LAPUTA FALL -ラピュータフォール-(アップ風景画像UP)
エムキチビート
萬劇場(東京都)
2008/05/27 (火) ~ 2008/06/02 (月)公演終了
それはいつか終わる影踏み。
秘密裏に隔離された工場で飛行機を作らされ、でもそれぞれ事情があってそこにいる事でどうにか居場所を持てていた人々。そして天空にある坂を登ろうとする者と、それを阻止する者。冒頭から二つの世界が交錯し、何の事だろうと思わせる「?」がチラホラ。それがやがて紐解かれて行く頃にはもう見入った後の事。こういう構造の芝居を見慣れない人にとっては慣れるまでちょっと時間が必要でしょうが、それもそんなには長く掛からずに済むかと。冒頭は小ネタが多いので深く考えずに笑っとけばいいと思います。
どの役者も良かったのですが、女性陣が魅力的。単純に峰麗しいのもあるけど、心情を上手く汲み取らせてくれたかな。特に瀬戸千夏さん。無垢で元気なイズモだったからこそ、周囲で起きる出来事との温度差が見えた。日常的にそうはいない人物設定なのに「演じてる感」を意識させないのがよかったです。
小劇場でよく見る客層と違ったのが印象的。同じ様な立場にある小劇場の役者とかあんまりいなかったのかも。なんか見た目に鮮やかというか、貧乏じゃない人が多そうだった(笑)。そんな中、「この人は絶対に普段は芝居とか観ないな」って感じの方が隣の席でした。女性なんですが、大股を開いたり片足を椅子の上で抱えたり。ぶっと『ぶすー』っとした顔をしていたので、この人が終演までに見入ったりするのかを勝手に気にしていました。そしたら、あるネタで声を上げて笑ってた。へー、そこなんだー。
ネタバレBOX
その彼女が笑ったネタは、富嶽たんでした。
ゲスト出演がNIY(SHAZNA)。えええーーーー!!???どっからどうやって連れて来たの!?貴方がベースで弾いてたフレーズ、10年前に自分も練習しましたよ!声量がちょっととは思ったけど、まず彼は役者ではないのでスキル的に求めるにも限界がある。むしろ別畑からのゲストしては結構な台詞量があったし、演出の意に反さないだろうこなし方が出来ていたのではないかと。
何処の芝居を観てもまるで今回のチラシが折り込まれていなくて、どういう宣伝手法に出ているのかが謎でした。でもどうやらこれはそもそも目を向けているのが小劇場界隈ではないのだろうなと。これまたどうやって連れて来たのかと思わせる様な役者陣に、一級品のスタッフワーク(個人的には照明に感銘)。演出的にも更に大きな劇場でやれそうだし、既にそっちを見越している様です。
明時ディソナンス
エムキチビート
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2006/09/01 (金) ~ 2006/09/04 (月)公演終了
唄が聴こえた。
詩的な台詞と人々の交錯を描く作風。確かにその世界の民謡か俗曲が聴こえたのです。ここ最近は日本(っぽい)世界感が続いていますが、この時はアラビアンな国でした。
どうやら初日に行っていたらしいので、それ以降に出来がどうなったのか気になります。
シリアスに憧れて
演劇集団レイマ
Brick-one(東京都)
2006/06/24 (土) ~ 2006/06/24 (土)公演終了
若い奴らは夢を追えばいい。
一度辞めてしばらく時間を経た方々が、『我々みたいな者どもはプロなんてとてもとても~』と言いながらやっています。一度社会に出ているとはいえ、そこまで低姿勢になれるものか。しかも卑屈ではなく真摯。そして芝居やってる最中はかなりはっちゃけてます。大変そうだけど幸せそう。見返りを求めずに好きな事をやるってこういうのでしょうか。
ネタバレBOX
若者も一度始めたからにはそれってもう夢じゃなくて現実なのですよね。いつの日か!なんてぼーっとしてたら歳を取って終わり。時間は誰もに平等、ただし境遇は不平等。
華鐘-ファンドラ-
劇団 夢神楽
シアターブラッツ(東京都)
2006/06/23 (金) ~ 2006/06/25 (日)公演終了
こらこらこら。
冒頭のアドリブで『終わるまで3時間~』という言葉が耳に入る。またか…。前回も3時間やったのにまたやるのか…。間に休憩は入ったけれど、それまでは客席係がいなくて途中退室出来ない状況。休憩を取るからそれまで席を立つなよという事か。無理だ。つい、気持ちが表に出てしまって物凄くつまらなそうな態度の姿勢でいました。だって、つまらなかったから。
芝居に関しては全く評価する気がないのだけれど、作品の方向性はそのままで今も旗揚げから数年越しで活動を続けている。それには根性あるなと思うのです。
ネタバレBOX
声優志望が舞台に立つのであればそこには割り切りが必要。舞台上で声優であろうとしちゃダメ。ゆくゆくはそっちになるのだとしても、舞台上にいる間は俳優であってください。ホントは根本から俳優であれと思うけど、そこまでは求めない。対して可愛くない子が萌え声でヒロインの台詞を口にしても、対してかっこよくない人が篭った声でキザな台詞を口にしてもそれは演技じゃないよ。大体、口先で作るのに意識がいってしまって声が客席に届いてないのが本末転倒。聞かせたくて声をそうしてるのに結局は聞こえてないんだから。
Wonderful
劇団スタンド・バイ
劇場MOMO(東京都)
2006/06/13 (火) ~ 2006/06/20 (火)公演終了
不適材不適所。
マンションの前。そこに住んでるらしい大物芸能人を目当てに野次馬に来るおばさんとか、誰かに用があるんだけど勇気が出せなくて入れない人とかの話。それぞれの関係性や物語が交錯するかの様で、別にそこまでそうでもない。主人公らしき人はいるんだけど、その人がいいほうに向かうのを願う気も起きない。うーん、どこを観ればいいのか。
ネタバレBOX
完全に死んでる役者がいたのが腹立たしくてならない。ちょい役とはいえ、明らかに活気がない。舞台上に出る事への怯えさえ見えて「あぁ、彼女は相当に手酷くダメ出しを受け続けて来たのだな」と思いました。後から本人に聞いたらやっぱりそうだった。そこは役者なら乗り越えてくれよとも思いつつ、その子は客演。えー、じゃあなんでわざわざ外部から人を呼んだんだよという気持ちのほうが強かった。それに対して所属役者は別に上手くない。けど、『ふふん。私は出来てるわ』と見せ付ける様な演技が鼻につく。芝居に感情移入せずして「あ、この人はやな人だ」と思った。役柄じゃなくて本人がムカついた。その演技も『こうやったらウチの演出には怒られない』というラインに沿っている感があって、なんでこの人は芝居をやってるんだろうかと。
終盤、盛り上がりの部分で完全にコケている見せ場が。それぞれの人物の事情が交錯するのを見せたかったのだろう。踊る様に互いの位置をスライド移動しながら台詞を口に出す。それが別の事情の人物への受け答えみたいになる。この動きが異常に汚い。体にまるでキレがない。そして身体を制御出来てないから台詞も何言ってるかよく聞こえない。動きの段取りに気を取られすぎて、台詞を口に出す事さえも段取り。この見せ場、所属役者をメインに据えていた。なのに得意でない事をやらせてどうするか。その上で先述した客演の子は幼少からバレエをやってて踊れるのにここでは使わない。えー、不適材不適所。
New Genesis
立教大学演劇研究会
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2006/06/15 (木) ~ 2006/06/18 (日)公演終了
支度を!
色んなものが準備不足なまま、起承転結の「転」を迎えます。なのでなんだか登場人物達にとっては踏ん張りどころらしくてうわーと盛り上がっているのですが、観てる側としては何が起きていて彼らがなんで盛り上がっているのか分からないのです。この準備不足は劇作だけでなく、公演に向けてもそうだったのではないかなーとか邪推してしまいます。残念。
ネタバレBOX
柿食う客に客演常連の小西綾香さん。彼女が舞台上で何をしていたのか全く記憶にないのが切ない。好きなのになー。あと、依田愛未さん。立教でしか観てないけど、演劇的に達者な方ですね。舞台美術に大久保理沙さんを発見。あら、バッコスの祭に出られている方ではないですか。そうか、所属役者のあの方が立教だった。そういえば。
ドラ、え?も、ん…
カカフカカ企画
早稲田大学学生会館(東京都)
2006/06/14 (水) ~ 2006/06/19 (月)公演終了
【裏ver.】
全てがネタだからここには何も記せません。
ネタバレBOX
裏バージョンと銘打っているのに表バージョンと全く関連性がないというのが既にネタ。役名には「鞠男」とか「類次」とか。
毎日は見たくないけど、年に1回くらい平山さんのショートコントが見たくなる。あ、やっぱ3年に1回でいいかも。
ドラ、え?も、ん…
カカフカカ企画
早稲田大学学生会館(東京都)
2006/06/14 (水) ~ 2006/06/19 (月)公演終了
【表ver.】
全てがネタだからここには何も記せません。
ネタバレBOX
今になっておぼんろの末原さんが出ていた事に気付く。あと、スペシャルサンクスに阿久沢さん。へー。
「ヒョロ松」って名前のキャラが太ってるってどういう事だよ(笑)!やっていたのは柿食う客に客演常連の目黒茂さん。前日のゲネで笑わせてもらった台詞がありまして。俺達は悪い奴らだー。だからこんな事をしてしまうぞ!みたいな流れで、『ゴキブリむしゃむしゃ~』。太ってるからってゴキブリ食べちゃダメだろ!その台詞が何故かこの日は自信なさげに言っていたので、つい終わってから「どうしたんですか?」と聞いてしまいました。面識ないのに。
ドラ、え?も、ん…
カカフカカ企画
早稲田大学学生会館(東京都)
2006/06/14 (水) ~ 2006/06/19 (月)公演終了
【公開ゲネ】
大丈夫かな?大丈夫だよね?まぁ、いいか。お知り合いが出ていたのでまた行きました。ヒロインみたいな位置でオイシイ感じでした。
さて、ゲネです。公開稽古。「そこにこだわるの!?」てな所で高山さんのダメ出しが盛り上がる。それに対して明らかに困った表情の役者(笑)。普段の稽古もそうなのか、公開しているのでパフォーマンス要素もあったのか。ふざけんな!と思う人もいるでしょうが、個人的にはふざけてて欲しいです。
喀血!!銀玉高校応援団
株式会社エアースタジオ(Air studio)
AirStudio(東京都)
2006/06/08 (木) ~ 2006/06/12 (月)公演終了
システム。
自スタジオで毎週の様に公演を打つ、精力的な活動を展開するAir studio。早い段階で台本を役者に渡して稽古は本番の2週間前からというシステムでやってるそうです。一時期は新たに知り合う役者がどいつもこいつもここに出ていて、「Air studioに出るのが流行なの!?」と思いました。惜しむべきは、駅からスタジオまでの道が分かりにくい事。
まぁ、演目の当たり外れもある。これは当たり。万年一回戦敗退の野球部を応援する応援団の話。生徒会長に『今度の試合に負けたら野球部は廃部にする』と宣告されます。王道!またこの生徒会長が嫌な奴で、親はヤクザ。王道!でも王道って鉄板なのですよ。
ネタバレBOX
その生徒会長を演じたのは美少女さん。美少女さん、という名前です。身長180cm越えの男性です。昔は自衛隊にいて、今は人形師をしている方です。どんな方か気になるでしょうね。気にしてください。吉田ミサイルさんの一人芝居に行くと案内係をやっていたりもします。
ひととせ
LiveUpCapsules
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/05/27 (火) ~ 2008/06/01 (日)公演終了
良きひととせ。
前回公演が「ざっぱぁ~ん」ってなタイトルだった訳でして、行けなかったものの「何やら楽しそうだな」と思ったのです。そして今回またそういう風味を含みつつなのかなーと、のこのこ行ってみました。絵描きの話だからギャラリールデコ。あそこでこれまで観た芝居で最も上質かも。いやはや、御見それしました。今日の時点でこれだけのものをやっているので、明日以降に観るという方が羨ましい。濃密度の90分。
最初の印象は「御行儀の良い芝居」。色々なファクターを適切な扱い方でちゃんとパズルのピースを埋めていく感じ。その上で、役者のやってる事にもほとんどブレがないのです。当て書きをしたのだろうと思うのですが、それにしても見事に合っている。またそれを役者も自信をもってやっていました。こうなれば観ていて違和感なんて何処にも沸きません。惹き込まれる。手紙の遣り取りからなる部分は詩的でありつつ、素敵。
個人的には美和を演じた辻麻由さんに注目。声質からか気の強い印象を与えつつ、しかしそれだけでない内包したもの垣間見せる役柄を好演。しかも嬉しさと悲しさの両極面において物凄く良い表情を見せてくれまして、危なく恋をしそうになりました。あぶねー。もう1回観たらきっと完全に落ちます。
舞台を挟んで対面式の客席になっているのですが、見切れが少ないのは入り口から遠いほうの席。トイレとかスタッフブースのあるほうです。そっちのほうが辻さんの表情もよく見えます。
ネタバレBOX
前説担当の方が場を離れるかどうかというタイミングで早くも1人目の役者が入場していつの間にか始まる形式。絶妙でした。客は芝居が始まる事に対して頭の切り替えが間に合わないのでとにかく観るしかない。そしてそのまま観続けます。上手い導入ですね。そしてあのラスト。これまたいつの間にか
な感じなので観終わってもまだ続いている様な感覚になります。ちょっと臭い言い方をすると、心に残るのです。ただ個人的にはあの最後の暗転から終礼をするまでに聞こえる身動きが勿体無いかな、と。それが聞こえてもそこまでの流れがあるので目を潰れる(音だから「耳を塞げる」?)ものの、可能であれば無音のまま終わって欲しい。死んじゃった正太郎役の久保さんを客席まで移動させず、起き上がってその場で礼をさせてもいいのかもしれないですね。恐らく彼が立ち上がって移動しているであろう音が最も聞こえていたので。
さて、意気揚々と辻さんの話をします。黒田が登場する次の場面で喜びでイスから離れる時の表情。これが、とっても可愛い。手紙の遣り取最後の表情。これが、とっても切ない。実は序盤に登場した時はちょっと癖を感じたんですね。でもそれが徐々にいい意味で気になる引っ掛かりに変わっていって。その後の行動で受ける印象から人間味を感じたのかもしれません。
LiveUpCapsulesの次回公演は10月。そのキャストには菅野貴夫さん(先日の時間堂「三人姉妹」に出ていて、来週からはDULL-COLORED POP「小部屋の中のマリー」に出ます)の名前が。ををを。これは楽しみだ。
R.A.T.S
帰ってきたゑびす
「劇」小劇場(東京都)
2008/05/28 (水) ~ 2008/06/03 (火)公演終了
うーん、疲れた。
最後列に座ったのですが、視界に入る飽きた客の身動ぎとかで集中出来ず。というか自分も身動いでいました。あと、寝た。
演出家の方の中ではかなり明確に『こういう絵を見せよう』というのがあったのは分かりました。身体表現の部分では面白かったし、演目的にもそこに力を入れている。つまりそれが印象的な場面で使われているのですが、物語をそこまで進める為の手順がちょっと雑。台詞の遣り取りで持っていこうとしているものの、どうも言葉選びが微妙でした。格好良過ぎたり奇麗過ぎたり。ああいう雰囲気を作っているのだから言葉にはあまり意味を持たせなくても良かったのではないかと。もっと「見せて」欲しかったなー。
友人である猫道さんを初めてとして「もっと動けるし喋れるし魅力的な役者のはず」と思える人が多数いたので余計に残念に思うのです。
ネタバレBOX
特にドナウとハルの遣り取りが酷い。台詞を噛むとか被るなんて日常でも有り得るから気にはならないのです。でももっと相手に反応しないと会話は出来ません。なーんか二人同時進行の独り言状態だったなー。声優養成所のレッスンでよく見た風景だなー。
最後に、制作の方へ。客全員に平等に接するのが真摯な態度なのではありません。雨天だし遅れる人がいるのは仕方がない。しかし早く来た人までそれを15分押しで待つのは気分を害すのです。遅れた人は遅れたという自覚がありますからそれ相応の対応で構わないかと。開演寸前まで声を掛けられると、客としては日常的感覚を持ち続けてそのまま上演になります。どうも、浸れない。あと、通路席は終演後に客が退いたらすぐに撤収させましょう。後ろの方が出れずに困っていました。土日は客層が広がるはずなので、今の内に対応に不備がなくなるのを願います。
トライアングル
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2008/05/24 (土) ~ 2008/05/26 (月)公演終了
観ました観ました。
これが「観たい!」に書いた文→【お知り合いが出るのです。同期達とやるのであれば、お互いの適材適所も分かっているはず。役者として輝く姿を期待します】その期待にはちゃんと応えて頂きました。ともすれば身内ネタになりかねない部分もあるのですが、それだけには終わっていなかったと思います。あまり舞台慣れしていなそうに見える人もいたけど、使い方は悪くない。
末期患者病棟の話で、『どうせ死ぬからそれまでPOPに過ごそうぜ!』『私は死ぬまでにロマンチックに結婚したい!』みたいな感じです。ぶっ飛んでます。でも勢いに任せるだけでなく、切り替えの上手い役者が多かった。前売り500円だったけど1000円くらいでもよかったかも。同じ座組みでまた何かやるなら行きたいですね。
ネタバレBOX
遅れて行ったのはものすごく申し訳ありませんでした。制作の方々、すみません。手帳に「19:30開演」と記していました。ミスったなー。
ここ最近のエンクラは踊りと音楽が結構入ってきてますね。テンポのいい芝居ではいいほうに影響していると思います。
ショウジさんの息子
渡辺源四郎商店
アトリエ春風舎(東京都)
2008/05/22 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
勘弁してください。
ちょっと多めに芝居を観ている身ですが、人生で初めて観劇で涙を流しました。いつもはCoRichに記す旨を書いてアンケートは簡素に済ませてくるのですが、今回は感想をすぐに伝えたくてその場でちゃんと書きました。
「隣にいても一人」でまずは役者としての畑澤さんを目にする。温かそうな人だなと思い、尚且つ彼の劇作の評判も知っていたのでこれを観ようと決心。ものすごく前からチケットを押さえていました。着席してパンフレットに目を通し、畑澤さんの挨拶文にまずやられる。お父様を早くに亡くされていて、今回の主役の一人であり驚異の80歳俳優・宮越さんの様に老いたいと。もう!そしてキャスト紹介。畑澤さんが勤務する高校の卒業生が多数出演。もう!ちょっとー、もう既にあなた方のドラマがそこにあるじゃないですか!人として羨ましい。
そして開演。宮越さん、いえ、宮さん。ホントに驚異の80歳。単に味があるだけではないのです。「その歳にしては…」とかレベルではない。とはいえ冷静に考えたら、上京して慣れない地で芝居をしてるってのだけでものすごい事ですよ。確かに、彼の生き様を拝見しました。
そもそも他人だった人間同士に長い時間を掛けて生まれる絆。人が生きるとはそういう事なのですね。人は命が尽きたら死ぬのではなく、誰とも接っせれない様になってしまったら死ぬのですね。生きていたい。心からそう思いました。
ネタバレBOX
終盤、真佐彦が『1年後には…』と将来的に予想された自分の身を語っていく所で「あぁ、それ以上は言わないで。もうやめてくれ…」という心境にさせられました。そんな救われない状態の中、正治の『治るよ!』。その言葉に根拠なんかない。でもそこに医学的根拠なんかいらない。
あの後の2人がどうなったのか、いくら考えても考えは尽きないですね。由香里とはどうなったのか。真実を伝えないまま距離を取った気もするし、願いとしてはそれを乗り越えて幸せになって欲しかった。由香里が『支えていきます』みたいな事を言って、真佐彦が『そんなの無理です』みたいに返して、正治が間を取り持とうとする。そんなのを乗り越えて行って欲しかった。あぁ、あの人達は自分の中でまだ生きてるなぁ。きっとこれからも生き続けますよ。
SHE IS BEYOND GOOD AND EVIL.
Mrs.fictions
ザムザ阿佐谷(東京都)
2008/05/23 (金) ~ 2008/05/26 (月)公演終了
プロデュース公演ではない。
って言ってました。おわりの会で。でもなー、役者のバランスを見る限りは劇団っぽくないのです。演出にもっとしっかり方向性を持たせたほうがいいのかもしれません。それこそ作家が4人もいる団体なのだから。作品ごとにテイストを変えるにしても、まずはその1つの作品の中での統合性は必要かと。
アフタートークで上野さんが来るのを忘れていて「えぇ、アナタさっき4×1hに出てたじゃないですか!」と胸中で突っ込みました。あっちで17:00からの出番を終えて、もしかしたら19:30からの1作目で自分の書いたやつだけ観てから来たんでしょうね。本番中の身。道中何事もなくてよかったと思いました。
ネタバレBOX
第二稿までは今村さんで、それ以降は他の作家も総動員で脚本を叩き直していったとか。うーん。それをやるのはもっと後でよかったんじゃないだろうか。それぞれの作家で一巡くらいやってからでよかった様な気がします。それこそまだどの作家のどういう部分が客に受けるか確かめていないので。自分達としてはお互いに分かってるからいきなり意見の出し合いになっても構わないというスタンスかもしれませんが。うーん。なんか途中から微妙なものを感じたのですよねぇ。
あと、おわりの会。自然体でやるのは悪くないとしても、客にとっての聞きやすさをもうちょっとだけでも考慮して欲しいです。客に意識を向けている感が薄く、なんか混ぜてもらえていない気分で聞いていました。
4x1h Reading #0
4x1h project
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/05/23 (金) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
group A
最近たまたまシナリオの書き方の本とか読んでて、それを念頭に耳を傾けたりしていました。作家によってト書きの扱い方が違うのとか面白いですね。
ネタバレBOX
■「消えたおんなの話」上野友之(劇団競泳水着)
店で隣の席になった男女。男の友人の話になる。かつてその人が想いを寄せた相手が消えてしまったらしい。どうしてだったのか。
その男女がつまりその2人だというのは早々に読める。あんまり引っ張るとダレちゃいますかね。でもまだ未成熟な部分を感じて、もっと落ち着いて見られる作品になる予感もあります。そういう意味では期待。
■「いそうろう」篠田千明(快快)
いちこはももかの部屋に居候している。働く気とかないし、家賃をももかに納めてもいない。その割には自由気楽なのでいちこはももかに「出てけ!」って言う。なんだよー、ホントに出てったら寂しいよ!って話を、そこまでの経過を見せるのではなくて結果部分に焦点を当てて深く回想していく。
また快快にやられた。「オイー、4人くらいだってのに2人ってなんだよー。選考に通らなかったらなー。やる気出ないなー。とか思って手抜きかー」なんて印象も払拭。むしろ2人だから遣り取りの密度が濃くなっている。なんなんだろう、こういうの。起承転結ってなんだったっけ?いや、一応はあったけどね。にしても、なんだこれは。
■「群盲と象」富士原直也
核施設補強工事の為に送られる新任技術者。そこには既に働いている人々がいる。そして圧倒的な人数が病に倒れてそこを去っている事実。州域は安全だと公表されているにも関わらず。また1人、いなくなった。
失礼ながら富士原さんという方を存じ上げません。でも今回のこれでもっと知りたくなりました。ここからいくらでも広げ様があります。登場人物を増やすのも、物語の枝分かれを作るのも。そしてそれを書けるだけの力もあるんじゃないかな。よかった。ダークホースがいてくれて。心が踊りました。
4x1h Reading #0
4x1h project
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/05/23 (金) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
group B
両グループの中から2作品が選出されて9月に公演を迎えます。なので今回はコンペみたいなもの。ってことで、各演目の終わりに拍手をしない事を心掛けました。シビアに観たよ。
ネタバレBOX
■「喫茶店」マキタカズオミ(elePHANTMoon)
他愛無い会話をする男女の元に返り血を浴びた女が。その店の奥には男が監禁されていて、金と引き換えに甚振られている。男は人を殺してしまい、その身内に囚われて報いを受けているのだった。
愛せない作品でした。共感は、しない事もない。でも強烈なイメージを残す為に暴力や生死を扱うのが個人的に大嫌いなので。尚且つ再演出来る作品を生むプロジェクトらしいですから、それでこれを選出するのはナシでしょう。これが末永く演じられて欲しいとは思いません。
■「ひとさまにみせるもんじゃない」中屋敷法仁(柿喰う客)
全国の鉄道でおっぱいをタッチングしている男。残る路線は極楽メトロのみ。しかしそこで出会った女子高生は何故かタッチングされずにスルーされた。Why?男はかつてその手が覚えた感触を頼りに、おっぱいをタッチングして自分の母親を探しているのだった。
バカバカしいねー。これは褒め言葉ですよ。どんなに陰鬱な時でもこんな話を聞かされたら笑うしかないじゃないですか。惜しむべきはキャスティング。6人中3人は良くて、1人はそこそこ、2人があちゃーって感じ。脚本の存在感に役者が負けちゃってる様に思えました。柿喰う客を数年越しで観ている身としては。
■「ソバージュばあさん」谷賢一(DULL-COLORED POP)
ドイツ軍に占領された町に、ソバージュ(野蛮人)ばあさんと呼ばれる人がいた。その家に駐留する事になるドイツ軍兵士の3人。1人は言葉が通じるものの、他2人は通じない。それでも何かが通じたり、通じた気がして勘違いだったり。そんな日々と、その終わり。
今回の趣旨にイチバン合った作品だと思いました。最も画が思い浮かんだのもこれでしたし。キャスティングも良し。これで決まっちゃうと上野さんは競泳水着の8月公演もあって大変でしょうが、是非そこはまぁ何とかして頂きたい。
グローブ・ジャングル
虚構の劇団
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2008/05/10 (土) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
当日券で!
座布団席でした。ので、お尻が痛くて何度も体勢を変えました。けど、面白かったので我慢して舞台のほうをちゃんと観ていました。値段以上のものをやってるとは思うんですけどねぇ。
2時間飽きない芝居を観たのは久々です。軽い笑いも爆笑もかなりの数が散りばめられているし、締める部分は締まっている。自分の周囲には年配の方が多くてですね。言ってしまえば身内なのかもしれないけど、その方々が時に声を出して笑ったり印象的な場面では感嘆の唸りをしていたり。扱っている題材は今の時世だけど、必ずしもその真ん中の世代の人々のみをターゲットにはしていない。観易いのは確かだと思います。
次回は早くも紀ノ国屋。チケットはいくらになるんだろうか。流石に5000円以上はまだ彼らには早いかなー。
ネタバレBOX
旗揚げ前準備公演「監視カメラが忘れたアリア」と主役コンビが同じなので、印象が似ているという声にも頷けます。でも実力的にも個性的にも、劇団が軌道に乗るまではこれでいいんじゃないでしょうか。渡辺さんは助演で光るタイプだし、小沢さんはいい意味で癖があるから時間を経て客側のニーズが出るまではその癖で遊べるポジションのほうが良さそう。地味ではあるものの(失礼だなぁ)、前回からの成長が見えたのは杉浦さんでした。微妙に出番も増えていたし。今回もまた同じ様な「突っ込んで来て空気を読んでない」という役柄ですが、前回はやっていて無理をしている様に見えました。今回はいい意味で楽になっていたかと。本人の成長と演出側でのすり合わせとの両方が起因しているのでしょうが。恐らくはそのポジションって彼にそもそもは向いていないのだと思います。かといって他の団員がやると「わざとらしさ」が出そうな気もするのです。良くも悪くもこなせてしまえそうで。でも彼だと「何とか出来る」という信憑性が沸く。上手い下手じゃなくて、もうこれは人柄の問題でしょうね。ああいう役は観る側がムカついたらまるで存在意義が変わってしまいますから。大事な役柄です。
あと、今回は大きく動く様なダンスの出てきたのが中盤以降だったのが印象深い。ちょうどその前くらいで住田がみんなに見え始めたので「あー、そしてまた見えなくなっちゃうんだろうな」と先読み出来てしまったのです。けれどその辺からダンスが入ったり要は動きで見せる部分が増えたので、見入っている内に先読みの事を忘れました。多分これも鴻上さんの計算の内でしょうね。くそー、まんまとしてやられた。
めんどくさい人
CENTER LINE
荻窪メガバックスシアター(東京都)
2008/05/22 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
めんどくさかった。
誰がめんどくさかったかと言えば、もうホント全員。そう来たか。当初「この人のめんどくささで話が進んでいくのだろう」と思われた主人公が、終盤には実はそんなにめんどくさい人じゃなかった様な錯覚さえ覚えました。あ、錯覚ですよ。この人も充分にめんどくさいですよ。その主人公以外はみんな誰かの事を思うあまり、行動に出たり焦れたりします。それこそがめんどう。究極な話、この世に人間が自分1人になったらきっとめんどうではなくなるのだろうなぁ。社会的生活を送るのは人間的であり、めんどうなんだなー。
佐伯さんは細い方ですねぇ。体のラインが綺麗で見とれてしまいました。風土さんのほうじゃないです、佳奈杷さんのほうです。
ネタバレBOX
演目の出来としては区間快速でしたかねぇ。各駅停車ではないものの、特急とは言い難い。でも所々で加速していたのです。その度に「さてどうなるか」と見守っていましたが、時に脱線したりしつつも結局の線路は環状線だったのかもしれません。いや、そうなんだ。日々の生活ってそんなもんだ。とはいえ、何処を観ても印象が同じって事になったら2時間近い芝居をやる意味がない。個人的に冒頭からしばらくの花恵と武藤の場面はかなり面白かったのです。MUとは違う雰囲気を醸し出していたので、何処に行き着くか読めなかった。正確には、面白いか面白くないか判断が付きかねた。いつ急にもっと面白くなるかもしれないし、もしかしたらこのドキドキのままあえて浮上させないで続くのかも…と期待。それと同時に「話を広げる為に3人目以降の新たな人物が登場するであろうし、その登場のさせ方で期待の答えが出るだろう」とも思っていました。で、いざ出てきて「んー…」となったのです。それ以降、段々とMU寄りになっていった気もします。
事前にブログにも記されていたのでここで記載してもいいのだと思いますが、脚本の上がりが遅かったのはやはり致命的要因の一つ。それによって稽古が思う様に進まなかったのは予想されるものの、芝居がそういう出来だったかといえばそこまで悪くない。むしろ途中で何度か執筆が途絶えたであろう脚本のほうへの問題を懸念。行き当たりばったりになってやる事を見失ったんじゃないだろうかと感じる部分が見え隠れしました。前後の流れ的にどうもしっくり来ない部分があるし、先へ進むほどに何か前提ルールみたいなものを無視していった様な。事実はどうあれ、少なくともそう見えました。
そんな事を言いつつも、1つ褒めます。めんどくさい話をしようとする相手に向かって札束を投げ付け、「自分がその話を買うからここではするな!」という件。あれはすごく良かったです。いつか実生活でやってみたい。
ジンジャーに乗って
快快
王子小劇場(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
HIP-HOPですよ、これは。
セグウェイに乗って何処に行くとか何をするっていう明確な目的はなくて、ないからこそ乗ったら何か起きるんじゃないかという動機で作られています。なので物語はない。その瞬間に目の前で起きている事を観る為のもの。そしてそれは即座に過去へと変わる。まぁ、それだけですね。ホントそれだけ。ある意味もの凄いネタバレだし、観ないとその意味は分からない。気になる人は観ればいい。
またもやたらと動き回るし、暴れてくれます。演出的にはまたも日々ドンドン変わっているらしく、初日とはもう既に別物だそうです。なので今の時点でオススメの部分を記しても、明日にはもうその部分がなくなってるかもしれません。
ネタバレBOX
IKZOの登場に、ニンマリ。イッツジャパニーズヒップホップ。
池野さんは今回初めて見た役者だったんですが、彼はかなり踊れる人ですね。そもそもそっちを先に始めたのかな?いい武器を持っていると思いました。あと前日にDVDで「MY NAME IS I LOVE YOU」を見たんですが、大道寺さんは過去に比べて体のキレが良くなっているみたいですね。で、その「MY NAME IS I LOVE YOU」。帰りに物販の辺りで天野さんが他の客にもにょもにょっとした情報を漏らしていたのを耳にしました。ほほう。
あ、そうだ。ニ幕でシノダさんがこーじさんの足を踏んでました。