満足度★★★★
【別役を待ちながら】別役実に二部構成でアプローチ
若手劇団が長編の抜粋や短編を演じる「あしたの別役」を一部に、ベテラン劇作家がそれぞれの別役観を語る「わたしの別役」を二部に配した構成がとても良かった。
二部では、別役フリークのケラリーノ・サンドロヴィッチが自宅を訪ねて御大に話を聞くインタビュー映像も公開。的確な別役観が窺えるケラの問いが興味深い回答を多々引き出していて、たいへん面白く拝見。
これは緒事情あって実現しなかったのだろうが、欲を言うなら、二部は司会陣が各劇作家から個別に話を聞くだけでなく、そののちに討論会を開いて各自の別役観をぶつけ合わせ、化学変化から生じる思いがけない論点を提示して欲しかった。
一部は短編『或る昼下り』を丸ごと上演したロ字ックが出色。
不条理と評されがちな別役劇に、きめ細やかな演出とヒロイン役の堂本佳世の迫真の演技によって胸が痛いほどのリアリティを与えていて、否応なしに釣り込まれた。
面白かった!!
8月9日(日) 《別役を待ちながら》 総合司会:鴻上尚史 鈴木 聡
劇作家協会の公開講座らしく?観応えのある内容であった。
このイベントを★評価するのは難しい。内容はもちろん素晴らしく楽しめた。また今後の観劇の参考になるようなこともあった。
例えば、「不条理」を描くとき、どの位置・場所にいるか分からなくなり迷子になるなどと、現場舞台でもそうならば、観客(自分)などはついて行くのが大変かも、など変に感心してしまった。
さて、当日は二部構成になったいた。
第一部【14:00ー あしたの別役】 《20分×3本》別役戯曲の抜粋
その後、鴻上尚史と鈴木聡が、各カンパニーに作品解釈や狙いを聞く。
上演順
○こゆび侍『にしむくさむらい』 [演出]成島秀和 [出演]背乃じゅん(こゆび侍)、宮崎雄真(アマヤドリ)
○□字ック『或る昼下り』 [演出]山田佳奈 [出演]堂本佳世(□字ック)、他
○あやめ十八番『向こう横丁のお稲荷さん』 [演出]堀越 涼 [出演]大森茉利子、金子侑加、笹木晧太(以上 あやめ十八番)、他
[トーク出演]大森茉利子、金子侑加、成島秀和、背乃じゅん、山田佳奈、堂本佳世
第二部
【16:00ー わたしの別役】
○ 「別役実」×「ケラリーノ・サンドロヴィッチ」対談映像
○劇作家たちが「別役実」の人と作品を語り尽くす。登壇:岩松 了、鐘下辰男、坂手洋二、宮沢章夫、渡辺えり 。
9.1迄に追記