Takashi Kitamuraの観てきた!クチコミ一覧

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暗くなるまで待って

暗くなるまで待って

日本テレビ

サンシャイン劇場(東京都)

2019/01/25 (金) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

日常の憂さを忘れて、手に汗握るサスペンスの2時間を体験できる極上エンターテインメント。人生や社会への新しい発見は乏しいが、そんなものはくそ食らえ。観客を舞台にひきこんでなんぼという、美的価値と非日常の体験価値という点では群を抜いた舞台だった。

盲目の妻を演じる凰稀かなめは芯の強さを、極悪人の加藤和彦は底知れない怖さを、悪党だけど実は善人の高橋光臣は板挟みの切なさを、よく出していた。題名通り、暗闇がカギになるだけに、様々な光を使い分けた照明も出色だった。

「ハムレット」 「草枕」

「ハムレット」 「草枕」

声の優れた俳優によるドラマリーディング

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2019/01/30 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

「ハムレット」人気声優(らしい)によるリーディング公演。どんなものかと思ったが、意外な掘り出し物だった。そもそもシェークスピアの芝居は「聴く」ものと言えるので、この公演形態にあっている。

演出の深作氏の上演台本で、90分にコンパクトにまとめているので、スピーディーな展開で、飽きなかった。ハムレットの狂気芝居のおかげで、オフィーリアやポローニアスが次々巻き込まれ、悲劇が拡大増幅していく劇の骨格の怖さがよく分かった。その分、逡巡、優柔不断という側面は後景にひいたけれど、その方が見やすい。

声優陣の演技もなかなかのもの。ハムレットの岸尾だいすけは、変な自信過剰で、わかってないくせに上から目線で、周りのことを考えないティーンエイジャーのようなハムレットだった。パンフをみると、それが演出の狙いとのこと。悩めるインテリとは違うハムレットでよかった。オフィーリア(佐藤聡美)など女優陣もよかった。

どうぶつ会議

どうぶつ会議

こまつ座

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2019/01/24 (木) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

動物役の俳優は皆、それらしい扮装で登場し、ライオンキングのような雰囲気がある。(あれほど凝ってはいないが)。開幕、まず、5頭の動物が客席に現れて、観客が劇場に閉じ込められた人質であることが告げられる。このように、観客参加型の芝居。知り合いの座長さんに始まる前に、「童心に帰って歌ってください」と言われたが、本当にそうなった。動物たちの歌と観客の参加でつくる、反戦反公害の童話コメディー。

小学生くらいの幼い子と見たらサイコー。すぐ理屈やリアリティーで考えると、たのしめないかもしれない。

ネタバレBOX

ギターやパーカッションの生演奏で、音楽の比重が高く、それがこのシンプルな物語にはあっていていい。曲はひさしの歌詞に今回新たに作曲されたもの。
ライオン、象、猿、キリン、シマウマ、ヒョウ?その他アフリカに集まった動物たちは、ハチ作戦、イナゴ作戦、ネコ作戦(これらはケストナーの原作にはない、ひさし得意の愛らしくも馬鹿馬鹿しい珍作戦)で、人間に戦争と環境破壊をやめさせようとするが、あえなく失敗、最後は、原作と同じく、世界中の子供たちと協力して、動物と子供の団結で大人を改心させる。観客はみんな子供役を果たすわけだが、擦り切れた童心で大声で歌うのはけっこう大変だった。
萩咲く頃に

萩咲く頃に

トム・プロジェクト

シアターX(東京都)

2019/01/16 (水) ~ 2019/01/17 (木)公演終了

満足度★★★

大和田獏が舞台に出てくると、笑いがぐっと増えました。その飄々とした存在感が光る舞台でした。音無美紀子の泣きも良かった。「セールスマンの死」の父子関係と通ずるところがあります。あちらは最後は悲劇ですが。

もうひとつ、いい学校いい会社いい人生という出世主義人生観が、震災によって崩れたことも重要なテーマでした。「上に行ったら何があるの?」という息子の素朴な問いが、父親にもわかるには、震災とさらに数年が必要だったという話。社会的には底辺にいる若い夫婦が、花屋を始める希望に、世間的成功とは違うささやかな幸せのアリカが示されていました。

ネタバレBOX

大和田獏が善人だけに、この父親の無理解と家父長的な押しつけで、息子がグレたという話の内容と、実際の舞台の存在がちぐはぐしたのが残念。でも、最後は父子が和解し、家族の絆を取り戻す場面には目頭が熱くなりました。
素劇 あゝ東京行進曲

素劇 あゝ東京行進曲

劇団1980

俳優座劇場(東京都)

2019/01/15 (火) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★

初めて「素劇」を見ました。最初はナレーションやエトキ的場面が多い気がしましたが、次第に面白さが分かってきて、最後はしみじみしました。流行歌手として一世を風靡した佐藤千夜子が、自分を見失い、最後は貧しさの中で孤独死する。絵に書いたような転落劇に引き込まれました。
役者も、皆歌がうまくてびっくり。マイク無しでよく声を胸から響かせていた。とくに若い千夜子役がよかった。
白いロープを月山や、十字架や、あるいは波頭にと、様々に見立てるのも面白かった。一見の価値ある舞台でした。
37年以上再演を重ねてきた舞台だそうです。古い演劇人に聞きましたが、演目は違いますが、「風の子」の学校公演などで当時はこのシンプルな演出が一世を風靡したそうです。最初にこれが演じられた時の衝撃は大きかったでしょう。

ミュージカル「YOSHIKO」

ミュージカル「YOSHIKO」

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

紀伊國屋ホール(東京都)

2019/01/10 (木) ~ 2019/01/16 (水)公演終了

満足度★★★


亡きいずみたくの劇団の新作ミュージカル。公演時間は2時間25分(休憩15分含む)。岡田嘉子の生涯を、舞台上方にスクリーンが時々降りてきて映像も使い、弁士も使って、手際よく見せていく。最初の実らぬ恋から、夫になる俳優・竹内良一との駆け落ち、既婚の演出家杉本良吉とのW不倫、ふたりの樺太のソ連国境の越境。杉本と出会う前の前半は、杉本側の出来事も挟んでいく。自分の感情を抑えられない岡田、インテリ臭い杉本と、主演の二人がよく雰囲気を出していた。

多くの波乱があるが、一番たっぷり描いているのは越境である。「ソビエト・夢の国」「さようなら、日本」という歌もある。当時の左翼演劇人にとってソ連への憧れは強かっただろう。しかし、その実態はスターリンの恐怖政治だった。そのギャップをもちろん作者も演者もよくわかっている。しかし、舞台上ではふたりの恋と越境はあくまでも美しく描かれる。そこのズレが最後まで気になった。セリフも歌詞も美しく、暗い事実をロマンチックに描けるということを考えさせられた。「事実と真実は違う」とはこのことではないだろうが。

ただ「闇の始まりはいつも光の中 誰だ欺瞞を求めるのは 本当のことが怖いのか」という2幕冒頭の歌の歌詞は、そのズレをしっかりと見つめていて、印象に残った。戦争に向かう時代に、人々が反対しなかったことについて「平和を望みながら何も手を下さない 平和を愛しながらそれは心の中だけ」という歌も、今の日本人に突き刺さると思う。

主演の水野貴以はもちろんだが、脇を固める関谷春子(夫・竹内の妹で、岡田嘉子の付き人役)、大川永(杉本の妻役、Wキャスト)の歌のうまさが光った。いずみたく作詞作曲の「星空のロマンス」と、エンディングのバラード「悔いなき命を」はいい歌だった。また聞きたい。

客席は長いファンが多そうだ。岡田嘉子が俳優の夫といっしょにつくった人気劇団のダンス場面(道頓堀行進曲)はにぎやかでのりがよく、手拍子で客席も参加すればもっと盛り上がったと思う。

ネタバレBOX

竹内の妹が嘉子の付き人になり、杉本良吉との不倫も陰で支え、エピローグで嘉子が越境した後の悲劇と平穏な晩年を語る。でも不倫を夫側の親族が応援するというのは違和感がある。事実もそうだったのだろうか?これも気になった点である。
トロンプ・ルイユ

トロンプ・ルイユ

パラドックス定数

シアター風姿花伝(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

役者が馬と人間をシームレスに演じる工夫が光りました。「ノーガッツ、ノーグローリー」とか、「勝ってばかりでは身がもたない、負けてばかりでは命がない」など、馬に託した処世訓の数々に、じんわりと人生のあり方を考えさせられます。硬派の作者には珍しいコメディーでしたが、男だけが汗臭くぶつかり合う義理人情の世界というのは、変わらぬ野木ワールドでした。

ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812

ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812

東宝/ニッポン放送/ミックスゾーン

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2019/01/05 (土) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「戦争と平和」って、考えてみれば、青年男女の恋愛模様の波乱を描いた青春ドラマだよな、と改めて気づかされました。
舞台の中に客席をつくるあまり例のない工夫が、舞台を多面化社会化し、奥行き深くする効果があっていい。観客が舞台の構成要素になるのは、主客合一の理想に近づくものだった。
追記:あまり意識しなかったが、全編歌のミュージカル。セリフは一箇所だけ(らしい)。2時間40分。2023年2月の「アンナ・カレーニナ」は3時間45分(20分休憩込み)だったから、か〜なりコンパクト。ブロードウェイでは2時間半だったらしい。

罪と罰

罪と罰

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/02/01 (金)公演終了

満足度★★★★

よかった。舞台美術、音楽も作品世界をよく視覚化、聴覚化(?)した。
三浦春馬のセリフが聞き取りにくいというかんそうを、9日に見た友人からも聞いたが、11日夜観劇の私は、そんなことなかった。前の方の座席だったせいかもしれないが。
でも、三浦春馬はラスコーリニコフの焦燥と怯えをよく演じていてよかった。小説を読めば20時間はかかるものを、3時間半でエッセンスを伝えるのに、これ以上贅沢を言ったらバチが当たる

その恋、覚え無し

その恋、覚え無し

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2018/11/27 (火) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/04 (火) 14:00

とても素晴らしい舞台でした。4人の盲目の女性祈禱師たちを神目(カンメ)と呼んでいましたが、こうした独特の命名も含め、美術、衣装、所作、物語の全てから、現代とは違う、しきたりの厳しい前近代的山村の世界が現出します。
そこに起こる幼女の「神隠し」事件や、過去の因縁の糸が絡み合って、テレビでも映画でも見られない、演劇ならではの没入体験を味わいました。ラストの光景も素晴らしいですが、水車が突然回り出す不気味さも抜群でした。
この秋、一番の舞台です。

ネタバレBOX

小劇場ですが、水をふんだんに使ったり、スペクタクルな演出は蜷川幸雄を彷彿とさせます。俳優たちのキビキビと走り回り、ぶつかり合う姿は、野田秀樹の舞台を連想しました。そうしたらなんと野田秀樹が見に来てました! 「駒場でやっていた頃の昔を思い出すなあ。熱量がすごい」と言っているのが聞こえ、全く同感でした。
カンメの一人、板倉桃子さんの何物にも縛られない自由で自立した姿が、舞台を現代につなげていました。
おかしな二人

おかしな二人

劇団テアトル・エコー

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2018/12/01 (土) ~ 2018/12/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/03 (月) 19:00

面白かった。ズボラと超几帳面のふたりの同居生活が、性格の違いて衝突する。その大真面目ぶりやあきれぶりも面白いし、セクシー姉妹との「合コン」の脱線ぶりもよかった。セシリーの胸の谷間!にドキドキしました。

ネタバレBOX

しかも最後はケンカ別れするとみせて、一転しゃれたハッピーエンド。笑わせて笑わせて少し身につまされる。すごい いい。
役者の自然なデフォルメの演技が非常に良かった。
セールスマンの死

セールスマンの死

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2018/11/03 (土) ~ 2018/11/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/11/16 (金) 19:00

とにかく戯曲が優れている。どこもすきのない、緊密に組み立てられた芝居。去年、テネシー・ウイリアムズの「欲望という名の電車」(大竹しのぶ主演)を見たが、アーサー・ミラーとウィリアムズが、アメリカ戦後演劇の双璧であることがよくわかった。家庭劇、主人公の持つ過去零落、舞台の緻密さでよく似ている。

風間杜夫は最初ずっとぶっきらぼうで嫌味な感じだったが、だんだん苦しい内面も見せていく。「俺は愛されていたんだ」というセリフが痛切だった。山内圭哉は実は気弱で自己主張できない感じがよく出ていた。
片平なぎさの母親もよかった。同情を誘う演技だった。実は現状にしがみついているだけで。夫の誤った教育も放置している無力で罪深い存在なのだが。

幸せなマイホームが、最後は誰もいなくなるように、意外と静的な芝居だと思った。

ネタバレBOX

戯曲を読んでから見たので、父ウィリーの浮気場面を見たことが、長男ビフが父に反発する原因だと思ってずっと見た。そのことは冒頭から「あいつは詐欺師だ」など、伏線として巧みに示されている。

ただ、舞台で見ると、最後の最後にビフがウィリーの前に泣き崩れる場面、「俺はそんな大人物じゃないんだ。もう解放してくれ」で、最初の理解が表面的だったとわかった。実は、反発の裏で父の過剰な期待に縛り続けられ続けていたのだと。ビフはそこから抜けようとして、浮気で父を見限ろうとしても、どうしても抜け出せなかったのだと。
「父と子」がこの芝居の柱なのだが、その関係も依存と反発とアンビバレントな関係にあることがよく分かった。

ウィリーは最後に「実はビフは俺のことを愛していたんだ」とうれし泣きする。だからビフは大人になれないんだということを脇において。皮肉な喜びだ。「思いきり抱き締めてやればよかった」というセリフは、自分勝手ともとれる。が、父の出世主義の押しつけをやめて、ありのままのビフを受け入れればよかったと取れば、救いにもなる。どこまでも深い戯曲だ。
光より前に〜夜明けの走者たち〜

光より前に〜夜明けの走者たち〜

ゴーチ・ブラザーズ

紀伊國屋ホール(東京都)

2018/11/14 (水) ~ 2018/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/11/17 (土) 18:00

円谷幸吉の自殺は知っていたが、いかに追い込まれた末だったかは、今回の舞台で初めて知りました。君原の名前は聞いた気がしますが、メキシコ五輪2位だったとは。円谷の悲劇の影にうもれてきたと思います。
知っているようで知らないふたりのメダリストランナーの人生を対比させながら、胸に迫る舞台でした。円谷役の宮崎秋人は、山場では涙と鼻水を垂らしながらの熱演で、その激しさに圧倒されました。道案内役の中村まことも低めに響く「声」が良かった。バッハの通奏低音のように、時に北に南に、あるいは数年後へと場面のとぶ舞台をしっかり下支えしていた。
なんといっても、この題材を舞台にした企画と、焦点を絞って無駄を省いた舞台作り、キャスティングがよかった。

ネタバレBOX

とくに、円谷が結婚を自衛隊体育学校の校長の圧力で破断にされ、理解あるコーチとも離れ離れにさせられた場面は悲しみと怒りを強く覚えた。円谷は日本陸上界と自衛隊に潰されて死んだのだと、暗澹たる気持ちがしました。
修道女たち

修道女たち

キューブ

本多劇場(東京都)

2018/10/20 (土) ~ 2018/11/15 (木)公演終了

満足度★★★★★

良かった。宗教がテーマといっても、大したことないだろうと思っていたら、とんでもない。「献身と救済」という直球ど真ん中の芝居だった!途中は笑いも、劇的な見せ場もたっぷりあって、最後にテーマにドーンと迫る。3時間15分(休憩込み)と長い芝居なのに、休憩後の2幕目(1時間45分)は全く時間の長さを感じなかった。俳優陣もアンサンブル、緩急ともに見事。まれにみる欠点のない舞台だった。

ネタバレBOX

クライマックスで流れる音楽(チャイコフスキー「白鳥の湖」?)で笑いが起きたけど、このこてこての音楽で臆面もなく盛り上げる通俗性もはまっていた。最後の最後に舞台のおおじかけが明らかになる。ここでは唐十郎の紅テント芝居のラスト(背景の幕が取り払われて、広い外界(=異世界)へ旅立つ)という演出と共通するものを感じた。
鈴木浩介は「消えていくなら朝」(新国立劇場)でも、宗教に翻弄される役をやっていた。偶然だけれども、どちらもオロオロ・キャラが似合っていて、おかしかった。
この戯曲を演じる者に永遠の呪いあれ

この戯曲を演じる者に永遠の呪いあれ

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

新宿眼科画廊(東京都)

2018/10/19 (金) ~ 2018/10/22 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/10/22 (月) 19:30

この新宿歯科画廊は初めてでした。細長い地下室の、中央を平土間の舞台にして、手前と奥の客席で挟むレイアウト。観客席は35人ほどで、満席でした。文学座養成所出身の若手男性で作る、全員20代の若い劇団。この若さが劇の内容ともマッチして、良かったです。
大学演劇部(シェイクスピア研)の部室に、深夜に立ち寄ったOB三人。そこで怖ーいことが起き、主人公とともに、観客も恐怖感を覚えます。でもそこはそれ、ソフトな怖さで、夜寝られなくなる「ホラー映画」とは違い、楽しめました。

ネタバレBOX

途中から、前と同じことが起き、あれっ、これ「ループもの」?と。でもハルヒほどしつこくなくて、良かった。ループも微妙にずれています。次第に、このホラー劇が、舞台に登場する第4の男・シェイクスピア研の現役部員のオリジナル戯曲に書かれていたのではないか……と思えてきます(そう言うセリフはないのですが、ひとり、ループに気づいたOBが、その戯曲を読んで、恐怖に怯える表情から想像しました。)舞台の上に作者まがいの男が出てくる趣向もあるわけです。結構凝った仕掛けの芝居を、若者が素朴に熱く演じていて、狭い劇場の制約をかなりカバーしていました。
恭しき娼婦2018

恭しき娼婦2018

新宿梁山泊

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

サヘル・ローズは娼婦役なんだけど、上品なイノセンスと、芯のある強さと、媚びない誇りがあって最高だった!サルトルの戯曲なのに、自警団に追われる朝鮮人をかくまう話になっていてびっくり。見事な翻案だった

平成三十年のシェイクスピア

平成三十年のシェイクスピア

コンプソンズ

王子小劇場(東京都)

2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

おもしろい。安倍晋三がなぜ昭恵をあそこまで庇うのかの深層心理を解明し、藤原紀香・片岡愛之助夫妻のコンプレックスをかきわけ、秋篠宮一家の不幸を笑いに転化する。小劇場でなければ見られない現代風刺喜劇の怪作。劇さんに知り合いもいない全くの第三者ですが、充分笑えました。

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