このまちのかたち【終了致しました。ご来場くださいました皆様に心より感謝致します。有難うございました。】 公演情報 机上風景「このまちのかたち【終了致しました。ご来場くださいました皆様に心より感謝致します。有難うございました。】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    毎度のことながらきっちりと
    過去の作品でも何度も書いているが「机上風景」の描写が好きだ。作品に貢がれる張り詰めた真摯な心が見えるからだ。そしてどこか捩れた屈折した人間を描かせたら古川大輔ほどきっちりと描く作家も珍しいとも思う。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    この物語を観たとき、あのカレー事件を思い出した。物語は九州、大分県のある小さな港町で起きた食中毒事件を背景に、被害者の家族と友人、加害者の深層心理を扱った作品。

    舞台のセットは何もない。何もないからむしろキャストらの演技力、照明、音響をもシンプルにさせないと折角の静謐な舞台が台無しになるのだが、そこはどの匠も分相応にきっちりと役目を果たす。

    4人での演技というのはキャスト自身も息が抜けないが、今回、秀逸な演技力で精神の捻りっぷりを熱演した寺門(長島美穂)の存在が素晴らしい。また娘を亡くした戸部隆昭(古川大輔)の内に秘めた絶望感や行き場のない鬱の表現にも圧倒される。なぜか古川を見ているととてつもなく色気を感じてしまうのはワタクシだけだろうか・・。

    舞台のシンプルさに相乗して役者に吐かせる数々のセリフが美しい。その町に息づく人々と思い出の中の風景は切っても切れない情景だが、今回の舞台も重なるセリフで「このまちのかたち」がくっきりと浮かび上がってくるのだ。港町には山があり、みかん畑があり、セメント工場があり、その先には美しい海が広がっている。それはまるで美しい絵画の一枚だ。

    この町は変わらぬ風景でいつもそこにあるけれど、傷ついた人々だけが何かに逃れられずにそれでも生きていくしかないのだ。観た後に考えさせられる作品。

    0

    2011/07/10 11:50

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大