MINoの観てきた!クチコミ一覧

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ハリウッド版 ラ・ラ・ランド ザ・ステージ

ハリウッド版 ラ・ラ・ランド ザ・ステージ

パルコ・プロデュース

東京国際フォーラム ホールA(東京都)

2022/08/18 (木) ~ 2022/08/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

13、000円のS席(15列目上手側ブロック)で鑑賞。
途中休憩20分を含めて2時間半のステージだが、はっきり言って始まって30分程度でもうがっかり。
既存のフィルム・コンサートとは一線を画すとの触れ込みだったが、80名超のフルオーケストラと60名の合唱団による演奏も、最近の音響効果が進歩した映画館と比較すればそれほどの迫力は感じないし、12名のダンサーにしても、ダンス・テクニックの点でも(さらにカメラワークの効果も加味すれば)どうしてもスクリーンで上映されている映画本編の方に目がいってしまう。売り物のひとつだった花火にしても2つのシーンでステージ両脇で3m程度の高さの火花があがるだけで、それほどスゴイとも感じない。

これで13,000円とは何たるぼったくり!

第74回「a・la・ALA・Live」

第74回「a・la・ALA・Live」

a・la・ALA・Live

内幸町ホール(東京都)

2022/08/09 (火) ~ 2022/08/09 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/08/09 (火) 19:00

様々なジャンルのパフォーマンスが一堂に会し、それらのパフォーマンスの間に連作の短編芝居を挟み込むという形態の「a・la・ALA・Live」は今年で15周年、今回で74回目となる。以前は江戸川橋の絵空箱が会場だったのだが、最近は大きな空間に進出したようで、前回公演は250~300人が入れる座・高円寺2、そして今回は内幸町ホールでの開催だ。

私が観たのは夜の回だったのだが、188人というキャパを持つ内幸町ホールの客席には20人前後しか入っていない。確かにコロナ感染対策としては十分すぎる間隔がとれるし、贅沢といえば贅沢この上ないものの、これで興行として成り立つんだろうかと心配になってくる。昼の回はどのくらいの客が入っていたのだろう。

今回の出演者はパントマイムの清水きよし、マリンバデュオのReon(りおん)、江戸太神楽の十三代家元が率いる丸一仙翁社中から仙若・鈴仙・若遥、そしてこれらに主宰の荒山昌子とポップンマッシュルームチキン野郎の増田赤カブトがコンビを組むあらやますだが短編芝居を挟み込む予定だったのだが、増田の体調不良で急遽荒山が一人芝居で演じることになったという。実は今回はこの増田こそ観たかった最右翼だっただけに残念。

清水のパントマイムの1本は「凧あげ」とタイトルが付いているので、われわれ世代にはよくわかるのだが、今の若い人には何をやっているのかよくわからないのではないか。
マリンバデュオは国立音大出身の伊藤碧と渡邊まやの2人が1台のマリンバを演奏するスタイルなのだが、実は私はマリンバの国際コンクールで優勝したことのある30代前半の奏者と知人であり彼女の演奏をよく聴いているので、申し訳ないがさほど感銘をうけなかったし、内容的にも物足りなかった。
江戸太神楽も(夫婦と息子という感じだったが、違うのかもしれない)どことなくぎこちなさが感じられた。
そして荒山の一人芝居だが、増田の降板が急なものだったことはあるものの、不完全さが目についた。せめて声を使い分ける程度のことはやってほしかった。

カーテンコールではタブレッドを使って増田の挨拶も加わったが、久々に増田の動いている姿を見れたのは嬉しかった。
定刻の開演からカーテンコールが終わるまで110分程度。

売春捜査官

売春捜査官

natsuki produce

シアター711(東京都)

2022/08/03 (水) ~ 2022/08/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/08/04 (木) 19:00

女優・水野奈月のクラウド・ファンディングによる自主公演。つかこうへいの作品をナイーブスカンパニーの高橋広大が脚色・演出。高橋広大は3月にも月海舞由主演でこの作品を手掛けているが、こちらは未見。

篠原功・森大・新原武の3人は素晴らしいが、水野にそれを圧倒するだけの力がない。
台本も手を入れ過ぎ。水野を際立たせるために伝兵衛と熊田の情愛にも多くの比重をかけたのかもしれないが、水野の成長のためにも、つかのオリジナルに真正面から取り組むべきではなかったろうか。
上演時間1時間45分。

ダイバシティーファミリー

ダイバシティーファミリー

A.R.P

小劇場B1(東京都)

2022/08/03 (水) ~ 2022/08/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/08/03 (水) 19:00

初めに誤解を解いておきたい。「観たい!」への書き込みを拝見していると幾人かの人が青木ヶ原の樹海を迷い込んだら二度と出てこれない場所と思っておられるようだが、現在では青木ヶ原は観光スポットなのだ。遊歩道があり、遊歩道から外れない限りは一度入ったら出られないような恐ろしい場所ではないし、樹海の中でキャンプする人たちさえいる。近年はそうした観光者によるゴミのポイ捨てに加え、外部から持ち込まれた粗大ゴミや産業廃棄物の不法投棄も多く、これらのゴミは地元住民が定期的に始末しているのだという。従ってそういう際に遺書が発見されることもあるし、遊歩道の傍で自殺する人さえいるそうだ。しかも後述するが、この作品の中では遺書がどうして発見されたかの説明もなされている。

開場して奇異に感じたのは、この劇場だと通常はL字形に客席が設置されているのだが、入口側の客席がなかったこと。が、開演時間になって遅れてきた客の席がなく、慌てて入口側にも客席を作り始め、かと思えば客が着席した後で最前列を外すために移動してもらったりとバタバタ。入口側に新設した客席もほとんど埋まってしまったのだが、予約数と客席数のチェックもしていなかったとは制作スタッフの不手際が甚だしい。で、開演時間に5分遅れで長男・カズヤ役のタカギマコトの前説が始まるが、これまた(場を和ませるためであろうが)不必要なことまで喋るので、結局10分以上遅れて開演。

【ネタバレBOXに続く】

ネタバレBOX

冒頭は激しい雨の中で戸惑う男女の短い場面から暗転し、住職の読経へとつながる。ギャンブルにはまっての借金を苦に失踪し、青木ヶ原で遺言書が見つかったものの(携帯電話のGPSデータをもとに捜したのだという)遺体は発見されず終いの父親・拓郎の七回忌ということで、自宅に家族全員が集まっているのだ。この場面で、三女・みかの恋人・滋に対する多少の怒気を含んだまま住職が帰るのだが、お布施を渡す気配さえないのはちょっと演出上の手抜かりだろう。この前後に集まっている家族たちの状況が手際よく説明されることで、その後の展開がわかりやすい。母親・さちこがこの七回忌を機に新しい人生を始めたいとマッチングアプリで出会った小浜を紹介したところで、親類のかえでから当の父親が生きているようだとの電話が入る。
探偵を使って探してみれば、その父親らしき男はショーパブで郷ひろみのモノマネをして人気のレッツゴーひろみであり、口数が少なく寡黙だった拓郎とは全く別人格のような男だった。

この拓郎を演じるHiBiKiはこれが初舞台だそうだが、ショーの場面ではだんだん郷ひろみに見えてくるから大したものだ。そこと家族と対する場面での無表情さのギャップも上手い。

笑いとしんみりさとのバランスが良く、楽しめる一作となっている。上演時間1時間45分。

余談ながら、開場4時間前から稼働させていたとのことで、前説やカーテンコールで度々触れられていたマッハガードという安定化二酸化塩素を噴霧して除菌する70万円の機械がヤケに気になった(笑)。
風のサインポール

風のサインポール

劇団俳優難民組合

下北沢 スターダスト(東京都)

2022/07/22 (金) ~ 2022/07/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/07/22 (金) 19:00

「観たい!」にも書いているが、4月に上演されたベンチシリーズ第1作の「いかけしごむ」はまず劇場となる3階にあがろうとして、2階の踊り場を過ぎてギョッとしたのは階段に犬の糞が落ちていたこと。が、よく見ると犬の糞に似せたもので、下から上に(3階に向かって)「いかけしごむ」と公演タイトルが形作られているのだ。片隅に黒く焼け焦げたような紙の燃えカスのようなものもある。事程左様に劇場に入る前からムード造りが秀逸で、開演を待つ間も子供の泣き声が流され(私は開演されるまで、それが劇場外から聞こえてくるものだとばかり思っていた)観応えのある舞台を創りあげていた。
今回はそのベンチシリーズ第2作。今回は変な仕掛けはないなと思いながら階段を上ると、入口手前の手すりが「立入禁止」のトラテープ(ポリスラインテープ)で塞がれていた(笑)。
客席と演技スペースとの間にもトラテープが張られ、奥にベンチがある。ベンチの横には床屋のサインポールが立てられ、ベンチの下にはホームベースがある。
やがて、客席前のトラテープが剝がされて開演。

【ネタバレBOXに続く】

ネタバレBOX

ユニフォームを着てベンチに座りラジオで野球中継を聴いている男。と、何度かリードをとりながら、ホームスチールよろしくヘッドスライディングで突進してきた男。この男こそ「熱海の盗塁王」と異名をとった男だった。やがてこの2人の男の因果が明らかになっていく。
サインポールが爆弾で赤と青のコードが延びておりそのどちらを切断すればいいのというおなじみの緊迫シーンも、そのコードの色がサインポールと同じ赤と青だというのが実にウマイ。

上演時間1時間強の不思議な味わいの作品だが、前回といい今回といい、ちょっとクセになりそうだ。
自亡自記

自亡自記

セツコの豪遊

新宿眼科画廊(東京都)

2022/07/29 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/07/31 (日) 16:00

このセツコの豪遊は劇団員が宮村だけという一人劇団だとのことだが、観るのは19年5月に代々木上原のIto・M・Studioで上演された「つぎとまります」に続いて2度目。
今回はコロナ禍再燃中ということもあって、一人だけでも公演ができるようにとスタッフワークも一人でやることにしたとのことで、開演前の挨拶の後、客席後方の場内照明のスイッチを切りに一旦ハケてから再度登場し、サンダルを脱いで開演。衣装はといえば、紺のTシャツとジャージーパンツ。

【ネタバレBOXに続く】

ネタバレBOX

開口一番の台詞は「どんな気持ちかわかりますか?」。実はこれは前回公演「I s」(19年8月)の中の台詞。いろいろと工夫した上で発した台詞だったのだが、アンケートに書かれていた「彼女は恋をしていない」という一文に衝撃を受け、今年のゴールデンウイークの初日からパソコンに向かって綴った「私の恋愛履歴、もとい黒歴史」が今回の作品となったのだという。

全編を通して割と早口なのだが、活舌と口跡が良く、聴きとりやすい。またその間の動作も考え尽くされたと思しき最小限のものだが、笑えてしまう。「青春真っ盛り」の反対語として自身が造ったという「茶秋どん底」という言葉が面白い。
上演時間35分強の作品だが、ずっと惹きつけておく力量はたいしたもの。

投げ銭方式の入場料で公演をうつ心意気には頭が下がるが、ただ、「黒歴史」というには大事な(?)一点が抜けている。中学生の時から飛び飛びにではあったものの自身の人生の半分の期間付き合ってきたジャニくんとイタしたのか、それともイタしていないのか、演劇教習所の卒業公演の時は役作りのために愛無きSEXをしたのか、もししたのだったらその時どういう心情が沸き上がったのか、である。まあそれとなく察しはできるのだが、それなくしては「黒歴史」たりえまい。
追憶ベイベー!

追憶ベイベー!

TOMOIKEプロデュース

駅前劇場(東京都)

2022/07/27 (水) ~ 2022/07/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/07/29 (金) 19:00

6年半前にシアター711で初演した作品(当時の団体名はチーム進火RONといったらしい)のリメイクだという。
全席が自由席だが、最後列の下手端に着座。
中央にイーゼルに立てられたキャンバスが置かれた舞台で、開演10分前から友池さん(主宰・友池一彦の役者としての名前)と根岸可蓮、えなえ、岡田竜二の4人によるプレトークが始まる。この中でえなえは降板した大森つばさの代役を急遽務めることとなって、1日で台詞を入れたのだという。

【ネタバレboxに続く】

ネタバレBOX

父親の葬儀の日、キャンバスに向かって一心に絵筆を動かすヒサオに弟・シンジが喪主の務めを果たせと責めたてる場面から物語が始まる。
一言でいえば隕石が落ちたことで生じた時空の歪みによってタイムスリップできるようになった男女によって引き起こされる大騒動の一日といったところ。
隕石の欠片を1個ずつ両手に持ってカチカチと打ち合わせればイメージした時間にタイムスリップできる、但し空間的には隕石が落下した近くにしか行けないという仕掛けだが、ただそうすると20年後からやってきたヒサオの娘はやはり20年後に同じ場所で隕石の落下に立ち会ったということになるのだろうか。
また落下したことで時空が歪むほどの隕石ならば相当に大きな密度であるはずだが、それだと簡単に割れはしないし、掌ほどの大きさの欠片でもかなり重いはず。
まぁそんなカタイことは抜きにすれば、タイム・パラドックスの問題も多少「?」な個所もあるものの、それほど気にならず、楽しめる内容になっている。スライドするパネルと照明とでタイムスリップを見せる仕組みもまずまず。タイムスリップが身体に与える負荷のために、移動直後には吐きそうになるということで生じる勘違いが面白い。
結局は劇中でも触れていたように「過去はそう簡単には変えることができない」ということだが、それでなお、うまく結末に持っていく手際は見事。

役者陣はいずれも上手い。AUBE GIRL'S STAGEのように舞台経験もないような人間を集めて公演を打ち、可愛いコ目当ての観客動員とグッズ売上げを図る団体があるから、受付近くでブロマイドなどを販売している公演では観劇前の期待感が萎えてしまうのだが、このTOMOIKEプロデュースに関しては女優陣がいずれも可愛いだけでなくてきちんと演技のできる人間を使っているのに好感が持てた。

上演時間110分。

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