満足度★★★
劇団初見/約135分
バートルビーとは何者なのか? 知りたい気持ちと、知りたくない気持ちが相半ばするなか観劇。
けっきょく私には、バートルビーが何者なのかよく分からなかった。
残念に思われたのは、作者独自のバートルビー観が強く打ち出されていること。
観てゆくうち、バートルビーの謎めきに魅かれ始めた私にとって、バートルビーに固定したイメージがつけられてゆくのは少し興醒めであった。
もっと多様なバートルビー観を提示し、客の頭を混乱させるような作り方は出来なかったものか?
そうすれば、バートルビーを知りたいという気持ちと、謎めいた不気味な存在であってほしいという思い、その双方に応えられる。
燐光群は初見だったが、断片の積み重ねで劇世界を構築してゆく方法論に面白味を感じた。
そして、セリフの洪水に心地好い音楽性を帯びさせてゆく独特の演出にも。
満足度★★★★
フクシマを投影する衝撃
坂手洋二さんのことだから、NYウオール街の代書人の話をどう今の日本に引っ張ってくるか、その驚きを味わおうとスズナリへ行った。劇場を出たときの衝撃度は、想像を超えていた。バートルビー的人間はあちこちにいるんだろうが、福島第一原発事故の被災地でこれを目撃するなんて。
I would prefer not to. できれば私、そうしないほうがいいのですが。
この言葉が矢のように飛び交い、残像を残して重なっていく。ラストシーンの衝撃度もかなりのものだ。特に、原発事故後にフクシマに行き、被災地の現状を見た人には、特に胸に突き刺さるだろう。
満足度★★★★★
バートルビー
「バートルビー」とは、「白鯨」で有名なメルヴィルによって書かれた小説で1853年に出版された。{(更なる追記後送)原作は、読んで置いた方が良い。}