を観たことがあります。
ですが、前半が約2時間、10分の休憩を入れて後半が約50分、トータル3時間は如何にも長過ぎます。
歌謡曲を一曲流し終えてからスタートさせるなんて観客虐待です。リアルを追求するためかもしれませんが、DNA検査の方法などについて延々と是非を論じたり、証言者に宣誓書を読ませたりする時間は必要でしょうか。その割には、多重人格の様子を目の当たりにしてからの裁判長の決定は拙速過ぎです。
そもそも、リアル裁判物で2014年バージョンにするなら、裁判員制度を取り入れるべきだと思いました。
いくら殺人事件がメインだからと言って、原子力関連議員に対する美術品を使った贈収賄の方はフリだけというのも解せません。杉並区から千葉に家庭教師に行くのも考え難い話です。
犯行動機も、父親の家庭内暴力に悩まされた本人や母親の経験から男性に従順な女性を嫌うようになったようですが、反抗期云々はありますが、経済的な意味からも15歳の女子中学生が親に従順なのは当たり前です。子供全員が対象になってしまいます。犯人に説教するのも何ですが、社会人の中から該当する女性を狙うべきではありませんか。
裁判所を出る前に、一事不再理の原則を盾に被弁護人にしてやられたと知った弁護士がガクッとして終わりましたが、リアルを追求するなら控訴期間があるわけで犯人がその場で告白することはあり得ず、弁護士に何か変だなと思わせる程度で良いのではないかと思いました。
初日のせいかもしれませんが、ネジをしっかり締めていないためにビデオカメラがあまりにもグラグラしていました。下手の壁が無造作に破れていたのも見苦しかったです。
満足度★★★★★
想像と異なる
暗くて重苦しい、それでも素晴らしい戯曲でした。
ネタバレBOX
生徒からのささやかな贈り物が退職する教師に前に踏み出す勇気を与えたという説明書きから想像していた内容とは大いに異なっていました。
優秀で生真面目で面白味のない先生、美人の妻がいるものの妻の浮気歴を本人から聞かされていて把握していたという仮面夫婦振りでした。
ギリシャ古典の翻訳物を生徒から贈られたときは涙して喜んだものの、妻から先生が不在のときに物真似していたと聞かされて生徒の真意を信じられなくなってしまうなど、前向きどころではありません。
妻は夫の年金を当てにしていたため一緒に暮らしていたのかもしれませんが、中途退職を理由に理事会が年金支給を認めませんでした。今度は夫が離婚を拒むことで妻を苦しめる番になりそうです。
人気先生の後に退任挨拶をすることを決意しました。一発大逆転というか、最後っ屁というか、そうしたものが期待できるのか、あるいは単に原則を押し通しただけの受けない冗談を交えた生真面目な挨拶をするのか、明日の終業式も見てみたいと思いました。
満足度★★★★★
立ち向かう意義
一回負けたぐらいで何だ、何度でも立ち上がろうであります。
ネタバレBOX
ドン・キホーテが風車に立ち向かい跳ね飛ばされてから一転、カタカナ文字で書かれた看板のある歓楽街に出現、変わり者であっても人気者になり、大統領にまで登りつめ、辞めた後は動物たちだけが住む何も変わらないけど何かが変わった封鎖された場所で愛馬と愛ロバに再会して、野生化された動物たちが殺戮されるシーンを見て再び巨大な物に立ち向かうという話。
ドン・キホーテは小泉純一郎と細川護熙の二人に見えました。兜の脇から溢れ出る白い長髪の外観からは小泉純一郎により似ているように思えました。
巨大な物に立ち向かうのは決して気が狂ったからではない、愚かな行為でもない、意義のある行為です。一回の選挙で負けたぐらいで主張を止めないでね。
大駱駝艦の8人の白さは不気味でもあり、防御服のようにも見え効果的でした。
満足度★★★
小芝居
シュールっぽい、毒があるっぽい風でしたが、面白くありませんでした。
ネタバレBOX
熊谷では首絞めジャックが20余人殺していて、珍走団、即ち暴走族のリーダーの15歳の少年は、熊谷で一番のワルは俺達じゃないとダメなんだと息巻いていたもののその少年も殺され、ラバウルでは日本軍から脱走した四姉妹が敵に遭遇し、何と敵は鳩だと分かったり、長女は敵に改造人間にさせられたり、姉妹は小津の映画に出て来るイイトコのお嬢さんで、お見合い相手や庶民を馬鹿にしたりしてと、そのようなシーンをあっちに行ったりこっちに来たりと何度も切り替えながら展開していました。
コントにしてはつまらなく、小芝居の集合体でした。
小津作品風の女性の喋り方だけは興味深く聞きましたが、笠智衆さんのような受け答えをしてくれる相手がいたらもっと良かったと思います。
身体にスピーカーと電池を装着し、手にはウォークマンを持ち、ポケットからカセットテープを取り出しながら効果音を流す手法は、どんなところでも公演が打てるということを表しているのかもしれませんが、ライティングは大掛かりに設置しているわけで、どうせ大電源が必要ならことさら音響だけを自分たちでやる必要性もないのではないかと思いました。
満足度★★★★
3.6kg
ハードルって奥深い。
ネタバレBOX
運動とダンスを融合させたようなパフォーマンス。でもダンスが主。ハードルとトカゲがテーマでした。
3.6kgの加重で倒れる決まりになっているそうですが、学校のハードルってそんなに正確だったのだろうかと思います。それにオリンピック種目なら80cm級とか120cm級とか階級別にしなきゃ公平じゃないなんて思ったりして。
ハードルをテーマにした方は分かりますが、妖艶な目付きをした女性は別にして、どこがトカゲかと思いました。
ハードルを片付けたりするのに時間が掛かるとは言え、休憩にすると集中力が削がれてしまいます。
満足度★★★★
衣裳が良かった
しばらくは役者に執着してほしいと思いました。
ネタバレBOX
トンビに捕まえられた小動物の話を何パターンかやることを中心に、ダンスやら思ったことをみんなの前で話したり懺悔したりするシーンを交えた構成演劇。
構成演劇とは、俳優達がゼロから創りあげたシーンを、抽象的な関連性によって連鎖させ、ある印象を作りだす演劇のことだそうです。
トンビの爪で鷲づかみされたからでしょうか、破れた周囲を盛り上がらせた衣裳が素晴らしかったです。
死にそうになっても誰かを犠牲にしてでも生に執着する、それでいいのだと思いました。
女性の内二人がよく似ているなと、蛇は蛇らしいなと思いました。
満足度★★★★
時々見る夢
40代の作品らしいのかなと思いました。
ネタバレBOX
同級生の突然死を機に、大学のテニスサークルのメンバーが集まって、今を語り、当時を回想する話。意味不明な男女が登場はしましたが、具体的で分かり易い内容でした。
近藤君の自殺の原因は分かっているじゃないですか。そして、身辺整理して、忙しいときにやって来てろくな対応もできなくて、後で後悔する、これはよくあるパターンでした。
そこそこの人は、中学の教頭になってもイキイキと冗談言いながらテニスを教えられるのに、インターハイに出るくらいの選手は己の限界を知って目標をなくして自殺してしまう、皮肉なものです。そもそも、このサークルに入った段階で分かっていたはずなんですが。
久し振りに大学に行くと試験が終わっていたという夢を昔はよく見ましたが、最近では、久し振りに大学に行くと来週辺り試験があると知り焦るという夢を、ほんのたまに見る程度に変わりました。
目標を持っている限り、たまに近藤君は出て来るのだと思います。
分かりましたからもういいです。やや後ろ向きな感じに少し食傷気味になりました。
満足度★★★
ボランティア介助
本当にそうなのか、驚きました。
ネタバレBOX
何となくそういうことをしてあげるということは聞いたことがありますが、もしあそこまでそうだとしたら風俗と同じです。意味分かんない。風俗で働いた方がよほど金になるのではないかと思いました。
役者さんに実力差があり過ぎました。肝心の所長さん夫婦がぱっとせず、特に所長さんは若い頃に商社で働いていた感じが全くなく、お芝居全体を素人っぽくしてしまい責任重大でした。
施設内恋愛で結婚することになり、すったもんだがあってせっかく退職して他人の性介助をしなくて良くなるのに、頭の中で整理したからといって仕事を続けろと言う男の気も知れず、相手の女性が不妊と知ったら、男として少しぐらいは考える時間が要るだろうにと思ったりもして、ラストの綺麗に納め過ぎにも違和感を覚えました。
満足度★★★★
【Aチーム】観劇
やはり『かもめ』でした。
ネタバレBOX
15歳の宇野愛海さんが出演されるというので、正直、演劇部の部室とか、チェック柄の制服とか、そんなのを想像していましたが、これもまた『かもめ』そのものでした。
作家のトリゴーリンがもう少し滞在するというシーンで、「よしチャンス」と言った程度が若い役者さんらしかったでしょうか。
アフタートークでタカビーな発言がありましたが、それならば『かもめ』本編ではなく、その練習風景をお芝居にした方がうぬぼれの強い中二的な世界が描けたのではないかと思いました。
両チームを観た感想としては、どちらも『かもめ』そのもの、どちらがいいかと言うと、如何にも作家に弱い緒川たまきさん似の縄田智子さんの透明感のあるニーナ、大人の色気のある中田顕史郎さんのトリゴーリンのBチームに軍配を上げます。
満足度★★★★
ご苦労様
設定に苦労したんだなと余計な詮索をしてしまいました。
ネタバレBOX
レイプされた経験を持つ女性とレイプで妻を殺された過去を持つ男性のギクシャクした恋愛話。
そうであってもそうでなくても二つに一つなのですから、お芝居の原案となるような経験は無くなったなどとは口が裂けても言うべきではないと思いました。
昔からイライラさせるのが得意だったもう一人の男性は、真面目に女性に迫りましたが、トラウマの影響か、イライラさせたのか刺されてしまいました。
下手と中央、中央と上手で時間や場所を分けたり、同じ居間でも相手の男性を変えたりして時間を変化させるなど工夫が見られましたが、一人が刺されてからの二人の出会いの時系列など少し分かりづらい面もありました。
満足度★★★★★
【Bチーム】観劇
まさに『かもめ』でした。
ネタバレBOX
あまりにも『かもめ』で、どこが中二かと思いましたが、大人は忍耐力、あるいは、商売は商いと申しまして、毎日飽きないで仕事を継続することが大切なのですと理解して実践しているのが大人ということかと考えてみました。
そして、当日パンフレットを読み返して、そういうことか、チームBは原作に忠実、チームAは中二的に翻案した舞台になっているのではないかと気付きました。両方観ないと始まりません。
それにしても、中田顕史郎さんには大人の色気があります。緒川たまきさんに似た色白で清楚なお嬢さんなんてまさにイチコロ、ボロボロにされてもそれでも愛していると言わしめるだけの力量がないと最後に繋がりません。正統派『かもめ』を理解する上で的確な配役だと思いました。