実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/02/25 (土) 13:00
座席E列2番
思ったほど……という感じでした。
誤って2回分買っちゃったので気が重い。
★が1.0ごとだから4.0だけど、★が0.5ごとだったら3.5としたいです。
公式Twitterで「当日券が無限に出ます」と言っていた通り、
前列左右は3席ずつくらい空席。4×2×3=24席は空いていた計算。
2回目は千秋楽。満員で良いのよね?
ネタバレBOX
①ロロ『西瓜橋商店街綱引大会』 ★★★/★★★
結婚してしばらくした風の夫婦。近所の商店街で、商店街の端から端まで使った綱引き大会があるらしい。
なんと優勝商品はハワイ旅行4泊6日ペア。ペア?よく考えると、この時点でおかしいのだが。
いざ現場についたものの、誰もいない。仕方なく旦那の方が綱の端っこを持つ。
商店街の反対側にも誰か居て、「綱引きに参加する人ですか?」「綱引き始めますか?」にいずれも両腕で⭕を作って
応えるので、綱引きスタート。
長い綱の表現に工夫というか、ありきたりなシステムがあって、綱の端から舞台の袖に向かって綱が伸びている×2、
パックマンのワープ通路的な表現方法が取られている。
そして、旦那の対戦相手はエイリアンvsプレデターのエイリアンみたいな感じで、人外である。緑色。
そんな異形が腕で⭕を作るので面白いのだが。
嫁の鼻の穴にブラジリアンワックス、離婚、などの要素があるけれど、いまいち話の中身が詰まっていないというか、
ふんわりと物語が流れていって終わる。夫婦が離婚に至る道程が「奥さんがハワイ旅行に行きたがっている」という旦那の
思い込みの一点からスタートしているのだとしたら、それはそれで寂寥なものだ。うーむ。
【2回目】
そういえば、離婚のもう一つの原因として、
「旦那の財布から毎日1,000円抜いてたのに気付いてくれない。
その総額が先日めでたく50万円になったので?離婚」
というのがあった。優しい旦那だろうが、あまりにも気付いてくれないと
寂しくなっちゃうことって、あるよね。というのは良く分かるんだろうけれども。
②演劇集団キャラメルボックス『魔術』 原作/芥川龍之介『魔術』★★★★/★★★★
魔術ができる異国の少年のもとを訪れた日本人の青年の話。
魔術を教えてくれ、という願いを快く受け入れる少年。ただし、私利私欲のために術を使わないのなら、という但し書きのついた試練に、
結局は私利私欲が出てしまって、という中身。2人芝居で演者は3人。演者が話者になったり、ナレーターになったり、
そして全員がバケツドラム的なものを叩いたり、という構成。非常によく出来たお芝居で、
芥川龍之介の「魔術」を知らないので、どういう話なのか知れて良かった、という感想。
そこまで突き抜けて何か、というものはなかったかもしれない。
【2回目】
1回目と2回目の間で、芥川龍之介の「魔術」が青空文庫にあったので、
寝しなにMacのスピーチで読ませながら寝た。
今回の脚本との違いは、後半の主人公が人に魔術を見せる場面で、
原作では友人数人が相手だったのが上司になったこと、
上司の奥さんが主人公の元恋人という設定が追加されていたこと、でした。
上司の奥さんも賭けの対象になるんですが、元恋人も自分の下に戻ってくると思うと、
やっぱり欲望が上乗せになっちゃうよね!という感じはある。
③ZURULABO『ワルツ』★☆/★
花束を持った男性がいろんなきっかけ(交通事故音)でボロボロになり、
「まゆに会いたい」「ピアノの発表会」などの文字が流れる。
声が登場し、「ピアノの先生の精子になれれば」みたいな、訳の分からない言葉を言う。
そして、まゆが登場し、ピアノを弾くのだが。
最初の男性がピアノの先生になって、ピアノを弾くまゆに襲いかかる。
で、なんか今度はまゆが倒れて、声が「ピアノの先生の奥さんの卵子になれれば」みたいなことを言う。
えーと、全体的によく分からなかったです。冊子には、
「男性はピアノが聞きたかった。女性はピアノが弾きたかった。声は頑張りたかった」と書いてありました。
男も女も声もやりたいことがあったということかもしれない。私は置いてけぼりにされた。
【2回目】
1回目が一番分からなかったので、注意して見たのですが。
男がキモめだったので、まゆという女の子に好意を寄せているストーカーかと
思ったんですが、後ほど一緒に暮らしている場面(?)も出てくるので、
夫婦か親子ということになるのだろうか。
まゆという女の子(31歳)のピアノの発表会に、
旦那か親が行こうとしたら事故に遭ってなくなってしまう。
どうしても発表会を見に行きたいので、「声」の助けを借りてピアノの発表会に行く手段として、
ピアノの先生の精子になる、ということのようです。
男の人が派手めの衣装を着たときは、それは男ではなくピアノの先生ということなんですね。
で、声が「ピアノの音がキ○タマに響くと良いのだけど」と言うんですが、
実際に響いてしまい、ピアノの先生の精子が暴走してまゆという女の子に突進して、
まゆという女の子は「まさかのショック死」するという訳なんですね。なるほど分からん。
まゆがショック死した後に男と女が一緒に暮らしていて、
男の方が役所に出かけると、女(まゆ)は「タッキーに会いたい!」と
叫び始めます。ここで、あれ?男と女は夫婦じゃなく親子なのか?と思っちゃった訳なんですけれども。
で、タッキーに会いたい女のために、「声」がアイディアとして
「ピアノの先生の奥さんの卵子になれば」とアドバイスするんですが、
ここはいよいよもって全く訳が分からなくなって自分が爆裂四散した。
この演劇、分からないな〜って人も少なくないと思うんですが、
笑いどころのたびに数人が「ハハッ」て笑うのが聞こえるので、
理解できる人もいるのだろう、と思いながら見ていました。
④ブリーズアーツ『真夜中の屋上で』★★/★★★
最後の方に出てきた派手なビジュアルの人は誰だろう、と思ったんですが。
最後の挨拶で「声優による演劇」ということで、ああ、緒方恵美さんだったんですね。と納得しました。
声優さんだからマイクがあったんだー、とも思ったんですが、
席が端っこの方で人の影になって誰が今喋ってるか分からなくなったりとか、
基本ビジュアルでなく声メインのお芝居なので、次第に眠くなってしまいました。
話としては、もう亡くなっちゃった兄貴的な存在の人に、真夜中の屋上に行くと会えるから会いに行こうぜ、
という話だと思います。演者の中に中学生声優さんも居た模様。
【2回目】
こちらも今度は1回目より見やすい席だったので追いかけられました。
思ったよりもちゃんと?朗読劇になっていて良かった。
ただ、脚本がありがちで、ENBUゼミナール卒業制作作品みたいな感じに思えてしまったところは否定できない。
⑤オイスターズ『またコント』★★★★/★★★★☆
踏切の前のサラリーマン。鞄を置いて穏やかではない。
そんな自殺しそうなサラリーマンの前に男女が現れ、女の方がサラリーマンに、男のお笑いの相方になって欲しい、と申し出る。
巻き込まれたサラリーマンが途中からノリノリになって……という展開。
口ひげのキャラ強めの男性はアホロートルの安田さんというお笑いの方。知ってる。ような気がする。
アホマイルドの方が印象強いけど。(アホマイルドずいぶん前に解散してた)
まぁ、素直に笑える演劇でした。
【2回目】
あまりロジカルじゃないけれど雰囲気と勢いと元気さでハハハッと笑える作品ですね。
初回も2回目も暗転と同時に拍手が起こったのは、この作品でした。
⑥Mrs.fictions『 上手(かみて)も下手(しもて)もないけれど』★★★★☆/★★★★
3回目か4回目か5回目か6回目。
ひょんなことから主演俳優の楽屋に入り込んだ新人女優が、主演男優といろいろな
関係になりながら人生の終幕を迎えていく物語。楽屋で化粧をしたり衣装を替えて行くうちに、お互いに老けていくという組み立て。
結局泣いちゃうけど、さすがに何回も見てるからなー。
【2回目】
昨日は数年?ぶりでしたが、4回目か5回目か6回目か7回目の観劇の今回は昨日ぶり。
きれいにパッケージされた作品ですが、さすがに昨日より感激の度合いは下がりましたね。
実演鑑賞
満足度★★★★
何か勝手に新作っぽいものと勘違いしていて、以前上映で見たものと同じものであることに気がついた。
映像のときより完成度が上がって、ぐんぴぃ氏などキャストもピッタリな感じで完璧だと思いました。
ただ、やっぱり脚本が、「この世界観、超好き」とか、「めちゃくちゃ胸に来るものがあった」とか、
観劇翌日以降にも何か持ち越すものが個人的には好みなので、そういう新作に期待したいと思います。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/07/24 (土) 18:30
座席C列12番
価格4,200円
1年以上ぶりの生観劇。
150分という時間にちょっと気が重くなった。(短い休憩を含め開演〜終演は160分)
4,200円という価格。
緊急事態宣言下で席はゆったりなのを期待したらみっちり。
そして端っこの席。
どんよりどよどよ。
ネタバレBOX
とにかく脚本が秀逸。
笑いあり、シリアスあり、いろんな層に「おもしろな空気」が含まれている感じ。
恒例の「屁理屈」「すれ違い」も、1年以上間隔が空いて食傷気味だったのが治っていた模様。
150分という時間も、中身が詰まっていれば問題なしかと。
LGBT要素が含まれていたのも、時代の趨勢ですかね。
役者さんたちも達者でした。
端っこで舞台で見えない部分があったのが残念かな。
満足度★★★★
鑑賞日2019/12/30 (月) 18:00
価格3,000円
今年は(も)黄金のコメディフェスティバルないし、15MinuteMadeもないしで、ショーケース的なものがあんまり見れなかったな、ということで行ってきました。本当はサムゴーギャットモンテイプも見たかったんだけど、gdgdしてたらマチネが見れなくなりました。「人間嫌い」「劇団YAX直線」「日本のラジオ」の回。
ネタバレBOX
・人間嫌い「タバスコは快楽の味」 ★★
若い女子5人の座組。シェアハウスの悲喜こもごも。
主人公は「つまらない人生」を送っている。アクティブに暮らしたり、未来に希望を持ったりの他の4人にコンプレックスを抱いている。
食べ物にタバスコをまるごと1壜振りかけるくらいしか刺激がない……。
それぞれにパラレルに、ときに交差しながら話す女子たちのセリフが入ってこないなー、と思いつつ、まぁ、そんなに必死に聞かなくていいんや、って思ってホッとし、続くお芝居をなんとなく心地良く眺めていたのに、最後、「他の4人」のうち2人に同時に悲劇が降り掛かったとき、そんな「悲劇」にすら羨望を抱くほど何もない主人公は、タバスコを衝動的に一壜丸呑みし、目覚めるとどうやら病院にいる……。「めっちゃ私の人生、ドラマチックやん」的なセリフの後、暗転して終わり、という。
他の観客もリアクションがほとんどなかったように感じたし、あまりにもあっさり、ありきたりに終わった(ように感じた)のがちょっと残念だったかなー、と思いました。
・劇団YAX直線「斉藤和巳演劇祭」 ★★★★
この演劇祭は「佐藤辰海演劇祭」で、演目名が「斉藤和巳演劇祭」。全力でフザけてますね。大好きです。
主宰が「斉藤和巳演劇祭」を前に、まったく用意をしていない。何をすれば良いかも分からない。「過去問」を参考にしよう、ということで、過去2回の優勝作品をやってみよう、という構成。
去年の優勝作品は、奇妙な民族に巻き込まれて刎頸されてしまう可哀想な少女の物語。的な?奇妙な仮面、奇妙な踊り、織り込まれる野球ネタ。(でも斉藤和巳は出てこなかったような気がする…)
一昨年の優勝作品は、おかしな群像劇に迷い込んだ2人の青年。
いずれも「お笑い」的にはすんごく面白くて、笑いを噛み殺しすぎて顎が疲れたんだけど、「これが演劇」って言われるとちょっとなー、という違和感が拭いきれませんでした。
・日本のラジオ「市役所にて」 ★★★★☆
もっと社会が荒んだ近未来の市役所。入り口には問いに答えられないと来た人を食う(であろう)スフィンクスが居て、そこで整理番号をもらって、番号を呼ばれるのを待つ。職員は見当たらないけど、とりあえず灯りがあって、人が何人か居るところにいればいいのかな、みたいな……。
間欠的に現れては番号で呼び出す職員。整理番号は連続していない。他にも待合場所があるのだろうか、そんな手探りな情報の欠片を集める、待つ人たち。静かな、間を贅沢に使う芝居。想像を超えるギミックも織り込まれていて。
そして……個人的に「日本のラジオ」で好きになれない、終わりの部分が、演劇祭のルール「30分を過ぎたら『ギジレン』のメンバーが乱入して、お芝居を強制的に終わらせます」を逆用することによって上書きされたのがとても良かったです。
満足度★★★★
楽しかった
けど
少し物足りなさもあった
ネタバレBOX
公演前日に完売になるなど、人気は高め。
真ん中に舞台、三方向に客席という形で、客席数は70〜80ほど。
アガリスクエンターテイメント(冨坂友氏)の代表作「ナイゲン」はオープンソース(?)になっていることもあり、色々な団体で上演されているが、本作は「暴力団版」ということで、どのくらい変わるのか、関心があった。
結論から言ってしまえば、会議のような形を採っているのと、タイトル以外はそんなに共通項目はない。
始まる前にお茶とか出てきたので、おしっこの件とかあるのか、とか色々想像してしまった訳ですが。
ナイゲン(内藤)のタマを取る方法を延々とアレコレするのかとも思ったが、それも違い。
(追記:組名・団体名がナイゲンを捩っていることに今更ながら気が付きました。
どさまわり→土佐組、
花鳥風月→花月一家、
道祖神→道祖連合、
海のYeah!!→海野組、
アイスクリースマス→聖怜会、
ハワイ庵→浜井組、
Iは地球を救う→救国忠愛会、
3148→三井組、
おばか屋敷→屋敷興業)
三代目の跡目争い(決着済)を中心に、それぞれの立場で策謀が飛び交い、各人の悪事・裏の動きが連鎖で次第にメクられていく形。
脚本は中身をいっぱいに詰め込むよりも、敢えて余白がある形にしたように見えたが、内容的に想像を超えてくる部分、カタルシスを得られる部分、があまりなかったかなぁ。
ナイゲンのタマを取りに行った安東が何をするかは想像がついたし、テンポの良い罵り合いがうねって大波のようになる場面があるかと思ったけどなかったし、優柔不断な三代目が豹変する場面があるかと思ったけどそれもなかったし。一生残るようなキラーフレーズが出てくる訳でもなく。こちらのありがちな想像を超える何かがあれば嬉しかったのですが。
登場人物が魅力ある形で書き分けられているのは凄く良かったです。
対座する陰と陽の坊主頭。アウトレイジ加瀬亮を彷彿とさせるインテリヤクザ。
貫目を感じる若頭、妙に声の高い本部長(おいしんぼ副部長?)。
一方でヤクザ屋さんが板についてない……と思われる方も。
ただ、「日本のラジオ」恒例のあの終わり方、個人的にはウーンという感じです。今回は分かりやすく終わりの形だったので良かったのですが、「CURTAIN」のトラウマが首をもたげました。もしかして「ハーバート」のときも同じ終わり方でしたっけ?
劇団主宰自ら注意点やら告知やらをするのは、とても良いと思います。
キャップ付きの飲み物なら飲んでもいいですよも言ってもらえて助かります。
満足度★★★
嫌な予感が的中。
あと、上演時間は正しく書き(直し)ましょう(corichには「約1時間30分を予定」て書いてありますが、実際は約120分です)
ネタバレBOX
土日の昼公演がほぼ売り切れで、夜公演が余り気味ということなので、夜公演に。
(日曜夜は別のを見に行く予定なので、土曜の夜しかない)
開場時点でわずかに4人。大丈夫か不安になったが、開演時点ではだいたい埋まってた。
ただ、キャパ約100にPAで2列とって空席もあるのでは、黄金のコメディフェスティバル2016最優秀作品賞作品としては少し寂しい。
「嫌な予感」というのは、「上演時間を長くしました(なりました)」であんまり良い思いをしたことがないこと。
むしろ上演時間に制限があるからこそ面白くなる、中身が詰まる、というのはあるのかな、という想い。
コメフェス版の45分から120分になって、増えた時間の分の意味があったのか。
感覚的には、要素が1.5倍になって、上演時間は2.5~3.0倍という。
あと、コメフェス版よりも要素が増えて分かりにくくなったり冗長になったりしたような気も。
元々面白いお話なので、コメフェス見てなくて初見なら★4~★5で何の不思議もありません。
鋼鉄村松的にも新しい劇場と思われるコフレリオ(2017年オープン)、舞台裏が狭いのか演者さんがセットと壁の間に居たりするのが新鮮というか。
こやまりさんは大きなダミ声で喉をいわしてしまうのではないかと不安になるほどでしたが、さすがはプロ、ですかね。
そういえばカップやきそばみたいな匂いがしてたのは、なんだったんだろうか……
満足度★★★★★
鑑賞日2019/08/11 (日) 12:30
価格3,300円
10劇団参加の演劇祭。
3演目が1セットです。
「ラビット番長」目当てに行きましたが、
「お茶の間ゴブリン」良かった!
ネタバレBOX
・ゲキジョウ!『こぼれたミルク』 ★★
おもちゃのお話。なんとなく「トイ・ストーリー」オマージュっぽいのかな、と思ってみたり(※見たことはないです)
この世界(おもちゃ箱の中?)と外の世界(人間との触れ合い?)が登場するが、
あるおもちゃに外の世界を知らせないことで平和や楽しい暮らしを保とうとしたりして葛藤するお話。
冒頭で10体ほど登場するおもちゃ同士がナイフや拳銃で殺し合う場面からスタート。
このときは大音量で音楽が流れており、セリフは聞き取れない。
一度暗転して、そこに至るまでをなぞっていく形になっている。
劇後に「いろいろ考えてもらえたら」と言う話をされたが、
世界観が深いのか、こちらの受信感度が低すぎるのか、特に感じるところがない。
おもちゃの世界の話が、例えば大人の世界と子供の世界のメタファーになっているのかな、と思ったりもしたが、
30分という尺を考えても要素が少ないかな、と感じた。
あと、劇全体が暗い(むしろ陰惨)お話で、見てて楽しくもないという。
・ラビット番長『サント・イン・ワンダーランド』 ★★★★☆
ドラクエ的な世界観でおじさんの勇者がかっこ悪く快進撃をするお話。
例えるなら「最強伝説黒沢 ファンタジー版」だ。
1人芝居というのが凄くて、登場人物をドタバタと演じ分ける体力的なキツさを考えても、とてもチャレンジャブルな行為だと思う。(ちなみに井保三兎氏は44歳)
普段はラビット番長という劇団で何十人もの劇団員を従えている立場なので、演劇に対する矜持が凄い、と思わざるを得ない。
トチリの多さは仕方ないと感じるし、一方で愛嬌で笑わせる部分はキャリアの長さの為せる業か。
ストーリーも良かったが、最後がちょっとアレって感じたかな。
最近演劇から退くようなつぶやきが散見されるのが好きなだけに残念。
・お茶の間ゴブリン『人外探偵結社~本日開業の段~』 ★★★★★
お茶の間ゴブリンを知れたのが今回の収穫。
ストーリーが超緻密、という訳ではないけれど、伏線やらなんやらとても良くできていた。
それよりも役者さんがねぇ〜
猫又役の人の最期の飼い主にすり寄る仕種やセリフが完璧すぎた。
座敷わらし役の人の口の回り方や掛け合いの間がすごすぎた。
メイド役が可愛すぎた。
キョンシーと喫茶店のマスターはコミカルな動きに良い味が出ていた。
この演劇祭?は最後に順位をつけるのだけれど、
それでもラビット番長に1位をつける気でいた。
でも……オチがハッピーな方面にきちっと収斂したところが最高に好みだったので、こちらを1位にさせていただきました。
今回の作品が30分のダイジェスト版で、本編は2020年7月上演予定とのこと。気の長い話だ……
配役がいまいち分からなかったので、メモ。
与一(キョンシー)役……小田洋輔(武道家らしい。身のこなしが凄い)
珠子(座敷わらし)役……岡村佳代子(なんとなく存在感がカメ止めのプロデューサーを彷彿とさせる)
宗方史菜(飼い主)役……升望(本業は声優さんらしい)
小梅(猫又)役……井川花林
マスター役……小川大二郎
日高あゆむ(メイド店員)役……平野史子(ひらのちかこ)
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/10 (土) 14:00
価格3,500円
1年越しの新作、脚本家はもう書きたいことがなくなったのだろうか?
ネタバレBOX
本来であれば2018年夏のやる予定だった「月がとっても睨むから」。
完成せずということで去年は大騒ぎの中、代替公演(過去作品の再演メイン)をやりました。
そして去年の座組はそのままに満を持して、今年。
「観たい」が四捨五入して5、「観てきた」が四捨五入して4。という数字通りと感じました。
Mrs.fictionsの過去のどの作品よりも「来るものがなかった」というショック。
塾帰りの小学五年生2人組の前に現れた、セーラームーンVのコスチュームに身を包んだ女子高生。
セーラームーンVの大ファンだという少年は駆け寄り、そのまま連れ去られてしまう。
コスプレ癖のあるショタコン女子高生に1週間監禁され「大人の世界」を経験した少年は、
優等生から全能感のある悪ガキに変貌を遂げ、長じて大人になって「錦糸町の帝王」になった。
連れ去り事件から20年後。錦糸町で手広くビジネスを展開する帝王は、経営するラブホテルの一室で
「ビル・ゲイツいっぱいのドーム3個分」の金持ちの令嬢と愛の営みに勤しんでいた。
そこでラブホテルの掃除婦になった元ショタコン女子高生と再会し……という筋書き。
笑いあり、仕掛けあり(ただしありがちな)、という意味では全然退屈しない120分ではあるのだが、
如何せん心に去来するものが何もない。
中盤、ショタコン女子高生を「許す」と握手した帝王が突然熱がり、「こっち来るな!」という場面の立て付けもよく分からなければ、紆余曲折を経てラストに再度握手したときに大丈夫だった(もしくは痩せ我慢できた)理由も分からない。
「虐待された子はさらに虐待する側になる」話も、父親が経営する工場の不振に悩まされていた時期に
1回手を上げたのを被害妄想的に「虐待された経験」に増幅させただけと言う話になったし、
少年に対する(羨ましい)性的暴行の罪で、自分を過度に自罰するのも共感できないし……
結果、女優陣のスタイルの良さに垂涎してみたり、
キャストの一部が「ミセスフィクションズのまつりのあと」の初演(岡野氏+3人)と再演(安東氏+3人)だー、
と思いを馳せてみたりする余白が生まれてしまった。
俳優陣はみなさんとても熱量があって、かっこよくて、ちょっとトチってたけど、総じて良かったです。
売れないホスト役の人も、初めて観たけどとても良かったです。
終演後、惜しみないダブルというよりかは、慣例的に感じられたダブルの拍手の勢いが、私と同じように感じていた人が多かったのでは……と感じました。
長短合わせて10ちょっと観てきたMrs.fictions作品の中では、完全に「ひとつ下」の満足度となり、ちょっぴり残念な気持ちで会場を後にしました。
満足度★★★★★
バブルさんの作るお話は見ることにしているので見てきました。
正直、こういうストーリーならこういう展開になってこう終わる、という大筋としてはまったくのありきたりで、途中まで白け気分でロックンロールだったのですが、やっぱりラスト、ちょっと想像外の部分があるんですね。同じ雑巾でもそこ縫うんだ、みたいな感覚で。泣かされました。
あとヒロインがとにかく綺麗で完璧。
満足度★★★
残念ながら満足感は低い(黄)
黄金のコメディフェスティバルのように、2劇団1組×3チームによるプロデュースイベント。
同じセットで6者6様の演劇が展開される。
時間的な制約や、金銭的な制約から、1チームだけ見に行くことにした。
演劇に初めて触れた「アガリスクエンターテイメント」と15MinutesMadeで衝撃を受けた「Straw & Berry」が組になった黄色チームにした。
観劇後は、うーん、他のチームにした方が良かったかな、と思った。
青チームは売り切れが目立っているので、人気があるのかもしれません。
ネタバレBOX
【アガリスクエンターテイメント『エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)』】
YouTubeなどで公式に見られる「エクストリーム・シチュエーションコメディ」の大人数版。
エクストリーム・シチュエーションコメディは、2人で野球でいうところの"透明ランナー"のようなものを駆使して5役を演じるもの。
元の方は2人で5役を演じるという大変なことを「アスリート的にこなす」という意味で一本筋が
通っていたが、今回はそれに加えて「消費カロリーを競う」という要素が追加されて、無駄に大きく
動く、でも演劇を壊さない範囲で、という枠組みで物語が展開される。
この要素追加がオリジナルを超えるのに寄与するかという点が気になるところだが、個人的な意見では、はっきり言って「ノー」。複雑さが増して演目自体が目指す方向が散漫になっただけ。
ストーリーは、とある家の娘、由貴(榎並夕起・24歳)の家に、付き合っている
70歳の彼氏 ショーン(如月せいいちろー)が来る。
その70歳の彼氏を「彼氏の父親」と誤魔化そうとして始まる物語。
配役は由貴の妹(鹿島ゆきこ)、父(矢吹ジャンプ)、母(前田友里子)、
由貴の父が経営する眼鏡店で働く由貴の幼馴染(さいとう篤史)、ショーンの息子・ジョー(斉藤コータ)
演劇を壊してないか目を光らせる審判(熊谷有芳)、実況アナウンサー(伊藤圭太)、解説(淺越岳人)
話の流れはワイフ・ゴーズ・オンに同じ。
「全部分かってたんだよ」→「さらにカブせる展開」オチ。
ワイフ・ゴーズ・オンは、2股→第3の女。
今作は、由貴の妹の彼氏もさらに。
屁理屈が特徴の劇団というのは分かりますが、「ナイゲン」「時をかける稽古場」が出色で、
「紅白旗合戦」はまだしも、「SDFK」「わが家の最終的解決」、「ワイフ・ゴーズ・オン」
と個人的に好きになれない方向にどんどん進んでいるのが悲しい。
【Straw & Berry『サイケデリック』】
よくよく考えてみると、題名の意味が良くわからないですね。
同劇団おなじみのブランキー系の曲が大音量 → 暗転 → 音がピタッと止まって明転、
静かな始まり。
今回は趣向があって、場面転換なしで2つの時代の話がパラレルに展開される。
主人公のみ共通で、それ以外の人は2人ずつ役者さんが居る。
(友達の母親は亡くなったので前半のみ、元彼女の結婚相手は後半のみ)
主人公の学生時代:主人公、彼女、友達、友達と良い感じの女、友達の母親
主人公が大人になった後:主人公、元彼女、友達、友達と良い感じだったけど別の男と結婚した女、元彼女の結婚相手
上記のような話なんだな、と理解するまでにしばらく時間がかかり。
話の中身自体は特に何ということはないもので、普通の恋愛模様的なもの。
あまりに何もなさすぎて、主人公の元彼女が、「結婚相手が貴方に会いたいって言ってるんだけど」
という話で、結婚相手と主人公が相対する場面で「どういう展開になるのか」というところに
焦点が当たりまくってここだけ緊張感が突出するんだけど、それ以外は本当に何もない。
台詞密度・演技濃度が低く、時間と空間をたっぷり贅沢に使う感じで話が展開され、
私の周りは「飽きた」という感じのボディランゲージをする人がたくさん居た。
(私自身はそんなに飽きていなかったんだけど)
話がそのまますっと終わって、「えっ終わり?」みたいな感じになった。
もうちょっと「持って帰れるもの」が欲しかったです。
2劇団とも★3つです。(★5満点で)
あと、今回、パンフレット的なものが分厚くあったんだけど、
今回出場している劇団に関するものはペラ1枚で、うーん、てなった。
あと、後ろ1列を空けてたのは劇団さん用なのかな?
左右の席も割と空いてたので、座席をもうちょっとワイドにして欲しかったな……
満足度★★★★
タバコ臭かったような気がする
長くて笑えるのが好きな方にはオススメ
ネタバレBOX
宣伝写真を見て、忠犬ハチ公よろしく可愛い女の子が帰らない伯爵の留守を守る「おるすばん」なのかと思いましたが、残念ながら「おるすばん」するのは男性です。
お芝居としては五部構成。
第一部は中世ヨーロッパ。都市部でブイブイ言わせている伯爵と離れて片田舎で暮らす伯爵夫人。そこに連れてこられた奴隷が主人公。喋らない、服も着れない男に、伯爵夫人は立派な服を与え、勉強を教えます。
第二部は現代の高校。中世の服を着る奇妙な保健室の先生。あだ名は「伯爵」。病弱な女の子に愛の告白を受けます。
第三部は近未来。不死身の当たり屋として名を馳せ、反社会勢力のトップとなった「伯爵」。敵対する組織に所属するチンピラと同棲する。
第四部は未来。この星に生きる生命体はすでに「伯爵」のみ。調査に来た「宇宙家族」の娘に恋をされます。
第五部は人類最後の日。30歳の女性と最後の日を迎えます。
という訳で、西暦1500年くらいから西暦(でいうと)56億年くらいまでを駆け抜ける一人の「死なない」男の物語。
物語を通底するテーマの回収が「すべての生きとし生ける者で行う大宴会」っていうのは……
なんというか、「生」や「愛」に関する一つの提示として膝を打つものを持ち帰えれるのかと思った目論見が外れて残念。
笑える点や細かい工夫とか、美術系とかとても良かったんですが、満点!という感じはちょっとしなかったです。
あと、タバコの出てこない芝居なのにものすごくタバコ臭さを感じたのは私の勘違いかな?
最前列でもないのに、「タバコの臭い」にちょっと現実に引き戻されたような気がしました。
斉藤和義の「さよなら」が、今回もかかってました。お好きですね。
吉祥寺シアターは2回目。前回は奇しくもMrs.fictions 15Minutes Made Anniversary。
Mrs.fictions関連は10回目くらい。一番好きなのは「ミセスフィクションズの祭りの準備」。
【観劇後 気づいたことその1】
脚本読んで、登場人物等のお菓子縛り(?)に気がついた。
第一幕のブルボン、モロゾフ、ロイズ、チョコモナカジャンボ伯爵の辺りは分かってたけど、途中のカバヤ、後の方は名前の呼びかけもない人も居たりなんかして、分かりませんでした。
【観劇後 気づいたこのその2】
宣伝写真は、第二幕の伯爵に思いを寄せる女子高生が、長野の大学に通いつつ静養している時期のものなんですね。切ない2幕ラストを考えると、哀しい気分が込み上げてきます。
【観劇後 気づいたこのその3】
「月がとっても睨むから」のチラシが入ってました!2019年8月リベンジ!期待してます!
満足度★★★★
アガリスクエンターテイメントを休団中の塩原俊之氏による個人興行。
3本のオムニバスで、すべて再演。
「笑いの太字」を除く初見の2本は「雰囲気を楽しむ」感じで重さがなかったのが残念。
どちらか1本はもっと示唆に富んだり、胸を抉られるようなものだったりして欲しかったかな。
ネタバレBOX
「笑いの太字」(塩原俊之/淺越岳人)
三谷幸喜「笑いの大学」を題材にしたアガリスクの屁理屈演劇。
初演では熊谷/前田の女性コンビで見たので、キャストとしては初見。
男性だけにパワフル。飛び散る汗その他。
約50分まくしたてまくる演目なので、よく覚えられるなー、という気も。
見ていて、「どういうオチだったっけ?」って忘れてたけど、見ながら思い出す感じで。
元々キレイに纏まってスッキリ、という感じのお話ではないです。
「天気予報を見ない派」(塩原俊之/松本みゆき)
再演だけど初見。
同窓会と偽られて、元・彼女宅に呼び出された元・彼氏。
そこで過ごすしばらくの間のお話。
タイトルは、途中で買い物に出た彼女が雨に降られ、彼氏に「天気予報で雨降るって言ってたじゃん」に
対する応答から。
彼女はちょっと不思議ちゃんというか、無軌道な発言・態度・振る舞いが目立つ。
彼女は別れた後、結婚して、離婚したらしい。
「私たち、ヨリ戻そうか?」
「いや、やっぱり良い。あなたは寂しさを処理できる人だから」
「気が向いたら会う。そういう関係が良いんじゃないかな?」
どうしたいんだろう。
アフタートークで、「傷付きたくない、自信がない」みたいな話が出ていたけど、
タイトルからは、「かっちりしたことが苦手で、遊びがあるのが好きなのかな」と思った。
天気予報を見るような生き方はつまらない。たまに荒天に見舞われ、たまに望外の晴天に恵まれ、そういう風に生きていきたいのかな、と。
「いまこそわかれめ」(塩原俊之/大和田あずさ)
こちらも再演だけど初見。
喫茶店で先に待つ制服姿の女の子。そこに現れる制服姿の男の子。
どうやら高校の卒業式の後らしい。
二人は「仰げば尊し」の歌詞の意味を論じつつ過ごす。
最後に、「卒業」がテーマに。どうやら、彼女はもう生きていない存在のようだ。
お互いがお互いに依存しているからこそ、会えなくなることが惜しいからこそ、もう1年、もう1年と会うことに。
「だから卒業しよう?」と、別れる。
劇中のセリフでは何も具体的には語られていない。
後から、メニューが渡されるのも男の子だけ、注文するのも、飲み物が置かれるのも男の子の方だけ。
女の子が注文したコーヒーも男の子が女の子の前に移動させる。
そうか、そういうことか。と気づく。
そんなお話。
女の子が去った後、男の子が「そんな苦汁みてーなもん」と表現した、女の子が注文したコーヒーを飲んで、「俺、コーヒー飲んでる」と呟くのだが……
満足度★★★★
2月15日(木)のTBS「ジェーン・スー 生活は踊る」冒頭でこの作品に触れていて、
超ラジオリスナーである私は観に行くしかない、と。
(J-Wave及びJUMP OVER、松居大悟氏、本仮屋ユイカさんに思い入れはありません)
ハードルを上げすぎた所為で肩透かしを食ってしまいましたが、まぁ良いお芝居でした。
ネタバレBOX
30歳を前に会社をクビになった女性が主人公。
妹の聞いているラジオを偶然聞いてリスナーに。そして、投稿。DJに励まされる。
DJの「足が動かない」は嘘っぱち、親身に相談に乗っているようでいて、裏では
「もっと不幸なお悩みないのかよ!俺はもっとステージを上げたいんだ!」
と俗物な振る舞いを見せるDJ。
主人公は読まれるために投稿する内容に嘘を盛り込み、衝撃的なものにしていく。
そしてその後、DJの「足が動かない」の嘘がバレてYahooニュースになり……という展開。
110分のお芝居で、もっとエンディングに向かって凝集していくような造りになっているのかな、と
思ったのですが、ちょっとその過程が雑に感じました。
良かったのは
(1)曲と歌(音楽監督・石崎ひゅーい氏、歌・ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS))
(2)最後の歌の揃ってる感じと圧
チケットが6800円とちょっと高めなのを考えると、細かく言うと★3.5かな……
満足度★★★★
鑑賞日2018/12/02 (日) 16:00
価格3,500円
脚本が★5。一部演者さん★2。その他いろいろ加重平均を取ると★4。
ネタバレBOX
1年前(2017年10月)のオムニバス公演「鋼鉄の泡」の中の1本「人造カノジョ」の焼き直しというか、長編に伸ばしただけか~、見に行こうかな~、どうしようかな~、と逡巡したものの、バブルムラマツ氏の中編(黄金のコメディフェスティバル「滅亡のコメディア」「Mark(x)」各45分)は大当たりも多いので、見に行くことにしました。
途中小難しいものが増えてきて脳みそが追いつかなくなってしまったが、キャベツの芯に葉をどんどん足していくように、鮮やかな色を持って物語の中心に集まって行く伏線の数々が見事で、えー、どこまで「人造のもの」が増えていくのー、という展開が見事だったと思います。
ついでに言えば前年の短編の設定も最後の最後に包み込まれていく辺りは、ニヤッとするような、背筋が寒くなるような、というか。
脚本だけで言えばケチのつけようなんかあるはずもないのですが、残念ながら演者さんの方のトチりが看過できないレベルで多かったのが残念です。理屈部分の要素もあってそこに登場する「言葉」が重要なはずなのに、その言葉に詰まる、間違える、最後にはクチャクチャになったまま進めてしまう、そんな部分が多かったです。本来なら上演台本があったら買ってもう一回読み直したいくらいの傑作なのに、演者の人がそんなに大事に演じているようでもないなら、観る方もそこまで熱中して掘り下げるものでもないのかな、と熱が醒めてしまいました。
満足度★★★★★
鑑賞日2018/09/20 (木)
価格3,800円
ラビット番長の「ギンノ」シリーズ。「ギンノ」は「銀の」、シルバーは「シルバーエイジ」(老年)を意味すると思われ、テーマとして老い、認知症、介護といった内容が当然のように含まれている。
ギンノキオクも見たし、また見に行くんだけど、考えさせられる身近なテーマではあるけれど、やはり暗くなりがちな、ネガティブな面を含むお話ではあるので、見ていて気分晴れ晴れ、という訳にはいかず、ちょっとキツいな……と思いながら見ておりました。
ただ、やっぱり脚本の妙というか、最終的には何やら楽しげな気分にさせられてしまうのは、井保さんの脚本のチカラでしょうか。
当日は生憎の雨模様でしたが、やはり劇団員の方のホスピタリティは素晴らしいですね。
気分的には★4.5ですが、4か5しかないし、高めの価格設定でも満員にする自信に敬意を表して、★5とします。
満足度★★★★
やばい、評価3.5がない。ということで、四捨五入して4。
3箇所で上演してきて、ここが最後。そして1回こっきり。
キャパ60の会場もある中、キャパ15の兎亭が一番客が多かった、らしいですよ(笑)
劇中に出てくる焼き鳥屋で演者が頼んだメニューが実際に客にも振る舞われる実験作。
話の中身としては、思いを込めすぎて軋轢を起こしていることが多いボス芝居にしては、
すっきりしていて分かりやすかった。
去年の「ボス村松の竜退治」はなかなか癖が強かったので、見慣れた(?)スーツ姿の社会人芝居ってのは良かったかも。
ただ、上演時間1時間20分予定って書いてあるのに
冒頭で「予定は50分です」って言うのはどうかと……
あと、劇団鋼鉄村松関係者以外はちょっと身の置き場にこまるかも。
満足度★★★
鑑賞日2018/08/24 (金)
価格2,700円
劇団主宰兼脚本家(越寛生氏)が体調不良により作・演出ができなくなり、俳優も2人が辞退(代役なし)。
そんな状況が発表されたのが上演1週間くらい前だったか……
正直、自前の公演だったら純粋に上演中止だったのかな、と思う。
ただ、この公演は「MITAKA "Next" Selection」であり、行政が入っている。
自分の劇団だけの話ではなく、来年以降に迷惑のかかる話で、中止はありえない。
そこで主宰・脚本家の残したメモと、過去公演を合体させて上演した、と。
115分の演劇を観て、公演は公演であったけれど、やはり表面的で胸に去来するものも、
凄いものを観たという感覚もなかった。
凄い不出来で、という訳でもないので、★3つです。
私は、凄いものを観たかったのです。
ネタバレBOX
まず初めに、ヤリナゲ所属の俳優、浅見臣樹が語り始めます。
今回の騒動の現実パートです。
公演直前になっても脚本が出来てこない、連絡も来ないので、越寛生の家に行きます。
居るものの、どうやら悩んでいる様子。
越はスケッチバインダーの入ったダンボールの形をしています。
そして、喋ります(音声のみ)。そういうデフォルメ。
「またな」と帰って、第一幕終わり。
第二幕は、浅見と出演者が集まったところ。いわゆる稽古ですね。
「越が行方不明だ」
ざわつく。とりあえずスケッチバインダーが12冊ある。
書き殴られたメモから使えるところを探して、今回の演劇をやろうという話になる。
そして本編その1。
映画サークルの監督と女優(監督と肉体関係のある女優)。
4ヶ月ごとさかのぼっていく形、4場面。
(1)もう一度やり直したいんだ
(2)女優と監督の彼女が女性同士でくっつく
(3)女優が「私は貴方の彼女じゃないの?」と言って諍い
あれ?ちょっと足らんか。
パンフにあった「コウくん」(監督)と「カエデちゃん」(女優)の設定は踏襲。
ただ、時代が変わって表現することが息苦しく……というような設定はない。
で、今度はカエデちゃんが男優になるが、「いやいや、これは無理があるって」
で終わり。
そして本編その2。
今度は大学に入ったもののロクに行かずにVRギャルゲーにハマった息子、
その母親、
そして息子の憧れの女の子(MOD適用した)バーチャル彼女のお話。
大学の名前(ICU:国際基督教大学のこと)が連呼されるけど、一般的に言うと
ICUって言うと「集中治療室」なのかな、って思う人が居そうなので、「それって、いる?」
と思わないでもない。(主宰の越氏とかの出身大学がICU)
さらに本編その3。
戦争に行ったカエデちゃんのお父さんのお話。
カエデちゃんのお父さんは戦争に行ってるので、額に入った写真のような状態。
カエデちゃんのみ話すことができる。
全編を通して、「これって"みのほど"って感じだよね?」という会話が入ってくるが、ほぼ腑に落ちない。
全編を通しても、各編で観ても、それほどグッと来るものがない。
演劇としては成立している。
ちょっと気になったのが、幕間暗転のときと同じように、終演のときも爆音が流れていて、
観客の拍手がかき消されていたこと。こんな状況は観たことがない。
普通なら終わった後、挨拶して、出演者の今後の公演とか話すものだけど、それもなし。
終演、礼、終了。何の拒絶なんだろうか。
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/18 (土) 19:30
価格2,000円
お客さんの入りは10人×5~6列の座席で、9割~8割くらいだったかな。
内容については、ネタバレboxで。
(1)GRahAMBox(グレアムボックス) ★★★★☆
杉崎さんの体をいっぱいに使ったハイテンションと、それを受け止める2人という構図がとても良いバランスでした。
25分という尺に対して、3本だったのも良かったと思う。適度に短くて。
何かを生み出す感じではないけれど、面白かったことだけは覚えている。でも3本目は覚えてないんだよな。
(2)ThE 2VS2 ★★★★★
関西の劇団らしいです。下北沢とかでも公演しているらしい。
1団体の持ち時間25分という話だったんですが、この劇団は少し短かった。はず。
その分だけ緩む部分が少なくて良い濃縮具合だったような気がします。笑いの密度高め。
(3)かわいいコンビニ店員飯田さん ★★★★☆
ここにきて、2度目の劇団さんが。前2団体は初見でした。
15Minutes Made Vol.14 「虹はどしゃぶりの雨に咲く」を見ていた。
この時は辻響平さん、池内風さんという出演者のようだったので、役者さん的には初見ということになりますね。
鈴木タケシさん脚本・演出・主演。
(4)アガリスクエンターテイメント ★★★
たぶん、裏テーマとして、エクストリーム~が5人の登場人物を2人「しかいないから仕方なく」やる演目で、2本立ての1本目に3人おったやん、っていうのがあると思うんですが。
そんな訳で、最後の最後でキツい感じになりましたが、3組目まではこれまででベスト中のベスト。コントレックスはVol.13から通してこれで6回目。か見逃しもあって4・5回目かもしれませんが。総合は★★★★でした。
ネタバレBOX
お客さんの入りは10人×5~6列の座席で、9割~8割くらいだったかな。
(1)GRahAMBox(グレアムボックス) ★★★★☆
OUT:蕪崎俊平(腰痛悪化) IN:木村成希
という訳で、直前の出演者変更。
東京03っぽいと言われていたのはこの木村成希さんという人なのだろうか(豊本明長っぽい)。
「バンド内恋愛禁止」
男2:女1の3人構成のバンドのお話。31歳にして大学に入り直し、バンドを組んだのはひとえに恋愛のためだ、お前ら気付け、と喚く杉子(杉崎シュンペーター)。木村(木村成希)と岩田(岩田竜治)はそもそも恋愛禁止というルールを設定したのは杉子の方じゃないかと反論する。「それを乗り越えて来いよ!」「恋愛禁止を掲げてるグループは恋愛してんだよ!」とヒートアップ。必死すぎて引く、キツいとフラれた上で、実は木村と岩田は男同士で付き合ってるんです、というオチ。
最初の杉子が本当に女役だと気づくまでに時間がかかった。ベタに面白かった。
「テンション違う」
男3人で旅行を計画する話。「贅沢な宿」本を見ながら、杉崎と岩田が相談している、この宿が良さそうだ、卓球もあるし。じゃあ電話で予約してくるわと言って外す岩田。そこに来た木村が「そこの宿、いいよ。刺身が舟に乗って来るんだぜ!あと、浴衣が3種類から選べるんだぜ、男だから関係ないけどな!」と同意する。にわかに表情の曇る杉崎、「お前、泊まったことあるのかよ。じゃあこの宿、やめようぜ。お前2度目じゃ絶対俺らとテンション合わないから。舌鼓の音だって絶対違う!」とゴネだす。木村はその本に載っている宿のほとんどに泊まったことがあるらしい。木村は別に2度目の宿でも良いと言い、岩田も気にしないと同調する。スネた杉崎が旅行に行かないと言い出し、木村と岩田で旅行に行くことに。結局、宿が決まった後に杉崎が戻ってきて「俺も行く!」で終わったような気がする。オチは凡庸だけどなかなか楽しかった。
「感謝」
忘れた。本当に覚えていない。
杉崎さんの体をいっぱいに使ったハイテンションと、それを受け止める2人という構図がとても良いバランスでした。
何かを生み出す感じではないけれど、面白かったことだけは覚えている。
25分という尺に対して、3本だったのも良かったと思う。適度に短くて。でも3本目は覚えてないんだよな。
(2)ThE 2VS2 ★★★★★
関西の劇団らしいです。下北沢とかでも公演しているらしい。
同じマンションに住んでいて、勤め先も一緒の男、に惚れてストーカーになってしまった女子。
そして、ストーカー女子に脅え、ついにはストーカー女子をストーカーするという反撃に出た男子。
これは、ストーカー同士の血で血を洗う争いなのだ。
そこに、ストーカー被害を相談された警察官が。この人が。どう見ても、とろサーモン久保田氏にしか見えません。ありがとうございました。
1団体の持ち時間25分という話だったんですが、この劇団は少し短かった。はず。
その分だけ緩む部分が少なくて良い濃縮具合だったような気がします。笑いの密度高め。
(3)かわいいコンビニ店員飯田さん ★★★★☆
ここにきて、2度目の劇団さんが。前2団体は初見でした。
15Minutes Made Vol.14 「虹はどしゃぶりの雨に咲く」を見ていた。
この時は辻響平さん、池内風さんという出演者のようだったので、役者さん的には初見ということになりますね。
鈴木タケシさん脚本・演出・主演。
電車に乗り損ねた若いスーツ姿の男性に、声をかける中年(というには若いが)会社員。
若手の人の正体を、中年会社員は知っているようだ。
それは何故……?そう、今日13:00からの就職面接(二次面談)の面接官だからだ!
いや、なぜ同じ駅にいるのか?それは……現代のおかしな面接に一石を投じたいからさ!と散々ご高説をブッておいて、結局のところは中年会社員も遅刻(寝坊)をしていたのだ。
しかも、若手は13:00の面接に間に合えば問題はないが、中年会社員の方はすでに数時間単位で遅刻している。会社携帯には何十件と着信が来ているが、出る勇気がない。先日の給湯室でしてしまったセクハラは社内で問題になりつつあるし、もう会社辞めちゃおうかな……という風に展開していく。結局、まだ間に合う可能性があるから、と言って次の電車に乗り込もうとする若手の手を握手の振りをして離さないという攻撃に、中年会社員は出るのだが。
前半はテンポも良くて、キングオブコント決勝ラウンド進出間違いなしくらいの面白さだったのだが、尺を伸ばそうとしたのか、中年会社員が会社を辞めた後に開業するお弁当の移動販売について詳細に語る部分が長くて、少し間延びした。
(4)アガリスクエンターテイメント ★★★
「ボディ 」
男性、女性、死体(人形)、幽霊(額に三角巾)の女性。
男性と幽霊の女性は夫婦で、女性は男性の愛人のようだ。愛人が本妻を殺してしまってどうしよう、という場面から始まる。
女性は霊媒体質で幽霊の女性が見え、2人は死体をどうするか討議、幽霊役の女性がツッコミを入れる展開。
死体の切断について、男性を幽霊の女性(妻)が後ろ抱きしめるような形でサポートするくだりで、音楽が流れる。
一瞬、タイタニックなのかと思ったが、ボディーガードのテーマだったようだ。今一つオチが分からなかった。短かった。けっこう笑った。
「エクストリーム・シチュエーションコメディ(ペア)」
YouTubeにも動画が上がっている、アガリスクエンターテイメントの定番ネタとも言える作品。
2人で5役をする、エクストリーム(ものすごく疲れる)コントである。
浮気をしている男性の暮らす家で催しものがあり、奥さんが居て、そこに浮気相手が来て、さらにその浮気相手の旦那(や本妻の父)が来て、そこに巻き込まれる男性が居て、居間とか風呂とか物置とかキッチンとかで登場人物がわーっと動いて、なんとか浮気がバレないように言い訳を重ねて、最後は本妻が「気付いていた」と言って、男が反省して大団円。と思いつつ、さらにもう一つ浮気とかが重なって終わる、というアガリスクの一種の黄金パターン。
特に「エクストリーム~」ではそれに加えて、2人が5人の役を演じるにあたって混乱してミスったり、というのもポイント。
個人的な感覚ですが、ワイフ・ゴーズ・オンからこのフォーマットが嫌いなんです。コメフェス、優勝記念、笑いの太字とのセットで3回見て、エクストリーム・シチュエーション・コメディはYouTubeでも見て、お腹いっぱい!このフォーマット好きくない!という訳で、最後の方で脳が拒否反応を示しました。
楽しめる人は楽しめるんでしょうが、私にはトラウマ級になりつつあります。
榎並夕起さん腰痛のため、女性側は前田友里子さんに変更で。腰痛多いな。
たぶん、裏テーマとして、エクストリーム~が5人の登場人物を2人「しかいないから仕方なく」やる演目で、2本立ての1本目に3人おったやん、っていうのがあると思うんですが。
そんな訳で、最後の最後でキツい感じになりましたが、3組目まではこれまででベスト中のベスト。コントレックスはVol.13から通してこれで6回目。か見逃しもあって4・5回目かもしれませんが。総合は★★★★でした。
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/16 (土) 13:00
価格3,500円
「会議はまだまだ終わらない」スタイル、健在ナリ。
ネタバレBOX
熱演を考えれば当然★5つでしょ、なのですが。
ファンを巻き込んでのストーリー制作がゆえに、欲張りすぎたというか。まとめきれなかったというか。
そんな風に感じてしまいました。
一つは、「そして怒涛の伏線回収」の部分で、本来の商店街の問題が解決した後に「そして怒涛の~」部分が、
少し蛇足に感じられたこと。ちょっと長い。そして、「なんとかして伏線を回収しないと!」が、本当に
「なんとかする」感じになってしまって、「納得できないけど、無理やり」なケリのつけ方が多い。
そして、ハイスピードに展開する部分で、(観客の)私の脳みそがついていけない。
目からウロコの解決とかがあれば、気にはならなかったのかもしれない。
もう1つは、話の筋の違和感。
観劇中にいくつか感じて、いくつか忘れてしまったのだけど。
例えば、アーケードの撤去が決まっているという話をする場面。
商店街の活性化案というのが結局「アーケードの撤去の是非」とほぼイコールになってしまうのだけど、
その部分で長い話し合いをした後に、「もう撤去は決まってるの!」はちょっとなぁ、という。
エクスキューズとして、「若い世代に負の遺産を遺す訳にはいかないから、シニアの方でもう決めた」というのが出るけど、
それならなおさらアーケードの撤去がメインになった時点で「実は……」としないと、つじつまが合わない。
もちろん、「ストーリー的に必要なご都合主義というヤツだ!」というのは分かるのだけど、
それなら「だって、アーケードの是非の話になるとは思わなかったから!」という方が個人的にはしっくり来るかな、と。
全体的に言えば、いろんな要素をうまくくみ上げた脚本や、
客入れのときの音楽が劇中で「ああ、そういう意図があったんだ」という気付きがあることや、
ギリギリの声の大きさや、体育会系を思わせる体を使った熱演や、
過去の伏線を探す場面で該当する台本の部分をスクロールして表示する演出など、
とても素晴らしいと思いました。
毎回ほぼ千秋楽を見に行く自分にとって、15回公演の2回目を見に行くのは珍しい感じなんですが、
もし千秋楽に向けてまた何か変わって(改良されて)行くなら、それはとても楽しいことだと思います。
あと、改めて。10人以上の人が120分中100分くらい舞台上で演技をしているというのは、
とても楽しいものだなぁ、と思います。観客が自分で見る部分を選べるというのも。
今回は、塗装業の男性が仕事を請け負うか注目される場面で、
書記(クリーニング屋の娘)の女の子が「塗装」の「塗」までで書くのを一旦やめて、
受諾した後に「装」を書き足す部分を見ていて、もしかすると観客全員が気付いる訳ではない部分を
見れたかも、というのが楽しかったです。
満足度★★★★
鑑賞日2017/06/30 (金) 19:30
価格1,000円
1000円演劇。
チープな衣装、ぐだーっとした芝居、ゆるゆるした雰囲気。
まぁ、こんなものかーと思ったけど、最後だけいきなりギュッとしてビックリ。ホロッと来た。