特別公演との事。
パンフレットの『やってみたかったことをみんな詰め込んだ』という挨拶が、どの立場からの言葉なのか気に掛かった。代表もしくは脚本家としてであれば分かる。しかし演出家としてであれば、むしろ何もしていなかったと感じました。
演出がされていないと感じたのは主に演技面において。本職声優やそれに順ずる役者が多かった印象ですが、演技の質も声優寄りだった。それぞれが自身のキャラクターを明確に主張するので人物同士の遣り取りが生まれない。台詞上では会話をしているけれど、胸中の変化を与えるという意味での遣り取りがなかった。アニメや洋画の吹き替えであれば映像があるから視覚での説得力がある。しかし朗読劇ではそれがない。観客の想像力に任せる意図があったとしても、舞台上で成立させるべき事項はまだまだあった様に思います。
壮大な物語であり、確かに演劇化するには困難な部分が数多い。だからこそ演劇化してこそ意義があったのではないか。「通常の演劇≧朗読劇」では決してない。しかし今回はそれを思わせてしまう内容だった。朗読劇ならではの表現もなかった。技量のある役者がやれば必ずしも作品の質が上がる訳ではない。勿体無さ過ぎる。
これがプロデュース公演だったら色んな事情を鑑みて目を瞑る気も起きたかもしれない。しかし特別公演とは言っても劇団名を提示した上で行なった公演なのだから、もっと結束したものを見せて欲しかった。
伊藤英次さんの声は男でも惚れる。