みさの観てきた!クチコミ一覧

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煙が目にしみる

煙が目にしみる

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2011/07/08 (金) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

涙と笑いと感動
これは確実に観に行って大満足な舞台だった。だから勿論、御代は観てから投札しました。笑)
おばあちゃん役に剣持直明。いるいる!こういうばあちゃん、いるいる!的なはまり役。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は桜咲く季節、とある田舎の斎場。その待合室で白装束を着た二人の男、北見栄治と野々村浩介が、煙草を吸っていた。彼らは、これから火葬にされる幽霊達だが、ただ一人、ボケ始めてきたおばあちゃん(剣持)には、どういうわけか死んだ二人の姿が見えるのだった。

二人はおばあちゃんを通して、遺した人々に、何かを伝えようとする…。おばあちゃんは、まるでイタコのように二人の言葉を伝えるのだが、この場面での剣持の可笑しさに笑い転げ、また、残された野々村の妻の言葉に泣かされる。

舞台は剣持がおばあちゃん役で登場した時点で思わず笑ってしまうのだが、ここからの剣持の行動や仕草がまったくもって可笑しくて仕方がないのだ。弁当を食べる様子はきちゃないし、ナポリタンを赤いソバなどと言ったりする。額に貼ったヒエピタは剥がれるし、どこまでが台本なのか、アドリブなのか解らない状況で、自由にやっちゃってる剣持ばあさんは云わば誰にも止められない怪獣なのだった。笑

そうして終盤で夫婦愛の場面を見せつけ泣かされる。舞台にぴったり合うさだまさしのメロディーも選曲として成功していた。次回は10月に再演するらしいが、観に行かれるといいと思う。笑いと感動の渦巻く舞台だ。

このまちのかたち【終了致しました。ご来場くださいました皆様に心より感謝致します。有難うございました。】

このまちのかたち【終了致しました。ご来場くださいました皆様に心より感謝致します。有難うございました。】

机上風景

タイニイアリス(東京都)

2011/07/08 (金) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★

毎度のことながらきっちりと
過去の作品でも何度も書いているが「机上風景」の描写が好きだ。作品に貢がれる張り詰めた真摯な心が見えるからだ。そしてどこか捩れた屈折した人間を描かせたら古川大輔ほどきっちりと描く作家も珍しいとも思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

この物語を観たとき、あのカレー事件を思い出した。物語は九州、大分県のある小さな港町で起きた食中毒事件を背景に、被害者の家族と友人、加害者の深層心理を扱った作品。

舞台のセットは何もない。何もないからむしろキャストらの演技力、照明、音響をもシンプルにさせないと折角の静謐な舞台が台無しになるのだが、そこはどの匠も分相応にきっちりと役目を果たす。

4人での演技というのはキャスト自身も息が抜けないが、今回、秀逸な演技力で精神の捻りっぷりを熱演した寺門(長島美穂)の存在が素晴らしい。また娘を亡くした戸部隆昭(古川大輔)の内に秘めた絶望感や行き場のない鬱の表現にも圧倒される。なぜか古川を見ているととてつもなく色気を感じてしまうのはワタクシだけだろうか・・。

舞台のシンプルさに相乗して役者に吐かせる数々のセリフが美しい。その町に息づく人々と思い出の中の風景は切っても切れない情景だが、今回の舞台も重なるセリフで「このまちのかたち」がくっきりと浮かび上がってくるのだ。港町には山があり、みかん畑があり、セメント工場があり、その先には美しい海が広がっている。それはまるで美しい絵画の一枚だ。

この町は変わらぬ風景でいつもそこにあるけれど、傷ついた人々だけが何かに逃れられずにそれでも生きていくしかないのだ。観た後に考えさせられる作品。
キトキの月想曲-うた-

キトキの月想曲-うた-

室生春カンパニー 劇団 風の森

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/07/07 (木) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★

研修生の卒業公演のようなナリ
「メロウなメルヘン悲劇とは打って変わって、笑って、笑って、ちょっぴり泣いてまた笑う何ともばかばかしく仰々しい幻想物語」との触れ込みだったが、まったく笑えない。・・というのも笑いのネタが古すぎ。また半分以上の役者の演技力がイマイチで本自体も盛り込みすぎて散漫になった感がある。こう書いて評価2と表示してしまうと、劇団側は数ヶ月前から準備した自分たちの作品に愛着があるものだから、「何故?」って抗議したい気持ちもあるだろう。しかし舞台とはたった2時間で観客をその世界に取り込み誘い、更に物語の筋も把握させ解りやすく満足感を満たすという大層、難儀な仕事なのだ。この点が欠如していた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語の筋は一柳スミレとスミレの祖母・桜の漫才から始るが、この漫才ネタがまったく面白くなくて、しくじる。笑いのネタがスベリまくると、本筋に期待する他、望みがなくなるのが現実だ。

物語はスミレの姉妹・ツバキが桜のオルゴールを持ち去ったことから始るファンタジーだ。このオルゴールには時代を超えて受け継がれた「美しい国づくり」の目的の為に使うという、魔力のようなものがあったが、このオルゴールを手にした瞬間にツバキは時の扉を開けてナチス時代のドイツに飛んでしまう。ツバキを救う為に、謎の少年・キトキとスミレはツバキを追う事に。

当のツバキはナチス時代のドイツから、トロイヤ遺跡時代へと時空を超えて飛び回り、争いに巻き込まれながらも宿命を背負った旅を続け、その時代のカメリアとなりながら、オルゴールを守り続け、その意思と共に受け継がれてゆく。といった内容だ。こういったストーリーは案外多く、斬新さはない。その代わり、演出、舞台構成、照明、音響、キャストらの秀逸な演技力があれば、まず間違いなく高得点になるはずなのだが、今回の舞台は暗転の場面展開が弱く、その情景を観客に空想させる演出が弱すぎた。

また、音響に関してもギターの生演奏だけという設定でロマンに導く音響に乏しかった。更にだ、セリフを吐くのが必死という形相のキャスト、アルサスが殺される場面でのナイフの刺し方、間、倒れ方などまるでド素人で役者として日が浅いのが一目瞭然だった。本も、もう少しシンプルにした方が散らかりすぎないとも感じる。

物語に無理やり盛り込んでしまうダンスシーンは意味があるのだろうか?歌は上手いと思う。

いつも感じることだが、当日券で素晴らしい舞台を観た方がこちらの感情は断然、満たされる。これからは時間を有効に使いたいとつくづく思う。
幹事長 出番です!

幹事長 出番です!

劇団 東京フェスティバル

小劇場 楽園(東京都)

2011/07/05 (火) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★

た、た、楽しい!!
本も良いけれどキャストらの演技力が秀逸!特に綾田俊樹の日に焼けたメイクに笑い転げた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

支持率最低の無能総理が解散総選挙に打って出たことから始るどたばた喜劇。舞台は幹事長室での情景だったが詳細な取材に基づいたと豪語するだけあって、中々リアルだ。その中でも総理のダメッぷりに対比して世の中の酸いも甘いも承知の幹事長と、凛とした有能な幹事長秘書の存在が素敵だ。

支持率最低の総理の応援から逃れるにはどうしたらよいか、と頭を悩ましながらも苦肉の策として総理を島流し同然のように離島ばかりを演説させることに成功させる。更に序盤、愚作と言われていたマニフェストの、お菓子300円子ども手当が離島演説との相乗効果によって選挙を結果的に勝ち馬にさせた。

そこまでには政治家らしい政治家である大臣による政党員の根回し大量離脱の噂も流れ、物語を、生き馬の目も抜くという政治世界のどす黒さも表現しながら、最終的には未来を背負う子供達によって選挙票が揺れた設定へと誘う。終盤への繋がりが上手い。無能な総理の発案したマニフェストによって全てが事なきを得てこれからの未来もネットを巧みに操る子供達へ希望を託すという見事な顛末だ。

笑いのネタの殆どは総理のバカ丸出しの言動と表情にあったが、これも実にシンプルな笑いネタだ。さして、それぞれのキャラクターを存分なく演じた役者の功績は大きい。
深読みせずにユル楽しい舞台。
○○トアル風景

○○トアル風景

はえぎわ

ザ・スズナリ(東京都)

2011/07/06 (水) ~ 2011/07/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

道程
道程

表面的には緩くてバカバカしい。しかし全体的な構図は人間の一生の道程を扱った遥かなる空間の強い作品。はえぎわの舞台はシュールな表現の中にもちょっとした残酷さも含ませながら、こちらの感性にドカン!と殴りこむような風景だ。だから、「ああ、あるある、解るわかる!」なんつって納得しながら観てしまうのだ。物語のテンポは凄くいい。小さな舞台で見せる世界感は意外に大きくて、相変わらず笑いこけた。終盤ではホロリ・・とさせながらも、その期待を裏切るように下ネタに突っ走る!照明、音響、構成など絶妙!
ってリズムも乗ってきたところでネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

男と女のスポーツでの戦いから舞台は始るが、個々の人生も自分との戦いといっても過言ではない。そうしてmusicの場面からなんとなく学生時代の彼らを連想してしまう。そういった風景は壁に書かれた文字や絵で想像したのだが、次々と書かれていく文字には男と女、就職、結婚、家族、子供、果ては世界の情勢までも映し出されていく。だからこれから始る舞台も一つの男女の営みから始り、家族となって、死ぬまでを扱うのかな?なんて先読みをしてしまう。

そんな大真面目な文字の羅列の中、早速笑いを仕掛けるノゾエ。男女の恋愛から結婚、家族となって、いつしか夫婦に会話がなくなり夫婦の危機も訪れる。世の中の厳しい現実の描写だ。そうして契約社員である長男の解雇騒動。こちらも上司が放つ残酷な言葉は非現実のようで現実味を帯びている。この部分でも妙にハマッテ失笑してしまう。

そんな欝を抱えて父の元にやってきた長男は全世界を敵に回したような感覚になり父親をこれでもか、と傷つけてしまうのだった。そんな折、父親が急死してしまうと長男は父へ放った言葉に後悔し、また父を想う感情と自分の生き方への不満と不安が入り乱れ抑えていた感情は決壊し号泣してしまう。そして、その絶望を受け止める母のセリフが宇宙的に壮大で説得力があり力強いが、その次に待ってる下ネタで、一気に荘厳新たかな気持ちが崩壊してしまうのだ。笑

67年連れ添った夫婦も、そして父と息子も、言葉をケチらずもっと話しておけば良かった、とコミュニケーションの取り方を考えさせられる一方で、自らの穴に逃げ込む人たちの闇も表現しながらと、盛りだくさんの舞台だった。

それでも彼らの未来は無限に開いていて同時に無限に閉じているのだが、くすんだ若者も、離婚した夫婦も、父の残像も、めくるめく大人世界の出来事ならば、それは美しく調和のある人生なのかもしれない。

素晴らしい駄作を超えた舞台!次回も観たい。笑いのコネタが満載でかなり可笑しい。しかしその世界感はきっと大真面目なのだとも思う。
きょうの日は

きょうの日は

コメディユニット磯川家

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/07/07 (木) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★★

コメディ少々、感動半分
あれ?練習不足?と感じるほど、役者がよく噛んでのりも悪い。東京では初日と言えども大阪で既に公演済みなので本当の意味での初日とは言えないが、やっぱ舞台は後半に観るべきとつくづく感じる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回は休止前の公演なので、物語をコメディ+感動もの、と劇団側が欲張ったせいか、コメディ部分がイマイチだった。・・といっても今までの作品が面白かったので、それらと比較して今回は弱かったという事なのだが・・。コメディ部分がイマイチなら、本筋に期待してしまうのは観客としての性なのだが、本筋の感動もの自体もあまりパンチがなく、説得力に欠けていた。

物語の筋は伊智子の実母(既に他界)との思い出の詰まった家を地上げ屋の攻勢に抵抗しながらも売却するまでを描いた作品だった。それまでにそこに住む家族の環境や情景、葛藤を加味しながら時にギャグをカマシ、時には怪談もの騒動でうねりを作ろうとするものの、かえって散らかってしまいまとまりがなかった。

また伊智子の父役の湯浅(テノヒラサイズ)は完璧に練習不足で、よく噛んでよく間違えた。苦笑!ワタクシの中で出球は黒木(ヨーロッパ企画)なのだが、ヤクザ風な黒木が登場すると会場の空気までも一瞬、騒然となり、流石にチンピラ風の形相は違うなぁ。と感心してしまったが、幕後の挨拶で必死になって笑いを堪えていた姿を観てワタクシ、観客にもそのくらい笑わせろよ。なんつって突っ込みたかった。

菊池祐太の靴下に穴が2つあいていたのは演出なのか貧乏性なのかは知るよしもない。

100円キャッシュバックについては、毎回、頂いたことはないが、たった100円でも劇団側の負担を考えると大丈夫なのか?とも思う。公演ごとに数万円は支払う計算になるわけだ。だから靴下に穴なのか。笑



THE TRUTH OF PALM 

THE TRUTH OF PALM 

super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船

ブディストホール(東京都)

2011/07/06 (水) ~ 2011/07/11 (月)公演終了

満足度★★★

反戦公演
物語は太平洋戦争で失った尊い命や残された家族を描写したものだった。
全体から匂ってくる風景はやはり反戦公演だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

久しぶりに観た快賊船の公演。相変わらず構成は雑だ。要らない箇所は多くあり、男優のパンツまで見せて笑いを取りにいっていたが、客席はドン引き。こういった笑わせネタは古すぎるのだ。

更にどういった訳か、キャストが感極まって号泣する場面があり、ワタクシ???状態だった。キャストらは物語の結末を解っているから、終盤を空想して泣けたのか、はたまた、何らかの訳があって泣いたのかは知らないが、一人泣くと、他のキャストもつられて泣く始末で、そうなるとワタクシのほうは急速に冷めてしまって、物語の世界観に入れなかった。
まだ、物語の展開は登場人物に同情して泣ける場面ではなかったのだ。

河野夫婦を主軸に物語は進む。夫は戦地に、妻は内地でピカドンの被害にあったが、夫婦の間で交わすひまわりの種手紙はほんわかと温かみのある描写だった。しかし、ピカドンの投爆の情景や逃げ惑う場面の構成が弱すぎる。あまり切羽詰った情景が観られないのでその分、感情移入が出来なかったのも事実だ。

また、過去と現在を交錯させて見せていたが、その暗転の仕方も雑だった。肝心のピカドン被爆された彼女達の苦しみの描写もイマイチだったように思う。快賊船特有の小ネタも散りばめられてはいたが、 全体的に緩くなってしまっていた。それでもここの劇団のキャストらは魅力だ。舞台に立った清水などは巨人のようにも見える。笑
衣装はしっかり。照明と音響はもっと迫力があっても良かったような気がする。



牡丹燈籠

牡丹燈籠

ハイリンド

d-倉庫(東京都)

2011/07/01 (金) ~ 2011/07/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

絶品!
いやはや素晴らしい舞台!当日券で観劇したが支払ったチケット代が惜しくない。大満足な舞台だった。

舞台セットは演目に沿った歌舞伎の造り。だから舞台で役者が演じてる傍らで、これを見守っている出待ちの役者。案外、舞台上で演じられてる役者も、出待ちの役者の鎮座も隅から隅まで、はたまた舞台の下から覗ける反対側の役者の鎮座まで見えちゃうのだから、正座が美しいキャストも、正座すら苦手なキャストも、とりあえず観客の見える範囲では背筋を伸ばし姿を崩さないキャストも存分に眺められた。中でも多根周作と小豆畑雅一の佇まいや正座が美しい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

西沢栄治(JAMSESSION) の演出だけあって全体的な構成はお見事!更に照明、音響、全てのキャストらの演技力に脱帽した舞台だった。役者も生身の人間だから、演じる日によって出来不出来はあると思うがワタクシの観た回はキャストら全員が絶好調のようだった。

またストーリーをナビる役者配置もあって、本当に解りやすかった。これなら「牡丹燈籠」を知らない人も充分に楽しめる配慮だ。半蔵とおみね役を伊原農と枝元萌が演じるが、幽霊・お露の登場にぶったまげて、アタフタと度肝を抜かせる二人の表情は充分にコメディで、これに輪をかけて大げさな幽霊っぷりのお露(牛水里美(黒色綺譚カナリア派))とお米(田中千佳子)の行燈言葉がおもちろ可笑しく仰け反るように笑ったのだった!(^0^)

もしかしたら、これはコメディではないか?と感じたのも束の間、金に目がくらんで幽霊・お露に加担したことから始る半蔵おみね夫婦の人生の転落。飯島平左衛門と孝助の師弟でありながらの仇関係。幽霊・お露と萩原新三郎の悲恋、お国と源次郎の不義密通などを、それぞれのキャストらがきっちりと秀逸に演じ魅せた。

思えば、人間の業、欲をこれほどまでに扱った古典なのだから、観方によってはコメディとしても充分にイケルのだ。終盤、孝助の言葉でホロリ・・とし、はたまた、幽霊騒ぎで顎が外れるほど笑い、全体的にきっちりと演じられた王道たる舞台だった。運命に翻弄されながらも必死に生きる孝助の因果応報の物語でありました。

観た喜びを噛み締める。
【すくすく】

【すくすく】

タテヨコ企画

吉祥寺シアター(東京都)

2011/06/30 (木) ~ 2011/07/04 (月)公演終了

満足度★★★

次回に期待
昨年見た「測量」があまりにも好みだったため、今回は期待を裏切られたような結果に。
休日の幼稚園が舞台だけにセットがひじょうに可愛らしい。この時点ではワタクシのテンションも高くドキドキワクワクしちゃったのだけれど・・。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は幼稚園に集まった大人たちの物語。だから幼稚園児は一人も登場しない。どうせなら大の大人が幼稚園児になって本気で演じて欲しかった。更に、教員と保護者有志が一週間後に迫った子供向けミュージカル「すくすく」の練習に精を出しているという設定なのだが、肝心の絵本の描写があまりないし、練習に精を出してる様子も描かれていない。

ミュージカル原作であるオリジナル絵本「すくすく」の世界を背景にするなら、やはり大人たちの練習風景は必要だし、そうしないと舞台での主軸が見えにくくなってしまう。子供と向き合うはずの大人達は肝心の子供が登場しないので、ワタクシは、子供不在のまま、いったい誰と向き合うのか?という疑問も生まれながら観ていた。

また、大人の世界だけで物語は進み、結局薬局、水沼・夫と鈴木の不倫のような関係性が暴露され、ここでも大人たちがイザコザし、牧村の子供時代の膿(母子関係)などを扱った様相を見せて、終盤に観客の牧村への落涙を誘うような形で幕を閉じてしまうのだ。

あれ??・・・・久しぶりに疑問符。物語に殆どうねりはない。終盤になって男と女のエグサを見せつけちょっとしたうねりはあったものの、牧村が過去の膿を浄化し子供を産んでみよう!と希望に満ち満ちた場面で終わる。つまりこの物語は牧村の憂鬱を扱った作品だったようだ。

ミュージカルを完成する為に大人たちが練習していたのならそのミュージカルとやらを幕引き前で見せるならまだしも、投げっぱなしで終わってしまった舞台だった。次回、タテヨコ企画は「すくすく」と育つだろうか。
副都心線ラプソディー

副都心線ラプソディー

ポリタン煉瓦亭

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/06/29 (水) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★

何もない
観終わった後に何も残らない芝居だ。物語は探偵事務所が舞台。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

確かに2人の女子が、どうでもいいような話題を延々と終わりなく遊んでいる設定だ。その内容は高校生や中学生が授業の合間に暇つぶしに話すような内容で、はっきりいって聞き流すような会話だ。だから、たぶん3日後には殆ど覚えていないだろう。ってか覚えていてもどうってことない話題なのだ。

それはミドリの飼い猫のヨゴローザが行方不明になったことから、同時期に起こった猫の大量失踪と何か関係があるんじゃないか、とか、井戸端会議のような都市伝説の噂や、まこととミドリが読む「ゴドーを待ちながら」を織り込み、いったいこの散らかりまくった伏線をどうやって回収し、まとめるのか・・?と案じていたら、猫の失踪事件とトトロの猫バスをかけて収束してしまった。

結果的にファンタジーなのだが、ファンタジーというほど、そこまで観客を引っ張る力量が脚本にない。つまり女子二人が話していた内容とファンタジーは反比例していたし、現実的に二人が話す内容は副都心線の何処のエリアで猫が失踪した、という内容で、この伏線からしてファンタジーは似合わないのだった。

大変酷な言い方だがキャストがどうのこうのという以前に本の内容に魅力がない。
ファンタジーという意外性を押し出すなら最初からファンタジーにしちゃったほうが終盤で裏切られることはない。

不都合な四日間≪終演致しました!沢山のご来場ありがとうございます!≫

不都合な四日間≪終演致しました!沢山のご来場ありがとうございます!≫

クロカミショウネン18 (2012年に解散致しました。応援して下さった方々、本当にありがとうございました。)

テアトルBONBON(東京都)

2011/06/29 (水) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★

緩い投げコメディ
セットが素晴らしい。こういったセットを作る職人に自宅を改造してもらいたいくらいだ。笑)喫茶店を舞台に一日目を上野友之(劇団競泳水着)、二日目を関村俊介(あひるなんちゃら)、三日目を下西啓正(乞局)、四日目を野坂実(クロカミショウネン18)で〆る。こういった企画ものは当然、最後の四日目で話の筋をどうにか観客を騙しながら伏線を回収しつつ終わりにしなければならないのだが・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

上野友之の本は喫茶店での登場人物設定とこれらに関するネタ振りをして無難なところで逃げ切る。笑)上野の役割は堅実に2番手にバトンを回し成功する。

これを受け継ぐ関村俊介は初盤、コメディ的な要素を見せつつ(この時点では好みだったが)、終盤で粗さが目立ち笑いの振りネタが雑になってしまう。これを次の手に投げっぱなしで逃げてしまう。笑

これを受け継ぐ下西啓正は大変だろうな・・と個人的に感じながらも、乞局独特の怪しくも危険な妄想情景へと観客を誘うがここで喫茶店マスターが思わず含み笑いをしてしまい、一気に素になって笑ってしまうマスターを見て、ヤクザ風の5人もつられて笑ってしまうという楽しいハプニングに。笑いを堪えようと必死の形相で己の精神と戦う彼らを観ているほうが舞台のストーリーよりおもちろ可笑しかった。
 
そしてすべてを巧妙に受け継いで仕上げ終わらせなければならない野坂実だったが、舞台全体をみるとやはり、4人の作家が描く世界はちぐはぐで、こういった構成は失敗だったような気もする。やはり一つの作品に時間をかけて、きちんと練って作りあげたような緻密さはない。だから芝居の終わらせ方もぐずぐずで強引にまとめた感は否めないのだった。結果、ぐちゃぐちゃなコメディといった幕引きだったが、キャストらと企画を楽しむといった気持ちで観るなら面白いイベントだと思う。
いのち ~フル~

いのち ~フル~

サンハロンシアター

ザ・ポケット(東京都)

2011/06/29 (水) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★★

臓器移植というナイーブな問題
これをストレートプレイで公演したならどんだけ重厚な作品になっただろうと思われる。しかしこの劇団にはまだそういった演技力だけで見せる舞台は重荷だったようで、こういう劇団によく見られる逃げのコネタを盛り込んだ舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

まず、自殺患者をストレッチャーに乗せた救急隊員が舞台に現われた時は意表を突かれた。この時点ではストレートプレイでやるのか・・と思ったくらいだ。そのうちコミカルな刑事らの登場で、そっちかぁ・・と思ったのだ。笑

今回の物語は14歳の自殺患者が運ばれてきたことから始まる臓器移植に対し院内の医療現場に関わるドクター、看護師、移植コーディネーター、家族らの思惑を描いた舞台だった。今回の物語の見どころとして、それぞれの立場が違えば考え方も違ってくるのは当然なのだが、丹羽医師の言動はある意味、現場医師として普通のような気がする。

移植専門の大病院に到っては臓器移植執刀医が臓器の持ち主の名前さえ知らされない場合も多い。この時点で臓器はモノであり執刀医氏はそういった詳細を知らされない方が雑多なストレスや、煩わしさから逃れることが出来、ただ単に執刀医として仕事がこなせるのだ。まさに病院は臓器農場のような感覚にさえなるが現場は意外にそんな感じなのかな、とも想像する。

ドクター達は常に移植待ちの患者や家族をみながら、ついに亡くなってしまう患者らを歯がゆい思いでみてるのかもしれない。だから移植を率先する医師が待ちの患者寄りになるのは致し方ないことで、一体の死者の臓器で何人助かるか・・の対比を巧妙に演出していたように思う。

また人間の死後、魂と共に蘇ると信じるアジアの信仰と、欧米のように死者の身体と魂は別物という信仰の違いも、日本での移植をめぐる家族の心理の問題も浮き彫りにさせる。

赤い風船と少年の演出、赤いドレスとハイヒールの少年の母の描写、これらは暗い舞台に赤々と映えて否が応でも目に焼きついた。このカラーを操る絵画的な芸術性に反比例するように、二人の刑事のアホッぽさも中々コミカルな仕掛けだ。物語は解りやすく観易い。強いていえば助長に感じられる場面もあったのでその部分を濃縮させて欲しかった。
5分だけあげる(終幕御礼・御感想お待ちしています。次回公演は2012年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭参加決定)

5分だけあげる(終幕御礼・御感想お待ちしています。次回公演は2012年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭参加決定)

MU

王子小劇場(東京都)

2011/06/28 (火) ~ 2011/07/04 (月)公演終了

満足度★★★★★

ちゃんとした大人
とにもかくにもキャストの演技力が素晴らしい!マチネで演技力がイマイチな舞台を観たから特にそう思った。笑
セットも素敵だ。舞台床の段差の隙間に単行本を無造作に並べてある。物語は学級崩壊を扱った静かな破壊力のある作品でワタクシの好みのど真ん中だったので評価は高い。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

教師役の久保亜津子(向陽舎)がひじょうにいい。本当に教師に見えちゃうところも臨場感バッチリ!そして小学生を演じた今城文恵 宮川珈琲も素敵だ。
ハセガワアユム 自身が破壊的な小学校と高校時代を送ってきたせいか、こういった闇についての描写は群を抜いてると個人的に思う。

そうしてメッセージ的に使われる「ちゃんとした大人」という、云わば造語のようなものはこの世に存在しない。笑)  元々、人間そのものがどこかしら欠陥だらけだからだ。ワタクシが子供だった頃も大人に対して神々しい感情を抱いたことはなかったし、教師にしたって、まともな教師に出合ったことがない。そうして今度は自分が大人になったときに自分自身も含めて世の中の大人と称する人たちの子共じみた行為や言動が、当たり前のように氾濫しているのだ。

もし仮に大人のような大人を見かけたらそいつの服を剥ぎ取ってみるがいい。笑

ここで登場する教師も保護者も、まともな大人はいやしない。ぶっ壊れた小学校の授業参観日に裏サイトで呼びかけボイコットする生徒ら。ミサの母親とシュートの父親の不倫を知ったミサがシュートとセックスをしてしまう闇。しかしこの2人が「この街を出よう」と誓いあう行為の先には希望がある。

既に学級崩壊したクラスの担任・梶浦はどうにもならない現況を破壊してしまおうと爆弾をしかけるが猿山のボス的存在の教師に一度崩壊したクラスをリセットする力量はない。そこにあるのは破壊だけだ。しかしそういった暴力に対して神々しく上から目線で「みんなに5分だけあげます」と微笑み、その5分の間に「感じる事よりも考えることに意味がある」とのたまい説法のような道徳を吐く姿が滑稽だ。爆弾を仕掛けた教師が生徒に対して「未来について考えろ」という。なんとも理不尽な言葉だ。笑

こういったナンセンスコメディ的なバイオレンスが好みならドツボにハマル。
更にトークイベントも楽しかった。意外に若宮の司会が絶妙で感心した。トークの司会としてもイケルんじゃないか。笑

似非紳士

似非紳士

Unit Blueju

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/06/30 (木) ~ 2011/07/04 (月)公演終了

満足度★★

本の構成が甘い
客席に空席が目立つ。
便利屋を舞台に繰り広げられる人情もの。
一行で説明が言えるほど良くある話だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

たぶん物語をコメディとして立ち上げコミカルな中にも人情味溢れる舞台にしたかったはずだ。更に解りやすくするために映像を駆使し、日本舞踊と洋舞と歌を取り入れてエンターテイメントを前面に押し出し、ピアノの生演奏で観客の情緒を引き出し、楽しくほろ苦い芝居を作りたかったはずだ。

しかし、コメディとしてはもう一歩。観客からの笑いは起こらず、ギャグネタのセンスもイマイチ。また川久保が歌ってる横でキャストが休んじゃってるし、全体的に舞台を上手く使っていない空間がひどく気になった。

またキャストらの演技力がすこ~し欠けていて、目が泳いじゃってるキャストもいたりして、観ていて気の毒な感じがした。ミュージカルというより音楽劇で芝居と歌の導入の繋ぎがギクシャクしていたからか、全体的に中途半端な舞台だった。もうちょっとテンポとリズムが欲しかったのと物語が短絡的すぎて、もう一歩、突き抜ける件が欲しかった。

役者では小俣彩貴が動物的感が鋭いのか観客の空気を読んで引いてるときは自分もさっさと演じて間を長引かせず状況に応じた変化のある演技を見せていたように思う。主役級の二人の演技力をもうちょっと磨かないと致命的かもしれない。
【特別版】男子と女子と、ときどき鹿と 改

【特別版】男子と女子と、ときどき鹿と 改

元東京バンビ

小劇場 楽園(東京都)

2011/06/28 (火) ~ 2011/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★

特別版とあるけれど
まあ、内容は殆ど同じ。今回の前説ははやし大輔。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

相変わらず緩くでだらだら。前回と違うところはキョンとアダチがマジックのようなコネタを披露する。これもとてつもなくアホらしい。今回は前回座った反対側の場所で観た為、寺本(はやし大輔)がチヨコとセックスしたい一心で本丸を攻める変態的な一生懸命さの表情や目の動きが良く見えてものすっごく笑えた。ちょっとした仕草とか絶妙に上手い。いい役者だと思う。前より今回のほうが笑えた。

ロボット・唐栗(中峰健太)も相変わらずのぶっちぎり。そして佐々木千恵が本当に可愛いらしい。いつまでも観ていて飽きない可愛いらしさ。実に魅力的だった。今回は梅子がバージョンアップしていたし、A組高橋の飢えた恋ときょんの切ない恋が危険すぎる。笑

相変わらず緩くてバカバカしいお馬鹿なコメディ。

最後の子

最後の子

ユニットR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/06/28 (火) ~ 2011/06/29 (水)公演終了

満足度★★

練習不足
リーディング公演だからこそ観客を舞台側に引き込み想像させる力量がなかったら、家で小説を読んだ方がいいと日頃から考えている。今回の舞台は台本を読んでるのにも関わらず役者がよく噛んでツッカエタ!
リーディング公演と打ちながら殆ど芝居として立ち上がっている「KAKUTA」のリーディング公演とはエライ違いだ。

ネタバレBOX

岸田理生の短編。岸田の本はどれも妖しい雰囲気に包まれていて幻想的である。特に、その文章の美しさや表現力には安易に空想の中に引き込まれてしまう。
今回の物語は、世界の異変や子供を産む事が出来なくなった人類の末路を題材に、妻の体の中に宿った得体の知れない未知の生物を扱った物語りで、新種の異形が生まれるまでの物語だ。この生物は単に妻の腹を自分の意思で選び、腹の中を侵略し、これを媒体として自ら育つのを目的としているのだった。

物語の世界感は壮大な伝奇でSFちっくな一冊なのだが、役者が数人で一度に吐くセリフは合っていないし、迫力にも欠けた。せめて衣装に工夫が欲しかった。普段着のような衣装では観客の空想力に水をさすようなものだ。まるで近所の公園で読み聞かせる感覚だ。更に宇宙を想像させる何かが足りない。本来なら暗黒の中空に漂う巨大な胎児をイメージできるはずなのに、そういったもの足りなさが観客の数を表しているのか20名足らずだった。

これからのリーディング公演はそれなりの工夫がないと客足は伸びない。
ユメノナカノウツツノナカノユメ

ユメノナカノウツツノナカノユメ

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2011/06/23 (木) ~ 2011/06/30 (木)公演終了

満足度★★★

Aバージョンを観た
Aバージョンを観たのは剣持が出演されてたから。彼ほど人間臭いおっさんキャラは居ない。まあ、どこからどーみてもおっさんなのだが・・。彼が吐く自虐ネタはアドリブなのかセリフなのかよく解らないが切羽詰まったものがあり、そこがまた人間らしさを強調していた。剣持のジャージの穿き方はあれでいいのか・・?笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

閉鎖された空間に閉じ込められた見ず知らずの5人。彼らはなぜこんなところに拉致されたのかも解らない。解っているのは彼ら全員が佐々木ゆうきという名前だったこと。突如現れる3人の黒崎。しかし彼らは3人で一人の黒崎だという。そして黒崎はゲームと称する生死を掛けた殺人ゲームを用意する。

5人の佐々木はゲームのシュミレーションを試み、全員が疑心暗鬼になり葛藤する。ゲームの合間に5人の佐々木らが将来の夢や希望やなりたかったものについての告白タイムが設けられるが、彼らは一様に役者としての現況を熱く語る。たぶんこの告白は全ての役者が思っていることではないだろうか?大抵の役者は結婚を機に人生を再考せざるを得ないのだ。

やがて5人の佐々木は同じ記憶を共有する、ベースとなっている一人の青年だということが解る。他の4人の人格は客観的に佐々木を見つめるもうひとりの佐々木だ。彼らはゲームを繰り返しながら5人の人格を出し入れし、己の葛藤を繰り返しながら自分の意志や考えをまとめて新境地へと進んでいくのだが、割とこういった物語は多い。だから舞台そのものに斬新さはないが、役者としての苦悩や現況を素直に表現した部分で共感を得る観客は多いと思う。

殺人ゲームの割に緊迫感が足りないのはどうしてだろうか?音響や照明のせいなのだろうか?殺人ゲームは芝居でよく観るがどのホラーな展開にも音響と証明が大活躍している。そういった場面での演出が足りなかったように思う。だからなんとーなく緩い演劇娯楽の範疇を越えなかった。この部分がひじょうに残念だった。

相変わらずスタッフワークは最高!
遠くから見てるだけ

遠くから見てるだけ

パセリス

サンモールスタジオ(東京都)

2011/06/23 (木) ~ 2011/06/27 (月)公演終了

満足度★★★

タイトルからして主役は神様
そう感じるほど神様の存在が強い。でもって神様に吐かせるセリフもごくごく普通っぽくて、かつ、ちょっとけだるい感じ。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は今風のちょっと好きの感覚を大げさに扱った物語。だからトレンディドラマのような怒涛の展開はないものの、トモちゃんとアイちゃんの安藤君好きはちょっと軽めの好きだ。トモちゃんはどちらかというと安藤君よりアイちゃんの方を大切らしく、アイちゃんはトモちゃんより安藤君が命だ。笑)

肝心の安藤君はトモちゃんが一番好きらしく、彼ら3人の三角関係をどうしたらいいか神様に相談するのだが、ここでの神様のセリフが絶妙におもちろ可笑しい。でもって因果応報という人間の力ではどうすることも出来ない力を振りかざし襲ってくるのだが、終盤はちゃっかりコマを元に戻し、最初からやり直しする展開の上手さは絶妙だと思う。

登場人物たちはそれぞれの人間特有の業をもって何かあると他人本願に神様に願い事をするのだった。しかし、神様にだって都合があって、人間の一方的な願いばかり叶えてられっか!みたいなオチに落ち着くのだ。笑

ナンセンスコメディとして観るとひじょうに面白い。正直申し上げて心に残る感動的な作品ではない。しかし神様という存在を持ってきた時点で登場するキャラクター達が碁の上で踊る碁石のように、所詮、人生の中で起きるひとつのコマなのだ。
マダン劇「碧に咲く母の花」★ご来場、誠にありがとうございました。

マダン劇「碧に咲く母の花」★ご来場、誠にありがとうございました。

May

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★

チェジュ島四三事件を扱ったマダン劇
マダン劇は、マダン(広場)を観客が取り囲み、演者と観客が声を掛け合いながら一体となって楽しむ韓国の大衆演劇とのこと。正直申し上げてまったく知らなかった。(恥!)

今回のマダン劇はチェジュ島四三事件、つまり、朝鮮民族が同じ朝鮮民族を思想の違いから大虐殺した事件を扱ったものだったから、戦いの劇だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

チェジュ島出身の両親が日本に逃れ日本で生まれた娘は、両親が決して語ろうとしなかったチェジュ島での出来事を母の死後になって、やっと知ることが出来た。それは母の遺骨の一部を母の祖国・チェジュ島に埋めるという目的でチェジュ島に渡り、チェジュ島に住む朝鮮民族の人々に触れたことがきっかけだった。

舞台はチェジュ島四三事件を発端に日本に逃れてきた家族が過去にあった大虐殺の事件を語ろうとしなかった理由や両親と娘の内面を表現した物語だったように思う。演者と観客が声を掛け合いながら一体となって楽しむというマダン劇でありながら扱った題材は重苦しいものだったから、そのギャップに戸惑い、正直申し上げて楽しむことが出来なかった。

これはあくまでも嗜好の問題だが、重いテーマを扱うならマダン劇ではなく、歴史を扱った芝居として立ち上げたほうが観易かったと思う。キャストらはあまり客扱いに慣れてなかったようにも思う。

さいあい~シェイクスピア・レシピ~★ご来場、誠にありがとうございました。

さいあい~シェイクスピア・レシピ~★ご来場、誠にありがとうございました。

tamagoPLIN

タイニイアリス(東京都)

2011/06/09 (木) ~ 2011/06/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

愛と哀
序盤、コメディのごとく野菜狂想曲のような流れから始まり、終盤、シリアスになって父と娘の抱き合うシーンのクライマックスで泣かせる。彼らの舞台表現は、イタリアやフランスの公園で観劇しているような錯覚に囚われる。素晴らしい舞台を観た!と心から思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

交通事故で、母を亡くしてしまった父子が母の残像を胸に抱えたまま、それぞれの想いを外に吐き出せず苦悩するさまは観ていて哀愁を感じた。お父さん役の鈴木拓朗のダンスがあまりにも素晴らしい。身を切るほど忙しく働く表現の裏には抱えきれないほどの悲しみや絶望から逃れたいという心理状態が透けて見えるほどのダンスでその身体能力の高さには目を見張った。元来パフォーマンス的なダンスは苦手なワタクシだが、これには圧倒され感服した。

一方で突然いなくなった母に恋焦がれ転校先の学校に馴染めない少女は孤独な日々を送っていたが野菜たちに癒されて少しずつ大人になっていく。ここでの野菜たちのキャラクターが実に素敵だ。傷つきやすい少女が野菜や人間嫌いになった訳や、野菜らがシェイクスピア劇の練習をしながら人間を理解しようとするさまの表現は絶妙だった。

「お母さんはもういないんだから・・」と呟きながら自殺を試みる父にすがってお弁当の話をする少女の場面では思わず泣けた。悲喜こもごも乱れる舞台演出はもうお見事!という以外の褒め言葉は見つからず、導入音楽の使い方も素晴らしかった。出来れば、もう一回観たい舞台だった。大絶賛!!

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