満足度★★★★
人民の敵
イプセン戯曲を約2時間に短縮したがっつり会話劇。やはり凄い戯曲…いつ上演しても普遍的なんだろうな。L字客席で客席通路を演技スペースに。
石田圭祐さんが『明治の柩』と正反対の役柄。鳥越さやかさんが良かった。こりっち俳優賞受賞の小野寺ずるさんがストレート・プレイもイケるとわかって嬉しい。今後もこういう芝居に出てくれたらと思う。
満足度★★★★
古典とは思えない話であった・・・
日本が舞台と思ってたら普通に英語名での舞台でした(^^;)
(温泉地が主題でした)
故郷を愛して故郷の為にと働いていた主人公が、個人の利権などに巻き込まれて弾き出される話は今でも通ずる不変の話なんですねぇ=進歩していない人類・・・。
熱くなるのは解るが、台詞がチョイ聞き取り辛くなるのはチョット・・と思えた全席指定の約2時間強。(開演時間が守られてて嬉しかったさ)
満足度★★★★★
現代に通じる社会、人間劇
とても古典で他国の話とは思えない切実感がある物語であった。裕福な生活環境を手に入れ、その恩恵を優先する現代社会...そのために将来のリスクに目を瞑り、自己矛盾していることを薄々感じながらも、今の生活水準・富を手放したくない。しかし、その手には危険というメッセージが見えているのだが。
住民投票に向けた演説、多数が正しいのか、少数はそうでなはいのか。またその逆に少数にこそ真実がある...という主張は真の問題「把握」と「対処」によって違うと思う。その極端な選択肢の突きつけはどうか(比喩的なメッセージと承知しつつ)。
内容の捉え方は、(現在)社会情勢と人間の内なる思い、そして周りの環境・状況によって一律ではないだろう。しかし、過去においてこのような壮大なテーマを身近な設定で描き出したことに驚嘆した。
満足度★★★★
今の時代にあった古典作品で面白かったです。
いつもいろいろなお芝居を観るたび思うのは、なぜ、いま、ここでこれが上演されているのだろう。なにを伝えたくて、この人たちはこれを上演しているのだろう。そういったことで、舞台というものが一期一会の瞬間的なものであるからこそ、その時代の文脈をしっかりと受け止めた、生きた作品に出会えると気持ちが大きく揺さぶられます。
そういう空気に気づかない、あるいは気づかないフリをして、作られたものには、どんなに楽しくその場で笑えたり泣けたりするものであっても、心に響くことはありません。
そんなことばかりを考えて劇場へ足を運んでいますが、このイプセンの名作は、とても130年も前に書かれたとは思えないほど、今という時代にあった物語で、こういうものを取り上げて上演されていることに何より深く感動いたしました。
こちらの劇団さんは初観劇でしたが、これからも注目したいです。
満足度★★★★
130年前の洞察力・筆力に唖然とする。
ありそうな話である。温泉を売りにしている村全体の利害が、ある事実の発見と、その事が約束するはずの「公への貢献」という発見者の栄光を、奪い去る。安全でないものを安全と言い募って原発の危険と被爆の実態を覆い隠している日本と、ほとんど違わない構図に恐ろしくなる。裸にされるようだ。主人公の医師が直面する現実を、観客は追体験する。彼の家族、地元の新聞記者と出版社、村長といった人物たちの立場、その変節が、利害に裏付けられていてリアルである。
医師の辿る道は、ユダヤの律法学者の欺瞞を鋭く指摘したがために磔刑となったキリスト・イエスの足跡に重なり、恐らくは欧州ではドラマ構造の下敷きとして当然に踏まえられていると想像される。主人公の妻が、それまでは反対であった態度を、周囲が寝返ったのを機に夫の味方に転じるという展開にも、そうした背景を思わせる。日本ではそんな事が起こり得るだろうか‥。物語の終盤、住民を集めた集会で医師が「新たに発見した真実」として叩き付けるのは、多数は間違っており、正しいのは少数である。この世界の圧倒多数を占めている愚者に、なぜ少数の正しい者が従わねばならぬのか。‥ほとんど吐きつけるように語る医師。
観客は彼とともに、自身が少数側である苦痛を追体験する。 さらに劇場を出ると、そこでも「少数者」の孤独が待っている。だがこのドラマは医師に語ることをやめさせず、最後の最後、医師に快哉を叫ばせている。そして暗転。イプセンの筆の力に屈服する瞬間である。
満足度★★★★★
今日、余りに「今日的」な主題である戯曲
イプセン『民衆の敵』の翻案。公益に資する行動が既得権益と対立し、当の(当時でいうところの)公によって民衆の敵と認定され粛清される話。
130年前の戯曲だが民主主義の構造的欠陥を指摘した終盤の弁論部分が今に新鮮。見応え感極太。
満足度★★★★★
君はどちらだ?
難しい劇である。科白解釈や演出内容がではない。逆にそれらはコンセプチュアルで、良く噛み砕かれ、他に意味が取りようもないほど明晰、非常に分かり易いものである。(追記2015.7.26)
満足度★★★★
シンプルに良さがあるものの、
そらぞらしい人たちによる構図が分かりやすくも吸引力が今一つ物足りない舞台。全体的に自分には展開がやや性急に感じた。位置によっては数人の役者の体が全く見えぬ客席配置にも最後まで馴染めなかったかな。
満足度★★★★
新鮮さと懐かしさ
権力者と民衆、最近はこんな単純な構図は珍しくなりより複雑な対立関係が扱われるケースが多いので、逆に新鮮さを感じた。正義を振りかざして真っ向から権力に挑む姿は最近ではあまりお目にかかれなくなったヒーローものを連想させ、ある種の懐かしさは覚えたが、対立を作り出す点に疑問も感じて感情移入し切れない。現実の世界では対立を避け円満解決の道を探ることが多いだけに、それを意図して作られたものではないにせよ、そこに一石を投じる結果になっている。
満足度★★★★
ただ独り立つ!
ストックマン博士のような人がいつの時代にもいれば良いのだが!
現実に背を向け、自分の利益しか考えない人、日和見ジャーナリズムはいつの世も変わらない。
役者の力量はあるものの、会話劇だけに肝心な所でのミスが目につく。
今年人気のイプセン
『ペール・ギュント』や『海の夫人』など今年よく上演されているイプセン。海の夫人が面白くてハマって、民衆の敵も読んだので、8月にも吉祥寺でやるようなので両方見る予定。セットはシンプルながらもこだわってるので要チェック。狭い劇場なので入場口からも役者が出入りするので、今回遅刻は特にダメ!間に合うように行ってください。