みさの観てきた!クチコミ一覧

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すべて君に宛てた手紙

すべて君に宛てた手紙

enji

OFF OFFシアター(東京都)

2009/03/11 (水) ~ 2009/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★

相変わらず素敵な物語
enji の素晴らしいところはどの芝居を観てもハズレがないってことだよね。(^0^)
それはきっとenji の作風がワタクシの好みだと言う事もあるかもしれないけれど、芝居そのものが毎回ひじょうに解り易く、丁寧に糸を紡ぐように作り込んであるって事も加味してると思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

とある住宅販売のセールスマンの裏事情と、そこに勤める元夫とアルバイトでやって来た元妻の微妙な心の動きを描いた物語。

住宅展示場の見学にやって来た一家族に住宅を売りつけようと模索する販売員の情景が可笑しい。最初、コメディか?と思ったくらいのほのぼのな笑いを演出する。笑いどころは満載でお見事!

そのうち、見学のさくらとして雇われた日比野がここの住宅販売員の風戸の元妻だという事実が判明する。どうやら彼らはまだ未練があるらしいが、彼らの一人息子が事故で歩けなくなってしまった事が起因となって夫婦関係にひびが入り離婚したのだった。

家族とは?家とは?を説いた芝居。

頑張って家族の幸せの為に家を購入するとローン返済の為に頑張って仕事をする結果、家族と一緒にいる時間が少なくなってしまう。そうではなく、家は無くてもなるべく家族と一緒にいる時間を多くとる事が幸せに繋がる。と訴える。

優しくて切なくて楽しい物語。
観た後にきっと優しくなれるはず。お勧め!

アミナダブ

アミナダブ

劇団阿彌 GEKIDAN AMI

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

びくぅっ!
心臓が止まるかと思ったくらいの仰け反り。
人は本当に驚いた時は声は出ません。その代わり椅子から体が10cmは浮いた!あなおそろしや・・。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

生と死を題材にあの世に居るはずの女性とこの世に存在する男性との会話劇。

生きようとする強い力、凄まじい意思によって一度は死んだその女性が再び甦り、一人の男の一生を飲みつくしてしまうほどの事件は荒涼とした町で起こった。そんな生霊と蜜月を過ごした男の一瞬だけれどとてつもなく長い時間。

女は「貴方がおいでになるときは私の全ての呼吸を残しておきます。」と告げる。脈拍は砂のように乱れ散りながらも生きようと激しく願い、死んでしまった女はその後も男にぴったりと寄り添う。悲しみに満ちた影のように・・・。

舞台は音楽の導入も無く静かに、静かに流れていきました。現代能とでもいうような舞台の流れに、観客は咳き一つ許されないような幻想の世界に引きずり込まれていきます。

空間を漂うようなその言葉はある意味、凄まじくも美しい、まさに夜叉の顔を想像して、白い石膏で固めた能面は、見方によっては満足げにうっすら笑い、見方によっては冷酷なのでした。

そんな神秘的な世界でいきなり女が地の底から這い出てきたような声で「触るな!」と叫んだのです。

その刹那、ワタクシは椅子から転げ落ちるほどびっくり仰天したのです。

めくるめく幽霊の世界!あんな恐ろしい化け物は現世では見た事がありません。耳に残るその叫びは恐ろしさのあまり、オモチロイどころかぱちんと緊張の糸が弾けそうになりました。全身全霊という言葉はこんな場面で作られたのでしょうか、ワタクシは目を白黒させながら椅子に座ったまま、身体を斜めにして見入っていました。それでも舞台は続きます。

一種不思議な荘厳さがあたりを包み、もう気が気ではありません。一本の針が地面に落ちる気配も見逃さないゾ。その位神経を張り詰めなければ生きてここを出られません。そんな気配を知ってか知らぬか、やがて舞台というものは必ず終わりがあるものです。

ほっとしたのもつかの間、今度は暗い夜道をはるばる帰らなければなりません。そこで考えた!ない頭を絞って考えた!

帰り道が解らないふりをして一人の男についていく事にしたのです。駅までの道のりを何とか一人にならずに親切な用心棒をゲットしたのです。そんなこんなで、ぱたぱたと歩いていたら、バスの待合に二人の人影が・・。
なーんだ、駅まで歩く事ないじゃん!こんな考えが脳裏をかすめ、「あっ、ワタクシ、バスに乗って帰ります。」とあっさり用心棒を離してバスに乗ったのでした。めでたし、めでたし。



パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏 LIVE vol.17

パントマイム舞☆夢☆踏

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

ミニミニディズニー!
とっても楽しい!観に行って良かった!
最後まで他を観るか迷いに迷ったけれど、結果、こんな楽しい舞台は無かった!

いあいあ、社会人は負けてはいられませぬ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

早稲田の舞台は個人的に本当に一目おいてるワタクシ。
この大学ほど、芸術に関して優遇されてる大学はないよね。
あちこちに舞台を発表する機会がある小屋が点在してるのも、それを後押しする起因だよね。恵まれてる。

で、路上や海外などでパントマイムは観た事があるけれど、こんな風に笑って楽しませてくれた舞台はなかった!

個人的には「コンプレックスと風船」はリアルすぎて苦笑したし、「笑いの人形の館」はホラー丸出しで、最初ニコニコしていた人形たちが、観客を自分たちの世界に取り込む時のあな恐ろしい顔ったらなかった!
「ボウリング」のコミカルさには大笑いしたし、「しかけ時計」の人形の動きには、もう、感動!
「GAME」では、ついついイエスと返事したばっかりにステージ1に戻るというコメディもお見事!
「ガミガミ大佐の誕生日」では大佐のキャラの作り方が本当に絶妙で、可笑しかった!

いあいあ大絶賛!です。

これを観ると負けてはいられぬ。なんて妙にやる気が出てきてしまう、そんな舞台。

会場では、観客が就活にはもう遅い。なんて言葉が飛び交い、なんだか懐かしい空間を過ごした。素晴らしいです。
もっと早く観てやれば良かった。と悔やむ。
もっと宣伝してやれば良かった、と・・。

12人のそりゃ恐ろしい日本人

12人のそりゃ恐ろしい日本人

劇団チャリT企画

OFF OFFシアター(東京都)

2009/03/03 (火) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★

バカバカしいコメディ
裁判員制度っていうから舞台は裁判所と思いきや、とんでもない、ただの古ぼけたアパートの一室。それ以外どこにも行かないww。

まあ、暇なら観たら?程度の可笑しさ。今から、見る方は早めに行かれたほうがいいかも。満員御礼でした。

ネタバレBOX

始まりは雨だった。じゃあないけれど、始まりは真面目だった。

しかし、物語が進むうちにどんどんバカバカしくなり、そのうちありえない展開に。

支払ったはずの家賃が葉っぱになったり、主人公のアパートに次々に失業者が住み込んでしまったり、それがいつのまにか派遣村になったり・・。

最後はそのアパート諸共誤爆されてコッパ微塵になる。というオチ。(苦笑)
この際、粗筋なんかどーでもいいのかもしれない。そんな芝居!

大家役の内山奈々がひじょうにいい。大家の雰囲気醸し出しちゃってます!くらいの技あり!(^0^)


それでも僕は死んでない

それでも僕は死んでない

ラブリーヨーヨー

駅前劇場(東京都)

2009/03/06 (金) ~ 2009/03/08 (日)公演終了

満足度★★★

ベタなネタ!
だけれど、すんごく可笑しい!お祭り騒ぎ!
仮装葬儀でのコメディ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

おしゃべりブタメガネというタレントがキャバ嬢と一緒になりたいが為に、死んだ事にして葬儀を行う。そんな急な展開だったから葬儀屋はお寺の住職を手配できない。そこで派遣を頼んでにわか坊主にさせる。
葬儀に集まったマネージャーとかつての相方は死んだ事になってる仮装仏をいじり倒してやりたい放題。

そんなベタなコメディ。誰にでも解るベタなネタだけれど、案外、コレが可笑しい!会場の観客もゆるゆるで笑いこけてた。

たまには、こんなバカバカしいコメディもいいね♪
派遣の坊主役を演じた多田岳雄がいい味だしてる。
どこかイッチャッテル表情が絶妙ですした。
いあいあ、すんごくばかばかしいです。(^0^)

カラス≪終幕!次回公演は、6月末!≫

カラス≪終幕!次回公演は、6月末!≫

劇団サーカス劇場

タイニイアリス(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★

アニメちっく!
とにかくセットが凄い!臨場感ありまくり。
コレ、他の劇団の演出家に見せたいくらいです。
いあ、観て勉強したら?って言いたい。そのくらい、すんごいセット!リアルでまんまです。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

盗賊の物語。

主役はカラスおばさんでも、カラスでもない。
意外なことに、自分自身が誰なのか、何をしたいのか、誰と会う約束だったのか忘れてしまって思い出せない青年が主役。

この物語には大群のカラスを描写する言葉の説明がかなりの頻度で投入される。それは30世紀の黒い森の描写、空を覆いつくすカラスの大群である黒天上の描写、手品師や観覧車がある遊園地の描写・・・それらを観客に想像させるように巧みな文字が飛び交う。

だから、目の前では芝居を演じてるのに、頭の中では小説を読んでるような感覚に陥り、視覚、聴覚、想像、思考・・・全てが満たされる舞台。

泥棒学校では二十面相を筆頭に、ルパンやら、五右衛門、鼠小僧が生徒として登場する。彼らは世界に名だたる大泥棒なのに、ここでの彼らは貧相で弱弱しくマヌケなのだった!そんなアニメチックな彼らに合わせ、舞台で使われる選曲も素敵だ。

コメディとして観た方が楽しめる。普通のコメディではない。ブラックコメディ。
だがだがしかし、だがしかし・・、不条理劇ともとれる。薄汚い壁に付いたシミがこの芝居のキーとなる。ニンゲン、生きてりゃどこかにシミは付くものだが、そのシミが生きてた証にもなるという刹那さ。

血塗られたシミを残す事で、自分を忘れないで欲しい。と言い残した青年。
あれ程青年に拘っていた二十面相は死んだと解った瞬間、あっさりと諦める。そのどうしようもないほどの孤独と不条理にゾクゾクした。

演出には唐十郎の影響がここそこに現れる。個人的に愉快で楽しく切ない舞台だったが、一つ難点を言うなら、カラスの被り物が登場した瞬間はサーーー!っと血の気が引いた。をいをい、それはどーかな?みたいな。
それから前列の観客にシートを張るなら、ちびた酒での展開ではなく、もっとドデカイ水物を使って欲しかった~。。スプラッシュマウンテン!

ほぼ満足で躍動感のあるパラダイスな舞台でした!(^0^)
離宮のタルト

離宮のタルト

世の中と演劇するオフィスプロジェクトM

サンモールスタジオ(東京都)

2009/03/03 (火) ~ 2009/03/10 (火)公演終了

満足度★★★★

テーマは味覚だが、その背後は
案外、壮大です!(^0^)
導入音楽も良かった。

あるパティシエが味覚障害の恋人の為に夜毎、スイーツを作り続けるという、なんとも羨ましい物語なのです。

つまりは、観終わった後は必ず、スイーツを食べたくなる!という世にも恐ろしい物語なのだ!ったら、なのなのだっ!

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

スイーツを作る為にフランスでは砂糖の輸入を大量に欲していた。貴族や王宮では贅沢三昧に放蕩した挙句、怒った民衆が暴動を起こし、それが後のフランス革命となるが、そうなる背景にはヨーロッパ人がアフリカから奴隷たちを西インド諸島に運んでサトウキビを作らせた経緯がある。
これが俗に言う奴隷狩りで、金になった砂糖の為に黒人は酷使されて、その生涯を閉じたものが多い。

そんな歴史を取り入れながら、今回の芝居の舞台は大まかに3つの物語が絶妙に少しずつ繋がって、その時代背景を大きく膨らませる。

マリーアントワネットの為にだけ作られたタルト・オー・プチトリアノー。
一方、味覚障害の恋人の為だけに作られたメレンゲのタルト。

フランス貴族には必ずスイーツとワインと香りの三種の神器は欠かせないが、砂糖=甘い=幸福という単純な方程式が成り立つと思う。毎晩スイーツを食べさせられた味覚障害の恋人は果たして幸福か?幸福とは何か?を追求したテーマだったように思う。

いあいあ、やっぱ、ニンゲンは美味しいと感じるものをお腹いっぱい食べられることに越した事はないっす!つくづくそう思います。

毎日ごはんが無性に美味しい!
だ、誰かーーー、この食欲を止めてーーーー!!


グレンギャリー・グレン ロス

グレンギャリー・グレン ロス

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2009/03/02 (月) ~ 2009/03/11 (水)公演終了

満足度

いあいあ、すんごいびっくり!
つまんなくて。
これで5500円は高い。高すぎる。1000円程度の舞台。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

何だろ?演出が古い。
導入音楽も古い。

ある意味、脚本に沿った解り易い舞台だったが、笑いどころもなければ、脚本に大きなうねりもどんでん返しや暗転もなければ、ないないづくし。

この舞台、はっきり言って時代遅れです。

解ってるんだろうか?観客の反応もしーーん。まったく静か!
それでも日本人は優しいですわ。
舞台が終わると、とりあえず、拍手はするもんね。ワタクシはしなかったけれど・・。

役者は舞台上でニコニコしながら、袖に下がっていく訳よ。
誤解してるかも。自分たちの舞台が、観客を楽しませてるって。

違うからねー、観客は痛かった。痛くて眠くて辛かった~。。
ゴーストライター

ゴーストライター

シグナルズ

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

孤独な大人たち
初見の劇団でした。キャストの使い方が上手いです。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

書く。描く。画く。・・・
書くという仕事。
好きな事でもそれを仕事にしちゃったら溢れんばかりの才能も、そのうち枯渇して砂漠化してしまうということか・・。

個人的な推測だが物書きって、常に締め切りに間に合わない、とか、もう書けない、とかごねてるような感覚があるような気がする。

ここでのゴーストライターも同様で、作家としての役割を担当する早苗と、マスコミ対策や対談、公演などの役割を担当するマネージャー的な存在の要子の二人のセットで一人の作家としての体裁を保っていた。ところが最近早苗が小説を書けなくなっていた。書かせようともがく要子。書けないと苦悩する早苗。

早苗の部屋に早苗が書くことを邪魔するかのごとく常に沢山の人が集まってくる。うだつの上がらない早苗は金で恋人を買い、買われた恋人の友人も上がり込んで勝手に酒を飲む。早苗を慕って少女が訪れ、その少女を連れ戻そうと母親も訪れる。早苗の部屋はてんやわんやの賑やかさなのだが、その構図は全員が孤独で寂しい。

以前のように要子と一緒に小説を書きたい、楽しかったあの頃のように一緒に遊びながら書きたい。と渇望する早苗。要子は要子で自分に持っていないものを早苗は持っていることに気付いて、その才能が羨ましかった事を白状する。

そんなふうにして、切っても切れない仲の二人は暫くはあの頃のように遊びに熱中する事を提案する。

歌が好きだった女の子が歌手になると歌が嫌いになるのと同様に物書きも同じだと思う。強制されて書くこと、と、好きだから書くことは違うのだ。

早苗が男を金で買う理由のセリフは切なかった。切なくて孤独だった。
絶滅寸前の恐竜が最後の一匹だけになったら、あんな気持ちになるのだろうか・・?水槽の中で飼われている一匹の熱帯魚だったら?毎日、水槽に送り込まれるエアレーションの音が間断なく響き、そのポコポコという音色に「ねえ、今日こそ遊んでくれるよね?」なんて言ってるのと同じくらいの孤独。

そんな優しくて楽しくてちょっと切ない芝居。この芝居は見方によっては解り辛い。
「結局、何が言いたかったんだろうね~。」なんつーてる声が劇場を後にして直ぐに、聞こえました。(^^;)

夢を見続けている人間は夢を捨てた人間が守ってるんだね・・。



ワンダーランド2400 ★グリーンフェスタ2009「Box in Box THEATER賞」受賞作品★

ワンダーランド2400 ★グリーンフェスタ2009「Box in Box THEATER賞」受賞作品★

マグズサムズ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2009/02/25 (水) ~ 2009/03/02 (月)公演終了

満足度★★★★

ありえない可笑しさ
ネットカフェでのみの展開なんだけれど、そんな赤字経営でありえないだろ?ってバカバカしさが楽しかった!

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

下町の長屋的なネットカフェが舞台。

この展開はもはや、ネットカフェではない!(苦笑)
長屋に住み着いてる人々、と思ったほうが解りやすい。本来のネットカフェとは真逆のなんだか賑やかな井戸端会議的な雑談の多いネットカフェでは、常連しか利用していない。

アニメオタクやら、お金も払わず既に住み着いちゃってる人や、煮物やらっきょうなど勝手に持ち込んで皆に配る人、まったく働かないバイトなど、登場人物がもはや普通ではない。(^0^)

そんな普通ではない人たちが、なぜか、このネットカフェでは普通で、一般的に普通とされるフランチャイズのリーマンがここでは普通ではない!(苦笑)

笑いも満載で楽しかった!

マグズサムズ の舞台は毎回観てるが毎回、観客を楽しませようとする意気込みが好きだったりする。働かないヤンキーバイトの口調もツボで楽しめた。

ありえない設定だけれど何でもいいんだよね~、コメディなんだから~。。
次回も楽しませてちょーだい!(^0^)


王女メディア ~私は世界を拒絶する~

王女メディア ~私は世界を拒絶する~

劇団ING進行形

pit北/区域(東京都)

2009/02/27 (金) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★

融合劇!
ギリシャ劇をベースに現代劇にアレンジした舞台。だから、意外にお笑いのネタも満載で、楽しめる。劇団が言うほどの残酷なシーンはあまりない。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

主役のオオモリシノブを演じた中山茉莉はバレエを習ってるのだろうか?
体が柔らかく、飛んだり跳ねたりが印象に残る。ただ、元来の可愛いすぎる顔のせいだと思うが、メディア役を演じるには少々、迫力に欠けるのが難点。

メディアとはギリシャ神話でも恐れられているあの無数の蛇を髪の代わりにした悪の神の事だ。

夫に浮気をされ裏切られた大女優オオモリは腹いせに二人の間に出来た子供たち14人を殺してしまう。こんなふうに腹いせに実の子を殺す、という神話劇は案外多い。生んだ自分も苦しむが、それと同等に自分を裏切った夫も身を切られるように苦しむから、というのがこういった復讐には定番中の定番だ。そういったオゾマシイ執念やら怨念を表現するのは、ある意味、主役のメディア役にかかっていると言っても過言ではない。
それだけ重要でかつ、愛憎劇に相応しいキャストでないとその光景が想像し難いからだ。

鬼や悪魔と化したメディアは夜の墓場で死体を数えるような裏返った恐ろしい声でないといけないし、地の底から這い出てきたような豹変した形相でないといけない。

役者は相当、白熱した演技を見せたが、元来持ってる気質が見え隠れして、今回の役を演じるには少々早すぎるのかも知れない。何より、メディアもオオモリも14人の子供を生んでる訳だから、相当なお年のはず・・はず!(^^;)そういった背景を考えても若すぎるキャスト。

まあ、だからこそ現代劇にアレンジした思考なのか・・。

舞台は楽しめました。
4 BITTER FACES

4 BITTER FACES

机上風景

タイニイアリス(東京都)

2009/02/27 (金) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

個性溢れるキャスト
机上風景という劇団。この劇団ほど人間の底の濁った部分をサラッと、あくまでもそこはかとなく表現する巧みさに長けた劇団は珍しいと、思っている。

だから、他の観劇者より、毎回評価が高いのは、そんなサラッとした解らないようで解る普通さが好きなのだから、仕方が無い。(^^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

冒頭、美怜がぶどうぱんのぶどうだけをほじくりながら食べてる風景から始まる。
舞台は静かに幕開けするが、姉妹4人の風景って賑やかこの上ない風景を連想していたワタクシは、「ふ~~ん。。こんな静かな風景もあるんだろうな~」と想像する。
長女森乃はどこかだらけてて、椅子にドカッと座り、どっしりと構えてオヤジ風だ。この森乃を中心に姉妹は家族の姿を醸し出す。

姉妹4人は淡々とどこか醒めた関係のような気配だが、実はそうではない。それぞれの姉妹を思いやりながらもこの姉妹は上手く機能してるのだ。

四女・美怜の末っ子特有の幼児性の強い性格も見事に演出し、中々楽しい。突然、美怜はお笑いになる!と言い出すがそのネタはウケナイ。(^^;)それでも美怜の希望を叶える為に応援する姉妹たち。

一方、三女・タナエは夫からDVを受けている。その暴力夫役が作・演出の古川。この古川の暴力夫ぶりぶりが実にいい。DV男特有の自分より弱いものには暴力で、自分より強いものには従う。という気の弱さや、卑怯さを絶妙に演じている。

DVを受け易い女性というのは、自分に自信が無く、やたら母性本能が強すぎるタイプと言われているが、加えて、軽んじてもいい女だと男に判断させてしまう何かがある。

この女ならぞんざいに扱っても、踏みにじっても大したことではないと思わせてしまう何か。そして、そのことを彼女自身心のどこかで知っていると察知させてしまう何かがある。

そうゆう女性は、決して表立って疎んじられるわけではないものの、たぶん、そうゆう女性の周りには、常にそこはかとない不穏さが立ち込めちゃってるんだよね。
そこはかとない軽蔑、そこはかとない不安、そこはかとない不快・・・誰もがなんとなく感じてるが、はっきり口に出すほどでもなく、それが女の微妙で居心地の悪い不幸を象徴しちゃってる。だから、そうゆう女には簡単に男が寄ってきて、女のその雰囲気を、気安くなんとかできるのではないかと誤解する男、とりあえずこの女でもいいかと妥協する男、頼りなげで淋しそうだと勘違いする男たちが集まって来る。

で、大抵、そんな男はいつも不機嫌で勝手で、ずるずると部屋に居ついたりして、そんな男を「私が居ないとこの人は生きていけない。」なんつって、最悪の男と関わりあう事になってしまうんだよね~。。

グーで殴ってやればいいのに。。(闘魂丸出し!^^)


それぞれの個性を上手く演出しキャストの演技も見事だったと思う。
キャスト5人で演じるにはこの位の時間(70分)が丁度いいし、また、5人のキャストならテーマはどうしてもちっさくなってこじんまりとするのは否めない。

古川大輔の書く本はなぜか好きだし、ここの役者も演技派だと絶賛する。

ただ・・チケット2800円の設定は高くないかい?
時間、キャスト、場所、セットやテーマを考えると2000円が妥当ではないかい?(^0^)/


野鴨

野鴨

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

言ってはいけない真実
時代に沿った洋風なセットといい、同じく衣装といい、完璧!秀作です。
イプセンの「野鴨」は知らない人はいないかと。ですから、感想しやすい。(^0^)

ネタばれにてUP。

ネタバレBOX

自らの生きてきた環境と、なくなった母の想いを抱えながら病んだ精神の持ち主ヴェルレ家の息子グレーゲルスは理想を追い求めるあまり、一つの秘密を抱えた家族を少しずつ、砂に水が染み込む様に確実に壊していく。この壊していく過程で当の本人は自分が壊していると気付かず、あくまでもこの家族の嘘と欺瞞がもたらしたと解釈してしまうあたり、イプセンの得意とする分野です。

野生の習性をもった野鴨は敵や危害を加えようとする相手から逃れる為に、深い湖の底に沈み、うな底の草に銜えしがみついて、泥の中で死のうとする。
そんなうな底の野鴨に例えたセリフが何度も飛び交う。
エクダル家の過去の過ちを正さなければ野鴨同様、淀んだ嘘の泥沼と化してしまうと考えたグレーゲルスは、ヤルマールに全てを暴露してしまう。ここでの野鴨は嘘と偽りの象徴であり汚れて死にそうな野鴨はエクダル家なのだった。

そのうな底に沈んだ野鴨を引き上げる役がここでの自分の正義だと考えて止まないグレーゲルスは正義という大儀の為に一つの家庭を壊して少女を自殺させてしまうに至らせる。

ヴェレル家の家政婦で、次にヴェレルの妻となるセルビーがエクダル家の妻に吐くセリフ「どうか頭で考えるだけの事を大事になさらないように。」

これが妙に納得するセリフ。

全てのキャストが演技派で素晴らしいです。特にギーナ・エクダル(小林元香)の表情にヤラレル。絶妙です。

誰でもきっと、秘密の一つや二つはあるはず・・。嘘と欺瞞を暴くのも正義なら隠し通す事もまた正義。深層心理を追求した舞台!

素晴らしい!

double face

double face

ノアノオモチャバコ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/02/27 (金) ~ 2009/03/03 (火)公演終了

満足度

世界が終わるその時に・・
なんつって、言ってる事は壮大です。ところがどっこい!結果は個人的なちっちゃい話。

以下はネタバレBOXにて。。

ネタバレBOX

前作、「愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸」と 「人形の家」はひじょうに素晴らしかった。なにより、ここの劇団員ってば、素晴らしい演技をするのね、なんつって感動さえした。

しかし、はたまた、そのまた前作の「地球儀のはしっこの街のナマエは」では、絶叫するほど退屈で苦しい観劇となった。


・・・で、今回!地球儀の・・同様、とにかく退屈でつまらない観劇となった。
絶叫系もあって、なんだか煩い。ストーリーに膨らみがなく眠くなる。
役者は演技派なんだから、たぶん・・・本がワタクシの好みに合わない。って事だろう。。

なんだか・・・地球儀の・・に似ている舞台。


ANIMAL FARM(アニマル ファーム)動物農場

ANIMAL FARM(アニマル ファーム)動物農場

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/02/24 (火) ~ 2009/02/25 (水)公演終了

満足度★★★★

楽しいったりゃありゃしない!
寓話劇。プチミュージカル♪
元々、このようなミュージカル調の芝居が好きだ!
夢があるし楽しい。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ジョーンズの農場では多種の動物を飼っていたが、満足な餌も貰えず虐待されていた。そんな状況の中、不満を持っていた動物達は反乱を起こしジョーンズを農場から追い出してしまう。

動物達は今度は皆で相談しながらこの農場を運営して行こうとするが、どの世界でも同じように、トップに立ちたがる指導者が登場する。それは他の動物達よりもちょっと頭のいい豚達だった。

この豚たちが巧みに他の動物達を騙してどんどん権力を握っていく。仕舞いには他の動物達にジョーンズと同じような仕打ちを繰り返し、働かせるだけ働かせながらこき使う。反対に豚たちはふんぞり返ってウイスキーを飲みながら、益々太って贅沢になっていく。

他の動物達は騙されていることに気づかず、身を削りながら働き、共産国の奴隷のような様になっていく。

豚のナポレオンはまるで政治家のようだし、自分達の為に働いてると思い込み真実を見つめようとしない他の動物たちの無能さはある国の国民ということなのだろうか?(^^;)

豚でも人間でも権力を手にすると、こうなる。

途中、「はい、ヒズメを外してください。」の声と共に、一斉に横並びでおにぎりを頬張るシーンがあるが、中々素敵だ。劇団員の素の顔が垣間見えて、素敵なのだ。

劇中、モリー(馬)がマイクを持って歌うシーンがあったが、あれは何の意味があるのだろうか?芝居の流れをブッツリ!と切ってしまって興ざめした。歌もけっして上手くない。

全体的にもうちょっと物語を縮めて欲しかったなぁ。アゴラ劇場の長椅子ほど疲れる椅子はないのです。

全体的に役者はプロ並みで歌も芝居も魅せてくれました。




PIECE ~失われた欠片~

PIECE ~失われた欠片~

PLANET RUNNER

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/02/20 (金) ~ 2009/02/24 (火)公演終了

満足度★★

別の意味でPIECEになれた!
本人たちは気付いてないと思うが、演技が下手すぎ。役者はあまり経験のない人達なんだろうか・・?
演じてるそばから、役者の表情に恥じらいがあって、目が泳いでる。歩き方がぎこちない。油を注してやりたいくらい。その一瞬の隙が観客を木枯らしの音がピューピューと聞こえるほど、遠くへ追いやるんだよねー。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

恵美の誕生日に家族で祝うはずだったイベントが恵美のちょっとした我侭が原因で、大切なお母さんを失ってしまう。結果、家族はバラバラとなって、大切な人を失った悲しみをどこにぶつけたら良いのか感情の捌け口に苦悩する。

そんなある日、修行中の天使ことアンジィに恵美は出会う。
アンジィは本当の天使になる為にはPIECEという石のかけらが必要だった。
そのPIECEとはニンゲンが本当に幸せになった時に生まれる石のかけらだった。

アンジィは早速恵美を幸せにして生まれたPIECEを譲ってもらおうと必死に努力するところから物語りは始まる。

ストーリーはしごく単純です。どこにでもあるような物語。それだけに役者の演技の力量が問われる物語でもある。

ああ、だがだがしかし、だがしかし・・・、笑いの場面はカスリまくり、振りまくり。まったく当たりがないから、カキーーん!とか、すこーーーん!とか絶妙な濁音は聞こえて来ない。シーーン・・。

それでも頑張る役者。なんだか、哀れ。

えっと・・もしかしたらこのギャグを書いた脚本家が問題なんじゃね?(・・)
なんつーーて熱い視線を送るわけさ。「君達が悪いんじゃない!世間が君たちについていけないんだ。君たちは5年早い!」って。

それでも、どー甘く観ても、やっぱ笑えない!(苦笑)
つまりは、にがわらい。

仕舞いには、あまりにもかすりまくるネタが返って可笑しくて・・ネタが可笑しいんじゃなくて、あまりにも受けない笑いの状況が可笑しくて・・そんでもって、シリアスな場面で、「ここ泣くとこだよーー。」みたいな表情をしている役者が可笑しくて・・違った笑い・・含み笑いをしてしまう。
ぐふっ!ぐふふ!まるで悪徳商人のような含み笑い!(^^;)

そんなこんなで笑いを堪えるのが辛かった。

個人的に、リリスとラミアとお父さんの絡みは楽しかった!

客だしの場面で役者の知り合いが「サイコーに良かったよ。ストーリーも良かった!」なんつーて、絶賛してました。

いあいあ、をい!をい!いい加減にしろよ。
寝てる子を起こすなって!





メガネに騙された

メガネに騙された

箱庭円舞曲

OFF OFFシアター(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

村八分!
農村特有の人間関係、同調しないと生きられないさまの描写が現実的でエグイ。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

開演後、すぐに舞台セットが動く。
うきゃー、なんかありそう、楽しそう!ってな感情になるわけだ!
実はこんなちょっとした工夫がワタクシの心をくすぐるのだ。


舞台は栃木県芳賀郡市貝町・新規就農支援センターでの出来事。

都会から離れて就農しようと訪れた人達を就農センターで宿泊させながら、農協の職員や、押し売りらが就農に勧誘し、就農の為の耕運機やら、土地やら、家やら、浄水器やら、鍋やらをここぞとばかりに売りつけていく。就農者はあれよあれよといううちに支援金まで使い果たし、借金もしてしまう。

生き馬の目を抜く、とはこういうことだ。(^0^)

やがて、田舎特有のものの考え方、うちもお隣さんに合わせます。みたいな環境も露出していく。特に田舎の人たちは自分達と意見の違った人や個性の強い人を受け入れない気質が強い。(無意識の悪意)
つまり、誰かから嫌われると石をぶつけられるほどの大人気ない村八分の餌食となってしまう感が強い。

グリーンツーリズムなんて言われて久しいが、農村で生きる最大の難関は農業ではない。そのがんじがらめの体質にある。しかし、その体質があったからこそ、田植えに使用する為の共同の用水路や、共同の稲作機械で農業を上手く機能していた歴史も在る。

また一方では子供の罪に親を連座させたり、兄弟を連座させたりして、村八分に追いやる。ニンゲンと言うのは永遠に一本だちしない、できない生き物だというのをまざまざと見せ付ける。

またすっかり地元に根付いた就農者の作った葱を地元の野菜では売れないからと「下仁田産」のシールを貼って販売しようと策略する農協側。面倒を起こさない為に農家の人達やその周りの人達と妥協しながら生きる事に流されてしまう就農者。



案外面白いです。コメディの要素もあって展開は速く飽きさせない。
ミミズを食べるシーンなどあってホラー的な要素も!(^0^)



記憶の図書館

記憶の図書館

Swanky Rider

ザ・ポケット(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

おかあさ~~ん!!
主軸は何かな?と思いきや、これは佐藤直子の心の叫びだったんだね。

相変わらず、オープニングダンスが楽しい。ここの劇団は最初のテンポで観客を上手く引き寄せるのが上手です。そしてセットも素敵です。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

全ての人達の過去の記憶を「記憶図書館」という名の病院で運営管理している。そこに母の記憶を消したいとやってきた佐藤直子。
彼女は母一人子一人という環境の中で育っていたが、ある日突然、母親が失踪してしまう。借金を残して。

よくもこんな物語を思いついたと思う。以前、「遺失物」を題材に思い出の物を遺失物から探す。という芝居があったが、思い出を辿る旅や記憶に関する芝居は割りと好きだ。

「記憶の図書館」は過去にあった立ち直れないような出来事や精神的に病んでしまうほど酷い記憶、PTSDやトラウマを消去して、その人を楽にさせるように記憶の操作をする病院だった。そこで働く人達はここを、そんな奇跡の場所、つまり幸せの場所。と信じて疑わなかった。

・・・が、さまざまな「記憶を消して欲しい」人達と関わるうちに、記憶の操作をする事が正しい事なのか、苦悩するようになる。つまりはどんなに素晴らしい画期的な機械も操作をするのは、ただのニンゲンなのだ。

鴻池ひかるのキャラガ楽しい。もっと色んなキャラガ登場して笑わせても良かったと思う。

記憶を消される、ということ。それはある意味、恐怖だ。
記憶がなくなった時点でそれはもう、自分でなくなるからだ。

テーマは単純そうだけれど、そこには結局薬局、自分で乗り越えるしかないんだよ。という言葉が奥に潜んでいる。

ここで登場する人物に悪い人は一人も居ない。
それで、Swanky Riderは今年も上手くまとめたなー。と

ワタクシの記憶に残るのだ!







ロミオとジュリエット(公演終了)

ロミオとジュリエット(公演終了)

三条会

ザ・スズナリ(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★

まったく好みではなかった!
ジュリエットって何もしゃべらないの?!
って、思ってしまったほどの舞台。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

前半のジュリエットのセリフは舞台の画像に文字が浮き出てきて、観客に勝手に読めよ。っつーてるようなもの。

も、もしかしてこんな感じで芝居は終わるのだろうか・・?と勘ぐってしまったほど。よって最初から馴染めず、ワタクシにとってはつまらない舞台となった。

衣装もちゃち。第一あのぴょん吉みたいなギターを持ったエロがっぱは何?
更に更にカエルのジョーロを持ったスーツ男は何?
等身大の操り人形の場面はコミカルで笑えたし、ソレを演じてる役者の演技が凄いな!て感動したくらいで、他の部分は始終、ひきまくり。

ロミオとジュリエットをパロディー化すると、あんなくだらない芝居になるんだー。と理解はできました。

サーチライト

サーチライト

ユニークポイント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

それぞれの関係性
4つの物語から構成された芝居。そこには日常の起こり得る出来事だが、そこに息づくニンゲンの優しさとか、労わりなんかが潜んでいて観ていてホットする空間。
絹糸を紡ぐように丁寧に丁寧に表現した舞台。
素晴らしいです。

ネタバレBOX

井上家の食卓、国際問題研究会、素子の部屋、アルカディア。この4つの物語が上段、下段、右、左と舞台のスペースを上手く使って表現する。舞台の床から天井までの3本の白い柱の効果なのか、舞台の高さや空間が広く感じる。セットが素敵です。

井上家では、けいすけが失踪したことによって、今まで普通に暮らしてきた夫婦の関係性が壊れる。妻は「私には何もない。」と自分の立ち居地を真剣に考えて夫との距離を置く事を提案する。この気持ちはたぶん、男性には解らないと思う。
夫は夫で、急に妻が何故そんなことを言い出したのか、解らないまま、妻の提案を承諾する。この時の夫は自分の主張を上手く表現できないし、無理に引き止める事が出来ない。たぶん、夫は「何故自分はいざという時、きちんと言葉で伝えられないのだろう。強引に出来ないのだろう。言いたい事はここに、こんなふうに、こうやって、ちゃんとあるのに、ほら、いつだって、こんなふうに、ちゃんとあるのに・・。」と、もどかしく思っているはずだ。
それでも妻は夫を労わりながらも出て行く。

国際問題研究会でもデモに勧誘した男とデモに勧誘された学生の関係性が実に優しい。

素子の部屋では、素子の、悪性の腫瘍が見つかった年下の恋人に対する会話がどこまでも優しい。彼の父親に成り代わった言葉が彼を勇気付ける。

アルカディアでは本当の自分と夢や希望を見つける為に若者が集まってくるが、リーダーは本当の自分なんて本当はないんだ。と解っちゃってて、それでも、若者に夢や希望を見失わないように説く姿勢が優しい。


この物語は、それでも私たちは、毎日こうやってこんなふうに、それぞれ自分に見合った場所で、毎日生きているんだ!
って表現した舞台だと思う。

それは、井上家にしろ、国際問題研究会にしろ、素子たちにしろ、アルカディアの人たちにしろ、ニンゲンの根源の優しさと希望に満ちた作品なのでした。

とっても素敵で優しい作品です。毎回思うことだけれど、ここの役者の演技は自然で本当に素晴らしいです。お勧め。

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