TOPDOG/UNDERDOG 公演情報 シス・カンパニー「TOPDOG/UNDERDOG」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    演出の力量<役者の独走???
    心配が当たったようで、どうも、堤さんの演技が腑に落ちなくて仕方ありませんでした。

    原作自体は、なかなか良い戯曲だなと思うのです。

    小川さんの演出も、他国の異文化の世界を、うまく、日本人にも共感できるように、空気変換される、技術が優れていると思うのです。

    だけど、この戯曲、あーいう結末に至るまでの、役者側の伏線的な演技が、もっと表出されてしかるべきではと感じるのです。

    もっと、濃密な空気の中で、兄弟の心の交流と、葛藤が描かれるべき作品だと感じるのに、いつもながらの、堤さんの笑いを取り過ぎる演技が、この作品には、やや不適切だと、私の目には映りました。

    ネタバレBOX

    千葉さんのリンカーンは、カード捌きのプロだった過去を捨て、遊園地で、座っているだけの、蝋人形もどきのリンカーン大統領役の仕事で、業を煮やしている、兄の苦悩を見事に体現されていたと思いました。

    ただ、後半、やはりカードをもう一度手にする場面での、台詞が、時々、噛んでしまわれたのは、残念でした。昔取った杵柄で、あーいう言い回しは、体に染みついて流暢な筈ですから。

    彼女とうまく行っているとずっと大言壮語だった弟のブースが、実は、女性に振られた腹いせに、殺してしまい、カードで、負かせなかった兄に、嫉妬心や劣等感から、突然ピストルを向けてしまう終幕は、あまりにも突然な成り行きで、そうなることを劇評で知っていた私でも、意表をつかれました。

    兄弟のやりとりの中で、もう少し、ブースの心情を観客に提示する瞬間があった方が、自然な気がするし、その方が、二人の悲劇が鮮明に、観客の心に残るのではと思いました。

    兄は、父親の情事を目撃し、父の浮気相手とよろしくやり、弟は、母の情事を知り、兄の妻とも関係し、日本社会では、あまり想像できない兄弟の関係ですが、でも、戯曲には、万国共通の兄弟の複雑な関係性が、見事なまでに描かれていたと思うし、小川さんの演出も、それをかみ砕いて、わかりやすく表現されていたと感じます。

    それだけに、この作品、他の演者の二人芝居で、もう一度、観てみたい気がしています。

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    2012/12/22 23:49

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