パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】
隕石少年トースター
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
丁寧で真摯なコメディ。
当初は「一幕ものだろうし、こじんまりしてるのかな」という印象でした。確かにそれで合ってはいたんだけど、何より安心して観ていられた。勢いだけのコメディだと台詞で説明しすぎてたりするものの、そんな事もなく。登場人物の存在や行動にそれぞれちゃんと意義が見出せたし、どの人物も愛せた。いい人ばっかり出てくると「そんなにみんな聞き分けいい訳ないじゃん」って鼻に付く事もあるんだけど、今回は素直にそれぞれの事情を慮ってあげられた。
親子や家族で観るのに向いてると思いました。ペア割とか中学生以下をかなり安くするとか、やってもいいんじゃないかな。
そうそう、舞台美術。面白かったです。あれだったらギミックをもっと無駄遣いしてもいいのに。
舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)
TAKE IT EASY!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
充分。
映画未見で、当時にアニメ誌をぺら見して「多分こんな感じ」くらいの事前知識で観た今回。いやー、楽しめました。アニメ・演劇の双方のファンから高評価なのも嬉しい。要素は結構似てると思うし。
長い時を経てひたすらな思いを貫き通した千代子の姿と、舞台上を舞い踊り駆け抜けた5人の女優の姿とが見事にシンクロ。精神的にも肉体的にもきっと女性のほうが強いのだなと感じました。そしてそうある姿を目にすると、強さや逞しさに感銘。
配役ルールを根付かせる為とは思いましたが、序盤は「これもっと面白いよな?なんでこんなに安全運転してるんだろ。勿体無い」と思ったり。少し客を置き去りにするくらいでも良かった気が。観ていれば引き込まれるだけの吸引力はあったのだし。個人的には中盤以降から楽しめました。
38.5℃の裸眼
ハイバネカナタ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/15 (火)公演終了
結局は何の話だったのかって部分。
一生懸命に観てると難しい内容に感じちゃうんだけど、俯瞰してみるとそうでもなかった。作風が今のバランスだから分かりにくいだけ。抽象と具象。視覚部分での演出効果と物語部分。どっちかに特化したほうがきっといいんだと思う。既存のものと比べられたら嬉しくないだろうけど、野田秀樹が同じ事やったら多分すげー面白い。野田さんにやってもらえばいいじゃんって意味じゃなく、これは扱い方次第でまだ全然面白くなる気がするのです。ただ、ごめんなさい今は面白くないです。
熱量のある演技を客演陣に任せていた気がして、そこはちょっと引っ掛かりポイント。それに合う人々を呼べているとは思ったけれど、だったらそれを引き受けて回収するべくもっと上の事を劇団員二人がやるべきだったかと。
ロクな死にかた
アマヤドリ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
個人的には珍しくリピート。
人数がいるシーンでは前回と違う人を目で追ってみたり。
初日と比べて各シーンごとの繋ぎ部分の癒着率が上がってたでしょうか。役者の演技には安定感があって、誰か誘うならこういう日に一緒に来たいなと思いました。個人的には初日のがむしゃら感とか綱渡り感とかのほうが好きではあるんですけど。
当日パンフレットの役名記載とかが丁寧になってた。公演中に新しいのを作る労力を厭わなかった精神に好感。
俺のお尻から優しい音楽
五反田団
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2011/02/04 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
日本国民みんな観れば良かったのに。
何度吹き出した事か。爆笑はしないのだけど、構って欲しい子どもがいちいち突っついてくる様なウざさ。ふざけやがって。本気でふざけてくれやがって。お前ら最高だ。
凄いなと思ったのが、脚本の作り自体はしっかりと王道の戯曲だった事。運命やら生死やら、ご都合主義を振り切る勢いの展開。小ネタをいくつか省いて英国人に演じさせたらシェイクスピアっぽくなるんじゃないか。なのに改めてあらすじを読んでみると「壊れそうなほど美しい少年大山」の時点で思い出し笑いをしてしまう。くそ。
個人的に大好きな木引優子さんと吉田亮さんを久々に見られて、しかもこんな演目で見てしまった。この気持ちどうしてくれる。ありがとう。
さめるお湯
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
結局冷めなかった。
同じく劇中の温度も。あひるの空気感は普段からゆるーくぬるーいものの、今回はそれよりちょっとだけ熱かったかも。せいぜい1℃くらいだけど。前回が再演での今回新作だから気合入ってたのかな?とか思うけど、聞いたら『いや別に』って返されそうだ。そういう人達だ。
ツッコミ役になる事の多い異義田さんがボケ側に。っていうかいつもに増してボケが多かった気がする。ボケっぱなし。あとやさしい発明家だったのかどうかよく分からなかったけど、そのへんはどうでも良かった。
未見の方にどんな団体なのか伝わる様に補足すると、当日パンフレットに『携帯電話?PHS等の音の出る機器の電源は切っていただかなくてもかまいませんが、本番中に音が鳴った場合、役者が効果音と間違って、上演時間・内容等が変わってしまう場合がございます』とか書いてあります。そういうなんちゃら具合。
いつもいい仕事してるテーマ曲。今回のは個人的にかなり好きだった。
恋する、プライオリティシート
コメディユニット磯川家
王子小劇場(東京都)
2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
王子で王道。
たくさんの小ネタに笑わされる内にいつの間にか物語にも見入って登場人物を見守ってしまう。これぞコメディ。ぷぷぷ、となった瞬間は結構たくさんありました。なんか分からないけど伝わってくる作品というのも奇跡的で感動しますが、あそこがここが面白かったと口で説明出来るならそれはそれで他の人との意見交換もしやすい。
あと、たくさんある舞台美術のあれをよく揃えたなと。すげー。あれだけでも結構な時間見ていられた。
【
早稲田大学演劇研究会
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)
2011/02/04 (金) ~ 2011/02/06 (日)公演終了
犬を追いかける。
犬と串も始まりは作・演出家を含めた4人芝居だった。今回の4人もそれぞれに全く違う武器を持っていて、ちゃんとそれを使いこなしていた。正に少数先鋭。
テンポと勢い。とにかく笑わせる気満々。空振りしてなくて一発一発が効いた。ジャブ程度でいいネタもボディブローかアッパーのつもりで打ち込んで来ていた。事前にこういう作風だろうというイメージは少しあったけれど、それだけでなく物語性も放棄していなかった。ネタがやりたいだけじゃなくてちゃんと本が書けていた。そして最後の最後で後味の悪い余韻を残してくれた。これがただ笑いだけなら、軽やかにすぐ忘れてしまったはず。締めは大事。上手かった。彼がまた何かやる時には事前にもっと周りに言い触らしておきたい。
蛇姫様
害獣芝居
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/06 (日)公演終了
アングラだねー。
今の名前になる前に観て、その時は舞台美術が真っ白だった。今回は美術は立て込んでないけど照明の扱いもあって暗さが前面に来てて黒を感じました。そんなビジュアル面であの時と対比してみたり。
頭で理解するよりも心の深い所に侵食してきて荒らされる感じ。理屈じゃないんだなと思いながらも理解しようと脳みそ使うから非常に疲れました。多分、軽めの苦行よりは辛かった。でも達成感の得られる疲れ。
ロクな死にかた
アマヤドリ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
気付いたら終わってた。
前回を見逃したので事前の期待度が高かったのもありますが、見入っている内に終わりました。自分の場合はどんなに面白い作品を観ていても「今は全体の何割くらいまで来たのかなー」とかふと考えてしまったりするものの、今回はそれをさせる隙がなかった。
凄く良く喋って、凄く良く動く。と思ったら急にじっとしたりする。あぁ、ひょっとこだなと。透明な空間にちょっとずつちょっとずつ絵の具が滴り落ちていく様な。見入っている内に取り返しのつかない色彩になっていく様な感覚。そして終演時にはまた透明に戻っている。でも、一度染まってから取り戻した透明。そこに色んな心持ちが重なる。心地良い時。
伊藤今人さんのあれは何だ。完全に臭い物だ。蓋をしたい。でも気になっちゃって嗅いでしまう臭い物だった。超楽しかったけど夢には絶対見たくない。
雨と猫といくつかの嘘.
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了
再演も輪廻。
感覚と記憶に訴えられながらの70分。の割には体感時間が長かった。間延びしてる訳ではなく、人生を巡る長い時間を見せてくれたので壮大さに中てられたのかも。ぎっしり。
人の生死は家族という枠組みの中で見れば始まりでも終わりでもなく長い長い繋がりの一部。血の繋がり。でも家族の始まりは血の繋がらない二人が一緒になる事。子孫繁栄の為であり、それだけではない集合体。
「演劇=嘘」という意味ではかなり大胆な嘘も手法も使いつつ。物語的に、物凄い真面目に本気でままごとをやったらこうなる気も。そう思うと大胆な様で実は原点。料理で言えばおにぎりか素うどん。有り触れたメニューと侮るなかれ、旨いやつは旨い。
くちびるぱんつ
ぬいぐるみハンター
王子小劇場(東京都)
2011/01/27 (木) ~ 2011/01/31 (月)公演終了
すげーイージー。
難しい事は考えなくていいし集中力も使わずぼーっと観るのに最適。スポーツで例えるなら卓球だったかな。温泉に行った時にうっかりやっちゃう卓球。そういうテンション。娯楽。飲食店で例えると言うと、新メニューが出たばかりのファミレス。
『Prism』
*rism
ギャラリーLE DECO(東京都)
2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
なるほど。自分はこういうのがかなり好きらしい。
まずはそれに気付かせてくれてありがとうです。
記念にやってみた、のレベルではない完成度。写真家として養われた「何処をどう見せれば可愛く見せられるのか」の目利きが演出家としても発動。可愛さの中の狂気も鈍く光っていたし、狂気の中の一途な可愛さも。
一つくらい面白くない脚本があるかもと思っていたのにみんな面白い。誰にも明かさずひっそり順位を付けようと思ったけど結局は同1位になった。それぞれの演目の繋ぎも上手く出来ていて、作品ごとは絶対的に各作家(しかもみんな銃刀法違反になりそうな武器を持ち込んでくるタイプ)の色が出ているのに観ていて流れが途中で途切れたりしなかった。
アンケートに次回公演ではどんな事をやって欲しいかという項目があって、個人的には方向性を変えずこのままやって欲しいですね。何回かやったらその中の何作かで再演ベスト版を劇場公演するとか。
エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2011/01/20 (木) ~ 2011/01/23 (日)公演終了
事件に纏わるレポートの様でもあり。
初見。再演である事を抜いても脚本がしっかりしているなという印象。きっと本だけ読んでも作者の伝えたい事の大半が伝わってくるのでは。観た上では台詞書きというよりは場面書きな作家だなという印象もありつつ。
全然共感出来なくて着いて行けなくなる瞬間が多々あったんだけど、今回に関してはそれで良かったんだと思います。特に店長の台詞でそれを感じた。「実際の現場でもその発言ありそう」と思いながら、その発言には全く共感出来ないという。観てる自分は冷静だったから起きたギャップ。あいつがエモーショナルレイバーさんか、と。あ、勝手な見解です。別に『誰がエモーショナルレイバーなのか?』を巡る話ではないので、未見の方は誤解なき様。
投げられやすい石
ハイバイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/01/19 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了
ちょっとした恐怖。
久々に観られて良かった。やっぱり面白かった。
で、ちょっと迷っています。ハイバイが何で面白いのか観てない人になんて言えば伝わるのか上手い言葉が見付かりません。変なモンスターと出会ってしまった様な感覚。ただ強いだけなら「強いんだよ」と言えば済むものの、何がどう強いのかパラメーターが良く分かんない。理解を超えてちょっと怖くさえあります。
他者とのどうしようもない意識・感覚のズレ。謂れのない当て付けや気に掛けているはずなのに共通意識でなかった時の絶望。胸の内に苦いものを得ました。劇場を出て現実に戻った時の開放感たるや。
【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/01/14 (金) ~ 2011/01/17 (月)公演終了
死ぬなよ!殺すなよ!
出演者にも客席にも死人が出てもおかしくなかった。マジで。やってる内容はエッジが効き過ぎてます。でも、勧めたい。ただのバカだと思う人もいるかもしれない。いや、だとしてもこれだけ本気のバカを観た事があるか?
脚本クレジットが数人いるからオムニバスかと思ってたら…。しかもパンフレットではチラシから更に記載名が増えてた。みんなで話し合って作ったのか、リレー方式で書いたのか。後者かな? 後者な気がする。でもそういうは別にどうでもいい。もうなんか、構成とか流れとかじゃなかった。全箇所本気!の二時間強。濃すぎた。最近の暴れ団体っていうとバナナ学園にお株が根付きつつあるけれど、いやいやエンクラだって相当暴れてるぞと。やってやがるんですよB203で。
ドードーの旗のもとに
劇団ガソリーナ
萬劇場(東京都)
2011/01/13 (木) ~ 2011/01/16 (日)公演終了
特別公演との事。
パンフレットの『やってみたかったことをみんな詰め込んだ』という挨拶が、どの立場からの言葉なのか気に掛かった。代表もしくは脚本家としてであれば分かる。しかし演出家としてであれば、むしろ何もしていなかったと感じました。
演出がされていないと感じたのは主に演技面において。本職声優やそれに順ずる役者が多かった印象ですが、演技の質も声優寄りだった。それぞれが自身のキャラクターを明確に主張するので人物同士の遣り取りが生まれない。台詞上では会話をしているけれど、胸中の変化を与えるという意味での遣り取りがなかった。アニメや洋画の吹き替えであれば映像があるから視覚での説得力がある。しかし朗読劇ではそれがない。観客の想像力に任せる意図があったとしても、舞台上で成立させるべき事項はまだまだあった様に思います。
壮大な物語であり、確かに演劇化するには困難な部分が数多い。だからこそ演劇化してこそ意義があったのではないか。「通常の演劇≧朗読劇」では決してない。しかし今回はそれを思わせてしまう内容だった。朗読劇ならではの表現もなかった。技量のある役者がやれば必ずしも作品の質が上がる訳ではない。勿体無さ過ぎる。
これがプロデュース公演だったら色んな事情を鑑みて目を瞑る気も起きたかもしれない。しかし特別公演とは言っても劇団名を提示した上で行なった公演なのだから、もっと結束したものを見せて欲しかった。
伊藤英次さんの声は男でも惚れる。
メゾン・ド・ウィリアム
劇団バッコスの祭
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/01/09 (日) ~ 2011/01/17 (月)公演終了
変えて来た印象。
賞を取っての再々演など先が決まっていたからか、これまでとちょっと違った事をして来た感じ。まず現代劇が久々だったか。
普段に比べると脚本的にはちょっと無茶もしてる気がしました。一貫させたものを内包してしっかり一歩ずつ進んでいくのがいつもだとしたら、今回はピース同士を繋ぎ合わせているというか。それだけに語られている内容だけ見ると前後の繋がりが弱い部分もありながら、挿入された殺陣が見所になっていてきっちり埋まっていた。これ、強みだと思います。あと、丹羽さんの演技。感情丸出しの彼の演技は迫ってくるものがあり過ぎてどんな気持ちで観ていようと説得させられてしまう。
新劇団員も魅力的。丹羽さん・辻さんが中心になる事が多かったけれど、今後は配置を換えて別の試みも観てみたい。その二人があえて脇で違う事をやる姿も観てみたいですし。
愉快犯
柿喰う客
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了
新春公演、だ。
いくつかあったコメントの通り、お正月バラエティ的な位置取りの今回。人に勧めるにはこれまでになく適した作品だと思います。
劇団員公演でありながら、柿がこれまで持っていた狂気的な面が薄く感じられて個人的には「本公演ではない」という点に納得。この公演がどう評価されるのかもふくめた上での愉快犯。柿自体が。
ルフラン、ラン、ララン
劇団てあとろ50’
早稲田大学学生会館(東京都)
2011/01/08 (土) ~ 2011/01/10 (月)公演終了
牧場だけに牧歌的ながら。
上演前から既に漂うパラレル感。明らかに変化球で、次に何が起こるか分からない物語進行。登場人物に「人物」でないのも混じってるから余計に。ファンタジーと言えばファンタジーだが、なんだこれは。馬ンタジーか。