死の舞踏
演劇集団円
ステージ円(東京都)
2008/07/17 (木) ~ 2008/07/31 (木)公演終了
満足度★★★★★
夫婦の愛憎劇の秀作
すごく昔の他の国のお話なのに、とても、臨場感と、思い当たる台詞が随所にある、興味深い内容で、終始食い入るように目撃したという感覚の芝居でした。
橋爪さんの舞台は久々でしたが、やっぱり巧いなあとただただ感心。
円は遠くて敬遠しがちですが、やっぱりこれからはちょくちょく行こうと思うきっかけになった舞台でした。
一緒に行った哲学専攻の長男と、観劇後の会話が弾みました。
キャンディード
東宝
帝国劇場(東京都)
2010/06/02 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★
亜門版とは全く別物
亜門版「キャンデイート」を4回程、過去に観ましたが、まさかこうまで異質だとは思いませんでした。
亜門版は、ストーリー展開がスピーデイで、曲も、一人一人じっくりと聴かせる演出で、完全に、オペラ的ミュージカルでしたが、ケアード版は、ミュージカルではありながら、全く音楽が掛からないシーンがかなりあり、ある時は、まるでストレートプレイ並みに、じっくり一人語りをさせたり、かなり、両者は演劇表現が対極でした。
どちらも、一長一短で、私は、全く別の作品を観る思いで、楽しめました。
ケアードさんのミュージカルは、いつも、歌も演技も共に水準以上のキャストを選ぶので、役の掘り下げという視点から見ると、断然こちらに軍配が上がる気がします。
特に、井上さんと新妻さんは、東宝以外の舞台で、いろいろ験算を積んできただけあって、この2人のコンビによって、初めて、「キャンデイート」という作品に魂が込められたように感じました。2人の歌唱も文句なし。
そして、驚くことに、あの帝劇を、水を打ったようにシーンとさせて、まるで一人芝居の独壇場を見せて下さった阿知波さん。これは必見ものでした。
惜しむらくは、市村さんの活舌の悪さ。パングロスの時はまだいいのですが、ストーリーテーラーのウ゛ォルテール役の時の台詞の語尾がほとんんど聞こえず、ちょっと舞台への集中の邪魔をしました。
照明がため息が出る程、美しく、何だか動く絵本でも見る様。
冒頭シーンは、マリオネットの人形劇風だったし、ケアード演出のセンスの良さに満ち溢れた、本当に、素敵な舞台芸術でした。
市村さんの台詞には、若干不満があったものの、トータルすると、ケアード版の方が、遥かに好きです。ストーリーを追うより、人間描写に力点が置かれ、とても哲学的で、人物に感情移入しやすくなりました。
オペラのような、歌詞のない歌の部分にも感情を込めて歌える、新妻さんには心からの賞賛を惜しみません。本当に、力のある女優さんになられて、初舞台から観ている私は、その部分にも感涙してしまいました。
タイタニック TITANIC the musical
フジテレビジョン
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2009/01/24 (土) ~ 2009/02/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
初演より進化した舞台に涙が出た
母の演劇部の後輩、宝田明さんの舞台なので、初演に続いて観に行きました。
実は、初演の印象はあまり芳しくなく、初演より再演が上回っていたという観劇体験も滅多にないので、あまり期待していませんでしたが、これは群を抜いて、再演舞台が上を行っていました。
初演では、有名どころをキャストに揃えたものの、アンサンブルがその分、キャステイングに気を抜いたのか、1等船室の客が、とてもそんな風情には見えず、皆が、バラバラな演技をしていて、舞台全体のトータル感が皆無でした。
それが、再演舞台は、無名でも実力あるキャストを揃え、それぞれの役作りが、進化していて、涙を誘われる場面が多々ありました。
松岡さんも、ミュージカル俳優として、成長され、宝田さんの威厳はお見事でしたし、昔から注目していた、アンサンブルの役者さんの目覚しい成長振りも嬉しくなりました。
この演出家は、私の経験上、再演舞台の方が、数段進化する数少ない演出家のお一人です。きっと初演の評判に素直に耳を貸されるタイプなんでしょうね。
楽曲も素晴らしいし、是非再々演して頂きたいのですが、宝田さん、階段の上り下りがかなりしんどいとおっしゃっていたから、難しいでしょうか?
つちのこ
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
手連れ揃いで、嬉しくなる!!
久しぶりに、新劇の芝居で、パーフェクトな仕上がりの舞台を観劇して、感無量でした。
こんなに、出演者全員の演技に大満足できる公演は、かつて観た記憶がありません。
客演続きで、本公演出演がお久しぶりな、石母田さん目当てで行きましたが、増子さん、石母田さんばかりでなく、青年座の皆さん、ここ数年で、飛躍的に、喜劇タッチのお芝居が上達され、昔からの劇団ファンとして、舞台の間中、嬉しさにニンマリしてしまいました。演出の黒岩さんも、さすが。スタッフ技術まで含め、非の打ち所のない傑作舞台でした。
青年座、名優や名演出家が次々亡くなり、高畑さんや山路さんは、客演ばかりで、将来を心配したりしていましたが、杞憂のようでした。
小劇場の才能溢れる作家に次々書き下ろしを依頼し、それが見事に花開いて来た感じで、今後の劇団公演が益々楽しみになりました。
散歩道楽の太田善也さんの脚本も隙がなく、秀逸なストーリー構成で、散歩道楽の公演も一度観てみたくなりました。
シュート・ザ・クロウ (イギリス)
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2009/04/10 (金) ~ 2009/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
秀逸な外国映画のようでした
青年団系の芝居によくある、始まる前から、出演者が舞台上に意味なくいる演出、普段はあまり好きではありませんが、この芝居に関しては、そこから既に秀逸でした。
だって、出演者が、全員、既に、左官職人として、壁を丹念に塗り固めていたから…。特に、平田さんの存在感は見事としか言いようがありませんでした。何十年も、この仕事を黙々とやり続けて来た本物の職人さんにしか見えない。以前から大好きな役者さんを、更に大好きになり、尊敬しました。
アイルランドの芝居って、何故か、行ったこともない国なのに、懐かしさがあり、胸が締め付けられるような息苦しさを追体験するような劇後感をよく感じるのですが、この芝居もそうでした。
同じ職場の微妙な人間関係、生活の不安や厳しさ、どこか、違う場所に逃げ出したくなる閉塞感…、そういった、微細な感情の縺れが、写実に描かれ、見事な作劇でした。
相変わらず、田村さんの、セット使いの巧さには驚嘆もの。
平田さん、板尾さん、阿南さんの演技が互角で、まるで、昔のヨーロッパ映画の秀作を観るようでした。
惜しむらくは、柄本さん。屈折してナイーブな青年役は、任に合っていましたが、如何せん、活舌が、お父様譲り。映像なら何とか拾ってくれるでしょうが、劇場だと、大切な台詞が聞き取れず、致命傷でした。
恋女房達
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
極上のアラカルト料理でした
「発想の豊かさ」という、高級調味料で味付けされた、まさに極上のアラカルト料理、堪能させて頂きました。
以前、評判高い劇団の芝居を観に行った時、芝居そのものにはがっかりしたのですが、アフタートークで、初めて、生小夏さんを拝顔し、こんなに可愛い女性が、素敵な作劇もなさるなら、神は、何物お与えになったのかと、実は、半信半疑で、青☆組を初観劇しましたが、噂は本当でした。とっても、素敵な作品ばかりでした。観客の予想を上手に裏切る技量も大したものです。あんなに、若くて、可愛らしい感じの女性なのに…。御見逸れしました。こうして、若い才気に巡り合うチャンスがあるから、観劇はやめられないのですねえ。
何だか、最初から最後まで、心を前のめりにして、見入ってしまいました。
本公演も、今から、とても楽しみです。
-初恋
Cucumber
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
今井さんの絶妙演技、必見ものです
ずっと観たかった「初恋」やっと拝見できました。
初見なので、過去と比較できませんが、今回のキャストは、適材適所で、ベストメンバーだったのではと思いました。
中でも、今井朋彦さんが絶品演技です。今井さん、眉根に皺を寄せた、一癖も二癖もあるような、ニヒルな役どころが多いように思いますが、こういう役の今井さんは、新鮮で、大変魅力的でした。
三谷さんの「音二郎」の時も、軽妙洒脱な役がお似合いでしたが、今回の作品でも、今井さんが登場された途端、舞台の空気が変わりました。意外と喜劇タッチの役の方が、お上手なのではないかしら。
土田さんの作劇って、物凄く、綿密に計算された構成と台詞で成り立っているので、キャスティングによっては、ともすると、作為的な表層演技でも一応、成立してしまうのですが、今回のキャスト陣は、皆さん、土田さんの生み出したキャラクターに、きちんと人間の血を通わせて、作品に厚みを持たせました。
久野役の、若い川原一馬さんも、とても好感の持てる演技で、一目でファンになりました。
このキャストで、「初恋」を初見にできて、良かった気がしました。
出演者でもある、奥村泰彦さんの舞台美術が、これまた秀逸でした。神はニ物を与えたもうたのですね。
のばら心中
蜂寅企画
シアター風姿花伝(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
岡場所のようでした
スタッフもキャストも、良い舞台を創ろうという、真摯な姿勢を随所に感じ、大変好感が持てました。
これが、大学の余興芝居とかで、尚且つ、私がまだ若く、近世吉原の知識が皆無な人間だったら、間違いなく、大賛辞を送れる舞台だったと思います。
ですが、残念ながら、この世界になまじやや精通していたため、今回の公演は、心から楽しむことが困難でした。吉原のしきたりとか、衣装とか、考証的に、これはあり得ないと首を捻る部分があまりにも目についてしまいました。
もっと、舞台自体が、デフォルメした表現なら、こんなに違和感を感じなかったと思うのですが、スタッフの、懸命に、当時の吉原の遊郭を再現しようとする工夫が隋所に見えたせいで、逆に、それが裏目に出てしまったように感じました。中尾さんの紡ぎ出す、心の琴線に振れる台詞が幾つかあっただけに、この綻びが残念でなりませんでした。
小劇場レベルで、吉原の遊郭を舞台にするなら、最初からリアルさのある衣装やセットにせず、むしろ裸舞台で、観客の想像に委ねる舞台様式にした方が成功するのではと思います。
のばらと白菊は、どう見ても、高級遊郭の花魁には程遠く、この舞台は、どうしたって、岡場所風情に見えました。
中尾さんの時代劇戯曲の才は素晴らしいと感じ入っているので、次回の更なる成長を楽しみにしています。
石丸幹二
DISK GARAGE
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/04 (金)公演終了
満足度★★★★★
夢のような一夜でした
17年間も、劇団四季に在籍していた石丸さん。
外で、いろいろな役柄に挑戦して頂きたいとずっと待ちわびていましたが、ようやく念願叶い、役者人生初のソロコンサートまで、開催して下さって、長年のファンとしては、感無量でした。
それに、この企画の言いだしっぺの一人でもあるので、コンサートの流れも、お客様の反応も、非常に気になっていました。
結果は、大成功だったのではないかと思います。
もう、中年と言って良い年齢にも関わらず、石丸さんは、ピュアで、まるで、少年のような初々しさで、本当に、コンサートの歌唱はもちろんのこと、MCにも、とても好感が持てました。
音大出で、専門的素養もあるせいか、コンサートの選曲にも、大変センスがあり、滅多にないくらい、質実充実したステージでした。
演出家の白井晃さんに構成・演出をお願いしたのも、成功の一因だったように思います。
今日のコンサートは完売でしたが、19日のオペラシティの方は、まだチケット若干残っているようです。
石丸さんの、デビュー20年目にして、初めてのコンサート、聞き逃したら、損だと思える、充実度でした。
あー、長いこと、待った甲斐がありました。大満足の一夜です。
ドリームガールズ
Bunkamura
Bunkamuraオーチャードホール(東京都)
2010/05/19 (水) ~ 2010/06/05 (土)公演終了
満足度★★★
コンサートなら、満点舞台ですが…
歌は、とにかく文句なく最高水準でした。
ですが、どうも、人間描写が浅薄で、人間ドラマ的には、映画の出来栄えの方が数段上でした。
人物の心情に寄り添う間もなく、次々、繰り出される大熱唱シーンの洪水に、ミュージカルを観に来たつもりの私は、少々面食らいました。
お客さん達も、はなから、完全にコンサートを堪能に来場した雰囲気で、ショー部分だけでなく、葛藤のドラマ部分のバラードナンバーででも、ワーワーヒューヒュー、歓声と拍手で、大賑わいでした。
ミュージカルを観に来たのではなく、コンサートを聴くつもりの人には大満足の行くステージだとは思うものの、私としては、やや感情が乗り切れない歯痒さを感じてしまいました。
「シカゴ」も「ドリーム・ガールズ」も、私は映画派です。
エフィーの心の軌跡がもっと丹念に描かれていたら、文句なかったのですが…。
あー、でもでも、音楽は、必聴ものです、間違いなく!!
甘え
劇団、本谷有希子
青山円形劇場(東京都)
2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★
情念的に過ぎる気がしなくもない
本谷有希子さんの書く世界が結構好きで、もう何作か観ていますが、今回の作品は、やや、観念的と言うか、人物よりも、情念に、照射されているような舞台でした。
役者さん、全員とても好演されているし、決して厭きたりはしなかったものの、やはり、このテイストでの2時間芝居は長く感じました。
今までの作品は、もっと登場人物の現実的日常が描かれ、その中で、描かれる情念世界とのコントラストが絶妙でした。
今回も、もう少し、人物の現実的姿が浮かび上がるような作劇だったら尚良かったのにと、やや残念に思いました。今までのように、登場人物に自分を重ね合わせることができず、終始、俯瞰してしか観劇できなかったことに、不満が残りました。
小池栄子さんは、過去に、グローブ座の芝居で拝見した時も、驚きましたが、とても舞台女優さん向きだなあと感心しました。
何より、とても輝いてお美しいなあと感じ入りました。
露出狂
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
こちらは、噂に違わず、ブラボー!!
初、柿喰う客!!
もう、これは、大賛辞以外に、言葉がありません。
これぞ、ホントの、小劇場オールスターキャストでした。
容姿良し、演技良し、威勢良しの、小劇場女優の精鋭陣の揃い踏み。
歌舞伎の「白波五人男」の花道の勢揃いの場を見るような高揚感で、終始、目を輝かせて舞台に見入る自分の表情を自覚できました。
本当に、あっぱれ!女子だけで、小劇場のトップレベルの力業を見せ付けて頂き、感謝感激。目が釘付け。
全員に見せ場があり、あれだけの人数なのに、終演までには、全員の役名を把握することができました。
これって、中屋敷さんの脚本演出の才だと思います。
アフタートークで、初めて、生中屋敷さんを拝見し、余計、嬉しさがこみ上げました。ろくな作品書かないのに、やたら主宰ずらして威張っている感じの方はよく見かけますが、こんなに才能あるのに、謙虚な感じの方とは思いもしませんでしたから。
今度は、男優さんも出る、柿喰う客を初見したいと思いました。
このクオリティで、2800円のチケット代は、申し訳ない気がします。
PARTYせよ
東京おいっす!
「劇」小劇場(東京都)
2010/05/25 (火) ~ 2010/06/01 (火)公演終了
満足度★
無茶振りシチュエーションに、全く笑えず
ここでの高評価に、期待度100%で、劇場にまいりましたが、悲しいことに、自分的には、大不発舞台でした。
シチュエーション・コメディって、どこにでもいそうな普通の人間が、次々起こるアクシデントや、誤解の連続に、一喜一憂したり、慌てふためいて、事を打開しようと躍起になって、逆に土壷に嵌って行く様が可笑しいんだと思うのですが、この芝居は、作者の御都合主義で、造型された、普通あり得ない人間達が、これまた、作者の意のままに、人間工学的にも、人間常識的にも、あり得ようもない行動ばかりするので、何だか、見れば観るほど、興が冷めてしまいました。
改めて、レイ・クーニーや、三谷さんのコメディの完成度に、思いを馳せてしまいました。
この劇団、役者さんは、なかなかなのに、もったいないなと、それが、一番の感想でしょうか。
イカれた主婦-ANGRY HOUSEWIVES-
アトリエ・ダンカン
ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)
2010/05/15 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかったあ!
いやあ、何かめんどくさいこと一切忘れて、単純に楽しめる、コメディタッチのミュージカルでした。
バンドメンバーの女優陣がとにかく輝いていて素敵!
男優共演メンバーにも恵まれて、安心して客席に身を委ねていることができました。
一番若い彩輝さんは、今回も愛くるしくてとても元男役さんとはお見受けできませんでした。
木の実ナナさんの年齢を感じさせないバイタリテイ、弾けるキムラさんと浦嶋さんの意気の良さ…
バンドライブを一緒に楽しんだら、精神年齢が若返った感じで、久しぶりに演劇で高揚感を感じて、気分爽快! あー、楽しかった!!
落ち込んでる中高年世代に、オススメです。
親の顔が見たい
劇団昴
NHKみんなの広場 ふれあいホール(東京都)
2009/02/07 (土) ~ 2009/02/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
終始、緊張感で、痛くなる
題材が題材だけに、一瞬たりとも、気を抜けるシーンがなく、緊張しっぱなしで、あちこち痛くなる観劇体験でした。
自分も、子供達も、苛められ体験があるので、緊迫したシーンの連続の中で、忘れていた感覚が甦り、度々、心も痛くなりました。
でも、観られて良かった!
昴なのに、青年座の芝居を観ているようだと思ったら、演出が、青年座の黒岩さんで、納得。演出家次第で、劇団のカラーって変わるんだ!と発見もあり。
皆さん、芸達者で、まるで、ドキュメンタリーを見るような臨場感がありましたが、新聞配達店の店長役の方だけが、台詞の間に計算が見え、ちょっと作り物めいてしまったのが残念でした。
アンゲーテッドコミュニティ
北京蝶々
テアトルBONBON(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
2時間ドラマの代役リハーサル並み
なかなか評判高いと伺い、楽しみに、観劇にまいりましたが、何だか、これで、チケット代取るのはどうかと思うような、まるで、学生劇団の延長レベルの役者陣の演技に、心底がっかりしました。
刑事だとか、幼少時のトラウマを抱えている女性とか、それでなくても、高水準の演技力、表現力を必要とする役がたくさん登場するにも関わらず、その役の人生を、見せて下さる役者さんが皆無でした。
何だか、演技派役者さんが、忙しくて、リハーサルに間に合わず、素人のマネージャーとか、それ専門の、立ち位置決めのための代役さんで、ランスルーしてるドラマシーンかと思うくらい。
脚本で、作者が書こうとしているテーマは、興味深いし、もっと推敲して発表すれば、戯曲賞とかの対象にもなり得るレベルかもとは思いましたが、如何せん、演出力と役者力が、足りませんでした。
この舞台、無料公演なら、脚本と装置に☆二つといったところですが、3千円も払ったので、評価外です。
ピストルとかの小道具が一番リアルで、役者さん達の演技より、遥かに迫真的だったのが、皮肉に思えました。
サウンド・オブ・ミュージック
劇団四季
四季劇場 [秋](東京都)
2010/04/11 (日) ~ 2011/03/12 (土)公演終了
満足度★★★★★
子供達は、歴代随一
四季のやる「サウンド・オブ・ミュージック」なんてと二の足を踏んでいたのですが、綜馬さん御出演のお陰で、拝見することができて、素晴らしい舞台を見逃さずに済みました。
初演から、ほとんどの公演を観て来ましたが、とにかく、今回は子供達の名演が、ダントツ光っています。東宝版の子役さん達は、ただ言われたままに、舞台にいて、歌っているといった風情だったのが、この四季の子役さん達は、皆、トラップ家の子供達にきっちり変身して、舞台上に存在していました。一番年下の女の子までが、名演技で、何度、笑わせられたり、涙腺を緩ませられたりしたことか!!これは、驚嘆に値します。
ストーリー展開も、無駄がなく、枝葉末節が削ぎ落とされて、その分、この作品のメッセージが、ダイレクトに心に染み渡りました。
マリア役の井上さんも、とても役に合って、魅力的でした。
四季特性発声装置みたいな台詞回しも、気になったのは冒頭部分だけで、ほっとしました。
綜馬さんも、古巣に帰られると、どうしても、郷に入っては郷に従え的演技になってはいましたが、それでも、近年のトラップ大佐の中では、出色の存在。
本当に、改めて、傑出の名作ミュージカルだと、痛感させて頂きました。
是非、たくさんの方に、ご覧頂きたい出来栄えでした。
沈黙亭のあかり
劇団俳優座
紀伊國屋ホール(東京都)
2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
無念!かつての才気は何処に?
まだ若かりし頃、山田太一作品に魅了され、放送作家を目指したことのある身としては、もう、無念、残念としか言いようのない舞台でした。
あまり好きでない《静かな演劇》より、更に非現実的な登場人物のオンパレード!!
個人的には、観るに耐えない舞台でした。
でも、私より遥かにお年を召した観客層は、大きな拍手で、中野誠也さんに大賛辞を送られていましたが…。
たぶん、私はもう二度と、山田太一さんの新作を観に行くことはないでしょう。
2010億光年
サスペンデッズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2010/05/22 (土) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
静謐な、情感劇の秀作
本当に、いつも思うのですが、早船さんて、どうしてこんなに女心がおわかりなんでしょう?
淡々としたストーリー展開の中に、はっとするような珠玉の台詞やシーンが散りばめられて、上質な大人の芝居を、充分味わわせて頂きました。
早船さんが、役者さんそれぞれに、思いを込めて、戯曲を書いていらっしゃるのだなあということも、観ていてジワジワ伝わって来ます。
この作品を観て、眠くなってしまうタイプの男性は、きっと彼女の女心は、ちっとも理解できないタイプなんじゃないかなと思いました。
我が家の夫なら、きっと最初から最後まで、眠っていそうです。(笑)
作品にも、役者さんにも、大満足ではありましたが、どうも芸劇は、この劇団には広すぎる空間ではと思いました。こういう、芝居は、もっと狭い濃密な劇場空間で観たい気がします。
冒頭のシーンでは、役者さんの台詞が割れてしまうのか、聞き辛い箇所がずいぶんありました。これも劇場の問題かもしれません。
めぐるめく
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
KAKUTA は私を裏切らない
正直言うと、オープニングの数分間は、あれ、今回のKAKUTA は不発かな?とちょっと不安になったのです。
でも、それは全くの杞憂でした。
KAKUTAはやっぱりKAKUTAでした。
桑原さんって、いつも感心するばかりですが、どうして、作・演出も役者も、あんなに素晴らしい両立ができるのでしょう!!
半世紀以上芝居を観ていますが、こんなパーフェクトな両立をできる演劇人を他に知りません。
いつも、この劇団は、キャスティングが適材適所なんだけれど、それが、また以前の公演とは、似ても似つかないような役どころなんで、また感心してしまいます。
そして、いつもそうなのですが、また今回も、成清さんの台詞に泣かされてしまいました。今回の舞台、成清さんは、メーンの役じゃないのに、それでも、持って行ってしまう、彼の役者力に脱帽です。
KAKUTAバンザイ!!一生追いかけ続けます。