水槽【ご来場誠にありがとうございました。次回は12月】 公演情報 シアターノーチラス「水槽【ご来場誠にありがとうございました。次回は12月】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    濃密な会話劇
    家庭という小世界の中での不安や疑念を巻き込んで展開する...そう水槽の中で蠢く人間模様が濃密に描かれる。ミステリー要素を含んだ極上の会話劇…自己または他者による評価を更に客観的に捉えた多面・多重構成のような芝居は、観応えがあった。粟立つような感覚は、本当に素晴らしかった。
    また会話は、全員とが組み合わさる、いわばリーグ戦のようでそれぞれの関係性が明確になるような工夫がされており、見事な演出であった。

    ネタバレBOX

    梗概は、説明「海へ旅立つための支度をする家族。しかし父親の姿はない。父親は去年の夏、その海で死んだ。それは事故だったのか、それとも事件だったのか。家族の中にうごめく小さな疑惑。不可解な死と向き合う人々の会話劇」のとおりである。家族といえども一皮剝けば自己本位の醜悪な姿が浮き彫りになってくる。日常会話に潜んでいる鬱積、嫉み、卑屈、欺瞞...等々が纏わりつくように迫ってくる。この嫌らしい感覚を持たせる見事な芝居であった。本性剝き出しだが、その原因とも言える、”なぜ父親が亡くなったのか”という些細な好奇心、その”理由”を聞いたこと。そして聞いた本人は、その原因に関係していないことを承知(もしくは無意識を装い)で、これから家族になろうとしている親兄弟姉妹を翻弄する。この不快感もよく現れていた。

    そして、タイトル「水槽」の存在が不気味である。夏場だけ開店するレストランの入り口横に置かれたそれには、客が海で獲った魚介類を一時的に入れる。しかし、水槽の中では弱肉強食の世界...いわば餌食になってしまうこともある。実に比喩的な台詞を聞かされる。この75分という割と短い時間の芝居であるが、実に丁寧で濃密な家庭内会話、そしてミステリー要素まで取り込み面白かった。

    なお、狭い会場内においてクーラーの音が、独り言のような台詞を聞きづらくしていたのは残念であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/07/26 23:40

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