byassistの観てきた!クチコミ一覧

761-780件 / 841件中
金曜日、白井家の場合 ~せいのでインを踏め!~

金曜日、白井家の場合 ~せいのでインを踏め!~

キ上の空論

新宿眼科画廊(東京都)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/18 (水)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2015/02/13 (金)

白井家は一男三女。既に働いている長男・長女。高校生の次女。中学生の三女。両親は再婚同士で、三女だけが母親の連れ子。他の兄姉とは血の繋がりがありません。
こんな家族構成の子供たちが、外に向かっては不倫・登校拒否…。内に向かっては、血の繋がりが無くても家族・血の繋がりがあっても…。
1時間10分という短い上演時間の中で、白井家の一男三女各々のエピソードが、ラップのリズムに乗って交互に、あるいは、重なって、時制を越えて前後して・繰り返して語られていきます。そして最後には意外な結末が…。

週末金曜日の午後7時半開演。場所は新宿、のせいか、小劇団系の芝居にしては珍しく、老・壮・若、男女の比率、バランスが取れた広い客層。でぇ、そんな観客の誰もがストーリーの何処かで自分と重なる部分もあるだろうおはなし、でした。

東京虹子、7つの後悔

東京虹子、7つの後悔

キ上の空論

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2015/09/03 (木) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

キ上の空論さんとは何かご縁でもあるらしく、立ち上げ公演の『空想、甚だ濃いめのブルー』から『赤い下着、覗くその向こう側、赤の歪み』『金曜日、白井家の場合 ~せいのでインを踏め!~』と過去の作品全て拝見する機会に恵まれました。
でぇ、今回は『東京虹子、7つの後悔』…青・赤・白の次は七色の虹で来るとは(笑)!

ネタバレBOX

母の死をきっかけに、叔母・ナツに引き取られ、大好きな田舎町を離れて東京で暮らす事になった、13歳の少女・虹子。
東京にも・ナツにも…新しい環境に馴染めずに吃音症を患った中学時代。
やがて高校に進み・卒業して・大人になって・出版社に勤め出し・そして、子持ちの男性との結婚…その半生の折々に、相手に伝えられなかったコトバや後悔を抱えていく虹子…。

空虚にだだっ広い、四角いアクティングエリアの中、「ヒロインの虹子」「虹子の結婚相手の連れ子の娘」二役を演じる斉藤ゆきさんを初め、登場する役者の皆さんの抑制の効いた演技。音楽・音響に照明が醸し出す蒼い月の光に照らされたような静寂。二つが合わさって、一人の女性の走馬灯のようなストーリーを、細氷(さい ひょう)を飛ばしながら更に透明に磨き上げていくように感じられ…気がつくと、舞台にのめりこんでいました。そして、ラスト近くの、あるシーンからは、ええ歳こいたオッサンでさえ、不覚にも涙腺に来ました。

キ上の空論さんの集大成かなあと思った程、感慨深い舞台でした。
乱痴気17『坊's WAR頭SUN(さん)〜わらわはうぬに近付かない〜』

乱痴気17『坊's WAR頭SUN(さん)〜わらわはうぬに近付かない〜』

乱痴気STARTER

Geki地下Liberty(東京都)

2017/03/14 (火) ~ 2017/03/19 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/14 (火)

初日の緊張感による消耗からか、終盤、兄役の相葉悠樹さんに「神」ならぬ「噛み」が宿ってしまったことはご愛敬として…観終わっての率直な印象は、前作の『坊's WAR頭2〜神々のオフ会〜』と比べて、パワーダウンしたかな?と。今宵も前説で引っ込んでしまった、Maftyさん不在の穴、感じさせられました。

あと、作品からは離れた話題になりますが、当日の受付から会場案内までの(今、流行りの言い方だと)「観客ファースト」な応対、今宵も拝見させてもらいました。
乱痴気STARTERさんなり、アフリカ座さんの公演にお邪魔させてもらう都度、舞台は本編だけでなく、客入れ・客出しまで含めての評価なんだということを再認識させられます。映画の入場料と比べて決して安いとはいえないチケット代ですが、今回もキッチリ?元を取ることはできたようです。ありがとうございました。

ヘヤノゾキ

ヘヤノゾキ

アフリカ座

TACCS1179(東京都)

2016/07/15 (金) ~ 2016/07/19 (火)公演終了

満足度★★★

現役&元AV女優の出演をウリにしている舞台ということで、いささか先入観を持って、下落合に足を運んでみたが…どうして・どうして!皆さん、キッチリと・真剣に・とはいえ何処か愉しんでもおられるように演じている様子、観ている側も微笑ましい気分になりました。とりわけ、ヒロイン役の若林美保さん、コメディリリーフ的役柄のsayakaさんの演技には感心させられました。
一方、本業の舞台女優の方は、初見の「昭和顔」樋田優花さんが印象に残りました。

軽やかな初夏の風とやわらかな幻のための3つの短編集

軽やかな初夏の風とやわらかな幻のための3つの短編集

EgHOST

オメガ東京(東京都)

2016/05/30 (月) ~ 2016/05/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/05/30 (月)

朝からの雨がポツポツと止まぬ荻窪まで足を伸ばして観て来ました(以下、ネタバレboxにて)。

ネタバレBOX

最初は、夏目漱石原作の『夢十夜 ~第一夜~』。
死んでいった女の墓を見守り続ける男。しかし、気の遠くなるほどの歳月を経ていくうち、本当にそこに埋められているのかさえ定かではなくなり…といった幻想的なテイストの作品。
「女」を演ずる児玉華奈さんが演出上の指示なのか、かすれ気味の小さな声でセリフを喋るので、聞き漏らすまい!と踏ん張った分、いささかストレスを感じましたが…悠久の時の流れを表現する、巧みなライティングに映し出された児玉さんの「女」と、ぜんさん演ずる「男」の佇まい、まるで幽玄の世界の住人のよう!
今宵の3つの短編の中で、個人的には一番好みの作品でした。

二番手は、山川方夫(まさお)の原作をベースにした『予感』。
精神科の女医(演・竹田真季さん)がふとしたことから若い男性患者(黒澤正さん)を連れ立って、別れた夫(西原譲治さん)が運転する観光バスの乗客に…と突然、若い患者が叫び出します。「このバス、転落するから降りましょう!」
竹田さん扮する女医の快活な語りで終始リードされるこのものがたり。まさか、こんな結末とは!と驚かされた作品でした。

最後は、EgHOSTさんオリジナルの『ヴァルプルギスの羊』。
娼婦の少女キティ(大島朋恵さん)を中心とするストーリーは、この団体さんの作品らしく、往年のフランス映画(それともイタリア?)観ているような気分に♪
それから、キティが大切にしている羊のぬいぐるみ?ジジーが踊るシーン。演ずる仲村弥生さん、個人的に、四コマ漫画を描く方、と認識していたもんで、バレエの経験もある女優さんだと知って、びっくりぽん!!
ただ、この羊のジジーの位置づけ、オイラには理解がちょい及ばなかったデス(汗)

以上、毛色の異なる3本の短編集、それぞれに堪能させてもらった、良い宵の時間でした、とさ♪
そぞろの民

そぞろの民

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2015/09/11 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

TRASHMASTERS(トラッシュマスターズ)さん、初体験となる『そぞろの民』(2時間半)(後はネタバレboxにて)。

ネタバレBOX

父と三兄弟、そして、この芝居に出て来る登場人物達は、それぞれ、戦後から今現在に至るまでの、様々な世代・考えの「日本人」を象徴しています。
かなり作者の政治的プロパガンダ(主張)の強い内容で、登場人物のセリフに対して、アレルギーを起こした観客も、少なからず、おられたようです。
また、沖縄基地問題やマスコミと政治の癒着等、民主主義社会における様々な今日的課題が提示されたのですが、2時間半の舞台の中で盛り込むには、ちょい「幕の内弁当」的で、話題が散漫になったかな?とも感じられました。
しかしながら、こうした、普段、私達の日常生活で語られることのない話題について、やや押しつけがましいものの(苦笑)「重厚な家庭のドラマ」として成立させた脚本家の力量、高く評価されるべきだと考えます。
恋愛とか夢とか心の機微を扱った芝居も、もちろん大切だと思いますが、本作品のような問題提起型の舞台、もっと多くの人達、特に、実社会を動かしている中高年層に、是非、観てもらいたいなあ、と願わずにいられませんでした。
岸田國士 短編四作品上演

岸田國士 短編四作品上演

劇 えうれか

ギャラリー・ルデコ 5(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2015/12/10 (木)

大女優・岸田今日子さんのお父君、個性派俳優・岸田森さんのご親族、そして文学座の創設者でもある、脚本家・岸田國士(くにお)さんの戯曲、渋谷の街で観て来ました。
(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

ある男性を巡る、令嬢二人の品位を保った恋のさや当て
「ヂアロオグ・プランタニエ」

夜汽車に身を投げるつもりの、自殺志願者二人が鉢合わせ。互いの悲しみを言い募るうち、いつしか…
「命を弄ぶ男ふたり」

出勤支度で慌しい朝の時間だというのに、自分が見たという夢の話を延々と語る夫。
そんな夫に呆れつつも、笑みを絶やさず、相手を務める細君であった…
「ぶらんこ」

月明かりの下、寄せては引く波の音だけが静かに響く海岸の砂浜。互いに思いを抱く若い男女はプライドだと思い込んでいる気持ちが邪魔をして、どうしても本心を打ち明けられず…
「恋愛恐怖病」

計4本の短編を休憩をはさんでの2時間強。簡素な小道具・セットに、一話を除いて遊びもない素の芝居。お気楽気分で観に来たんですが、役者さん達の真剣勝負の雰囲気に飲まれ、観終わった後、ツカレタ・憑かれた!夜の渋谷の街を歩きながら、アタマを現世に切り替えるのに、いささか難儀しました(苦笑)

ド素人の分際で、個々の役者さんの演技に関して、述べるのもおこがましいのですが、年長者として、ひと言だけ。
当時の若い女性が話す山の手コトバ。先だってご逝去された原節子さんを初め、久我美子さん、河内(こうち)桃子さんといったあたりの、1930~50年代の銀幕のスターたちの現代劇での話しぶり、邦画で確かめてみては如何でしょう?
蝶のやうな私の郷愁

蝶のやうな私の郷愁

劇 えうれか

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2014/09/10 (水)

渋谷ヒカリエの5階、茶庭 然花抄院(ぜんかしょういん)で「京のぶぶ膳」ささっとかけこんでから、明治通りを南へちょこちょこ。とあるビルに入って、エレベーターで4階に上がったら…ハーモニカの奏でる童謡のメロディが耳に流れてきました。
まさしく4畳半に敷かれた畳に、ちゃぶ台がポツン。その端には衣装ダンスが横並びに2さお。それに寄りかかったまま動かない、華奢な背中のパジャマ姿の女性…(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

夫が帰宅すると、夫婦の間で、淡々と続くテニスのラリーのように、でも穏やかな口調とは裏腹な、二人の役者さんによる、言葉の真剣勝負が交わされるんです。
ろうそくが灯るだけの空間は、風雨で荒れ狂う部屋の外、無視するかのように、お通夜の晩のごとき静けさ。
その場には、夫と妻。そして、踏切事故で逝った妻の姉も、部屋の端にたたずんでいるように感じられます。
芝居が終わるまでの70分、これほど神経を研ぎ澄まして、互いのセリフに集中を強いられたのは初めての経験でした。
小林英樹さんに花村雅子さん、お二人の役者さんの力演に心からお礼申し上げます。
朗読公演 『アラカルト』

朗読公演 『アラカルト』

劇団C2

ラ・グロット(東京都)

2016/11/12 (土) ~ 2016/11/13 (日)公演終了

満足度★★★

演目のうち、美術教師の父親と娘の話。
亡くなる、ほんの間際までぎこちなかった、実父との関係に思いが至り、不意打ちを喰らったように胸に応えました(どんな顔して聴いてるべきか、エラい困り果てました、苦笑)。

気になった点。今回に限らず、なんですけど、複数の語り手が一人1話ずつ語る形式の朗読会って、指導者(演出家)が同じ方のせいか、どうしても、出て来る語り手が皆、似たような語り口になりがちかと。たとえるならば、フランス料理のフルコース、全て同じソースで味付けられた料理を出されたら、一皿一皿がどんなに味わい深くても、終いには単調で飽きが来る…ように感じられます。
もし出来得るのならば、寄席の落語家、とまではいきませんが、もっと語り手個々の色合い、出してもらいたいかなぁ~。でなきゃ、語り手がリレーしていく意味が無い!と思いますんで。

つややかに焦げてゆく

つややかに焦げてゆく

Antikame?

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2016/11/10 (木) ~ 2016/11/14 (月)公演終了

満足度★★★

少なからぬ観客が、あまりの単調さ?に、ついウトウトとしてしまっていた舞台です。
まっ、確かに、劇伴・効果音は古いレコードに針を落としたような、静かなノイズ混じりの音を想起させ、照明も主だったシーンでは、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』的な一点スポット。自分も前夜、充分に睡眠を取ってなければ、あるいは?な雰囲気でした(苦笑)
ただ、あえて、そうした環境を設定し、セットは椅子4脚のみ。セリフの大半は、2ウェイコミュニケーションも覚束ない独り語り。各場面間のつなぎとして、傘をさしているので、互いの顔さえ分からない見知らぬヒト同士が行き交う、雨降る、渋谷スクランブル交差点のシーンを挿入…作者の意図、自分なりに察せられました。

まるで田舎の旅館の一室で、隣りの部屋から漏れ聞こえてくる、相手がいるのかどうかも定かではない、ピロートークに耳を傾ける…そんな感じの2時間20分でした。

あっ!あと大塚由祈子さんの演技、じっくり観れたのは収穫でしたよ♪

恋の死とその幽霊

恋の死とその幽霊

アムリタ

荻窪小劇場(東京都)

2016/11/03 (木) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★

三島由紀夫の戯曲集『近代能楽集』のうち、『卒塔婆小町』にインスパイヤされた作品。時空を超越した幽玄の境地に賛辞を惜しまない、他の芝居観巧者の皆さんのツイッターでのご意見とは異なり、オイラの感想は「あまりの単調さに、ついウトウトとしてしまいました」。
主演の永渕沙弥(ながふち・さや)さんの透明感だけが収穫だった舞台。

スコノキセキカク

スコノキセキカク

菱路コネクト

新宿文化センター(東京都)

2017/03/12 (日) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/12 (日)

新宿演劇祭参加作品ということで、1回だけの公演、セット無しの素の舞台、等の制約の中、きっちりした骨組みの芝居を見せて頂いたと思います。
ただし…昨年10月に『フーとスリンと祷りの倣わし』を観た者には、既視感が半端なかったことも付記しておきます。

役者陣は、一発勝負故の緊張感からか、台詞を噛む場面も何か所か見受けられたものの、総じて好演。とりわけ、ヒロインの海棠凛さん。『フーと…』でも感じたことだが、フォークロアなストーリーとの相性(それとも、互いに影響し合うという意味合いでケミストリーかな?)がいいな、と再認識いたしました。

フーとスリンと祷りの倣わし

フーとスリンと祷りの倣わし

菱路コネクト

劇場HOPE(東京都)

2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★

初めて拝見した、菱路(ひしみち)コネクトさんの作品。
国境沿いの村を追われることとなる異教徒たちのものがたりだが、ストレートプレイとはいえ、西欧風の民族ダンスとクラッピングでつづる、異色の、そして、ささやかな叙事詩の趣き。
演じる若いキャストの皆さんの表情が、とても眩しく感じられた90分でした。

根も葉も漬けて

根も葉も漬けて

やみ・あがりシアター

中野スタジオあくとれ(東京都)

2017/03/09 (木) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/12 (日)

やみ・あがりシアターさんとのファーストコンタクトとなる本作品。95分という中途半端な上演時間に繰り広げられたのは…(以下、ネタバレboxにて)

ネタバレBOX

売れない漫才師・青柳(演・島田洋樹さん)は「花の漬け物」というコトバを口にすると、相方(小野冬樹さん)共々、現実世界から、「花の漬け物」が盛られた皿が置かれたちゃぶ台を囲む、両親・妹・祖母との「疑似」家族団らんの場に飛ばされ、その度に、現実世界で起きた出来事がリセットされていく…という、無限ループに陥ります。
このループの仕組みに気づいた青柳は、現実世界で不都合が生じる度に、「疑似」家族団らんの場に逃避→現実世界へ帰還→リセットされた現実世界で都合の良い方向へと行動を変える、を繰り返し、現実世界で一定の成功を収めていきます。
しかし、ループの乱用は、やがて青柳の心身に歪みを生じさせ…と書いていくと、何やらシリアスなSFホラーなように取られかねませんが、実際は、青柳の先輩芸能人たちや、相方・柏木のカノジョの言動で笑いを取る、コメディな場面の多い芝居です。

役者陣。
青柳の先輩芸能人たち、とりわけ「ハラッパ姉さん」役の依田玲奈さんが立て続けに披露する一発芸は、お世辞抜きで、これだけでチケット代のもとが取れる、特筆モノのクスクス・ゲラゲラ!
また、加藤睦望さん演じる相方・柏木のカノジョの存在も、劇中の良きアクセントとなっていたと思います。

最後に、思い出したように言いますが、こんな妙ちくりんなストーリーを考え出した作者の脳みその中をいっぺん拝ませてもらいたい…と凡人の観劇おじさんはつくづく感心しまくりでした、とさ♪
これは中型の犬ですか?

これは中型の犬ですか?

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/10 (金)

主演の田代尚子さんが映ったフライヤーの雰囲気に誘われて観に行きました(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

姓がイヌイなのに、生まれてから一度も犬を見たことがないマユコ(演・田代尚子さん)。そんなマユコを軸に「マユコと、その家族」「マユコと、彼女の職場の上司・同僚」「マユコとその友人たち」の3つのパートをグルグル回っていく進行。

マユコの設定(犬の存在を知らない)からして不条理そのものなんですが、家庭にも・職場にも・友人たちの中にも、マユコ以上に不条理かつトボケた人たちを配置。シュールな会話に徹しながらも、何処か、ふわっとした感覚の80分のコメディに仕上がっています。

なお、個人的には、職場パートでの

田代さんのボケと、同僚役・石澤美和さんのツッコミの掛け合い

呑気な社長、しっかり者の社長令嬢、冗談みたいな女性部長、仕事以外の事にこだわりを持つ課長、唯一マトモな係長、等が醸し出す、東宝「社長シリーズ」の21世紀版みたいな雰囲気

に好感が持てました。

テレビのチャンネルのザッピングのように、目まぐるしく切り替わっていく各パート。それ故、観客の関心は常に舞台に惹きつけられたまま…ゴメンナサイ!昭和生まれのオッサンだけ?は、最後の方になると、作品のテンポに慣れてしまい、少しダルくなってきたこと、正直に白状します。
まっ、そうはいっても充分に愉しめました。あひるなんちゃらさん、次回作も是非観に行きたいと思います。
Rabbit Hole

Rabbit Hole

Rabbit Hole

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/03/09 (木) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★

淡々と進んでいく2時間(途中休憩10分間あり)。(以下、ネタバレboxにて)

ネタバレBOX

幼い我が子を失った夫婦の、心の空白を題材にした作品だが、コレ、日本の若い作家さんが書くと、登場人物たちを派手に泣きわめくよう仕向けるんだろうなぁ。でも、目の前の舞台では、気持ちの行き違いが招く相互不信や虚無感のさまを、努めて冷静にスケッチしているような描写が続きます。
そしてラストシーンでは、あまりにもさりげない仕草で、夫婦の「再生」の兆しを表現します(終演後の拍手にやや間があった感じがしたのは、アレでラストと認識していない観客が少なからず存在していたのかな?と推察しました)。
アメリカ戯曲の日本での上演、派手な演出・劇伴・照明といった「うまみ調味料」をふりかけた作品、少なからず目にしたことはありますが、今宵の『Rabbit Hole』は素材(脚本)の風味を活かした薄味の調理かな。私は素直に好みの舞台でした。

なお、役者さんに関しては、当方、観劇オジさん故、どうしても男性目線で観てしまうせいもあるが、ラスト近くまで、何処かうつむき加減な姿に映った、(ヒロインの夫)法司役・青木孝裕さんにシンパシーを感じました。

あと、最後に一点。この『Rabitte Hole』という作品。確かに、現代の東京ならば、さほど違和感はないかもしれないが、設定を米国から日本は移し替えなくてもよかったのでは?と、小川友子さん演ずるヒロインの母・夏の、プロテスタントな内容のセリフに触れる度に感じたことを付記しておきます。
未亡人の一年

未亡人の一年

シンクロ少女

ザ・スズナリ(東京都)

2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/08 (水)

3年前に夫を亡くした女流作家「先生」と、その「お母さん」。母の「兄さん」。家政夫の、バツイチ・中年男性「アカギ」。女流作家の親友「エリ」。

以前に夫を亡くした「ミツコ」と、娘の中学生「キホ」。「ミツコ」の親友「ハナ」に、「ハナ」の彼氏「セイ」。「ミツコ」や「キホ」と交流のある、前妻に先立たれた夫「ヒロシ」、若い後妻の「シズカ」、前妻の子・大学生の「ソノヤ」の一家。

これら2つのグループを交互に描きながら、おはなしは進行していきます。

グループの関連を暗示するような伏線を輪唱…いやカノンのようなセリフ回しで張りつつも、基調は終始ノンビリムードで、客席から笑い声も聞こえて来る前半。

ですが、そうした雰囲気も、一連の伏線に象徴される、作劇上の「仕掛け」が観客に明らかになった終盤からは…隣りの女性客の嗚咽が止まりません。オッサンのオイラですら、ワサビが鼻にツーン、な心持ちになりましたし。

随分と凝った作りの「理」の芝居だと思います。ですが、「理」に勝ち過ぎず、(「ミツコ」の考えに共感できるかどうかはさておき)内容自体はわかりやすい。そして、ラストシーンで、観客の皮膚感覚に伝わってくる「情感」…。
個人的嗜好で恐縮ですが、良い舞台を見せてもらったと感謝しています。

おっと、最後の最後で蛇足をひとこと!昨年の『量子的な彼女』での「部活の顧問」役以上に、どうしようもなく情けない…でも、どこかシンパシーを覚える(苦笑)、とある役柄を熱演の横手慎太郎さんにも感謝デス!

リーディング公演「ふたり」

リーディング公演「ふたり」

制作「山口ちはる」プロデュース

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2017/03/04 (土) ~ 2017/04/23 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/04 (土)

初日4日・午後7時の回を観劇。雑感のみ触れると…

ボーイ・ミーツ・ガールなテイストの『あいちゃん』。
ボーイ…といっても、大学生の先輩(演・安楽信顕さん)・後輩(尾﨑菜奈さん)なんですけど、ヒロインの他、様々なタイプの女性を演じる尾﨑さんと、そんな彼女の良さを引き出す安楽さん、お二人のやり取りを微笑ましく拝見させてもらいました。

『環八の雨』。
都内を走る環状八号線を舞台にしつつも、心象風景的なおはなしなんですが、聴いているうちに…「土砂降りの深夜、サービス残業で疲れた身体をタクシーの後部座席に委ねて帰宅中の、若い頃の自分」という、おはなしとは関係のない、リアルな過去の記憶が勝手に頭に浮かんでしまい…ゴメンナサイ!

『ガチガチ桜まんじゅう』、コレ、説明できません(笑)。
役者でもある作者の小林光さんの『息が苦しくなるほどに跳ぶ』『私はスター』『私と彼氏とその彼女』で拝見したテンション急上昇な演技、目の当たりにしているような錯覚に囚われました。

最後の『千に晴れる』。
吉祥寺シアターでの『さらば箱舟』以来、関係する舞台を何本も拝見させてもらっている倉本朋幸さんの作。テイストというか・質感というか・伝わってくる体温というか、充分、存じ上げているのですが、今回の、長女と、母・妹とのやり取り…
芝居、観終わって…いや、聴き終わってから思いました。まだ両親のどちらかでも存命だったら、オイラ、たぶん、電話したかもなぁ、っと。

おやすみ、コッペリア

おやすみ、コッペリア

salty rock

荻窪小劇場(東京都)

2015/11/26 (木) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2015/11/26 (木)

昨夜(26日)荻窪で、(ラーメンも食べずに、笑)観てきた、salty rockさんの『おやすみ、コッペリア』。
初日の、しかも最初の舞台なもんで、内容、極めてオーラフに言うと…(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

捨て犬を拾ってきて飼うほどの「感情」を持っ、機械人間・ニルギリ。
そんな「彼」に、愛飲の紅茶(「ニルギリ」は香り高い茶葉です)の名をつけたロボット工学の博士は既に不慮の死を遂げ、現在のニルギリは、母親と同じく科学者となった娘と平穏な日々を過ごしていた。
しかし、ある日、政府機関の人間が、娘とニルギリの下を訪れ…

「平穏な日々」を過ごすニルギリには、実は、政府機関に命ぜられるまま、暗殺を遂行していた、忌まわしい過去があったのですが、開発者の博士(母親の方)によって、記憶?を消去されていたのです。
しかし、政府機関の人間が再び姿を現したことで、「彼」は自分の過去の行いを結果的に知ることになります。
そのことで苦悩するニルギリを中心に、周囲の人々の葛藤を描いた100分弱。
全体にノーブルな…気品漂う作品ですが、ヘンに高尚で難解になることなく、スンナリ物語世界に入り込める、判りやすい舞台でした。
浄罪、もしくは余りに強欲な寄生木

浄罪、もしくは余りに強欲な寄生木

salty rock

遊空間がざびぃ(東京都)

2014/08/28 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2014/08/31 (日)

今月、予定外にリピートになった舞台です。
30日の夜に観て、24時間置かずに今日(31日)のお昼にもう一度!(後はネタバレboxにて)

ネタバレBOX

北欧神話の主神オーディンの子・バルドル。光の神である彼は、母フリッグ、恋人のナンナを初め、世界中の誰からも愛される存在だった。しかし、そんなバルドル自身が心穏やかにいられるのは、無垢な精神のまま成長した寄生木(ヤドリギ)の精?のもとで過ごすときだけだった。
ある日、悪夢にうなされるバルドル。心配したフリッグは、世界中の全てのものにバルドルに危害を加えぬよう誓わせた。無力・無害と思われたヤドリギを除いて…。

バルドルの弟ヘズ。何故か記憶を失ったまま、囚われの身。
邪神ロキの手引きで、監獄から解き放たれるも、行く当てもなく、ただ彷徨(さまよ)うばかり。だが、少女ヴァーリとの出逢いをきっかけに、ヘズの前にも、ようやく光が射し込めた、かにみえたのだが…

この芝居のモチーフは、いわゆる「バルドルの夢」という、北欧神話では有名なエピソード。ところが、このエピソードを知っているオイラでも、お話の展開、途中まで捕捉困難な場面がありました。他にも色々と考えるところがあって、こりゃ、おかわりしなくちゃ!と思ったのが、今回のリピート観劇。でぇ、日曜のお昼、再度、端から拝見したうえでの感想は…

【感想・その1】
ヤドリギ役の山田佳奈さんの演技が抜きん出ている!確かに、山田さん、技術のある方なんですが、それだけでなく、他の出演者が緩急に乏しい・一本調子のセリフを(役者本人の考え? 演出の指示?)繰り出しているせいで、彼女の静的演技が際立って、観客の目には映っていたようです。

【感想・その2】
観客席の後方で、時折、役者が演じてみせるパントマイム(☜他の方の感想より)、観客には理解不能…というより、途中まで気づかれもしなかった模様。もっと広い会場で、観客の目前で披露したならば、意味合い、ないしは、雰囲気、察してもらえたのでは?

【感想・その3】
北欧神話に関しては、劇の冒頭、「語り手」による説明があったのですが、それも含めて、バルドル・ヘズ兄弟のことや、恋人ナンナ(☜実は二重人格)に関してなど、パンフレットに文章で記載された方が良かったかも?
決して馴染みのあるとは言えない話。観客の層も様々なので、どのレベルをターゲットにするのかは難しいとは思いますが、今後の動員を勘案なされるのであれば、もっと親切に!と願わずにはいられません。

【最後に】
脚本・演出の方が、この芝居に、いかに心を砕いておられるのか、薄らとですが、気づかされました。正直言うと、初回は席を蹴って!の気分だったのですが、再び(初回とはトイ面とはいえ)客席に腰を降ろしたところをみると、細かいところに目をつむれば、どうやら手の合う傾向のお芝居のようでした。次回作に期待いたします。

このページのQRコードです。

拡大