満足度★★★★
【別役を待ちながら】別役実に二部構成でアプローチ
若手劇団が長編の抜粋や短編を演じる「あしたの別役」を一部に、ベテラン劇作家がそれぞれの別役観を語る「わたしの別役」を二部に配した構成がとても良かった。
二部では、別役フリークのケラリーノ・サンドロヴィッチが自宅を訪ねて御大に話を聞くインタビュー映像も公開。的確な別役観が窺えるケラの問いが興味深い回答を多々引き出していて、たいへん面白く拝見。
これは緒事情あって実現しなかったのだろうが、欲を言うなら、二部は司会陣が各劇作家から個別に話を聞くだけでなく、そののちに討論会を開いて各自の別役観をぶつけ合わせ、化学変化から生じる思いがけない論点を提示して欲しかった。
一部は短編『或る昼下り』を丸ごと上演したロ字ックが出色。
不条理と評されがちな別役劇に、きめ細やかな演出とヒロイン役の堂本佳世の迫真の演技によって胸が痛いほどのリアリティを与えていて、否応なしに釣り込まれた。