満足度★★★★★
永井さん復活!
ここ何作かの永井さんの新作には、幾分がっかりする部分があったのですが、久々に、永井さんが、誰の思惑にも踊らされず、本当に、書きたい題材を書きたいように作品化された芝居だったように感じました。
3人の配役が素晴らしく、均衡が取れていて、舞台を拝見している間、ずっと気持がワクワクとしてしまいました。
ただ、ひとつ、腑に落ちなかったのは、長い間、行き来がなかった父がどうして、鉄馬の携帯番号を知っていたのだろうかということ。昔から携帯番号を変えていないというのは、この鉄馬の状況では考え辛く、ちょっと虚構的に感じてしまいました。
今回の作品、個人的事情から、溝端さん演じる、闇金の取立て屋の青年に一番感情移入してしまって、複雑な気持ちで観劇したのですが、それでも、この配役の妙と、永井さんの綿密仔細な計算の上に成り立った戯曲の魅力には、心躍る思いがしました。
できれば、また再演してほしい演目でした。