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チャペック博士の子供たち【アンケート即日公開!】

チャペック博士の子供たち【アンケート即日公開!】

劇団バッコスの祭

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2015/05/29 (金) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ロボット」と「人間」、そして「人間」と「地球」
フライヤー内容では、
あまり役に立たなそうなロボット達の、
「博士が帰ってこない、さあどうしよう?」という
なんとものんきな説明のみでしたが。


いざ舞台が始まってみると、
クセのあるロボット達、
そして博士の子供(人間)との笑える
会話の中に少しずつ少しずつ、

「鉄腕アトム」の頃から語られている(更にずっと昔から?)
「人間」と「ロボット」についての
普遍的なテーマが織り込まれてきます。


喜劇調に進む物語に大きく笑わせられながらも、
ついロボットや人間が発した台詞の内容について
「考えさせられてしまう」場面も多々、
そしてつい涙腺を緩ませられる場面まで。
(これ以上はネタバレか…)


小さなテーマと大きなテーマ(物語本編本筋)、
本劇団の作/演出の方は本当に
「でっかいテーマをぶつけたい!」という気持ちを持ちつつも、

観劇する側に対して「ただの重い想いの押し付け」に
なってしまわないように、
喜劇調かつハッピーエンドを目指しながら
軽妙に「テーマ」を盛り込んでいく、
という巧みさがあると思います。


そして、役者陣についても全員が全員演技上手とは言えないけれど、
そこはまだまだ発展途上、それぞれの役を喜怒哀楽の感情を
見事に出しつつ演じていく姿に好感が持てました。


カフェ公演で四角い部屋の1つの角が舞台となり、
そこに向かう2つの面に観客席が配置されている為、
観る位置を変えるとまた違った役者の表情などが楽しめるかな?

と思いましたが、明日で千穐楽かつ満席状態との事。
ふむぅ・・・


PS.感想書いてすぐ表に出てしまった為、
  舞台後にくれるというアフターパンフレットを
  貰い忘れてしまいました。
  何が書いてあったんだろうなあ・・・気になるなあ・・・

ネタバレBOX

【思った事】
※ 1つ1つの台詞自体に小さな「テーマ」が盛り込まれている為、
  そのすべてを記憶はしきれませんでした。
  その中でも気になったものを。


・ ロボットには「心」がない。
  設定された情報から、与えられた場面に対して
  「心」があるかのような対応/反応をしているだけ。

  という所から、人間だって同じような経験を繰り返して
  「心」を獲得している、
  だとしたらロボットにも「心」はある(獲得できる)のでは?
  という話の流れが自分の心に刺さりました。

  「心」なんてない、と言いながら戦争ゲームの
  仲間であった女性に恋をしていて、
  「実は人妻だった」という事実にショックを受ける戦闘ロボ、
  笑わせられつつ考えてみると深い話だなあ、と。
  (「それ、心じゃん!」と突っ込みたくなるような( ´ー`))


・ ロボットに仕事を奪われた元社長、
  最初ロボットなんて憎い!という所から始まり、

  たまたま妻が買ってきたメイドロボの
  「好きになってもらうには、どうしたらいいですか?」
  という問いかけに、

  ロボット全員が憎い訳じゃない(自分を失脚させたロボだけが憎い)、
  そしてロボットはなんでも人間の言いなりで
  自分の気持ちを表に出してくれない(だったかな?)、
  だから嫌い、

  という本音を晒していく流れ、
  そして最後に就職が決まった事をメイドロボと一緒に喜べるまでになる、
  この流れが涙腺を緩ませます。


・ 冒頭、お掃除ロボがゴミを拾いながら
  「こうやってゴミを拾っていけばきっと世の中はきれいに
  ・・・ならない(人間が地球を汚染し続ける限り)」という
  「真理」にいきなりたどり着いてしまったかと
  思った所でバッテリー切れ。
  
  そして毎回毎回すぐバッテリーが切れてしまうポンコツ、
  という笑い設定のようでありながら、
  実はその理由が本物語の一番の根幹であり大テーマである、

  アイザック・アシモフのロボット三原則の
  「1.ロボットは人間を傷つけてはならない」を
  拡大解釈する事により生まれる「マイナスワン」という思想、

  全ての生物を生かす為には地球を汚染し続ける
  「人間」こそが有害な存在である、

  ならば緩やかに「人間」には滅んでもらおう、
  という流れに繋がっていたとは驚かされましたΣ(゚Д゚


・ あと、「心」が欲しい、というロボットが、
  写真のような絵は描けるけど、
  心を打つような芸術的なものが自分には作れない、
  という話から、
  「人間っていずれロボットにとって変わられた時、
  ”芸術”(感性/創造力)の部分以外ロボットに勝てないんじゃないか?」
  という話が、思わず納得させられてしまうものでした。


・ 戦闘ロボの戦場での1人芝居、
  「確率2%!ならやる価値はある!」のネタが、
  まさか最後にお掃除ロボがたどり着いた結論、
  「人間が50年以内に自分の欲よりも、地球の汚染について考える可能性」
  と掛けられていた所が、

  「ウマイ!」と思わせられてしまいました。
嘘ツキタチノ唄

嘘ツキタチノ唄

企画演劇集団ボクラ団義

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/01/18 (金) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

凝りまくっていてそれでいて楽しい脚本、演出、演技に殺陣、更にはギター、フォークソングまで
昭和の大事件(ノンフィクション)、嘘だけが書かれたという過去の日記、その中の殺人告白と容疑者。
これだけが提示された序盤から、どうストーリーが展開していくのか(既に本劇団の舞台に触れた事のある方なら期待に胸踊らせ、初めての人なら面白くなるのかつまらなくなるのかのかすかな不安とともに)、現代と過去を演じる役者さん達を眺めていく事になります。
そして、当たり前のように演劇内容(ストーリー)が頭に入ってきた所でいきなりの急展開!
ここまでは書いていいのかな、
とにかく最後まで夢中になれて、オマケまでついてくるといういい舞台です、特にこれだけ夢中にさせる脚本がPlay Again(過去作品、再演)だという事に驚いてしまいます。

ネタバレBOX

日記内容の再現となる舞台内容を当たり前のように観劇していてだんだんとその人間関係相関図、ストーリーが頭に入ってきた所でいきなりの
刑事「嘘だ!」

そこから始まる真実のストーリーとのギャップに一時的に頭がショック症状のようになってしまい、今まで記憶理解した人間関係、ストーリーがごっちゃになってしまい混乱してしまいました。しかし、それを順次やさしく紐解いていき、そしてオープニングで提示された情報がすべて紐ついた時、物語は悲しいラストに向かいます。

しかし、ボクラの脚本家さんはほんとに遊び心がたっぷりなので、単に悲劇では物語を終わらせません。

ある意味単なる舞台ではなく「脳のトレーニングなんじゃないか?」なんて思ったりもする頭を使って観劇する舞台(アフターパンフで改めて真実を確認するとこれだけの複雑な話をよく演じきったな、と再び驚いてしまいます。役者さんの演技にも、そしてそれを観劇し理解できた自分にも)
relife

relife

LOVE&FAT FACTORY

シアターKASSAI(東京都)

2014/07/23 (水) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

「犯人は誰だ!」的ドキドキミステリ
パンフに書かれたあらすじから
「死刑囚としての過去・消された記憶の行方」と
「真実の愛の形」的なものを組み合わせた物語になるのかなあ、
と想像してましたが、
(想像は当たっていながらも)
ある連続殺人事件の「犯人は誰だ!」的なミステリをうまく絡めていた為、
一癖も二癖もある登場人物について、
「この人は違うな?」
「この人の行動怪しくないか?」
と終盤までずっと自分なりに推理しつつ物語を楽しむ事が出来ました。

ネタバレBOX

(パッと見売れてなさそうな)アイドル3人組の前説から、
いきなり部屋で寝ている男とその隣にいる妻(恋人?)とおぼしき人物、
「記憶がない(昨日の、ではなく今までの)」という男に対して、
「昨日ベロンベロンに酔って帰ってきたのよ」、
と自分達が夫婦(恋人?)である事などを
それとなく納得させての物語スタート、と思ったら、


場面転じてゲスい敏腕プロデューサーに
先のアイドル3人組(パストラミ)の
プロデュースをお願いするマネージャーと、

ゲスいが故に3人それぞれの身体を要求するプロデューサー、
更には一番年下の未成年ながら自ら「アイドルになる為に」と
身体を差し出すリーダーなど、


案内パンフにあった人間関係構成図が段々と紹介されていきますが、
いきなりそこになかったはずの線が登場し始め
(妻と敏腕プロデューサーの関係など)、


ニュースで流れていた「顔面ミンチ殺人事件」を
追う刑事達の登場から更に物語が動き始めます。


・ 場面転換のテンポが(全部が全部ではないですが)
  基本的に良かったです。

  物語中(鑑識の人が愚痴ってましたが( ´ー`))、
  必要な小道具である椅子や机を自ら持ち込み
  場面を演じた上で小道具を片付けつつハケる役者と
  次の場面に入る別の役者達、

  シアターKASSAIは大道具、小道具をクルクルと
  入れ替えするのが難しい為、
  下手な?お芝居では場面転換ごとに暗転して
  いちいち総入れ替えを行ったりとする所を、
  前述のようにサクサク進行してくれた為、
  物語への集中が全く妨げられずに済みました。

・ 刑事が追っている以上、登場人物の誰かが関わっている(犯人?)であろう、
  「顔面ミンチ殺人事件」、
  通り魔的犯行かつ顔面をナイフでめった刺しにするという
  この恐怖の事件について、

  本劇の登場人物それぞれがそれぞれ一癖も二癖もあった為、
  「この人が犯人でもおかしくない!?」
  「この人はあいのりしての模倣犯になろうとしてるので違う?」
  「普通の人かと思ったら実はコイツも悪い奴?怪しくなってきたぞ!?」
  など、(今では珍しくなった)犯人が誰か分からない状態での
  ミステリ小説的な物語展開に、
  舞台観劇と同時に推理ゲームを楽しむ事が出来ました。

・ 「脳の記憶は消したが身体の記憶は残っている」という言葉に始まり、
  主人公が段々と元殺人鬼にして死刑囚「松本」であった事を
  断片的に思い出していく場面、
  (元殺人犯が今回も犯人、では普通すぎる物語になってしまう、と)
  「主人公は犯人ではない」とは思いつつ、
  最終的にこの主人公はどうなってしまうのか?
  序盤での「普通の人」としてのリサイクル人生(relife)を
  生きられるのか、
  あるいは殺人犯「松本」の復活になってしまうのか、
  物語の流れが非常に興味深かったです。

・ 殺人犯「松本」については、
  当時通り魔的犯行で被害者に致命傷を与えながらも、
  「自分が一番大切だと思う人に電話をかけ、その人が来たら助けてやろう」
  (致命傷なのでどちらにしろ助からないのですが)、
  というゲームを楽しんでいた、という過去から

  「愛情」が分からずにいたサイコパスな殺人犯、としての過去と
  終盤の妻とのやりとり、「松本」化してしまいながらも
  「(ナイフで刺して、愛を)試してもいいか?」と妻に問いつつ
  実際には自分を刺して自分自身の気持ちを確かめる、
  伏線からエンディングにかけて
  「うまくつなげてきたな」と思わせられました。

・ そもそも今回はボクラ団義中村さんの客演を観に行ったのですが、
  ボクラ団義での「善のおじいちゃん」や
  「悪役中高年(志士や悪徳政治家)」役とは大きく違う、

  本物語の中で「こいつが一番悪いんじゃないのか?
  (物語が悪い方向へ進む全ての引き金になっている)」
  ある意味主役すら食いかねない、
  エネルギッシュさとゲスさと弱い心も持った、
  敏腕悪徳プロデューサーを見事に演じてました。

  パストラミ3人が大接近してのアピールなどに対して、
  まったく表情を崩さず「くだらないね」と流す演技など、
  やはり演劇経験の長さ/深さが色々な面で生きてるんだなあ、
  と改めて感心しました。

・ 本物語の導入の更に前にあたるプロローグ
  (殺人犯「松本」改め人畜無害になった主人公が
  ヒロイン(妻)の家に来るまで)を
  無声芝居で演じられていたのが良かったと思います。

  家族といえる人を全て失った元アイドルが「金の力で」とはいえ、
  再び「家族」を得ようとする行為部分、
  下手に普通のお芝居で描いてしまうより、
  無声芝居で演じられる事で、実際表現されている内容以上に
  「きっとあんな事こんな事があったのだろうなあ」と
  想像力を膨らませるきっかけになりました。


自分としてはひさびさのドキドキ「推理劇」を組み込んだ
物語展開に本劇を心から楽しめた、と思います。


ただ、数点気になった所

・ パストラミのリーダーにして、
  「顔面ミンチ連続殺人事件」の犯人について、
  今回のプロデューサー殺人未遂の理由はともかく

  ・ どうして連続殺人を行うようになったのか?

  ・ なぜ、パストラミの缶バッジを毎回犯行現場に残したのか?

  などの部分について、出来れば物語中で描いて欲しかったなあ、と。

  本筋は「ここではない」っていう意味で
  蛇足にならないように削ったのかも知れないけど

  同様に

  ・ 元刑事で殺人犯「松本」の検挙を機に鑑識へ転属した
    (実際の刑事/警察機構でそんな異動が出来るのかはともかく)
    その理由(わけ)も知りたかったですねえ。

  その辺、ラスト前、あるいはラスト後のエピローグ的に語られたら
  (自分としては)更に良かったかなあ( ´ー`)

と、「この部分もっと深く観せて欲しかった」という部分はありましたが、
観劇中ずっとドキドキさせられたミステリ要素などが非常に
面白かったので★5つ、とさせていただきます。


PS.感想書き終えてご飯食べてて気付きましたが、
  「顔面ミンチ殺人事件」、最後の被害者はプロダクション社長だったような?
  となると、
  ・ リーダーは無差別殺人ではなく「パストラミ」の障害になる
    人物を殺していった?
  ・ しかし、分かりやすい繋がりが見つかれば
    すぐに犯人にたどり着いてしまうのでは?
  など、ちょっと振り返り考察も楽しめるのがいいですね。

虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

相鉄本多劇場(神奈川県)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

公演期間中に進化する舞台に劇団の矜持を見せてもらいました
(本公演含め3回目の感想すいません、
感想ストッパーになってしまっていないかと
今回は感想あげないつもりでしたが、
あまりに衝撃を受けたのでやはりあげさせていただきます_(x x)_ )


東京→大阪公演中/後に急遽決まった横浜凱旋公演、
しかし大阪公演終了からこの凱旋公演までの期間が中途半端な長さである
(すぐというほど近くなく、しかし十分練習し直せるできるほど長い期間でもない)
と思われる上、ボクラ団義メンバーやその他ゲスト様それぞれ
次のスケジュール(別舞台その他の準備など)に入られているのを
ツイッターなどで知り、「今回の凱旋公演は(劇場がまた変わる事も含め)
元のクォリティに近いものを観せてもらえたらそれだけで御の字なのかな?」
ぐらいに考えていました。

しかし、「すべてはお客様の為に」をモットーとしている
ボクラ団義さんにはまたまた驚かされてしまいました。

私自身は東京で2公演観て舞台内容に大変満足させていただき
☆5つつけさせていただいていましたが
ボクラ団義さんは更なる妥協を知らない劇団でした。


(大阪公演を観ていない為、大阪、横浜どの時点で
このテコ入れ(?)が行われたのか分かりませんが)
演者さん自身が演じてみて/裏方さんが実際観てそれぞれ感じた事や
観客のアンケートの内容その他を反映し、
元の内容でも十分良い出来のモノだったのを
メンバーそれぞれ十分な練習期間が取れないであろう中でも、
更に改善/昇華させていました。
(具体的には若干不明瞭と思われた役の行動の動機付けや
その他分かりにくさの見られた(と思われる)部分などを
脚本/演技自体手直しされていました。)


元のクォリティどころか、更に良くなった舞台を観せていただけて
「横浜凱旋公演(チケット)取って良かったー」と感激させられました。


ほんとスゴイですね、元内容のレベルを保つだけでも
全然劇団のスタンスとして問題はないだろうに、

「元のもの以上のものを凱旋で観せる!」

しかも(大阪でもそうだったと思いますが)
劇場施設の広さその他の関係からも演技/演出、大道具など
公演自体の為に色々な手直しが必要になるでしょうに
(SPACE107に比べ相鉄本多劇場は少々狭い為、
その分ダンスその他から演技からを少しずつ
微調整していく作業が必要になったかと)、
その上での舞台自体の改善(昇華というレベルかと思います)、
とても素晴らしいものでした。


今までもとてつもなく凝りまくった設定/脚本を演じ、
しかもそれをちゃんと観客に理解させる、
というかなり高度な舞台をつくり上げる、
スゴイ劇団だとは思っていましたが、
こういう思ってもみなかったサプライズを知ると、
劇団としてのポリシー、矜持(?)を
本当に高いレベルに設定しているのだなあ、と
今更ながらに感心させられました。


ネタバレではないので表感想に長々と書いてしまいすいません、
今までも「ファン」ぐらいの気持ちは持っていたつもりですが、
観客として更に押したい気持ちにさせられました。

PS.あと、座布団はとてもうれしい心配りだと思いました。

ネタバレBOX

今回の観劇では、劇場自体が違う事、自分の観劇位置が俯瞰めだった事もありますが

・ イセの殺陣が以前より更によくなっていた

・ イセの情熱的な物語を表とするなら、ダークサイドに当たる
  カイの狂気が更に引き立てられていた

かと思いました。

そしてテコ入れ(というとまるでダメな所を直したような言い方になってしまいますが)として

・ アキカゼの死、一連の無声芝居部分の拡張がはかられた

・ (勘違いでなければ)サンゴの正義→欲への切り替わりがより明確になった

・ ジンがなぜ弟のサカイガワの手にかかって死ななければならなかったか、
  に明確な設定がついた

などの部分が非常に自分には分かりやすくなり、
今まで以上に物語が胸にストンと落ちる(腑に落ちる)感じがありました。

その他にも、旅立ちの際の帆の見せ方(イメージさせる形を取った)など
色々な部分に手が入っていたのかと思います。


【気になった点】
・ 1つだけ、アキカゼのナイフについての説明が増えていましたが
  「ナイフがない」の連呼、殺される場面でもなお
  「ナイフがない」の音響、あれだけ
  どこを補完する為だったのかイマイチ分かりませんでした。
  (最初、クッキーがアキカゼのナイフから船の模型を作る所につなげるのかと
  思いましたがそれっぽくもなかったような)
  
  ここだけ元の舞台よりコントチックになってしまっていて、
  笑っていいのか泣くべき所なのか迷ってしまいました。


・ 相鉄本多劇場は舞台/客席とも小さめで、スモークがけっこう回っていたのもあり
  SPACE107での観劇とはちょっと舞台上(景色)の見え方に違い(違和感?)を感じました。
  マイナスポイントという訳ではないのですが、
  DVD&Blu-ray化するのに、映像の鮮明さならSPACE107、
  でも物語はより昇華された相鉄本多劇場、とどちらを
  選択されるのかがすごく気になります。
  (大阪もありうるのでしょうが)


・ 相鉄本多劇場(あるいは大阪)用に新たに起こされた
  鉄の船(戦艦と言っていいのでしょうか?)、
  あの舞台の大きさでSPACE107よりも強固な鉄の船を
  観せていただけたのは良かったのですが、
  ちょっと先端の3パーツそれぞれがヘタった感じで
  「旅立ちの一番感動的な場面で、まさか倒れてしまうなんて
  アクシデント(笑いは取れると思いますが)はないよな!?」
  とそこだけ別の意味でドキドキさせられました。
  無事、17:00回の千秋楽をくぐり抜けられればよいのですが・・・


まだボクラ団義さんを観劇させていただいて1、2年ですが
2013年は本当にいい舞台を沢山観せていただき、
その上で2014年そうそう「劇団としての矜持」のようなものまで
見せていただけたので、今年の活躍に期待させていただきたいと思います。


PS.そうそうPlay Againも全部DVD/Blu-ray化されるのでしょうか?
  自分がワラワレのPlay Againから入ったもので
  ぜひ観直したいなあ、と
義経ギャラクシー

義経ギャラクシー

X-QUEST

王子小劇場(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

王子小劇場でありがとうヽ(´ー`)ノ
二度観感想失礼します。
二度観して、細かい点への気付きもろもろもありましたが、
何よりも1度観と比べて求心力が少しも
下がらない事に「凄さ」を感じ、
その何よりのキーポイントは王子小劇場、
そして囲みリング舞台にある、と思いました。

舞台からの距離で舞台上の役者の演技(感情)と
物語の持つ空気(雰囲気)との伝播度合いは
変わってくると思います。

※ まれに演技や物語の起伏、空気感の作り方、
  演出のうまさなどでその距離を感じさせない
  お芝居というのにも出会う事がありますが、
  近くと遠くでお芝居を観るのなら、
  そして、それが
  「お芝居の世界にどっぷりと浸かりたい(客観より主観で観たい)」なら
  間違いなく距離は近く方がいい、と思います。

それがほぼ0距離(舞台そでまで使うのでほんとの0m)で
味わえてしまうのだから、
そして綺羅びやかな衣装での超高速ダンサブルな殺陣・ダンス、

そして王子小劇場ではあまり期待していなかった
照明/演出効果にまで凝りに凝りまくっているのだから
それはもう至福のひとときかと思います。

X-QUESTさんありがとう、王子小劇場さんありがとう、
2つの組み合わせにありがとう、と改めて今日思いました。

ネタバレBOX

【思った事】
・ 表に書きましたが、王子小劇場はそれほど
  キャパの大きい劇場ではありません。

  (多分)囲みのリング舞台にする事で更に
  観客席数は減ってしまうものと思われます。

  それでも、観客が観て何を感じられるか、
  何を得られるか、をまず考えて
  毎回囲みリング舞台での舞台公演を行ってくれる
  X-QUESTさん+王子小劇場さんのコンビに感謝です。

  ※ 最近、集客の為に中箱、大箱を狙って、
    まったく舞台上から何も伝わってこない、
    というお芝居を観て、
    劇場と観客席の関係について色々と考える事が多くなりました。
    しかし、王子小劇場での囲みリング舞台なら
    まず「感情伝播は間違いない!」と思えるのがうれしいです。

・ 義経悲しいなー、あまりに悲しい源義経。
  そもそもの物語にしても(これも諸説なのかも知れませんが)、
  兄と弟の確執の悲しみ、

  そして本劇では「稀代のヒーロー」にして「戦(いくさ)好き」の
  源義経が怨霊となってまで、
  その波乱に満ちた生涯を繰り返し、
  「友」と信じた弁慶と仲違いをしてしまい
  かっこ悪くも泣いてしまう、
  そんな「カッコ悪さ」をもってなお、
  源義経は悲しいヒーローなんだなあ、と
  涙腺にひびきながらに思いました。

・ もう1人の主人公(いや、もう2人?)、
  義経に敗れたその日より主(あるじ)にして友、
  そう思ってきた源義経の為に
  最後の最後の立ち往生を向える弁慶(場面の名前あったんでしたっけ?)、
  そしてその友情を断つ事で、
  この無限ループを終わりにしようとする姿。
  
  そして、静御前(こちらは詳細は把握してませんでしたが)の
  腹の子であったとされるミエテルの
  宮沢賢治の世界観を超えてやってきた、
  源頼朝に父の仇(かたき)を討つよりも、
  ただ父(源頼朝)と遊びたかった、
  とする、ミエテル(本名なのかな?)、
  それぞれが悲しかったです。

  言ってしまえば「源義経ともっと旅(?でしたっけ?)をしたかった」
  と語った、源頼朝もまた悲しい人物だったのかも知れません。

・ 今回はいつも以上に演出(特に照明演出、音響演出)が
  カッコ良かったですね。

  ライティングと音響の上手さで
  ・ 銀河鉄道
  ・ 天の川
  その他色々なものを王子小劇場に表現してくれたのが
  新しい試みのようで楽しかったです。

・ 1度目は各演者の台詞回しのつたなさ(?)と
  説明の聞き取りづらさ、理解しづらさで
  (?自分でもどこが悪かった、と言い切れないのですが)
  ☆4つとしてしまったのですが、
  今回、のどを壊しかけていた方はいましたが、
  舞台上から伝わってくるもの自体には☆5つ、
  と思ったので評価を上げさせていただきます。

・ なしおさんの歌がほんと上手。
  そして、踊りもあの体格( ´ー`)とは思えないほど優雅に踊る。
  筋肉でできてるんですよね?

今後も「集客」よりも、「観客に何を与える事ができるか」を考えながら
王子小劇場+囲みリング舞台を続けて欲しいなあ、と思います。
(この体当たりの演劇を続ける為の協力(複数回の観劇など)なら
是がひでもしたいと思います。)
テレビのなみだ~仕事に悩めるあなたへの77話~

テレビのなみだ~仕事に悩めるあなたへの77話~

TBS

東京グローブ座(東京都)

2013/03/26 (火) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

テレビ側の人間が作るテレビマン悲喜劇に涙
劇団ひとりさんの演技と鈴木おさむさんの脚本/演出を観てみたくて観賞しました。テレビ番組制作に関わる人間とその家族の悲喜劇(実話を元にした)に
思わず泣いてしまいました。わずか6名という少なめの役者数、いつも観にいっている舞台役者とはまた違った「熱さ」というよりは少し淡々と演じられている感じ、それでいて情熱と悲しさといろいろなものが伝わってくる演技と物語に感動です。笑いの為なら全裸にもなるし、演技も本気な劇団ひとりさんに「劇団ひとりかっけー!」とエールを贈りたいです。

ネタバレBOX

そもそもチケットぴあかe+のメルマガで「劇団ひとり出演、鈴木おさむ演出」というのを見て2人とも著書その他がなかなか感動させると有名だったのでなんとなくその舞台を観てみたかったというだけの理由で予約したんですが、取ってみたらまさかの平日昼間で「うわー、会社休まにゃならんやん」とそこでちょっとショックでした。

その上、当日チケットを見てみたら出演者の欄にジュンテさん(?韓流アイドル?)の名前があったり、更に現地にて「舞台後、ジュンテさんのトークショーあり」など「うわー、自分の嫌いな韓流押し、それも韓流舞台とかじゃないよな、そしたらマジ途中退席するわ」ぐらい意気消沈ぶりでした(日韓の関係悪化も含めあちらの人たちにいい感情は全く抱いていないので)。

で、更に劇場内舞台開演前盛んにかかっているボリューム高めの山下達郎の曲も「ちょっと音楽ガンガンかけすぎ、しかも選曲が山下達郎ばかりって・・・」(別に山下達郎さんが嫌いな訳ではないんですが、今までの舞台で開演前に邦楽かけるとこ自体少ないし、それもかなりボリューム抑えめが普通だったので)と、舞台演出含め悪いイメージがどんどん膨らんでいきました。

しかし、いざ舞台が始まってみると・・・


【あらすじ】
舞台左側がテレビ制作現場、右側がテレビプロデューサー「太陽さん」の自宅(上手、下手ってどっちでしたっけ?)

まず、真っ暗な劇場上部に表示される「465」(値は間違ってたかも)の数字。

そして、
深夜のバラエティ番組(コント主体)で成功をおさめ、いよいよゴールデン枠へ進出、さてじゃあどんな番組にしよう、という制作者陣の会議場面からスタート。
今まで一緒に頑張ってきた芸人達と「コント」でやっていきたい、という太陽さん、に対して「コントでゴールデンは弱い、若手芸人にもっと無茶をやらせていこう」と押すディレクター達、という打ち合わせと太陽さん宅での奥さんとの会話の繰り返しで劇が進められていきます。

客席を見ると韓流?目当てか老齢の方が結構いらっしゃったんですが、
その方々にも分かりやすい笑いの取り方など、若い人には逆に「それほどおもしろいか、今のネタ(??)」などの空気もあったかも知れません。

ただこの場面の中で太陽さんの番組にかける想い、テレビマンとしての熱血ぶりと家庭では奥さんを大切にする、という両面がうまく表れていたと思います。

そこに、いい番組を作って人を喜ばせたいという情熱を持って、大手出版社を辞めてまでADになった若者としてジョンテさんが現れます(名前だけで毛嫌いしてしまっていましたが、演技はとても真面目で若さと情熱にあふれる好青年ぶりが前面に押し出されていました)。

途中、太陽さんの武勇伝としてビートたけしのモノマネやダチョウ倶楽部、江頭2:50ネタなど、(実際に業界でありそうな)ネタをおりまぜてきて多分テレビ大好きな老年者層などには大受けだったのかな、と思います(自分もネタはわかりましたが、最近テレビ局などをよく思ってないのでその辺は受け流して観てた感はありますが・・・)。

舞台途中何度も劇場上部に表示される数字、その値が減っている事から「何かのカウントダウンを意味している?」と思ったのですが、

ある時その値が最初の「465」に戻り、また最初の場面が再現されるのですが、そこにかかってきた奥さんからの1本の電話、その裏で実は・・・

と、表面部分に当たるテレビマンの熱血パートと家庭での奥さんとの仲睦まじさの中に、実は裏側ではこんな事が着々と進行していたのか、と(タイトルからちょっと想像がついていた人も多いかとは思いますが)いよいよ物語が本当の姿を見せ始めます。

過剰なネタバレは避けるとして、
太陽さんの思惑どおり「コント主体」で挑んだ番組は大成功し、それは奥さんにも笑顔を与え、しかし無情にもカウントは進んでいく・・・

結構飛び飛びに進むカウントに、「いつ0になってしまうんだろう?」と終始ハラハラさせられた上、一旦進んだカウントが戻っては「実はこの場面の裏では」という伏線ばらし、など、物語中の明と暗を6人の演者さん(特に劇団ひとりさんと奥さん)が見事に演じ分けていました。

そしてカウント0を迎えてしまい・・・

というお話なのですが、重すぎない、ネタに凝りすぎない伏線がまたきれいにはまっていて、見ていて脚本/演出の良さをまず感じました。

その上で、明→暗、そしてまた明、と繰り返し変わっていくパートを見事に演じ分けていく役者さん達(観客の中では途中からすすり泣く声も聞こえてましたし、後でジョンテさんも言ってましたが、下手をすると「悲しみの演技を引きずってしまう」ような部分も見事に演じ分けていました)。

多少淡々というかあっさりした感じで展開していく舞台なのですが、本当にいい舞台でいいお話でした(いい涙をもらえたと思います)。

その後でこれが実話を元にしている、と聞いて驚きました。


舞台が非常に良かったので、そのまま「ジョンテさんのトークショー」も観ていく事にしたのですが、こっちは本当の意味で「韓流ファンへのサービス」だったと思います。嫌韓および韓流ファンでない人はさっさと席を立って帰ってしまいました。結構その人数が多かったので、「ああ、みんな韓流ファンだから観に来た」という訳ではなかったのか、老年層=韓流ファン、みたいに思っていた自分には驚きでした。本当に舞台が観たかったんだなあ、と。
(まあ、本来なら主演の劇団ひとりさんや鈴木おさむさんのトークショーになるのが普通ですからね、この流れなら)


で、ジョンテさんのトークショーなんですが、TBSキャスターのアンディーこと安藤アナの仕切りで行われ、その中で
・ ジョンテさんはバリバリの関西弁である。
  今回苦労したのは「日本語」じゃなくて「標準語」。
・ ラジオ放送局でADの仕事をしていた事がある。
など、ちょっと親しみの持てるようなお話が出て来ました。

テレビでの韓国ゴリ押しやネットなどでの韓国の方々の日本に対しての「横暴とも思われるような発言その他」から、自分の中では韓国人=敵、みたいなイメージを持ってしまっていましたが、少なくとも日本で活動されているジョンテさんのような方は、(表面上かも知れませんが)本当に日本のファンに対して、かなり紳士的に振舞われていたかと思います。

ビラの中の他の舞台公演の出演者にもジョンテさんの名前が出てましたが、
自分は「少なくともジョンテさんが出ているから」という理由でその舞台を選ばない、という事はしないようにしよう、と思いました。
(まだ演技がうまい、とまではいっていないと思いますが、単なる韓流ウケを狙ってるタレント、ではなく、ちゃんと舞台で演技したい、と考えている方かと思いましたので。)


で余談ですが、その帰り劇場ホールを出たら、普通に廊下で舞台スタッフと釣瓶師匠が談話してたのでちょっと驚きました。
さよならの唄

さよならの唄

企画演劇集団ボクラ団義

六行会ホール(東京都)

2013/05/30 (木) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

『盛りだくさん』、その一言に尽きる
2ヶ月ぶりですか?(本公演だと4、5ヶ月ぶり?)のボクラ団義さん本公演。
冒頭から「これでもかっ!」というほどの
演技とダンスと演出と設定の多さに目が眩んでしまいそうでした。

いつもならなんとか物語と設定を(だいたい)全部把握して
納得できるのですが、今回はいつもを超えているのか
自分の理解力が落ちたのか、一部人のつながりその他理解しきれなかった所が・・・
(この人は事前に出てきた人だっけ?どの人とつながってるんだっけ?と)

また、演出方法について「こういう意味かな?」ぐらいに捉えていたのが
終演後帰りの電車でアフターパンフを読んでいて
「ああ、そういう意味であの観せ方だったのか」と前公演のツボの件のように、
もう一度見なおさなきゃ分からんなあ( ´ー`)、という箇所も。

と、お話を全部は回収しきれなかったなあ、とは思いつつも
2時間45分という長編を演者皆様の演技の良さに引っ張りこまれて
涙と笑いとその他色々な感情を持って見届ける事が出来ました。

ネタバレBOX

ただ、後でアフターパンフや今回初登場の本格的パンフを読みつつ
これから物語を思い出さないと

劇中で「あ、この人のこの台詞いいなあ、見事にこの場面/話を言い表してるな」
など、ちょっとずつ心に残った場面などが思い出し切れないのは、
ちょっといつもに増して情報量多すぎか?とも思ったり思わなかったり。


冒頭でバス車内での演技をしてる時に座ってる人、立ってる人それぞれ
演技をしつつも身体は荒れた山道に合わせて揺れてたり
細かい所が見事だなあ、などいろいろな箇所で思ったのですが
その箇所も思い出しきれません
(そういう見えない良点が多数散りばめられていたせいもあるのでしょうが)

ただ、タイムスリップものなので当然のようにいくつもの史実/歴史的設定が出てくるのですが、
脳死の時点では「これが今回の背景的なメインテーマかな?」
と思ったら更に列車事故/震災と続いたのは、ちょっと時事ネタ入れすぎかな、という気も


また、病院と女子高生2人の場面が始まって、
また次にこの組み合わせが登場するまでの間がかなーり開いたようで、
最初の登場では「メインキャラ的な立ち位置か?」と思っていたのに、
次の登場時には、自分の中からこの人達のことがポッかりと抜けてました。
(その事に気づいた時、更に「あっ!この人(キムラさん)の設定が
まだ何1つ出てないや!」と更に驚かされましたが)


最初の傘ダンスの時点で思いましたが、あれだけの大人数、
メインとなる人も多数、それぞれに複雑かつ深い設定
(それぞれが背景としては2013年、2010年?、2003年に集約されているのですが)
を見事に膨らませて落としたなあ、と思いますが、
やっぱり良くも悪くもボリュームが大きすぎ、ですね。


複数回公演を観られる方や、DVD/ブルーレイを購入して再見する方はともかく、
1度見ただけで全容を理解するのは難しくなってきたのかなあ、と。
(そこまで含めてボクラ団義流、と考える事も出来るのでしょうが)

自分は「このスタイル」のボクラ団義さんに大満足ですが、
人を選ぶようになってきた(?もともと?)とも取れるのかなあ


追記.
いただいたアフターパンフを読んで設定を振り返り、
更にカラーパンフを読んでいて、
千代將(あってますか?)太さんを観て、
「ああっ!ピーナツバターの人だ!そうだ、そういうシーンあったあった!」
と思い出しました。

多分、いつものモノクロパンフだけだったら思い出せなかったと思います、
やっぱりカラーでキャスト写真載ってると記憶を呼び起こす力がハンパないです、

コストとか大変だったと思いますが、ぜひカラーパンフは続けてほしいなあ

( ´ー`) 「これはいいものだ」
ミハルの人魚

ミハルの人魚

X-QUEST

駅前劇場(東京都)

2013/08/17 (土) ~ 2013/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

爆笑劇なのか考えさせられる劇なのか、観る側の取り方次第で変わってくるお話
下北沢駅前劇場という少々せまめの劇場内で、
X-QUEST=殺陣/大立ち回り、と想像していたら
会話劇5割、殺陣より場面表現的なアクション寄りの作品でした。
場面転換の早さ、メイン/サブストーリーのつながりなど
まったく追いつけない部分が多々ありましたが、
目前で繰り広げられる会話劇のおもしろさと
劇中で絡み合う何本かのストーリーの舞台表現(演技と踊りその他)などに
気持ちを持って行かれてしまって、
「いいや、話なんてよく分からなくても”面白ければ!”」
という気持ちにされてしまいました。
楽しい100分でした。

ネタバレBOX

かつてTVでまで取り上げられた元人気手品師とその妹(を名乗る女性)が
福島のあるお祭りで手品ショーをやってほしいという引き合いの元に
向かう電車の中、


と思ったら、いきなり

・ 海の中(?)から這い上がる青年と人魚(男子)との出会い
  そして地上人類にとって変わろうとする人魚(魚人?)

・ 人間は猿から進化した(ホモ・サピエンス)説に対して
  海から陸にあがりまた海へ戻って更に陸へやってきた(ホモ・アクアリウム)説を説く学者

・ 元は有名だったが訳あって福島で開業した精神科医(催眠療法士)

とそれぞれがそれぞれのお話を進めていくのですが、
観ていて話がうまく噛み合いません、
ポンポン変わっていく場面転換の早さに
「これは誰かの精神世界とかそういうものを表現しているのかな?(最終的に正解だったのか(??)」
など色々混乱しながら観ていたのですが、

・ 人魚2人(前作では確かド派手な殺陣を観せてた人とおねえキャラの人)

・ 学者の説明(ボクラ団義の「さよならの唄」でストーリーテラー的な役割をやってた人、X-QUESTだったんですね)

の会話劇、などが面白くて
「まさかX-QUESTさんがアクションでなく話劇で来るとは」という
いい意味での騙された感と、各場面場面に入るダンス表現など
メンバー全員の身体を張った部分にかなり気持ちを持って行かれました。

「この先どう進んでいくんだ(??)」と想像しながら観ていても
最後まで想像を裏切る展開の連続に「もう、話を理解する」
なんて考えるのやめよう、目の前で起こっている事をそのまま受け入れよう、
という気分にされました(自分としては珍しい事ですが)。

爆笑劇のようでいて、福島の海や進化の話など結構深いネタも
突っ込んでいるという考えようとすれば考えられる部分もかなりある作品でした。

それにしても、前作ブルーアップルに引き続き今回も海と進化をメインネタの一つに
持ってきているという事でX-QUESTさんはその方面がお好みなのかしら?
虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★

アフターイベントに(僕が)救われた気分
今回の作品の設定からPVからどれもこれも自分にはドストライクで
「これをボクラ流でやったら面白くならない訳ないでしょ!」
と思っていた作品。

しかし、、、運良く取れた前の席の椅子が低くて硬い時から
「もしかしたら…」って予感してたんです。

開場から実際開演まで少し伸びて30分ぐらい、
そして開演してから10分そこらでとにかくお尻と脚が痛い
(情けない話ですが椅子が硬いのか低くて姿勢が良くないからか)。


宣伝チラシの「サスペンスファンタジー」の謳い文句が、
最初のシリアスシーンからどう展開していくのかにワクワクしながらも
とにかく痛みに耐え続ける3時間でした。


悲しいかな、とても情熱的な若者が初めて---(ネタバレ禁止)な
シーンに、気持ちを重ねたいけどとにかくお尻が痛い。

座るポジションをずらせばよかったんだろうけど、
あの椅子だと下手に動くとお隣さん達に迷惑がかかると思い
それがまた裏目に出て、
物語は頭に入るけど、気持ちの方が全然込められなかった、
そんな情けないかな、悲しい観劇3時間弱でした。

(目の前では必死の演技と「この場面の表現に入れるか!」という
ドハマリのダンス/無声芝居といつも(もしかしたらいつもより?)
かっこいい殺陣と
BGM(色々なシーンの表現にいつもより多用してた気が?)、
という最高にこだわった演劇が展開されていたのに・・・)


と、大波乱の物語の終わりまで「次の観劇回こそはちゃんと観よう」と
そういうマイナスの気持ちでいたんですが、
アフターイベントでローズインメニーカラーズさんと
(OVER SMILEに続き2回目の)無声芝居+生歌の掛けあわせ、
これが観れて(僕が)救われました。

観劇中のこのシーンを思い出し、あの場面で受けたショックと
演者さんと気持ちを重ねて驚きや悲しい気持ちになったのと
いろんな想いをちゃんと感じていたのが思い出せました。

それからはアフターパンフレットを眺めつつ、
自分がどういう気持で物語を観ていたか、
だんだんと想い出せてきたから不思議です。

ネタバレBOX

お尻の件はイレギュラーだったとして


色々な事を思ったんですよね、確か。

・ 前説に出演者自身(ブバイガハラ)が出てきた時の服装を見て、
  「この孤島は日本の時代劇のような古い時代かつ
  和風の生活をしている所なのかな?」
  と想像していたら、孤島の登場人物それぞれがかなり
  バラバラの和洋折衷、南国から洋風からアジアンテイストから
  色々をとりいれた服装をしていたり
  (前回のOVER SMILE並に衣装にこだわってました)
  これもOVER SMILEとの繋がりへの伏線だったんでしょうか?

・ ナニモノにも縛られず孤高をゆき、島で唯一長の息子を「王子様」
  娘を「お姫様」と呼ぶ漁師の青年(イセ)の言動や行動に
  ちゃんとした「理由(長の次男だった事など)」が存在していたり

・ 物語のキーの1つである「フネ」、初めて木の船で青年達が
  船出するシーンを大道具の足場(なんというんでしょうか、
  ああいった段差を作る為の台は)の閉じていく様で、
  島から離れていくというのをうまく表現していたり


  このシーンでそれまで海辺で魚釣りや素潜り、
  泳ぐ事はあったとしても
  海上を(船で)疾走る、海上から島を眺めたりと
  初めてづくしの経験に漁師の青年イセや姫ルナ達が感激する様など、
  「同じ気持ちになりたいなー!共感したいなー!」と
  思わされた場面でした。


・ 権力を失うのを恐れて長を殺した王子カイ、
  というメインストーリーの中で
  それまで愚直なまでに母親(参謀)ミチサキに従いながらも
  自分なりの正義を通していた息子サンゴまでもが
  権力への欲に傾いていく、そして最後には母親ミチサキにまで
  手にかけてしまう様、

  そして王子カイとサンゴとそれぞれを盛りたてる島の住人達により
  島(イーストムーン)中で争いが繰り広げられる様、
  鉄と鋼の武器がぶつかり合う様を
  「鋼色の月」と表現していた事に気づき、
  また、この物語のキーの1つは「権力」とその「欲」なのかな、と

・ 長がまず殺され、そしてイセ達が船に乗り、何者かの火矢により
  船を沈められ、そして宮で一夜を明かした後の
  第二第三の殺人の時のイセを中心とした無声芝居と
  そのBGMとしてかかるローズインメニーカラーズさんの楽曲、

  ルナに無実を証明する事もできず逃げ出し、
  そして更に同じ漁師仲間の死にまで遭遇し、
  やっと逃げ延びたと思ったら仲間の漁師達に殴られ蹴られと
  散々な扱いを受けて最後に邏卒(警察)のミユキの元へ現れる
  漁師の青年イセ、
  ここにもっとも気持ちを重ねたかったです。

  驚き、くやしさ、かなしさ、そして何が起きているのか分からない
  (実際はあの時犯人はカイ、と分かっていたのでしょうが)、
  という恐怖など色々な感情があの無声芝居の中で
  繰り広げられていたと思います。

・ あとどのシーンかちょっと思い出せないんですが、
  もう1箇所物語の表現をうまくダンスにした部分があって
  「ああ、(ボクラ団義さんは表現がやっぱり)うまいなあ」と
  思わされました。

・ 終演後のトークで添田さんがゲストの方にアドリブトークで
  完全食われちゃってた気が・・・
  が、がんばれ、添田さん∩(*・∀・*)∩フ

・ 真凛さんがアフターで語っていた、
  「曲にセリフを合わせるのがとてもむずかしい」というお話、
  なるほどなあ、と思いました。
  ローズインメニーカラーズさんの曲のもりあがりと間奏に合わせて
  捜査日誌を読むなど、結構タイミング重要だもんなあ、と納得です。


【気になった点】
何点か

・ 長が殺され容疑者を目撃した少女、しかし色盲の少女の説明からは
  どの容疑者もが矛盾してしまうという所について、
  刀の切り傷、洋服に乱れその他はなく争った形跡はなかった事、
  そして洋服についたトリカブトの紫、
  長の一族は能力を持つ限り皆色盲、
  などいくつかのトリックの元ネタは提示されていたのですが、
  ちょっと自分の頭のキャパを越えてしまったのか
  自分にはこれらが全体的にうまく紐付け(紐解け?)られませんでした。
  この辺は本格パンフレットで説明されているのかしら?

・ 外界から流れ着いた男クッキーが実はOVER SMILEの世界で
  争いが終わった後の「日本」から来たという設定について、
  元々色つながりで何か通ずるものを感じていたので、
  「そうか、こうつなげてきたか、それなら長の能力の件も納得できるな」
  とは思いつつ、(自分は)先日のOVER SMILEが
  OVER SMILEの初見だった事もあり、
  この短期の中で物語同士をつなげてしまうのは、
  観劇者側の好みが分かれてしまうんじゃないかな、
  という感じがしました。
  (OVER SMILEを観てない人はそもそも何のことか分からないでしょうが)
  
  あのOVER SMILEはあくまでもあの世界で完結していて欲しかった、
  という人もいるのではないかと・・・
  (自分もそう思っているような、
  せめて2、3年前に観たのであったら「懐かしさ」とか
  別の感情を持てたかな、と)

・ 長を殺したのは最終的に誰だったのか、について
  無理に長の弟である医師サカイガワである必要はあったのかな、
  と思いました。
  憎まれていた訳でなし、あるとすれば息子の手にかかって
  死ぬのが嫌だったとか、「もう楽にしてほしい」とか、
  そういう意味からだったのなら納得なのですが・・・

・ タイトル「虹色の涙 鋼色の月」の「鋼色の月」については、
  非常によくイメージできたのですが、
  それに対して「虹色の涙」が最後に出てきた帆、
  色盲ではなくなっていた姫、というのはちょっとパンチ弱かったかな、
  という気がしないでもないかと。。。
  (あるいは自分が気づいてないだけで更に何かと紐ついていたのかも)

・ 真凛さんの捜査日誌読みはともかく、
  その他で長文でもないセリフで一部
  自分の言葉としてでなく「セリフを読んでる感」を
  感じさせてしまっている場面がありました。
  誰とかそういうのはいいんですが、芝居に入り込めてなかったのかな?


まだまだ色々良い点気になった点感じたものなどあったのですが、
ちょっとお尻の痛みにかき消されてまだ想い出しきれてません。
もう1回観る予定なのでそこでなんとか
(本格的パンフレットはもう読んでしまうつもりなのですが)

・ 演者さんに共感、感情をのせる
  (演者さんの演技自体には問題を感じなかったので、
  アレに気持ちをのせられたらどれくらい面白いのか知りたいです)

・ お話のトリックや繋がりの点をちゃんと理解する
  ちゃんと見直す

したいなあ、と思います。
紅蓮、ふたたび

紅蓮、ふたたび

ACRAFT

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/10/08 (水) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場が大きくなった分だけ「観せ方」にもったいなさが残るかと
今回褒めるも否定するもネタバレなしでは難しいので、、、

「前作も観ていた自分としてはすごく面白かった」、
ただし、シアターKASSAI→笹塚ファクトリーという劇場の違いを
物語が大きくなった分だけもっと活かして欲しかったかな、と。

ネタバレBOX

まず否定から
・ 広くなった舞台を十分に活かしきれていない
  今回劇場がシアターKASSAI→笹塚ファクトリーになった事で、
  今度こそはボクラ団義得意の2段舞台による
  変幻自在の空間移動(色々な場面をすぐさまそこに描き出す)を
  観られるか、と思ってましたが、結局は
  ・ 刑務所(らしき場面)
  ・ BARシャトー
  ・ 王?さん達のアジト
  + 紅蓮達が元いた場所?
  の3場面中心で、ちょっと世界観に対して実際の舞台を
  狭く使っているのが残念

・ 良いのも殺陣、悪いのも殺陣
  元々殺陣上手なメンバーはともかくとして
  主人公その他について、
  複数人を相手にした殺陣では相手の剣を受ける為に
  「待って」いるのが見え見えだったりと残念に思いました。
  しかし、最後の大場面1:1の殺陣では、
  そういったものなしで剣を大きく振り回し、
  受けてそして「斬らない!」という見事な殺陣も観られました。
  (このメンバーで次があるなら)今後に期待。

・ 悪者王さんとBARシャトーのママの2人場面など、
  説明台詞が長すぎる。
  折角演技上手が揃っているのだから、1人2役やってでも
  その説明は演技で示して欲しかったかと・・・

・ 「歌」を印象的に使おうとしているのでしょうが、
  良さと悪さを両方含んでしまっているかと
  前作も歌1曲(2曲?)歌ってからのBARシャトーの物語スタートでしたが、
  今作でも「歌」が多い。
  それもミュージカル的に意味を持たせた歌というよりも
  単にBAR(スナック的?)の1要素として終わってしまっているのが
  残念かと。
  (途中、紅蓮の願いで歌っている場面がありましたが、
  ああいう使い方以外では1曲歌ってお芝居の方を
  間延びさせてしまうのは避けた方が良いのでは?)

・ 物語要素を詰め込み過ぎたかと
  ・ 過去のボス
  ・ 新しい敵
  ・ 更に謎の鉄仮面女子
    +BARに新たに入ったメンバーが新しい敵と鉄仮面女子の
    母親とみせて、更に「鉄仮面女子なんて知らないわ!」展開
    世界も広ければこれだけのネタも入るのでしょうが
    場面数が少なかっただけに、
    「ちょっと盛り込み過ぎかな」と思えました。
    もう少しノッポの人の過去に対する場面を
    用意しておけば胸にストンと落ちた気もするのですが・・・


面白かった所(小学生の読書感想文みたいですいません)
・ (前作を知っていたから、というのもありますが)
  前作のボスが刑務所に入っていて、そこに
  かつての部下とボス達に苦しめられた刑事の妹が
  登場して、過去語り的に本物語を語りだす、
  というストーリーテリングが面白く感じられました
  (最後に「ええっ!」と驚かせてこの続きがあると思わせる所まで)

・ 前作のボス的キャラが今作いきなり腕を斬り落とされてしまうシーン、
  想像だにしていなかっただけにここも「ええっ!」と驚かされました。
  ジャンプ的というかドラゴンボール的な
  悪いヤツを1人倒したら、更に悪いヤツが出てきて、
  という展開は大人心にもワクワクしました。
  (いや、でも腕を斬られちゃうのは嫌だけど・・・)

  今後続いたとして、次回はノッポの林野さんも味方になる??

・ 良さもやっぱり殺陣
  特に鉄仮面女子を盾にしてノッポ、紅蓮などを斬っていく場面、
  見事鉄仮面女子が盾の役割をしてて
  観せ方が上手いなあ、と

  そして最後の殺陣2組は、
  ・ 英語使いの見事な二刀
  ・ 紅蓮の締め
  までダイナミックにして魅力的な殺陣だったと思います。

・ その他演技上手が集まっていただけあって、
  鉄仮面女子が自分を娘だと信じて疑わないシーンなど、
  それまでの少年漫画的展開から急激に涙を誘われ、
  「おおっ!」と自分でも驚いてしまいました。

  ※ そういう意味でも今回のメンバーをもっと動かしても良かったかもしれません。
    最後の最後に過去のオカマが再度ボスへの忠誠を誓うシーンなど
    印象的で漫画で言えば「次が読みたい!」と思わせる展開だっただけに。


もう1回ぐらい観ておきたい、と思わせるお芝居でしたね。
トークショーも楽しかったし( ´ー`)


2014/10/13(月)
普段なら観劇後しか感想あげないようにしてるのですが、
他の方々の感想読んでて「かなり気になる」点があるので、
自分が本劇から感じたものをもう一度ちゃんと思い出し、
考えて追記してみようと思います。


仮面の少女の仮面が外れた時、
仮面の中に包まれていたがゆえの熱気によるものも
あるのでしょうが少女の汗と涙とその
「(偽の記憶だと本人は分かるはずもなく)兄と母を求める」熱意が
この舞台を初めて「感情劇」として引き上げたと思います。

・ 母だからこそその記憶から決してこの少女を「娘」だと認められない、
  という想い

・ 記憶には全くないがその想いを痛いほど受け止めてしまい、
  偽物と分かっていても剣を振り下ろせない兄の気持ち


ここまでドッキリネタをいくつか仕込んだだけの
武闘派演劇として流れてきた物語の中にあって、
(設定的にムリがあることは感じましたが)
この少女が仮面を取ってからの流れこそが
本舞台で唯一自分の涙腺をすごく強い力で引く、
「ドラマ」としての一場面、
いわゆる「見せ場」であったのかと思います。

それがあったからこそ、ラストまでの流れがまた
盛り上がりをみせるのかと( ´ー`)
PRIDE

PRIDE

劇団空感エンジン

両国・エアースタジオ(東京都)

2013/09/18 (水) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

「第二次世界大戦」、日本人に生まれた以上演じる側も観る側もこのテーマは「重さ」を持っているかと
※ 劇団空間エンジンさん、CoRichへの舞台登録をやめてしまった?
  ようなので昨年度の同タイトルに感想を投稿させていただきます。

※ 劇団空間エンジンさんは若い劇団なのでしょうか?
  あるいはこの座組がまだそれほどこなれていない
  (メンバーそれぞれが慣れ親しんでいない)?

特攻隊員達が現れて、1人の特攻隊員と女性との会話、
特攻隊として死ぬ事に誇りを持てなくなった、という時、

物語の重さが急激に増して演者の演技が熱を持ち、
観客側に対して強い吸引力を発揮したと思います。

そこから先1つ1つの笑い、泣きのネタがそれぞれ心の琴線を打つように感じました
(やはり「つかみが肝心」という事でしょうか)。

シリアスな場面での「情熱」だけでなく、お芝居全体において
演者が本来秘めているこの「熱」を
観客側に提供させられたら素晴らしいと思います。

ネタバレBOX

思った事をサラッと箇条書き(と思いましたが全然サラッとしてない・・・)

・ 両国Air studioという劇場について、入った雰囲気は良かったのですが、
  空調がイマイチ効いていない(少し暑い)、
  舞台途中流れる音響/BGMや音声(吹き替え的なもの)について音が非常に悪い
  (これは劇場機器ではなく、劇団持ち込みの音声に原因がある?)など、
  「ちょっともったいないな」と感じさせる部分がありました。


・ 若い劇団なのか、座組がまだしっくりきていないのか、序盤の若者たちの集まり
  (1人の女性が失恋?により自殺まで考えていたのに対してはげまそうと集まった)の
  やりとりが「今の若者」の軽薄な雰囲気を演じようとしてなのか、
  あるいはしっかり演出されていなかったのか、かなり薄っぺらいものに感じられました。
  台詞のやりとりや、台詞がない場面での各人の立ち姿、演技など
  (+序盤の情景にBGMも合っていないと感じました)。

  言い方が悪いですが(悪い意味での)「学生芝居」のような
  アマチュアな雰囲気が出ていました。


・ 序盤一部、各若者にスポットライトを当てて心情を
  吹き替え音声(自分の声を録音したもの)で表現させる、
  という部分がありましたが、音がかなり悪く、
  その上演技と噛み合っていないと感じ、はっきりいってしらけてしまいました。

  無理に録音声を使う必要はなかったと思います。

  普通にスポットライトが当たった部分で、
  演者にその心情の台詞を言わせるべきだったのでは?

  ※ そうでなくてもこの序盤、若者たちの演技が「浅い」「熱がない」と
    感じられていたので、少しでも見せ場にして欲しかったと思います。


・ 「レッドブルとバファリンを飲むと飛ぶ」

  今の若者が試しそうな行為ですが、
  これが若者たち(自殺を考えていた女性)が「特攻隊員が来た」という幻覚/夢を見ている、
  という可能性とつながる事がうまく示されていなかったかと思います。

  盛んに「自分の夢だ!」とは言っていましたが、
  どうも演技の流れからかこちらの感情移入不足か
  その前に行っていた行為(レッドブルとバファリンを飲む)と
  うまく紐付きませんでした。

  家に帰っていざ感想を書いていて、
  「ああ、特攻隊員達の夢、あるいはこの”飛ぶ”行為によって女性が見た夢、
  どちらの可能性もあるのだな」と初めて気付きました。
  ※ これは自分が鈍いだけかも知れませんが・・・(´・ω・`)
  ⇒
  よく思い出したら、若者たちが特攻隊員をコンビニへ連れて行く時、
  「明日コンビニ店員に特攻隊員が来たか聞いてみよう」
  のくだりがあったので、若者たち自身は「自分達がぶっとんでいる可能性」
  を示唆していたのですね。しまった、失念してました。


・ (順不同ですが)
  特攻隊員について
  ・ 言葉の端々に英語を散りばめてしまっているのはどうかと。。。
    第二次世界大戦中、英語は敵性語なので
    まず知っていても普通に使おうとは思わなかったと思います。
    ビル(これは和製英語なので良いのかとも思いましたが)に始まり
    最後の「プライド」という台詞まで。

    「サイゼリア」「コンビニ」という言葉に戸惑う特攻隊員が
    一部英語を普通に使ってしまうというのは
    ちょっとディティールの部分が甘かったかな、と。
    (観客への分かりやすさを狙っての事かも知れませんが・・・)

    主題である「PRIDE」、特攻隊員にそのまま言わせるのではなく、
    うまく若者たちの言葉として出せれば良かったと思います。

  ・ 同様に、ノートパソコンを覗き込み、どこかのホームページ(Wikipedia?)内容を
    特攻隊員自身が確認しますが、

    ? 自分もうろ覚えですが、昭和20年台当時は
      縦書主体、横書きは逆、更に文言も現代文とは違ったかと思います。

    それを特攻隊員がすぐに読めたとは思えません。
    それまでの説明同様にオタク君?がおそるおそる説明するべきだったのでは?
    (それこそが彼の存在意義かと)


・ 「タイムスリップ」の可能性に、特攻隊員が先に気づく、という違和感

  特攻隊員と若者たちの咬み合わない会話が結構長い時間を占めていましたが、
  そこで特攻隊員が「今は何年だ?西暦は?」と
  自分達の時間と異なる可能性に先に気づいたり、
  若者の「タイムスリップ?」という言葉に「それしか考えられない」と
  「タイムスリップ」という文言自体に納得してしまう所に違和感を感じました。

  ※ 実際「タイムスリップ」という言葉自体は戦争よりかなり前には
    あったとは思うのですが、昭和世代が先に納得してしまうのはどうかなあ、と。


など、特攻隊が登場してしばらくして、
大石さんと妹の孫にあたる女性2人の会話になるまで
ちょっと演技および物語の展開について、
つっこみたくなってしまう部分が多く、
うまく感情を引きこまれませんでした。


しかし、大石さんと自殺を考えた女性の会話からの流れについては、
序盤とは打って変わって非常に感情を引き込まれる良いものだったと思います。

・ 大石さんが「特攻と自殺は違う」と語り、女性を諭す場面


・ 「これから沖縄に特攻をかける」という特攻隊員に対して、
  「結局戦争に負けて沖縄は今もアメリカに占領されていて、
  あんた達の特攻に意味なんてないんだ!」と
  (いきなりですが)激昂する若者


段々と「第二次世界大戦」とその後の詳細な部分に物語が及んできて、
(自分も歴史/日本史に詳しい訳ではありませんが)

・ 特攻隊員達の時代の物語と若者が語る(敗戦後の)「今」

・ 結局日本は敗戦し、戦争に関わった自分達が「戦犯」扱いされてしまっているという事実

そのギャップに特攻隊員達は悩みます。


しかし、「天皇陛下が戦犯として処刑されなかった理由」を調べた事から、
「沖縄特攻」の持った意味、それが結果として
「日本」を今の独立国として保つ事が出来た事、


それらに特攻隊員達が「自分達の死ぬ(死んだ)事に対する意味と意義」を見出し、
特攻の為過去の世界へ帰っていく場面、
そして「わざわざ死にに戻る必要などない!」という若者たちの迫真の演技、

はっきりいって歯をくいしばっていないと涙に耐える事が出来ないぐらいに
物語に引き込まれました。


この中盤以降、「第二次世界大戦」をテーマに扱った場面での演者の演技とその熱は、
序盤「学生芝居」などと思ってしまったのを疑うほどに「熱」の入った、
いいお芝居だったと思います。

※ シリアスな場面、情熱的な場面ゆえに込められた「熱」だとは思いますが、
  序盤にもう少し演技としてなんらかの熱を感じられたら良かったのですが・・・

  それを特に感じたのは、この「熱」を感じ、気持ちを引っ張られて以降は、
  特攻隊員2人がおまんじゅうを食べる場面などの
  笑いのネタ1つ取っても引き込まれ、爆笑できた事からです。

  ※ それまでは感情移入できていない状態で投げ込まれる「笑いネタ」に
    どうも反応する事が出来ていませんでした。

  多分、気持ちを「掴まれた」事で、各ネタに正しく反応できるようになったのだと
  思います。

この中盤以降の良いお芝居のペースを序盤にも活かすか、
あるいは脚本自体の配分を少し変えた方が
「観る側にとって面白いお芝居」になったのかな、という気がします。


・ (特にもったいなく感じたのが)
  特攻隊員が「自分達の死の意義」を見出し、
  特攻へ向かっていく場面は非常に涙を誘うものでした。

  しかし、その特攻隊員が自殺を考えていた女性(妹の孫にあたる)に
  語っていた「自殺と特攻は違う、自殺してはいけない」との諭しが、

  最終的にこの女性にどう効果があったか、をなんらかの形で示して欲しかったです。
  (更に物語を深める事が出来たかと・・・)


・ 大石さんと静さんのお話が史実であった事を最後に
  特攻隊その他の映像演出の中で伝えるのは
  非常に良かったと思いました。
  何か物語に深みというか+αされるものがあったかと思います。


最後に、

・ このタイトル、もう3回演じられているのですね。

  「第二次世界大戦」、脚本/演出の妙に関わらず、
  このテーマは日本人にとって、心の琴線に触れる何かを持っていると思います。

  だからこそ、今回この武器を使ったという事は
  今後の公演にて「次は何で勝負するのか」が重要になってくるのでは?
  と書こうと思いましたが、

  既に3公演目となると、初めて観る自分はともかくとして
  本劇団を追っている人にとっては
  「使い古したテーマ」になってしまっていないでしょうか?

  また、日本人の心の中心に迫るような重く、
  誰もが考えさせられるテーマだからこそ
  多用してしまっては逆に劇団としての強みではなく
  「弱さ」を観せてしまう事にはならないでしょうか?
  (あの劇団は戦争ネタでしか涙をさそえない、などという)


序盤全然ハマれなかったのですが、
中盤以降の吸引力は素晴らしいものがありましたので
☆4つという所でしょうか。


長文失礼しますm(_ _)m
ウルトラマリンブルー・クリスマス

ウルトラマリンブルー・クリスマス

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★

最後は主人公同様抱き合って回りたい気分に(千秋楽だからここまで書いていい?)
始まりの説明部分、なんとなくぬるい空気で物語が進んで、
全然ハマれなかったんですよね、
だから時折飛ばされる笑いのネタにもクスリとも出来ず。

「あれ?キャラメルボックスさんってこんなもんだったっけ?」
と思ってしまったんですが、中盤の盛り上げパートから
演者さんの熱の入った演技がぐんぐん自分の心を引きつけて、
最後にはキャラメルボックスワールドにはまってしまいました。

(千秋楽だから書いていいんでしょうか?)
主人公同様、「メリークリスマス!」って言いながらみんなに
感謝のハグをして回りたい気分、まったく同じ気持ちになれました。

物語の展開がうまいなあ。

ネタバレBOX

十数年前、1度だけキャラメルボックスさんの公演観た事があったんです。
人生初の観劇で確か泣けるお話だったと思うんですが、
すごく興奮して感動してその後の飲み会で熱く語ってしまうぐらいでした。
(その後いろいろあって10何年お芝居観てなかったんですが・・・)


で、今日ひさびさのキャラメルボックスさん観劇、
しかも気付かなかったけど、これチケットぴあの抽選で当たった無料チケットだった。
(まあ、タダだからってそれだけで「最高でした!」なんて言いませんけど)


で、昔と変わらぬサンシャイン劇場、ちょっと広めな空間の
後ろの方の席だったのもあって、
「お芝居の空気、ここまで伝わるかな?
演者さんの気持ちが(自分に)ノルかな?」
ってちょっと心配してたんですが・・・




で、開幕。
(自殺しようか迷って)橋の上に立ってる所を天使に助けられるはずが
逆に天使が川に落ちてそれを助けに飛び込んで
心筋梗塞(心臓マヒ?)で死んでしまった、という主人公青年、

天使達が「あなたの死は間違いだったので人間界に戻ってください」と言うも、
主人公(建築会社社長)は
「戻れない、このまま死んで天国へ行かせてくれ」と。


で、そう思うに至るまでの理由がお芝居として演じられるんですが、
このパートがぬるく(起伏がなく)長い、
はっきりいって全然物語に入り込めませんでした。

・ 親父が建築会社社長、「お客様の為に安くていい家を建てる」がモットー

・ 弟が昔川で溺れたのを助けた際に主人公は片耳を悪くしてしまった

・ 主人公は高校時代かなりのピッチャーだったが、
  肩を壊して「外野手に移れ」と言われ、目標を無くしていた所で
  ガガーリン(?)が宇宙へ行くのを見て、
  「自分自身が(片耳悪いので)宇宙飛行士になれなくても、
  宇宙飛行士が乗る宇宙船を作りたい!その為に東大に行きたい!」
  と目標を持つ。主人公はかなり頭がいい。

・ 親父は自分と妹(叔母)で経営していた建築会社を主人公に
  継いでもらうのが夢だったので反対する。

・ 弟が「俺が継ぐよ!」と言ってでるが
  「馬鹿のお前じゃ無理だ」と家族中から総スカン。

・ しかし主人公が独学、バイトで2浪した上で東大合格すると
  家族みんな納得して「宇宙船を作る夢、頑張れよ!」と。

・ しかしそんな日に父親が倒れ、そして亡くなってしまう。

・ 主人公の建築会社を目の敵にしている大不動産屋の社長に
  会社を譲れ、と迫られる。
  しかし、叔母と主人公でやっていくから「NO!」と断る。

・ 東大を1年休学して、建築会社を手伝う主人公。

・ (なんでだったか)
  弟にそのままじゃ建築会社をまかせられない、と
  「お前は大学で経営を学んでこい!俺は東大をいずれまた受け直す!」
  と更に建築会社社長を続ける主人公。

・ 4年経って弟は戻ってくるが、なんと許嫁連れ、
  しかもその親は大会社の社長で婿に入れ、と。

・ 結局、東大で勉強して宇宙船を作る夢を諦め、
  建築会社社長として
  親父のモットー「お客様の為に安くていい家を建てる」を
  続ける主人公。

・ 途中、学生時代図書室でお互いに意識しあっていた彼女と結婚。

・ 新婚旅行当日に自分が昔家を売った地域で水害が発生し、
  それを助けに行って結局新婚旅行代まで全部使ってしまう。
  そんな主人公に「またいつか新婚旅行には行きましょう!」
  と優しくはげます妻。

・ 娘誕生。

・ モットーが客を呼び、仕事は忙しいが金にはならない毎日。
  未だ妻との新婚旅行にも行けず。

という日常がダラーっと続きます。


この辺特に感情移入できる場面がなく、
「うーん」という感じで観てたんですよね、
笑いのネタを振られてもなんか感情がノらないから笑えない。


「このまま終わっちゃうのかなー、かつて観た
キャラメルボックスさんってこんなレベルだったかなー?」
と思っていたら、舞台が急変します。


友人がやっと家を買う、という事になり
手付金の500万を主人公に渡し、
それを叔母が銀行に届けに行くのですが、
仕事の疲れからか倒れてしまい、そのまま病院へ。

そしてその場に残された500万の入った封筒を
なんと敵対する不動産屋社長が盗んでしまいます。


その500万を明日中に振り込まないと、銀行のいろんな引き落としが
できず、倒産してしまう、その上そんな日に限って
税務調査官がやってきます。
500万の行方が不明となったら、脱税だって疑われる!


主人公は色々な方面を駆けまわりなんとか
500万を工面しようとするのですが

・ 500万も貸してくれるような人はいない

・ 弟はパーティー参加で船の上

・ 敵対する不動産屋にも頼むがムゲに断られる
  (社員になれば貸してやる、とは言われますが
  「自分の建築会社を守る!」と断る主人公。)

など、どうにもなりません。

妻や嫁に相談しようと家に戻りますが、
子供に八つ当たりしてしまった上で相談も出来ず家を出ます。


そして、どうにもならないと
バーで酒を煽り、(その時自殺を思いついたのか)
橋の上で天使と出会い・・・と。


この急展開する場面でやっと演者さんの熱が伝わってきました。

焦り、恐怖、誰に当たっていいのか分からないもどかしさ、など。
はっきりいってこの場面からやっと自分の気持ちが
物語に引っ張られていきました。


そして「自分が死ねば生命保険1000万が家族の元に入り、
家族も会社もすべて助かる。
そもそも自分の人生すべて間違いだったんだ(宇宙飛行士に憧れたり云々)、
自分なんていなければよかったんだ・・・」
という主人公に対して、

天使「じゃあ、あなたがいなかった場合の世界に連れて行ってあげましょう」
と。


そして、先ほどまでの街に案内される主人公、
そこでは

・ やさぐれてしまった友人達

・ 張り合うべきライバルもなく、体調を崩した不動産屋

・ (自分が助けなかった為)死んでしまった弟

・ 誰とも付き合う事なく孤独に暮らしている妻(だったはずの女性)
  なんとか話をしようとしますが、知らない人間に警戒し、
  逃げられてしまいます

そんな世界を知った主人公は、
「自分がいない事で世界がこんなに悪くなってしまうなんて・・・
会社なんて潰れたって生きていけるじゃないか!」
と(開き直り?)前向きさを取り戻します。


そして「元の世界に帰してくれ!」と天使にお願いすると
すでにそこは元の世界。

会う人会う人みんな自分の事を心配してくれていた事に感謝し、
妻や弟が金策に駆けまわってくれていた事に感謝し、
「生きていてみんなと知りあえてよかった!」と
会う人会う人に「メリークリスマス!」と抱きついてまわります。


このマイナスからの脱却での主人公のテンションの上がりようが
なんだか自分にまで伝わってきて
(途中一度主人公が会場から消え、通路から観客の中に現れ
「メリークリスマス!」と叫ぶ演出が見事)
なんだか「生きててよかった!何があってもやりなおせる!」
と、啓発されてしまった気分でした。


※ しかし結局最後まで盗んだ金を返さない不動産屋は悪い人だなあ・・・




と、最終的にはやっぱり演劇の雄「キャラメルボックス」はすごいな、
こんなオチ(ハイテンションオチ!)に持っていくなんて、
と思いながらも気になったのは、
「物語のそれぞれのパートの比重に問題あったのかな?」と。


説明部分をダラダラと流すよりも
・ 500万を盗まれてからのシリアスパート
・ 自分のいない世界、という悲しい世界のパート(特にこの部分の深堀り)
・ 生き返って「世界すべてがハッピーに見える!みんなメリークリスマス!」  というパート
などにもっと比重を置いてたら、号泣モノだったのじゃないかなあ、と。


最近とにかくボロボロ泣けるお話が観たくて、
その中では本物語は少し涙腺緩んで泣けたかな、
というぐらいでしたかね。




千秋楽記念でたった今お芝居したばかりのメンバーが
「キャラメルボックスのキャラメル」を配ってくれたのは
うれしかったです( ´ー`)

PS.物語が始まってすぐ思ったのは「発声がいいな」
  (自分の席は遠い方だけど十分にセリフが聴こえる)という事でした。
  他劇団など役者でないアイドルその他を入れてる所だと、
  その子のセリフだけ何言ってるか分からなかったり、と
  ガッカリする事があったので
今はただ遠くからありふれた歌を-

今はただ遠くからありふれた歌を-

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

物語もお芝居もいい、ただ「笑い」だけが・・・
子役を擁立する劇団だからこその
子供とその親友だった2人の歳の差を超えた友情の物語。


本劇は8年前の初演からの再演版、
(パンフレットにも記載されていましたが)
脚本家いわくかつて想像した未来が
かなりの的中率で現実になっている、との事。

その更に先、現代から未来にかけての
「もしかしたらあるんじゃないかな?」
と思わせる設定をそれなりに複雑な構成にしながら、
うまく物語としてまとめている、と思いました。

後半の流れは非常に楽しめるものでした。


ただ、、、本劇団の前公演を観た時にも感じたのですが、
独特の「笑い」ネタだけが
自分には受け付けられませんでした・・・

ネタバレBOX

・ WEB人格
・ 人間の冷凍保存(コールドスリープ)

など、本当に近い未来にありそうな出来事を
うまく背景設定として、

病気の為にコールドスリープした友達(子供女子)と
50年の時を経て再開する2人の親友(老人男性)、

彼らが彼女との約束を果たす、という
物語の基本骨子は大変興味を引くものでした。


そして、役者の演技も悪い所はなく、
後半からクライマックスに至る流れでは、
場面と同様に興奮とそして涙を誘われました。




ただ、前公演でも自分は感じたのですが、
「笑い」ネタがコテコテすぎるのか自分には全然笑えない・・・


例.女医に絡むエロ助手から始まり~

他の劇団の「笑い」ネタでは、
それまでのシリアスな場面からいっきにギャップで笑わせる、
などの「上手さ」などがあったりと
結構笑い上戸なはずの自分ですが、

本劇団のお芝居で「これでもか!」と投入される「笑い」ネタの数々、
そのほとんどを脳がまったく受け付ける事が出来ませんでした。


吉本新喜劇的というか、
予定調和というか、
「この劇団がここで笑いネタを出したら笑う」という
ルールでも存在しているのではないか、と思うぐらい、
・ 常連と思われる観客
・ 高齢者層
は大笑いしていましたが、申し訳ない話、
自分は「笑い」ネタのほとんどに
「センスが感じられない」と感じ、
ちっとも笑いを誘われませんでした。


本劇は半分以上が喜劇的な場面の連続ですが、
そのほとんどの「笑い」ネタには
自分は「愛想笑い」を浮かべる以上の事が出来ませんでした。

その為、前半部分をほぼ素の状態で眺める事になってしまいました。


「笑い」ネタさえ、もう少し違ったものになったら、
きっと自分も満足出来るんだろうなあ( ´ー`)

とは思いますが、「笑い」も「泣き」も
それこそ「お芝居自体」も、それぞれの人に
合う合わないがあると思うので仕方ない事なのかな・・・


クライマックスでロボが少女達を助けた後、
老人2人は研究者として神奈川に(?)連れ去られ、
少女1人が取り残される事になってしまった場面、

それでも「約束」しているからきっとまた会える、
という少女と、
その後ろで少女への手紙(言葉)を送る老人2人には、
かなり涙を誘われました。

それだけに・・・残念(´・ω・`)

※ 夜モヤモヤと考えていましたが、多分
  お芝居の筋(流れ)と全く関係ない形での
  「笑い」ネタをバンバン投げ込んでくるのが
  笑いネタも芝居の一部として観ている自分には合わないのかなあ、と。


PS. 場面転換の暗転ごとに椅子を色々動かしたりするのに
  かなり時間を取られてましたが
  あれははっきりいってお芝居への集中を途切れさせる
  レベルで無駄な間になってしまっていたかと思います。
  (それも真っ暗での作業はともかく、
  青照明で演者が丸見えの状態で
  この作業を行っている場面は
  これも「笑い」を取りに行っているのか?
  と誤解するほど微妙な時間でした。)

  それぐらいだったら椅子はそのままで良いのでは?
声優口演 ヴォイス・オブ・チャップリン VOICE of CHAPLIN

声優口演 ヴォイス・オブ・チャップリン VOICE of CHAPLIN

チャップリン・ザ・ワールド製作委員会

赤坂ACTシアター(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/03/30 (土)公演終了

満足度★★★★

無声映画の名作「チャップリン」のこれからのあり方なのかな
無声映画のチャップリン、その初期作品のいくつかに生で声を当て、生で音楽を当てて楽しむ、というイベントでした。
※ チャップリン中期以降はチャップリン自身が作曲した音楽がついている、との事。

「チャップリンといえば無声映画のパントマイマー、あのキレの良い演技と展開の早さに声なんて合わせられるのかな?それも生で」と疑心暗鬼でしたが、いざ始まってみると羽佐間道夫さん(ロッキーの吹き替えでお馴染み)、野沢雅子さん(オッス、おら悟空)、など超大御所声優の皆さんの大変すばらしい演技に驚かされました。

昔チャップリンは数本観た事があり、「声なしで身振り手振りだけでこんなに楽しませたり、物語を観せてくれたりとすごいなあ」とは思いつつも、作風の古臭さなどから結局数本観たきりでその世界にハマっていくまでにはいたりませんでした(確かウッチャンナンチャンのウッチャンがチャップリンにかなりハマった、という話から昔は観たような気がします)。

しかし、今回観せてもらったような形で再編されるのなら、、新しい作品として再び「チャップリン」を楽しめるのではないか、と思います。
※ ブルーレイボックスだかが発売された、との事。

最大限楽しませていただきました。
ただ、自分は当日まで演劇舞台と勘違いしてたので、★4つとさせていただきます。

ネタバレBOX

ヴォイスオブチャップリン、いざイベント間近になってそのタイトルについて考えた時、「無声映画のチャップリンになぜ”ヴォイスオブ”ってつくんだろう?
(誰が出るか忘れてましたが)確か声優さん目当てでチケット取ったと思うけど、チャップリンの自伝の舞台化とかかな?そうじゃなきゃいいなあ(自伝映画は昔観てかなりツマらなかった想い出あり)」と思っていました。

いざ劇場で席につくと劇場に大きくスクリーンが出ており、パンフ内容を見るとどうやらチャップリンの映画を上映しそれに声を当てる模様。

「無声映画のチャップリンのあのテンポの早い演技と展開に声なんて合わせられるのかな?(ペース的に)」、また、知ったかですが「チャップリンは無声映画だからこそ面白い(そのパントマイマーぶりが引き立つし、その演技の中から何を訴えかけているかを読み解くのが面白い)」などという意見もあるけど、実際声つけちゃったらどうなるんだろう?
と結構不安がありました。


しかし、キャストを観ると声優界の大物揃い(特にロッキーの羽佐間道夫さん(自分はロッキーより「俺がハマーだ!」が好きですが)や野沢雅子さんなど)。


で以下2本の作品上映とその間に、日本随一といわれるチャップリン研究の大家の方が持っていたチャップリンが映画を録る際に、NGテイクとして捨てられたはずの未公開映像の公開がありました(チャップリン自身が「焼いとけ」と言ったのをカメラマンが取っておいたらしいです)。


【チャップリンの移民】
チャップリン(平田広明さん)
ヒロイン(朴璐美さん)
で演じられましたが、平田さんがかなりおもしろおかしくチャップリンの演技にセリフをつけており会場中爆笑で映画を楽しむ事ができました。


しかし本当にすごいのは、
【チャップリンの勇敢】
チャップリン(羽佐間道夫さん)
ヒロイン(野沢雅子さん)
※ そもそも数年前、この2人の発案でチャップリンの
  無声映画に声をつけよう、という活動が始まった、との事。

2つの映画の間に行われたNGテイクの公開にて、早くもあまりのチャップリン好きから、出てくる映像出てくる映像に即興で声を当てるのをやめられなくなる羽佐間さん、基本映像に合わせて適当なセリフを当て込んでいるのだと
思いますが、それが見事にチャップリンの演技に合う、「本当にチャップリンが好きで好きでたまらないんだなあ」と驚きでした。
それどころか、チャップリンの1枚ものの写真にまでセリフを当てちゃう。

で2本目の映画もこれまたすごい!
平田さんのチャップリンは脚本に合わせて声を当てている感じがありましたが、こちらはもう「脚本なんてないんじゃないか?」と思えるぐらい、「全部アドリブなんじゃないか?」ってぐらいにハイペースでどんどんセリフを合わせていきます。


チャップリン自身は「トーキー」(実際声の入った映画)について
否定的だった、という有名な話もトーク内で出て来ましたが、今の時代の若者がどれだけ無声映画のチャップリンに共感できるか、それは本当に感受性豊かな一握りではないか?と考えた時、このような形で声を当てていく、っていうのは正直アリだと思いました。

自分は知らなかったですが、もう何年もこの活動を続けていて、チャップリンのDVD/BDも声なし+声あり版が出てるんですね、BD-BOX買って帰りたいぐらいでしたが、今はお金がないので次回(来年チャップリン生誕100週年との事なので、きっとまたイベントがあるかと)なんとかしたいなあ、と思います。
宵闇よりも速く駈けて

宵闇よりも速く駈けて

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2014/05/09 (金) ~ 2014/05/13 (火)公演終了

満足度★★★★

前半と後半で評価がガラっと変わるお芝居
最前列にて観賞。
前半の日常パート、3組がそれぞれ「家を貸してくれ」と
言ってくる設定には興味を惹かれながらも、
物語としての起伏のなさや各役の演技(技量ではなくお芝居内容)、
そして何より笑いの取り方(演出)にセンスが感じられず、
まったく感情移入できず。

しかし後半、感情劇となってきた時(ネタバレ禁止なので簡単に)
「義賊ネズミ小僧」の義賊たるその所以(ゆえん)を魅せられた
その時からいっきに感情を引っ張られ、涙腺も緩みまくりました。

そして、オチの付け方については秀逸、と言って良い
(脚本/演出家の)センスの良さを感じました。

※ やっぱりどこの劇団も「日常」パートの描き方に苦心してるのかしら?

ネタバレBOX

ネズミ小僧とその子分、悪徳大名屋敷から千両箱をせしめるも、
頭の切れる同心ナカジマ?に追い詰められ、
小判を撒いて町人達に騒ぎを起こさせて、
その隙になんとか逃げおおせる。


家にて親分(ネズミ小僧)は、同心ナカジマ?の頭のキレなどに
「そろそろお縄になってしまうのでは?」と恐れをなし、
「この家業をもう引退したい」と女房、子分に打ち明ける。


そんな親分の家へヤクザ者の集団が現れ(女房は奥に引っ込んでいる)、
「若頭の逢引きに静かなこの家を使いたいから
3日後に貸してくれ、そうしたら今月来月のショバ代はいらん」と言ってくる。

家を完全に空ける事、を条件に出されるが、
「まあ若い衆の恋の為なら」と条件を飲む親分と子分。


そして今度は女房だけがいる時に、越前屋が
「この家から見える下の家(空き家)である商談を行う、
大事な商談を覗かれたくないので3日後に家を空けてくれ」
と言ってくる。
小判をちらつかせられ、女房はこれを承諾してしまう。


そして同心達、ネズミ小僧捕縛の任があるもののそれよりも重要な事項
「幕府の公的米(幕府から支給されるお米?)を
私的に売り払っている(内部の)者とそれを買い付けている商人を捕らえよ」
というお達しが下る。

そして、その商談の現場と考えられる場所を見張れる場所として、
またしても親分の家に、ナカジマ?が町人姿で現れ、
「ここから下の家を見張らせてくれ」と願い出てくる。


ここまでの流れ、三組がそれぞれ同じ日を目処に
「家を貸してくれ(空けてくれ)」と申し出てくる所、
「いったいその日に何が起こるのか?」という興味は湧きました。


※ しかし、その流れ/その後に繰り広げられる「日常」の中の笑いネタが、
  ちょっとセンスなく強引過ぎると感じ、
  自分にはまったく笑えませんでした。

  例.歌舞伎役者(いかにもな派手衣装)が現れて、
    聞き取りづらいダミ声で「ネズミ小僧に会わせろ!」だったり、
    (ナカジマ?に)お前も役者だったら「うまく演技してみせろ!」
    と演技指導をしようとする場面など、
    はっきりいって笑いのセンスが全く感じられない、
    強引さだけで笑わせようとする「卑怯なネタの振り方」とまで感じました。

  例.(下の空き家に隠れ住み)親分の家まで崖を登ってきて
    大根その他を盗んで帰る女、もう観客にどんな気持ちを
    与えたいのかすら分かりませんでした。


そして、更には
・ 卵売りの娘が現れ、またその恋人が現れ
・ あさり売りの少女(子役)が現れ
などと登場人物はどんどん増えてくるのですが、
物語がいかんせん起伏もなくテンポも悪く、
興味をまったく惹かれる流れではありませんでした。


前半はもう、間延びというか中?だるみというか
単に長いだけで「つまらないお芝居」と自分は感じました。




しかし、後半三組にそれぞれ家を貸す日がとうとうやってきて、

・ ナカジマ?が自分が今いる家の親分達こそ
  ネズミ小僧ではないか?と疑いを持ち、
  先日の千両箱の小判には仕掛けをしておいた、
  彼らが家を出る際にその持ち物を改め、
  その小判が見つかれば「間違いなくネズミ小僧」として引っ捕らえる、
  と同心やその上司と捕縛の準備をする。

・ ヤクザ者達が現れるが、若頭が恋していたのは、
  先に現れた卵売りの娘で、
  無理やり仕組んだ借金のカタに娘と
  (更にその妹であるしじみ売りの娘まで)を
  強引に連れだそうとする。

・ 親分の家の下の家で公的米の取引がとうとう始まる。

という畳み掛けるような場面がやってきて、

そこでネズミ小僧である事がバレた親分が、まず
「自分がお縄になるのは構わん、ただし妻と子分はまったく関係ない、
そしてちょっとだけ時間をくれ」と
先日の千両箱から抜き取っておいた百両(ナカジマ?の目印入り)を取り出し、

ヤクザどもに「どうせ牢獄入りする俺に金はいらん、
その借金代わりに払ってやる!」と50両を投げて渡し、

更には「もうこんな借金などするな」と卵売りの女、恋人の男、しじみ売りの少女に
50両をポンと渡して義賊ぶりを魅せる。


そして、今度は「家を空けてもらうという約束が違う」と
家に現れた越前屋、そして公的米を売り払っていた悪の元締めの
正体が老中と分かり、(証拠もない為、権力に逆らえず)
捕縛も下の家への立ち入り捜査も出来ず、証拠の帳面を手に入れられない
ナカジマ?達に代わり、
「ネズミ小僧が出ちまえば、それを追うしかないでしょう」
と、最後の仕事とばかりにホッカムリをかぶって、
下の家へ押し入るネズミ小僧(まさにネズミ小僧としての正義を通した)。

※ 説明はありませんでしたが、その後越前屋および老中は
  捕縛されたのでしょう。




そして最後、親分と妻が家で茶をしている所に現れるナカジマ?に、
親分「妻と子分の2人は関係なし、でお願いします」と言うと、
ナカジマ?「そしてお前もな、証拠がない。
  ただし今後ネズミ小僧が現れればその時は絶対捕まえる!」
と、お縄なしのハッピーエンドで終わらせるのか、
とちょっと定番的ですが、それもまた良い話、と終わるかと思いきや、

しじみ売りの少女が現れ、姉と恋人が「ネズミ小僧」として捕まってしまった、と。
そして、ナカジマ?の上司が現れ、
「例の目印のついた小判を持っていたので捕縛した。誰かから貰ったものかと尋ねたが、
”恩人は売れない”と頑なに口を開かない。
もし、お前がこの小判を持っていたら、それこそあの2人は無実となるのだが…」
と(先日助けておいてもらいながら)なかなかの悪役ぶりを見せる。

そして、親分は小判を受け取り、ネズミ小僧としてお縄につく事に。
それを悲しげに見送るナカジマ?に、
「時代が必要とすれば、ネズミ小僧はまた現れまさあ!」と一言告げて連れて行かれる。

そして、独り佇むナカジマの後ろ、塀の上にかつての子分がネズミ小僧として現れ、

~ Fin ~


・ 義賊として困っていた町人を救い、その上で悪の老中捕縛の手助けまでした
  ネズミ小僧を捕まえない、というハッピーエンド

で終わらせず、

・ ネズミ小僧はやはりお縄になってしまう、というちょっと悲しいエンド

と見せた上で、

・ その意志を継いだ子分が、新しい「ネズミ小僧」となって現れる
  というハッピーの一言では片付かないエンド

まで持っていった、脚本/演出家には、「上手い!」の一言を贈りたいです。




※ 色々な劇団を観て思いましたが、やはりどこも
  「日常」「笑いの取り方」で結構悩み迷走しているように思えます。
  「日常」パートを観ていてまったく気分がお芝居に引っ張られない、
  「笑いネタ」を観せられても、その観せ方次第で
  完全に爆笑や失笑を誘われるか、逆にひいてしまいクスリとも出来ない、
  などよくあります。

  この部分、今回客演した高橋雄一さんの所属劇団「ボクラ団義」とその劇団員が
  最も得意とする所だと思いました。

  そういう部分について、高橋さんがアドバイス出来る立場だったら、
  前半部分もまたひと味違ったものになったかな、など考えてしまいました。

  「日常パートで笑いその他に客をのせ(気持ちを掴み)、
  転じて感情劇で客を泣かせて匠なオチで芝居を締める」
  それが出来ていたら、このお芝居、100点満点だったと思います。


・ (関係ないけど)
  初めて子役(小学校ぐらい?)の女の子の演技を観ましたが、
  演技の上手さは自分には判断つきませんが、
  セリフその他はしっかりしたもので、
  ちょっと親のような気持ちで「しっかりした子だなあ」と
  感心してしまいました。


採点としては3.5点(前半いい所まったくなし、後半80点)と思いましたが、
まあ泣かせて上手い落としをもらったので、☆4つとさせていただきます。
名探偵を探せ!Qの喜劇

名探偵を探せ!Qの喜劇

劇団ヘロヘロQカムパニー

TACCS1179(東京都)

2013/04/10 (水) ~ 2013/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★

ひさびさ本当の「若さ」と「情熱」を観せてもらった(おじさん眩しーΣ(゚Д゚)
新人さん中心の舞台、という事で
「演技、演出などどのくらいのレベルなのだろう?(脚本も)」
とまったく想像がつかない状態で観劇。

案内パンフの「裏方中心でやってきた彼らの初の主演公演です」といった内容や
前説の脚本担当?の方が「自分は今年10年目で~」と言っていたのもあり、
「”新人”とはいいつつ、10年近くヘロQさんに関わってきた、
そういう人たちの晴れの舞台、という事なのかな?」
という目で(ある程度の熟練者、というイメージで)観劇しました。

しかし、最後の挨拶で「ヘロQに関わってまだ3年未満」
というお話を聞いてかなり驚きました。
(実際の役者歴はもう少し長い人もいるらしい、とファンの方達の会話で聞きましたが)

ダンスなどの細かい部分を見れば一糸乱れぬには程遠い、
演技についてもセリフの量や内容などによりうまく演じられている人から
かなり「読んでいる」感が出てしまっている人もいました。

そういう意味でアラを探せばヘロQの大御所のみなさんや
他劇団で一線級で役者をやられている方からすると
まだまだな部分もある(んだろうなあ)と思いつつも、
(そういう部分が全然気にならないぐらい)
自分は十分に惹きつけられてしまいました。

最後、劇がクライマックスに入っていくに従って、
演技というより多分感情自体が入ってしまって、
涙目で演じられている人もいましたが、こういう部分に
「役者としての上手さ」とはまた違った「若さ」や「情熱」を感じました。
(終わった後で感極まって泣きだしてしまう演者さんまで)

始めての主演舞台という緊張感や、
お客さんを喜ばせよう、自分の役を演じきろう、
喜劇なので「笑いをとっていこう」とそれぞれについて
いい意味でのアグレッシブさが前面(全面)に出ていて、
観ていて演技というよりその熱意のようなものに
自分のようなおじさんは何かひさびさに
いい「若さ」に触れられたような気がします。

今後、再び大物役者陣の影に隠れてしまうのではなく、
どんどんこういう若手も使って行ってほしい
(あるいはヘロQ内で新しい勢力を作ってしまっても
よいんじゃないか?(前進座NEXTさんのように))
と思うぐらい、今後が気になるみなさんでした。

お話の構成として「喜劇」「半分ミステリ」「感情劇・感動劇」
「アクション」「ダンス」など、この「新人」達がどれだけの芸、演技を
身に着けているのかをみせる為か、いろいろな場面を用意されていましたが、
前半の笑いのパートはともかく後半の「感情劇・感動劇」の
部分に「ストーリーの流れとしてのムリ」を感じてしまった為、
100点満点からは遠い部分もあると思いますが、
自分が終演を目にして、劇場を出て、
「満足できた」という意味では80点~90点、
ほんと今後この役者さん達
(もう主演を張っているので「新人」とは呼べないです)
の今後が見たいなあ、と思いました。

ネタバレBOX

「ネタバレ」欄では、まず(悪い意味のみでなく)自分が気になった点を

(1)本舞台内容を
  1.各自の自己紹介+アピール
  2.探偵クイズ
  3.半ミステリ(探偵パート)
  4.感情・感動劇
  5.締めくくり
  とした時に、「探偵(志望、ファン)として集められた面々」なのに
  3.から4.への移行でムリが色々あったかと・・・

  ○ 探偵パートが終わって「めでたしめでたし」な所に
    いきなり「関西」が「東大」に絡んでいく形で
    場面の空気を変えようとする。
    (なぜ絡むか、の理由が弱すぎる。
    せめて探偵パートまでで「東大」が
    あまりに頭でっかちで嫌な奴的に絡んでいた、
    などしてれば、「関西」が空気を壊してでも
    つっかかる理由になったかと)

  ○ 4.でそれぞれの現実や内面を語るパートで、
    「探偵」ネタがまったく絡まない話になってしまった。
    各自の実際の心情を語る部分について、
    本舞台「名探偵を探せ!Qの喜劇」でいう「探偵」、
    という部分がもう少し絡んだ形での設定にできていたら
    そのまま上手く話が繋がったと思うのですが・・・
    (今までのお話を完全にぶったぎり形で
    このパートが入ってしまったので、
    折角の熱のこもった演技について、
    (周りの観客は泣いている人もいたのに)
    自分はいまいち入り込めない部分がありました。)

    また、ここで「探偵」という設定を一度離れてしまった為、
    5.でマスターが「皆さん名探偵です!」といった部分が、
    「上手い締め」でなくなってしまった・・・
    (3.4.5.と繋がっていればいい締めだったのですが)

  ○ 特に「完全記憶」の人が男である理由が・・・
    序盤でも伏線的に「男?」みたいなつっこみを入れて
    感動劇パートでそのネタを展開させていましたが、
    特に男っぽさがどこかに出ていたとか
    そういうのを全く感じなかったので、
    このネタ自体にムリがあるかと・・・


(2)新人皆さんを主役として立てた為か
  その設定や元々の持ちネタなどによって
  キャラが立つ人と立たない人が出てきてしまったように感じました。

  「関西」の人がテンションの高さと高度なモノマネを見せていた。
  (しょっぱな歌い出した所では、「わざわざカラオケで
  時間を割く程のネタなのか?」と疑問に思いましたが、
  その後も多くのレパートリーをそつなくこなしていくにつれ、
  「これだけで見事な芸である」と認識を改めました。)

  また、「主婦」の人の「最初から最後までずっと笑顔」が
  実はすごい事だな、と感動パートで感じたり
  (あと激しいダンスを褒めてる人も多かったです)、

  「壇蜜」の人の色っぽさ(本人実はこういうキャラが得意という
  訳ではなかったそうで、かなり頑張ったそうです)

  「整形」の人が申し訳ない話本当に整形っぽい
  (そういうメイクでしょうか・・・じゃなかったらすいません、
  あとしゃべりその他に自分はローゼンメイデン(アニメ)の
  水銀灯(CV.田中理恵さん)を思い出しました、すいませんアニオタで・・・)
  などに比べて、

  「東大」が東大、ハッカーというキャラ設定より
  アクションの方で目立っていたり
  (こっちが役者さん自身の特技、っていう事ですかね?)、

  「大食い」の人が食う、「壇蜜」の色香に惑わされる、
  実はすごい五感の持ち主である、という部分が
  ジョジョのカーズ様?風立ち方ぐらいでしかアピールできていなかったり、

  「完全記憶」の人は探偵パートまでほとんどなんの個性も
  出せていなかったかと(もっと完全記憶を利用したネタを
  投入しておくべきだったかと)・・・


  ・・・ああすいません、「数学者」が抜けてました・・・
  (というぐらい、目立っていないのです。
  わざわざ自分の彼女まで写真登場させたり、
  探偵クイズで数学者としてのすごさ、を見せていたはずなのに)
  特に半ミステリパートでは、自分だけ「探偵」役でなく
  「犯人」扱いされてしまっていた、というのもかわいそうでした。

  これはモチネタの有無(「関西」「主婦」「壇蜜?」)はともかく、
  あとは設定としての強さ弱さがモロに出てしまっていたかと・・・


  まあ、今回は「新人」全員を立てる、という公演の性質上
  仕方ないのかもしれませんが、
  本来ならば
  ・ それぞれの個性をアピールするのにもう少し時間を割く
    (序盤結構アピール差が出てしまっていたかと)
  ・ 「真の主人公」は1、2人におさえておく
  などの方がまだバランス的によかったのかもしれません。


(3)その他
  ・ 舞台開演直後のダンスより、
    メイドさんのお誕生日おめでとう(これはネタですか?)
    ダンスの方がうまい、と感じた。
    +ダンスを入れる場面にもう少し工夫が欲しかった

  ・ 関さんがアドリブでペットボトルの水を実際に演者(特に壇蜜)に
    かけたりしてたり、つっこみ入れたりしてた部分は、
    「おまえら、喜劇なんだからもっと身体張って笑い取りに行け!」
    (まだまだ積極性が足りないぞ!)
    とハッパをかけているようにも見えました。


など、気になった点はいくつか(書きすぎましたが)ありました。


とそんな所を突っ込ませていただきましたが、
本当に演技、演出、アクション、ダンス、など
本当に「新人」でいるには惜しい、という所までいっていると思います。

今回は新人主体の舞台という事で、チケット販売などの面で
かなり苦労されたようですが、これだけちゃんと演じられる、
という事を観せたからには次からは先輩達の力を借りずに
自分達だけで客を呼ぶ、という事にもチャレンジしていけるのではないか、
と思います。

ヘロQさんもひさびさ新人劇団員募集を始めるなど、
かなりの大所帯となってきた事もありますし、今後
「舞台内でのベテランvs若手の対決」

「若手公演」
などを増やしていってもいいんじゃないかな?と思います。

ヘロヘロQカムパニーさんというと
座長の関さん長澤さん小西さんを中心とする
今や有名声優勢やベテラン役者勢が中心となって引っ張ってきて、
その方々を中心にファンがついている劇団、というイメージがありますが、
その関さん長澤さん小西さんその他の方にしても、
関さんのトークにもありましたが、
「20年前にはたった8人?で立ち上げた」と、
今回の若手8人と同様の状況からスタートしている、との事。

今回、立派に演技を成し遂げた若手連中が、
今後劇団を引っ張る中心になっていくんじゃないのかな?
そういう可能性を感じる舞台だと思いました。
ボクの妻と結婚してください。

ボクの妻と結婚してください。

(株)タイズブリック

天王洲 銀河劇場(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

いくら芸人ウッチャンとはいえお芝居に無用な映像演出、コントはいらなかったのでは?
序盤から物語や演技としてはかなり泣かせるものがあったのに、
お芝居で行くべき所に(金をかけた)TV映像(コント映像や報道映像など)を
下手に混ぜられて結局TV屋の(TVの人気者達を使った)お芝居か、
となんだか残念な気持ちになりました。

でも中盤以降涙腺は壊れまくりのいい
お話でもあったので☆4つ。
いいお話だからこそ演出が残念だったかな、と。

ネタバレBOX

朴訥(ぼくとつ)というかシャイというか、
自分から「結婚しよう!」とも言い出せず
妻に「で、どうするの?」と言われて結婚した
(式もあげていない)ぐらい押しの弱いTV番組(バラエティ)
構成作家の旦那(ウッチャン)。


夫婦として問題もなく子供も中学受験に向けて頑張っている、
そんな普通の家庭だったが旦那に唯一の悩みが。


実は自分はガンのステージ4で余命あと3ヶ月だという事が分かった、
これ自体はもう気持ちとして受け入れられている旦那だったが、
それを押しの弱さゆえに妻達に言い出せずに困っていた。。。


構成作家という職業柄もあり、ノートPCに
考えるべき事を入れておいて眺めたり考えを打ち込んだりと
そうやって整理して出た結論は、

「妻に別の男を好きにさせてしまおう、
そうすれば妻と子は家を出るだろうから
ガンの事は告げずに済む」

という奇想天外かつ消極的なものだった。

計画のタイトルは「ボクの妻と結婚してください」


で、妻の代わりに婚活を始めちゃう旦那(男なのに男を探しに)。

そしてこういう事にめっぽう顔が効くという知り合い知多(ちた)を通し、
ついに理想の亭主(となるべき男)伊東を見つけるが。

・ 自分が亭主である事

・ 妻子にまだ夫がいる事


を隠し、

伊東「子連れでもかまわない、自分はこの人生仕事に専念しすぎて
家族というものを考えて来なかった、
今からでも温かい家庭を持ちたいと考えている」
という言葉に、あとはうまく妻と会わせるだけ、となった時。


自分に好意を寄せていた女子アナウンサーとの密会(キス)の現場を
妻に目撃させ、自分は浮気しているという事にして、
あとは(妻との共通の)知り合いである知多にまかせて
うまく妻と伊東を会わせよう、と画策するが、
密会の場面は報道にスクープされていた上、

女子アナウンサーがTVで
「全て自分に非がある、構成作家は”妻に悪いからこんな事はできない”と
断り続けていた」と全ての非を認め、土下座までして謝罪する。


それをTVで知った妻は、
「何故こんな事をしたのか?この頃ずっと何か隠しているでしょう!」
と旦那を問い詰め、
そしてついに余命があと1月(それだけ長い時間を無駄にしてしまった)、
という事を明かす事に。


泣き崩れる妻、作戦は失敗したと諦めた旦那、
そこに知多から妻への電話が。




翌日妻は「伊東さんとお見合いします」と宣言。
騙されていた事に怒っていた伊東の方も、
「ぜひこの話を進めたい」と。

そして、なぜかデートには旦那も同行する事、
というルールを作られ
旦那、妻、伊東の3人でデートをする事に。


その間にも刻一刻と近づいていく余命、
ある日子供と散歩に出た旦那に、
子供が「僕は女の子になりたいんだ!」とドッキリをしかけ
びっくりした旦那に「ドッキリ大成功!」の看板を持たせた写真を撮る。


そして、妻から用意された離婚届けにサインし

※ 夫婦は離婚後、半年の間再婚できない

余命数日にして、旦那は入院する事を認める。


そして余命最後の日を家で過ごす事にした妻と旦那、

元の計画であった「ボクの妻と結婚してください」について、
妻の「ちゃんと物語を完結させなきゃ!」との薦めでノートPCに向かい、

「奇跡が起こった。」の出だしで
普通の毎日が本当に幸せで奇跡だった、
という事を書き残し、亡くなる旦那。




そして半年後、旦那の遺影を前に
妻、子、伊東、その他旦那の多くの仲間たちが
勢揃いし結婚式に臨むが、

そこで旦那の遺影を子供が昔撮った
「ドッキリ大成功!」の看板を持った写真に変え、

妻「これはみんなに頼んで行った壮大なドッキリだったのよ、
あなたの言う通りになったふりをしようっていう」
と、離婚した旦那との結婚届けに再びサインする妻。

という物語。




ウッチャンの朴訥とした演技やら夫婦の関係やら
伊東の誠意やら本当にいいお話だったんだけど、

・ 去年の紅白でイカ大王がウケたからと無理やり物語に
  関係のないイカ大王ネタを盛り込んで
  せっかくお芝居で作った空気を濁らせたり

・ ノートPCで思考を整理する、その内容を上部スクリーンに映す、
  妻や子供が撮影した写真を映す、という所までは
  スクリーンの使い方良かったんだけど、
  自分のやってるバラエティ番組映像(ホリケンさん出演)や
  女子アナがTVで謝罪するシーンなども
  全部豪華映像作って流してしまうなど、
  どうしてお芝居なら舞台上で勝負してくれなかったかなあ

という所がすごくがっかりでした。
(周りの観客は喜んでたけど。)


そういう意味で、悪くないお芝居だけど(TV/芸人依存しすぎているなどの)
難点があるな、と自分は思ってましたが、
中盤以降の旦那、妻、伊東の奇妙な三角関係や
旦那(ウッチャン)や妻の、
どこにでもあるような普通の家庭の普通の事が
ほんとに幸せだったんだなあ、
と思わせる演技/セリフの数々に
涙腺はかなり崩壊させられました。

だからいいお話という事で☆は4つなのかなあ、と。


次回はほんとに「お芝居」で勝負して欲しい、かな。

PS.原作があるそうですが、このドッキリを旦那の死後に明かす、っていうのは
  どうなんでしょうね。
  ドッキリなら生きてる本人に「騙された!」と思わせてこそだと思ってしまいます。
『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆

『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了

満足度★★★★

観客の心に複雑な余韻を残す秀作
青山円形劇場での初演を観ていたので
真新しいモノ、驚くモノ、には出会えませんでしたが
作品としての面白さ、
今回特に(?)笑いの色(喜劇色)を強めて、
現実の悲劇的な物事との対比、
物語の締め方との対比、
という意味で観客の心に
「ただ悲しい」などの単純な気持ちとは違う
複雑な余韻を「あとあと」残す事になる秀作かと思いました。

ネタバレBOX

【思った事】
・ 初演の青山円形劇場(囲み舞台)に対して、
  シアタートラムでどう挑むかと思ったら、
  対面舞台(かつ円形)という
  初演での観客席1面に近い形を取った事に、
  「新しい挑戦はないか」とちょっと肩透かしをくらった感じでした。

・ しかし、シアタートラムを使う事での
  演出面(照明/音響など)での強化、
  物語として(初演も同様だったかも知れませんが)、
  悲劇的な物事の重なりである物語の本筋に対して、
  舞台上の表現は喜劇と言って良いぐらいに
  笑いの絶えないお芝居として見せてくれた面などが
  物語の影の部分、ラストに対しての
  強い対比となって面白く観劇出来たかと思います。
  (笑えば笑うほど、事実面では悲しい、という・・・)

・ 各登場人物の「語り」の場面に
  今回特に力を入れていたような気がします。

・ ラスト近くの母親が自転車でグルグルと
  川沿いを走るシーン、
  母親は自転車で狭い舞台を回りながらも
  表情その他で演技を続けるという難しい場面でしたが
  腫れ物が落ちたようなすっきりした気持ちと
  まだ何か抱えるものがあるか?と思わせるような表情など、
  見事に演じて見せたと思います。

  初演でも気になりましたが、ラスト、倒れた自転車、
  あの時母親は息子の後を追ったのか、
  あるいは別の何かの展開を迎えた(ガンにより倒れたなど)のか、
  など、余韻が深いなあ、と改めて思いました。
独りぼっちのブルース・レッドフィールド

独りぼっちのブルース・レッドフィールド

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターサンモール(東京都)

2015/02/22 (日) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

PMC野郎観劇の作法を間違えてしまった!!
通常回を観たらすぐに☆5つ入れますが、
今回の観劇では自分の「しまったなー!」感が
強かったので☆4つとさせていただきますm(_ _)m


PMC野郎の各公演でいつも気になってたR-18ステージ、
とうとう初観劇!

なのはいいんですが、スケジュールの関係で
普通回より先にR-18ステージを観てしまいました。


その名の通りR-18、超豪華な下ネタ満載回、
そのパワーに押されて
普段のPMC野郎のシュール&ブラックな面白さが
いまいち自分に伝わってきませんでした。

※ 多分本公演では本回が初のR-18ステージでしょうか。
  ゲストキャストの皆さんもこらえきれない(ノ∀`●)、
  という様子がちらほら(ちょっと照れてたり)。


R-18ステージ、自分のイメージだと
ジャッキーチェン映画(プロジェクトAとか)で、
終わった後に「NG集」を流す、
アレに近いものかと思いました。


普通回に対して、
「ここでこんな下ネタ入れたら演者陣耐えられるかな?」
みたいな、観客だけでなく演者陣自体の
リアクションまで楽しむ、という感じかと。


なので、普通回→R-18ステージ、の順で観れば
「まさかのあの人がこんな事を!!!」と
大喜びなんですが、先に観ちゃうと
普通に入れてくる笑いを食っちゃうので
初観劇だと物語の吸引力が落ちてしまう
(ストーリー自体にのりにくくなる)。

はっきりいって自分のミスでしたわ・・・


しかし、
「観劇順間違ったわ…このまま(自分だけ置いて行かれて)
物語はしっとり終わるんかな」と思わせておいて、

当代随一の名脚本家「吹原幸太」は伊達じゃない!

えっ!!というタイミングからまさかまさかで
R-18ステージでありながら、最後の最後には物語性が勝つ、
というなんとも素敵な舞台になりました。


次に観る普通回がとても楽しみ、
また、今後は絶対に普通回→R-18ステージの順で観よう( ´ー`)
そうすればきっと二度観との相乗効果でめちゃくちゃ楽しめるはず。
(R-18ステージは女子向けという訳ではなく、
普通に男性もネタで笑えるステージでした)

ネタバレBOX

表感想にも書いたのですが、
R-18ステージのPMC野郎メンバーのみでなく、
まさかのイケメンゲストキャストや
御大渡辺徹さんまで交えての下ネタの数々に、
そっちの方で笑わせられてしまって、

いつものシュール&ブラックなネタをつい飛ばしてしまった感じです。


で、インディアンの男と「この復讐が終わったらどうするか」なんて
レッドフィールドが話しながらの最後の復讐、
「このままいい話的に終わってしまうんかな、
まずは普通回でこの物語観たかったなー」と
残念な気持ちを抱えていた所での、

レッドフィールド「若すぎる!!」
そして、そんなレッドフィールドを無視して復讐を果たすインディアン。

そして、死んだはずの旧友の出現、
そして始まりでの「インディアンの子供を殺せ!」という暗転、
毎回レッドフィールドの記憶がビッグウィスキーマウンテン(?)から
始まる理由、

まさかまさかの超展開。


いやあ、(110分と聞いていたのもあり)
ここまで来て物語がこんなに大きく動くなんて思いませんでした。


そして「本当の」復讐の為に10年を費やして
インディアン兄妹の元へ現れるレッドフィールド、

※ ただ、ラストはちょっと想像ついてたんですよね
  インディアンの人の演技に熱が入れば入るほど
  「この人をこのまま殺せるレッドフィールド、
  いや、PMC野郎な訳がない」って


ツイッターに感想投稿しながら
「独りぼっちのブルース・レッドフィールド」と打っていて

あ、まさに(自分で自分の家族を殺して)
「独りぼっち」になった、ブルース・レッドフィールド、
だったんだなあ、と。


しかし晩年を過ごす老いたレッドフィールドの元へ
かつての仲間が集まって、
そして最後に娘が探していたイヤリングを見つけてやって、

やっぱりPMC野郎は温かい終わりが似合いますね。


PS.若かりし頃のブルースレッドフィールドが
  家族をどんどん殺害していきますが、
  娘と母親は2人でしたよね、
  あの時2発撃ってないかしら(??)

PS2.R-18とはいえ、超有名ゲストキャスト達に色々下ネタさせたり
  (ズンさんやら萩野さんやら)、
  プレゼント写真が何故か沖野さんの乳首イラッてる写真だったりと
  PMC野郎はやっぱりひと味違うなあ( ´ー`)
  イケメンにやらせていい限界を超えている
宝塚BOYS

宝塚BOYS

東宝

シアタークリエ(東京都)

2013/07/23 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

終戦/戦後当時、男性も歌劇団を目指した事があってもおかしくないなあと
他舞台のチラシで、「かつて男性が宝塚の舞台に立つ事を目指した事が~云々~」
というくだりに興味を惹かれてチケット購入。
当日行ってみるとイケメン声優/俳優(入野自由君以外誰も分からんかったけど)
目当ての女性陣が9割近かったのでちょっと引いてしまいましたが…

終戦ほどないタイミングでの宝塚歌劇団へ
「ぜひ男子部を作って欲しい」という想いを手紙に綴った主人公(の1人)、
そして集まった宝塚男子部メンバー、それぞれの戦争/戦後の境遇と
宝塚の大舞台に立つ事にかけた想い、
(案内パンフで既にわかっていた事ですが)
それが叶わぬ夢と消えゆくまでを描いていて、
喜劇のようでありながらホロリと涙腺が緩む場面も多数、そんな作品でした。

俳優目当てで行く人がほとんどかと思いますが、かなり真面目な演技と
ダンスと色々で、一見の価値ありじゃないかな、と思います。

ネタバレBOX

冒頭、戦争/戦後の混乱期の中で歌とダンスと演技で一般大衆を喜ばせる宝塚歌劇団、
そこにあこがれ「男であってもぜひ宝塚歌劇団の舞台にあがりたい」
という想いが叶っての男子部設立、それに参加した7人の男性主人公、
それぞれが抱える想いや境遇を笑いを織り交ぜて語りつつ、
しかし「宝塚は女性のもの、男子など不要!」という上層部、女子部、ファン
その他大勢からの妨害により中々陽の目をみる機会を得る事ができずに、
演者、観客ともにはがゆい想いが延々と続きます。

基本舞台が練習場、寮、の2箇所なので、結構似たような場面が続き、
ちょっと話に起伏が欲しいなあ、と思いながら休憩を迎えました。
(ここまで1.5時間程度、ちょっと喜劇パートとはいえ長かったかなあ、と)


当初、「2年を目処(舞台デビュー目標)にする」という話だったのが3年過ぎ、4年過ぎ
(この辺から年の説明がないので実際何年経っているのか分かりません)
やっと「男女混合舞台をやる!」という話が持ち上がるのですが、
それも出ては立ち消え出ては立ち消え、台本まで用意されても
まだ実現されない状況の中、1人は病気で入院、1人はこの煮え切らない状況に
業を煮やして脱退宣言、もう1人は終戦後ずっと消息の分からなかった父親の
死亡通知が届いた事で肩を落とし、そして最後には
「宝塚歌劇団男子部は解散」と、ひっぱるだけひっぱられての
救いのない展開にお話としてはちょっと残念過ぎました。
(ここまで観ていて、1回ぐらい男女共演出来て終わるのかな、と思っていたので)


しかし、7人の夢の中なのか、あるいは誰も観ていない舞台を使ったという設定なのか、
とうとう7人+寮のおばさん(元宝ジェンヌの方?)の夢の舞台が
開催されました。

観客としても「待ってました!」と言わんばかりの拍手喝さいです。
昭和のテイストを出しつつも押しも押されぬイケメン声優/俳優達の
歌とダンスに目と耳を惹かれました。
そして、おばさんのソロ歌(美空ひばりさんの歌?)がこれまた聴かせてくれました。

そうして一瞬の華やかさの後、練習場に別れを告げ、
「とりあえず飲みに行くか…」と笑顔で集まる7人に
何か哀愁のようなものを感じました。




今でこそ、宝塚歌劇団は女性が男性を演じる独特の劇団である、と完全に認知された上で、
その他にも男性女性それぞれが活躍する場(歌劇、演劇その他)は
多数ありますが、昭和/終戦の当時には
「宝塚歌劇団」というものがそれ以上のものとして
一般大衆に希望を与えていたのかと思います。

そんな中、それを目指す男子がいたとしてもおかしくないよなあ、
そしてこんな結末をたどったのかなあ、と感慨深いものがありました。

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