TOPDOG/UNDERDOG
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2012/11/30 (金) ~ 2012/12/28 (金)公演終了
満足度★★★
演出の力量<役者の独走???
心配が当たったようで、どうも、堤さんの演技が腑に落ちなくて仕方ありませんでした。
原作自体は、なかなか良い戯曲だなと思うのです。
小川さんの演出も、他国の異文化の世界を、うまく、日本人にも共感できるように、空気変換される、技術が優れていると思うのです。
だけど、この戯曲、あーいう結末に至るまでの、役者側の伏線的な演技が、もっと表出されてしかるべきではと感じるのです。
もっと、濃密な空気の中で、兄弟の心の交流と、葛藤が描かれるべき作品だと感じるのに、いつもながらの、堤さんの笑いを取り過ぎる演技が、この作品には、やや不適切だと、私の目には映りました。
プロミセス・プロミセス
サンライズプロモーション東京
新国立劇場 中劇場(東京都)
2012/12/15 (土) ~ 2012/12/23 (日)公演終了
満足度★★
ひとえに、演出の力不足
どんなに楽曲が優れていようと、原作が名作だろうと、キャストに実力があろうと、演出次第で、凡作にも、駄作にもなってしまうという、見本のような残念な舞台でした。
本当は、中川さんのチャックを観るつもりでしたが、呆けてきたのか、まさかの競泳水着とのダブルブッキングをして、公演数日後まで気づかず、やむなく、チケットを買い直して、藤岡チャックの観劇でした。
昔、初めて、リピートしたいと思った、北大路欣也さん主演の「プロミセスプロミセス」は、本当に素晴らしい作品だったのですが、今回の舞台は、とにかく、舞台運びが、チンタラチンタラして、退屈極まりないのです。
藤岡さんのチャックは、むしろ中川さんより適任ではないかなと思える程、任に合って、好演されていましたし、大和悠河さんのフランも、奇麗で、品があって、好感が持てたし、樹里さんは、コメディエンヌ振りを発揮されて、笑いをふんだんに取っているし、浜畑さんと伊東さんのベテランも、軽妙洒脱な安定の演技で、脇を支え、概ね、キャストは、健闘しているだけに、とても残念。
それと、ミュージカル俳優としても、実力があった筈の岡田さんが、すっかり、映像演技の発声になり、台詞がほとんど聞き取れなかったのも、意外な盲点でした。
建付けが悪かったのか、チャックの部屋のドアが、開閉がうまく行かず、何度も、キャストがアドリブなどを入れて、取り繕っていました。まるで、この舞台の内実を象徴しているかのようでした。
最後に、おまけで付いていた、アフタートークも、アンサンブルの自己紹介だけというのも、芸がなさ過ぎて、疑問でした。
すべての夜は朝へと向かう
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2012/12/12 (水) ~ 2012/12/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
前回公演より、断然好み
もう還暦近い年齢ですが、十分共感できました。(笑)
登場人物全員の気持ちに、必ず一度は寄り添わされる瞬間があり、相変わらずの上野さんの作劇構成の巧みさに、してやられた感じ。
鈍感なお客も付いて行ける程度のわかりやすい伏線を引いて、観客の優越感を擽りつつ、しかし、後半で、まさかの謎解きめいたシーンを挿入し、変化をつけて、冗長にならず、随所に、作劇の高度なテクニックを駆使して、飽きさせないのが、凄い!キャストも、それぞれ、好配役並びに、好演でした。
共感できないというコメントもありましたが、私は、恋に臆病だったり、自分自身の気持ちを掴み兼ているような不器用な登場人物の気持ちに同化して、若かりし頃の恋愛時代を懐かしむ感情が芽生え、心地よい作品だと感じました。
RUR
演劇集団 砂地
上野ストアハウス(東京都)
2012/12/12 (水) ~ 2012/12/18 (火)公演終了
満足度★★★★
選挙目前に、思うところだらけ
カレル・チャペックの原作は全く知らないので、どこまでが船岩流にアレンジされているのか、不明ですが、とにかく、結果がえらく不安になる今回の選挙目前に観たせいか、かなり心に突き刺さる作品でした。
かなり以前から、何度も拝見していた田中壮太郎さんの舞台は、久々でしたが、やはり、群を抜いて、目が離せない演技をされる方で、改めて、いい役者さんだなあという思いを強くしました。
お知り合いの鈴木啓司さんと、壮太郎さんが、同じ舞台に立たれていることに、個人的に、やや興奮気味になってしまいました。
重要な役どころの井上さんが、やや台詞を咬むことがあったのが、緊迫した舞台だけに、ちょっと残念。
ガル役の藤尾さん、好演されていました。所属される劇団を観る機会はないと思うので、またどこかに客演される時、拝見したい役者さんでした。
あつ苦しい兄弟
劇団道学先生
座・高円寺1(東京都)
2012/12/07 (金) ~ 2012/12/16 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い試みとは思うものの
私は、正直、桑原さん脚本のあつい編の方が断然好みでした。
主役のお二人には、それ程興味はなかったのですが、桑原脚本と、井之上、山本、西山、桑原の出演陣に惹かれて、行ってまいりました。
あつい編は、やや起伏が乏しく、ダラダラと長く感じる部分はあるものの、人物の造形に説得力がありました。前にも青山さんの演出舞台は数回観ていますが、青山さんの演出は、緩急がなく、冗長に感じることが多いので、このあつい編も、桑原さんが演出されていたら、もっとメリハリの効いた舞台になっていたように思います。だいたい、主役の方が、演出まですると、舞台は散漫になるものだと思います。
一方、後半の中島さんの作・演出になる、苦しい編は、私には、思いつきだけの、仏作って魂入れずの脚本に感じられました。あまりにも、人物造形がその場凌ぎで、腹が立つ程でした。
せっかく、あつい編で、桑原さんが丁寧に、登場人物のキャラクターを確立したのに、中島さんの苦しい編が、根底から、滅茶苦茶に解体してしまった感じがしました。
ただ、面白いことに、この苦しい編の方が、各役者の見せ場はふんだんにありました。各人の技量が試されたのは、むしろ、苦しい編の方です。
ですから、ストーリー展開の不備には目を瞑り、役者の度量比べ、役者の品評会的な芝居という観点から見れば、この舞台は、かなり面白い試みだと思えました。
苦しい編の役者、桑原さんの演技力が、あまりにも抜きん出ていて、また、桑原さんへの執着心が増してしまいました。
勘三郎さんの晩年の舞台にお付き合いの多かった井之上さんの名演を拝見し、もし勘三郎さんがこの舞台をご覧になっていたら、腕組みして、目を細めながら、「井之上さんて、いい演技するんだよなあ!」と呟いていらしただろうと思い、涙が零れました。
『ガラクタとペガスス』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ワーサルシアター(東京都)
2012/11/28 (水) ~ 2012/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
類稀な劇団の刺のない笑いが心地いい
8割世界を、縁あって長く拝見して思うことは、こういう劇団って、たぶんあまりないよねって感想です。
好きな人は、滅茶苦茶好きだろうし、嫌いな人には、馬鹿らしいと思われるほど、好みが分かれそうな劇団の特質があります。
前回の石原さんの脚本の「タンバリンスナイパー」は、芝居としての完成度は、今回の作品より優れていたと思います。ただ、8割世界ファンにはやや不評だったみたい。今回のガラぺガは、そこへ行くと、え?これ、本当に石原さんの脚本?と感じる程、鈴木雄太さん色の色濃いものでした。
だから、現実性も、社会性も皆無。ただただありえない展開が続き、あまりにも下らない世界の中で、役者が奮闘しています。
でも、これが、妙に心地良い観劇タイムになるのは、紛れもない事実です。
世知辛い世の中だからこそ、現実を忘れて、ひと時、刺のない笑いの世界に身を委ねたくなる人間には、なくてはならない劇団かもと思わせられました。
アリス・イン・ワンダーランド
ホリプロ
青山劇場(東京都)
2012/11/17 (土) ~ 2012/12/07 (金)公演終了
満足度★★★★★
さすが鈴木裕美さん
公演情報が隠れていて、検索するのに苦労し、書き込みが遅くなりました。
ちょっと苦手な出演者がいたので、躊躇ったものの、裕美さん演出なので、期待して観に行ったのですが、期待を悠に越えて素晴らしい舞台でした。
何が驚いたって、ジョイさんと、渡辺美里さんという、異色のキャストの煌き!
「宝塚boys」の時にも感じたのですが、裕美さんは、出自の異なる様々な出演者を一つに束ねる才が尋常ではないと感心するばかりです。
目線の異なる、新「不思議の国のアリス」といった感じの、最高に楽しいミュージカルでした。
アンサンブルの面々のレベルの高さもあり、キャスト全員が、それぞれの魅力を最大限に放ち、チームワークも良さそうで、素敵なカンパニー感いっぱい。
幸せな気分で、家路につくことができました。
もっと早くに観ていたら、たくさんの人に勧められたのにと悔やまれます。
眠れない羊
ライズ・プロデュース
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2012/12/05 (水) ~ 2012/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
作劇術師ほさかさん!
我が家ととても御縁の深かった勘三郎さんの訃報を耳にした日に、故人を偲ぶというシチュエーションの芝居を観て、より一層感慨深い観劇となりました。
ほさかさんの作劇の才にはいつも感心するのですが、今回の作品も、その芝居作りの妙に、感嘆しました。
錬金術師ならぬ、作劇術師という感じ。
たいした事件は結局何も起こらないのに、ずっと、観客の興味を繋ぎ止める作劇の上手さには、恐れ入りました。
それにしても、一度観に行って二度と観ないと誓った劇団に、こんな素敵な俳優さんが在籍していらしたとは!進藤役の川村進さんに一目惚れしてしまいました。
この芝居を観たいと思わせて下さった森下さんに感謝です。
ライフの俳優さんかと思うほど、イケメンの向山さん、大好きだった8割世界にいた吉岡さんを彷彿とさせる牧島さん、とてもいい味わいの演技を見せて下さった鍛冶本さんなど、また気になる役者さんが一挙に増えて、困りました。(笑)
亡くなったご主人さまの事故現場が、赤羽橋という場所の選択ひとつ取っても、ほさかさんのセンスを感じて、ニンマリ。
ただ、その場所に、何故ご主人が行ったのかという謎解きは、ちょっと作為的な感じがして、ちょっと残念でした。
最後の場面もやや蛇足に感じて、あそこで、新人さんが登場というのも、やや芝居のクオリテイを下げてしまった気がします。
最後列で、観劇していらした及川さんの美しいお顔も間近で拝見できたし、新井薬師から中野に向かう道の昔懐かしい風情にも、心が和み、勘三郎さんの一人通夜には絶好の観劇だった気がしています。
バカのカベ~フランス風~
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2012/11/15 (木) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
期待に違わず、最高の舞台
加藤さんと風間さんの共演舞台を拝見するのは、学生時代、紀伊国屋ホールの階段に座って観た「熱海殺人事件」以来だと思います。
実際、お二人の共演は、30年ぶりとか。声でご出演の平田さんと3人揃い踏みなら、尚のこと嬉しかったのですが、お二人だけでも、往年のつか芝居ファンとしては、万感胸に迫る思いがありました。
期待通り、キャストが全員申し分ないし、演出は鵜山さんだし、作品も、人間の本質をちょっと皮肉りながら、決して、卑猥や品のなさに走らない、上質コメデイで、最近の小劇場で時として感じる、こんな場面でよく笑う気になるなと、客席の品性にまで眉を顰めたくなるような箇所が皆無で、本当に、幸せな観劇タイムを過ごすことができました。
ただ、ひとつ残念だったのは、西川さんの出番が少なかったこと。
まだキャラメルを拝見する以前に、カトケンご出演の西川さんを初見の時、何てコメディ演技の上手な役者さんかと感嘆したことがあり、今回も、西川さんのご活躍を楽しみにしていたので、ちょっと肩すかしでした。
出番が被らないので、清水さんが演じたシュバル役と、一人二役でも良かったように思います。
今や、カトケン芝居には、なくてはならない新井さんの存在感、品のある日下さん、ハッチャケタ役も上手になられた加藤忍さん、喜怒哀楽をあざとくならずに好演された清水さん、そして、何と言っても、声からはご自身のお顔を想像し得ない、絶妙な名声優ぶりの平田さん。
適材適所の脇役俳優さん達の加勢もあり、お二人のつか芝居の重鎮は、いつにも増して、演技がこなれて、最高のコンビぶりを見せて下さいました。
これは、映像とかで永久保存したいくらいの舞台でした。
里見八犬伝
日本テレビ
新国立劇場 中劇場(東京都)
2012/11/16 (金) ~ 2012/11/26 (月)公演終了
満足度★★★
明治座時代劇を思い出す
若かりし頃、よく招待券で拝見させて頂いていた明治座の時代劇。映像でも有名な俳優さんが、バッタバッタと人を斬り、その度に客席のそのタレントさんのファンの女性客が、溜息混じりに喝采を叫ぶ、そんな昔日の記憶の高揚感が蘇る舞台でした。
正直言えば、開幕からしばらくは、場違いな客の自覚が強く、まるでテレビゲームの実演ショーを見るようなこそばゆい気持ちでいっぱいでした。
やはり、あの深作監督のご子息の演出だしなあなどと、冷めた目で観ていました。
でも、馬木也さんと香寿さんが登場されてからは、俄然舞台が締まり、活劇としての面白さが出て来ました。
歌舞伎などの往年の八犬伝物に比べたら、確かに、物語性からも、殺陣等の技術面においても、同じ土俵で語れない部分はあるのですが、新国でかつて目にしたこともない若い女性客層が、泣いたり、感動したりしながら、この舞台に前のめりで夢中になっている様子を見て、これはこれで、成立する世界なのではと、寛容な気持ちになれました。
入口がどうであれ、若い観客層が、生の演劇に触れて、ライブの演劇の魅力を知って下さることは、半世紀に及ぶ演劇ファンとしては、この上ない喜びに感じるので。
そういう意味からも、深作さんは、楽しみな舞台演出家でもいらっしゃると思いました。
エリザベート スペシャル ガラ・コンサート
梅田芸術劇場
東急シアターオーブ(東京都)
2012/11/06 (火) ~ 2012/11/21 (水)公演終了
満足度★★★★★
花總エリザは最高!
本当は、一路トートとの日を観たかったのですが、チケット取れず、紫苑トートとの組み合わせの日に参りました。
「歌を忘れたトート」に一瞬ビックリしましたが、何より、待ち焦がれた花總さんのシシィに再び会うこと叶い、幸せの極みでした。
湖月さんのルキーニも、相変わらず、カッコイイ!高嶺ヨーゼフは、晩年の役作りの方が素晴らしく感じました。少年ルドルフを演じた初嶺麿代さんは、大変爽やかで、これからが楽しみなジェンヌさんだと思いました。
実力あるOJの方が多いので、最近の宝塚で感じる力量不足感がなく、ただ純粋に、「エリザベート」の世界を楽しむことができました。
客家(HAKKA)~千古光芒の民~
TSミュージカルファンデーション
天王洲 銀河劇場(東京都)
2012/11/09 (金) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し、ドラマ性がほしかった
なかなかのキャストが揃っていて、期待したのですが、期待が大き過ぎた分、やや薄味な舞台という印象が拭えませんでした。
もう少し、骨太で、うねりのある舞台を期待したのですが…。
とにかく、一幕の終わりまで、人物紹介の域を出ない展開に、やや辟易してしまいました。
音楽座で活躍された、畠中さん、吉野さん、吉田さんは、共に、演技に安定感があり、安心して拝見することができました。特に、吉田さんの光る眼力、口跡の良さは、特筆すべきものを感じました。
宝塚で、長く貴重な名脇役を務められた末沙のえるさんは、客家の歴史の生き証人としての風格が素晴らしく、舞台の要のようでした。
伊礼さんは、相変わらず、芸達者です。出す声からして、きちんと役作りされていて、拝見する度、どれだけ引き出しの豊富な役者さんかと感嘆してしまいます。ただ、今回の役は、脚本の人間描写が希薄だったので、伊礼さんの熱演が空振りするところがあり、残念でした。敵役とは言え、やけにメイクが怖かったのにも、違和感を覚えました。単なる悪役ではない筈なので、もっと本でも、メイクでも、フビライの人間を深く浮き彫りにしてほしかったと思います。
坂元さんは、以前より、演技力が向上され、趣の違う二役を好演されていましたが、歌になると、何をやっても、同じ美声になってしまうのが、今後の課題ではと思ったりします。
水さんは、初めて生の舞台を拝見しました。演技は、なかなか達者でいらっしゃると感じましたが、歌が弱いのと、ダンスが、役の思いを体現するには至らず、まるで、ダンス発表会かのような、稽古の過程が見えてしまった点が残念でした。
若い客家の青年を演じた俳優さん達も、それぞれ、光るものがあり、将来楽しみな人材が揃っていて、嬉しくなりました。
全体的に、見た目は、壮大な歴史ドラマ風なのに、それぞれの役の本の掘り下げ不足で、そこそこ美味しい、出汁の取れていないインスタントみそ汁の味わいでした。
こんばんは、父さん
ニ兎社
世田谷パブリックシアター(東京都)
2012/10/26 (金) ~ 2012/11/07 (水)公演終了
満足度★★★★★
永井さん復活!
ここ何作かの永井さんの新作には、幾分がっかりする部分があったのですが、久々に、永井さんが、誰の思惑にも踊らされず、本当に、書きたい題材を書きたいように作品化された芝居だったように感じました。
3人の配役が素晴らしく、均衡が取れていて、舞台を拝見している間、ずっと気持がワクワクとしてしまいました。
ただ、ひとつ、腑に落ちなかったのは、長い間、行き来がなかった父がどうして、鉄馬の携帯番号を知っていたのだろうかということ。昔から携帯番号を変えていないというのは、この鉄馬の状況では考え辛く、ちょっと虚構的に感じてしまいました。
今回の作品、個人的事情から、溝端さん演じる、闇金の取立て屋の青年に一番感情移入してしまって、複雑な気持ちで観劇したのですが、それでも、この配役の妙と、永井さんの綿密仔細な計算の上に成り立った戯曲の魅力には、心躍る思いがしました。
できれば、また再演してほしい演目でした。
タカラレ六郎の仇討ち
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2012/10/27 (土) ~ 2012/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
適材適所の配役が楽しい
最初の10分間ぐらいは、まるで面白くなくてどうしようかと思った程でしたが、だんだんと、弾みがついて面白い舞台になりました。
青年座の中でも、安定した実力派揃いの舞台は、適材適所の配役が効を奏して、次第に、客席の反応も温めて行く様子が伝わりました。
ストーリー自体は、如何にも作り話の域を出ないのですが、各役者さんのやや大袈裟な演技に、単純に笑えて、観終わってみれば、なかなかよくできた芝居だという印象が残りました。
久しぶりに、ホームの劇団で拝見した石母田さん、やはりいい役者さんであなあと再認識。
物語の登場人物達のチームワークの良さと、劇団の役者さんのチームワークの良さが二重写しとなり、舞台の醸し出す雰囲気がグッドでした。
青年座が、喜劇も物した感ありの舞台進行でした。
ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート ~日本スペシャルヴァージョン~
梅田芸術劇場
東急シアターオーブ(東京都)
2012/10/26 (金) ~ 2012/10/31 (水)公演終了
満足度★★★★★
最高のキャストで、堪能しました
5年前に観た、ウイーンキャストの「エリザベート」より、更に磨きが掛って素晴らしい舞台でした。
何しろ、マヤさんのエリザベートの歌唱が文句なし。
ルカスさんのルドルフには、また泣かされました。
シアターオーブは、先日も思いましたが、後方の席の方が見易そうです。
前列は段差がなくて、観難いそうですし、2階席は、手すりが視界を遮るそうです。
どうも、最近の新劇場は、観客視点で建てられていないようですね。
ジェーン・エア
松竹
日生劇場(東京都)
2012/10/06 (土) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすが楽日!
今回の公演は、3回目の観劇ですが、やはり東京楽日だけあって、今日の舞台は、完成度が高く、魅了されっぱなしでした。
松さんが、全身全霊を打ち込んで演じて下さったお陰だと思います。
キャストがこれだけ、適任者が揃っているステージも、滅多にないし、何度観ても感嘆する、ケアードさんの構成・演出力の巧みさには、舌を巻くばかりです。
大劇場で、これだけ、演劇の醍醐味を味わえる良作は、久々な気がしました。
もっと、たくさんの知り合いに観てもらいたかったなあと、自分の口コミの力量不足が残念でなりません。
歌詞も、台詞も、珠玉の選択ばかりで、一々、胸に響きます。
ジェーン・エア
松竹
日生劇場(東京都)
2012/10/06 (土) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ロチェスターの苦悩に涙する
先日の観劇時にも感じましたが、今回は、ジェーン・エアよりも、エドワード・ロチェスターの苦悩が、橋本さんの好演もあり、深みが増して、舞台上に色濃く浮き彫りにされている印象がありました。
初めて、橋本さとしさんの存在を知った同行の友人が、一目惚れしてしまったようです。
観れば、観る程、細部に行き渡った、ジョン・ケア―ドさんの演出構成手腕の巧みさに感嘆するばかりです。
これからも、1年置きぐらいに再演され続けたら嬉しいなと思います。
星めぐりのうた
ネルケプランニング
天王洲 銀河劇場(東京都)
2012/10/17 (水) ~ 2012/10/21 (日)公演終了
満足度★★★
相性ピッタリの歌声が気持ちいい
中川さんと、山崎さん。たぶん、初共演かしらと思うのですが、このお二人のハーモニーが素晴らしく、声質もピッタリで、大変相性ピッタリの共演だったと思います。
「銀河鉄道の夜」は、原作は未読で、いつも、これをモチーフにした芝居ばかり観ているので、今回も、どこまでが原作をなぞらえているのか不明ですが、物語芝居というより、ダンスと歌を主軸にしたショー的要素が強い作品で、視覚的、聴覚的に楽しめる場面が満載でした。
映像も、全体的に、とても綺麗で、映像のレベルが、舞台の完成度を高めた気がします。
いつもながら、杉崎さんの名バイプレーヤーぶりには、感嘆しました。
他に、気になった役者さんの岡田亮輔さん、岡田可愛さんのご子息なのですか?将来性のある俳優さんだと感じました。
幕間に、友人が、パンフレットを購入して来たら、何と、内容は希薄なポストカードのみで、払い戻ししたいと友人が怒っていました。これで、1500円だなんて、ちょっと詐欺的な気がします。
人情噺『端敵★天下茶屋』(はがたきてんがちゃや)
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2012/10/17 (水) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
趣里さん、可愛い!
素人っぽいと言えば、そうなんだけど、趣里さん、生まれが良い雰囲気が出ていて、憎めず、可愛い!!
「六角さんと父が共演している」という、当パンのヒントで、お写真を見たら、お母様にそっくりで、すぐにどなたのお子さんか察しがつきました。(面差しも似てるのですが、彼女の演技が、今は、ベテラン女優さんのお母様が、昔、ドリフの「全員集合」や「カックラキン大放送」にゲスト出演していた頃の演技を彷彿とさせるものがありました。)
ハチャメチャな内容ではありますが、昔から、芸能界や演劇界の裏話を知っている身としては、個人的にかなり受けました。
あー、こういう、演劇プロデューサー、いたなあとか思って…。
これは、どこの事務所をモデルにしてるかとか、かなり予想がつくだけに、とても興味深い内容でした。
扉座は、もう重鎮の役者さんがたくさんいらっしゃるので、ある程度、クオリティの高い芝居が打てて、お幸せだと思いました。
六角さん、有馬さん、岡森さんのお三方がいらして、横内さんの脚本、演出となれば、少なくても駄作になる心配はありませんから。
ジェーン・エア
松竹
日生劇場(東京都)
2012/10/06 (土) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
テンポアップしたせいで
初演時に比べると、曲のテンポも、舞台展開も、かなりスピーディになったように感じました。
そのため、中だるみせずに、観られる反面、やや、ジェーン・エアの心の葛藤部分が薄まってしまったような気もしました。
橋本さんのロチェスターの役作りが深まったのに反して、逆に、松さんのジェーンは、以前より、段取り芝居に感じた部分がありました。(とても巧い女優さんだけに、難なくこなしてるという印象になる部分があるのです。)
とは言え、やはり何度観ても、傑作舞台であることに変わりはありません。
今回初見の同行者は、いたく感激していたし、私も後半また泣いてしまいました。