使者たち
bug - depayse
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2017/08/04 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2014/11/03 (月) ~ 2014/11/06 (木)公演終了
満足度★
はじめての失望
どうなのだろう。これまでピーター・ブルックの作品はたとえ劇評家が寝ていても、とりあえず見られた。それは見るべきものがあったからだが、今回は眠くなった。芝居の系統としては人間の精神世界の闇をテーマとした「THE MAN WHO」に近いものがある。この作品もすんなりとは入って行けない作品だったが、今回の芝居は入りにくいというよりも入るだけの奥行きを用意していないという感じだった。やたらに時間をとった客いじりをしていたが、それがさして意味のあるものにも思えなかった。ここで大きな疑問を持ったのだが、これは果たしてピーター・ブルックの作品なのだろうか。ピーター・ブルック的ではあるが、決定的に何かが違うような気がする。ひとつだけはっきりと言えるのはこの芝居には以前のピーター・ブルックの作品のような驚きはない。ピーター・ブルック的なものはあったが、そういったスタイルは皮肉にも彼の著書にある退廃演劇に近しいような気がした。それにしても良くないと思ったなら拍手をしなければいいのに戸惑いながら3回もカーテンコールをする日本人はとんでもないお人好しだ。
いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」~W.シェイクスピア<リチャード三世>より
パルコ・プロデュース
東急シアターオーブ(東京都)
2013/11/08 (金) ~ 2013/11/30 (土)公演終了
満足度★★
中レベルのエンターテイメント
さかんに宣伝をしているのでどんなものかと見て来たが、全体的には中レベルのエンターテイメント。しかし、3時間は長すぎる。ある程度のところで主役の鉈切り丸がこれは絶対に最後は殺されるなというのが見えてきた時点でドラマに対する興味は薄くなった。
「リチャード三世より」とあるが、シェイクスピアのリチャード三世のような言葉の力で相手を牛耳っていくような迫力のある場面はない。主役の森田剛も単なる悪人というだけではなく人間としての重層性があればともう少し見られたかもしれない。今回が初舞台の成海璃子が演じる巴御前は、がなってばかりの学芸会。この二人を芸達者の役者たちが支えていくが、いくらお笑いのシーンを入れたり、照明効果を使いまくっても3時間はもっていなかった。客席はジャニーズファンばかり。だが、客席が埋まっているから商業演劇としては成功ということだろう。
SHUJI TERAYAMA#13
舞台芸術創造機関SAI
pit北/区域(東京都)
2013/09/21 (土) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
稚拙なアングラ風学芸会
なんとも稚拙なアングラ風学芸会。観客たちを舞台に座らせて、まさかそれで観客参加と思っているのだろうか。彼らは実験劇をどのように考えているのだろう。どう見ても実験劇だからこの程度でいいやとしか思っていないような美術的クオリティー。だが、寺山の実験劇はその時代の最先端のアーティストたちが支えていたのだ。また、この劇の冒頭で問題が起こることを恐れてか「触れることは禁じます」とのアナウンスがさかんに流れる。これも寺山の実験劇のあり方とはまったく反すること。触れるどころではない。殴り合いというコミュニケーションが行なわれていたのだ。実際にその当時の実験劇を見ていて、確かに部分的にしか見ることが出来なかったし、ときにはほとんど見られないようなこともあったが、劇に導く霊媒的な天井桟敷の表現者たちの存在は充分に信じるに足るものがあった。だから、どんなに過酷な状況でも、こちらも劇の加担者としてつき合うつもりになったのだ。しかし今回の高校演劇以下の腐女子たちの稚拙な学芸会で、見るものが取り込まれるような要素は皆無だった。もういい加減にこの手の寺山修司を騙った幼稚なパフォーマンスはよしてもらいたいものだ。
『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!
劇団チョコレートケーキ
サンモールスタジオ(東京都)
2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
悪霊はわたしたちの中にいる
この時代のしかもこの題材を直接的に取り上げることは、まだ我々の世代においては逡巡するところがあると思うが、この若き劇団はそれを真っ向から挑んだ。そして演劇というアイテムを使って人間の謎にせまるドラマを形作った。その取り組みは、社会的な存在意義をもたない趣味的小劇場劇団が大多数の中では注目すべき成果であると思う。
桜の園
時間堂
日本基督教団 巣鴨教会(東京都)
2013/08/04 (日) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
演出的に破綻している
女の子たちが桜の園ごっこをしているようなレベルの芝居。役者はだらしない日常的な動きを繰り返し、台詞はこちらまで来ない。一体なにがやりたいのか分からない。演出的に破綻していると思った。女優3人だけで演じるため、相手の台詞があったものとしてリアクションで見せているのだが「桜の園」を知っている人は分かるかもしれないが、知らない人は何がなんだか分からないのではないか。
班女/弱法師
shelf
d-倉庫(東京都)
2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★
退屈を作る才能
「班女」は客入れから舞台上に4人の俳優が存在している。ト書きが語られることによって役の身体が覚醒する、そんなイメージの幕開き。花子を二人の女優が演じるのは、狂気をあらわすためか。台詞は全体に単調に進むが、実子役の女優が単調な中でも一種独特の集中力を持っていて空間を支配している。この演出家は退屈の作り方がうまい。静かで単調なシーンの連続は退屈するが、ときにその退屈のなかに別の色彩が差し込む。そのとき劇は息を吹き返す。ただ、照明がぼんやりとしていて美しくなかった。
「弱法師」については言うべきことなし。俊徳役に気品がない。
寺山修司作「盲人書簡」
雲の劇団雨蛙
サブテレニアン(東京都)
2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
怠惰な作品
非常に怠惰な作品だと感じた。というのは寺山修司が昔やった手法から一歩も出ず、そこに演出的な試みが一切見られないからだ。観客にマッチを渡すのも、暗闇の中での上演というのも初演と同じだが入口上部に外光が漏れていて、この作品制作に対する中途半端さがすでに露見している。さらにマッチ擦りも天井桟敷の系列の劇団に比べるとかなりいい加減に行なわれていて、役者がさかんにマッチを擦り直したり、慌てて吹き消したりしていて見苦しい。さらに最も問題なのはこの劇における闇というものが一体何なのかということが、作品の中でまったく明らかにされていないということだ。これは演出家の完全なるサボタージュだ。これがサボタージュでないのだとしたら、この演出家はまったくの無能だということだ。
あと大変に気になったのは、制作をやっていた男性が常時動物的なしゃっくりを頻発する人間で、暗闇の中で頻繁に聞こえるしゃっくりは芝居を壊していた。
アトミック☆ストーム
流山児★事務所
座・高円寺1(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!
おぼんろ
d-倉庫(東京都)
2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
ココロに花を
ピンク地底人
王子小劇場(東京都)
2013/05/31 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
未消化の先の可能性
なにか未消化な感じのする舞台。言いたいことは何となく分かるし、ハッとする瞬間も時にはある。連続する絞殺事件、意識を失った人たち、意外な犯人などドラマを展開させる道具立てはあるのだが、表現が平坦すぎて引っぱっていくエネルギーが少なく眠気を誘う。作者はあえてそうしているのかもしれないが眠気にはかなわない。さらに歴史の話が出てくるが、それが全体と繋がってこないのでさらに未消化になる。もしかしたら個人の意識と世界の歴史を通底させる壮大な構想があったのかもしれないが、観客の想像力はそこまで律儀に働いてはくれない。でもこの95分間の未消化の先に何かしらの可能性を感じないこともないのだ。
フェルナンド・アラバール「戦場のピクニック」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2013/04/23 (火) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
evkk 演出:外輪能隆
黒い舞台面には白い紙が均等に176枚置かれている。紙の枚数を数えてしまうほど退屈な芝居だった。すべての登場人物の台詞を男女2人の役者が語る。だから、この劇を知らない人間にはまったく意味が分からない。意図としては、兵士と兵士が残してきたフィアンセを軸にして作品を再構築したつもりなのかもしれないが、それは演出家だけが分かっている一人よがりの設定に過ぎない。この演出家はそもそも前衛というものを履き違えているのではないか。作品を何となく分かりにくくして、何となく意味ありげに作れば、観客を騙せると思っているのかもしれないが、このような前衛もどきの手法を使っても、劇はまったく生きては来なかった。
わが友ヒットラー
シアターオルト Theatre Ort
駅前劇場(東京都)
2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了
祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹~
Bunkamura
シアターBRAVA!(大阪府)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
蜷川の終り
間違いなく今年のワーストワンになる芝居だろう。まずは本がヒドイ。テーマは人間の支配と非支配における不条理といったところだが、そのテーマが動き出すのは上演が始まってから3時間以上たってから。それまでにこの舞台を演劇として見ている観客はとてつもなく疲れている。日本には優れた劇作家がいないので、ケラリーノ・サンドロヴィッチ程度の本書きでも、観客の前に自己満足の舞台をさらけ出せる商業的環境が整ってしまう。海外にはもっと優れた脚本家がいて、こんなチンケな台本はまず上演されない。ガラパゴスな日本の商業演劇だから成立するのだ。その証拠に観客のかなりはジャニーズファンではないか。ファンたちは芝居を見に来ているのではなく、タレントを見に来ている。このような集客をして成立させる演劇にどんな意味があるのか分からない。さらに演出も頭が悪すぎ。お決まりの群衆シーンや、いつも通りのエンディング。ここまで自己模倣をし尽くされるとバカという気も起きなくなる。大阪まで来て見た意味は全くなかった。
BONE SONGS【本日23日(土)13時&18時開演、当日券あります!】
劇団鹿殺し
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/02/15 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了
だからなんだ!
年齢を経るに従って落ちてくるものがある。この劇団もとりあえずは成功の域なんだろう。九州から出てきて東京で一花咲かせて。でも思うにタイニイアリスでやっていた彼女らの魅力は今はもうない。
「白夜」「狂人教育」「犬神」
青蛾館
劇場MOMO(東京都)
2013/01/31 (木) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
青蛾館「狂人教育」
はじめにアダムスファミリーのようなキャラクターが出てくる。どうやらこれが人形遣いらしいが、それが作品とどう繋がるのかはっきりしない。芝居はいかにも流山児的な頭の悪い汚い芝居。ミュージカル仕立てだが残念なことに発音が悪すぎて歌詞が聞き取れない。とにかく意味のないテンションで押しまくる。このようなものを作りたいなら別に寺山の「狂人教育」ではなくてもいいのではないかと思った。
『地球☆空洞説~ちきゅう☆くうどうせつ~』The hollow Earth theory(世界初演!)
流山児★事務所
みらい座いけぶくろ(豊島公会堂)(東京都)
2012/11/22 (木) ~ 2012/11/29 (木)公演終了
幻探偵
オルガンヴィトー
明大前「築地本願寺和田堀廟所」野外特設劇場(東京都)
2012/08/02 (木) ~ 2012/08/06 (月)公演終了
満足度★★
唐十郎をやるべき
明大前にある本願寺の墓地にテントはあった。唐組や新宿梁山泊のようなテントではなく、パイプが支柱のイベント用テント。客席は30席くらいか。客席と舞台は近い。
ウイルス
大駱駝艦
世田谷パブリックシアター(東京都)
2012/07/05 (木) ~ 2012/07/08 (日)公演終了
かもめ或いは寺山修司の少女論
Project Nyx
芝居砦・満天星(東京都)
2012/06/16 (土) ~ 2012/06/25 (月)公演終了
満足度★★★★
エンターテイメントとしての寺山演劇
寺山修司の少女小説からの舞台化だが、中山ラビが歌ったり、ポールダンスが入ったり、人形劇があったり、宇野亜喜良の少女画のスライドが映ったりと、観客を飽きさせない楽しめる構成になっている。ある意味で商業演劇的な感じもするが、寺山作品は実験性だけではなく、エンターテイメント的な要素も充分あるのだから、その部分を大いに生かした舞台と言えると思う。