RUR 公演情報 演劇集団 砂地「RUR」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    選挙目前に、思うところだらけ
    カレル・チャペックの原作は全く知らないので、どこまでが船岩流にアレンジされているのか、不明ですが、とにかく、結果がえらく不安になる今回の選挙目前に観たせいか、かなり心に突き刺さる作品でした。

    かなり以前から、何度も拝見していた田中壮太郎さんの舞台は、久々でしたが、やはり、群を抜いて、目が離せない演技をされる方で、改めて、いい役者さんだなあという思いを強くしました。
    お知り合いの鈴木啓司さんと、壮太郎さんが、同じ舞台に立たれていることに、個人的に、やや興奮気味になってしまいました。

    重要な役どころの井上さんが、やや台詞を咬むことがあったのが、緊迫した舞台だけに、ちょっと残念。

    ガル役の藤尾さん、好演されていました。所属される劇団を観る機会はないと思うので、またどこかに客演される時、拝見したい役者さんでした。

    ネタバレBOX

    人間が楽をするために、ロボットがどんどん作成され、人間は退化して、やがて、ロボットが、天下を取る世界。

    ロボットの作成法が書かれたメモが燃やされてしまったために、唯一生き残った人間であるアルクビストが、ロボットを誕生させるために、ロボットの一人を解剖しろと迫られて、解剖されかかったのが、何と、啓司さん演じるダモンでした。(一体いつ登場されるのかしら?と首を長くして待っていたら、終盤近くに、まさかの役どころで、ちょっと面喰い、解剖されるロボットの裸体にしては、かなり、親近感のあるお腹のたるみに、笑ったら大変!と、必死に堪えて辛い部分がありました。笑)

    ガル博士が、人間そっくりに作ったロボットだから、それでもいいのかもしれないのですが、個人的に、啓司さんを存じ上げている身には、ちょっと拷問のような瞬間でした。

    最後に一人残った人間である、田中さん演じるアルクビストが、プラトンの「饗宴」を読む場面が秀逸。いろいろな社会の不合理や、人間の愚かしさに、胸が抉られるような思いがありました。
    ガル博士が、好きだったヘレナに似せて作った女性ロボットと、社長のドミンに似せたプリムスという男性ロボットが、共に、相手を庇って、自分が検体になると主張し合い、アルクビストに解放されて、二人手を取り合って、その場を逃げて行くラストは、アダムとイブを連想しました。

    どんなに、悲劇的で、絶望しそうなラストでも、こうして、僅かな光明が見える舞台には、救いがあり、ほっとさせられました。

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    2012/12/16 02:29

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