Green(C)OPERA -グリーン・コッペラ-
劇団コスモル
OFF・OFFシアター(東京都)
2015/08/05 (水) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★
勿体なく、残念で…
脚本は面白いと思うが、演出と演技に難がある。実は腹立たしい思いもしている。
ネタバレBOX
ほぼ素舞台で、上手に大木をイメージさせるオブジェがある。これは芝居の展開から木霊であることが分かる。
物語は、中小企業(零細企業)に勤めていた男が、同僚の裏切りで会社をリストラされ、悲観して樹海で自殺…。その男の生前の思いなりが地球・自然環境も絡めた壮大観あるもの。我々は自然に生かされいる…その暗喩としての樹海・木霊と自然災害等を表現していた。
この表現(演出)には、憤りを感じた。舞台にブルーシートを敷いた時、嫌な予感がした。食べ物(リッツ)を口に含んで、噛み割った後吹き出す。また、ペットボトルの水を口に含んで霧吹き出す。さらには、火山噴火を表すため粉を吹き出す。それも1回づつではない。その吹き出しの方向(角度)の考慮配慮に欠け客席にもかかる。最前列に座っていた自分にも水が…。自分はまだ少量だったが中央席に近い方々はもっとであった。
地球環境などを説く前に飲食を大事にすべきであろう。小袋に入ったアメを客席に投げていたが、キャストによっては無造作に投げており、終演後に場内を見渡したら多くが床に落ちていた。個人的には、このような演出は嫌いである。最後の挨拶時に気遣う言葉さえない。
また客いじりも3~4回行っていたが、場を楽しませるサービスか?それより、物語の雰囲気やテンポを優先して考えてほしい。
内容は味わい深く、考えさせる良作だけに、この演出と演技(歌やダンス)は低レベルで、その意味でよけい腹か立つ。もっと違う演出ができる力があるのではないか。勿体なく残念でもある。
話の内容に関して…。
家族(妻と2人の娘)と真剣に向き合ってきたのか、という回想と彷徨の描きと地球、自然に生かされている、という壮大な描きが上手く絡み合っていたのか。話として関連性が保たれていたのか疑問である。
いずれにしても、歌やダンスのレベルアップ、またその挿入の必要性と効果を十分に検討してほしい。
-奇譚-地獄たられば
グワィニャオン
上野ストアハウス(東京都)
2015/08/06 (木) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★
らしい公演
この公演の観せ方は親切で、エピローグがプロローグに繋がりループするような展開である。伏線や散りばめたエピソードを回収し、説明しようとする感じである。その演出は、観客によって丁寧だと思うか、余韻がないと思うか分かれると思う。自分はどちらかと言うと後者である。
「グワィニャオン」と「劇団えのぐ」は、どちらも丁寧な制作をする印象を持っており、その意味で融和していた。しかし、折角のコラボなので、それぞれの劇団の特長を生かし、スパークするようなものがあったら面白かったかもしれない。
ネタバレBOX
舞台セットはシンプルで、中央奥に少し高い段差のある通路または廊下をイメージさせる横台。それに沿って粗格子または乱杭・柵のような造りがある。上手は場面に応じて、舞台上に用意する箱…椅子やゴミ箱に見立てるものが置いてある。下手は、奥通路から客席側にせり出し、壁には端切れのようなものが張られている。
人は、生前の業因によって加減ポイントがあり、地獄など六道への分かれ道があるらしい。これもよく見かける手法であるが、電車が地下に入ったら地獄…。生前、ああしていたら、ああしていれば、という”たら、れば“の悔悟の思い。その悔悟の情は、実に些細なことから、大きな過ちまで人様々である。その辻にいる衆生はどうなるのかを描いた奇譚である。
細かな点であるが気になったところ。
○地獄(迷宮?)や鬼の描写が怖くないのは愛嬌だとしても、もう少し“らしさ”があってもよかった。
○年代・年齢に拘ると、戦時中の母子(息子)が現代と同じ風貌(若い)や思考など齟齬、違和感が見えてしまう。地獄では時間感覚が生前とは違うことの説明がもう少しあると納得出来そうである(例えば、奪衣婆は600年もこの場にいるなどと絡める)。
○最後に、制作サイドに…初日は満席だったようだ。そのため舞台と最前列の間に増席(ミニ椅子)していた。しかし段差がないため最前列の観客は、座臥演技は観難くなっただろう。自分は3列目段差が大きい席に座ったので良く観えた。増席位置などは、一工夫が必要であろう。
次回公演を楽しみにしております。
星の王子さま
ハグハグ共和国
萬劇場(東京都)
2015/07/29 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
ハグハグ共和国の今らしい、素晴らしい内容
童話・寓話の類であり、夏休み・日曜日のマチネ公演は、就学前後の子供も多く観に来ていた。自分(自由席)の席の左側、そして前列(こちらは指定席)にも3人座っていた。芝居の始まりは幕にかわいらしいアニメ(?)が映し出され、子供達は乗り出して観ていた。しかし、直ぐに幕が開かない。トラブルか、と少し心配しかけた時、ようやく始まった。
ファンタジー色のある大人向けの話...現代に向けられた問題提起。
ネタバレBOX
芝居内容に理屈を並べても味気ない気がするが...ハグハグ共和国らしい観せる舞台セットであった。芝居と同時にアクロバット、ダンスなど魅せるパフォーマンスも物語の中に取り込んでいる。そして雰囲気のある衣装を着、小物を持って現れる星の数々...、その色々な星を旅する 星の王子さま が見て感じたことはなんだろう。そして最後に訪れた地球は、人間が殺し合い絶滅寸前の状況である。その寓話・寓言は明確に意図して制作されており、しっかり観客(自分)に伝わった。
さて、劇団側が知らないであろうエピソードを一つ。
子供達の前の席に大柄な大人のグループが座ることが分かった時、そのグループの人が席を交代しましょうと声かけしている。観難くなるための親切心だ。周りの観客が微笑ましく見守る優しい場内...ほぼ中央の階段席のことであるから多くの人が見ていたと思う。
子供が観るような公演の時は、厚手の座布団を用意しておいたらどうか。
終演後、主演・星の王子さま(月野原りん さん)が子供達やその母親から頼まれ記念撮影していたが、折り敷きしっかり子供の目線に合わせる。「大事なものは目に見えない、心で見る」といった旨のセリフがあったが、それを地でいくような姿。公演は受付から始まり、観客を見送る迄だとすれば、実に気持ちの良い観応えのある対応であった。
この温かな雰囲気が劇団の歴史を15年まで刻んできたと思う。
次回公演も楽しみにしております。
伝奇浪漫「芳一(ほういち)」
劇団め組
吉祥寺シアター(東京都)
2015/07/30 (木) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしかった!
自分が観た「劇団め組」公演では一番好きかもしれない。脚本、演出、演技、照明・音響効果等、全てにおいて堪能した。舞台の雰囲気を「妖幻」と造語するが、観(魅)せ方が自然体で本当に楽しめた。
特に、新宮乙矢さん の演技は悲哀・情念・怨念など時代を超えた思いが…迫力があった。
少し気になったところ…。
初日のせいか、殺陣シーンが粗いように感じたので丁寧に演じてほしい。
また、冒頭の事件(乱)は、歴史に詳しければ理解しやすいが…。少し割愛し過ぎたかもしれない。
些細な難点はあるが、大きな見方(娯楽芝居という観点)をすれば秀作だと思う。
ネタバレBOX
梗概は、説明を一部引用…「保元の乱で敗れた崇徳院が讃岐に流刑され、その怨念が700年の時を経て、幕末の京に現れる。長きに渡り、武家政権の実効支配のもと、その権威を封印されてきた朝廷が復権を目論み、勤王の志士達との連携を開始しようとしていた。彼らが目指すは倒幕。
そのころ、京の一条戻り橋に一人の法師が姿を現した。名は芳一。何処から来て何処へ行くのか知る者はない。芳一は、式神が潜むという一条戻り橋で不穏の気配を嗅ぎ取る。式神を使役出来るのは、安倍晴明の流れをくむ陰陽師土御門家。血の抗争が激しさを増す京で、芳一は、朝廷の野望と、その歴史に隠された怨念の闇に足を踏み入れようとしていた」ということ。
この舞台の良かったところは、もちろん演劇要素が素晴らしいことであるが、人間の業という、本人の意思をも飲み込むような不思議な力。その如何ともしがたい悲しさのようなものが滲み出ている味わいである。観ている者が思わず納得してしまうような内なる魂...それが怨霊へ変化しようとも、打ち消したくない気持にさせる。朽ちた姿であるが、何故か美しいのである(「徳」の字を諡号することで鎮魂された)。
さて、舞台セットは中央が宮殿内、場面によっては公家の門前を作る。基本は上手側だけ見たら流水文様のようで、その円形真ん中を刳り貫いた造作である。客席側の上手・下手には波涛文様の高衝立が各一対。そして、先に記した一条戻り橋が下手に架かる。
このシンプルなセットを照明が見事に映えさせた。基本的な射光もシンプルで、その衣装...例えば束帯や十二単をイメージさせる華やかさ、それが彩りとして照明効果を際立たせた。そして見せ場のスポットなどメリハリが印象に残る。そして、ラストの崇徳院の成仏というか昇華というか、その定法に従った演出は見事で、大きな余韻を残してくれた。
本当に娯楽芝居の醍醐味を堪能させてもらった。
次回公演も楽しみにしております。
into the shadow
EgHOST
バニラスタジオ(東中野)(東京都)
2015/07/31 (金) ~ 2015/08/03 (月)公演終了
満足度★★★
示唆するような…
電車遅延(人身事故)であったがギリギリ開演に間に合った。その旨事前にメールし連絡しておいたが、制作サイドから丁寧な返信があった。また受付もスムーズで時間通りに開演した。
そのような劇団の芝居は…。
ダンス2本と芝居2本であったが、芝居のうち1本目は2014年12月の忘年会を兼ねた公演と同じ演目であった。しかし、昨年末は1時間程度あった上演時間を今回は約40分に短くしている。
また、2本目との関係性が分からない。この点を終わった後、作・演出の西荻小虎 氏に尋ねたがあまり関係については考えていないようであった。
しかし自分としては、次のような関係を感じていたのだが…。
ネタバレBOX
1本目「tHe End oF EveRyThing」は、年末公演に比べると、数学的な定理の説明、労働と労働力というマルクス経済学的なシーンを短くし、またはカットするなど整理し観やすくなった感じである。一方、年末の時のような客席を縫いながら演じる緊張感、椅子に乗るダイナミックさ、難解な台詞をまくし立てるような迫力は削がれた。
2本目「into the shadow」は、初めて観るが、寓話のような...登場するのが人造人間か生身の人間か判然としないところもあったが、混在した社会・世界観を描いたと思われる。その物語であるが、食品工場と思われるところでの単純労働、しかし、それでも「任される」という自尊心を持たされる嬉しさ。それに慣れるとさらにステップ・アップしたくなる。単調な仕事への不満、変化という刺激を欲する...人間(的)らしい欲求。
本公演では照明技術が素晴らしく、素舞台を立体的に演出していた。
1本目と2本目の関連が無いようだが、何かスパークするような気がしていた。観終わった後に漠然と感じていたこと(西荻小虎 氏にも話したが)。
全体を通して、宇宙・ビッグバン⇒地球形成⇒人類誕生(ここまでが1本目)、薬物依存による廃人⇒ロボット(人造人間)化⇒破滅的な先にある未来(これが2本目)という壮大なストーリーがあるように思えてくる。物理学や数学という宇宙観、リンゴなど食の挿話に見られる人類誕生のイメージなど、エピソードが散りばめられている。今後は、散らばりを収集・収斂し、再構築して観せてほしい。
なお、敢えて短く(分割)しているのは、某演劇コンクール参加(上演時間、役者数の規定あり)のためとのこと。
多くの引き出しを持っていると思われる、西荻小虎 氏の次回公演を楽しみにしております。
君原毬子の消息
劇26.25団
駅前劇場(東京都)
2015/07/30 (木) ~ 2015/08/03 (月)公演終了
満足度★★★★
極上なサスペンスドラマ
戦時中から昭和40(1965)年頃と思われる時期の芸能一家で起こる極上のミステリー・サスペンス劇。その住まいを中心に過去と現在が交錯し、其々の思惑が渦巻く自我の世界。登場人物は多い(当日パンフに家系、相関図あり)が、そのキャラクターと立ち位置が分かる様な説明プロローグとストーリー展開があり、観せる芝居であった。その雰囲気は耽美・妖艶といった感じであった。とはいえ、シリアス、ポップという違いの見せ方も...起用で丁寧な制作という印象を受けた。
ネタバレBOX
舞台の作りは能舞台のような正面席、中正面席、脇正面席のような感じで脇正面に相当する席(ひな壇)が自由席である。要は下手側で舞台横から観るイメージであるが、それでも十分堪能できる。そして、正面通路、舞台と自由席最前列との間の空間を通路とし、会場出入り口方向へ延びている。それ以外に通常の上手・下手(実際は捌けない)にも口があり、変幻自在な入退場をすることで、臨場感と心地良いテンポを生み出している。
自宅・日本家屋で絞殺された稀代の女優・君原夢子(リサリーサさん)、そして5人の子供がいるが、すべて養子縁組である。そして第一発見者の使用人セツ(林佳代さん)など、登場人物は一癖二癖あるような人たちばかり。その人々が紡ぎ織り成す物語は、同一人物が子供時代から大人に成長した現在との対比、そこには同じ時間・境遇を共有した子供(其々の血の繋がりはない)と義理の両親、君原英夫・夢子との関係性が丁寧に描かれる。端役俳優と有名女優の相克した夫婦関係、テレビ界の隆盛と映画界の斜陽の中で、”映画女優”という矜持、そのプライドを踏みにじるような状況にイラつく姿に迫力があった。そして、一人の人間・女としての心情がしっかり伝わる哀しい思い。
さて、タイトル「君原毬子」は、愛子の実の娘(父は英夫ではない。結婚前に夢子は妊娠していた)という設定である。現在、その消息が分からないという。その娘が実母を殺害した容疑者に...。殺害現場にそのイニシャルが刻まれたペンダントが落ちていたから。果たして犯人とその殺害動機は? そして実娘の消息は? 劇場へ足を運んで確かめて。
次回公演を楽しみにしております。
1995
ブルドッキングヘッドロック
ザ・スズナリ(東京都)
2015/07/29 (水) ~ 2015/08/05 (水)公演終了
満足度★★★★
懐かしい、笑った、堪能した
1995年
あぁ、自分も歳をとったとつくづく思うのは、若い頃に活躍していた芸能人の今の姿を見せられた時かもしれない。この物語も1995年頃にアイドルを目指していた四人組女子高生である。それから20年経た現在、そして...。
この時間...アイドルであろうが皆等しく経過していく。容姿は気持ち以上に衰えを見せるだろう。女性四人いれば各々の人生は色々...そんな昭和の歌もあった。この時間を巡るストーリーが全編を貫く謎解きのようなファクターにもなっている。果たして、当時の「夢」と「希望」はどうなったのか? といったリアルな投げかけも観えつつ、爆笑シーン満載のコメディ。しかし、その中でしっかり、いや垣間見える怖い話が印象に残る。
ネタバレBOX
舞台セットは洒落ている。上手客席側には長テーブルと椅子でリビング風、その奥には刳り貫きしたダイニング、下手客席側にテラスをイメージした丸テーブルとファション椅子が置かれている。またその奥は1m程高くなっており、別部屋という感じで赤い横長ソファーがある。そして、下手側が舞台前と後を仕切るカーテン(過去・現在の交差や邂逅、もしくは回顧シーンに利用)...セットは凝っている。
さて、アイドル氷河期といわれた1995年前後に、アイドルを目指す四人の女子高生、そこにはデビューを巡る事務所の戦略・思惑(年齢詐称)や当時の女子高生の実態(猥雑・猥褻な風潮、ルーズソックス等の象徴的ファッションも含め)もセリフの中に出てくる。実在したキャンディーズ、ピンクレディーの名前やイエローキャブの○田社長を彷彿とさせる人物、映画の話題...中原俊 監督「桜の園」「優しい12人の日本人」などポンポンと出てきて懐かしい。
時代は現代へ...そのアイドルグル-プの一員の家が高層マンションというこの舞台の部屋。実際はメジャーになれなかったようだ。引退し今は主婦で一女の母。
その部屋に40歳まで独身を通してきた男のお見合い(出会いのセッティング)から始まるドタバタ騒動。その独身男が若いときはアイドルオタクだった。
最後は怒涛のような展開で、2095年から来た未来人まで登場し、環境汚染・破壊などの寓話もチラホラ会話の中に出てきて、なにやら怖い面も覗く。そのうち次々とカラーコーンが置かれ、電飾する派手な光景が出現する(時空間の歪みによる弊害)。その不思議な光景はテラスから見える景色、建物を建てているのか壊しているのかわからない、というセリフが印象的である。喧騒の中に過去を懐かしむ自分がいて、高揚した気分に浸っており観ていて飽きない2時間25分(途中休憩なし)であった。
初日は、中央通路(廊下という設定)で、存在感のある女優・岡田あがさ さんが蹴躓く場面があり、舞台は生ものであることを改めて知った。
次回公演を楽しみにしております。
フォルケフィエンデ ー人民の敵ー
雷ストレンジャーズ
サンモールスタジオ(東京都)
2015/07/23 (木) ~ 2015/07/29 (水)公演終了
満足度★★★★★
現代に通じる社会、人間劇
とても古典で他国の話とは思えない切実感がある物語であった。裕福な生活環境を手に入れ、その恩恵を優先する現代社会...そのために将来のリスクに目を瞑り、自己矛盾していることを薄々感じながらも、今の生活水準・富を手放したくない。しかし、その手には危険というメッセージが見えているのだが。
住民投票に向けた演説、多数が正しいのか、少数はそうでなはいのか。またその逆に少数にこそ真実がある...という主張は真の問題「把握」と「対処」によって違うと思う。その極端な選択肢の突きつけはどうか(比喩的なメッセージと承知しつつ)。
内容の捉え方は、(現在)社会情勢と人間の内なる思い、そして周りの環境・状況によって一律ではないだろう。しかし、過去においてこのような壮大なテーマを身近な設定で描き出したことに驚嘆した。
ネタバレBOX
梗概は、「温泉町の鉱泉汚染をめぐって、真実を公にしようとする医師と、それをもみ消そうとする町長率いる町民との戦い。。〈人民の敵〉呼ばわりされても、あくまで戦う医師は、正しいのは常に選ばれた少数派だと叫ぶ。」
「自分なりの正義」を信じて行動し、家族を始め周囲の人々を巻き込んで集会の場へ...その場での発言は一瞬正しいように思われる。
その集会後...家族の行く末不安時に遺産の話。やはり足元の生活優先という小心で狡猾な面もチラリと垣間見える。この学究肌、正義感だけではない人間臭い側面も描く。やはり社会批判と人間内面を抉る、二面性を持つ芝居は秀作であった。
脚本・演出はすばらしい。また演技は、役者が夫々の役柄をしっかり現しており、熱演・怪演であった。このキャラクターを立たせるためのデフォルメした演技...本当に迫力、臨場感があり観応えがあった。
この役者が観せるラスト...向背の決は観客に自分で考えてほしい、とのメッセージを投げかける家族の後姿。見事な余韻を残した。
なお、気になると言うほどではないが...
舞台一面に広げられた新聞紙、その中に「辺野古」の文字が多く見える。その気持はなんとなく解るが、敢えて特定の地域や出来事をイメージさせるのではなく、普遍的なテーマとして大局的見地から捉えても良かったと思う。なぜなら、もともと古典なのだから。
次回公演を楽しみにしております。
鏡花×劇 草迷宮
遊戯空間
梅若能楽堂学院会館(東京都)
2015/07/25 (土) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★
能…
随分前になるが、「能を観に行こう」と誘われたのに「飲みに行こう」と勘違いし、飲食街とはほど遠い国立能楽堂に連れて行かれた、笑うに笑えない恥ずかしい思い出がある。
さて今回も失敗した。開場時間前に到着したが、既に多くの方々が並んで待っていた。自分としては、中正面見所で目付柱が邪魔にならない席に座りたかったが、やはりその位置(列)は先客がいた。やむを得ず正面見所で橋掛りからの登場が立体的に観える席へ。正面だと役者の表情や横の動きはよくわかるが、前後の動きや足運びが観難い。
物語は、明治の文豪・泉鏡花の「草迷宮」であり、その妖(怪)しげな雰囲気は、能における現実と夢、この世とあの世が交錯する「幽玄」な世界観にぴったりであった。その演出は照明の「幽冥」のようなトーンが、まさしく「幽明」を感じさせる。
さらに、正面・鏡板の老松の絵が、この物語の舞台場所である三浦半島の大崩(おおくずれ)であることから、磯馴れ松のように見えるところが不思議である。
ネタバレBOX
能の様式化された舞...本公演「草迷宮」では、始めのコロスの中で堪能した。そして現代能として、夢幻能とは違う、いやその逆のような物語は面白かった。つまり現実と夢の二つが交差し、主人公の亡霊が回想して聞かせる人間の内面劇。今回は諸国行脚の法師が霊との交信をするような、こちらも人間心理の側面である恋慕を描く。
この梗概は「諸国行脚の小次郎法師は、茶屋の老婆から秋谷(あきや)の旧邸、通称「秋谷邸(やしき)」では昨夏に5人の死者を出し祟りを恐れられ、無人となっていたという。そこで回向に赴く。秋谷邸には、幼いころに聞いた手鞠歌の手がかりを探して小倉からはるばるたどり着いた、葉越明が住み着いていた。葉越は小次郎に、秋谷邸で起こる数々の怪異について語り聞かせた。
その晩、葉越が眠っている間、小次郎の前に、秋谷悪左衛門と名乗る悪魔と、葉越の幼馴染で神隠しに遭って邸に住んでいた菖蒲(あやめ)が現れた。ある理由で菖蒲は葉越には会えないので、葉越を追い出すために悪左衛門が怪異を起こしていたが、葉越が逃げないので、菖蒲が秋谷邸を出て行くことにしたというのだ。
菖蒲が手鞠歌を歌うと、葉越は目を覚まし菖蒲にすがろうとするが、菖蒲は去っていった。」というものである。
茶屋の姥が秋谷の邸で連続して死人が出た、と語る場面は少し冗長に感じた。能のゆったりした語り口は、その動作が伴わないと”演劇”を観ている観客(自分)にとっては集中力を保つのが大変であった。
しかし全体的には、この世に浮かび出た霊が、法師と対話する。現実と夢の描きは泉鏡花の「高野聖」等の小説に見られる妖艶・亡霊の世界そのもの。
実に観応えのある現代能であった。
次回公演を楽しみにしております。
第6回せんがわ劇場演劇コンクール
せんがわ劇場
調布市せんがわ劇場(東京都)
2015/07/11 (土) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい芝居...しかも無料!
今年からだろうか、全公演を観るという前提で、座席指定券(全公演同じ席)を配付していた(枚数限定)。これは有難かった。そしてオーディエンス賞の投票権まで付いている。
仙川駅を利用するのは、この劇場公演とこのコンクールの時だけ、といっても過言ではない。だからこのコンクールの公演と公演の間の時間にせんがわの街を散策している。この駅を中心に整備された小道を歩くとスーパーや商店が横並びで共存している。
自分の生活・居住空間と違う2日間を楽しんだ。
コンクール参加公演は別に記載したが、概要は次のとおり(ネタバレ)。
ネタバレBOX
オーストラ・マコンドー
「月に吼えろ」
せんがわの街をイメージした普遍的な芝居。
人情と生活の板ばさみを描いたわかり易い内容である。
集団たま
「尖ったものは、みんなそこに置いてください。」
コンビニの前にいる犬の目から見た世界感(観)。
その独特な描き方がシュールであった。
劇団しようよ
「こんな気持ちになるなんて」
人体内旅行ということらしいが、そうとう想像力を膨らませないと理解が難しかった。イメージの世界をさらにデフォルメしているかのようだ。
chon-muop
「○口なし」
死後の世界...迷宮の中で生前の行いを語り合う、もしくは吐露するような話。有名な哲学者・サルトルの戯曲「出口なし」が着想とか。緊密度のある空間が良かった。
LiveUpCapsuies
「ふみ」
自分の中では一番物語らしく、好感を持っている。明治文豪の与謝野鉄幹・晶子の馴初め、その後、島村抱月との批評合戦...国体が観える。
ドキドキぼーいず
「闇」
人を殺してみたい...その人間の潜在的意識を怖いまでに体現させる内容。舞台に持ち出される金属バットが「死へ」の象徴に観える。
演劇は文化だと思っている。しかし、その文化の多くは東京を始めとした大都市圏に集中して活動しているだろう。そして、この演劇文化は守り発展させていかなければならない。当日パンフの館長あいさつにあるよう、「この小さな劇場のコンクールから熱いハートを持った、「全国区」へ翔ばたくような劇団が出る...」とあるが同感である。
今後の「せんがわ劇場」ならびに「せんがわ劇場コンクール」がますます発展されるよう期待しております。
なお、満足度の★数は、コンクール全体への期待の★であります。
イチエフ・プレイズ
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2015/07/17 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
恐怖が始まる…観応えがあった
本当に怖く、壊れていく様が観てとれる。この芝居が素晴らしいと思ったところは、当事者間の問題として描き、他者(他の地域等)と比較するような安易な観せ方にしないところ。
リアリティある設定、本音のセリフ内容、その自然体の中から浮き彫りになる恐怖。その目に見えない”敵”は、現在だけでなく将来をも蝕む(汚染)。一方、今を生きる人々の日常生活は待ったなしに迫る。未来を考えて現在を犠牲にするのかという叫びも聞こえそう。
原発...都市的な消費経済を優先する現代社会の落とし子。将来のリスクを地方都市に押し付けるという構図が観える。本公演は都邑対立ではなく、地元の人々の生活の中で問題提起するという、コンパクトにして壮大な人類の未来への考察した秀作だと思う。
ネタバレBOX
舞台セットは和室、上手にサイドボード等、下手は仏壇、そして中央に卓袱台が置いてあり、そこが芝居の主場所である。周りは回廊のようになっており、外への通路でもある。そして関心したのが、和室の四隅に羽目板が5cm前後の間隔で横打されている。それが鯨幕のように見えて、その家族で起こった状況が一目で理解出来たようだ。
そして演技...プロローグを始め、いたる場面でストップモーション/モーショントレーサーのような動作は、独特で目を奪われるようであった。
その家族、人物像が明確になるような丁寧な作り込みであった。
登場人物の夫々の思いや状況がはっきりしている。
夫は、仕事への執着心、誇りを持っている。地域や会社での評判を気にする。会社は裏切らないとの忠誠心のようなものも見える。しかし、親会社からの圧力もあり、下請け会社の立場では労災申請をしないでほしい。そこに働く人へのしわ寄せ。
妻は、夫の健康には気遣う。しかし、会社での様子や仕事内容は知らない。実のところ危険認識については鈍い。家庭内平穏が第一優先。
娘は、恋人の健康が気になる。結婚や将来妊娠した時の不安が払拭できない。父と娘の対立はどちらも本音の正論。
彼氏は、仕事への誇り、危険であることを認識しつつも仲間を裏切れないジレンマ。
記者は、基準内にも関らず発症するという、異常なことしか記事にしない。逆に言えば基準を超えて発症事例は当たり前で売れない。それこそ異常な報道姿勢であるのだが...。被ばく量の測定は、過重労働...過労死・労災認定と同じで、どの時点からとらえても年間(輪切)の計測値を捉えるという当たり前がない。
義妹は、自分の賃貸家屋が汚染区域にあるため家賃収入が無くなった。経済的逼迫から原発反対運動へ...。
夫々が抱えている問題は目先の現実、それが本音であり間違っているとも思えない。そういうあり得る設定から浮かび上がる日常の現実にどう対処するか?実に見えない敵は現在だけではなく未来にも悪影響を及ぼす。
目先優先になりがち、しかし当事者にすれば当たり前であろう。その地から遠く離れた場所から理想・理屈を並べても説得力に乏しい。しかし、放置することができない問題でもある。そこは観客(自分)が考えるところ。内包する問題...その多くを提示しているが、焦点が暈けず核心(和菓子の餡の部分)を鮮鋭にした公演であった。
次回公演も楽しみにしております。
水槽【ご来場誠にありがとうございました。次回は12月】
シアターノーチラス
新宿眼科画廊(東京都)
2015/07/24 (金) ~ 2015/07/29 (水)公演終了
満足度★★★★
濃密な会話劇
家庭という小世界の中での不安や疑念を巻き込んで展開する...そう水槽の中で蠢く人間模様が濃密に描かれる。ミステリー要素を含んだ極上の会話劇…自己または他者による評価を更に客観的に捉えた多面・多重構成のような芝居は、観応えがあった。粟立つような感覚は、本当に素晴らしかった。
また会話は、全員とが組み合わさる、いわばリーグ戦のようでそれぞれの関係性が明確になるような工夫がされており、見事な演出であった。
ネタバレBOX
梗概は、説明「海へ旅立つための支度をする家族。しかし父親の姿はない。父親は去年の夏、その海で死んだ。それは事故だったのか、それとも事件だったのか。家族の中にうごめく小さな疑惑。不可解な死と向き合う人々の会話劇」のとおりである。家族といえども一皮剝けば自己本位の醜悪な姿が浮き彫りになってくる。日常会話に潜んでいる鬱積、嫉み、卑屈、欺瞞...等々が纏わりつくように迫ってくる。この嫌らしい感覚を持たせる見事な芝居であった。本性剝き出しだが、その原因とも言える、”なぜ父親が亡くなったのか”という些細な好奇心、その”理由”を聞いたこと。そして聞いた本人は、その原因に関係していないことを承知(もしくは無意識を装い)で、これから家族になろうとしている親兄弟姉妹を翻弄する。この不快感もよく現れていた。
そして、タイトル「水槽」の存在が不気味である。夏場だけ開店するレストランの入り口横に置かれたそれには、客が海で獲った魚介類を一時的に入れる。しかし、水槽の中では弱肉強食の世界...いわば餌食になってしまうこともある。実に比喩的な台詞を聞かされる。この75分という割と短い時間の芝居であるが、実に丁寧で濃密な家庭内会話、そしてミステリー要素まで取り込み面白かった。
なお、狭い会場内においてクーラーの音が、独り言のような台詞を聞きづらくしていたのは残念であった。
次回公演を楽しみにしております。
「キミシダイ列車」/「The Beginning」
TEAMトライデント
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2015/07/23 (木) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★
キミシダイ列車…疾走
ストーリーはわかり易く、爽快感が最後まで持続…疾風するような芝居だった。熱血青春ドラマを観ている感じであった。役者の熱演は、場内の冷房を感じさせない?ような体現運動であり、観応えがあった。
しかし、演出で気になるところも…。
ネタバレBOX
梗概は、説明にあるとおり「自転車選手の息子ながら自転車嫌いの少年と、少年の父親に憧れるも病気により入退院を繰り返す少女の物語。 病気の悪化により亡くなってしまう少女だが、自転車に乗っている間だけは少年は彼女と会う事が出来た。 その少女の為、大嫌いな自転車に乗り、レースへと参戦する」というもの。その少女の死がアッサリと描かれ、いや描いていない。
自分の好みであるが、この死に向き合った場面を入れ、多少の”泣き”を観たかった。自転車レースでも観(魅)せてくれた、山越え、平坦ロードと見せ場を作ってくれたように、物語にももう少し起伏を盛り込んでほしかった。
もう一つ、疾走シーンは素晴らしいが、こちらも単調というか平坦なロードのイメージしかわかない。例えば山越えでは反り返る姿勢、平坦になれば前傾姿勢等、その走っている臨場感が欲しかった。あまりに清々し過ぎて印象付けが弱くなってもったいない。もう少しインパクトと少女の死を乗り越えた余韻が...。せっかく少女の声が聞こえなくなり、自立できたことを伝えられたのだから。
次回公演も楽しみにしております。
「アル・タルフ」- 獅子の一瞥 -
劇団ギルド
ART THEATER 上野小劇場(東京都)
2015/07/25 (土) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★
アル・タルフ…にしてほしくない!
多重構成と多面的表現の公演は面白かったが、その観せ方にもっとメリハリがあれば良かった。そうすれば当日パンフ「3人の女優ありきからスタートしたエンターテイメント」の新作は理解出来ただろう。
さらに、劇団解散を謳いあげたことを冒頭に記述しているから誤解しやすいが、作・演出の高谷信之 氏の自伝的な戯曲の上演を検討しているらしい。1960年に多感な年頃であった氏は、当時の事、思いを軸にした作品を書き上げている。しかし今は、カルペ・ディエム(今宵は愉快に飲み歌おう)に舵を限りなく左舷に切った、と書いている。
その思いと若い役者への期待感は伝わった。
ネタバレBOX
アル・タルフ…アラビア語で「終わり」を意味する。しかし現在、1960年当時(安保闘争)をリアルに知る方に劇団を解散してほしくない。
公演は、タップダンスから始まるが、構成は劇中劇である。正確には劇中の稽古を観せているが、始めからなのか、途中で登場した女優からのシーンなのか判然としない。既に実生活に観えた(始め)時から芝居だったと思うが、フリップを持ち出すなど芝居(稽古)シーンらしくない。状況や台詞でしっかり説明できていると、最後の虚実(劇中劇)の落差があって印象的だったと思う。
多重構成とはもちろん、劇中劇(稽古)として観せていること。またテーマ性は特に無いとあったが、最後に女優陣が”獅子の一瞥”について高唱する件では、獅子の”左”肩を温めてじっと様子を窺う姿が見える。
多面的とは、個々の女優の観せ方である。タップダンスで魅了したmaimiさん、中盤から登場した佐藤好さんは従順な妹役から豹変していく演技力、北村りさ さんは圧倒的な存在感を示した。それぞれの特徴を現した芝居であったこと。
公演としては、何を観せ訴えようとしたのかが不明瞭になったのが残念である。最後の獅子の一瞥に込めたセリフ?または唱和?こそしっかり伝わる内容にしてほしかった。
次回公演「‘60~18ロクレイ、イチハチ」も楽しみにしております。
紫陽花の下に死体は眠る
惑星☆クリプトン
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/07/22 (水) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し新鮮さがあると…
人はこんなに簡単に人を憎み殺意を抱くのか。その復讐場所…夏祭りに相応しい舞台を作り込んでいた。全体的な雰囲気は、中途半端に笑いをとることはしないで、あくまで狂気・猟奇を描こうとしていた。そこはブレずに一貫性を感じた。
しかし、その物語は既に見慣れたシチュエーションのようで、新鮮さが無かったと思う。
ネタバレBOX
既にどこかで観たような生き残りゲーム...その意味で新鮮味がない。また、その観せ方も単調である。
舞台セットは、上手に盆踊りの中心に設営されるような櫓、その下に「玩具金魚すくい」の水槽がある。中央は外に通じる通路等、下手は皮(破)幕が掛けられている。舞台セットは作られたが、櫓(上部)は使用しない、下手の幕には映写する予定であったが、初日は機械トラブルで出来なかった(最後のキャスト挨拶で謝罪していた)。セットの効果が活きていなかった。
梗概は、夏祭り会場に無理やり連れて来られた男女が、生き残りをかけて一対一のゲームをする。このゲームを仕込んだ黒幕がいるが、表面的にはこのゲーム主催の会社・フロアー支配人が進行役になる。
このゲームが「金魚すくい」のみで、勝敗は多く掬い上げた点とモニター越しに見ている会員と呼ばれる者たちの恣意的な評点の合計点で決まるという。夏祭りならば、射的、輪投げなどのゲームで変化を出しても良かった。
また暗転時間が長く、観る集中力が途切れる。この間に歌が流れるが、主題歌を聞かせるためであろうか。
この公演の最大の疑問が、先に書いた黒幕の動機である。あまりに単純で弱いような気がした。また、唯々諾々とゲームをするのか?このゲームを仕切っていた支配人の狂気と黒幕の狂気の落差について行けない。また、なぜ参加者の名前が「K」に拘るのか?
舞台からは、広大な土地や紫陽花の彩りが感じられない。絶望感と妖美さがイメージできると良かった。
プロローグの凄惨な姿が印象的だっただけに残念である。
ちなみに、最初の一瞬の姿(作・演出 ミム・メモ さん)は、数十年後の母親・恵子(若林美保 さん)という繋がりでしょうか?
本公演は、もう少し新鮮さと観せる工夫があれば…本当に残念である。
次回公演を楽しみにしております。
マドモアゼルはプリンス ムッシュはプリンセス ~桜木邸連続殺人事件~/ダンパチ13・銀
ショーGEKI
「劇」小劇場(東京都)
2015/07/17 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★
「劇」笑劇場は衝撃かも...
演劇的な理屈など細かいことは言わないで、肩の力を抜いて楽しんでしまう。そんなエンターテイメント笑ーであった。
そしてしっかり観せるミステリー・ストーリーとその演出は面白かった。とにかく観客を楽しませようとする、そのサービス精神で溢れた芝居である。笑い笑い...そして笑いで、最後まで明るく楽しい内容である。
ネタバレBOX
舞台は素舞台で、若干高い位置に設営してある。そこに小道具・小物を携えた役者が登場し、場面を作り上げていく。
客席は、横長ベンチに個々の座布団が置かれている。普通であれば後列に向かう中央通路があるが、今回はない。すべての列がベンチ席になっているから、入口(上手側)から入って下手席から順々に詰めて座るようになる。もちろん早く会場入りし中央席に着けるが、その場合、下手に行く観客が通りやすいように...との場内案内がある(心配りである)。最前列は舞台に近いため、演技の迫力は必至、しかし、冒頭の登場人物紹介では透し幕に映像を映し出すが、それが見えない。一方、2列目以降は前列の人の頭を気にしなければ、プロローグ映像が見える。好みの問題であろう。
さて、自分のお気に入りのシーンは、次のところ。
1つ目は、ベランダから下を覗き込んだ、俯瞰シーン。これは体力勝負であろうが、面白い観せ方であった。
2つ目は、シーンではないが、すべての役者の早着替えである。フォーマルな場合(パーティーシーン等)があり、結構時間を要するであろうが、見事に着替えていた。
そして、最後に推理劇であるから、その内容にも注目したが、特異な例ではあるが、しっかり考え構成されていた。上演時間、最後の挨拶含め約2時間、観応えがあった。
次回公演を楽しみにしております。
果てとチーク×コワい女シリーズ第一弾 『害悪』
劇団森
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2015/07/17 (金) ~ 2015/07/19 (日)公演終了
満足度★★★
凝った作り…
久し振りの早稲田小劇場どらま館…そこでの「害悪」は詰め込みすぎた印象である。凝らした演出は観にくく理解し難かった。
しかし、訴えようとする姿勢は真摯で好感を持った。
その凝った芝居は…。
ネタバレBOX
舞台セットは、少し高い位置に設営し下の席からは見上げるようで観にくいだろう。パイプで三面に区切り、上手は某組織の事務所、真ん中は事務所に勤めている女性姉妹の部屋、下手はその姉妹の寝室(または外の道?)を現しているようだ。そして正面舞台とは別に回廊花道を作り、その真後ろでも芝居を行った。しかし、当日は満席で詰めた状態で、さらに中央通路に増席をするほどで、振り向いて観ることが出来なかった。
さて内容は、「トロイヤの女たち」をモチーフ...過去から現在に至るまで戦争・紛争を繰り返し、そのたびに幼き子や女性が犠牲になってきた、そのことを人類に鮮烈に問いかける話である。そこには神と人間の存在がある。
本公演は、下手で戦争に行った夫や息子が戦死(インターネット上の仮想敵国との戦争か?)しても、姿・性格も同じアンドロイドが代わりに癒すという斡旋商売(契約)のようである。一方、その戦争で攻撃している相手がネット上の架空仮想国のようである。この虚実混合した物語に混乱を覚えた。さらに中央では生身の人間が生活しており、三姉妹の会話がきわめて人間的である。同性愛(レズ)、妊娠などのセリフがポンポン飛び出す。
この現実とも虚構とも言える独特の世界観...そこに見える問題提起。しかし、自分にはテーマの投げかけが、種々のレトリックが用いられているようで理解し難かった。
仮想敵国を滅ぼしてはならない、という均衡を保もつ姿は、どこかの国の事情を投影しているようで、苦笑した。
一応、戦死者を慰めるのに不可欠になったアンドロイドは、逆に人間の「悲しみ」「寂しさ」という感情を麻痺させ、戦争・紛争に恐怖を抱かなくなるというアイロニーを描いたのか。それが冒頭、社会的に受容された狂気の契約(クレーム)に繋がるのか。何でも(人さえも)代替可能という、現代の寓話でしょうか。
なお、観せ方として、セリフが被り、また敢えて同時に離す場面はなお理解しにくい。最後は、凄惨な場面で終わるが、そこには生人間とアンドロイドを確認し合うための行為...そんな近未来が見えるようだ。
「トロイアの女たち」の「神」と「人間」を「アンドロイド」と「人間」に置き換えたような感じもした。
次回公演も楽しみにしております。
闇
ドキドキぼーいず
調布市せんがわ劇場(東京都)
2015/07/12 (日) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★
視覚的に観せる...
第6回せんがわ劇場演劇コンクール参加作品。
繰り返しの動き、発声練習のようなわざとらしい大声...演劇ワークショップのような印象を受けた。たぶん敢えての取り組みであろうが、粗暴のような感じがした。
ネタバレBOX
多くの役者が登場し、相互に不規則と思えるような動きだが、実は優れたフォーメーションであった。何か不気味で何か起こりそうな気配…最後に金属バットを持った人物が...作品のみどころ・意気込みは、登場人物の誰かが人を殺す。物語はそれだけです、とある。
薄暗い照明の中に、鈍い光の金属バットがドキドキする。ボレロとよくマッチした舞台絵図であった。
次回公演を楽しみにしております。
ふみ
LiveUpCapsules
調布市せんがわ劇場(東京都)
2015/07/12 (日) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★
短い時間の中で分かりやすい芝居
第6回せんがわ劇場演劇コンクール参加作品。
大きく2つの物語に分かれるが、一貫して自分の信念を貫き通した与謝野晶子が描かれる。脚本はしっかり書かれ、演出も面白い。
明治文壇で活躍した与謝野鉄幹・晶子夫妻の出会いと結婚が1つ目の話、晶子が詠んだ句をめぐり、評論家・島村抱月との論戦が2つ目の話であるが、その繋がりは微妙である。しかし、晶子の激しく一途な思いは2つの話があってはじめて伝わると思う。
芝居の内容がよく分かる脚本・演出であり、その観せ方も粋であった。
ネタバレBOX
明治の文壇史の一端をダイジェストで観たようだ。芝居の脚本・演出は丁寧で骨太い感じがあった。日露戦争当時の日本...国粋的な論調の島村抱月との論戦は、文学的見地というよりは国是に対する見方。一瞬、教育的な芝居になりそうであったが、前半の恋愛場面からの繋がりで中和させたと思う。
さて先に戻るが、鉄幹主宰の歌会への投稿を始め、”文”のやり取りは扇を文にみたて、それを投扇することによって粋に描く。時代背景を考慮した着物姿と相まって優雅の中に凛とした与謝野晶子が描かれていた。
次回公演を楽しみにしております。
○口なし
chon-muop
調布市せんがわ劇場(東京都)
2015/07/12 (日) ~ 2015/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★
記憶を記録する
第6回せんがわ劇場演劇コンクール参加作品。
迷宮の中で、さらにもがき苦しんでいる様子。登場人物の自分さえも否定するような今日的な空想劇のように感じた。
哲学者J=P・サルトルの戯曲『出口なし』から着想...その発想から既に難しいイメージを持ってしまった。
ネタバレBOX
さて、死んであの世とこの世の境...迷宮にいて自らの心情を吐露する男女の姿のようである。そこが地獄であるらしいが、そのイメージはない。3人のエピソードとなぜ3人がそこに入るのかが分からない。3人の関係、「出口なし」に入る説明をもう少しして、観えるようにしてほしかった。
全体としては不思議空間に誘われた演出はすばらしい。その独特の世界観と内容がうまくマッチして見れれば、「○□なし」の地獄が見えたかも...。
次回公演を楽しみにしております。