KAEの観てきた!クチコミ一覧

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MIDSUMMER CAROL(再演)

MIDSUMMER CAROL(再演)

G2プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2008/03/21 (金) ~ 2008/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★

新妻聖子さんの新境地を見た
全体としては、初演の方が、演出もキャストも好みでしたが、看護婦役の新妻さんが、良い意味で期待を裏切って下さり、彼女の演技者としての進化を目撃できただけでも、拾い物でした。
後藤さんがご出演でないのは残念でしたが、やはり、とてもよくできたお話だと思いました。

ちっちゃなエイヨルフ

ちっちゃなエイヨルフ

メジャーリーグ

あうるすぽっと(東京都)

2009/02/04 (水) ~ 2009/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

タニノクロウさんのイプセン劇
「野鴨」の職人芸の演出に魅了されて以来、この観劇はとても楽しみにしていました。
キャストも申し分なく、イプセンも改めて、実に面白いと、中身には大満足でしたが、会場が、この作品上演には如何にも不向きで、そればかりが残念でした。
テレビドラマ出演の頃から注目している馬渕さんが、やはりとっても魅力的でした。
それと、勝村さんのうまいこと!!
テレビドラマでしか勝村さんを知らない方々に是非ご覧頂きたい舞台でした。

サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 〜日曜日にジョージと公園で〜

サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 〜日曜日にジョージと公園で〜

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2009/07/05 (日) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

難解だけれど、心に沁みました
舞台で映像を使うのは、基本的にあまり賛成ではありませんが、この作品では、実に効果的に映像が使われていて、舞台空間のイメージの広がりを助けていました。
ソンドハイムの難解な曲のミュージカルに戸田さんがキャステイングされた時は、おやっと思ったのですが、舞台を観て納得!あの役を今できる最適な女優さんだと思いました。
スーラの絵のイメージをそぐわない、実力派キャストが集結して、心の芯に響く素敵な舞台だったと思います。
戸田さんの名演に何度も泣き笑いし、畠中さんの役を大切に演じるお姿にまた魅了されました。

ありふれた惑星

ありふれた惑星

てがみ座

王子小劇場(東京都)

2009/06/10 (水) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

全てに驚嘆しました
井上ひさしさんが、「二人芝居の傑作です」とコメントを寄せられていたし、チャリT企画の楢原さんの演出にも興味が湧き、大した期待は感じずに、初めて王子小劇場にまいりました。
正直、期待していた「カシオペア」の方は、どこかで以前観たような感じのする芝居で、それ程の驚嘆はなかったのですが、その後の休憩中の、「鉄屑の空」への、舞台セットの転換振りに、まずびっくり!!
そして、「カシオペア」とは全く趣の違う、人情喜劇風な芝居が始まり、またびっくり!!え、これ同じ作家の作品!!と驚き、そして最後に、この二つの異質な芝居が見事に繋がり、またまたびっくり!
一夜にして、長田さんのファンになりました。
その後、実際にお目に掛かることになった長田さんは、これまた、私の想像を絶する、大変楚々とされた、素敵な女性で、…
本当に、長田さんには、良い意味で驚かされづくめです。

ネタバレBOX

「鉄屑の空」の、工場社長と社員が、お互いを悪く思っていない雰囲気なのに、台詞や行動で、それをストレートに表現しないラストが、とても、好きでした。こういうところに、心憎い程の作家センスを感じました。
肩の上で踊るロマンシングガール

肩の上で踊るロマンシングガール

「佐藤の、」

新宿眼科画廊(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

好きな人づくしの旗揚げ公演に乾杯!
画廊の狭いスペースを逆手に取って、素敵な舞台空間が造型されていました。
おばさんには、ちょっぴり辛い観劇体勢でしたが、とにかくお二人の演技が素敵なのと、成島さんの脚本センスのよさと、広田さんのひょっとことはまた違うスタイルの粋な演出のお陰で、座り心地の悪さもどこへやら。
すっかり、二人の恋人同士の思いに感情移入して、もう一度こんな素敵な恋愛をしてみたいなと思いました。
次回もとっても楽しみです。

ネタバレBOX

性が入れ替わってしまうというシチュエーションはありがちだけれど、もしかしたら、恋人の片方だけが自分と同性になってしまうって、あまりないかも。
好き同士なのに、どうしても不都合が生じ、しばらく恋人関係はなしにしようという、受け止め方によっては、決してハッピーエンドにはならないのに、とても爽やかな後味の残るエンディングでした。
お二人とも、それぞれの魅力を知り尽している、作家と演出家によって、生き生きとした人物表現をされていて、素敵でした。
一番受けたのは、同性になってしまった彼に、彼女が、おならをする時お尻を上げてしないようにねと忠告するところ。本当に、成島さんのセンスが光る台詞でした。
来来来来来

来来来来来

劇団、本谷有希子

本多劇場(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

本谷有希子は世界にただ一人
あー、やっぱり、この人は他に類を見ない鬼才だと思いました。
前回のパルコ公演が今ひとつだったので、今回も恐る恐る行きましたが、もう、あり得ないくらい、潔い展開が、小気味良くて、話の内容は、かなり陰鬱なのだけれど、何だか妙に爽快感さえ感じてしまう!
後半のりょうさんの演技には度肝を抜かれました。
女優さん、皆さん怪演で、一瞬も息の抜けない舞台でした。
何十年か前にタイムスリップできたら、本谷さんのような芝居を私も書いているかもと、勝手に、親近感を覚えているので、次回公演も楽しみでなりません。

ネタバレBOX

鳥小屋のセットがリアルで、物語に、素晴らしい説得力を持たせていました。
大きな鍋を女達が掻き回すシーンは、何だか「マクベス」の3人の魔女を想起させました。
本谷さんの、芝居作りの度胸の良さが、随所に生きた舞台でした。
兄おとうと

兄おとうと

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/07/31 (金) ~ 2009/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

やはり鵜山さんの演出は好きと思わされた
以前息子が面白かったと言っていたので、ふらっと行ってみることにしました。
どうも、私は、井上さんのこの音楽劇スタイルがちょっと苦手で、と言うのも、何だか観ていて気恥ずかしさがあるからなのですが、今回は様子が違って、楽しく感じられ、どうしてかと思ったら、演出が、鵜山さんだったのです。
栗山さんの演出とどう違うか考えてみたら、役者さん達が、お互いを見ながら役の人物として歌っているのに気付きました。栗山さんだと、役者さん達、皆さん、客席に向けて歌うから、こっちも目線を逸らしたくなるのかなと感じました。
吉野作造は知っていましたが、吉野信次のことは不勉強で全く未知の人でしたが、二人のエピソードを、万国共通の兄妹関係に視点を置いて、描かれた作品だったので、充分楽しめて、何だか幸せな気分になれる心地良い舞台でした。
脇の役者陣の好演も、観ていて実に痛快でした。

目を見て嘘をつけ(再演)

目を見て嘘をつけ(再演)

KAKUTA

NHKみんなの広場 ふれあいホール(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

理想的演劇パーツが完備していて、最高
まず会場に入って、あーやっぱり舞台空間が広すぎると感じたのです。ところが、いざ芝居が始まってみると、登場人物が、舞台上で、生き生きと生活しているので、その舞台の広さが全く気にならなくなりました。
長い観劇体験でも、こういう経験は初めてでした。
KAKUTAの舞台は、大好きで、今まで4作拝見しましたが、いつも感心するのは、桑原さんの脚本、演出、役者さんの力量と、何を取っても、他を抜きん出ている完成度の高さです。
緻密な構成で、人物が生き生きと活写され、それを体現できる役者さんがこれだけ揃って、今回の作品も、文句のつけようがありませんでした。
どんな端役にも、その人間の存在感があり、スト-リー展開のためだけに配される役がひとつもないのです。皆が、その舞台上にいない時の各々の日常をちゃんと生きている演技をしているから、まるで、自分もその舞台上の人間と知り合いかのような錯覚を覚えます。だから、いろんな人に感情移入しては、泣いたり、誰かと一緒に、心で声援送ったりしてしまいました。
桑原さんの脚本は、全てにおいて、理想型の完成度で、劇作家になりたい人は、桑原脚本をお手本にされてはと思う程。
本当に、これを再演して頂けて、観劇できたことを幸せに思いました。

ネタバレBOX

最初のシーンで、蕎麦屋の奥さんが、お店の奥の和室を片付けて、法事に向かいます。その時、何気ないように、姿見のカバーを下ろして行くのですが、この鏡が終盤、登場人物の心に影響する重要な小道具になり、そのさり気ない伏線の張り方に感嘆しました。
KAKUTAの役者さんは、皆さん、作品ごとに、全く異なるキャラクターの役を、実に自分のものとして表現される術の巧みさに、いつも驚嘆するのですが、今回も、性同一障害の男性を演じた筒井さん、愛情のもつれから事件を起こしてしまった雉本役の成清さん始め、内海さん、若狭さん、高山さん、馬場さん、横山さん、佐賀野さん、水野さん…、皆さん、演技が秀逸な方ばかりで、本当に、感激しっぱなしの2時間の観劇タイムでした。桑原さんご自身の演技にも、終始笑わせて頂きました。人物の思いを語らせすぎない巧さなど、桑原脚本の素晴らしさを語りだしたら、切がないので、この辺でやめておきますが、是非、未見の方は、放送ででも、ご覧頂きたく思いました。
Garantido(ガランチード)-生きた証-

Garantido(ガランチード)-生きた証-

TSミュージカルファンデーション

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2010/02/19 (金) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

凋落振りに絶句!嘘だと言って
どうしちゃったんでしょ?大好きなTSミュージカルのこの有様は!
まるで、どこかの国の偽ディズニーランドに間違えて入園してしまったような気持ちになりました。
「砂の戦士たち」という超一級作品のパッケージの中に粗悪品の素材で作ったまがい物を入れて、売っている、贋作商品のような舞台で、落胆も甚だしく、今日を限りに、TSはお気に入り団体から削除しようと思います。
だいたい、「砂の戦士~」の方は、先に素晴らしい原作があり、これを舞台化したいということで、企画が持ち上がった筈ですが、今回の劇中劇は、後付けで生まれた代物らしく、とにかく、中身がスカスカでした。
劇団員の名前も、劇中の人物も、共に日本人なので、誰が誰やら、今は劇団の稽古場シーンか、劇中劇かの差もはっきりせず、照明も音響も、脚本も、全てがチープ。「砂の~」では、効果的に導入された、カポエイラも、今回の作品上は、何だか意味不明な使われ方で、全く蛇足的な印象でした。
歌も、タモリが嫌がりそうな、台詞で言った方がいいんじゃないの!と突っ込み入れたくなる唐突さや、違和感が多く、その上、翻訳ミュージカルの訳詞でもないのに、何故か聞き取れない歌詞がワンサカ。
本当にこれ、あの謝さんが演出されたのかしらと目を疑いたくなる思いでした。
「砂の戦士~」の良い部分は全て、消失し、悪い部分だけが肥大した、何とも、絶望的な改変舞台で、今夜はやけ酒飲みたい失望の日となりました。
唯一、畠中さんだけが、歌でも、心情表現が素晴らしく、内容には全く感銘しませんでしたが、彼の演技にだけは、ブラジルの日系人の苦悩が見て取れたことが、この観劇の収穫でした。

ネタバレBOX

劇団員が、合宿しながら、劇中劇を稽古しているという、入れ子構造の芝居は、「砂の~」と同様。その上、劇団のストーリー展開はほぼ「砂~」を踏襲していましたが、劇中劇部分の作品の出来が桁外れな差で、「砂~」では、劇中劇の物語に、心底のめり込めたのに、今回の劇中劇の内容は、お粗末過ぎました。前回は、ブラジルの飢餓と病気に苦しむ、孤児の話だったのを、今回はブラジルの日系人の苦悩話に置き換え、それなのに、ストーリー展開を「砂~」と同じような方向に持って行こうとするので、話の筋が脈絡ないし、登場人物に感情移入できないしで、何とも間延びした舞台でした。
前回は、劇中劇の緊迫感を緩和する役目もしていた、劇団内のシーンが、だから余計、陳腐で中身のなさを露呈してしまいました。
脚本上、ただひとつ「砂~」で、気に入らなかった最後のオチは、今回も前回程のあざとさは減ったけれど、相変わらず、何故こんな終わり方をするのか皆目理解し難いものでした。
確か、前回は脚本は高平さんだったように記憶していますが、今回の大谷さんの脚本レベルは、とてもプロの仕事とは思えません。演出に関しても、「砂~」では、稽古場と、劇中劇の場面転換が実にお見事で、感嘆した記憶が鮮明なのに、今回は、初めて舞台作りをした素人の域の演出振り。
原爆の話題が出た途端、きのこ雲の映像など映すのも、愚の骨頂のように感じました。
劇団シーンでの目にうるさい点滅照明、2時間ドラマのような効果音楽も無用の長物。
「砂の~」にご出演だった、禅さん、横田さん、駒田さん、平澤さんの不在の穴は、畠中さん、西村さんのご出演をもってしても、あまりにも脚本が酷過ぎたせいで、埋める要素には足りなかった気がします。
そして、誰とは申しませんが、「レミゼ~」にもご出演のある俳優さんの演技があまりにもお粗末過ぎて、その方の演技が劇中劇の中身の薄さを加速させてしまいました。
あー、本当に、これが悪夢であってほしい!!
おうもの

おうもの

アメウズメ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★

青木さんの力量が優越しているために
ゴジゲンの舞台でお馴染みの青木さんの旗揚げ公演。
まず、会場に入った瞬間から、既に劇世界の澱んだ空気感が構築されたセットに感服しました。
どこの村とも、いつの時代とも特に明かされないけれど、日本のどこかに必ずありそうなストーリー設定が、何ともおどろおどろしい空気で、胸に迫りました。
ただ、残念なのは、作演の青木さんご自身が、主要な役の演じ手でもあるために、青木さんの演技は、作演の期待通りの表現である反面、他の役者さんへの目配りが手薄な感じがして、舞台全体のトータルイメージを損ねたのは、痛し痒しだった気がします。
いずれにしても、青木さんの新たなる力量を再認識する公演でした。次回の更なる進化に期待したいと思います。

ネタバレBOX

三保野の歌う子守唄のメロデイが何度聴いても違っているように感じ、大変気になってしまいました。
青木さんの脚本は、できるだけ説明台詞を廃して、情況を表現しようと苦慮されたご様子で、終盤まで、東升、東世、満知の関係がよくわからなかったのが、内容の把握に支障をきたした点がありました。
また、初めの内は、登場人物の出はけを客席から見えない場所まで、入らせておきながら、途中から、退場した人物が、舞台袖で屈んで出を待つようにしたのにも、違和感を覚えました。途中までは、登場していない人物は見えなかったので、隠れて立ち聞きしているかのように誤解を与える気がしました。
キャストは、やはり青木さんご自身の演技が一番光って見えました。特に、目を刺された時の嗚咽の声は本当にリアルで、ぞっとする程。改めて、巧い役者さんだなあと感心しました。
役者さんの演技のタイプがマチマチなのも、ちょっと残念に思いました。
台詞のない間の感情表出がほとんどなされない方もいらしたので…。
明日の幸福論

明日の幸福論

劇団HOBO

テアトルBONBON(東京都)

2010/02/23 (火) ~ 2010/03/07 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しく拝見しました
太宰の「貧の意地」をモチーフにしたそうですが、私はその小説を知らないので、むしろ、落語にありそうな話だなと思いました。
芸達者揃い踏みという感じで、安心して楽しめましたが、2時間はちょっぴり長かった気はしないでもありません。
おかやまさんの演技大好き人間としては、初めにおかやまさんが役者さんとしても登場して下さり、嬉しく思いました。
ラスト近くのクライマックス場面で、本間さんが、大事な台詞を言い間違え、その間違えた語句がキャストの壷にはまる言葉だったために、役者陣が受けてしまって、高橋由美子さんなんて、噴出しそうな寸前で、一瞬心配になりましたが、何とか持ち直し、芝居の雰囲気が壊れずに済んで、ほっとしました。
カーテンコールで、あえてそのことに触れて、場の空気を和ませたおかやまさんの判断もさすがでした。
また次回も観劇したい劇団です。

ネタバレBOX

台風のような強風の年末の出来事という設定のため、端の席で、何となく常に風が来て、寒くなりました。
でも、強風はあまり筋立てに影響しなかったので、わざわざそんな設定にしなくても良かった気がします。
それに、2時間はちょっと長い気がして、猫の行方不明のエピソードは割愛しても良かったのではないかと感じました。
その方が、話の中身が濃くなった気もします。
おかやまさんの酒屋さんの演技がやはり秀逸でした。「狭き門より入れ」で注目した有川さんがここでも素敵な演技をされていて、益々気になる役者さんになりました。
高橋由美子さんの、先生の奥方役は、ハプニングがなければ、完璧一級品の役作りで、素敵な中堅女優さんになられたなあと感慨深い思いです。
亡くなられた山岡久乃さんにご忠告を受けたアイドル女優さんが、こんなに素敵な成長をされたなんて、本当に感激ものです。
二月大歌舞伎

二月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2010/02/01 (月) ~ 2010/02/25 (木)公演終了

満足度★★★★★

仁左衛門さんの芸は別格だね
終演後のアラフォー世代の女性客の言葉です。
私も、全く同感!孝夫さん時代から、もう40年来のファンですが、こんなに拝見する度、芸が磨かれている歌舞伎役者さんは、私の知る限り、他にはいません。
18代目勘三郎さんは、初舞台から拝見していますが、最近、ほんのちょっとですが、芸が荒れていないかと心配しています。
お二人とも、すっとファンでいる身として、今日の観劇は、ちょっと複雑な思いが交錯しました。

爪王…素晴らしかったらしいです。友人が、一番良かったと言っていて、楽しみにしていたのに、遅刻し、着いた時には、割れんばかりの拍手が聞こえていました。お隣の席の方も、「最初のは良かったね」と話していましたし。ただもう、残念。
俊寛…ダントツ、勘太郎君の成経が素晴らしく、彼の役者さんとしての進化に目を見張りました。七之助君の千鳥は、まだ型だけの芝居で、心根が伝わらず、残念でした。勘三郎さんの俊寛は、意志の強さは出ていましたが、人間の弱さを表出する部分が欠けていたように感じました。俊寛の悲哀があまり伝わって来ませんでした。ただ、「来世で」の台詞は先代への個人的な思いが感じられて、ちょっとほろっと来ましたが。最後は、得心して笑みを漏らす方の型で、私はこの方が好みでした。
口上…文字通り、久しぶりに、本当の「役者」が揃った口上で、先代勘三郎さんへの思いが口先だけでないことが伝わり、気持ちの良い、ご挨拶でした。
ぢいさんばあさん…何度観ても、3幕目では、泣いてしまいます。ハートフル歌舞伎の1級品演目。仁左衛門、玉三郎の当代随一のコンビの名演はもちろんのこと、甥夫妻の橋之助、孝太郎等、脇の好配役も手伝って、本当に心温まる素敵な舞台でした。37年というキーワードが出て来ますが、まさに、私がこの演目を最初に観たのは、40年近く前なのでは。あの時は、1幕の実年齢に近かったお二人が、今回は3幕のぢいさんばあさんの年齢に近づいて、終幕の老夫婦の愛情溢れる場面がより繊細に演じられて、お二人の円熟の演技に、何度も涙を拭いました。お二人とも、可愛くて、本当に素敵な老夫婦ぶりでした。

容疑者χの献身

容疑者χの献身

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2009/04/30 (木) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

西川さんはやはりスゴイ!!
久々のキャラメルボックスでした。
西川さんが、あの映画では堤さんが演じた役をなさるというので、興味が湧き、行ってみたら、大ヒット!!
実に心に沁みる作品でした。
私としては、映画より断然こちらに軍配上げます。
西川さん演じる石神の思いが、ひしひしと胸に迫り、苦しくなる程でした。
西牟田さんも相変わらず、いい女優さんで、やはり、作品によっては、これからもキャラメル観たいと思わせられた、秀作でした。

THE 39 STEPS

THE 39 STEPS

東宝

シアタークリエ(東京都)

2010/02/06 (土) ~ 2010/03/04 (木)公演終了

満足度★★★★★

商業演劇のコメディはこうでなくちゃ
と、思える、普通にユッタリと腰掛けて、楽しく笑える痛快エンタメ演劇でした。
とにかく、4人のキャストの、体を張った好演ぶりがお見事!!
中でも、浅野さんとねずみさんのコンビは、往年のハリウッドの喜劇俳優のよう。二人の早替わりやオーバーアクションに、何度もクスクス笑い、面倒なことを何も考えない、居心地良い観劇タイムを堪能しました。
ねずみさんもだけれど、浅野さんの八面六臂の芸達者ぶりは、本当に特筆もの。これを観られただけでも、行った甲斐がありましたが、その上、開演前のクイズに答えて、原作映画のDVDとマグカップとイギリスのポテトチップまで、頂いてしまって、ほんのちょっと、クリエ好きに変容してしまいました。
四季退団後の石丸さんのステージ中、私としては、この役が一番好きでしたし、高岡さんも、同性ながら、大変魅力的で、あるシーンでは、かなりドキドキ物でした。
お時間と懐に余裕のある方になら、是非おススメの公演です。

ストーン夫人のローマの春

ストーン夫人のローマの春

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2009/02/28 (土) ~ 2009/03/22 (日)公演終了

満足度★★★★

亡き父に見せたかった江波さんの好演
個人的にも大変親しい江波杏子さんが、アッカーマンの舞台にご出演ということで、大変楽しみに伺いました。
正直、期待以上に江波さんが好演されていて、わが事のような嬉しさでした。
あの燐とした、よく通る声!その圧倒的な存在感は、主役の麻実さんをも凌いでいました。
江波さんに、舞台女優の道を勧めたのは、我が父でしたから、本当に、進化を父に観てほしかったと思いました。
とても雰囲気のあるアッカーマンならではの舞台だったのに、客席がまばらで、実に残念でなりませんでした。
ストーン夫人に終始つきまとう無言の男を演じた鈴木信二さんの、迫真の演技に戦慄さえ覚え、注目したい俳優さんになりました。

ジョン・ガブリエルと呼ばれた男

ジョン・ガブリエルと呼ばれた男

メジャーリーグ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2010/02/12 (金) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★

この原作、このキャストなら
もっともっと面白い舞台になった筈です。
そうならなかったのは、たぶん栗山さんの演出故。
栗山さんの演出って、いつもカクカクしている印象が…。
装置もカクカク、演技もカクカク。
対角線上や平行線上の、対峙場面が多く、葛藤場面はいいとしても、お互いの気持ちがふっと寄り添う瞬間の演出があまりフィットしない気がしています。
昔、手塚治虫さんが、漫画家は円を描けなくなったらおしまいだとよくおっしゃっていたけれど、演出家も円が描ける人であるべき気がします。
ベテランの役者さんでさえ、こうなんだから、若い役者さんが、栗山演出で、丸い演技ができないのはむべなるかなと思いました。
イプセンの戯曲そのものは、やはり、時代を超えた普遍性があり、台詞にも笑ってしまうものがたくさんで、大変面白いストーリーでした。
登場しない人物の実存を感じさせる術もさすがで、やはりイプセンは偉大な劇作家だと思い知らされました。
この原作で、このキャストで、たとえば鵜山さんやタニノクロウさん演出の舞台を観てみたい気が強くしました。

ブロードウェイ・ミュージカル「スペリング・ビー」

ブロードウェイ・ミュージカル「スペリング・ビー」

天王洲 銀河劇場

天王洲 銀河劇場(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

宣伝が行き届かず、もったいなかった
トニー賞の授賞式で、ダイジェストシーンを観て、想像していたのより、悠に面白くて、終始ワクワクしながら観ていました。
その日の解答者として参加する一般客の答えによって、毎回違う展開になるところも愉快だし、その参加者を紹介したり、ヒントを出したりする、村井さんと安寿さんの掛け合いも見事で、本当に観客参加型の舞台で、それが変に白ける要素にならない、画期的な作品でした。
出演者も皆さん、好演されていましたが、中でも、新妻聖子さんの好演は特筆ものでした。「レ・ミゼラブル」初舞台の時は、ただ歌がお上手なだけの女優未満の印象だった新妻さんが、舞台の度に、目を見張る進化をされていて、最近は、本当に楽しみな女優さんに成長され、そのお姿を見る度、嬉しくなります。
是非、宣伝等、仕切りなおして、再演してほしい、作品です。

エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ~

エル・スール~わが心の博多、そして西鉄ライオンズ~

トム・プロジェクト

本多劇場(東京都)

2009/08/25 (火) ~ 2009/08/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

超拾い物舞台でした
何となく、安く券が手に入ったので、高橋由美子さんと松金さんに引かれて観に行ったら、これがもう大ヒットでした。
私は、大の大洋ファンの父の元で育ったので、他球団の応援なんてあり得ない子供時代を過ごしたのに、まるで自分が西鉄ファンだったかのような郷愁を感じて、懐かしさに胸が何度もこみ上げる自分の感情が不可解でならないほど、観劇の間ずっと登場人物の全てに自分を重ねて、一緒に人生を過ごしたような感覚に囚われました。
以前、日テレの「夜のヒットパレード」で拝見していた有坂来瞳さんの好演にも大変驚きました。
高橋さんと松金さんは、期待通りでしたが、いつもは脇役の多いたかお鷹さんが、何と、回想の少年役がとてもお上手で、見た目は中年男性のままなのに、純朴な少年に見えてしまうところが、驚愕ものでした。
東憲司さんの脚本、演出も素晴らしくて、これはもう、福袋の中身が大当たりだったような、予期せぬ大収穫舞台でした。

夜の来訪者

夜の来訪者

シス・カンパニー

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/02/14 (土) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

非常に面白いミステリーでした
この原作になったミステリーは全く知らなかったので、最初から、こういう戦後日本の時代背景のストーリーだとばかり思って観ていました。
それで全く違和感を感じなかったので、うまく翻案されていたのだと思います。
以前から、大変芸達者な役者さんだと注目している段田さんの初演出とのことで、興味本位で観に行ったら、すっかりストーリーの面白さにのめり込み、まるで、知らないお店に入って、絶品料理を食べたような収穫舞台でした。
傍観者だった筈の人間が、皆当事者として精神的に追い詰められて行く様がリアルで、それが、殺人事件が大量発生するミステリーより悠に怖くて、スリリングでした。
段田さんは、演出されながら、皆を追い詰めて行く刑事役も好演され、益々ファンになりました。
キャスト全員、適材適所で、本当に見応えのある作品でした。

出番を待ちながら ~Waiting in The Wings~

出番を待ちながら ~Waiting in The Wings~

木山事務所

俳優座劇場(東京都)

2009/08/12 (水) ~ 2009/08/15 (土)公演終了

満足度★★★★★

何度観ても感動します
初演は、川口敦子さんでしたが、今回は三田和代さん。
新井純さんと、三田さんの、老女優同士の、火花の散り方が、実にワクワクとしました。
舞台でもライバルであり、恋敵だった二人が、久しぶりに再会し、同じ施設に寝起きを共にすることになり、最初は打ち解けずにいた心が徐々に寄り添って行く様を、実際のベテラン女優のお二人が演じることで、より密度の濃い舞台になった気がします。
脇で、二人を見守る女優さん役の皆さんも、本当に名女優さん揃いで、客席にもっと若い役者さんがいればなあと思った、とても素敵な舞台でした。
初演より再演の方が良い公演にはなかなかお目に掛かれませんが、これほ再演の方が良かった気がします。
是非、再々演も期待したいです。

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