満足度★★★
この原作、このキャストなら
もっともっと面白い舞台になった筈です。
そうならなかったのは、たぶん栗山さんの演出故。
栗山さんの演出って、いつもカクカクしている印象が…。
装置もカクカク、演技もカクカク。
対角線上や平行線上の、対峙場面が多く、葛藤場面はいいとしても、お互いの気持ちがふっと寄り添う瞬間の演出があまりフィットしない気がしています。
昔、手塚治虫さんが、漫画家は円を描けなくなったらおしまいだとよくおっしゃっていたけれど、演出家も円が描ける人であるべき気がします。
ベテランの役者さんでさえ、こうなんだから、若い役者さんが、栗山演出で、丸い演技ができないのはむべなるかなと思いました。
イプセンの戯曲そのものは、やはり、時代を超えた普遍性があり、台詞にも笑ってしまうものがたくさんで、大変面白いストーリーでした。
登場しない人物の実存を感じさせる術もさすがで、やはりイプセンは偉大な劇作家だと思い知らされました。
この原作で、このキャストで、たとえば鵜山さんやタニノクロウさん演出の舞台を観てみたい気が強くしました。