実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/09/24 (土) 19:30
わが国でも何度か上演されているが、新訳版として翻訳し、令和の時代にあった言語感覚で「観やすい」古典として再構築し全編上演するという試みの「途中過程」としての公開だということだったが、はっきり言って今回のワークインプログレスを観た限りにおいては、何をしたいのかわからない。まともに正面から取り組みたいのか、コメディとして構成したいのか。
序盤において、台詞廻しがあまりにも大仰でわざとらしさに満ちており、ここでまず意欲が削がれる。
これだったら、明治大学が年に1回、全学をあげて取り組み上演している明治大学シェイクスピア・プロジェクトの方が、大学院生による翻訳も現代語を交えてわかりやすく、演技にしても演劇サークル以外の学生も参加している関係上から全員が上手いという訳ではないものの、観ていてすんなりと舞台世界に入っていける。
ただ、進行役と神父、そして妹アナベラの乳母を演じた東京ドム子は、私は初めて観たのだが、魅力的な役者だった。殊にジョバンニとアナベラが演じるラブシーンを舞台上手端に着席して観ている時の半ば陶然とした表情に心惹かれた。