銀河鉄道の夜 公演情報 東京演劇アンサンブル「銀河鉄道の夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/08/28 (日) 19:00

    この劇団の持ち劇場として以前武蔵関にあったブレヒトの芝居小屋で観た時とは別物と思えるほど印象が異なり、素晴らしい一夜の夢を見た。
    新宿の夏の風物詩のひとつに椿組が行なう花園神社野外公演があるように、この「銀河鉄道の夜」の野外公演も池袋の夏の風物詩となればいいなあ。

    初演以来40年というこの作品は初の劇化というのみならず、この劇団としての財産的な演目であり、毎年クリスマス期に上演されてきた。劇中音楽の作曲はオペラシアターこんにゃく座の座付き音楽監督・作曲家を務め、新藤兼人監督の映画音楽のほとんども担当した林光である。

    その「銀河鉄道の夜」は野外劇として上演されるのは20年ぶりだという。東京芸術劇場の前にある西口公園に野外劇場グローバルリングシアターが設置されて3年近くなるが、杮落とし公演は雨で断念したし、ここで演劇を観るのは初めての経験。
    ただ雨天でも傘を使用することはできないので雨合羽を持参せねばならず、前夜半から時折激しさを増す雨にどうしようか考えていたのだが、午後から雨もあがって雲量も50%程度に。池袋駅で降りて公演へ向かうと風が心地よく、数日前までの猛暑続きが嘘のように肌寒さすら感じさせる。

    (以下、ネタバレBOXに続く)

    ネタバレBOX

    メインとなる正面のステージから広場中央に設けられた円形ステージまで花道が繋がり、それだけでなく櫓等も機能的に使用され、映像・照明・噴水(もともと公園に設置されている噴水)をはじめ、公園両サイドの櫓から中央の円形ステージ上の役者(鳥捕り)めがけて鳥(鷺)が羽ばたきながら次々に飛んでくるといった仕掛けなど、宮沢賢治の世界を視覚を通して存分に楽しませる。

    役者陣は語り手・ジョバンニ・カンパルネラの3人以外は全員が額から鼻までを覆うマスクを着けている。そうすることでジョバンニとカンパルネラ2人の旅であることが強調されて伝わってくる。
    正面ステージ以外に目を向けると、周りのビル群の明かりやネオンが飛び込むし、都会の喧騒も耳に入ってくる。しかしそれが却って非日常の空間世界を際立たせる。ネオンにために星空は望めないものの、これはもうすっかり銀河を走る軽便鉄道の窓から見る外世界とも思える。

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    2022/08/29 06:13

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