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完全な真空×BLACK BOX

完全な真空×BLACK BOX

演劇ユニットG.com

テアトルBONBON(東京都)

2010/03/24 (水) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

期せずして傑作舞台に出会う
そもそも、この公演を観ようという決め手になったのは、チラシの吉田さんと佐藤さんの、2編の主役の眼光に引かれてでした。
吉田朋弘さんは、大学の卒業公演、「ブンナよ、木から下りて来い」の素晴らしい主演振りを拝見した時から、注目していた役者さんですが、この間の青年座の公演と言い、今回と言い、本当に、若いに似ず、完成された演技表現力があり、まずは、そのことに感嘆しました。
そして、浮浪者のお爺さん役がまた素晴らしく、誰だろうと思っていたら、若い頃から、記憶に残る役者さんだった、志村史人さんでした。
2部にご出演の役者さんは、たぶん初めて拝見する方ばかりでしたが、こちらもまた、抜群のキャスト構成。特に、主役の佐藤晃子さんと変な男役の菊池豪さんの好演振りが光りました。
不条理劇テイストの人間哲学劇の趣の2作。脚本、演出、照明、音響、美術と、何を取っても、ハイクオリテイな舞台で、大して期待していなかった分、余計に、思わぬ、好舞台を拝見できて、大満足でした。
三浦剛さんの作劇スタイルも気に入りました。
次回も、是非拝見したいと思いました。

完全な真空×BLACK BOX

完全な真空×BLACK BOX

演劇ユニットG.com

テアトルBONBON(東京都)

2010/03/24 (水) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★

味付けの違う2話!
「世にも不思議な物語」な世界観!一話はミステリアスな物語で二話はコメディ色の強い物語。良い感じのバランスが絶妙でした。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

【完全な真空】
地下迷宮での会話劇。序盤から照明の技のせいか、洞窟を空想させる演出。ここで生活を続ける浮浪者は、世界に絶望を感じて地下に潜った男だった。脱出をあきらめる若い女は、「もう少しで男が迷い込んで来たら、ここから出られるから待て。」と浮浪者に教えられる。案の定、男が迷い込んで来る。ここで男と女の、運命的な出会いなのだが、そのことに両方とも気が付かない。男はこの迷路から脱出しようと必死に駆けずりまわるが出られない。

そんな折、浮浪者は男に「お前にとっての幸せは何だ?」と問う。「これが解らなければここからは出られない。」と。哲学的な尋問の場面!笑
男は最初のうちは昇進だと答えていたが、やがて、「普通に会社に行って、普通に仕事をして、普通に呑みに行って普通に結婚して・・・、普通に生きることだ!」とアンサーする。

こうしてやっと女と一緒に脱出した男は、この女と縁あって結婚したのだが、物語はこれでおしまいではない。浮浪者の呟きから、この女はかつて自分の妻であり、子供は出来なかったが幸せに満ちて暮らしていたという。そして妻が先に死んで、自分は妻が居なくなった世の中に絶望し、この地下に潜ったのだという。つまり、男は浮浪者自身だった。というオチ。


【BLACK BOX】
女が見つけた奇妙な黒い箱を「BLACK BOX]だというイッチャッテル物理学者とその助手、寝間着の男と女のコミカルな物語。とにかく寝間着男が面白い。アホらしいけれどコメディだからこのくらいイカレテルほうがいい(^0^)

黒い箱を見つけた女はキャリアウーマン。現在の状況に大きな不満はないが孤独ではある。そして愛が欲しい。会社のちょっとした不満を吐き出しに公演に来たのだが、ここでイカレタ3人と出会い、散々な目に巻き込まれる。「この箱は人類のどんな願いでも叶えてくれる。」と説明された女は真剣に「億万長者になりたい!」と願うも思い返して「愛が欲しいー!!」と叫ぶ。


2話とも秀逸な物語だった。どちらもインパクトがあって、シリアスとコメディの差こそあれ、不思議さ満点な舞台。好みの作風だった。個人的に志村の演技が光ってた。そして、菊池!彼のイカレ加減が絶妙!

山脈(やまなみ)

山脈(やまなみ)

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2010/03/20 (土) ~ 2010/03/27 (土)公演終了

満足度★★★★

若い世代にこそ観てほしい名作
「夕鶴」「蛙昇天」「子午線の祀り」「オットーと呼ばれる日本人」などで知られる劇作家・木下順二の追悼公演。
木下は「山脈」で、反逆と不倫を描いた。木下の言葉を借りれば、「本質的に非常にエゴイスティックな恋愛」を通して、生涯のテーマである「個人が抹殺されることによってでなければ、歴史ってのはつくりだされてこないだろう」という主張を浮き彫りにしている。東京演劇アンサンブルの芝居は、いつも観た後に深く考えさせられるものが多く、本作もそのひとつ。
戦争中、軍人でない市民たちは、いったい何を思って生きていたのかを追体験でき、やはり、若い作家が想像で描く戦争とは違う。その点で、若い人に多く観て貰いたい作品。所見の日も、いつもと違い、若い観客で満席だった。
上演時間3時間(休憩こみ)だが、まったく長さを感じさせない。

ネタバレBOX

ストーリーは公演情報に詳しく載っているので、そちらをご参照ください。
「不倫」をする女性がよく口にする「たまたま好きになった人に妻子がいた」という言葉。この劇のヒロイン、村上とし子もそのひとりである。婚約者村上省一(劇には登場せず)の親友、山田浩介と出会ったとき、山田には既に妻子がいた。が、2人は互いに強く惹かれあい、恋に落ちた。
とし子の夫となった省一は出征し、東京大空襲のあと、「とし子を安全な場所に置いておきたい」という思いから、山田はとし子と姑の村上たまに山村への疎開を勧める。農村経済研究者の山田は東京に残り、疎開先にときどき、訪ねてくるが、2人の関係を知らない姑は、妙な噂が立つと困ると警戒する。
「あなたは出征兵士の妻なんですからね」ということに縛られ、息をひそめて生きているとし子は、山田の研究の一助になればと、農村の風習の聞き取り調査を続けることで、苦しい恋に耐えていた。調査はノート5冊分にも達している。とし子は山田に「もうここに来ないで」と言い、山田は偽名でとし子に何通も手紙をよこしたが、とし子は返事を出さなかった。やがて、とし子の夫が戦病死した報が伝えられた直後、突然山田が村に来て、「赤紙が来た」と伝え、広島に入隊するので、ひと晩泊まって明日の朝早くここを立つと告げる。それを聞いて、とし子の中で緊張の糸がぷつんと切れる。「残された30時間、山田と一緒にいたい、自分も広島に行く」と。
山田は何度も拒絶するが、とし子は聞き入れず、姑を捨て、駆け落ちしてしまう。しかし、広島に原爆が投下される・・・・。
そして終戦。村では、出征していた疎開先の農家の長男富吉が帰還し、妹のよし江の婚約者マサハルもまもなく帰還できるという。「石にかじりついても生きて帰りたい」と言っていた山田は亡くなってしまったのだ。
とし子が村にやってくる。自分らしく生きた証のあるあの山脈の村をめざして。疎開先の農家で原爆のことを聞かれ「あなたはどうして助かったのか」と聞かれても、とし子は答えない。「君を安全な場所に置いておきたい」という山田のことだから、そのとき、山田はとっさにとし子を物陰に隠し、約束どおり、「守った」のではないか。そう思うと切ない。
村に清らかな思い出と救いを求めて訪ねてきたとし子だが、背を向けて帰ることを決意する。役場で働く原山と再会し、あの日の山田との語らいを述懐する原山。彼らの前にあるのは紛れもない「戦後」。残された者は生きていかねばならない。とし子が「歩けば歩くほど向こうに行っちまうような」山脈は、日本人のめざす戦後の理想をも象徴している。
とし子の久我あゆみは、いまは亡き劇団主宰の広渡常敏が桐朋短大時代に発掘した秘蔵っ子で、本作が産後復帰作となった。第1部の耐える女より、第2部でヤミ屋の顔を持ち、米をめぐって富吉とわたり合うときの度胸の良さにグッときた。とし子はこの先、きっと逞しく生き、男性社会でも成功するにちがいないと思わせた。もしかしたら生涯独身かも?(笑)こういう生死を賭けた恋を経験したら結婚はできないかもしれない。
山田浩介の公家義徳はいつもながら誠実で魅力的な好男子ぶり。村上家の姑たま・志賀澤子は、いかにも東京の良家の奥様らしい風格。農家の姑ミツ・原口久美子は、前回「桜の森の満開の下」で妖艶な魔性の女を演じた人とは思えない変身ぶり。ミツの何気ないひとことに客が笑う。それは真面目な台詞なのだが、彼女の「間」の良さからきているのだ。農家の嫁きぬ・町田聡子の凛とした実直さが印象に残る。町田には「青年団」の女優の雰囲気がある。きぬは町で働いた経験があり、姑にきつく当たられていた。戦後も農家の嫁として、粗暴な夫の妻として耐え忍ぶ半生が待っている。富吉の松本暁太郎はこの日、どうしたことか2度ほど台詞のとちりがあったが、その際、稽古でもないのに首を振るのはいただけない。とちっても役になりきるべきだ。演出もする人だけにしっかりしてほしい。この芝居で一番よかったのは原山の竹口範顕。山田への共感ととし子への思いやりを感じさせ、玉音放送を聴いた後の心情の揺れを語る場面が秀逸で、作品のテーマを観客に強く訴えかけた。彼の実直な演技が、芝居に厚みを持たせた。原山が語る、帰還してきた農村の若者の終戦直後の虚脱感を聞くにつけ、戦後の減反政策、自給率の低下などによる今日の日本の農業のゆくえに思いを馳せざるをえなかった。いつの世も為政者によって振り回されつつも、したたかに生きていく農民の姿を感じる芝居だった。
演技以外で気になったのは、まず舞台装置。本水のせせらぎを設けてあるのは感心したが、いくつかの段差の台に無造作に白い布がかけてある。最初は残雪なのかと思ったが、中央の台が室内という設定で、そこも外部と同じく中途半端なサイズの布が敷いてある。ここだけうすべりを敷くとか、室内の感じを出す装置にしてほしかった。いつもは凝った舞台美術を作る劇団なので疑問だ。
また、大空襲にあい、疎開してきた村上家の嫁姑がこの時節でもんぺを穿いていないのは不自然。農民との対比を示したのかもしれないが、たまが言うように都会者が目立たぬよう暮らすなら、なおのこともんぺを穿くだろう。たまが山の手の奥様のように大島紬の着流しというのはいくら田舎が安全地帯とはいえ、空襲警報はあるので、のん気すぎる。
夜のプラタナス

夜のプラタナス

弘前劇場

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/03/19 (金) ~ 2010/03/24 (水)公演終了

満足度★★★★

東北地方の民話のような
女の本性を窺い知ることのできる物語でした。

当日は土曜ワイド劇場の温泉宿仕掛人で温泉に浸かっている俳優さんも来ていらっしゃいました。

ネタバレBOX

病魔に侵された作家の話のように進行しながら、実はしたたかな姉妹の本性を表現したお芝居でした。

身寄りの無い死にそうな作家の男に家を貸し、男の世話をするようでいて家屋の保全をしている。姉妹で男を奪い合うような確執をみせるが、二人の単なる冷めたゲーム。

姉妹は食事を出して片付けて、男は食べて糞をして死に近づいていく日々。

山姥(やまんば)伝説のような、カッコウの生態のような、蟻地獄のようでもあり、姉妹に魅入られたら男は全てを吸い取られてしまいます。

そんなことを覚らせない姉妹なので、男は幸せです。私も憧れます!!

ところで、箸の持ち方についてですが、男の持ち方が美しかっただけに姉妹の持ち方が気になりました。

男の箸の持ち方は実に美しく、非の打ち所はありませんでした。
姉は、まあ普通ですが、特段綺麗とは思えませんでした。
妹の持ち方は、親指が上に突き出てしまっていて全くだめでした。
親指、人差し指、中指が一点に集まるように持たなければ美しくありません。

食べることが重要なお芝居では、こうした細かいところへの配慮も必要だと感じました。
薔薇とサムライ

薔薇とサムライ

劇団☆新感線

赤坂ACTシアター(東京都)

2010/03/16 (火) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごい!!!すごい!!!!!
観終えた後のあの高揚感!!!
本当に素敵な時間を過ごしました!!!
天海さんのこの世のものとは思えない美しさにうっとりし、迫力満点の生演奏に体中がしびれまくり♪
もう一度観たい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

女が、全然ダメ

女が、全然ダメ

双葉姉妹

「劇」小劇場(東京都)

2010/03/23 (火) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★

女性だから書ける話かも
偽悪的に薄っぺらく表現するような部分があっても
それがしたたかに物語を膨らませる力になっていて。

ちょっと男性では書きにくい心情も
包み隠さず
どっかりとダイレクトにやってくる感じ。

最後まで安定して見せ切る力に
観る側がゆだねることができる舞台で、
楽しんだあとに、
ちょっとめんどうくさい(褒め言葉)女性の感覚いっぱいの
吉田ワールドがしっかりと残りました。

ネタバレBOX

2編の中編をラフにつなぎながらの上演。
ベースに作者としての吉田の姿が
虚実を交えて見え隠れ・・・。
このスキームがしっかりと機能して
吉田ワールドが観る側をしたたかに取り込んでおりました。

最初の作品「フェミニスト童話」は、
少女漫画のような筋立てなのですが、
役者たちの表現が、物語の枠組みから
想いをさらに浮かび上がらせる力を持っていて。
よしんば、べたな展開であっても
丸めるように洗練されていない良さがあって
キャラクターから溢れる生きた感情に
観る側がすっと包まれる。

辻沢綾香が素の女性と良い意味で飾る女性の落差を、
素を落とすことでなく、
女優力で飾る側の品質として作り上げて
ヴィヴィッドな戸惑いとともに表したり、
山口奈緒子が
予め飾る女性の想いを観る側にきっちり作りこんだ上で
背伸びしない素の女性の心情をしなやかに表現したり・・・。
役者達を見ていると
表層のベタさとは異なり
お芝居にちゃんと魂が入っているのです。

現実の作家を外側に配する
どこかチープな2重構造で物語の質感を作りつつ、
人形扱いされる役者たちそれぞれの演技に
コメディテイストに流されない、
しっかりとした想いが編み込まれていて。

このクオリティがあるから
作者の心情が、線描から平面へ、
さらには立体的な質感となって
観る側に伝わってくる。

後半の「マリアはいなくても」は
物理的にも女性でないと書けないような物語。
でも、純粋なストレートプレイにせず、
あちこちにコメディ仕立てを織り込んだことで
男性にもしなやかに伝わってくる作品になりました。

浅田よりこの演技が、
焦ることなくきちんと丁寧に、
キャラクターの心情を観る側に積み重ねていく。
吉田麻起子が骨太く表すキャラクターの心情の変化には
観客を頷かせるだけの実直さがあって・・・。

しかも、「フェミニスト・・・」同様、
それを支える役者たちが
時にシリアスに、あるいはウィットを持って表現する価値観に
きちんとした裏付けがあるので、
物語のコアが偏ったり揺らいだりせずに
まっすぐ膨らんでやってくる。
終わりのシーンが、素敵にまっとうな重さを持って
みる側に降りてくるのです。

フィナーレを観終わって、
どこか温かくほっこりした気持ちになった。
ちょっと不思議な感じがしたのですが、
この感覚は、ラストに真紅のドレスで見栄を張った吉田が、
実は一番ベースに隠し持つ
ある種の暖かさの賜物なのかもしれません。

また、その吉田ワールドをがっつり表現した
小池氏や双数姉妹の底力にも改めて瞠目したことでした。
















 『F』

『F』

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

みたー
 確実に死に近づいてゆく人間と、廃棄さえない限り存在しつづけるアンドロイドという関係は、ブレードランナー(「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」)の逆バージョンのよう(ブレードランナーは、寿命をプログラミングされたアンドロイドが死に恐怖する話)。人間もアンドロイドもたいした違いはないのじゃないか、と考えさせる点は同じですね。

 アンドロイドは、主人(人間)の最大の利益は"生命を守る"ことだと考えているようです(花火をしたいという女の願いを遮って、身体を休めることを主張しているから)。
 治験を続ける女に対し、アンドロイドは他の治療法ならば助かるのではないかと提案します。しかし、「たとえ助かっても、今の報酬はもらえなくなり、元のひとりぼっちの生活に戻るだけと」女は、その提案を受け入れません。
 命は地球よりも重いというアンドロイドに対し、そんなのはウソッパチだという女。

 ここでアンドロイドがどう学習したのかは興味深いところ。主人の願いは、命を失っても今の生活を続けたいということですから。もし、女が「私を殺して」と願ったらアンドロイドはどうしただろうか?

 やがて女は命つきます。切なさを感じないわけではありませんでしたが、それ以上に「看取ってくれた人がいてよかったね」という気持ちがはるかに強く生じました。一人でしんでゆくのはあまりに悲しすぎる、だからアンドロイドをそばに置いたのでしょう。

 印象に残った場面がふたつ。

 1.二人がキスをする場面。アンドロイドの表情が無表情だったこと。

 2.女が亡くなる場面。目をあけたまま、電池が切れるように動かなくなりました。それは人間というよりもアンドロイドのようでした。

 この2つがなかったら、単なる甘ったるいお話になっていたかも。

 人間の望むことが、最初は理解できないアンドロイドですが、人間同士だって初対面から理解しあえるんなんて滅多にないですし、たとえ長く付き合っても、このアンドロイドのように理解してくれるとは限らないわけです。そういう意味では、この作品、ハッピーエンドなのかもしれませんね。

コエラカントゥス~深海 眠る君の声~

コエラカントゥス~深海 眠る君の声~

One on One

シアターサンモール(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

すかっとさわやか、ちょっぴり涙
 凝ったコーラスは聞き応えがありました。コーラスはミュージカルの醍醐味のひとつですもんね(全員で歌うと男声部がちょっと弱かったかも)。

 お話は、愛すべきアウトローたちの、歴史の裏側に隠された冒険譚で、すかっとさわやか、ちょっぴり涙な物語。

 惜しかった点をふたつ。

1.疾走感。
 海賊船が海を疾走してゆく姿、その自由さを感じる場面もしくは音楽があったら...

2.戦闘場面のスペクタクル感
 新感線のように...とまでは言いませんが、手に汗握るスペクタル感はもうひとつだったような。
 (今思えば、宝塚の「エルアルコン・鷹」の海上での戦闘シーンは見事だったなぁ)

 その他

・女船長ユーリ、女医アオイともどもかっこよし。
・コックトーヤ(大津裕哉)、シイラ(岡村さやか)、ソロ歌が心に染みる。
・ミチル役の佐野まゆ香嬢とルイ役の北上智子嬢、そっくりだったけどパンフで確認したら双子でも姉妹でもなかったのねー。

 次回公演は夏、中野ザ・ポケットらしい。行こうっと。

遠ざかるネバーランド

遠ざかるネバーランド

空想組曲

ザ・ポケット(東京都)

2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

見事
 前半は、先に述べた通りファミリーミュージカル風なので「なぜ、そこで歌わないの?フツーは歌うでしょ!」と、ミュージカル好きには物足りなさもあったりして(笑)。
 ミュージカルといえば、死をテーマにしたファンタジックな物語って音楽座ミュージカルの得意分野じゃないかな。「遥かなるネバーランド」、音楽座ミュージカルになったら、絶対泣いちゃうでしょうね。

 ネバーランド=死の世界からの生還を、屋台崩しであらわしたのは爽快。ネバーランドのセットが崩れ、学校の屋上のセットがあらわれたとき、そしてベルが鳴った瞬間に、いままでの謎がすべて解けてました。見事。

 ティンカーベルを演じた、武藤嬢が絶妙でした。カーテンコールもティカーベルとして登場したのは正しいと思います。

飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

飛龍伝2010―ラストプリンセス【作・演出 つかこうへい】

松竹

新橋演舞場(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★

熱くってよいなあ
愛原実加退団発表、つか氏入院で急遽チケット購入(笑)。

 黒木メイサのかっこよさに惚れました。

 舞台全体が熱くってよい。終盤、一人一人が順に散ってゆくのは定番の手法だけれど、「やはりこれしかないでしょう」ってくらいはまってますよね。

 神林美智子が山崎一平に殴られ、それでも「あんたが好き」って美智子が一平にすがりつく場面(確か)、「そりゃDVだろっ」ってなもんですが、最近の、"静かな演劇"じゃないけれど、表面上は普通の夫婦なのに、実はお互いがよくわからなかったり、お互い秘密を抱えてたりなんて演劇を多くみていると、「やっぱり人間同士、ぶつかりあって初めて見えてくるものってあるよな」と思います。
 現実は、夫婦関係に限らず、表面上はとても"静か"。その一瞬を切り取って見せてくれる現代演劇は、深いテーマをつきつけてくれますが、飛龍伝のような"熱さ"は現代ではなかなか見られないゆえにファンタジーでエンタテイメント。だからダンスや歌のシーンがあっても全然不思議じゃない、って思います

HAMLET!!

HAMLET!!

宝塚歌劇団

【閉館】日本青年館・大ホール(東京都)

2010/02/19 (金) ~ 2010/02/25 (木)公演終了

満足度★★★★

予想以上の楽しさ
予想以上の楽しさでした。楽しい分、原作の重厚さはあまり感じられなかったですけど(笑)

 ハムレット(龍真咲)がハンドマイクにスタンドマイクで歌う場面は、真っ赤な衣装(だったよね?)のハムレットはかっこよく、ダンサー連中はゴスというかハードロックっぽい黒い衣装で踊る。これぞロックオペラな雰囲気。「To be or not to be~♪」って連呼する歌でしたねー♪
 後半になると、いつもの宝塚風の音楽が多くなり、ロック色が薄れてきたのが惜しい。大劇場公演ではないのだから、全編ハードロックで押し切るくらいの冒険をしてもよかったのではと思います。

 オフィーリア役は、次期花組娘役トップ内定の蘭乃はな。めちゃくちゃかわいい。ラストの総踊りの場面でシャープなダンスを見せてくれました。

 原作の"言葉遊び"の面白さは、ミュージカルになったことで薄れてしまいました。もしも"言葉遊び"を歌で再現できていたなら名作ミュージカルとなっていたかもしれません。

DANCE ACT 「MATERIAL」

DANCE ACT 「MATERIAL」

梅田芸術劇場

天王洲 銀河劇場(東京都)

2010/02/22 (月) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

不思議世界に大満足
 様々な人の手を経て骨董屋にやってきた品には、いろいろな想いが入り混じりっているのでしょう。和とも洋とも言い難い装束で登場する"想い"の醸し出す無国籍感がたまらない。

 朝海ひかるは、恐らく蓮のもつ"不思議な力"の役。

 映像の使用あり。原作のイラストや朝海ひかる嬢のコスプレ姿等など。"想い"のイメージ映像だと思われます。秀逸だったのは"黄金の鯛に乗ったお姫様姿の朝海ひかる"で、下に垂れたお引きずりの部分が、まるで人魚の尾。和装の人魚とは御趣向♪

 後半はショー、恐らく物の"想い"をモチーフにしたショーなのでしょうね。"Tea for Two"など、スタンダードナンバーを中心に構成。

 終演と思いきや「まだまだ、オマケがあります」との表示。道成寺の物語が語られ、やがて登場した蛇体はフラメンコ衣装の朝海ひかる。フラメンコ道成寺とは驚かされました。盛り上がって終幕となりました。(フラメンコ道成寺って、過去にあったそうです。見たかったな。ドラマティコ・フラメンコ「炎の道成寺~清姫伝説~」)

 出演者全員、歌もダンスも上手くて気持ちが良い。男性陣は逞しくも美しく、女性陣はキュートで元気って雰囲気でした。

目を見て嘘をつけ(再演)

目を見て嘘をつけ(再演)

KAKUTA

NHKみんなの広場 ふれあいホール(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

泣けた
ラストで妙に目頭が熱くなりました。
 真路が何度も「私は女だ!」と叫び、自信を取り戻して行く様子を見てると、こちらの気持ちも高まってきて、そして暗転、音楽が流れた瞬間にウルっときてしまいました。

 筒井真理子さんを間近で見たくて、最前列に座ったところ、ソバ屋の机で出演者の顔が隠れてしまう場面あり。ま、それでも十分満足で、筒井真理子さんって前回から年取ってないんじゃなかろうか?眼福♪

いばらひめ~Sleeping Beauty~

いばらひめ~Sleeping Beauty~

女王陛下

OFF OFFシアター(東京都)

2010/02/25 (木) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

ファミリーミュージカル
童話・いばらひめをファミリーミュージカル化したような内容ですが、オーロラ姫が眠った後に現実世界と行き来するようになると、いばらひめ~La Belle au bois dormant~を先に見ていないと、謎が多いかもしれません。

イバラヒメ~La Belle au bois dormant~

イバラヒメ~La Belle au bois dormant~

女王陛下

駅前劇場(東京都)

2010/02/25 (木) ~ 2010/02/28 (日)公演終了

満足度★★★

サスペンスホラー
サスペンスホラーのような趣きもあって、単品で見ても面白いと思われます。

女優さんがそれぞれに個性的で、
 看護士の吉田さん役の 嬢、アダルトな雰囲気。
 美人。
 アイドル二人は眼福。福田嬢、けっこう体育会系っぽい。
 王妃役の伊藤嬢、素顔はどういう人なんだろう?
 妖精メリーウェザー役のいぐちしおり嬢、インパクト大。

The Heavy User

The Heavy User

柿喰う客

仙行寺(東京都)

2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了

満足度★★★★

音とリズムと動きを楽しむ
 まー、お客様相談センターにかかってくる電話って、マジメなクレームの電話よりも、ひまつぶしや人生相談、いたずら電話の方が多いんじゃないか(よくは知りませんが)。そんなどうでもよい電話の数々がコラージュされ、リズミカルで心地よい1時間。途中で内容追っかけるのは止めて(無意味なようなので)、音とリズムと動きを楽しませていただきました。

 ケチャのように全員でひたすら喋りつづける場面、耳の錯覚でしょうけれど、セリフ以外の言葉が聞こえてきました。音に"うなり"ってありますが、多分、言葉の"うなり"効果ではなかったかと。

スイングバイ

スイングバイ

ままごと

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/03/15 (月) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★

さわやか
 人類・社員は、社員としては個人ですが、人類としてみると、ある職種の総体であり、その総体はさらにこまかな職種から成っているはずで...と、自己相似的な世界が見えてきます。

 人の体のなかで、ちいさな人が働いているという絵があるじゃないですか(胃袋で食べ物を鍋で溶かしていたり、腹の中で栄養素取り出したり、エネルギーの素を体中に運んだり...っていう、アレです)。
 この舞台、そんな絵を見ているような感じでした。

 競技場のような舞台上で、ボールをやりとりするようにファイルを受け渡してゆくシーンは、スポーツ観戦をしているようでした。見ているだけでワクワク。

ままごと「スイングバイ」は性善説に基いているのか、全員さわやか。まあ人類史上の善悪なんて、後の世で勝手に決めつけたよーなもので、絶対的な善悪なんてないのかも。(ウイルスが悪とされるのは、たまたま人体に有害だからで、ウイルス本人には何の悪意も責任もないのと同じ)

ブロウクン・コンソート

ブロウクン・コンソート

パラドックス定数

SPACE EDGE(東京都)

2010/03/19 (金) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

キャラ萌え
 宗谷兄弟、智北と抜海、筬島と初野、職業は異なりますが、それぞれに支配と依存・嫉妬・憎しみ...等々があって、刑事-宗谷兄弟-ヤクザの間に"同類相憐れむ"的な連帯感が見え隠れするのが生々しくて無様で面白いですね。

 これはキャラ萌え芝居なのか?どのキャラも強烈。
 特に西原誠吾氏。「怪人二十一面相」「三億円事件」で彼が演じた"白砂さん"キャラが大好きなんですが、今回のヤクザ・智北も、白砂に匹敵するクセのある悪者キャラで、大満足。

 知的障害の佳朗役の小野ゆたか氏。どのような役作りをしたらあのように演じきれるのか想像がつかない。

 昼の観劇でしたので表は明るい。シャッターの外の自転車や通行人(この回は、たまたま自販機の補充作業あり)と、ごく普通の日常風景が見えるのも御趣向(夜は、また別の印象でしょうね)。

 発泡シーンはすべて、扉の向こう側で、音だけが響き渡ります。薬莢がコンクリートに落ちて転がる音まで再現させていたのには脱帽でした。

会場を支配していたピーンと張り詰めた空気が、いまだ忘れられず。もう一度見たいなあ。

『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』

『学生・生徒または未成年者は勝馬投票券を購入できません(再)』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

劇場MOMO(東京都)

2010/03/16 (火) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★

なかなかにハイテンションでした
まぁ金に目が眩めば、そんなものでしょうが。
ハイテンションさんズは、そんなの関係無しにずーっとアゲアゲでしたね。
登場人物たちの入れ替わりや、会話・台詞の楽しさがありましたが、
落とし所が無難すぎて、尻すぼみな感じが否めませんでした。

ネタバレBOX

えー競馬。詳しくないんですが、破れた馬券。
払い戻しは、してくれないんですか?
劇中にも競馬素人さん居たんだから、その説明省いちゃーいけませんぜ。
(ゴッちゃんが最後に馬券入手する動きも
演出でしょうが、わざとらし過ぎて笑えなかったトコです。)
破れ馬券で、もう一騒動おきてから、三浦さんのばっちゃん話で、
締めくくれば良かった気がします。
あと金子君のテンションは、も少し下げ気味でも良いと思いました。
ディートリッヒ

ディートリッヒ

Quaras

青山劇場(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★

花總さん最高
 ヘミングウェイの語りによるディートリッヒの評伝劇のスタイルで、彼女の劇的な人生を、淡々と描いています。

 物語上ドラマチックで華があるのは、ピアフかな。花總さん主演でピアフの物語が見てみたい。

 鈴木綜馬氏のトラヴィス(ゲイのスタイリスト)、戦争、ナチス...という暗い時代背景で暗くなりがちな舞台を、コミカルな演技で楽しく明るくしてくれます。グッジョブ♪

 気になったのは、連合国側兵士のライフルがM16を持っていた点、第二次大戦ベトナム戦争に見えて困ってしまいました。

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