テレビのなみだ~仕事に悩めるあなたへの77話~ 公演情報 TBS「テレビのなみだ~仕事に悩めるあなたへの77話~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    テレビ側の人間が作るテレビマン悲喜劇に涙
    劇団ひとりさんの演技と鈴木おさむさんの脚本/演出を観てみたくて観賞しました。テレビ番組制作に関わる人間とその家族の悲喜劇(実話を元にした)に
    思わず泣いてしまいました。わずか6名という少なめの役者数、いつも観にいっている舞台役者とはまた違った「熱さ」というよりは少し淡々と演じられている感じ、それでいて情熱と悲しさといろいろなものが伝わってくる演技と物語に感動です。笑いの為なら全裸にもなるし、演技も本気な劇団ひとりさんに「劇団ひとりかっけー!」とエールを贈りたいです。

    ネタバレBOX

    そもそもチケットぴあかe+のメルマガで「劇団ひとり出演、鈴木おさむ演出」というのを見て2人とも著書その他がなかなか感動させると有名だったのでなんとなくその舞台を観てみたかったというだけの理由で予約したんですが、取ってみたらまさかの平日昼間で「うわー、会社休まにゃならんやん」とそこでちょっとショックでした。

    その上、当日チケットを見てみたら出演者の欄にジュンテさん(?韓流アイドル?)の名前があったり、更に現地にて「舞台後、ジュンテさんのトークショーあり」など「うわー、自分の嫌いな韓流押し、それも韓流舞台とかじゃないよな、そしたらマジ途中退席するわ」ぐらい意気消沈ぶりでした(日韓の関係悪化も含めあちらの人たちにいい感情は全く抱いていないので)。

    で、更に劇場内舞台開演前盛んにかかっているボリューム高めの山下達郎の曲も「ちょっと音楽ガンガンかけすぎ、しかも選曲が山下達郎ばかりって・・・」(別に山下達郎さんが嫌いな訳ではないんですが、今までの舞台で開演前に邦楽かけるとこ自体少ないし、それもかなりボリューム抑えめが普通だったので)と、舞台演出含め悪いイメージがどんどん膨らんでいきました。

    しかし、いざ舞台が始まってみると・・・


    【あらすじ】
    舞台左側がテレビ制作現場、右側がテレビプロデューサー「太陽さん」の自宅(上手、下手ってどっちでしたっけ?)

    まず、真っ暗な劇場上部に表示される「465」(値は間違ってたかも)の数字。

    そして、
    深夜のバラエティ番組(コント主体)で成功をおさめ、いよいよゴールデン枠へ進出、さてじゃあどんな番組にしよう、という制作者陣の会議場面からスタート。
    今まで一緒に頑張ってきた芸人達と「コント」でやっていきたい、という太陽さん、に対して「コントでゴールデンは弱い、若手芸人にもっと無茶をやらせていこう」と押すディレクター達、という打ち合わせと太陽さん宅での奥さんとの会話の繰り返しで劇が進められていきます。

    客席を見ると韓流?目当てか老齢の方が結構いらっしゃったんですが、
    その方々にも分かりやすい笑いの取り方など、若い人には逆に「それほどおもしろいか、今のネタ(??)」などの空気もあったかも知れません。

    ただこの場面の中で太陽さんの番組にかける想い、テレビマンとしての熱血ぶりと家庭では奥さんを大切にする、という両面がうまく表れていたと思います。

    そこに、いい番組を作って人を喜ばせたいという情熱を持って、大手出版社を辞めてまでADになった若者としてジョンテさんが現れます(名前だけで毛嫌いしてしまっていましたが、演技はとても真面目で若さと情熱にあふれる好青年ぶりが前面に押し出されていました)。

    途中、太陽さんの武勇伝としてビートたけしのモノマネやダチョウ倶楽部、江頭2:50ネタなど、(実際に業界でありそうな)ネタをおりまぜてきて多分テレビ大好きな老年者層などには大受けだったのかな、と思います(自分もネタはわかりましたが、最近テレビ局などをよく思ってないのでその辺は受け流して観てた感はありますが・・・)。

    舞台途中何度も劇場上部に表示される数字、その値が減っている事から「何かのカウントダウンを意味している?」と思ったのですが、

    ある時その値が最初の「465」に戻り、また最初の場面が再現されるのですが、そこにかかってきた奥さんからの1本の電話、その裏で実は・・・

    と、表面部分に当たるテレビマンの熱血パートと家庭での奥さんとの仲睦まじさの中に、実は裏側ではこんな事が着々と進行していたのか、と(タイトルからちょっと想像がついていた人も多いかとは思いますが)いよいよ物語が本当の姿を見せ始めます。

    過剰なネタバレは避けるとして、
    太陽さんの思惑どおり「コント主体」で挑んだ番組は大成功し、それは奥さんにも笑顔を与え、しかし無情にもカウントは進んでいく・・・

    結構飛び飛びに進むカウントに、「いつ0になってしまうんだろう?」と終始ハラハラさせられた上、一旦進んだカウントが戻っては「実はこの場面の裏では」という伏線ばらし、など、物語中の明と暗を6人の演者さん(特に劇団ひとりさんと奥さん)が見事に演じ分けていました。

    そしてカウント0を迎えてしまい・・・

    というお話なのですが、重すぎない、ネタに凝りすぎない伏線がまたきれいにはまっていて、見ていて脚本/演出の良さをまず感じました。

    その上で、明→暗、そしてまた明、と繰り返し変わっていくパートを見事に演じ分けていく役者さん達(観客の中では途中からすすり泣く声も聞こえてましたし、後でジョンテさんも言ってましたが、下手をすると「悲しみの演技を引きずってしまう」ような部分も見事に演じ分けていました)。

    多少淡々というかあっさりした感じで展開していく舞台なのですが、本当にいい舞台でいいお話でした(いい涙をもらえたと思います)。

    その後でこれが実話を元にしている、と聞いて驚きました。


    舞台が非常に良かったので、そのまま「ジョンテさんのトークショー」も観ていく事にしたのですが、こっちは本当の意味で「韓流ファンへのサービス」だったと思います。嫌韓および韓流ファンでない人はさっさと席を立って帰ってしまいました。結構その人数が多かったので、「ああ、みんな韓流ファンだから観に来た」という訳ではなかったのか、老年層=韓流ファン、みたいに思っていた自分には驚きでした。本当に舞台が観たかったんだなあ、と。
    (まあ、本来なら主演の劇団ひとりさんや鈴木おさむさんのトークショーになるのが普通ですからね、この流れなら)


    で、ジョンテさんのトークショーなんですが、TBSキャスターのアンディーこと安藤アナの仕切りで行われ、その中で
    ・ ジョンテさんはバリバリの関西弁である。
      今回苦労したのは「日本語」じゃなくて「標準語」。
    ・ ラジオ放送局でADの仕事をしていた事がある。
    など、ちょっと親しみの持てるようなお話が出て来ました。

    テレビでの韓国ゴリ押しやネットなどでの韓国の方々の日本に対しての「横暴とも思われるような発言その他」から、自分の中では韓国人=敵、みたいなイメージを持ってしまっていましたが、少なくとも日本で活動されているジョンテさんのような方は、(表面上かも知れませんが)本当に日本のファンに対して、かなり紳士的に振舞われていたかと思います。

    ビラの中の他の舞台公演の出演者にもジョンテさんの名前が出てましたが、
    自分は「少なくともジョンテさんが出ているから」という理由でその舞台を選ばない、という事はしないようにしよう、と思いました。
    (まだ演技がうまい、とまではいっていないと思いますが、単なる韓流ウケを狙ってるタレント、ではなく、ちゃんと舞台で演技したい、と考えている方かと思いましたので。)


    で余談ですが、その帰り劇場ホールを出たら、普通に廊下で舞台スタッフと釣瓶師匠が談話してたのでちょっと驚きました。

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    2013/03/27 19:06

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