フォルケフィエンデ ー人民の敵ー 公演情報 雷ストレンジャーズ「フォルケフィエンデ ー人民の敵ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    現代に通じる社会、人間劇
    とても古典で他国の話とは思えない切実感がある物語であった。裕福な生活環境を手に入れ、その恩恵を優先する現代社会...そのために将来のリスクに目を瞑り、自己矛盾していることを薄々感じながらも、今の生活水準・富を手放したくない。しかし、その手には危険というメッセージが見えているのだが。
    住民投票に向けた演説、多数が正しいのか、少数はそうでなはいのか。またその逆に少数にこそ真実がある...という主張は真の問題「把握」と「対処」によって違うと思う。その極端な選択肢の突きつけはどうか(比喩的なメッセージと承知しつつ)。

    内容の捉え方は、(現在)社会情勢と人間の内なる思い、そして周りの環境・状況によって一律ではないだろう。しかし、過去においてこのような壮大なテーマを身近な設定で描き出したことに驚嘆した。

    ネタバレBOX

    梗概は、「温泉町の鉱泉汚染をめぐって、真実を公にしようとする医師と、それをもみ消そうとする町長率いる町民との戦い。。〈人民の敵〉呼ばわりされても、あくまで戦う医師は、正しいのは常に選ばれた少数派だと叫ぶ。」

    「自分なりの正義」を信じて行動し、家族を始め周囲の人々を巻き込んで集会の場へ...その場での発言は一瞬正しいように思われる。
    その集会後...家族の行く末不安時に遺産の話。やはり足元の生活優先という小心で狡猾な面もチラリと垣間見える。この学究肌、正義感だけではない人間臭い側面も描く。やはり社会批判と人間内面を抉る、二面性を持つ芝居は秀作であった。

    脚本・演出はすばらしい。また演技は、役者が夫々の役柄をしっかり現しており、熱演・怪演であった。このキャラクターを立たせるためのデフォルメした演技...本当に迫力、臨場感があり観応えがあった。
    この役者が観せるラスト...向背の決は観客に自分で考えてほしい、とのメッセージを投げかける家族の後姿。見事な余韻を残した。

    なお、気になると言うほどではないが...
    舞台一面に広げられた新聞紙、その中に「辺野古」の文字が多く見える。その気持はなんとなく解るが、敢えて特定の地域や出来事をイメージさせるのではなく、普遍的なテーマとして大局的見地から捉えても良かったと思う。なぜなら、もともと古典なのだから。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/07/28 18:59

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