バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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すばらしい日だ金がいる

すばらしい日だ金がいる

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2015/09/18 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「喜劇」とあるが、題材が題材だけにベースはシリアス。/約140分
私には「鬱」の話だとも、「鬱と競争」の話だとも思えなかったが、私を含め多くの人が身に覚えのありそうな“心の状態”を扱っていて普遍性があり、また、話の舞台となる施設が面白く、最後まで興味を絶やさず鑑賞できました。

タイトルと内容のつながりはよく分からなかった。

◆追記

タイトルと内容のつながりは、後日、作品を反芻してみて分かりました。

ネタバレBOX

ヒロインは自己抑制を重ねた結果、心が息絶えそうになっている元キャリアウーマン。
人間誰しも、長じるにつれ、自分を解放してありのままにふるまう機会は減っていく。
そこから来る苦しみを共有する者として、ヒロインに少なからぬ共感を寄せながら観劇しました。

思えば、人を「さん」付けで呼ぶ行為にさえ、呼び捨てを自制するという意味において、自己抑制は付きまとう。
出会ったばかりのクラスメートにすぐ呼び捨てできた学生時代が、今となっては奇跡のように思えてしまう。

◆追記

最後、ヒロインは「お金を貸して」と、再出発のための資金を人に借りますが、これは“金がないと何もできない”自由競争社会を表し、ヒロインがうつ病になった(症状から私は彼女が鬱病だとは思いませんでしたが)のはそんな“きっつい社会”のせいだと言いたいわけですね。
ならば、「鬱と競争のお話」と事前に告知されていた通り、もっと作品全体として「鬱と競争」に焦点を絞って欲しかった。
私としては、その点へのフォーカスは、かなり弱めだったと思います。

劇作家協会公開講座 2015年夏

劇作家協会公開講座 2015年夏

日本劇作家協会

座・高円寺2(東京都)

2015/08/08 (土) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

【別役を待ちながら】別役実に二部構成でアプローチ
若手劇団が長編の抜粋や短編を演じる「あしたの別役」を一部に、ベテラン劇作家がそれぞれの別役観を語る「わたしの別役」を二部に配した構成がとても良かった。

二部では、別役フリークのケラリーノ・サンドロヴィッチが自宅を訪ねて御大に話を聞くインタビュー映像も公開。的確な別役観が窺えるケラの問いが興味深い回答を多々引き出していて、たいへん面白く拝見。

これは緒事情あって実現しなかったのだろうが、欲を言うなら、二部は司会陣が各劇作家から個別に話を聞くだけでなく、そののちに討論会を開いて各自の別役観をぶつけ合わせ、化学変化から生じる思いがけない論点を提示して欲しかった。

一部は短編『或る昼下り』を丸ごと上演したロ字ックが出色。
不条理と評されがちな別役劇に、きめ細やかな演出とヒロイン役の堂本佳世の迫真の演技によって胸が痛いほどのリアリティを与えていて、否応なしに釣り込まれた。

TanPenChu -​ ♡​

TanPenChu -​ ♡​

猫のホテルプレゼンツ 表現・さわやか

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/09/05 (土) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

かもめんたる岩崎さんが面白すぎた/約115分(終演後あいさつ込み)
 恋ネタをメインに据えたコント集。どのネタも面白いが、そんなにトンガりすぎてもなく、肩肘張らず気楽に楽しめる、ちょうどイイ温度の短編集でした。
 
 特筆すべきは、かもめんたる岩崎さんの面白さ。
 これは推測ですが、本作、岩崎さんが稽古場で飛ばしたアドリブを少なからず取り入れていたのではないでしょうか?
 そう思わされるくらい、岩崎さんのセリフの多くに岩崎センスが感じられた。
 岩崎さんの面白さには感染力があって、出演コントはどれもが隅々まで岩崎カラーに染まっていき、暗めのポーカーフェイスを保ちながらジットリした口調で繰り出す独特のボケが場を支配。
 作中に「パンデミック」という言葉が出てきますが、全体通じて岩崎パンデミックが猛威をふるっていました。

ネタバレBOX

 いちばん笑ったのは、プロポーズしようとカノジョを某天丼チェーンに連れてきた岩崎さんが、カノジョのためにサプライズを仕掛けるネタ。
 あらかじめ抱き込んでおいた店員たちに天丼屋さんの店内でフラッシュモブをやらせるって、面白すぎ♪
 カノジョさんのドンブリにフラッシュモブ風アクションでエビ天を足そうとする男性店員のパフォーマンスは今でも脳裏に焼きついてます(笑)。
【東京千秋楽!!】ブリッジしたのはカンガルー(※当日券若干枚!!)

【東京千秋楽!!】ブリッジしたのはカンガルー(※当日券若干枚!!)

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2015/09/09 (水) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★★

ほっこり♪/約90分(前説トーク+終演後あいさつ込み)
 この劇団らしいアットホームなコメディ。 客席に幸せそうな笑顔が並ぶ、和やかで楽しい公演でした。

 終演後の役者面会タイムもとてもあったかい雰囲気で、好感。
 観に来たお知り合いの方々とキャストさんとが、にこにこと楽しそうに語らっておられました。
 
 好きだなぁ~、この劇団。

ネタバレBOX

 本編とリンクした漫才が随所に挟み込まれていたりと、サービス精神に満ち溢れた楽しいコメディでした。
 ただし、結末に物足りなさ。
 しんみりしすぎないライトな幕切れはコメディにふさわしいが、本作はただのコメディではなく、同時に腐れ縁夫婦のハートウォーミングストーリーでもあるわけで、夫婦の愛情物語の結末としてはやや弱い気がしてしまった。
 ひょんなきっかけで再同居した夫婦が、復縁しそうな予兆をぼんやりと漂わせて話は終わるが、復縁の兆しを「ぼんやりと」ではなく「はっきりと」示して終わったほうが、より大きな感動を与えられたはず。
 もうひと押しで泣きそうになったところでスルッと終わってしまったので、客としては拍子抜け。
 泣くことを目的に芝居を観ることがまったくない私ではあるが、目がウルウルし始めていただけに、もうちょっとだけラストを引っ張ってしんみりムードを高め、涙腺を決壊させて欲しかった。
 私も人間、泣ける時には泣いておきたいので。
その頬、熱線に焼かれ

その頬、熱線に焼かれ

On7

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

原爆乙女の会話が照らし出すヒロシマ/約120分
 ドタドタとして騒々しかった前作『痒み』から一転、今作は派手な動きがほとんどない会話劇。
 ケロイドの手術のため渡米したいわゆる「原爆乙女」たちの、自分たちの身の上にまつわる緊迫したやり取りが細やかに描かれる。
 被曝による容姿の損傷が男以上に痛手となる女性同士の会話から成るだけに、セリフの一つ一つが切実味に満ち、心がザワザワしっ放しでした。

 これから観られる方のために言っておくと、置きチラシの束の中に作品への理解を助ける資料が入っている上、会話を通じて物語の背景が分かるよう、脚本がとても丁寧に書かれているので、ヒロシマのことに明るくなくても、おそらく話は分かると思います。

2作品同時上演!!…ぼくらの15日間戦争!…

2作品同時上演!!…ぼくらの15日間戦争!…

good morning N°5

OFF OFFシアター(東京都)

2015/09/02 (水) ~ 2015/09/16 (水)公演終了

満足度★★★

【世界征服ナイト】若手男優軍団をフィーチャーした新機軸。ギャグは大味も勢いに持っていかれた/約95分
並行上演されている『breakfast,kani』を「身の削り方が足りない」と評したが、こちら『世界征服ナイト』では育子さん、体を張って笑いを取りにいっていて、その女優魂に感服!
といっても出番は少なく、本作はあくまでも若手男優7人をメインに据えた汗臭い男のドラマ。
むろん、育子さん作・演出ゆえコメディ指数はかなり高いが、男優たちが体を張って奮闘する劇ゆえに、テンション頼みの大味な笑いが目立ち、正直、私には笑えないシーンも多々。
それでも、若い男優たちが応援団さながらのハイテンションで力強く演じ、歌い、踊り、戦う姿にはそれだけで吸引力があり、最後まで退屈はしませんでした。
もちろん、藤田記子さんは男優たちに負けじとばかりに本作でも体張りまくり!

2作品同時上演!!…ぼくらの15日間戦争!…

2作品同時上演!!…ぼくらの15日間戦争!…

good morning N°5

OFF OFFシアター(東京都)

2015/09/02 (水) ~ 2015/09/16 (水)公演終了

満足度★★★

【breakfast,kani】もっと捨て身で/約90分
『ジャンキー・ジャンク・ヌードット』や『愛欲の乱』に比べ、大人しい印象は否めなかった。
まずもってこれは、身の削り方が足りないせい。藤田さんだけは捨て身だったが、従来通り一座を挙げてハッチャケないと藤田さんばかりが浮いてしまう。
これに絡めてさらに言うなら、役と演じ手が重なって見えるようなドキュメンタリー性も薄く、これも一座に“すべてをさらそう!”との捨て身の姿勢が欠けているせいだろう。
加えて、妖しさが弱いのも物足りなく思われた一因か? 『愛欲の乱』も女性だけの公演だったが、皆さん、女を振り切る一方で女らしさを振りまいてもいて、濃艶な色香が感じられたのに…。
本作も、女所帯という強みをもっともっと生かさなければ勿体ない。
とは言いつつも、バラエティーショー仕立ての連作コント集としては充分な出来映えだったし、MINAKOさんの独唱は“さすがプロ…”と聞き惚れるほど素晴らしく、それなりに満足のいく90分ではありました。

果てまでの旅

果てまでの旅

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2015/09/05 (土) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

木下崇祥さんは今回はお休み/約100分
女子部屋に行きたくてウズウズしているイケてない男子中学生3人組を主役に、修学旅行の一夜が描かれる。
旅先の学生たちがオマヌケな状況に陥る様を好んで描く玉田さんだが、今作も学生生活に見られがちな“滑稽なひと幕”が目白押しで、ケラケラ笑いながら楽しく鑑賞。

そうしたシーンが笑いを生むのは、言うまでもなく、玉田さんの細やかな観察眼が反映されたリアルな人物造形、そして精妙な作劇の賜物。今作ではとりわけ、クラスのイケてるグループとイケてないグループの描き分けにただならぬ冴えを感じた。

そう言えば私の学生時代も、イケてる男子グループには本作同様、垢抜けたキレイめな女子がマスコットガールのようにくっ付いていたなぁ。。
本作を観て、そのことを少し忌々しい気分で思い出した。
ヤツらがうらやましかったよ。。

ネタバレBOX

一番ウケていたのは、イケてない男子2人がいきなり女子部屋に繰り込んでいくシーン。
足並みを揃え低い位置で拍手をしながら元気よく登場するのが舞台に出ていく漫才師さながらで、これには笑った。
“動きが揃うよう女子部屋に向かう前にみっちり稽古したんだろうな”と思ったら可笑しみは倍加。
しかも、女子たちは揉め事の真っ只中で、無断で入ってきた邪魔者2人を刺すような視線でお出迎え。
たじろぐ男子たちを見てさらに笑った。
バートルビーズ

バートルビーズ

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2015/08/24 (月) ~ 2015/09/09 (水)公演終了

満足度★★★

劇団初見/約135分
バートルビーとは何者なのか? 知りたい気持ちと、知りたくない気持ちが相半ばするなか観劇。

けっきょく私には、バートルビーが何者なのかよく分からなかった。

残念に思われたのは、作者独自のバートルビー観が強く打ち出されていること。

観てゆくうち、バートルビーの謎めきに魅かれ始めた私にとって、バートルビーに固定したイメージがつけられてゆくのは少し興醒めであった。

もっと多様なバートルビー観を提示し、客の頭を混乱させるような作り方は出来なかったものか?

そうすれば、バートルビーを知りたいという気持ちと、謎めいた不気味な存在であってほしいという思い、その双方に応えられる。


燐光群は初見だったが、断片の積み重ねで劇世界を構築してゆく方法論に面白味を感じた。
そして、セリフの洪水に心地好い音楽性を帯びさせてゆく独特の演出にも。

ネタバレBOX

作者はバートルビーに義士のイメージを重ねる。
バートルビーを“資本主義への反逆者”と捉える向きもあるようなので、バートルビーを義士とするのはそう突飛な見立てではないのかもしれないが、そもそも“資本主義への反逆者”にしたところで一つの解釈に過ぎない。

事によったらバートルビーは鬱病者だったのかもしれないし、ただの怠け者だったのかもしれない。あるいは「こんな人物を主役にしたら面白いかも(笑)」と原作者のメルヴィルが酔狂で作り上げたキャラクターだったのかもしれない。

そんな具合に色んなバートルビー観を提示して、バートルビーを理解しやすいものにすると同時に、ますます謎めいた存在にしてほしかった。
幼女Xの人生で一番楽しい数時間

幼女Xの人生で一番楽しい数時間

範宙遊泳

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/02 (水) ~ 2015/09/07 (月)公演終了

満足度★★★

いまだ中二病者の私は身につまされっ放しでした/約95分
『幼女X』と『楽しい時間』の二本立て公演。両作とも私は初見。
『幼女X』は表現こそ洗練されているものの、内容はドロッドロのルサンチマンを抱えたまま成長した青年二人の寄る辺ない生を描いた中二病演劇。
大人になっても中二病が癒えきらない身としては彼らの気持ちが痛いほどよく分かって、鑑賞している間じゅう、身につまされっ放しでした。
これが面白かった反面、『楽しい時間』は観念的で取っつきづらい一作。こちらは楽しみづらかった。

ネタバレBOX

最も印象深いのは、“敵を探し続ける男”が息絶える『幼女X』のワンシーン。
死に場所となる“血の海”が綺麗に描写されているために男の死までが美化されていて、“嗚呼、彼は浮かばれた。成仏した…”と救われたような気分になった。
おつきさまがついてくる

おつきさまがついてくる

【ハッカ】

遊空間がざびぃ(東京都)

2015/09/03 (木) ~ 2015/09/07 (月)公演終了

満足度★★★★

日常の有り難さ/約115分
我々の周りに当たり前にある、普段は気にも留めない日常の風景。
そんな“当たり前”が消えつつある荒んだ未来に我々のよく知る日常の風景が垣間見えた時、そのありふれた光景があんなにも輝かしく、まばゆく感じられるとは!
普段はなんとも思わない“この世界”への愛惜が募ってくる、痛切だけれど素晴らしい物語でした。

時々入る、生を謳い上げるような生演奏&生歌が感動に輪をかける。

未来世界を縛る、“今この世界”にはない“約束事”が少々分かりづらいのがちょっぴり残念。

漂着(island)

漂着(island)

下鴨車窓

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/08/26 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★

色々と不明瞭/約100分
どちらかと言えば明快なものを好む私には、話が謎めきすぎていました。

ネタバレBOX

何より、「地(じ)の劇」と「劇中劇」をつなぐ女、その存在の意味するところがよく分からないのが残念でした。
ホーボーズ・ソング HOBO'S SONG〜スナフキンの手紙Neo〜

ホーボーズ・ソング HOBO'S SONG〜スナフキンの手紙Neo〜

虚構の劇団

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2015/08/25 (火) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

序盤にムフフ♪なシーンあり/約120分
戦後一、二を争うほどの緊張状態にある今の日本が最悪の方向に進んだとき、国内に生じかねない凄惨な世界を描く。

今の日本に作者が抱く強烈な危機意識がストレートに吐き出されていて、体裁を繕ってる余裕なんぞなかったのか、劇作品としてはかなり雑駁。

ただ、私を含めどんな日本人にも他人事ではありえない世界がとても生々しく描かれているため、最初っから最後まで切実な思いで観入りました。


しかし、今後は自ずからこういう芝居が増えていくんだろうなぁ…。
日本の右傾化がそのように芸術表現から多様性を奪ってゆくのだとしたら、ホンット最悪だ。
芸術を愛する身として心からそう思う。

ネタバレBOX

わが国のタカ派とハト派がネットを飛び越え、国内で激しい内戦を起こす話。
きちんと“けり”がつかないままに話は終わるが、今の日本に警鐘を鳴らすためにも、きっちり悲劇的な結末を設けたほうが良いように思えた。
ゴースト・ゴースト・ゥライター

ゴースト・ゴースト・ゥライター

東京パイクリート

OFF OFFシアター(東京都)

2015/08/19 (水) ~ 2015/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

幽霊喜劇固有の可笑しさを堪能/約95分
幽霊コメディならではの“制約”と“自由さ”を最大限に活かしきった秀作。
笑ったし、メッセージもしっかり受け取りました。

ネタバレBOX

「生きてるうちが華なのよ」
というのがメッセージの要旨。
とてもシンプルではあるけれど、この世に未練を残しつつ幽霊になりかけている若い主人公の身の上と響き合って、強く琴線を震わされました。
『血の家』

『血の家』

劇団HIT!STAGE

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/08/21 (金) ~ 2015/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★

一種のユートピア演劇?/約90分
「惨劇」「リアリズム演劇」
『優秀新人戯曲集2014』(劇作家協会 編)所収の戯曲を私はそのようなものとして受け止めたが、戯曲を読んでから一年半余、初めて観た上演は、舞台美術の効果もあってか、もっと抽象性の強い作品、多少大袈裟に言うならば、一種の理想郷を描いた作品とも受け取れて、言い知れないカタルシスが得られた。

なんにせよ、今回初めて上演を観て、戯曲の巧みさ、面白さを再認識した次第。

ただ、劇の細部を早くも忘れていた身としては、分かりづらい箇所がチラホラあって、少々もどかしかったのも事実。
一家の背景を知る上で重要なセリフが案外手短にまとめてあり、セリフを消化しきれないうちに話が進む、ということが何度かあって、シーンをリプレイしたいという詮無い欲望に一度ならず駆られてしまった。
戯曲ならば呑み込めなかった箇所を何度も読み返せるけれど、上演の場合、見返すことはできないんだよなぁ。。。

そんな当たり前なことを実感しもした約90分でした。

ネタバレBOX

身勝手な家長が死んで女たちが(結果として)家を乗っ取るという筋立ては、つい最近観た『算段兄弟』に通底。

しかし、“強権的な男が消えて女たちが生き残る”という筋立てに溜飲が下がるばかりか、女だけが残った世界にユートピアのような甘やかさが嗅ぎ取れるのは一体どういうわけなのか?
ポイントは多分、後に残されるのが“女たち”であるという点。
これが“男たち”だと考えるとぞっとしない。やっぱり女じゃなきゃダメだ。

これは多分、女好きな私のこと、そこへ私が加わったハーレムシチュエーションを無意識裡に思い浮かべ、そこに理想郷を見ているのに違いない。いや、きっとそうなのだ。

なんだか話がしょうもなくなってきたので、この辺で切り上げます。
東京アレルギー

東京アレルギー

劇団野の上

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/08/10 (月) ~ 2015/08/16 (日)公演終了

満足度

終演を待ちわびた/約115分
社会と折り合えずに苦悶するヒロインは、単なる“東京アレルギー”と言うよりも、人間アレルギーにして世界アレルギー。
後ろの2つにフォーカスを当ててくれば、その多くが“人間アレルギー”であり“世界アレルギー”であろう演劇の観客たちは、もっと身を入れて本作を観ることができたに違いない。
だのに実際には、津軽出身のヒロインが東京に馴染めず足掻く様にフォーカスが当てられている上、ヒロインの苦しみが人間普遍の苦しみへと敷衍されきっておらず、観客としてはヒロインに己を投射しづらい。
ために、いまひとつ感情移入しづらい仕上がりになっていて、その点がとても勿体なく思われた。

いや、そんなことを言う以前に、本作、東京でもがくヒロインの受難の有り様が型にはまり過ぎていて、お話としてまるで楽しめず。
中盤以降は退屈で退屈で、終演が待ち遠しくてならなかった。

HODOCHICCHI

HODOCHICCHI

鉄割アルバトロスケット

ザ・スズナリ(東京都)

2015/08/08 (土) ~ 2015/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇団初見。面白い♪/約130分(途中休憩込み)
見世物小屋風に装われた劇場で、役者なのか何なのか、正体不明な人たちがラフな演技で繰り広げるコント集的公演。

鉄割ってこういう劇団だったのですね。。

コント集的公演は「脚本が緻密」などと評価されがちな中、当公演は散漫で取り留めのないネタが目立つも、そのあまりのくだらなさに吹いてしまったネタ多数。
面白くないネタも同数ぐらいありましたが(笑)、その分、客であるこちらは期待しすぎず、緊張を解いてユルっと観られて、とても和やかで楽しいひとときが味わえました。
可能なら、朝から晩まで10時間ぐらい観ていたかった。。

…と、すっかり和んだわけですが、この劇団、トガったところもあって、コントにはドラッグなどを扱ったデカダンスなネタが多く、掛かる音楽はもれなくカッコいい。
この劇団が好きだと言えばオシャレな奴だと買いかぶってもらえそうなので、これからどんどん公言してゆく所存です!!(爆)

37個(!)あるネタの中では、「レディオ・マラリア」と題されたDJショーもどきのネタがイチオシ!
次点は、ヘタレな消防隊長と部下たちのコント。

ネタバレBOX

「最近、映画好きだと思われたい連中が『マッドマックス! マッドマックス!』って、うるさくってしょうがねぇよ!」
「レディオ・マラリア」のこのセリフには大笑いさせられました。
わが娘

わが娘

月刊「根本宗子」

BAR 夢(東京都)

2015/08/12 (水) ~ 2015/08/16 (日)公演終了

満足度★★★

過剰な力演も仇に?
バー公演らしいバカバカしさにやや乏しかった印象。

ネタバレBOX

見栄を張り合うママ友同士のやり取りが延々続くと、バカバカしさより世知辛さが前面に出てしまう。
土田英生セレクションvol.3 『算段兄弟』

土田英生セレクションvol.3 『算段兄弟』

Cucumber

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2015/07/31 (金) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

人間曼荼羅/約105分
ある日とつぜん放り込まれた人間関係の中、互いをよく知らないままになんとか繋がり合おうと努める一同の様子が喜劇味を強く打ち出しながら描かれていて、とても面白かった。

12人の登場人物はそれぞれにキャラクターが立っていて、これが面白さに拍車をかけていた印象。

ストーリーも味わい深く、これを前売3000円というお手頃価格で観られたのはめっけもんでした♪

ネタバレBOX

複雑な家庭の事情によりほぼ面識のなかったきょうだいが、ある事をきっかけに、配偶者らを伴って一堂に会する話。
何かにつけ冗長な例え話をする次男、月並みな事しか言わない次女の夫がツボでした。
更地11

更地11

produce unit 大森そして故林

シアター711(東京都)

2015/08/04 (火) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

秀逸なコント集。山口良一、天宮良と豪華キャストで価格も手頃。/90分強
意表を突くネタや取り合わせの妙で魅せるネタなど、巧み抜かれたコントが12編!
ネタの羅列にとどまらない手の込んだ構成も効いていて、じつに楽しい90分でした!!

KAKUTAの公演で出会ったチラシに導かれて観に行ったのだが、こんなに優れたコント公演を今まで知らなかったことを悔やむばかり。
過去10回の公演も観ておきたかった。。。

どれも面白かったけど、スイカ割りのネタがとりわけ好き♪

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