バートルビーズ 公演情報 燐光群「バートルビーズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    劇団初見/約135分
    バートルビーとは何者なのか? 知りたい気持ちと、知りたくない気持ちが相半ばするなか観劇。

    けっきょく私には、バートルビーが何者なのかよく分からなかった。

    残念に思われたのは、作者独自のバートルビー観が強く打ち出されていること。

    観てゆくうち、バートルビーの謎めきに魅かれ始めた私にとって、バートルビーに固定したイメージがつけられてゆくのは少し興醒めであった。

    もっと多様なバートルビー観を提示し、客の頭を混乱させるような作り方は出来なかったものか?

    そうすれば、バートルビーを知りたいという気持ちと、謎めいた不気味な存在であってほしいという思い、その双方に応えられる。


    燐光群は初見だったが、断片の積み重ねで劇世界を構築してゆく方法論に面白味を感じた。
    そして、セリフの洪水に心地好い音楽性を帯びさせてゆく独特の演出にも。

    ネタバレBOX

    作者はバートルビーに義士のイメージを重ねる。
    バートルビーを“資本主義への反逆者”と捉える向きもあるようなので、バートルビーを義士とするのはそう突飛な見立てではないのかもしれないが、そもそも“資本主義への反逆者”にしたところで一つの解釈に過ぎない。

    事によったらバートルビーは鬱病者だったのかもしれないし、ただの怠け者だったのかもしれない。あるいは「こんな人物を主役にしたら面白いかも(笑)」と原作者のメルヴィルが酔狂で作り上げたキャラクターだったのかもしれない。

    そんな具合に色んなバートルビー観を提示して、バートルビーを理解しやすいものにすると同時に、ますます謎めいた存在にしてほしかった。

    0

    2015/09/07 05:44

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大